私のために苦痛に歪んだ顔を見せなさい(多部未華子)あーっ(大倉忠義)ドS小学生(鈴木梨央)
支配は愛の横顔のひとつである。
人間関係は基本的に主従関係である。
対等な関係というのは無関係の別名にすぎない。
もちろん・・・時空間の変異によってその立場は流動的である。
民衆の支配者である女王様が民衆によって断頭台の露と消えることもある。
主従関係の中にこそ愛の真実があり、支配するものと支配されるものの葛藤こそが愛の醍醐味なのである。
愛するものの苦痛に歪んだ顔の甘美なこと・・・それを求める魂の存在を何人も否定することはできないのだ。
愛しているから苛めたいのである。
つまり・・・いじめは美しい行為なのです・・・おいっ。
これは・・・お茶の間にストレートに受け入れられるな。
人間の本質だからな・・・おいおいっ。
頭の悪い子は本気にしないでください。おいおいおいっ。
で、『ドS刑事・第4回』(日本テレビ20150502PM9~)原作・七尾与史、脚本・川崎いづみ、演出・川村泰祐を見た。優位に立つことで得られる高揚感。劣等を認めることで感じる安らぎ・・・人はよりよい快感を求めて世界を彷徨う生き物である。どちらを選んでもよいし、時には立場を変えてもよい。何を選ぶかはそれぞれの自由である。その一点においてのみ・・・人間は平等なのだ。
視点はとても大切だ。「平和憲法によって平和が守られている」という視点は「自衛隊という憲法違反の軍隊が平和を守っている」という視点を欠く。「誰も戦争したいとは思っていない」という言葉は「戦争の絶えない世界」を説明できない。戦争が実在する以上、そんなものはないと言うのは無理があるのである。
同じように・・・いじめが絶えることはない。
なにしろ・・・人間は・・・いじめたい生き物なのだから。
「警察に出前の注文があれば・・・そこに家庭内暴力がある」
愚鈍な代官さまこと代官山脩介巡査(大倉忠義)には察知できない危機を黒井マヤ巡査部長(多部未華子)は抜け目なく感知し・・・愛読書の「図説 拷問全書/秋山裕美」を閉じて出動するのだった。
虐待された妻を救うために暴力亭主に代官さまをけしかけるどS刑事。
ファイトの結果、苦悶する代官さまを堪能する刑事マヤなのである。
絵文字で表現すると・・・ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ( ̄ー ̄)ニヤリと言うことになります。
川崎青空警察署刑事一課強行犯捜査係に「誘拐事件発生」の通報が入電する。
女子小学生・真島マヤ(鈴木梨央)が消息不明となり・・・真島家に犯人から誘拐の告知電話と脅迫状が届いたのだった。
どやどやと駆けつける刑事たち・・・すでに誘拐事件の捜査姿勢としては問題外です。
被害者の父親・雅史(林泰文)と母親・真美(ちはる)は脅迫状を見せる。
「娘を返してほしければ・・・十万円を用意しろ・・・他言無用」
「十万円・・・」
要求金額の少なさに疑問を感じる捜査員たち。
「誘拐は重罪です・・・要求金額が十万円ではリスクが大きすぎる・・・おっさんをカツアゲした方がマシだわ」と思わず口走る課長の白金不二子警視(吉田羊)・・・。
「良心的で堅実な犯人なのかもしれません」とフォローにならないフォローをする定年間際の近藤刑事(伊武雅刀)だった。
「十万円で娘が買えるなら・・・ですか」と有栖川係長(勝村政信)。
「娘の命でしょう・・・娘だけだと失言あつかいされますよ」と中根刑事(中村靖日)・・・。
「とにかく・・・周辺の捜査と・・・真島家での対応・・・両面で動きましょう」
捜査の結果・・・「公園で不審人物がランドセルを背負った女子小学生と同行していた」目撃情報が得られる。
前科者リストと照合して容疑者を絞り込む課長だった。
一方・・・ピザの宅配便を装った情報屋(石井正則)は意外な情報を届けるのだった。
「今回はツケということで」
情報料とピザ代金を誤認した浜田刑事(八乙女光)は「ピザ料金をツケにできる」マヤの顔の広さに感銘を受けるのだった。
真島家周辺では・・・ペットの消息不明事案が相次いでいたのだった。
そして・・・真島家の飼い犬は・・・マヤという名前だったのである。
「娘の名前とペットの名前を一緒にするなんて・・・変態の匂いがするわね」
「かなり・・・無理がありますよね」
「ネタのためのネタって最悪だわ」
「ですね」
休憩のために代官山啓子(岸本加世子)の理髪店に立ち寄った刑事マヤは・・・啓子と娘のかおり(瀬戸さおり)との些細な諍いから事件解決のヒントを得るのだった。
一方、誘拐された少女マヤは・・・ペット専門の誘拐犯・犬塚(近藤公園)と猫田(岡山天音)を完全に支配下に置いていた。
「身代金を一千万円に値上げしなさい」
「百万円でいいじゃないですか」
「父は財テクで小金をためているのよ」
「なぜ・・・自分の家から身代金を・・・」
「すべては・・・父への復讐のためよ」
「父への復讐・・・」
いろいろなこと想像して蒼ざめる小悪党たち。
「いいから・・・私の言う通りにしなさい」
小学生たちに聞き込みをする刑事マヤと代官さま・・・。
「マヤちゃんってどんなお友達・・・」
「マヤ様は・・・友達じゃありません」
「友達じゃない・・・」
「みんなの女王様です」
「・・・」
すべての事情を察する刑事マヤだった。
グルグル遊具での緊急操作会議。
「今回は最初からハードで行きます」
「やりなさい」
回されすぎた刑事マヤは少しよろめくのだった。
「大丈夫ですか」
「バッチグーよ」
刑事マヤは愛犬マヤを出動させるのだった。
「刑事犬じゃないから無理だって言ってたのに・・・」
「あなたには無理なことでも・・・私には可能ということがこの世には普遍的に存在するのよ」
「・・・」
愛犬マヤは・・・少女マヤの監禁現場にいる犬好きの男をめがけてまっしぐらである。
監禁現場の廃墟前で・・・父親が娘に贈った鞭を発見する二人。
「真島マヤ・・・出てきなさい」
「え」
「あなた・・・家出したんでしょう」
「無礼者・・・名前を名乗れ」
「私は・・・黒井マヤ・・・女王の中の女王よ」
「なんですって」
姿を見せた少女マヤ。
「あなた・・・父親がペットの犬にマヤと名付けたのが気にいらなかったのね」
「そうよ・・・無礼にもほどがあるわ」
「あなたが・・・女王様なので・・・彼には・・・愛玩物としてのマヤが必要だったのよ」
「・・・」
「つまり・・・あなたを愛しているの・・・それも愛よ」
「愛・・・」
「中学生になればわかるわ」
「そういうものなの」
「そういうものよ・・・すべては調教の仕方で変わるのよ」
「私が未熟だったと・・・」
「いえ・・・あなたは早熟よ」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
うっとりとする少女マヤだった。
こっそりと逃げようとする誘拐犯たちを女王様の鞭で捕獲する刑事マヤ。
「私の奴隷に手を出さないで・・・」
「安心しなさい・・・一端・・・預かるけど・・・刑期が終わったらお返しするわ」
「仕方ないわね・・・それが大人の事情ってやつね」
かけつけた刑事たちや両親は二人の世界に茫然とするのだった。
「なんだか・・・犯人が憐れに思えてきました」
「奴隷が奴隷に同情したって・・・世界は変わらないわよ」
「・・・」
愛犬マヤは犬に生まれた幸福を噛みしめるのだった。
帰宅した代官様は・・・すでに・・・母と妹とマヤが夕食中であると知り愕然とする。
「あの・・・俺の・・・」
「おあずけよ」
「家出したい・・・」
「無理よ・・・」
「どうしてですか」
「あなたは首輪をつけているから」
代官さまは・・・見えない首輪の感触に震える。ほくそ笑む・・・マヤ女王。
ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ( ̄ー ̄)ニヤリと言うことです。
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