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2015年5月21日 (木)

ずっとあなたと一緒にいます(堺雅人)ぎゅっとしてく~ださい(蒼井優)

ずっと昔に愛し合った人と早朝に寿司屋を捜している夢を見る。

寿司屋横町のような寿司屋の並んだ路地はどの店もシャッターが下りている。

しかし、彼女が地下に続く階段を見つけ、そこに営業中の寿司屋があった。

「ねぎとろ巻をください」

そう言いながら彼女への愛おしさがこみ上げてくるのだった。

食欲と性欲が一体化しているんだな。

愛って難しいよね。

裏番組「心がポキッとね」には主人公が発狂中に暴言を浴びせ、恐怖で神経症になった女性(岡本玲)がゲストで登場。

狂犬にかまれたら・・・我慢するしかない・・・世界は不条理そのものである。

まあ・・・結局・・・幸不幸と運不運は同じってことなんだよ。

で、『Dr.倫太郎・第6回』(日本テレビ20150520PM10~)原案・清心海、脚本・相内美生、演出・相沢淳を見た。精神のおかしい人からは一瞬も目を離せない。しかし・・・多くの人間は誰かをずっと観察しているわけにはいかないので・・・不幸な出来事は起こるのである。そして常人と狂人の区別は非常に曖昧な尺度を伴っている。善人と悪人と同じくらい判別が難しい。悪い常人と悪い狂人の場合・・・後者は悪とは言えなかったりするわけである。そういう・・・やりきれなさを表現するために登場する主人公の妹・中畑まどか(酒井若菜)なのである。一方、敵役の愛人ポジションの矢部街子(真飛聖)は出番を確保できませんでした。

テレビ番組にコメンテーターとして登場するヒノリンこと日野倫太郎(堺雅人)・・・。

「風邪をひいた時にお医者さんにかかるように・・・心が風邪をひいた時はお気軽に精神科を受診してください」

人気のヒノリンは出演者たちからも悩みを相談されるのだった。

「最近、眠れないんですが」

「お話しましょう」

「最近、娘が先住民の塚で穴を掘るんですが」

「お話しましょう」

「最近、築城しなければならないと誰かが耳元で囁くのです」

「お話しましょう」

増え続ける患者・・・ヒノリン・・・過労死コースに乗っているのではないか。

著書がベストセラーになり・・・テレビ局にはデマチをするヒノリンファンが殺到する。

研修医・川上葉子(高梨臨)はマネージャーか付き人のようにファンをかきわけるのだった。

その中にファンレターを握りしめた女・星野(山田真歩)がいる。

今回のゲスト患者である。

慧南大学病院の理事長室では・・・円能寺一雄(小日向文世)が副病院長兼脳外科医主任教授の蓮見(松重豊)や精神科主任教授の宮川貴博(長塚圭史)とテレビを見ていた。

「日野くんの人気はなかなかのものだね」と円能寺・・・。

「これで病院の受診者がまた・・・増えますね」と蓮見・・・。

「君も本でも書けばどうだ」

「いえ・・・私は・・・臨床一筋ですから」と言葉を濁す宮川・・・。

端末を忘れたヒノリン。

看護師の桐生薫(内田有紀)は机の上の端末が度々着信するのが気になる。

病院に戻ってきたヒノリンはメールの送信者がアキラこと夢乃/相沢明良(蒼井優)と知り・・・ニヤニヤする。

ヒノリンに心を開いたアキラは心に平安を見出していた。

朝から散歩に出かけ・・・風景を画像にしてヒノリンに送信したのだった。

東京新橋の花街の芸妓たちが京都の「都をどり」にならって始めた「東をどり」の季節が近づいていた。

置屋の女将で元芸者の夢千代/伊久美(余貴美子)は夢乃や小夢(中西美帆)に「芸を磨け」と発破をかけるのだった。

ヒノリンは「またお話しましょう」と返信メールを送る。

薫はヒノリン親衛隊の一人として「ストーカーではないか」と問いかける。

ヒノリンが否定していると・・・親衛隊長の外科医・水島百合子(吉瀬美智子)が現れ、薫の息子のために画材をプレゼントする。

確認しよう。

ヒノリンは出会う女性すべてにほぼ愛される存在である。

幼馴染の百合子、専属看護師の薫、研修医の葉子・・・全員がヒノリンに片思い中なのだ。

しかし、恋愛を精神病の一種と考えるヒノリンはけして女性たちの熱き思いには答えないのだった。

だが・・・夢乃/相沢明良だけが・・・例外なのでは・・・と親衛隊メンバーは疑いを隠せないのである。

その頃・・・アキラには兇悪な母親・菊千代/相澤るり子(高畑淳子)から電話がかかっていた。

麻雀牌でピラミッドを作る毒婦ルリコ。

「ヒノとかいう医者・・・ひどいのよ・・・あたしに消えろなんて・・・言うの・・・それって死ねって言うのと同じじゃない・・・私とあんたを引き裂こうとしているのよ・・・ところでお金どうなってんの・・・一千万円早く用意してよ・・・じゃないとお母ちゃん・・・本当に殺されちゃうよ・・・ああああああ」

「お母さん・・・」

アキラの心は動揺する。

ユメノはアキラに囁く。

(だから・・・あんな医者・・・頼りにならないのよ)

(先生は関係ないじゃないの)

(あんな役立たず・・・信用できないわ・・・とりあえず・・・お金作んなきゃ・・・あたしにまかせな)

(ユメノ・・・)

アキラはヒノリンに電話をかける。

「ヒノリン・・・」

「はい・・・」

「アキラにかかわるなって言ったでしょう・・・これ以上、余計なことをするんなら・・・あんたをアタシが破滅させるわよ・・・」

「・・・」

ヒノリンの様子を見逃さない親衛隊員たち。

「先生・・・大丈夫ですか」

「問題ありません」

ニヤニヤする倫太郎だった。

そこへ特上寿司、三十人前が届くのだった。

「え・・・注文してないよ」

「でも・・・川上さんて方が」

「私・・・知りません」と葉子。

「まあ・・・良いでしょう・・・おいくらですか」

「九万七千五百円です」

「九万!」

ヒノリンの中に眠るコミカドが一瞬、覚醒するのだった。

葉子は精神科を目指したのも慧南大学病院を研修先に選んだのも・・・すべてヒノリンを慕う一心からのことであった。

日々、ヒノリンの講義の録音された音源を聞き、ヒノリンに捧げる論文を作成するのである。

そのために・・・ヒノリン目当てでやってくる患者に冷淡に対応することも辞さないのであった。

葉子・・・医者としてダメだぞ・・・。

そんな日野を訪ねてやってくる星野。

「私はストーカーに狙われています」

「身の危険を感じるのですね」

「はい・・・先生、助けてくださいますか」

「いつでも・・・連絡してください・・・お話しましょう」

「先生を信じていいんですね」

「はい」

ヒノリン、無敵のヒーローなみの対応だな。

しかし・・・星野からの助けを求める電話をとった葉子は・・・。

「日野先生をお願いします」

「先生はお忙しいので・・・私がご用件を伺います」

葉子・・・医者として本当にダメだぞ・・・。

伊久美は夢乃の不始末を円能寺に侘びる。

旦那としての直感でヒノリンの関与を疑う円ちゃん。

「いえ・・・そうではありません」

身内の恥なので・・・夢乃とるり子の関係については言葉を濁す伊久美だった。

そのために円ちゃんの頭の中で夢乃とヒノリンが乳繰り合う姿が渦巻くのだった。

資産家である円ちゃんにとって夢乃もヒノリンも飼い犬に過ぎないのである。

飼い主として交配については気を使う円ちゃんだった。

ある意味、円ちゃんは登場人物の中で一番クレイジーです。

一方、エクレア依存症のヒノリンの主治医・荒木重人(遠藤憲一)は発注の電話をする。

「エ・・・エクレアが切れた・・・」

「すぐ行きます」

ヒノリンと荒木は相沢明良の治療方法について話し合う。

「解離性同一症か・・・」

「基本人格のアキラよりもユメノの方が主人格として強い意志力を持っています」

「両者を統合するつもりか」

「はい・・・どちらも相沢明良のパーソナリティとして重要です・・・ユメノの強さとアキラの優しさ・・・それが理想の女性です」

「だれが・・・お前のタイプを言えと・・・問題は賭博障害の母親だな・・・」

「おそらく・・・母親のるり子と娘の明良は共依存の関係になっています」

「るり子とユメノは戦わないのか」

「今はアキラが母親を守ろうとして・・・アキラの願いをユメノが叶えようとするために・・・結局、母親が不純な利益を得るという連鎖でしょう」

「アキラが母親との主従関係を断ち切らないと・・・アキラとユメノの主従関係も断ち切れないわけか・・・」

「私は・・・ユメノとの信頼関係を構築したいと考えています」

「芸者が相手か・・・大丈夫か・・・相手は海千山千だぞ」

「医師として患者に向き合うだけです」

「そこまで言うのなら・・・俺は何も言わねえ・・・」

ユメノにヒノリンのデータを削除されたアキラは例によって日野家を訪問する。

「アキラさん・・・」

「先生・・・」

「まあ・・・家にお入りください」

そんな二人の姿を・・・自宅に押しかけようとしていた葉子は見ていた。

その心は嫉妬で燃えあがるのだった。

ヒノリンは・・・アキラに奇妙な経験があるのかを聞く。

「ものが消えたり・・・現れたりします」

「そうですか」

「八年前に・・・母親がやりなおそうと現れてから・・・そういうことが・・・」

「そうですか」

「でも・・・私・・・お金が稼げなくて・・・母親の借金を返すことがてきなくて」

「そうですか」

「そしたら・・・あの子が・・・囁いて・・・時々・・・私は消えてしまうのです」

「大丈夫・・・あなたは消えてなんかいませんよ」

「でも・・・私・・・何もできなくて・・・」

「そんなことありません・・・アキラさん・・・あなたは何も悪くないのです」

「・・・」

「私はアキラさんともう一人のあなた・・・仮にユメノさんと呼ぶことにします。二人の仲をとりもちたいと考えています」

「私と・・・あの子を・・・」

ヒノリンはアキラに白紙のノートを手渡す。

「ここに・・・感じたことを何でも書いてください・・・それを私はユメノさんに伝えます」

アキラは白い紙を見つめて微笑む。

深まりつつあるアキラとヒノリンの信頼関係。

しかし・・・借金に追い詰められたるり子は深夜に置屋を急襲するのだった。

応対する伊久美は親代わりの女将として狂暴な母親に立ち向かう。

「何しに来たんだい」

「母親が娘に逢いに来て何が悪い」

「警察を呼ぶよ」

「警察・・・あんた・・・私は娘とやり直したいだけなんだよ」

しおらしく泣き落としにかかるるり子。

「あんた・・・かわらないねえ・・・あたしにそんな手が通用するとでも・・・」

「そうかい・・・あんたにとっても大事な金づるだもんね・・・あの子は」

夢千代は菊千代の頬を張る。

「いい加減にしな・・・母親なら母親らしく・・・あの子の前から失せちまえ」

「いやだね・・・お金がいるんだよ・・・明良・・・聴こえているんだろ・・・母ちゃん・・・お前の好きな金平糖買ってきたんだよおお・・・・あははははははは」

耳を塞ぐアキラ・・・。

「いや・・・先生がだめって・・・だってお母ちゃんが困ってるじゃないか・・・だめ・・・ああ・・・もう・・・じれったいねえ・・・」

目覚めたユメノは・・・アキラの書いたメモを見ると・・・それを破き始める。

「なんだい・・・こんなもの・・・腹の足しにもならねえじゃないか」

夢乃/相沢明良は錯乱し・・・気を失う。

翌日、夢乃は置屋から姿を消していた。

アキラは病院にやってきたが・・・応対したのは葉子だった。

「あの先生は・・・」

「勝手に入ってこないで・・・先生はあなたの相手なんてしている暇はないのよ」

葉子・・・医者として完全にダメだぞ・・・。

一方、勤務中のヒノリンに妹からの急報が入る。

日野家の庭が荒らされ、愛犬の弥助がいなくなったというのだ。

「私・・・夢乃って芸者を追い返しました・・・星野って人にも冷たくしました」

「え・・・」

「先生が好きだからです」

「ありがとう・・・しかし、今の僕には君の気持ちに応えることはできない」

「・・・」

唖然とする・・・葉子を好きな研修医・福原大策(高橋一生)である。

ヒノリン、大策、葉子、百合子、まどかによる弥助捜索活動。

ついに公園で発見される弥助・・・。

そして・・・そこにはアキラもいた。

「なんてことするの・・・」と相手が心の病であると知りつつ・・・かみつく妹のまどか・・・。

「違います・・・夢乃さんではありません・・・」と葉子。「時間的に無理です・・・きっと夢乃さんはどこかで弥助を拾ったんです」

ヒノリンは置屋に連絡をとり、百合子とともにアキラを日野家に連れ帰る。

アキラはつなぎ合わせたノートをヒノリンに差し出す。

ヒノリンはアキラの身体に異常を発見し・・・百合子にアキラを預けるのだった。

百合子はアキラの全身に「裏切り者」と書かれた悪戯書きを優しく拭き消す。

その異様な光景に・・・アキラの病を感じる百合子。

しかし、アキラの言葉に女としての心が疼く。

「先生のお母さんですか・・・」

遺影を見てつぶやく・・・アキラ。

「そうよ・・・」

「先生・・・かわいそう・・・今なら・・・お母さんの病気を治せたかもしれないのに・・・」

「倫太郎・・・そんなことまで・・・夢乃さんに言う必要があったの」

ヒノリンを詰らずにはいられない百合子。

それは二人で共有している秘密・・・百合子にとって心の拠り所だったのに。

「それも・・・治療なの」

頷くヒノリンに・・・いろいろな意味で諦めを感じる百合子だった。

ノートに書かれたヒノリンの似顔絵・・・。

淋しさに満ちた幼いアキラの心象風景。

「アキラさん・・・今度・・・女将さんと診療室に来てもらえませんか・・・」

「・・・」

「あなたの心を医師として・・・治療したいのです」

「ここで・・・こうして逢うことはできませんか」

「これだけは忘れないでください・・・私はいつもあなたと一緒にいます」

「最後に・・・私は・・・先生に・・・ぎゅっとしてもらいたい」

「はい」

背中にまわした手を伸ばしてヒノリンはアキラの顔をじっと覗きこむのだった。

二人は微笑んだ。

アキラは幼女なので・・・ヒノリンがキスしなくても憤慨しないのである。

診療室に星野がやってきた。

担当するのは葉子だった。

「私は・・・日野先生に・・・」

「あなたは・・・日野先生が大好きなんですよね・・・」

「なによ・・・」

「わかります・・・私もそうだから・・・」

「なに言ってるの」

「先生は・・・毎日ひとつだけ・・・自分のいいところをみつけなさいっておっしゃった」

「・・・」

「そうすれば・・・いつか・・・自分の好きなところが一杯になる」

「・・・」

「あなたの手紙にあったでしょう」

「あれは・・・先生に・・・」

「私も・・・先生の言葉が大好き・・・完璧な人間なんていない・・・満点なんてとれなくても・・・合格点がとれたら万歳って言葉も好きだな・・・合格点もとれなかったらどうするんだってって思うけど・・・」

「・・・」

「私・・・子供の頃・・・すごくわがままで・・・友達がいない子だったの・・・先生の言葉を読んで・・・生まれ変わろうと思って・・・医者になって・・・先生に告白したけど・・・ふられちゃいました・・・」

「・・・」

「私・・・ストーカーみたいに・・・先生の家まで行ったりして・・・あなたと何度かすれちがってます」

「え」

「昨日もいましたよね・・・」

「・・・」

「あんなことしたら・・・不合格になっちゃいますよ・・・でも・・・あなたの気持ち・・・私には分かります・・・だから・・・私と一緒に・・・心の風邪を治しませんか」

「・・・最後に一度だけ・・・先生に合わせてください」

ヒノリンは姿を見せる。

「あの家は・・・生まれ育った大切な家です・・・そして・・・弥助は大事な家族です・・・あの家が汚され・・・弥助が行方不明になり・・・私はとても傷つきました。何か・・・そのことについておっしゃりたいことがありますか」

星野は項垂れた。

「星野さん・・・私とお話しませんか」

葉子は微笑む。

星野は幽かに頷いた。

ヒノリンは指導医として葉子にアドバイスをする。

「ストーカーの加害者には・・・被害者の心を傷つけてしまったことを自覚させるのが有効な場合もある。もちろん・・・逆効果の場合もあるが・・・星野さんの場合は立ち直りの一歩になると考えられる。星野さんには、何ら明確な理由や根拠なく人から攻撃され、利用され、陥れられるといった不信感を抱き、対人関係に支障をきたす妄想性パーソナリティ障害の疑いと・・・そういう病気を装った虚偽性障害の疑いがある。星野さんのストーカーの対象になってしまった私は治療者として適当ではない。君に担当してもらいたいのだ」

「がんばります」

胸を張る葉子だった。

そして・・・女将に付き添われ・・・アキラがやってくる。

「よく来てくれましたね・・・アキラさん」

「先生・・・ぎゅっとして・・・」

「いいですよ・・・」

ヒノリンはアキラの両腕に触れて・・・患者の顔を見る。

ニヤリとして・・・ユメノは顔をあげた。

ついに・・・ヒノリンとユメノの対決が始る・・・。

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