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2015年6月19日 (金)

永き混沌からの帰還(木村拓哉)ウェルカムバック(上戸彩)

自分というものをあなたはどんな風に感じるだろうか。

鏡があれば正面から見ると・・・映っているのが自分なのだろう。

鏡を見慣れていれば・・・おなじみの顔がある。

今、このブログの記事を読んで・・・頭の中に言葉か響く。

響いているのは・・・どんな声なのだろう。

自分の声だとすれば・・・それも自分の一部なのだろう。

周囲を見回せば・・・モニター画面の周囲に世界が広がっている。

室内ならば窓が見えたりもするだろう。

路上ならば頭上には宇宙が広がっている。

壁の向こうの景色を知っていればあなたは自分のテリトリーにいるのかもしれない。

おそらく足元では地球が回転しているに違いない。

果てしなく広がる世界の中心にいるのはきっと自分なのだろう。

そっと声を出せるなら囁いてみてもらいたい。

あなた自身の名前を・・・。

もしも・・・自分の名前を記憶しているのなら・・・。

自分が今、何を考えているか。

考えることができますか。

で、『アイムホーム・最終回(全10話)』(テレビ朝日20150618PM9~)原作・石坂啓、脚本・林宏司、演出・七髙剛を見た。銀河系の星の数ほどもある神経細胞は各所で興奮したり落ちついたりしながら明滅を繰り返す。感覚器から流れ込む情報は膨大で見たものをすべて記録していたらたちまちハードディスクは一杯になってしまう。瞬間の記憶を消去しつつ、断片をピックアップして注文した冷やし中華を眺める。紅ショウガ、錦糸卵、細切りのキュウリ、メンマ、叉焼、バンバンジー、ハム、クラゲ、グリーンアスパラ、ねぎ、もやし、トマト、カリフラワー・・・具を乗せすぎじゃないかと・・・あなたは一瞬、戸惑う。辛子は・・・辛子はどこなんだ・・・皿の縁に乗っているのか・・・それとも調味料セットの中にあるのか。皿の縁がズームされる。寄りすぎて皿の白だけが眼前に迫る。おい・・・カメラを引けよ・・・引いてんのか・・・どこだよ・・・ここは・・・辺り一面が真っ白で・・・何も見えない。ホワイトアウトじゃないか。すべてが白い世界。差し伸べた自分の手も白い。ここはどこだ・・・私は・・・誰だ?

「あなたも・・・仮面に見えた」

メグミ(上戸彩)の言葉がヒサシ(木村拓哉)の混乱した心に響く。

仮面なのか・・・ボクの顔も仮面なのか。

姿見の鏡面に映る・・・ヒサシの顔はたちまち・・・仮面に見える。

「あなたと結婚してから・・・私には・・・ずっとあなたが何を考えているか・・・わからなかったの」

「・・・」

「こわかった・・・あなたの気持ちがわからないことが・・・だって・・・私はあなたの妻になったんですもの・・・」

「・・・」

「話しかけても・・・あなたはいつも私と話すことが時間のムダみたいにおっしゃって・・・」

ヒサシは荒野に立っていた。

メグミが食事の支度を終えている。

夕食だ。しかし・・・今は投資の重要な局面なのだ。使えない部下からの報告は滞り、折り返しの連絡待ちが三件もある。テーブルについて・・・食事を味わい・・・妻と会話している時間はない。なにしろ・・・無価値だ。

「あなた・・・お食事は」

「そんなヒマはない」

漸く、使えない部下の一人から着信がある。

「何やってんだ・・・お前の情報待ちだって言っただろう・・・どれだけ損失増やせば気が済むんだよ・・・」

荒野の各所に炎が燃え上がる。仮面のヒサシは炎に身を焦がす。

だめだ・・・ここに・・・いたら焼け死ぬ・・・。

ヒサシは走りだす。しかし・・・どこへ逃げればいいのだ・・・白い荒野には・・・方角さえない。

「でも・・・生理が遅れて・・・検査で・・・赤ちゃんを授かったことがわかったの・・・」

メグミの声がする。

なんだ・・・ヨシオの話か。

「私・・・あなたに・・・報告した・・・あなたが喜んでくれると・・・思ったから」

職場は混乱していた・・・買収計画の進んでいた企業に他の買い手がついたのだ。

とにかく・・・状況を把握しなければならない。

「確かなのか」

「これから・・・病院に行って・・・」

「じゃ・・・はっきりしたら・・・また連絡してくれ」

「・・・」

「今、忙しいんだ」

どこからか風が吹いてくる・・・白い風が吹いてくる。

冷たい風。濡れる身体・・・。

ブリザードなのか。これはブリザードなのか。

ヒサシは叫ぶ。

(メグミ・・・助けてくれ・・・)

「メグミ・・・」

「でも・・・事故にあってから・・・あなたは変わった・・・」

「・・・」

「私・・・昔のあなたのこと・・・話したくなかったの・・・今のあなたが変わってしまうのが・・・こわかったの・・・」

「昔の・・・家路久に・・・」

「ごめんなさい・・・でも・・・それじゃあ・・・ダメなのよね・・・昔の久さんから・・・私が・・・ただ逃げているだけだもの・・・」

「すまない・・・考えられないほどのクズで・・・」

「だから・・・私は離婚届を単身赴任していたあなたに・・・送ったのです」

「・・・」

「すると・・・あなたは・・・離婚は嫌だとおっしゃって・・・」

「・・・」

「それから・・・電話を毎日・・・くれるようになったのです」

「・・・」

「一度会いたい・・・どうしても会って話をしたいとおっしゃって・・・」

「・・・」

「あの日・・・会う約束をしました・・・そして」

爆発だ。爆発だ。大爆発だ。

そして・・・暗闇。

動かない・・・身体が動かない。

苦しい・・・痛い・・・苦しい・・・だけど・・・声が出ない。

身体が焼けただれている。

身体が凍りついている。

白い。世界は白い。

(だれか・・・助けてくれ・・・メグミ・・・ここはどこなんだ)

シャララン。

鍵束の音がする。

鍵だ・・・鍵がある。

鍵で扉をあけたら・・・ここから出ていけるのか。

だけどここには扉がない。鍵穴さえない。

ただ・・・白いだけの世界。

仮面の女が食器を洗っている。

仮面の息子が玄関で囁く。

「またお母さんに内緒で遊園地にいこうね」

ヨシオ(髙橋來))の言葉が木霊する。

オカアサン、ナイショ、ユウエンチ。

オカーサンナイショオオオオユーーーーエンチーーーーーー。

「いってらっしゃい」

「いってきます」

どこに行くのだ。会社に。しかし・・・第十三営業部はもうないのだ。

お前だけは特別だ。

バーレーンに左遷されたのに・・・。

なぜ・・・特別なんだ・・・。

それは昔のお前が何かしたからだろう・・・。

昔の俺・・・なんでそんなにクズだったんだよ・・・。

一体・・・お前は何がしたかったんだ。

誰かに教えてもらいたい。

誰か教えてくれないか。

ここは・・・天国ですか・・・それとも・・・。

知っている顔がある。

白い部屋だ。しかし・・・ここには窓がある。

病院だからな・・・診療室だからな。

「また・・・あなたですか」

「事故に会うまえに・・・妻から・・・仮面をつけているみたいだと言われたんです」

あ・・・この人は医者だ。脳外科医の筑波良明先生(及川光博)だ。ボクの主治医じゃないか・・・。

「なるほど・・・それがショックで・・・鮮明な記憶となり・・・恐ろしいほどの暗示力を生みだしたのかもしれない」

「・・・」

「あなたに・・・奥さんやお子さんの顔を見せまいと抵抗している誰かがいるのかもしれない」

「誰かって・・・」

「あなたの中のもう一人のあなたですよ・・・昔のあなた・・・家庭を顧みなかった男の意地みたいな・・・」

「そんな意地を張ってどうなるんです」

「わかりません・・・私はあなたではないので・・・」

「不安なのです・・・昔のボクがもっともっとひどいことをしているような気がして」

「いいじゃないですか・・・もう昔のことですし・・・」

「そんな・・・」

「あなたは・・・愛されたいと思っている・・・でも・・・裏切られたらどうしようと怯えているのかもしれない」

「だから・・・自分自身のことを知らなければならないのです・・・そうでなければ・・・妻の気持ちもわからないし・・・」

「気持ちがわからない・・・まだわからないのですか・・・」

「だって・・・記憶がないのですから」

「また・・・忘れてしまったのですね」

「・・・何をですか」

「この記録ですよ・・・毎回お見せしてるのに・・・」

「・・・」

「あなたのリハビリの記録ですよ・・・」

「ボクの・・・リハビリ・・・」

「あなたは・・・事故の後・・・しばらくは身動きできなかったんですよ・・・それどころか・・・動けるようになるのかどうかもわからなかった・・・何ヶ月もリハビリしたんですよ」

「・・・」

「もちろん・・・指導したのは理学療法士ですが・・・なにしろ・・・あなたは身動きも意志の疎通もできなかったんです・・・常にあなたの麻痺した身体に刺激を与え続ける人間が必要だったんた・・・ほら・・・ごらんなさい・・・これはあなたを担当した療法士が撮影したものだ・・・あなたをマッサージしているのが誰だかわかりますか」

そこには仮面の女が映っていた。

「メグミ・・・」

「そうですよ・・・あなたの奥さんです・・・あなたの麻痺が融けるまで・・・あなたの奥さんがあなたを献身的に介護していたんです・・・」

「一ヶ月後には奥さん・・・腱鞘炎になっています」

「メグミ・・・」

「二ヶ月後には奥さん・・・腰を痛めています」

「・・・」

「わかりますか・・・傷だらけの奥さんの献身ぶりが・・・少なくとも・・・意識を取り戻したばかりのあなたには分かっていた・・・」

ビデオの中の久は呻いた。

「メグミ・・・ありがとう・・・愛している・・・メグミ・・・」

「そんな・・・」

「そうですよ・・・私はこれを何回もあなたに見せた・・・あなたが・・・奥さんの愛を疑うなんて・・・ありえないことだ」

「・・・」

「それなのに・・・あなたは・・・病室を出ると・・・それを忘れてしまう」

「このメモが・・・」

「誰を愛しているか・・・わからないって言うんでしょう・・・だけど・・・昔の自分がいつどこで誰を愛したか・・・なんて・・・今のあなたにとって何だと言うんです・・・」

「・・・」

「あなたの中の誰かが・・・名前を消したのかもしれない・・・自分が誰かを愛してることが許せない・・・あなた自身が」

「・・・」

「だから・・・ほら・・・あなたは・・・自分がメグミさんに愛を告げていることさえ・・・信じられないんでしょう・・・」

「昔の私はひどい男で・・・ウソくらい・・・」

「だって・・・この時のあなたは・・・事故の後のあなたなんですよ・・・今のあなたのスタートラインでしょう・・・」

「・・・」

信じるな。誰の言葉も信じるな。自分の言葉も信じるな。

良く考えろ・・・お前が誰かを愛してるなんて・・・。

そんなことがあり得るのか。

だれだ・・・お前は・・・ヒサシは叫んだ。

荒野の彼方に人影がある。黒い人影。笑う人影。

あれは・・・オレじゃないか。

目の前にサッカークラブのコーチ・本城(田中圭)が立っている。

恵の昔の恋人だった男。

「家路さん・・・私はあなたにどうしても言いたいことがあるんです」

「・・・」

「家路さん・・・あなたは・・・本当にひどい男でした・・・事故の後・・・あなたは・・・とても・・・マシになった気がする・・・でも・・・僕にはそれが信じられないのです・・・。あの頃・・・メグミはとてもやつれていた・・・まるで・・・毎日・・・暴力をふるわれているような哀しい顔をしていました。僕が知っている昔のメグミとは大違いだ・・・どうして・・・そうなったのか・・・みんなあなたのせいですよ・・・僕は何度も言いました・・・あなたと別れるべきだって・・・メグミも決心したのです・・・ところが・・・事故があって・・・あなたは変わった・・・でも・・・本当なんですか・・・あなたはウソをついているだけなんじゃないですか・・・また・・・メグミを苦しませるために・・・今は・・・イツワリの仮面をつけているだけなのじゃないかと・・・」

「・・・」

「どうなんです・・・家路さん・・・」

ヒサシはついに我慢できなくなった。

「なんでだよ・・・なんで・・・人の妻を呼び捨てなんだよ」

「あ・・・すみません・・・つい・・・昔の習慣で・・・」

「・・・しょうがないか・・・スポーツバカだもんね」

「すみません・・・スポーツバカで・・・」

「とにかく・・・今はそっとしておいてくれないか・・・」

「・・・許して下さい・・・少し・・・言葉が過ぎたようです」

「今の君が・・・メグミのことを好きだということは分かったよ・・・」

「・・・」

「つらいだろうな・・・好きな人が・・・僕の妻なんだから」

「今・・・意地悪してますか」

「ちょっとね・・・」

「・・・」

「ストーカーとかしないでくれよ・・・」

「だ、大丈夫です・・・メ・・・奥さんが幸せなら・・・それでいいのです」

「・・・僕にも・・・どうすればいいのか・・・わからないんだ」

「・・・」

男たちは見つめ合った。

女たちも見つめ合う。

恵は久の前妻・香(水野美紀)の病室にいた。

「ごめんなさいね・・・あなたを不安にさせて・・・」

「・・・」

「あの人・・・本当におかしいよね」

「・・・」

「これを手伝ってくれたんだ・・・」

香は遺作になるかもしれないインタビュー記事を見せた。

「優しくなっちゃったんです」

「びっくりだよね・・・」

「・・・」

「仮面か・・・なんだか・・・面倒なことなっているよね・・・」

「・・・」

「でもさ・・・夫婦だって・・・他人なんだもん・・・お互いの気持ちがわからないことだってあるんじゃないかな・・・」

「・・・」

「少なくとも・・・私も・・・結婚していた頃・・・あの人の気持ちなんて・・・よくわからなかった・・・」

「・・・」

「私・・・今度・・・新しい人と結婚するつもりなんだ・・・」

「え」

「ほら・・・バツイチだし、子連れだし・・・ガンだしで・・・いいのかよって思うけど・・・でも・・・彼・・・優しくて・・・だから・・・甘えることにした」

「・・・」

「だから・・・私のことは気にしないで・・・あなたはあなたの幸せだけを考えて・・・」

「私の・・・」

「そうでしょう・・・だって・・・これはあなたたち夫婦の問題なんだから・・・」

「香さん・・・ありがとう」

「えっへっへ」

恵は希望を感じた。

(そうね・・・いろいろあるけれど・・・あの頃より今はずっとマシだもの・・・)

恵の心に浮かぶ・・・家の組み立て玩具。

久が良雄のために組み立てた・・・模型の家。

昔の夫と今の夫は別人だ。

でも・・・どちらも家路久なのだ。

そして・・・恵は久を・・・。

久はサッカー場に立っている。

子供たちの声が風に乗って聴こえるが・・・姿は見えない。

「7対0だぜ・・・」

「ひどい点差だな」

「俺は言ってやったよ・・・サッカーなんてやめちまえって」

「お前は負けるのが嫌いだもんな」

「そうだよ・・・自分の息子が敗者になるなんて・・・我慢できない」

「お前だって敗者だろう」

「俺は勝者だったよ」

「誰も愛していないし・・・誰からも愛されていないのにか」

「その上・・・仕事もできないお前より勝ってるだろう・・・」

「虚しい勝利だな」

「お前には言われたくないよ」

「ああ・・・俺も自分で言ってて・・・しょうがないと思ったよ」

ヒサシは振り返る。

しかし・・・そこには夕暮れの街があるだけだった。

ガチャッと鍵の音がする。

自分の家の鍵と・・・これは貸倉庫の鍵・・・いや・・・玩具の鍵・・・。

ああ・・・トレジャーランドの宝箱の鍵か・・・。

あ・・・ボクとヨシオは・・・トレジャーランドに・・・。

メグミには内緒で・・・。

なぜ・・・どうして・・・。

ああ・・・貸倉庫だ・・・貸倉庫に・・・宝箱がある。

そこに・・・ボクは秘密を隠したんだ。

すべての秘密を・・・。

久は白い地面を掘った。

白い砂が山となり・・・宝箱が現れた。

金貨がザックザック・・・そして・・・この記憶媒体には・・・不正経理の証拠が記録されている。シンガポール支店で生じた損失を補填するために・・・企業買収の金額を水増しし・・・実態としての粉飾決算を行ったのは・・・当時のシンガポール支店長で・・・現在の葵インペリアル証券の社長である上王子悟史(沢村一樹)だ。

久は手掛けていた企業買収を利用された形だったが・・・そこは阿吽の呼吸だ。

久は保険としてこのカードチップを準備した。

当局の追及をかわすための擬装左遷にも応じたのだ。

だが・・・そんなことはどうでもいい・・・問題はこっちだ・・・。

あの日・・・久は・・・良雄を連れ出し・・・トレジャーランドで良雄の唾液を関東DNA鑑定センターの職員に採取させたのだ。

久は・・・良雄がわが子であることに疑いを抱いたのである。

学生時代からの親友・山野辺俊(田中直樹)と恵の性的関係への疑惑。

それは・・・久の人間不信の暗い情念の炎によるものだった。

久は誰も信じない。

しかし・・・鑑定の結果は・・・99.99%・・・父子・・・。

良雄はわが子だった・・・。

お前は・・・妻には内緒と言いながら・・・支払いにカードを使った。

明細書を妻に見られても平気だと思ったのか。

お前は・・・確かめずにはいられない。

どんなに傷つけても変わらぬ愛を・・・。

一体・・・お前は何がしたいのだ。

男は・・・妻を裏切るものだ。

男は・・・息子を捨てるものだ。

久・・・お前は馬鹿だ・・・お前は狂ってる。

うるさい・・・うるさい・・・うるさい。

俺は・・・お前を許さない。

どうする気だ。

お前を破滅させてやる。

はははははは・・・お前もやはり俺だなあ・・・。

久は恵に自宅の鍵を返す。

「久さん・・・どうして・・・」

「思い出した・・・僕は君の不貞を疑って・・・良雄のDNA鑑定を・・・」

「そうよ・・・それに気がついて・・・私は・・・離婚届を送ったの・・・」

「もう・・・僕は自分のひどさに・・・どうしていいのか・・・わからない・・・」

「久さん・・・私は・・・」

「僕は・・・自分の罪を清算するつもりだ・・・」

「久さん」

秘書室で合言葉を言う。

「ブラックプレジデントはエロ男爵」

「こちらへどうぞ」

秘書の西澤真理(佐々木希)は社長室への秘密の扉を開く。

「おやおや・・・ついに記憶がもどったのかね」

「あなたと私の不正の証拠をお返しします」

「さて・・・役員はどのポストにする・・・海外事業部担当はどうかね」

「それは・・・お断りします」

「なんだって・・・」

ヒサシは警視庁に向かう。

不正の証拠のコピーがあるのだ。

内部告発するのだ。

そんなことをして何になる。

何もかもハメツだ。

どうしてだ・・・。

俺はこんな世界大嫌いなんだ。

俺は自分自身がダイキライなんだ。

子供か・・・。

しかし・・・大人の第十三営業部の部員たちは・・・久の監視役だった・・・小机部長(西田敏行)を筆頭に・・・社長を裏切り・・・久が本質的に無罪であることを立証する。

久は無罪となり・・・釈放されてしまうのだった。

気がつくと久は・・・荒野の門の外に立っていた。

白い部屋の外に広がる・・・大都会。

(あははははは・・・無実の罪で捕まるつもりだったのに・・・無罪になっちゃった)

(ばかだ・・・おまえは・・・大間抜けだ・・・)

(報いだよ・・・自分を愛さなかった報いだ・・・)

ヒサシはあてもなく家路につく・・・。

サイレンの音が鳴り響く。

公園から見下ろす街。

立ち上る煙・・・。

「あ・・・家じゃないか」

マンションから黒煙と炎が見える。

(メグミ)

ヒサシは走りだす。

(ヨシオ)

消防車がヒサシを追い抜いて行く。

煙の中から・・・恵の両親が現れる・・・。

「お義父さん・・・お義母さん・・・」

「お隣から・・・出火して・・・あっという間に・・・」

「良雄・・・」

消防士が良雄を抱えてやってくる。

「お母さんがまだ・・・中にいる・・・お母さんを助けてよ」

久はマンションを見上げた。

「あ・・・待ちなさい・・・」

消防士たちの制止を振り切り・・・久は炎の中に飛び込んだ。

「メグミ・・・」

ヒサシは咳込みながらドアをあける。

「メグミ・・・」

床に倒れた恵がいる。

「メグミ・・・」

久は動かないメグミを抱きかかえる。

「メグミ・・・いやだ・・・一人ぼっちにしないでくれ」

久は煙の充満した廊下に出る。

「僕は・・・君を守りたい・・・」

炎が噴き出した。

「僕には・・・君しか・・・いないから・・・」

天井が崩れ落ちる。

久は恵を庇って瓦礫の下敷きになる。

燃えあがる・・・久の衣服。

「ごめん・・・め・・・ぐ・・・」

ヒサシの記憶は遠ざかる。

「いたぞ・・・ここに二人いる」

「要救助者・・・二名確認」

ヒサシは白い荒野に佇んでいる。

「ダメな奴だな・・・」

「父さん・・・」

「しっかりしろ・・・」

「僕は・・・何ひとつ・・・」

「これからだ・・・久・・・男は・・・いつだって・・・これからだって」

「父さん・・・もう無理だよ」

「ばか」

久は目覚めた。

病院の処置室。

「家路さん・・・わかりますか」

「ここは・・・」

「大丈夫ですよ・・・」

「恵は・・・」

「となりの処置室にいます」

久は飛び起きた。

「家路さん・・・ダメです・・・落ちついて・・・」

「恵・・・恵・・・恵・・・」

「大丈夫ですよ・・・奥さんも無事です」

久は転げ回った。

「恵・・・」

「久さん・・・」

恵が久の顔を覗き込む。

「恵・・・」

「久さん・・・」

ヒサシは仮面の妻を見上げる。

仮面・・・仮面ってなんだ・・・。

恵は・・・恵に決まっている。

「ろくでなしの男を愛してくれる・・・世界でただ一人の女神じゃないか」

めがみ・・・めがみ・・・めぐみ・・・めぐみ・・・。

懐かしい顔が微笑んでいる。

愛しい妻が泣いている。

久は恵を取り戻した。

(馬鹿だな・・・そんなに信じて・・・裏切られたらどうするつもりだ)

黒い人影がつぶやく。

久は囁いた。

(お前は・・・ただの臆病者なんだよ)

夕暮れの街。

夏が近づき・・・陽はまだ残る。

久は足取りが軽い。

家路は明るく照らされている。

そこには・・・愛しい妻と息子が・・・久を待っている。

「ただいま・・・」

「おかえりなさい・・・あなた」

「おかえりなさい・・・お父さん」

久は帰宅した。

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Ihhc010ごっこガーデン。愛の光に輝くマイホームセット。

アンナ全身全霊で・・・妻と子だけを愛するダーリン・・・だけどうっかりヒーローにもなってしまうダーリン。いいのだぴょん・・・ありのままのダーリンで・・・少しサービス過剰でも・・・だって・・・それはダーリンの宿命なのだぴょん・・・もう・・・妻のことが心配で心配で・・・無事な姿を一目見たくて・・・身悶えして・・・ついに仮面の呪いを打ち砕く物語・・・じいや・・・どうして・・・仮面はなくなったの・・・なになに・・・忍者が正気を取り戻すために自分の膝とかを手裏剣でグサッとさすみたいに・・・点滴の針とか・・抜きまくったからって・・・じいや~・・・それはちょっと違うと思うのぴょん

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コメント

「それはちょっと違うと思うのぴょん」
うんうん
きっと点滴の針を抜きまくったから恵の仮面がはがれたのですね。

キッドさま、毎回毎回レビューを楽しみにしていました♪
最後まで「面白かった~~」です。
最終回のレビューではあの「真っ白な世界」をあちこちに散りばめて下さりありがとうございました。

最終回にありがちな辻褄合わせな感じはありましたけど
そこは役者の力技と脚本・監督のコンビネーションで乗り越えてくれたなぁ。。。って。

テレ朝のドラマってシリーズ物にすぐしちゃう感じがして敬遠しがちでした。
ガチッとしたワンクールのドラマは苦手なのかな?と思っていました。
でも誤解でございました。
素敵な裏切りでした。

あの新居のうるさいくらいのプランターの花々。。。
これも「アリ」と許せました(*^_^*)

上戸彩さんが素敵な女優さんと認識したのはタイトルを忘れましたが
竹野内豊さんと共演した江ノ島水族館が舞台になっていたドラマでした。

木村拓哉と上戸彩。。。。
一緒にいるところをず~~~っと見ていたいなぁと思っちゃいました。
お腹の赤ちゃんが無事誕生して、早い時期での復帰を切に希望します。

(何度見ても泣いちゃうシーン)・・・何度も見たのか?
やはり恵の仮面が消えていく
恵の涙を拭い顔をなでる
オデコにキス
抱きしめる
体を離して恵の顔を確認する。。。。
この一連のシーンです。
どうしても泣けてしまいます。

次のクールのドラマでは何をレビューしてくださるのか?
その中に私が嵌まるドラマがあるのか?
ワクワクです。
最後までのレビューをありがとうございました(*^_^*)

投稿: まり | 2015年6月19日 (金) 10時01分

fullmoon☥☥✰☽✰☥☥まり様、いらっしゃいませ☥☥✰☽✰☥☥fullmoon

痛覚的覚醒説にご賛同いただきありがとうございます。

今日はお嬢様たちが
冷やし中華をリクエストなされているので
おつきあいください。
スープは醤油味とゴマダレ味がございます。

面白がっていただき恐縮でございます。

今後も御贔屓いただけるよう精進を重ねたいと考えます。

この脚本は
記憶の保全はなされている前提と考えますので
家路久の人格は最初から白の世界に
幽閉されているものと考えました。

ある意味、統合失調症の本人に代わって
かりそめのヒサシが・・・事故後に対応していたんですよね。

鍵によって・・・一歩一歩・・・
久は幽閉を解かれて行く。
しかし・・・ある意味、久の上位自我(良心)で
代行中のヒサシは
久に反省を促す。
久は・・・自分の非を認め
少しずつ更生する囚人のようなものですな。

愛する家族の顔を塀の内から
眺める久。

あまりにも遠すぎて仮面にしか見えないのでございます。

テレ朝には名作枠の金曜ナイトドラマがございますぞ。
再放送が滅多にないのが残念ですねえ。

おそらく・・・新家路家は・・・
日本のビバリーヒルズにあるのでございましょうねえ。

『流れ星』(2010年フジテレビ)ですね。
ブログ休眠中なのでレビューはありませんが
しっとりした佳作でしたな。

上戸彩はキッドのお気に入り女優ベスト10から
下に行ったことがないスター女優なので
スター同志、ナイスバランスの夫婦なのですねえ。

中盤で本来のオチであるメグミの涙を
見せてしまったので
仮面崩壊は必然でしたが
白い仮面に血の気が通い
ピンクになってから塵となって消失・・・
なかなかにファンタステイックでございましたね。
これは特撮ジャンルに入るので
キッドはそれだけでうれしくなるのでした。

仮面の向こう側はいつだってミステリアスでございます。

妻の顔が見えた時の
少年のような喜び様・・・
さすがでございましたね。

キラキラしてましたな。

仮面愛好家ならガッカリするところですが~。
変態かっ。

なんといっても次期は・・・夏ドラマでございますので
少し手抜き・・・余裕をもって取り組みたいと考えています。

まり様のお気に入りのドラマがあることをお祈り申しあげまする。sun


投稿: キッド | 2015年6月19日 (金) 21時57分

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