ふりそで刑事どえす(多部未華子)デイジーの花言葉は無邪気で平和なお人好し(大倉忠義)
ドラマの世界では庶民が優雅な暮らしをしている描写がある。
もちろん・・・タイアップなどの営業により・・・いつのまにか・・・リッチな生活空間になってしまうという本末転倒の事態もあるわけだが・・・やはり・・・スターに相応しい背景というものをスタッフが表現してしまうからだろう。
少し前のドラマ「若者たち」では貧乏を絵に描き過ぎて・・・普通の生活をしていたつもりの貧乏人の反感を買った惧れはある。
「アイムホーム」は資産家の娘と結婚したので設定的に問題ない。
「ようこそ、わが家へ」は銀行員の中流家庭なので許容範囲。
「戦う!書店ガール」は一人暮らしの女子が涙目になった可能性がある。
「Dr.倫太郎」は親から譲られた古い家に住む医師ということで納得できるだろう。
「アルジャーノンに花束を」はそれぞれの格差に応じた展開だがお嬢様の別荘などが許せなかった庶民もいるはずである。
そして・・・「ドS刑事」を代表するBARBER「代官山」の店舗と住宅。
醸しだされる昭和の香り。
夢も希望もない感じの佇まいがお茶の間に優しいのではないかと妄想するのだ。
そういうものが視聴率に反映していたら嫌だなあと感じる今日この頃である。
で、『ドS刑事・第10回』(日本テレビ20150613PM9~)原作・七尾与史、脚本・川崎いづみ、演出・山田信義を見た。今回、レギュラー・レビュー記事を書いている作品で唯一・・・淡々と10回を越えて行く本作品。しかも・・・このゆるい展開で前後篇仕立てである。なんでもありだなっ。今回は「無差別傷害事件」の前科者が「連続殺人」されるという足し算展開である。前提として・・・川崎青空警察署(フィクション)管内に何人もの「無差別傷害事件」の犯人が生活しているわけである。どんだけ、キレやすい住人が集まっている地域なんだよっ。川崎か・・・川崎の話なのか。まあ・・・あくまで神奈川県川崎青空区(フィクション)の話なんだよな。今回、本庁からゲストで榊礼子警視正(青山倫子)が現れる。本庁と言えば警察庁らしいが・・・川崎青空警察署を管轄するのが神奈川県警でもないのかよっ・・・まあ・・・そういうことでいちいちストレスを感じていると無差別殺傷を起こしかねないので注意したい。
まさか・・・脚本家・・・川崎市を東京都だと思ってるんじゃないだろうな・・・。
忘れなさい・・・あくまで架空の話なんだから・・・。
代官様こと代官山巡査(大倉忠義)は本間のおじさんこと本間巡査部長(佐戸井けん太)を父親のように慕っているらしい。
本間のおじさんは梅干しを漬けるのが得意なのである。
代官様の母・啓子(岸本加世子)は手土産の梅干しを喜ぶ・・・申し分のないフラグである。
代休をとった代官様は妹・かおり(瀬戸さおり)とともにホテルへ向かう。
黒井マヤ巡査部長(多部未華子)がお見合いし、緊急欠席したマヤの父親の代理として啓子が付き添うことになったのだった。
相手は外科医の西岡(尾関伸嗣)・・・。
結婚願望が強いらしい振袖姿のマヤはすまして・・・「あ・・・はい」の返答のみ。
「マヤさんは・・・どうして・・・刑事に・・・」
「もちろん・・・犯人をいたぶるためです」
ついに・・・本性を出すマヤだった。
そこで食い逃げ事件が発生する。
無銭飲食をした富樫(松浦祐也)は追跡したマヤと代官様を振り切るが・・・自警団のKDF「川崎デイジーフラッグス」に行く手を阻まれる。
KDFのリーダー・赤沢(小林且弥)は「警察に通報しても・・・無銭飲食では・・・すぐに釈放されるだけ・・・料金は我々が立て替えます・・・彼には罪を悔いあらためるように私たちが支援しますので・・・」とホテルの支配人を説得するのだった。
「地域の若者たちが自警団を組織するなんて・・・恰好いいですね」と相変わらず底の浅い発言をする代官様・・・。
「ふん」と鼻を鳴らすマヤ。
しかし・・・翌日・・・無銭飲食をした富樫は死体で発見されるのだった。
死因は胸部を鋭利な刃物で刺されたこと。
捜査を開始した川崎青空警察署の刑事たち。
何故か、刑事一課長・白金不二子(吉田羊)に従順な態度を示すマヤに・・・有栖川係長(勝村政信)は感動する。
「いつのまにか・・・あの面倒くさい黒井刑事を飼いならしたのですか」
「飼いならす・・・私はそんなことはしません・・・私は部下にそれぞれの信念に基づいた覚悟で職務を全うすることを望んでいます。私の仕事はすべての責任を取ることです」
「・・・上司の鑑ですね」
部下の刑事たちは有栖川係長にも訓示を求める。
「私は・・・君たちに自由に捜査してもらいたい・・・そしてすべての責任を・・・と・・・問う」
「なんじゃそりゃあ」
やがて・・・不審な白いワンボックスカーの目撃情報が寄せられるのだった。
しかし・・・第二の殺人事件が発生。
被害者の共通点は・・・「無差別傷害事件」の前科があるということだった。
「無差別傷害事件の被害者による復讐」の可能性を考える刑事たち。
しかし・・・マヤの直感は・・・KDFに疑いの目を向けさせる。
KDFの事務所を訪れたマヤと代官様・・・。
「あの後・・・彼をどうしました・・・」
「反省を促して解放しましたよ」
「一体・・・どういう権限で・・・」
「警察は事件が起こらなければ・・・動かない・・・いや・・・動けないでしょう・・・その隙間を我々が埋めるんです・・・自分たちの街の平和は自分たちで守るべきだから」
滔々と自説を述べる赤沢をマヤは蔑むのだった。
「よくわかったわ・・・あなたたち・・・警察ごっこが大好きなのね」
団員たちに浮かぶ憎しみの色・・・。
代官様はハラハラするのだった。
そして・・・マヤは本間のおじさんの梅干しをおいしくいただく・・・完全なるフラグである。
致命傷となった刺し傷は刺した後に「グリッ」と刃先を回転させている点も共通していた。
「グリッ」というイメージに恐怖を感じる代官さま。
「じゃ・・・グリグリならどうなのよ」
「もっとこわいです」
「ともかく・・・犯人はどSね」
「でも・・・止めを刺したら死んでしまうので早く楽になれるんじゃ・・・」
「なるほど・・・苦しみを長引かせた方がどSかもしれない」
不毛な話である。
しかし・・・今度は本間巡査部長が無数の打撲痕を残して殺害される事件が発生する。
マヤは・・・最近出所した・・・無差別傷害事件の犯人の一人が犯行現場の近くで働いていたことに注目する。
その男・・・高橋佳市(松本実)を逮捕したのは・・・他ならぬ・・・本間巡査部長だった。
「じゃ・・・本間のおじさんを殺したのはこいつ・・・」
公僕であることを忘れ私怨に燃える代官様・・・。
「飛猿・・・お前か」
「忍者じゃないよ・・・」
「じゃ・・・あずみか」
「妊娠中です」
しかし・・・高橋は服役後、本間の紹介で真面目に働いていたという。
その日・・・覆面をした男たちに拉致されようとした高橋を本間が救ってくれたらしい。
「何故・・・すぐに通報しなかった・・・」
「だって・・・こわくて・・・」
「・・・」
マヤは怒りに燃える代官さまに刑事としての職務を思い出させるために回転遊具にのせるのだった。
「回します」
「どうぞ」
「警察ごっこの好きな男たち・・・罪を償った元犯罪者たち・・・連続殺人事件と無差別傷害事件をつなぐのは・・・歪んだ正義心・・・」
「正義の心が歪んだら・・・正義ではないのでは・・・」
「その通りよ・・・罪を憎んで人を憎まず・・・刑事の基本よ」
「・・・」
二人は高橋を尾行する。
やがて・・・現れた自警団KDFのメンバーたち。
高橋は白いワンボックスカーで拉致される。
マヤは刑事たちに出動を要請するのだった。
「犯罪を未然に防ぐために害虫は殺す・・・それが正義だ」
高橋を監禁中の現場に踏み込むマヤ。
「ストーカーに見栄っ張りに負け犬に貧乏ゆすり・・・あなたたちはヒーローじゃなくてただの迷惑な人たちよ」
「ひでぶ」
仮面ライダー斬月に良く似た団員・貝藤孝(加門良)はナイフを振りかざす・・・。
しかし・・・意外なことに拳銃の名手だった有栖川はナイフを弾丸で弾き飛ばすのだった。
「耳がキーンとなりました」と代官様。
マヤのムチが犯人たちに炸裂するのだった。
しかし・・・主犯である赤沢は現場から姿を消していた。
貝藤孝たちは赤沢の指示を自供するが・・・「証拠はないでしょう」と嘯く赤沢。
そして・・・取調室に突然現れた榊礼子警視正は赤沢の身柄を本庁に引き渡すことを命ずる。
浜田刑事(八乙女光)たちは「赤沢が本部にいた」目撃情報を持ちかえるが・・・すでに赤沢の身柄は移送されていたのだった。
深刻な表情でシリアスに決める川崎青空署の刑事たち・・・。
今さら・・・そんなことをされてもな・・・。
とにかく・・・お腹を出さなかったマヤはノースリーブで肩を出すのだった。
サービスなんだな。
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