僕のことは嫌いでも家族は苛めないでください(相葉雅紀)能天気家族の憂鬱(有村架純)犯罪の影に女ありですか(沢尻エリカ)
邪悪なものとの戦いは悩ましいものだ。
どのくらい邪悪なのか・・・見当がつかない場合はなおさらだ。
法の番人である警官も反社会組織からの組織的復讐には弱者となる。
弱者の味方である弁護士も反社会組織に家族ぐるみで埋葬される可能性はある。
路上喫煙を咎めて刺されたらどうしようと思うのである。
そういう様々な事例が人々の正義の心を呪縛する。
見て見ぬフリはけして悪とは言えないのだ。
一方、常に少数である社会的な勝者は・・・常に敗者たちのリンチを考慮しなければならない。
「恋人を裏切るなんて人として間違いだ」なんてもっともらしい口実で制裁されてしまう可能性があるのだ。
悪からも善からも・・・常にあなたは狙われている。
人生一寸先は闇なのである・・・くれぐれもご用心なのである。
まあ・・・悪魔は本当は・・・あなたのことなど・・・何があっても・・・ニヤニヤ見守るだけですが。
で、『ようこそ、わが家へ・第9回』(フジテレビ20150608PM9~)原作・池井戸潤、脚本・黒岩勉、演出・谷村政樹を見た。心の闇が花開く春ドラマも終盤戦である。(月)はストーカーという犯罪者が主題となっているのである意味一線を越えている・・・ストーカーの動機には心の闇がつきものだが・・・大きな声では言えないが被害に遭う人にも何か・・・心に問題があるのではないか・・・というような主張が醸しだされている。善人であることはすでに邪悪なことだと言う話である。基本的にはそれを言ったらおしまいなのだが・・・そういうことを仄めかすことができるのがドラマというコンテンツの魅力なのである。(火)は格差社会においての人間の階級化の問題も含んでいる。同じ能力に生まれたものが家柄によって獲得できる幸福に差が生じる。平等でないことの認識によって生じる心の闇が根底に流れているという話・・・そうなのかよっ。(水)は心の病気のお医者様の話だが・・・もちろん・・・本人が心の病人なのである。(木)は記憶障害者の話だが・・・実は心がもとめているものと実際に手に入れるものとのズレの話である。(月)は外から壊される話だが・・・(木)は内から壊れて行く話である意味対極的だ。「いらっしゃい」と「ただいま」の落差ね・・・。「ただいま」と言って「いらっしゃい」と応じられた時の違和感なんだよな。(金)は心なんていうものが本当にあるのかという恐ろしい話である。(土)は難しい話はやめて・・・心のままに生きようという最も愚かな結論が癒しなのだということである。まあ・・・すごい・・・春の心の嵐です。
ああ・・・ついに相葉雅紀のドラマを完走できそうだ・・・しかし、油断は禁物だ。来週、放送がなかったり、PCがぶっ壊れたり、地獄から召喚状が届いたりするかもしれからな。
祈りましょう。世が事もないことを・・・自分だけは幸せでありますように・・・と。
呑気な息子・健太(相葉雅紀)は・・・母親の浮気の証拠写真を倉田家に送り付けたかもしれない民子(堀内敬子)の家にのほほんと家庭訪問を実行。そして民子の庭で盗品の宝石箱を発見し・・・突然、危険を感じる。
いや・・・最初から危機感をとお茶の間はため息をつくもの続出である。
そして・・・史上最強の能天気主婦・倉田珪子(南果歩)は自宅に民子を招きいれていた。
民子は能天気な珪子の脳に打撃を加え・・・昏倒させる。
そして灯油をばらまき・・・ライターに火をつける。
それから・・・健太の帰宅を待つのだった。
何故・・・待つのか不明だが・・・明らかに主人公に配慮して待機だよな。
「おまたせ」
「待ちくたびれちゃった」
「母さん・・・しっかり」
「私を見なさいよ」
「ええと・・・撒いたのは灯油ですか・・・ガソリンですか」
「よく・・・わからない・・・」
「待っている間・・・ライターつけっぱなしだと・・・気化して引火して大爆発ですよ」
「いいのよ・・・この能天気ワールドにはそういう物理現象は無関係なの」
「どうして・・・こんなことを」
「待って・・・今、バカ女が目を覚ますから」
「はい・・・バカ女って誰ですか」
「母さんだよ」
「えええええ」
「この人・・・イライラさせられるでしょう」
「生まれてからずっとなので・・・よくわかりません」
「じゃ・・・しょうがないわね。私、夫が失職して出奔して・・・セレブじゃなくなったのに・・・この女にいつもイライラさせられて」
「すみません・・・母さんも謝って」
「よくわからないけど・・・ごめんなさい・・・」
「盗聴マニアの講師のことは前から知ってた。私は時計を調べたから。逆に講師を脅して手下にしたの。とにかく生活費を稼ぐ必要があったので空き巣に入ったのは私、倉田家がストーカー被害にあっているのを知って・・・もっと苦しめばいいと思った。それで無言電話とかいやがらせしてやったのよ・・・それなのにこの女・・・能天気にも程があるわ・・・何があってもヘラヘラしちゃってさ・・・」
「僕は・・・浮気写真で傷つきましたけど」
「それが普通でしょう・・・この女ときたら息子が刺されて障害者になっても笑って陶芸教室に通い続けるてヘラヘラしてるのよ」
「・・・」
「だから・・・犯罪者にしてやろうと思ったのに・・・」
「そんな・・・私のことは嫌いになっても・・・倉田家は嫌いにならないでください」
「死ねっ」
しかし・・・主人公だけに許される出火前の馬鹿力で民子のライターを叩き落とすことに成功する健太だった。
「母さん・・・警察に電話して・・・」
「え・・・なんで・・・」
「か・・・母さんのばかああああああああああ」
仮釈放された身分で留置中の民子に面会が許されたらしい波戸(眞島秀和)・・・。
共犯者なのにかっ。
「何しにきたのよ・・・」
「僕は・・・あなたの作品が一番だと思います・・・珪子さんは銀賞レベルだけど・・・あなたは金賞です・・・私は金賞の女が好きなのです・・・あなたこそ私にふさわしい」
「変態に言われたくないわ」
「芸術家というものは・・・基本的に変態なのです」
「・・・」
「私はすべてを失いました・・・しかしあなたは失いたくない」
「お似合いの二人オチかよっ」
「怪盗夫婦ってどうですか・・・」
「企画、通らなそう・・・」
地方局のアナウンサー試験から帰宅した七菜(有村架純)は兄や名探偵・神取明日香(沢尻エリカ)とともに・・・油臭くなった家の消臭に励む・・・リキか・・・リキのステマかっ。
「試験どうだった」
「次は最終面接よ」
「じゃ・・・サプライズパーティーしなくちゃ」
「・・・」
明日香は能天気に慣らされた倉田家の兄妹を憐れむのだった。
一方、能天気な妻の無能な夫・太一(寺尾聰)はナカノ電子部品で窮地に立たされていた。
真瀬部長(竹中直人) がさがみドリル社から仕入れイーグル精密機械社に売却した件で、イーグル社が倒産し・・・三千万円の手形が不渡りとなったのである。
その件で・・・持川社長(近藤芳正)は太一の責任を問う。
「報告書をあげました」
「そんな報告書知らん」
「え・・・」
報告書は消えていた。
その件で・・・三千万円の損失がすべて太一の責任であったかのように指弾する真瀬部長。
そして・・・何故か、謝罪する太一だった。
その後で・・・総務部契約社員のシルビア/西沢摂子(山口紗弥加)にしめあげられた太一の部下・高橋(橋本稜)は報告書を真瀬部長に渡し・・・回収した真相を白状する。
えええ・・・太一・・・総務部長なんだから・・・なぜ、直接社長に言わない・・・などというお茶の間の叫びはスタッフには届かないのだった。
とにかく・・・まだ最終回ではないのだった。
高橋さえ・・・責めない太一の臆病ぶりに・・・部下の一人・若葉(田中美麗)は絶句する。
さらに・・・ドリルの本当の納入先が現れ・・・事件の真相は最終回に持ち越される。
一方で・・・青葉銀行の人事部長代理八木通春(高田純次)はナカノ電子部品から出向者の変更の打診があったことが伝えられる。
出向とは言え、一種の再就職である・・・そこから返品されたとなると太一の銀行での立場はあってないようなものなのである。残された選択は・・・早期退職しかないのではないか。
思わず愚痴る夫に・・・敏感に反応する妻。
「あなたが仕事の話をするなんて珍しい・・・」
仕事を家庭に持ち込まないでと言わんばかりの能天気さである。
そして・・・珪子は何故か・・・昔、三角関係だったという八木とホテルで密会するのだった。
まあ・・・思わせぶりだってわかっているが・・・波戸の件から・・・何も学んでいない珪子なのである。
父と子をつなぐ絆であるシルビア/西沢摂子は健太に「愛人疑惑の写真」を持ちこむ。
蟹江タウン誌編集長(佐藤二朗)の活躍で・・・いきなり・・・撮影者であると断定される平井配送課長(戸田昌宏)・・・。
しかし、犯行の理由は・・・「西沢さんが好きだからあ・・・」である。
シルビアと太一の仲を裂こうとしたらしい・・・まあ・・・本当にどうでもいいぞ・・・。
結局・・・すべては・・・初期の名無しさんの犯行にヒントを得て・・・名無しさんになりすましたものたちの犯行だったのである。
その原点は・・・健太の割り込みをしたニット帽の男に対する注意。
さらにその原点は・・・太一の無法者に対する謝罪だった。
しかし・・・健太はそのことで父親を追及する気持ちはない。
「何かを守りたいと思ったら・・・人は・・・余計なことをしなくなる」というのが正解と考える遺伝子が流れているからだ。
結局・・・未解決の名無しさんの犯行は・・・。
①健太を追いかけて怖がらせる
②花壇を荒らす
③また花壇を荒らす
④自転車のサドルを破損させる
⑤ゴミを漁って健太の仕事を妨害
⑥倉田家を監視してショートホープの吸い殻を遺棄
⑦ガスをポストに
⑧FAXで怪文書
・・・であるらしい。
健太は決着をつけるために・・・駅で名無しさんを張り込む。
そして・・・ついに発見するが・・・直接対決である。
写真を撮るとか・・・住所を割り出すとか・・・そういう発想はまるでないのだった。
ニット帽の男を問いつめた健太は逆襲され・・・階段から転げ落ちる。
通行人たちは見て見ぬふりをするのだった・・・。
しかし・・・主人公の特殊な不死身の力でかすり傷しか追わない健太だった。
そして・・・お茶の間だけが知る・・・ニット帽の男の「MH」のアクセサリー。
そのアクセサリーを持つ男と親密な交際をしていたらしい明日香。
明日香にとって・・・健太は・・・MHの男を釣るための餌に過ぎなかったのか・・・。
「倉田家嫌がらせ事件のすべて」の出版を企画するらしい明日香・・・。
その・・・狙いは最終回待ちである。
そういうこととは露知らず・・・父と子は対話する。
「父さん・・・大変だけど・・・がんばれよ」
「お前もな・・・」
いや・・・せめて・・・二人で力を合わせろよ・・・基本的に無力なんだから・・・。
そして・・・家に落書き事件発生である。
防犯カメラ・・・どうなった・・・。
2015年度倉田家嫌がらせ事件容疑者ランキング
①位 ニット帽の男(真の名無しさん・・・体型的にO氏がS氏か明日香の恋人ならM氏かN氏は大穴だな)
②位 明日香(今回出番薄め)
③位 七菜(今回出番不足)
④位 通りすがりの人(未登場)
⑤位 健太の中学時代の同級生(未登場)
⑥位 倉田夫妻(夫婦で楽しむ自虐プレイ)
⑦位 青葉銀行人事部長代理(高田純次)
⑧位 蟹江タウン誌編集長(サングラス不法所持)
⑨位 銀行員(小市慢太郎)
⑩位 ガス(にゃんこ星人)
名無しさん殿堂入り
コピーキャット万里江(逮捕)
盗聴マニア波戸(逮捕)
怪盗有閑マダム(逮捕)
文書窃盗犯(野放し)
怪文書送信犯(野放し)
野瀬部長(野放し)
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