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2015年6月15日 (月)

彼方なる峯の白雲・・・夕暮れに・・・見れば哀しも世の事思ふに(井上真央)

幕末の情感というものが維新までにいくつかのピークを迎えるとすれば・・・文久四年と元治元年にまたがる1864年はひとつの重要な頂きを形成していると言えるだろう。

風雲急を告げた文久年間の終焉と・・・ついに幕をあける幕末戦乱の予感。

京都を追放された長州藩を始とする尊皇攘夷派の志士たちは・・・反乱分子として都に潜入、潜伏する。

治安活動の任にあたる新選組を始とする取締諸隊が台頭し公武合体派の意を受けて都で詮議をする。

人斬りたちは攻守所を変え闇に身をひそめる。

一触即発の緊張感である。

クロフネによる侵略の恐怖に怯えるものとそれを受容しようというものの駆け引きはついに全国津々浦々に伝播している。

関東では天狗党が挙兵し、長州には四カ国艦隊来襲の時が迫る。

出入りの禁止された京都へ・・・長州藩士たちはかっての同志を頼り出没する。

人々の心は・・・朝廷と幕府の間で・・・鎖国と開国の間で・・・戦争と平和の間で振り子のように揺れるのだ。

長崎、下関、萩、三田尻、大坂、淀、京、江戸・・・男たちは海路、陸路を通じて往還を繰り返す。

天涯孤独の男・・・久坂玄瑞が・・・旅の途中で夕暮れに峰にかかる白雲を見る。

そこに見出したのは・・・明日をも知れぬ我が身か・・・。

それとも・・・一人・・・家を守るただ一人の家族・・・二十歳を過ぎたばかりの妻か。

そして・・・思うようにならぬ世のことを嘆きながら・・・けして家路にはならない旅を続ける玄瑞。

東へ西へ。

まさに・・・志士達の心が燃える幕末の京都へ・・・。

そして・・・旅の空から・・・玄瑞は文に手紙を書くのである。

「本当に歌にもならぬ・・・つまらないことなのです・・・急ぐ旅なので野宿をいたします・・・草枕などをしていると風で目が覚めます・・・朝の風は冷たいのです・・・月光は清いけれど秋風は寒いのです・・・」

それが最後の秋になるとは知らぬ身なのである。

で、『燃ゆ・第24回』(NHK総合20150614PM8~)脚本・大島里美、演出・橋爪紳一朗を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は添役だった益田氏の支流の周布政之助に実権を奪われて地方回りの後、返り咲きを狙って暗躍する祐筆・椋梨藤太の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。権力闘争に敗れて左遷された後・・・消息不明だったのが残念ですな。いわば・・・椋梨藤太は実直な苦労人で・・・あくまで藩という国家の安泰を考えていたとも言える人物。村田清風や坪井九右衛門などが登場しないので・・・藩政における派閥の対立がもう一つ曖昧なのが辛いところでございます。長井雅楽がいつの間にか切腹もせずに退場したりと・・・見せ場を作る気がない・・・あるいはそういう部分に興味がないというテイスト・・・フラストレーションがたまります。ここからは・・・椋梨藤太は悪役に徹すると思いますが・・・反対勢力一掃の密談を立ち聞きするのはやはり文がくのいちだった証拠と割り切るしかありません。まあ・・・妄想の文は立ち聞きの必要のない女ですけれども~。とにかく・・・ここからは椋梨藤太が藩内政治の演技者の要として夫人とともにドラマを引っ張ってくれたらいいなあ・・・と祈る今日この頃でございます。たとえ・・・主軸は深夜アニメ風大河ドラマだったとしても・・・。

Hanam024文久三年(1864年)九月、新撰組を拝命した壬生浪士は主導権を巡って水戸派と試衛館派が対立。試衛館派の近藤勇水戸派の首領・芹沢鴨を暗殺し、主導権を握る。水戸派は次々に粛清され、土方歳三・沖田総司・山南敬助ら試衛館派が主流となり、年の瀬には近藤勇を頂点とする新選組が成立する。十二月、朝廷は参与会議を設置し、幕府と雄藩諸侯による公武合体政治を模索する。都落ちした三条実美らは警護に当たる遊撃隊首領・来島又兵衛らを扇動し、武力をもって京都に進発し長州の無実を訴える進発論を提唱。京都に残留した久坂玄瑞は情勢判断から進発派に自重を指示。文久四年一月、進発のための偵察目的で高杉晋作は脱藩し京都に潜伏。文久四年(1864年)二月、元号は元治に改元される。将軍徳川家茂の二度目の上洛。幕府と朝廷は横浜港の閉鎖をめぐり対立する。京都における幕府と薩摩の軍事力の優勢を説き桂小五郎が高杉晋作を説得、帰藩を促す。元治元年(1864年)三月、フランス公使ロッシュ横浜着。関東で水戸藩尊皇攘夷派の天狗党が反乱を開始。高杉晋作は帰藩し萩城下・野山獄に投獄される。

京都からの追放を命じられた長州藩士は連絡のための藩屋敷に留守役を残し、大坂藩屋敷に撤退する。しかし、情勢を探索するために池田屋、吉田屋など懇意の旅籠や料亭などに拠点を構築していた。

久坂玄瑞と桂小五郎は京都市中に潜伏し、大坂藩屋敷の家老・益田親施と連携する。藩主の嫡子・毛利定広は謹慎を命じられ、長州藩で唯一残った軍艦・癸亥丸に乗船して瀬戸内海を西に向かっている。

大破した庚申丸は復旧工事中である。

このために・・・長州軍の海路往還は一便となっている。

進発派の暴発を抑えるために高杉晋作は廻船に乗り込み、大坂藩屋敷に入る。

この時の独断行為が脱藩行為とみなされるわけである。

下関、三田尻、萩、山口に分散した藩政は混乱し、連絡系統は乱れている。

高杉は・・・京都の反長州勢力の実力を視察するために洛中へと歩を進める。

潜伏中の長州忍びたちは薄氷を踏む思いで高杉を迎えた。

四条通りの呉服問屋・岩国屋が会合場所である。

京都に潜伏中の久坂玄瑞、吉田稔麿らは夜陰に乗じ、市中警戒の目を逃れ、町人に変装して会合場所へと向う。

しかし・・・京都を制する公儀隠密の諜報網はその動向を補足していた。

久坂らは泳がされていたのである。

だが・・・手柄を求める新撰組隊士たちは独自の捜索を展開していた。

夜回りをする新撰組のネズミたちは・・・路上の久坂玄瑞に目を光らせる。

通報を受けた沖田総司は二人の部下とともに・・・洛中の派出所を出る。

「そこのもの・・・またれよ」

「なんでしゃろ・・・」

「このような夜分にどこへ行く」

「遊郭に遊びに行かれた旦那様のお使いで店に戻りますのや」

「店の名は・・・」

「三条の増田屋でおます」

「ふ・・・長州の田舎侍にしては・・・京言葉が上手なこった」

「・・・」

「おめえの顔は見かけたよ・・・長州の久坂だろう」

「なんのことやら・・・わかりまへんな」

「ちょっくら・・・顔かしてもらおうか・・・おいら聞きてえことがあんだよ」

「ふん・・・新撰組は田舎者揃いと聞いたが・・・訛りが強くて何を言ってるかわからんな」

「ふん・・・江戸から見ればそっちが田舎っぺなんだよ・・・あんた医者坊主なんだろう・・・おいらはこれでも白河藩のれっきとしたお武家様だぜ」

「・・・」

「で・・・どうする・・・大人しく・・・ついてくれば・・・悪いようにはしねえよ・・・京都から出て行ってもらうだけだ・・・あんた・・・やっとうの方はからきしだろう・・・」

北辰一刀流の免許皆伝である沖田総司は幽かに殺気を見せる。

その時路地から白い手がのびた。

「玄瑞はん・・・こちらへ・・・」

玄瑞は誘われるようにフラリと身体を揺らすと・・・その姿が闇に消える。

「お・・・」

面妖な成り行きに沖田総司は緊張する。

目の前から一人の大柄な男が消え失せたのである。

「こりゃ・・・あやかしか・・・」

月光が冷え冷えとした京都の街に注いでいる。

沖田は気配に気がついた。

前後から二つの人影が近付いてくる。

「気をつけな・・・なんか・・・くるぜ」

「・・・」

隊士の一人は早くも抜刀する。

現れたのは忍び装束の女だった。

「くのいちか・・・」

前方のくのいちが棒手裏剣を投げる。

沖田は抜き打ちで手裏剣を打ち返した。

「ぎゃっ」

背後で隊士の声が上がる。

うつ伏せに倒れた隊士は後方のくのいちの棒手裏剣を背中で受けていた。

残った隊士は後方のくのいちに切りかかるが一撃をかわされた時には首が虚空を待っている。

「おりゃ」

沖田は一気に前方のくのいちへと距離をつめ、必殺の突きを放つ。

しかし、くのいちは路上の塀へと飛びあがっていた。

「ほほほほほ」

背後から飛来した棒手裏剣を叩き落としながら、沖田は距離をとった。

二人のくのいちはすでに塀の内にある樹木に身を移している。

「さすがは・・・新撰組一の美男子・・・男前の上に剣の腕も見事どす」

「なんだよ・・・つれねえな・・・顔ぐらい見せな」

「ほほほほほ・・・今は名乗るだけにしておきましょうぞ・・・妾は綾小路・・・」

「妾は錦小路・・・」

「今宵は・・・これにて・・・」

「待ちやがれ」

身を翻したくのいちたちは闇に消えていた。

路上には茫然とした沖田と・・・二つの隊士の骸が残るばかりである。

「こりゃあ・・・京の都ってやつは・・・あなどれねえな」

文は沖田から玄瑞に心を移した。

玄随は辰路に手を引かれ・・・約束の店に向かっている。

どうやら・・・闇にひそむ・・・都のしのびは・・・今は長州に味方をする気らしい。

文は今度こそ・・・辰路の上忍を突きとめようと心を澄ます。

関連するキッドのブログ→第23話のレビュー

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