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2015年7月31日 (金)

悪には悪の報いを(北川景子)ただいま休養中(川口春奈)誰にも裏の顔がある(中村ゆり)

制度は人によって人を何かから守るために作られる。

その何かが人である場合がある。

組織もまた人によって人を何かから守るために作られる。

もちろん、その何かが人である場合もある。

戦後70年、国民を守ってきたのは制度であり、組織である。

その何が欠けると人は人を守れなくなるのだろうか。

人は嘘をつく。

「憲法九条だけが日本国民を戦争の脅威から守ってきた・・・」

そんな馬鹿な話はない。

今日も気が狂ったとしか思えない議員の広報車が走りまわる東京の夏。

核の脅威に対して・・・憲法九条が何の役にもたたないことだけは間違いないだろう。

仮想敵国との交友関係を改善しつつ・・・いつでも殴れる拳を準備することは・・・心がけというものだ。

で、『探偵探偵・第4回』(フジテレビ20150730PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・石井祐介を見た。警視庁の委託業務についてしかるべき地位を狙う悪徳探偵・阿比留佳則(ユースケ・サンタマリア)は日銀総裁の孫娘・吉池梨央(玉野るな)の狂言誘拐を企てる。探偵社「スマ・リサーチ」の対探偵課員・紗崎玲奈(北川景子)は阿比留佳則の悪事を妨げようとして「妹を殺した男の生存説」という餌に釣られてしまう。

助手の峰森琴葉(川口春奈)が瀕死の重傷を負わされ・・・玲奈は冷静さを取り戻す。

「スマ・リサーチ」の須磨社長(井浦新)は探偵一同に玲奈のバックアップを命じるのだった・・・。

肥大した警察組織は汚れ仕事を民間業者に委託する方針を採択していた。

複雑化する犯罪に対応するための処置というのは口実で・・・不祥事に対する警察幹部の保身が主眼である。

警察上層部の意を受けた現場は幼稚園児のように・・・指導的立場を確保した私立探偵・阿比留に引率され、誘拐犯人の潜む廃工場へ到着する。

愛知県警の嘱託医でありながら・・・阿比留に金で買われた女・矢吹洋子(高岡早紀)も同行する。

しかし・・・阿比留の計画のすべては「スマ・リサーチ」の探偵たちに盗聴されていたのだった。

探偵たちは基本的に手段を選ばないのである。

廃工場の暗闇から現れた玲奈は・・・。

「これは琴葉の御礼」と矢吹洋子に鉄パイプで容赦ない一撃を加えるのだった。

目の前での暴行傷害事件に唖然とする警察官一同。

玲奈は通り魔のように闇に消える。

「追え・・・」

「お待ちください・・・ここは人質の人命が第一です」

あらかじめ・・・仕込んだ救出劇の段取りが狂うことを恐れる阿比留。

しかし・・・阿比留を敵視する捜査一課の窪塚刑事(三浦貴大)は指示を無視して玲奈を追いかける。

地下室で破損したPCを発見して、データを復旧し、監禁場所を特定する。

阿比留の仕掛けた構図は・・・PCが破損していないことで・・・もろくも崩れるのだった。

(先回りされたか・・・)

動顛した阿比留は刑事たちを残し・・・人質の監禁場所に向かう。

しかし・・・そこには玲奈が待っていた。

「また・・・君か・・・」

「あなた・・・苛められっ子だったそうね・・・その結果、盲目的な権力欲の亡者になったんでしょう」

「おいおい・・・全国の苛められっ子が怒りの投書を君宛てに贈り付けるようなことを言うなよ」

「苛められてもたくましく育つ子もいるわよ」

「・・・いくら・・・悪人だからっていきなり鉄パイプで殴ったりしちゃダメだよ」

「いくら善人だからって・・・いきなり自白剤を注射されたら抵抗するのよ」

「とにかく・・・ここに・・・誘拐された子供がいるんだから・・・助けてしまおう」

しかし・・・監禁場所には吉池梨央を抱えた窪塚刑事が立っているのだった。

「話はすべて・・・録音した・・・お前は終わりだ」

「ひでぶ」

「観念しなさい」

「苛められっ子は・・・用心深いんだよ・・・こういう時のために・・・爆弾を仕掛けている」

「・・・」

「死ね」

爆発する現場。

阿比留は逃走する。

しかし・・・玲奈の生命力が爆発力を上回るのだった。

吉池梨央と窪塚刑事の無事を確認した玲奈は追跡を開始する。

「お前・・・凄いな・・・俺の部下になれ・・・給料は・・・二倍・・・いや三倍出してもいい」

「お断りよ」

玲奈は阿比留を階段から蹴り落とすのだった。

「痛いな・・・」

「・・・」

「これで・・・勝ったと思うなよ・・・俺は闇の中から・・・何度もはい上がってきた男だ・・・」

「あんたが・・・死神なの」

「・・・違うよ」

玲奈は直感で・・・それが嘘でないことを見抜くのだった。

もしも・・・阿比留が死神なら・・・玲奈を傷つけるためだけに・・・真実を話すからである。

警察上層部は真実を隠し・・・誘拐事件の幕を引くのだった。

一ヶ月後・・・一命をとりとめた琴葉の病室の前に佇む玲奈。

しかし・・・病室の中の琴葉と仲睦まじい実の姉・織田彩音(中村ゆり)の気配を察し、病室に背を向ける玲奈だった。

一年後・・・対探偵課に琴葉の姿はない。

玲奈は須磨社長から・・・非正規の探偵の駆除を命じられる。

ストーカー相手にターゲットの情報を流し小銭を稼いでいるモグリの堤(松尾諭)は帰宅し・・・玲奈の姿を見て驚く。

「なんだ・・・お前は・・・」

「パスポートの偽造で・・・足がついたのよ」

「警察じゃねえな・・・探偵の探偵を気どってる女がいるって噂を聞いた・・・お前か」

「気どってなんかいないわ・・・私は公認の探偵・・・あんたは自称・探偵の犯罪者ってだけ」

「俺みたいな・・・ゴミはほっといてくれよ・・・あんたに迷惑かけていないだろう」

「この男の正体を教えなさい」

「う・・・俺のファイルを勝手に閲覧したのか」

「雇い主から・・・低料金の見返りに凌辱動画をプレゼントしてもらうなんて・・・ゴミじゃなくて変態よ・・・変態」

「そいつは・・・檜池って奴だ・・・それ以上のことは知らないよ」

檜池(尾上寛之)に監禁されているのは女子高校生の愛莉(森高愛)だった。

「あんたは・・・誘拐監禁暴行事件の共犯者なのよ・・・自首しなさい」

「この・・・不法侵入者が」

玲奈に襲いかかった堤は殺虫スプレーで撃退されるのだった。

複数の探偵に複数のターゲットの捜索を依頼していた檜池は「スマ・リサーチ」の顧客でもあった。

「まずいじゃないですか・・・そんな奴の依頼を引き受けるなんて」

盗難車担当の伊根涼子(高山侑子)に責められる土井探偵課長(伊藤正之)・・・。

「住所わかっちゃったんですけど」

偽造写真の背景画像から・・・檜池の住所を割り出す技術担当の佐伯(六角慎司)・・・。

「通報しないのか・・・」と訝る桐嶋探偵(DEAN FUJIOKA)・・・。

「警察の捜査を待っていたら・・・被害者は死ぬ」

玲奈は断言して出動するのだった。

光学迷彩スプレーで監視カメラを盲目にした玲奈は・・・マンション管理会社職員を装って檜池に部屋のドアを開かせる。

もちろん・・・開かない場合は特殊なテクニックで解錠するだけの話である。

問答無用で侵入する玲奈。

檜池は抵抗するが・・・診察台に緊縛されたトッキュウ5号似の獲物を発見されてしまう。

ドアにバリケードを築き時間を稼いだ玲奈は室内を物色・・・檜池愛用のお医者さんごっこ専用メスに・・・ヒスタミン、クエン酸、納豆などの薬剤を塗布するのだった。

薬効・患部に激痛が発生し、出血が止まらなくなります。

毒メスで容赦なく檜池を刺す玲奈。

「なんだよ・・・ご褒美タイムか・・・う・・・うぎゃあああああああああああ」

絶叫して逃走する檜池・・・。

玲奈は室内の電話から110番をコールする。

(どうしましたか・・・)

「・・・たすけて・・・ください・・・」

血まみれの愛莉に応答させる玲奈だった。

「これで位置を特定して・・・警察が来てくれる・・・私のことは・・・忘れて」

「・・・」

憲法九条は拉致被害者を救出しない。

それを為すのは実力行使のみである。

玲奈は・・・家宅捜索を開始する。

そして・・・書棚から・・・「死神の調査報告書」を発見するのだった。

「死神は・・・現役続行中だった」

ドサリと音がして・・・非常階段から檜池が転落する。

激痛のために半狂乱となり跳躍したらしい・・・。

玲奈は無様な悪人に冷酷な眼差しを送るのだった。

その頃・・・琴葉は姉のPCに・・・姉が玲奈を説諭する動画を発見していた。

玲奈は・・・姉の隠されていた裏の顔に戦慄する・・・。

姉は・・・ヤンキーだったのである。

ハードボイルドだなあ・・・。

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2015年7月30日 (木)

民王(遠藤憲一)バカが総理で総理がバカで(菅田将暉)トゥットゥルー♪(本仮屋ユイカ)

これが・・・谷間でいいのか・・・。

まゆしぃは個人的に楽しむことにしたのだあ。

・・・誰だよっ。

毎度おなじみの人格交換ものである。

理論的には・・・二つあるんだよな。

一つは・・・人間には魂があって・・・時々抜けおち、漂泊して・・・空いてる身体に入りこむ。

それは・・・理論なのか。

もう一つは交代制多重人格のダブルである。

たとえば・・・映画「転校生」の場合、主人公の女性的人格と・・・ヒロインの男性的人格が同時に覚醒したと考えられる。二人は幼馴染なので・・・同化力が高いために・・・あたかも人格が転移しあったように見えるのだ。

このバリエーションとして・・・死んだ妻が娘に憑依するというタイプがある。

「秘密」は娘が母親の擬似人格を覚醒した状態なのである。

まあ・・・ここには父親が娘と性的交渉を持ちたいと願う根源的な欲望が介在するわけである。

最近では「49」で父親の魂が息子に乗り移っていた。

しかし・・・今回、息子の母親(峯村リエ)だからな・・・。

生きている親子ということでは「パパとムスメの7日間」がある。

父と娘は男女なので・・・原典に回帰しているわけである。

まあ・・・青春が脱落しているがな。

青春ということでは「山田くんと7人の魔女」の方がな。

最近では同性同士の交換で「夫のカノジョ」もあったぞ。

男同志なら「ドン★キホーテ」もな。

まあ・・・そういうことだ。

例によって「東京第一銀行」がからんでくるだけだ・・・。

了解した。

で、『民王・第1回』(テレビ朝日201507242315~)原作・池井戸潤、脚本・西荻弓絵、演出・木村ひさしを見た。原作発刊は2010年だが・・・前年に麻生内閣が解散し、第45回衆議院議員総選挙が行われ・・・悪夢の民主党政権が誕生している。2009年、2010年、そして2011年である。政権交代のキーマンとなった麻生総理大臣は愛煙家であり、吉田茂元総理大臣の孫であり、財務大臣経験者であり、国会答弁中、「踏襲」を「ふしゅう」と誤読したとされている。そういうことが原作者の発想を刺激していることは充分、妄想できるわけだが・・・ドラマが・・・テレビ朝日によって制作されていることが・・・いろいろと厭らしい妄想対象にもなるわけなんだな。下衆だからな。

政権与党である民政党の総裁選。

タヌキおやじこと金権腐敗政治の代名詞である城山議員(西田敏行)に札束攻勢をかけて武藤泰山(遠藤憲一)は勝利する。

武藤総理大臣の誕生である。

内閣官房長官の狩屋(金田明夫)や、公設第一秘書の貝原(高橋一生)と祝杯をあげる武藤首相・・・。

「身内に問題はないでしょうね」と貝原に問われ・・・不安になる武藤首相だった。

武藤首相の息子は・・・父親を嫌って一人暮らしをしている・・・どちらかといえばバカな子だったのである。

馬鹿息子の翔(菅田将暉)は無国籍料理の店「キッチンやみくも」で住み込みのアルバイトをしているのだった。

早背山大学の学生で就職活動中でもあり、同じ学年の女子大生・村野エリカ(知英)は「窮屈をたいくつと呼んだバカ」と翔を蔑むのだった。

しかし、バイト先のマスター(原金太郎)や女将(池谷のぶえ)からは愛され、常連客のストリッパー(信江勇)やショーパブ嬢(谷田川真理子)には慕われている。

マスターの姪で大学のOBでもある職業紹介会社の経営者・南真衣(本仮屋ユイカ)に憧れる翔・・・。

少し・・・ナヨナヨしているが・・・今時の若者らしい・・・。

変装して「キッチンやみくも」を奇襲した武藤総理は「不祥事を起こすな」と息子に念をおす。

翔は「悪いことなんてしない・・・あんたとは違う」と・・・反抗的な一面をのぞかせるのだった。

しかし・・・たちまち不祥事に見舞われる武藤内閣・・・。

経済産業大臣の江見(朝倉伸二)が講演会で「中小企業の社長は企業努力が足りない・・・バカヤロー!」と失言してしまったのである。

たちまち・・・襲いかかる反政府勢力の追及・・・。

国会で追及され・・・ストレスに襲われる武藤総理。

一方・・・「キッチンやみくも」には危ない筋の借金取りが現れ・・・翔は保証人にされかかり・・・ストレスに襲われる。

ストレスが時空間を歪ませ・・・。

武藤総理の魂が翔の身体に・・・翔の魂が武藤総理の身体に・・・変換されてしまうのだった。

パニックに襲われる父と息子だった。

「俺がお前で俺がお前だ・・・」

「そんな・・・」

大人の精神力で事態を受け入れる父・・・。

息子を影武者にすることを決意する。

しかし・・・息子は・・・。

「そんなの無理だよお・・・僕は明日も就職の面接あるし・・・」

「その顔でか・・・」

自分がワニ顔の男になってしまったことに泣き濡れる翔。

そこへ・・・真衣から連絡が入り・・・「キッチンやみくも」の借金の件で相談に乗ってほしいと言われるのだった。

「条件があります」

憧れのマドンナのために・・・状況を受け入れる武藤総理(翔)だった。

「とにかく・・・答弁は・・・原稿を読むだけです・・・お父様も・・・細かいことは理解していないのですから・・・大丈夫」と慰める秘書の貝原だった。

貝原は翔(武藤総理)と同行し、「キッチンやみくも」の経営状態を精査する。

「東京第一銀行の融資引き上げが・・・躓きの原因ですね」

「貸しはがしか・・・」

しかし・・・翔(武藤総理)は「キッチンやみくも」の名物。娑婆カツカレーを食してその美味さに驚く。

「この店はつぶすには惜しい」

一方・・・失言した江見大臣と面会した武藤総理(翔)は持ち前の癒しの力で事情を聴きだすのだった。

記者会見で・・・「大臣は・・・更迭ですか・・・」と問われる武藤総理(翔)・・・。

「江見さんは・・・小さな会社の経営をしていた親友が・・・自殺しちゃって・・・力になれなかったことを悔やんでいたんです・・・あの・・・バカヤローは・・・そんな自分と・・・死んでしまった親友に・・・向けて・・・うえええん・・・ぐすん・・・おいおい・・・」

泣き虫総理誕生である。

しかし・・・情にもろい記者たちは感動するのだった。

「総理あったかいんだから~」と素晴らしいインターネットの世界でも絶賛されるのだった。

一方・・・就職のための面接を受ける翔(武藤総理)は・・・。

「上席を呼べ」と上から目線である。

「ケータイ刑事 銭形シリーズ」の柴田束志に似た上司(大堀こういち)に「国民の税金を投入された銀行が中小企業に融資しないのは言語道断・・・資金不足で経営難になった会社が・・・国宝級だったら・・・それは国家的損失・・・キッチンやみくものカツカレーを一度食べてみなさい」と意味不明な発言をして退場する翔(武藤総理)・・・。

「いかがでしたか」と貝原。

「万全だ」

いや・・・万全じゃないよと絶叫するお茶の間だった。

こうして・・・なんとか初日を乗り切った父と子・・・。

しかし・・・国会答弁で・・・「未曾有」を「みぞうゆう」、「直面」を「じかめん」、「発足」を「はつあし」と読み上げる武藤総理(翔)に蒼ざめる翔(武藤総理)。

「なぜ・・・ルビをふらなかった・・・」

「あそこまで・・・バカだったとは・・・」と絶句する貝原である。

まあ・・・そーゆー話ですよ。

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花咲舞が黙ってない

半沢直樹

鉄の骨

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2015年7月29日 (水)

キラキラ光る新世界へ(窪田正孝)疑心暗鬼を検索(佐野ひなこ)キラに電話してLを殺そう(優希美青)

人の心のとりとめなさというものを考える。

恐ろしい光景をテレビで見る。

まるで中学校の校庭を機銃掃射でもしそうな低空飛行で飛び去る軽飛行機。

しかし・・・調布の飛行場は歴史ある飛行場である。

多くの住民は後から来たはずだ。

飛行場があってはいけない場所にあるのではなく・・・多くの人間が住んではいけない場所に住み着いただけなのである。

自殺する人間をどう感じるのかは・・・人それぞれである。

死にたくないと思っている人間から見れば・・・それは恐ろしい存在だ。

死んだ方がマシだと言うのは簡単だが・・・なかなか死ねるものではないからである。

死んでもらいたくない人間に死なれた人間はうろたえる。

しかし・・・人間なんて・・・死ぬ時は死ぬのである。

なにしろ・・・地球では毎年一億人くらい死ぬのである。

それでも・・・地球の人口はまだ増えている。

で、『・第4回』(日本テレビ201507262230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・西村了を見た。名前を書かれた人間は死ぬ「デスノート」を手に入れたライトこと夜神月(窪田正孝)とLこと天才探偵L(山崎賢人)との命をかけたゲームは続いて行くのだった。すでに「名前と顔が知られたら殺される」となんとなく知っている感じのLは映画「デスノート」や原作「デスノート」の愛読者なのだろう。「魔法」もしくは「超能力」前提なので・・・ちょっとバカっぽいところが「もう一つ別のデスノート」の醍醐味なのだった。

殺すつもりのFBI捜査官(尚玄)に出し抜かれ・・・必死のライトだったが・・・キラをこよなく愛するミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)によって救命される。

ミサミサは赤いデスノートと死神の目の持ち主で・・・ライトがキラであることを見抜いているのだった。

そして・・・ミサミサもまた「殺人」についてサイコパス(超越した精神)のキャラクターなのである。

このドラマの世界観では「殺人」は克服するべきハードルに過ぎないのだ。

この世界では「人殺しはいけないことです・・・戦争は人殺しです・・・だから戦争はいけないことです」という論理は通用しないのである。

それを「中二病的世界観」と唾棄することもできるが・・・それもまた一つの現実に過ぎないという考え方もある。

来日したFBI捜査官捜査官全滅の報を受けて・・・仏の模木完造(佐藤二朗)、久しぶりの日村章子(関めぐみ)、ちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)、偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)たちは唖然とする。

日本におけるキラ事件の捜査官のリーダーである夜神総一郎(松重豊)は上司から捜査規模の縮小を言い渡される。

前代未聞の殺人鬼の存在を確信したLは闘志を燃やして次の一手を打つのだった。

それは・・・盗撮・盗聴によるライトの完全なる監視だった。

「なぜ・・・私の息子がキラだと・・・」

「どういう方法で・・・キラが殺人を可能にしているか・・・それは不明です・・・しかし・・・日本におけるキラ事件は・・・あなたと・・・重要な関係があることは明白です」

「私と・・・」

「キラは・・・あなたの命を救うために・・・最初の犯行をしたと推測できます」

「え」

「あなたを怨んでいた凶悪犯の・・・死因を・・・お忘れですか」

「・・・」

「たとえば・・・キラは名前と顔を知っていれば人を呪い殺すことができるのかもしれない」

「呪い殺す・・・」

「だが・・・彼はあの日まで・・・その能力を行使していなかったのかもしれない・・・しかし・・・あなたの命が危険にさらされ・・・彼は踏み切った」

「それは・・・君の単なる想像じゃないか・・・念じるだけで人を殺せるなら・・・人の心を読むことだって可能かもしれないぞ・・・もう・・・ファンタジーの領域だからな」

「人間は・・・自分がファンタジーの世界の住人だと信じた時・・・頭のおかしな人に認定される可能性がありますからね・・・しかし・・・凶悪犯が統計的にありえない確率で・・・心臓麻痺していく現実をどう説明しますか・・・」

「私の息子は・・・人を殺せるような人間じゃないよ・・・」

「それもまた・・・あなたの空想に過ぎないのでは・・・」

「・・・」

「すでに・・・あなたの家は完全なる監視体制におかれています・・・」

「いつの間に・・・しかし・・・念じるだけで殺せるとしたら・・・監視していても無意味じゃないか」

「いえ・・・少なくとも・・・家にいる間に報道された相手が死んだ時・・・息子さんが報道に接していなければ・・・無実の可能性が生じます」

「それでも可能性なのか・・・」

「なにしろ・・・キラは・・・手も触れないで誰かを殺すことができる存在です」

「荒唐無稽だな・・・」

「荒唐無稽なことが・・・現実に起きているのです」

「・・・」

「統計的には・・・キラ事件以後・・・凶悪事件の発生件数は激減しています。すでにキラは一定の抑止力を誇示している。それでも事件を起こすのは自分の死を厭わない特殊な人格の持ち主ということになる。大衆はステーキを食べる時に・・・まず自分で屠殺しようとは思わない。誰かが殺した牛を・・・誰かが焼いて・・・誰かがテーブルに並べる。殺された牛のことを考えながらステーキを美味だと感じるものは少ない。悪人を始末してくれるのがキラでも・・・司法を運営する役人でも・・・構わないと思うのです」

「そんな・・・馬鹿な」

「私たちは・・・そういう現実と向き合う必要があるのです・・・個人的な正義のための殺人を認めてしまったら・・・社会は崩壊するから・・・」

「・・・」

しかし・・・ライトは監視に気が付き・・・一計を案じるのだった。

ポテトチップスの袋の中に携帯テレビを隠し・・・机に向かって勉強に励みつつ・・・報道された凶悪犯を殺すのだった。

「これで・・・息子は・・・無実の可能性が高まったな・・・」

「さあ・・・それはどうでしょうか・・・」

帰宅した総一郎は息子と対話する。

「お父さんは・・・キラをどう思う」

「哀しい人間だと思うよ・・・どんな方法かは不明だが・・・簡単に人を殺すことの可能な手段を手に入れ・・・それを実行に移した人間だ・・・人が人を殺して幸福になれるわけがない」

「そうだねえ・・・たとえば死刑だって・・・人を殺した人を人が殺すのは・・・変だものね・・・」

「・・・」

「世界は矛盾に満ちている・・・キラもそういう矛盾のひとつなのかな・・・」

「だが・・・私は・・・自分の息子が・・・道を間違えないと信じている」

「道・・・」

「人の道だ・・・」

「お父さん・・・ありがとう」

父に信用されて心温まるライトだった。

「お前も嘘が上手になったな」とリュークがライトを嘲笑する。

「人を殺した人は人ではない・・・だから・・・殺してもいいんだよ」

「なるほどねえ」

「父さんは・・・キラは不幸だというが・・・僕はそう思わない。素晴らしい能力を手に入れて・・・僕は新しい世界を作る」

「ふふふ・・・言うねえ・・・まるで神みたいだ」

「知っているか・・・リューク。悪魔サタンの名は・・・敵という意味なんだ」

「・・・」

「神の敵だから・・・悪なんだよ」

「つまり・・・新世界の神であるキラは・・・悪を裁くのだな」

「そうさ・・・」

すでに・・・平凡な青年であるライトは消え・・・キラがそこに立っていた。

ポテトチップスの袋の中にマジックの仕掛けがあることに気がついたLは強行突破を試みる。

ライトとの直接対決である。

「やあ・・・ライトくん・・・私がLだ」

「え・・・」

「君と友達になりたいと思ってね」

「・・・」

「そして・・・私は・・・君がキラだと確信しているんだ」

「僕は・・・キラじゃないよ」

「それはどうだろう」

二人はお茶の間サービスのためにシャワーを浴びて火花を散らす。

電話をしたのにLが不在なので情緒不安定になるニアことN(優希美青)・・・。

「私のこと・・・馬鹿にして・・・蔑ろにされてる・・・メロが悪いのよ・・・あはははは」

孤独な一人二役らしい・・・。

とにかくさっさとLが退場して・・・Nとキラの対決に期待したい。

やがて・・・ライトが関与しないキラによる殺人が発生する。

キラを名乗る人物がキラに敵対する警察幹部を公開処刑したのである。

そして・・・ミサミサは完全な監視下におかれた夜神家を訪問する。

「え・・・ミサミサ」と絶句するライトの妹・夜神粧裕(藤原令子)・・・。

「私・・・信用してもらいたくて来たの・・・私は赤いのを持ってるの・・・普通は黒いって彼は言うけど・・・あなたのは何色?」

白い死神レムを見あげてライトは・・・非常にまずいことになった・・・とあわてふためくのだった。

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2015年7月28日 (火)

ずっと好きでした(本田翼)僕は聞いてない(福士蒼汰)運命なんて信じない(野村周平)

十代の恋を二十代まで引きずる。

七年もあればいろいろあるからねえ・・・。

失われた時が哀しいよねえ。

いや・・・ない人には何もないこともあるぞ。

それはそれで・・・哀しいよねえ。

夏のレビュー・ラインナップ決定である。

(月)「恋仲」

(火)「デスノート」

(水)「リスクの神様」

(木)「探偵の探偵」

(金)「表参道高校合唱部!」

(土)「ど根性ガエル」

(日)「花燃ゆ」

・・・谷間ないじゃねえかっ。

まあ・・・基本的にすべて谷間風のあっさりめで・・・。

そういう魂胆か・・・。

で、『・第2回』(フジテレビ20150727PM9~)脚本・桑村さや香、演出・金井紘を見た。基本的にスーパーマリオブラザーズである。越中の国の幼馴染で・・・お互いを憎からず思っていたマリオこと三浦葵(福士蒼汰)とピーチ姫こと芹沢あかり(本田翼)・・・。しかし、魔界都市・東京からやってきた魔王クッパこと蒼井翔太(野村周平)は二人の仲を引き裂き・・・拉致監禁して凌辱の限りを尽くす。囚われの身となったピーチ姫を救出するためにマリオは魔界都市・東京で・・・小銭を稼ぎながら・・・階段を上ってフラグを立て・・・花火を打ち上げ・・・クッパの野望を打ち砕くのである。

マリオへ。

ずっと好きでした。

来年の花火大会に同じ場所で待ってます。

ピーチ姫

この最高にせつないラブレターを握りつぶしたあげく・・・聖域で待ち伏せを敢行したクッパの悪行非道・・・天は許しても恋愛の神様は許してくれないと思う・・・。

ピーチ姫の父・寛利(小林薫)は借りてはいけない筋から借金をして・・・芹沢一家は夜逃げ・・・マリオは行方知れずのピーチ姫を想い・・・七年間、枕を涙で濡らす。

一方、ピーチ姫は約束の場所に現れなかったマリオを慕いつつ・・・クッパの魔手に靡くのだった。

そして・・・クッパの正体に気がつかないマリオは・・・クッパに友情さえ感じるお人好しなのである。

謀略によってピーチ姫を得たクッパの心には疑心暗鬼が潜んでいる。

マリオが上京したことを知ったクッパはピーチ姫と交際していることを告げて・・・マリオの心を折りにかかる。

しかし・・・マリオも・・・男子である。

七年もあれば・・・いろいろあるわけである。

実家の豆腐店を継承することになったトーフ王子こと金沢公平(太賀)は思い出作りのために上京し・・・マリオの部屋に居候することになる。

マリオの妹ルイージ姫こと七海(大原櫻子)はトーフ王子を冷たく歓迎する。

トーフ王子は高校の同窓会を企画し・・・参加したクッパとピーチ姫を連れて・・・マリオの部屋へなだれ込むのだった。

クッパは医師として立派になり、ピーチ姫と交際している・・・推定年齢26歳くらいのマリオは激しく凹むのである。

そこへ・・・ピーチ姫不在の間に・・・マリオがちょっと交際していた魔界の魔女・冴木瑠衣子(市川由衣)が乗り込んでくる。

お約束で魔女の瑠衣子と二人きりになるピーチ姫。

「どうして・・・二人は別れたんですか」

「魔界の仕事が上手くいかない時に優しい魔法使いに声をかけられて・・・心変わりしたのよ・・・そういうことってあるでしょう」

「・・・」

ピーチ姫はお約束でマリオの部屋に入る。

そこに・・・ラブレターと共に返却したはずの・・・禁断の書「ワンピース51」がないことにピーチ姫は動揺するのだった。

(私のことは・・・もう・・・どうでもよかったの・・・)

お約束で・・・ピーチ姫を駅まで送るマリオ。

お約束で・・・優しい雨が降り出し・・・お約束で相合傘で肩を濡らすマリオ。

「心配していたよ・・・」

「そう・・・でも・・・あの日・・・来てくれなかった」

「あの日って・・・」

「もう・・・いいの・・・」

(六年前のことなんて・・・昔話よね)

ピーチ姫はお約束で駆け去るのだった。

ピーチ姫の悲しみの理由も知らず・・・マリオは傘を捨てて・・・濡れながら帰宅。

魔女は優しくマリオを抱きしめる。

「彼女のこと・・・忘れられないのね」

「・・・」

「いいのよ・・・」

「昔みたいに」と「童貞でも差別されなかった時代」を懐かしむトーフ王子。

病院から呼び出され続けるクッパは・・・ピーチ姫とのデートの時間もままならない。

トーフ王子は・・・高校生のようにみんなで映画が見たいと言い出す。

カーペンター的職業のマリオは建築事務所の上司・丹羽万里子(吉田羊)に「ウサギ小屋」の設計を命じられる。

同僚のトンコさんこと富永美玲(山本美月)はマリオを励ますのだった。

「アオイくん、すごいわあ・・・日本人の建築家は全員、ウサギ小屋の設計が主な業務やし・・・アオイくんならきっと立派な建築家になれるわ」

気をとりなおしたマリオは・・・幼馴染として・・・ピーチ姫と仲直りしようと決意するのだった。

昔みたいに仲間として映画を一緒に見よう・・・せつない決意である。

待ち合わせの場所で・・・再会の時の気まずさを解消しようとするマリオとピーチ姫。

「まさか・・・二人が付き合っているとは思わなかったから・・・」

「・・・」

「よかったな・・・二人は両想いだったもの・・・」

「え」

意味不明なマリオの言動に戸惑うピーチ姫だった。

お約束のすれちがいである。

しかし・・・トーフ王子は突然の腹痛で欠席・・・クリちゃんじゃなくて・・・クリボーでも拾い食いしたのか。

しかも・・・二人がデートしていることをクッパにお知らせするトーフ王子だった。

その頃・・・臓器移植手術について・・・HLA(ヒト白血球型抗原)の適合性などを患者の山城心音(大友花恋)に説明するクッパ。

「そんなの興味がないわ」

「・・・」

女医の沢田一葉(新川優愛)は助け舟を出す。

「怪しい学会情報によると・・・人間はHLAの遺伝子的多様性を求めると言う。つまり・・・自分が獲得していない抗体の所有者と・・・結合したいと考えるの。HLAはタイプによって匂いが変わるので・・・自分とは違う匂いのする相手を求めて人は恋をするのよ・・・つまり・・・遺伝子的に結ばれる相手は決まっているということ・・・素敵でしょう」

「嘘っぽいわあ」

激しく動揺するクッパ。

部屋に戻れば・・・そこには略奪の記念品として・・・禁断の書が隠されている。

もちろん・・・クッパは・・・ピーチ姫の心が今もマリオにあることを悪しき直感で見抜いているのである。

二人は・・・魔法にかかったように夢の世界へ誘われる。

そして・・・映画の主題歌はお約束で・・・二人の思い出の曲・・・。

「ローマの休日」のヒロイン・オードリー・ペップバーンは

本当はオードリー・ヘボンが正しい発音だとか

アメリカの黒人系女性ボーカル・グループ「シュープリームス」は

本当はザ・スプリームズが正しい発音だとか

そんなことを言い出すと

シュークリームとシュープリームで韻が踏めないじゃないか

そんな悩みは君にとってどうでもいいことだろう

僕の悩みなんか君は知ったことじゃないだろう

君がどんなにか僕をもやもやさせるかってことも

君は知らないことが多過ぎる

僕の悲鳴 君の悲鳴

アイスクリームは甘く冷たい

「これが・・・僕の仕事さ」

「ウサギ小屋か・・・素敵ね」

「そうかな・・・」

「だって・・・日本人はみんな・・・ウサギ小屋に住む運命だもの」

「・・・」

「私も・・・こんなウサギ小屋に棲めたらいいなあ・・・」

「・・・」

「夢をかなえたんだね」

「・・・」

英語の成績がよかったピーチ姫。

高校を卒業できなかったピーチ姫。

通信教育で教師を目指すピーチ姫。

その・・・苦難の道のりを想い・・・言葉を失うマリオ。

(ああ・・・どんなにか・・・君を守ってやりたいと・・・願ったことか)

しかし・・・ピーチ姫の貧しい住居の前に現れるクッパ。

「やあ・・・今夜、泊ってもいいかな・・・」

「いいよ・・・」

「君も・・・一緒にどうだ・・・」

「いや・・・明日・・・仕事が早いから・・・」

ここは・・・月9だ・・・お約束で三人でいろいろなことはできないのだった。

ピーチ姫を残し退散するマリオにクッパは憎悪の火球を投げつけるのだった。

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2015年7月27日 (月)

控えよ!天下御免の桜吹雪・・・姫様のご懐妊じゃ!(田中麗奈)

長州藩最後の藩主・毛利元徳の長男・興丸(毛利元昭)が誕生するのは元治二年(1865年)二月七日である。

少なくとも元治元年の秋には懐妊が明らかになっていただろう。

動乱の最中である。

そもそも・・・長州藩の藩祖は毛利元就の孫である毛利輝元だった。

輝元の直系は四代吉広まで続く。

しかし、五代目からは元就の子・穂井田元清系の支藩である長府藩の子孫が継いでいる。

長州藩第十三代藩主の毛利敬親も、夫人の都美姫も、養女の銀姫も穂井田元清系なのである。

一方、敬親の養子となった元徳は支藩・徳山藩で・・・脈々と受け継がれてきた毛利輝元系の男子なのである。

元徳と銀姫の夫妻は養子夫婦であり・・・毛利輝元系と穂井田元清系の融和を目指していた。

生まれた男子は・・・長州藩と支藩である長府藩・徳山藩を融合した抜群の血筋を持つことになる。

動乱の最中とはいえ・・・銀姫の懐妊が・・・毛利家そして長州藩士の希望の光であったことは間違いないのだ。

だから・・・些少の作劇には瞑目するしかありません。

で、『燃ゆ・第30回』(NHK総合20150726PM8~)脚本・宮村優子、演出・橋爪紳一朗を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに登場・・・毛利家最後の藩主・毛利元徳描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。一人・・・また一人と大河ファンを絶句させていく本シリーズ・・・どんだけさいはての極地まで到達するのか・・・。なんだろう・・・マゾなのか・・・。歴史の苦手な人にはまったく話がわからず・・・歴史の好きな人は唖然とするだけ・・・小さなお友達も大きなお友達も雪崩れていくばかりでございますねえ・・・。羊羹の下に隠された密書・・・夜のお迎えにスキップしていく姫君・・・なんだろう・・・女のロマン(禁句)なのか・・・まあ・・・やることやったからご懐妊なので・・・これでいいのだと言う他ないのですな・・・。主人公・・・してやったりなのか・・・そうなのか・・・がんばれ・・・井上真央と思わず両手を握りしめたい気分でございます。

Hanam030十月、松島剛蔵、小田村素太郎(伊之助)ら、非恭順派がお役御免を命じられ、高杉晋作は政務役を罷免される。非恭順派が野山獄に投獄される中、晋作は萩から脱走。恭順派(俗論党)の椋梨籐太が政務役に任命される。謹慎中の長州藩主親子は山口から萩へと帰還する。銀姫の懐妊が明らかとなる。攘夷実行者、京都進発派が次々と粛清される中、下関、山口の非恭順派諸隊と萩の恭順派との対立が表面化する。一部勢力は両者の間をとりもつ中立鎮静派として活動を開始する。十一月、長州藩の内部抗争が深刻かするのを確認して幕府軍は撤退を開始。長門清末藩の第八代藩主・毛利元純は謹慎中の藩主の代理として藩内融和を図るが椋梨籐太は粛清を強行する。奇兵隊など攘夷派諸隊でも内部分裂が発生。高杉晋作は逃亡先の九州から帰還。軍事クーデターのための内部工作を開始する。征長軍司令・徳川慶勝は長州藩士同志の軍事衝突の気配を察し、長州の降伏を確認したことを理由に独自に撤退を開始する。幕府軍という後ろ盾を失った恭順派は・・・革命勢力の打破を目指して攻撃準備を開始する。恭順派と非恭順派の武力衝突は・・・明治維新へとつながる戦闘の始りである。高杉晋作の倒幕の戦いが始るのだ。

「世も末だな・・・」

美和は高杉晋作の父・高杉小忠太が呟く声を聞いた。

萩の藩庁は椋梨籐太によって牛耳られている。

息子の晋作の捜索を命じられた小忠太は会議から退席していた。

親友だった長井雅楽が切腹してから一年・・・長州は混乱の極みに陥っている。

(殿と若殿を幕府軍に差し出せとは・・・幕府の犬め・・・なりふりかまわぬか)

美和は小忠太の心の叫びを聞いた。

城から下がった小忠太の前に現れたのは美和の父・百合之助と兄の梅太郎だった。

身分の違う三人は会話をせずに符牒を交わす。

百合之助も梅太郎も長州藩・隠し目付である。

そして・・・高杉小忠太こそが・・・隠し目付頭なのである。

小忠太は百合之助に誘われ、路を変えた。

椋梨籐太の放った刺客たちは・・・獲物が姿を見せないことに苛立つ。

美和は・・・萩城下に侵入した見知らぬ忍びたちの気配を感じ取っている。

萩は混乱に乗じて紛れ込んだ忍びたちで満ちていた。

多くは椋梨籐太が呼び寄せた公儀隠密・・・幕府の犬たちである。

しかし・・・数も少なく目立たないながら・・・長州忍びでも、公儀隠密でもない忍びも混じっている。

それは・・・薩摩の西郷隆盛の放ったくぐり衆の草のものたちだった。

彼らは行商人や旅芸人に身をやつし・・・城下の動向を探索していた。

今も椋梨籐太の手のものたちが待ち伏せしている様子を・・・くぐり衆は観察しているのだった。

もちろん・・・それを知るのは美和一人である。

そこに・・・美和の兄・梅太郎に率いられた長州の隠し目付けが殺到していく。

美和の一番上の姉である千代とその夫の児玉祐之進の姿もある。

姉はくのいちであり、舅の児玉源太は鉄砲忍びであった。

松本村界隈のものはみな・・・長州の草のものなのである。

忍び装束の公儀隠密のものどもは殺気に気が付き、抜刀する。

しかし・・・吹き矢、手裏剣、毒矢などが四方から幕府の犬に襲いかかる。

「退け」

頭らしきものが命じた時、暗殺者の多くは絶命していた。

生き残ったものは屋敷の塀に飛びあがったところを鉄砲で撃たれる。

静寂が訪れる。

どこからともなく大八車を牽く人夫が現れた。

粗末な身なりのものたちは・・・死体を素早く片付ける。

暗闘の傷痕はたちまち消える。

その顛末をくぐり衆の忍びたちは無言で見つめている。

その冷徹な気配を美和は感じる。

長州における倒幕の戦いは・・・こうして幕をあけたのである。

公儀隠密・椋梨籐太は・・・奢り高ぶり・・・長州に潜む闇の一族を軽く見過ぎていた。

(憐れな・・・)

成果の報告を待ち・・・一人待つ政務役筆頭。

その命は風前の灯のように儚いものだった。

四年後には幕府は跡かたもなく消え果てる・・・美和はそれを知っていた。

兄・吉田松陰の見た夢は・・・恐ろしいほどに現実となっていく・・・。

美和はようやく・・・それを悟った。

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2015年7月26日 (日)

そして今私は思っています(松山ケンイチ)そうやっていつまでも(前田敦子)主役気分でか(満島ひかり)

人それぞれに事情がある。

教え子に自殺されて一番ショックなのは担任教師だ。

わが子に自殺されて一番責任があるのは親だ。

そのあたりの事情に対する配慮が・・・赤の他人に過ぎない一部マス・メディアの人間に不足していると直感する。

もちろん・・・直感なんて一種の思いこみである。

だが・・・自殺する特殊な子供の問題を共有化しようとしても・・・そこにあるのは虚無だけだと考える。

もちろん・・・誰かがなんらかの理由で死の淵の前でとどまることもあるだろう。

しかし・・・自殺者の死の責任を追及するのは虚しいことだ。

大切なのは・・・その前に一歩を踏み出す人間を抱きとめる人間がいるか・・・いないかの問題なのである。

いじめられて自分を殺すような人間が他の誰かを殺さなくてよかったという考え方もあるのだから。

息子の死の責任を誰かに転嫁する前に・・・省みることがあるだろう・・・。

もう・・・そっとしといてやれ・・・。

察しがわるいにも程がある・・・。

で、『ど根性ガエル・第3回』(日本テレビ20150725PM9~)原作・吉沢やすみ、脚本・岡田惠和、演出・狩山俊輔を見た。ど根性で魂魄がこの世にとどまったカエルの話である。しかし・・・その残留思念も時の彼方に消え果てようとしているのだ。少年マンガの主人公として造形された主人公のひろし(松山ケンイチ)は青年となって・・・現実に直面し・・・懊悩する。ピョン吉(満島ひかり)にはその複雑な気持ちはわからない。さっさと少女から大人の女性となった京子ちゃん(前田敦子)は・・・ひろしに美点を見出しつつ・・・男の子から男へとチェンジすることができない幼馴染を歯がゆく感じるのだった。しかし・・・バツ一なので乙女ではないわけだが・・・幻想の乙女心は揺れるのである。

ひろしの母ちゃん(薬師丸ひろ子)は・・・息子の懊悩を諦観しつつ・・・我が子ゆえに期待もする。

「どうしても・・・大人にならなければいけないのか」・・・ひろしの悩みは深い。

少年マンガの主人公に生まれたのに・・・なんで大人に・・・。

少年マンガの読者たちの胸を熱くさせる苦悩なんだなあ・・・。

成り行きで・・・ゴリラパンへの就職を決めたひろし・・・。

根底にあるのは・・・ゴリライモこと五利良イモ太郎(新井浩文)へのライバル意識である。

主人公として・・・ゴリライモにだけは敗北できないのだ。

ゴリライモに屈服すれば・・・もはや主役とは言えない・・・ひろしには危機感がある。

ゴリラパンに就職した以上・・・いつか主従は逆転し・・・ひろしが社長になる必要があるのだ。

しかし・・・何をやってもゴリラパンには勝てないひろしだった。

「ゴ」の字を作ることも・・・小麦粉の運搬も・・・ゴリライモの技量がひろしを上回る。

遅刻しないために・・・夜の間に工場に忍び込もうとしたひろしは・・・不審者として警察に逮捕されてしまう。

「先輩、少年マンガの主人公としては立派でやんすが・・・社会人としてはNGでやんす」

警官の五郎(勝地涼)も困惑するのだった。

そんなひろしの唯一の理解者は京子のおばあちゃん(白石加代子)なのだ。

入荷直後の酢イカを購入した二人は意気投合するのだった。

「人が動くとかいて働くでしょう・・・じっとなんてしてられねえよ」

「私もお嬢様育ちだから・・・労働とは縁がないのよねえ」

帰宅した京子はひろしの存在に気がつかず着がえとするが・・・露出はなしである。

これ・・・二回続いたから・・・次は露出を期待していいよね。

どこに期待してんだよっ。

そんな・・・ひろしの心の葛藤に気配りをするゴリライモ。

営業にひろしを連れ出すのだった。

二人でゴリラパンを完売するのである。

「おまえ・・・変わったなあ・・・昔は店の手伝いなんてしなかったじゃないか」

「そうさ・・・パン屋なんて・・・基本的にお人好しっぽい職業だし・・・俺のキャラクターとは似合わない。俺は・・・パン屋を馬鹿にしてたんだ。でも・・・親父が倒れて・・・仕方なく母ちゃんの手伝いをするようになって・・・俺は気がついたんだ。親父と母ちゃんは・・・パン屋で働いて・・・その金で・・・俺は育ったんだってな・・・。つまり・・・パン屋をバカにするってことは・・・自分をバカにするのと同じことなんだ・・・ってな。それから・・・俺は仕事に熱中したよ・・・どうせやるからには・・・日本一・・・世界一のパン屋になろうって思ったんだ・・・」

「・・・じゃなんで・・・政治家に立候補してんだよ」

「中小企業は大変なんだ・・・俺の親父や母ちゃんもいろいろと苦労してた・・・そういう人たちを支える仕事も大切だと思ったからだ」

「・・・」

ひろしは・・・ゴリライモが・・・あまりに善良で・・・優秀な人間になっていて・・・闘志を失うのだった。

人間として・・・太刀打ちできないのである。

ゴリライモを見習って真人間になろうとするひろしと・・・少年マンガの主人公としてのひろしは激しく葛藤するのである。

そういう・・・ひろしの心理を理解できないまま・・・元気のないひろしを案ずるピョン吉。

ピョン吉は・・・ひろしを励ます就職祝いの会を催すことにする。

教師生活四十一年目になっている町田校長(でんでん)、梅さん(光石研)のプロポーズを待ち続けて十六年、四十歳になってしまったよし子先生(白羽ゆり)もかけつけて・・・乾杯する一同。

「け・・・健康ランドに・・・」というお約束は達成するが・・・打ちのめされたひろしは鬱屈して・・・ゴリライモにからむ。

「あんたは・・・立派だよ・・・だけど・・・俺は・・・そんな人生まっぴらだね」

ひろしにも立派になってもらいたいピョン吉は思わず・・・ひろしと喧嘩を始めてしまう。

就職祝いは修羅場と化すのだった。

仕事に行かず・・・街をうろつく・・・ひろし。

そして・・・ひろしの最初の就職の時の給料で飼った母ちゃんのがま口が・・・すっかりくたびれていることに気がつく。

ひろしは・・・ピョン吉に頼みこむ。

「明日・・・一緒に工場に行ってくれ・・・」

「おいらが手伝うのは反則だろう・・・」

「いや・・・俺がサボらないように見張ってくれ」

「ひろし・・・」

ひろしは我武者羅に働きだす。

「ひろし・・・頑張れ・・・怠けるな」

「おうっ」

ピョン吉はひろしを励ます。

その目からは涙が・・・。

「なんだい・・・ピョン吉泣いたりして」

「うれしいんだよ・・・ひろしの役に立っていることが・・・うれしいと涙が出るんだねえ」

「・・・」

そして・・・給料日・・・ひろしは・・・母ちゃんに新しいサイフを買うのだった。

「ピョン吉・・・お前には焼き肉おごってやるよ」

「本当かい」

ピョン吉は焼き肉のタレで染まるのだった。

「でも・・・これで仕事はやめだ・・・」

「え」

「だって・・・もう・・・モチベーションが・・・」

「なんだよ・・・それ・・・」

ひろしには・・・まだ・・・主役の意地があるのだった。

ゴリライモの部下で一生を終えるわけにはいかないのだった。

深夜・・・母ちゃんは・・・ピョン吉の異常を発見する。

落魄し・・・崩れかかるピョン吉の・・・「いのち」・・・。

「母ちゃん・・・」

「いいんだよ・・・」

母ちゃんは優しくピョン吉を撫でるのだった。

ひろし・・・ピョン吉がいなくなったらどうするつもりだ・・・。

だって・・・「ど根性ガエル」の本当の主人公はピ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

失われたカエルを求めて街を彷徨うひろし・・・哀愁がすぎるぜ・・・。

何かが胸に突き刺さる・・・。

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2015年7月25日 (土)

学校の探偵(芳根京子)「翼をください」入りました(森川葵)超時空伴奏者(柴田杏花)壊れた天使が通ります(吉本実憂)

激戦の金曜日・・・コレが生き残った・・・。

「民王」も最高だったが・・・どうしても「銀行」がらみなんだな・・・。

前季・・・つきあったことだし・・・もういいよねえ。

来週・・・谷間があるので・・・おそらく、そこでレビューして・・・後はスルーする予定だ・・・。

しかし・・・「恋仲」次第で・・・「恋仲」→「民王」のチェンジはあるよな。

あるかもね・・・。

とにかく・・・夏なんだな。

で、『表参道高校合唱部!・第2回』(TBSテレビ20150724PM10~)脚本・櫻井剛、演出・石井康晴を見た。表参道高校に紛れ込んだ翼の折れた堕天使・・・。その救済に・・・香川県小豆島から純白の魂を持った天使・真琴(芳根京子)が舞い降りたのだった。

タレントでお天気女子高校生の優里亞(吉本実憂)の正体に気がついた里奈(森川葵)は距離をとりつつ・・・真琴の翼の下に隠れるのだった。

その翼は・・・はてしなく大きいのだ。

なぜか合唱部を廃部にしたがる天草教頭(デビット伊東)、不熱心な担任えみり先生(神田沙也加)は合唱部室を閉鎖しようとするが・・・顧問の鈴木有明先生(城田優)はのらりくらりと執行猶予を勝ち取る。一ヶ月で部員八人の獲得・・・。現在五人で残り三人である。

伝説の・・・両親の離婚の危機を救うという「愛の歌」の楽譜を捜す真琴。

しかし・・・発見したのは・・・バケツこと幽霊部員の宮崎祐(高杉真宙)の名札だった。

大きくなった白夜行の子役・相葉部長(泉澤祐希)、眼鏡っ娘担当の佐々木美子(萩原みのり)、ハーフの山田アンドリュー(瑛)はバケツについて口が重い。

鈴木先生は・・・「音程を修正するためにバケツをかぶって練習していたから」と仇名の意味を告げる。

里奈は「宮崎くんは・・・盗難事件の犯人だと疑われて・・・不登校になった・・・のよ」

里奈はクラスメートとして答えるが・・・真相について・・・実は思うところがあるのだった。

「噂を流したのは私なの・・・優里亞が・・・見たって言うから・・・」

ステキ男子のトッキュウ1号こと夏目快人(志尊淳)を掻揚弁当で釣り上げた真琴。

黒いエンジェルの心はどす黒く染まる。

快人は「盗難事件」の時にいぼ痔で入院していたために・・・真相を知らなかった。

二人はバケツを家庭訪問で直撃である。

バケツは引き籠り貞子になっていた。

「あなた・・・やったの」

「やってないよ・・・」

「じゃ・・・歌いましょう」

「無理だよ・・・もう学校へは行かない」

「優里亞さんと・・・何かあったの?」

「え」

「何か・・・心当たりがあるの」

「彼女は公園で・・・ホームレスにお金を渡していた・・・見てはいけないものを見たような気がした」

「・・・」

真琴と快人は・・・公園に向かう。

「ここだ」

「くわしいのね」

「地元だ・・・優里亞も・・・親が離婚して引っ越すのでは・・・ここに・・・僕たちは幼馴染なんだ」

「そうなんだ・・・」

しかし・・・快人は・・・何かを発見して・・・口を噤むのだった。

優里亞の複雑な家庭。

母親の薫(原沙知絵)は谷克己(山田純大)と再婚している。克己は尊大な男で薫は服従しており・・・克己の連れ子である俊介(濱田龍臣)は厭味な男子だった。

そして・・・父親の島田良一(加藤虎ノ介)はホームレスになっていたのだった。

快人は・・・優里亞を直撃する。

「お父さんに会ったよ」

「・・・」

「それを恥じて・・・目撃者を闇に葬ったのか・・・」

「そうよ・・・私のこと嫌いになった・・・」

「・・・」

「みんなに・・・真相を話す・・・」

「話さない・・・」

「優しいのね・・・」

真琴は部員たちを説得する。

「濡れ衣だったのよ」

「じゃ・・・俺たち・・・ひどいことをしたのか」と相葉部長。

「だから・・・バケツくんを迎えにいきましょう」

「それは・・・できない」

「なんで・・・」

「バケツが真犯人じゃなくても・・・噂は消えない・・・合唱部にとって・・・メリットがない」

「仲間を裏切るような合唱部は合唱部ではありません」

天使の逆鱗にふれてうなだれる一同。

鈴木先生は楽譜を差し出すのだった。

「どうせ・・・廃部だ・・・楽譜も廃棄だ・・・バケツの好きだった・・・この曲もな」

真琴は一人・・・バケツの家へ。

バケツの母(阿部朋子)は「もう来ないでほしいそうです」とうなだれる。

真琴は必殺の10秒ジャンプをするのだった。

天使の翼が広がって行く。

今、残酷な天使が歌い出す。

あなたは何を願うのか

その願いを神が聞き届けることを信じるか

信じるなら

私の歌を聞きなさい

誰もが歌う権利がある

囚人だって監獄ロックを歌ってよろしい

大空に広がる真琴の天使の翼。

その輝きに見せられて部員たちはやってくる。

「私も翼が欲しいもの・・・」と里奈。

「ごめんね・・・ごめんね・・・ごめんね」と仲間を信じなかった部員たち。

「あああああああああああああ」と号泣するバケツ。

「行きたい・・・学校に行きたいよ・・・そして・・・歌いたいよ」

ついに姿をみせたバケツ。

「はじめまして・・・真琴です・・・床屋さんに行きなさい」

「はい・・・」

こうして・・・合唱部は六人になったのだった。

「言わないけど・・・もう・・・合唱部に手を出すな」

快人に釘を刺され・・・優里亞は十字架上で血の涙を流す。

そして・・・微笑むのだった・・・。

大空に桐星成実(柴田杏花)のピアノの音色が響き、歌の天使の勝利を讃えるのだった。

そして・・・快人の死に至るいぼ痔は転移している。

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2015年7月24日 (金)

仄暗い世界に雪辱の閃光を(北川景子)猿轡で太ももむきだしはじめました(川口春奈)在りし日の私(芳根京子)

凌辱シーンを見せ場と考えて・・・予告編でしつこく見せて・・・。

冒頭で前フリ・・・。

えげつないなあ・・・ハードボイルド作品でこれをやると・・・しらけるんだよなあ・・・。

美学がないからな・・・。

しかし・・・お茶の間相手のビジネスに品格を求めてもなあ・・・。

描写的にギリギリなものを追い求めるなら・・・省略してはいけないシーンがいくつかある。

冷静さを失って・・・失敗した主人公(北川景子)が・・・クールさを取り戻す。

その瞬間は・・・お茶の間の想像力と・・・主人公の想像力が合致させてこそ・・・輝くのである。

それはそれとして・・・瀕死のヒロイン(川口春奈)が見せる優しさでギラギラした眼光。

いいもの・・・見せてもらったぞ・・・。

で、『探偵探偵・第3回』(フジテレビ20150723PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・品田俊介を見た。ミステリにおいて「神様が導いてくれた」は禁句である。脚本家の信仰心にもよるが・・・そういうセリフを書くのは二流の証なのだ。ストーカー殺人の犠牲者となった高校生・紗崎咲良(芳根京子)の親友で同級生の愛知県の少女・峰森琴葉(川口春奈)が東京で・・・咲良の姉・紗崎玲奈(北川景子)の勤務する探偵社「スマ・リサーチ」に偶然、就職する。そういうオリジナル設定が下品である以上・・・その「神様」の存在は仄かに匂う程度にしないとねえ・・・。

咲良のストーカー岡尾芯也(岡田義徳)が生存しているかもしれない・・・。

愛知県警の嘱託医・矢吹洋子(高岡早紀)のもたらした情報は・・・玲奈を沸騰させる。

我を失った玲奈は悪徳探偵・阿比留佳則(ユースケ・サンタマリア)の仕掛けた姦計に嵌ってしまうのだった。

名探偵の片鱗を見せる琴葉は冷静さを欠いた玲奈の態度に危惧を覚えるのだった。

「あまりに・・・都合が良すぎます」

「都合・・・」

「だって・・・急に・・・死人が蘇ったという話を聞かされても・・・」

「私は・・・裏をとったのよ・・・」

「裏・・・」

「阿比留が何故・・・警察上層部に働きかけているか・・・」

阿比留の傘下の悪徳探偵の一人、藪沼(宅間孝行)を脅迫した玲奈は・・・「東京カジノ構想」にまつわる水面下の動きを知ったのである。

東京でのカジノ開催に関して・・・警視庁は民間業者に警備やトラブル処理を委託する方針だった。

請負業者の筆頭としての地位を確保すれば・・・莫大な利権が発生するのだという。

「カジノの探偵ですか・・・ラスベガスみたい・・・」

「合法的な賭博行為によるモラルの低下は・・・警察の手にあまるということ・・・」

「ですけど・・・」

「日銀総裁の孫娘の誘拐に使われた車両から・・・岡尾の指紋が発見された・・・つまり・・・阿比留と岡尾はつながっている」

「阿比留が・・・死神だと・・・」

「辻褄が合う・・・」

「それが・・・不自然なんですよ・・・あまりにも・・・都合良く合いすぎてる」

「素人が何を・・・」

岡尾が生きているという情報は・・・玲奈から判断力を奪っていた。

吉池梨央(玉野るな)誘拐事件が阿比留のやらせだと・・・信じる玲奈は・・・捜査会議で・・・矢吹洋子が得たという情報を鵜呑みにするのだった。

「あなたは・・・避難所で待機していなさい・・・」

「連れてってください・・・私は・・・関係者だから・・・」

「え」

「私は・・・咲良の・・・クラスメートでした・・・」

「ええ」

「あの日・・・私は・・・咲良とおでかけする予定だったのです」

「えええ」

「待ち合わせの場所に咲良は来なかった・・・あの日・・・私が誘わなければ・・・あの子は・・・」

「・・・」

冷静さを欠いた玲奈は琴葉の同行を認めるのだった。

東京都下・・・森の中の廃工場が・・・犯人の潜伏先・・・。

現地に到着した玲奈は・・・車内に琴葉を残し・・・廃工場へと向う。

シャッターの下りたガレージに侵入する玲奈。

そこに待っていたのは女医の矢吹だった・・・。

「・・・」

「あなた・・・医学的な知識が少し不足しているようね」

「・・・」

「あんな・・・杜撰な報告書を真に受けるなんて・・・」

「あなたは・・・」

「私は・・・愛知県警の嘱託医だけど・・・阿比留に金で飼われている女でもあるのよ」

「・・・」

その背後では・・・阿比留傘下の矢島探偵社で殺し屋稼業をしている霜田(山中聡)が車中の琴葉を襲撃していた。

ハンマーでウインドウを粉砕された琴葉は・・・必死に抵抗するが・・・ナイフを突きつけられて・・・拘束される。

気配に振り返った玲奈は・・・絶望的な状況を悟る。

「そこに手錠がある・・・自分でつけろ・・・この子を殺してから・・・俺が相手をしてやってもいいがな」

「やめて・・・」

「ききわけがいいな・・・そして馬鹿だ」

玲奈が自らを拘束すると・・・霜田は琴葉を殴る蹴るした後でナイフで斬り刻む。

「俺は・・・しゃぶりつきたくなるような太ももにナイフで傷をつけるのが好きなんだ・・・白い肌に赤い血・・・ジャパンだよなあああああ」

「やめて・・・」

しかし・・・女医は薬物を玲奈に注入する。

朦朧としていく玲奈・・・。

目の前に警察官(森下能幸)がいる。

「あなたは・・・」

「巡回中に・・・あなたを発見したんですよ」

「琴葉は・・・」

「倒れていた女性は救急車で搬送しました・・・あなたは・・・阿比留という男にはめられたとおっしゃってるんですが・・・」

「はめられた・・・」

「阿比留という男の犯行であるという証拠か・・・なにか・・・ありませんか」

「証拠・・・」

「ええ・・・証拠です」

「私は・・・しゃべりたくてたまらない衝動にかられている・・・だから・・・あなた・・・ニセモノでしょうと言いたい。東京の警官がそんな制服来ているもんですか・・・」

「え」

「私に自白剤射って・・・私が阿比留の何を掴んでいるか白状させたいんでしょう・・・でも・・・拘束を解いたのは大失敗よ」

派出所風の机を蹴り倒す玲奈。

「ラリってたって・・・あんたを殺すくらい・・・ワケないのよ」

ニセ警察官の警棒を奪った玲奈は男の両足を砕く。

「ああああああ」

玲奈は花瓶を割ると破片で男を切り刻む。

「ひいいいいい」

「琴葉はどこ・・・」

「裏のガレージだ・・・」

「あいつらは・・・どうしたの・・・」

「く・・・車を取りに言った・・・霜田は奴隷をどっかに連れて行くって・・・」

「死んだらごめんね」

玲奈は男の頭蓋を警棒で粉砕した。

廃工場を通りかかった玲奈は朦朧とした意識で考える。

「あいつ・・・改造拳銃でも持ってたら・・・困るな・・・武器が・・・必要」

倉庫を見つめる玲奈。

「適当な・・・容器と・・・塩素ガスと硫化水素ガスの混合気体を発生させる薬剤・・・そして・・・カメラ・・・釘・・・ふふふ・・・ははは」

玲奈は爆弾を一瞬で完成させる。

「てめえ・・・なにしてる」

「あんたに・・・いいものあげるわよ」

ペットボトル爆弾を投げつける玲奈。

「何の真似だ・・・」

「仕上げは記念写真よ」

玲奈はシャッターを推した。

ストロボの閃光に含まれる紫外線が点火装置となり・・・爆弾は炸裂する。

「ぎゃ」

足元を釘で撃ち抜かれた霜田は昏倒した。

「・・・琴葉」

琴葉はかなりの出血をしていた。

「先輩・・・」

「琴葉・・・」

「ポーレット・・・咲良と・・・おそろ・・・」

琴葉は微笑んで意識を失う。

ポーレット人形は三つ。

一つは琴葉のもの。一つは咲良のもの。一つは玲奈のものなのだ・・・。

「琴葉・・・あんた・・・心臓が動いてないよ・・・」

失血によるショック状態である。

「琴葉・・・死んじゃ・・・いや・・・」

その頃・・・阿比留は・・・誘拐犯の潜伏場所を特定したとして・・・刑事たちを引率して・・・現場に向かっていた。

事件はひとつのクライマックスを迎えようとしている。

探偵が悪徳を生業とする以上・・・探偵の探偵は正義の天使なのである。

この物語は・・・昔ながらの悪と正義の戦いの話なのだ。

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2015年7月23日 (木)

絶対に安全な保障なんてないんだよ(堤真一)すべては優先順位ですか(戸田恵梨香)下世話な方向に誘導します(新川優愛)

芸能スキャンダルと政界スキャンダル・・・まぜるな危険である。

報道という名の情報ビジネスで・・・視聴率や発行部数は最優先なのである。

みんな・・・叩けばホコリの出る身体だ・・・。

大掃除の後は特にな・・・。

どれだけ・・・名作でも・・・視聴率が取れなければ世間の風は冷たい。

永久保存版で・・・ソフトが売れればいい戦略も・・・これだけ録画技術が進歩するとアレだよな。

コアなファンの絶対数そのものが拡散気味だしな。

それでも・・・楽しめるものは楽しみたい。

75だから・・・ツインテールもOKなのだ。

で、『リスクの神様・第3回』(フジテレビ20150722PM10~)脚本・橋本裕志、演出・城宝秀則を見た。国際社会はひとつのリスクである。自国の法概念が及ばぬ他国がある以上、隣の住民とのトラブルは死活問題となる。「俺のものは俺のもの・・・お前のものも俺のもの・・・逆らうなんて・・・身の程わきまえろ」と実力者に凄まれたら土下座するのが基本だからな。「あの・・・あまり・・・ひどいことしないでください」「なんだと・・・一人前の口聞くんじゃねえよ・・・日蔭者が・・・」なのだな。いつか・・・人民帝国が崩壊しますようにと・・・祈る他はないのである。

夜の海はリスクに満ちている。

衛星監視システムによって・・・自社船舶管理部が位置を把握しているサンライズ物産所有・船舶「おざしきブルー」から次期総裁候補の一人で民自党・総務会長の薮谷虎之助(名高達男)は携帯電話をかける。

「まずい・・・ことになった・・・」

薮谷議員と太いパイプでつながっているサンライズ物産社長・ 坂手光輝(吉田鋼太郎)は危機対策室長・西行寺智(堤真一)に出動を要請するのだった。

サンライズ物産所有・船舶「かいそくレッド」に乗艇した渉外担当の結城(森田剛)は現場に急行するのだった。

「座礁事故発生。乗組員は全員負傷・・・ただし、死者はない。お客さん1号は意識不明。同伴者あり・・・なお、事故原因は漁船との衝突回避によるもの。該当船舶は最寄りの港に退避中であることが水上レーダーで確認されている」

サンライズ物産所有・ヘリコプター「あさやけ075」で現場に急行した西行寺と神狩かおり(戸田恵梨香)は漁船の乗員に接触する。

「無灯火航行だったとか・・・」

「・・・」

「いえ・・・事を荒立てるつもりはありません・・・穏便にすませたいので・・・事故はなかったことにするということでよろしいですね」

口止め料を渡す西行寺。

「こちらにサインをお願いします」とかおり・・・。

その頃・・・サンライズ物産の広報部では・・・次期イメージ戦略の「顔」として起用した清純派アイドル・北条ちなみ(新川優愛)の広告展開の社長試写の時を迎えようとしていた。

「サンライズ物産は・・・あなたの未来計画をお手伝いします」

しかし・・・社長に急用が発生し・・・スケジュールはキャンセルされる。

北条ちなみを「サンライズ物産」の「顔」に起用した広報部主任の橘由香(山口紗弥加)はすぐそこに迫る危機に鈍感だった。

「ごめんね・・・忙しいのに・・・」

「いえ・・・今日はのんびりできて・・・うれしいです」

「美味しいものでも食べる」

「いえ・・・せっかくなので自宅休養します」

橘は・・・ちなみと公私ともに親密だと信じていたが・・・それは錯誤だったのだ。

橘は・・・危険ドラッグの愛好家で恋人の映画スタッフ・高原(若林誠)と危険な情事を楽しみたいと思っていたのである。

しかし・・・高原は許容量オーバー吸引を行い、出血して昏倒するという緊急事態に至るのだった。

「助けて・・・」

「・・・どういうこと」と呼び出された橘。

「友達にDVDを借りに来たら・・・死んでた」

「事務所には・・・」

「事務所に言う前に・・・橘さんの顔が浮かんで・・・」

「死んでいない・・・なんとかするわ・・・あなたはこのまま帰宅して・・・」

コロッと騙される橘だった。

しかし・・・すべては怪しいライター・大友(岡部たかし)に監視されていたのだった。

サンライズ物産経営・総合病院「あけぼのホスピタルセンター」に藪谷議員と同伴者(エミ・レナータ)を収容した西行寺。

「社長命令で参りました・・・事情をお話願えますか・・・頭部の裂傷と脚部骨折で・・・全治一ヶ月と診断されていますので・・・いつまでも風邪で緊急入院では・・・すみません」

「君に話すことはないよ」

「お連れの女性は・・・何者ですか」

「連れなんていないよ」

副室長の財部(志賀廣太郎)が現れた。

「あの・・・謎の女性に逃げられました」

「まずいな」

調査主任の種子島(古田新太)が現れた。

「マリーナで・・・二人を目撃した人間が複数いる。そのことで新聞記者が動いている。ちなみに・・・藪下議員は・・・サンライズ物産の不祥事を政治的圧力で揉み消した過去があり・・・坂手社長とは一蓮托生の関係だ」

「最悪だ」

結城は・・・謎の女が残した携帯ツールの解析作業を開始する。

「これは・・・特殊工作員なみの防壁処置がしてあるな・・・」

「・・・消滅するのか」

「いや・・・それはないけど・・・解読に時間がかかるよ」

「まさか・・・某国得意のハニー・トラップか」

「・・・」

新人であるかおりは・・・コンプライアンス的な意義を申し立てる。

「交通事故を当局に報告しなかったり・・・政治家のスキャンダルをもみけしたり・・・それが仕事と言えますか」

「仕事そのものだ・・・」

「・・・」

「政界と癒着した財界なので・・・墜落する時は一緒なんだから」

「ですよね」

その時・・・かおりに橘からの連絡が入る。

「助けて・・・」

事情を聴取した西行寺は煙幕を展開する。

「深く関わるべきではなかったな・・・事務所にまかせればよかった・・・」

「でも・・・ちなみはトラブルにまきこまれただけなのよ・・・イメージ戦略的にもダメージは避けるべきだった」

「とにかく・・・あなたが関与してしまった件に関しては対処しよう・・・」

安堵する橘。

「タレントのスキャンダルをもみけしたりするのが仕事なのかとは問わないのか」

「・・・それが仕事なのでしょう」

「その通り・・・」

記事にするより強請の方が金になると考えたライターに口止め料を払う西行寺。

「あなたは・・・この情報を得るのに何日使いましたか・・・」

「二日だよ・・・日当にすれば一千万円だ・・・」

「こちらにサインをお願いします」とかおり・・・。

しかし・・・翌日・・・ちなみと高原の不健全な関係はスクープされてしまうのだった。

病院前に展開していたレポーター陣は・・・「アイドルのスキャンダル」を求めてハエのように飛び去る。

「あの件を利用したのですね」とかおり。

「火のないところに煙は立たない・・・チャレンジ精神に満ちた芸能人の・・・リスク管理は・・・プロフェッショナルでも失敗するものだ・・・なにしろ・・・自分で火に飛びこむ人種が相手だ・・・まだ・・・男が死んでいたら死人に口なし・・・という手もあったが」

「死んだら死んだで面白おかしく書きたてられますよ」

「まあな・・・これで時間が稼げますよ」

「彼女たちはどうなるんでしょう・・・」

「橘くんは・・・おそらく飛ばされる・・・橘くんのお気に入りは・・・ラスベガスでストリッパー修行でもすればいい・・・」

「優先順位ですか・・・」

「凍傷で死ぬよりも・・・局部を切断する外科的施術だ・・・」

謎の女の携帯を解読した・・・結城。

「何語だ・・・これ」

「ベニグスタン(フィクション)語ですね」とかおり・・・。

「語学マニアかっ」

「鉱物資源が豊富なので・・・交渉を模索したことがあります・・・日本とは国交がなく・・・旧ソ連がらみの悪評高い独裁国家なので・・・ゴーサインが出ませんでした」

結城はサンライズ物産所有・スーパーコンピューター「よあけ2010」で検索する。

「女は・・・ベニグスタンの高級官僚だな・・・ロシアとの経済援助交渉の会場に補佐官として同行している」

「つまり・・・秘密外交か・・・」

「ただの女遊びじゃなかったんですね・・・」

「その線で記者会見を開き・・・幕を引く」

藪谷は夫人同伴で謝罪会見を開く。

「ええ・・・行きつけの店の女の子と・・・妻に内緒でデートしまして・・・船が座礁して・・・この通りです・・・隠し事は・・・天罰覿面ですな・・・女房・・・妻にこってりしぼられました」

「役者だなあ」

「政治家だ」

橘は海外に飛ばされて国際空港に・・・見送るかおり。

「結局、醜聞をもみけすことができず・・・すみません」

「仕方ないわ・・・あの子はあばずれだったもの・・・私・・・若い女の子に弱いの・・・」

「そ・・・そっち系ですか」

「でも・・・きっとリベンジするわよ・・・あなたも頑張ってるんですものね」

「・・・」

橘が出国すると・・・海外出張していた坂手社長が帰国する。

出迎える西行寺。

上昇志向の強いかおりはうっとりする。

その傍らを謎の女が出国ゲートにむかって歩み去る。

だれもが夕焼け前に素知らぬ顔で別れて行く・・・。

「私たちの仕事は・・・あらゆる可能性を考える・・・そして苦渋の選択をする・・・ですか」

「あらゆる仕事がそうじゃないのか」

「・・・」かおりは質問に対する質問に答えなかった。

答えることには常にリスクがあるからである。

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2015年7月22日 (水)

良識を求めて悪事を知る(窪田正孝)みつめる死神の目金色に光る(佐野ひなこ)Lのために(優希美青)

ついに浸食してきたな・・・。

「37th ホリプロタレントスカウトキャラバン2012 〜夢をつかめ! あなたもディズニープリンセス〜」でグランプリの優希美青よりも落選した佐野ひなこの方が目立っている展開である。

まあ・・・N(優希美青)とメロの腹話術コンビも一部お茶の間に熱狂的に注目されているみたいだぜ・・・。

とにかく・・・曜日後退で首の皮一枚のこったな・・・。

(月)「ピーチ姫を救え恋仲」

(火)未定

(水)「リスク」

(木)「TのT」

(金)未定

(土)「ど」

(日)「花」

というラインナップで・・・。

「表」「民」「DN」が残り二曜日を争う展開・・・。

夏だな・・・夏だ。

で、『・第3回』(日本テレビ201507192230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・西村了を見た。「イチゴBERRY」(フィクション)のアイドルとしての立ち位置が曖昧な・・・このドラマ・・・お茶の間的には「地下アイドル」風なのだが・・・脚本的には「国民的アイドル」風でもある・・・結局、演出力とか予算が・・・「イチゴBERRY」の立ち位置を曖昧にしているんだなあ・・・。本来「デスノート」的ミサミサファッションは・・・ゴスロリ風であり・・・そのままの死神リュークはパンク風である。そしてレムはビジュアル系・・・そういう意味ではミサミサは「BABYMETAL」風でよかったんじゃないのか。しかし・・・仕上がりは「まなみのりさ」風なのである。

ちなみにミサミサ以外のメンバーは・・・足立梨花がグランプリを受賞した「32th国民みんなDEスカウトキャラバン!2007」で落選した真凛が演じる工藤芹夏・・・。倉科カナの三歳下の妹・橘希が演じる北野マコである。

ホリプロが・・・アイドルについてのこういうイメージを持ってるんだな・・・ということはなんとなくわかる・・・。

「ミサミサ」の他は「マコ」と「セリナ」なのだ・・・昭和かっ。

Lこと天才探偵L(山崎賢人)の仕掛けた罠にまんまとひっかかっていくライトこと夜神月(窪田正孝)・・・。

「君がキラなんでしょ・・・」と言われて蒼白なのである。

「もう・・・だめだぴょ~ん」と自暴自棄寸前なのである。

もちろん・・・冷静に考えれば・・・「顔見知りの名前を書くだけで人が死ぬノート」がこの世にあることが実証されなければ・・・ライトが殺人犯であることのなんの証拠もないわけである。

一方、ある意味では・・・「デスノート」の存在を知らないのに・・・そういうことがあると推理するLも少しおかしいわけなのだが・・・それだけは禁句なんだな。

じっくり考えて・・・そのことに思い当たったライトは机を改造してデスノートを隠し・・・もしもの場合には証拠隠滅する装置を自作するのだった。

「夏休みの宿題としては・・・凄い出来だろう」

「小学生かっ」

「基本的に・・・テレビ実写版は小中学生がデスノートを手にいれたら・・・という話なんだと思うよ」

「お前・・・誰だよ」

「高校生だけど小学生の探偵だよ」

前世が死神上司だった夜神総一郎(松重豊)は息子が・・・超連続殺人鬼キラだとは知らずに・・・捜査関係者の家族というだけで・・・Lに疑われた息子を不憫に思うのだった。

死神くんは思う。

「あんたの・・・息子さん・・・悪い死神にとりつかれてますよ・・・」

しかし・・・真面目な死神くんにそれを告げることはできないのだった。

Lは「名前を知られたら危険」と仏の模木完造(佐藤二朗)、久しぶりの日村章子(関めぐみ)、ちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)、偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)・・・総一郎の部下の捜査員たちに偽名の警察手帳を渡すように・・・ワタリ(半海一晃)に命じる。

基本的にデスノートの脅威は・・・指導者の暗殺方法としては別格の機能性を持つということだ。

実名を基本とする政治家などはターゲットになりやすい。

「名前と顔だけで殺せる相手」がいることを信じれば・・・たやすく脅迫に応じる者は多いだろう。

そういうことは考えず・・・あくまで「凶悪犯狙い」のライト・・・純情可憐である。

しかし・・・自分を守るためには・・・相手を選ばなくなりつつあるのだった。

ライトのターゲットは・・・「悪」から「敵」にチェンジしていた。

父親に買ってもらった玩具のトランシーバーがライトにヒントを与える。

「彼の名前は知らないが・・・彼の恋人は知っている」

友人の誘いに乗り・・・「イチゴBERRY」のライプに出かけたライトは・・・FBI捜査官(尚玄)を脅迫する場所を下見する。

しかし・・・白い死神レムから赤いデスノートを与えられたミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)は「氏名と寿命が見える死神の目」を寿命の半分と引き換えに入手していた。

死神の目によればデスノート所有者の寿命だけは見えない。

ライブ会場で・・・ミサミサは・・・観客の一人・・・「夜神月」こそが「キラ」であることを確信する。

「キラが・・・私のファンだったなんて・・・」

「確信かよ・・・」

「マコやセリナのことは無視かよ」

ライトはFBI捜査官を脅迫会場に招く。

トランシーバー経由でボイスチェンジャーを使って指示するライト。

「あなたの恋人を殺すことができます」

「・・・」

「あなたの所持品をすべて・・・テーブルにおいてください」

「・・・」

「イヤホンも外して・・・」

「・・・」

「携帯ツールで・・・来日中のFBI捜査官の氏名をダウンロードしなさい」

「・・・」

「顔を確認しながら置かれている紙片にその名前を書き込み・・・最後にあなたの名前を書きなさい」

デスノートの紙片の上に普通の紙でマスキングをして・・・渡したライト。

「夜神月」と書かれたらどうするつもりだったのだ。

演出的には・・・マスキングの紙は黒であるべきだったな。

恋人の命が仲間の命より大切な捜査官だった・・・。

もちろん・・・自分の命も惜しいので書かなかった。

「ゴミ処理場で死ぬ」という文言をマスキングの下から見つけ出す捜査官。

仲間たちが次々と死んでいくと知りつつ・・・死んだフリでライトを待ち伏せである。

「お前が・・・キラなのか・・・」

「ず、ずるいぞ」

捜査官に素手で立ち向かうが・・・無理ゲーなのである。

「俺は彼女を守るためにここでお前を射殺する」

「ひどい・・・じゃないか」

「お前に言われたくない」

しかし・・・捜査官は心臓麻痺で死亡する。

「どういっこっちゃ」

「お前以外にも現れたんだよ・・・キラが・・・つまり・・・第二のキラが・・・」

「ええええええええええええ」

立ち去るライトとリュークを見つめる・・・ミサミサ・・・。

「なんで助けたんだ・・・」とレム。

「私の・・・両親の仇を討ってくれた・・・私の神様だから・・・」

その頃・・・Lは口紅を塗り直した。

「みんな死にましたな・・・」

「・・・」

「FBIは捜査から手を引きたいと・・・」

「日本ローカルな問題にしないと予算が不足するからな・・・米国が味方殺されて黙ってひっこむかよ・・・実際には」

「屍を乗り越えて前進が国是ですよね」

その頃・・・Nは・・・。

「・・・あれ・・・声が・・・遅れて・・・」

「キラを俺がみつける」とメロ・・・。

「そして殺すのね」

一部お茶の間、熱狂である。

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2015年7月21日 (火)

恋仲(本田翼)僕は戦わない(福士蒼汰)マゾの転校生(野村周平)

さて・・・どうしようかなあ・・・。

なんちゃって高校生トリオの織り成す青春絵巻からの・・・ベタベタメロドラマの開幕である。

ヒロインの可憐さから言えば・・・文句なしなのである。

悪魔の虜囚となって辱しめられたヒロイン。

そんな哀しいヒロインを・・・魔的な呪縛から・・ちょっと情けない感じの主人公が恋の魔法を駆使して解き放つことができるのか・・・。

まさに・・・エロゲの世界なのである。

あるいはスーパーマリオの世界なのである。

もう・・・「LOVE理論」の世界そのまんまなのだ。

いやあ・・・これを選択して完走できる自信はあまりないなあ。

果てしないくりかえしの世界が待っているのだろうしなあ・・・。

(月)「恋仲」(仮)

(火)「DN」(仮)

(水)「リスク」

(木)「TのT」

(金)未定

(土)「ど」

(日)「花」

暑いので・・・結論は先延ばしにしたいのです。

それ・・・主人公的な選択だぞ・・・。

で、『・第1回』(フジテレビ20150720PM9~)脚本・桑村さや香、演出・金井紘を見た。そもそも初恋が実らないのは・・・①こわいもの知らずの高め狙いのバッターが②三振の山を築くからである。当然、高め同志は実っていることは言うまでもない。幼馴染の二人。男子は昔はチビだったけれど今は水泳部のエース・・・ただし本番には弱い。女子はコミック「ワンピース」の好きなボーイッシュな社長令嬢・・・ただし社長は小林薫である。二人は高校生にんって・・・ようやく・・・恋の相手として互いを意識する・・・お似合いの二人なのである。しかし・・・そこに・・・兇悪な転校生がやってきて・・・二人は引き裂かれてしまうのだった・・・。

すごい話だな・・・。

それにしても・・・極悪な転校生・蒼井翔太を演じる野村周平・・・発達障害の男とか・・・リベンジポルノも辞さないストーカーとか・・・そういう役柄定番にしているのか・・・。

富山のとある高校・・・。

全校生徒の期待を背負った水泳部のエース・三浦葵(福士蒼汰)は大事なレースでフライングをする本番に弱い男・・・。

幼馴染の芹沢あかり(本田翼)を女として意識しているが・・・そのことを表現する勇気も自信もないのだった。

あかりは・・・葵の心はお見通しだが・・・なるようになるはずだと・・・その時を待っている。

しかし・・・恋の道が平坦ではドラマにならないと信じるスタッフたちは蒼井翔太を東京から召喚するのである。

葵もあかりも・・・暖かく転校生を迎えるが・・・邪悪な転校生は邪な目であかりをロック・オンするのだった。

「花火大会に誘ったら交際申し込み」という「告白できない人のための救済処置」により・・・ついに・・・葵はあかりへのアタックを開始する。

しかし・・・あかりの父・寛利(小林薫)は危ない筋から借金をして・・・会社は倒産寸前だったのである。

あかりを密かにマークしていた蒼井翔太は・・・借金とりから逃げ出した葵を捕獲・・・翔太の前でこれみよがしに・・・慰める。

二人の仲を怪しんだ葵は・・・失恋ラーメンに逃避するのだった。

そういう状況を悟ったあかりは・・・蒼井翔太の魔手を振りほどき・・・花火の下を葵の元へ・・・急ぐ。

「浴衣・・・似合ってないでしょう・・・」

「そんなことな・・・」

あかりはファーストキスを葵に捧げる。

しかし・・・翌日芹沢一家は夜逃げするのだった。

それから・・・七年・・・「あかりが描いた理想の家」を作るために建築家になった葵だった。

あかりが消えた夏を・・・胸に秘めて淋しく過ごしてきた葵・・・。

しかし・・・葵は引越し先を・・・メモに残していたのだった。

それを・・・悪魔が強奪していたのである。

七年目・・・突然・・・葵を訪ねてきた蒼井翔太・・・。

「僕の恋人を紹介するよ・・・芹沢あかりだよ」

あまりにベタな展開に気絶するお茶の間の人々・・・。

葵の周辺には妹の大原櫻子をはじめとして新川優愛、山本美月、吉田羊なども配置されているが・・・最終回、葵がどんな風にゴールを決めるのか・・・それだけのために1クールなのである。

うわあ・・・だな。

あかりは失われた「本」を発見するよねえ。

葵はもう「かけら」を読めないんだよね。

傷つきたくなくて大けがするんだよねえ。

東京のアオイは・・・証拠の品を捨てられないんだろう。

愛されなくても愛せるタイプだからな。

最高に傷つく瞬間を待ってときめくんだな。

マゾだもんな・・・。

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プロポーズ大作戦

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2015年7月20日 (月)

きみがためつくせやつくせおのがこのいのちひとつをなきものにして(生田絵梨花)

元治元年(1864年)十一月十一日。

徳山藩預かりとなっていた益田親施、国司親相の両家老が切腹を命じられる。

益田氏は長州藩永代家老の家柄である。禁門の変の敗軍の将となった親施は益田家の第三十三代であった。

国司親相は高洲氏の出自で五千六百石の国司迪徳の養子となった。長井雅楽の切腹検視役正使を務めた男である。京都から長州に帰還したのは・・・最後に腹を切る覚悟であったと伝えられる。享年23・・・。その辞世はストレートすぎて・・・泣ける。

二人とも藩主・毛利敬親から親の字を偏諱として授かっている。

十一月十二日。

福原元僴は岩国藩において切腹。

福原氏は毛利元就の生母の実家であり、益田氏と同じく永代家老の家柄である。

家臣としては名門中の名門の出身であった。

幕府軍の要求に応じ・・・三家老が切腹して果てたのは・・・すべて・・・藩のため・・・藩主のためである。

それが江戸時代の武士というものだからである。

で、『燃ゆ・第29回』(NHK総合20150719PM8~)脚本・宮村優子、演出・安達もじりを見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついにキター!・・・石橋の杏奈氏が演じる長州藩奥御殿御次・お鞠の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。実に凛としてますな。今回の演出家は結構・・・狙ってくるタイプですからな・・・最後に平成時代に転生して初森ベマーズとなる側室候補生全員集合場面では・・・クローン軍団かよっ・・・と一同大爆笑でございましたぞ~。まあ・・・本編の方はダイジェストにつぐダイジェストでアレでしたが・・・聞多暗殺未遂シーンがあり・・・不死身人間ファンとしては感涙でございました・・・。妄想するぞ、妄想するぞ、妄想するぞ・・・でございます。

Hanam029元治元年(1864年)七月、朝廷は幕府へ対して長州追討の勅命を発す。八月、尾張藩主・徳川慶勝が征長総督に任じられる。十月、慶勝は上洛して天皇に拝謁・・・スローペースである。この間・・・九月に・・・薩摩藩は長州藩の準支藩である岩国藩の吉川監物経幹と事前交渉を開始する。吉川監物は恭順姿勢を示し・・・長州藩に降伏を勧告する役目を担う。征長軍の軍事顧問である西郷吉之助は大軍勢による軍事的圧力により「戦わずして勝つ」方針を慶勝に進言し、慶勝の同意を得ていた。吉川監物は山口舘にて長州藩に幕府の要求を伝える。これに対し、下関に割拠する諸隊は武備恭順(武装解除に応じない)を主張、椋梨籐太ら謝罪恭順(無条件降伏)を主張する派閥は主導権を得るため、九月二十五日、井上聞多を暗殺未遂。同日、免職された周布政之助は切腹する。これによって・・・藩論は謝罪恭順に傾き、恭順の意を示すために藩主親子の萩城帰還が決定する。高杉晋作は父・小忠太か謹慎を命じられたと知ると直後に出奔する。長州藩・椋梨籐太は吉川監物とともに戦犯である三家老の首を征長総督に届け出る。西郷吉之助の謀略は圧倒的な勝利をおさめたのである。

「武装解除に応じれば・・・もはや長州に未来はありません」

井上聞多は御前会議で熱弁を振るう。

それを無表情に見つめる椋梨籐太の心を美和は読んでいた。

(この期におよんで・・・無用なことを・・・)

籐太は徹底抗戦など無意味だと見切っていた。

(攘夷の戦も馬鹿げていたが・・・禁門の戦も愚かなことだ・・・このままでは長州は滅びる)

しかし・・・籐太がさほど長州の行く末を案じていないことも美和は読みとっている。

(長州はひたすら恭順し・・・幕命に従う他はない・・・最終的には・・・東の僻地で・・・小大名になるだろう・・・)

籐太の思考は・・・長州藩の家臣というよりは・・・幕臣に近いものであった。

小早川隆景死後に毛利氏家臣となった小早川氏庶流椋梨氏の血をひく籐太は歴代の草のもの・・・公儀隠密なのである。

その正体を隠し・・・萩に潜む・・・名門派閥を操る籐太は成り上がり者を憎む上士たちをけしかけていた。

(すべては・・・実力主義の人材登用の弊害でござろう・・・そういうものを排除しなければ・・・長州藩は滅びますぞ・・・)

籐太は上士たちの主力である先鋒隊による井上聞多暗殺を画策する。

山口屋敷を出て・・・高杉晋作の潜む小屋へ出向いた聞多は・・・殺気を感じる。

「なんだ・・・俺の口を封じにきおったか・・・」

「問答無用」

十人の忍び装束の刺客が聞多を包囲する。

聞多は抜刀する。

その瞬間、背中に矢が突き刺さる。

「痛いではないか・・・背後から・・・飛び道具とは・・・卑怯な」

聞多の眉間に矢が尽き立つ。

「む」

男たちは殺到した。

後ろから前から・・・そして左右から・・・聞多は滅多切りとなる。

さらに前後から槍が繰り出される。

聞多は心臓を一突きにされる。

腕達者な刺客は突いた槍を引きぬく。

鮮血がほとばしり・・・聞多は昏倒した。

男たちは聞多にとどめを指し・・・その息が絶えたことを確認すると・・・無言で立ち去って行く。

やがて・・・闇が聞多を隠して行った。

そこへ・・・乞食に変装した高杉晋作がやってくる。

「お・・・これは・・・聞多・・・」

周辺に漂う血の匂いに・・・晋作は思わず合掌する。

「成仏しろよ・・・」

「誰がだ・・・」

晋作は唖然とした。

聞多の眉間を貫いていた矢がパサリと音を立てて地面に落ちた。

聞多はむっくりと起きあがった。

「いててて・・・・」

「・・・」

「おい・・・晋作・・・手を貸してくれ・・・」

「・・・お前・・・不死身という噂は本当だったのか・・・」

「さあ・・・とにかく・・・まだ死んだことはないな・・・」

聞多は闇の中でニヤリと笑う・・・。

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2015年7月19日 (日)

生きていることに何の価値がなくても生きていてもいいですか?(松山ケンイチ)死ね(前田敦子)生きろ(満島ひかり)

ひろし・・・フーテンの寅さんに・・・なりきりすぎである。

今日は実弟が来て・・・強制的に大掃除である。

いや・・・別に少しくらい書斎が汚れていても生きていけるわけだが・・・。

そういう甘えは許されないのだ。

健全な部屋に健全な魂が宿るらしい。

オリンピック精神か・・・。

小学生の頃から・・・体育会系の実弟なのである。

ひろし・・・キッドもどこか遠くへ脱走したいよ・・・。

西に金色の落日・・・東に巨大な虹のアーチ・・・あれはメルヘンランドのゲートじゃないのか・・・。

で、『ど根性ガエル・第2回』(日本テレビ20150718PM9~)原作・吉沢やすみ、脚本・岡田惠和、演出・菅原伸太郎を見た。2015年のVFX技術凄いな・・・先週も言ってたぞ。一瞬・・・そういうTシャツを着ているだけに見える場面での・・・ピョン吉の瞬きひとつでも・・・思わずドキッとさせられる完成度である。ひろし(松山ケンイチ)、ひろしの母ちゃん(薬師丸ひろ子)に続いて京子ちゃん(前田敦子)もピョン吉(満島ひかり)Tシャツを着るわけである。何もないTシャツと会話する演技において、常に実力が試されるのである。今回は・・・ピョン吉の寿命を感じさせるシーンで・・・「おとろえ」に京子ちゃんが気がつかない・・・間が素晴らしかったな。実写とのバランスを考えた演技プランも・・・アイディアに満ちていたようだ。思わず・・・筋を追えなくなる面白さの連続なのだ。

「京子ちゃん、結婚してくれ」

「お断りします」

「俺はあきらめねえ」

・・・からのいつもと変わらぬひろしの朝である。

「あきらめないって期待させておいて・・・」とガッカリの母ちゃんとピョン吉だった。

「人間・・・そんなに簡単に変わらねえよ」とひろし・・・お前な・・・展開。

「働かざるもの食うべからずだよ」と恫喝する母ちゃん。

「そんなら・・・食べない」と小学生まで退化したひろしだった。

結果として・・・朝食抜きで「家出」をするひろしなのである。

母ちゃんとピョン吉はため息をつく。

母ちゃんはほころびかけたピョン吉をそっと撫でる。

ピョン吉は母ちゃんが何かに気が付いているのではないかとハッとする。

女優と絵にかいたカエルとは思えない情感の描写だ・・・。

家出したひろしは・・・ゴリライモのパン工場へ出勤途中の京子ちゃんと出会う。

「京子ちゃん・・・お腹すいてないかい」

「どういう・・・朝の挨拶よ・・・プロポーズは断ったでしょう」

「でも・・・友情はかわらないだろう・・・」

「友情・・・」

「そうさ・・・たとえば・・・友達がお腹をすかせていたらほっとけないような」

「最低・・・あなたなんて・・・生きているだけで地球の資源の無駄使いよ」

「ひでぶ」

「せめて・・・働きなさいよ」

「そんな・・・無職のラッパーの彼女みたいなこと言って・・・」

「私はあなたの彼女じゃないの・・・これから出勤なのよ」

「ちぇ・・・」

仕方なく・・・学校に向かうひろし・・・。

教師生活四十一年目になっている町田校長(でんでん)、梅さんのプロポーズを待ち続けて十六年、四十歳になってしまったよし子先生(白羽ゆり)は生温かく迎え入れ、給食を振る舞うのだった。

そこへ、梅さん(光石研)がやってきて・・・。

「け・・・・・剣道がしたい」

剣道場で激しく打ち合う梅さんとよし子先生だった。

街へ出たひろしは・・・ゴリライモこと五利良イモ太郎(新井浩文)と遭遇。

ゴリラパンの美味しさを褒めあげた上で・・・ゴリラパン販売車一号を強奪する。

ひろしは・・・旅に出るのだった。

パン工場の昼休み・・・ピョン吉Tシャツを着た母ちゃんは・・・京子ちゃんとランチタイムを楽しむ。

「ひろしが・・・迷惑かけてごめんね」

「いえ・・・」

「あの子も・・・一度は就職して会社員になったこともあるんだよ・・・」

「え」

「営業の仕事でね・・・成績もよかったんだ・・・でも・・・同僚に営業成績の振るわない子がいてね・・・ひろしを見習えとかなんとか言われた後で・・・会社を辞めちゃって・・・それ以来・・・ひろしも・・・」

「優しさの方向性が間違っているんですよねえ」

「そうなのよ・・・でも・・・いい子だとは思うんだ・・・他人様のものに手を出したこともないし・・・」

そこへ・・・警官の五郎(勝地涼)がやってくる。

「大変でやんす・・・ひろし先輩が車泥棒したでやんす」

「えええ」

ゴリライモはあわてずさわがず・・・社長室へ・・・。

「大丈夫ですよ・・・警察沙汰とかにはしませんから」

「社長・・・ありがとう」と母ちゃん。

「ごめんね」と京子ちゃん。

「なんで・・・京子ちゃんが謝るんだ」

「私・・・今朝、ちょっとひどいことを彼に言っちゃったから」

「・・・」

ゴリライモは思う。なんで・・・ひろしに勝てないのかと・・・。

脇役だからだよ・・・とシャアがつぶやくのだった。

気を取り直すゴリライモ。

「ははは・・・簡単には逃げられませんよ」

販売車の移動先は・・・GPSで筒抜けだった。

「私・・・追いかける」と京子ちゃん。

「俺も連れてって」とピョン吉。

こうして・・・二人の追手は旅立つのだった。

「ひろしのやつ・・・高速道路で福島方面に向かったぞ・・・」

「ああ・・・死んだ父ちゃんの故郷だから・・・」と母ちゃん。

ひろしは・・・ゴリラパンをたたき売りながら・・・東北方面に向かうのだった。

「東京の立石から参りましたゴリラパン・・・今日はもってけ泥棒三十円でお買い得」

まあ・・・完全に犯罪者です。

福島の田園で旅を満喫するひろし・・・。

たまたま・・・出会った農家の夫婦に声をかけられ・・・ちょっとした労働をして・・・美味しい握り飯にありつくのだった。

「働いて食べるごはんって・・・うまいんだなあ」

「あんたさえ・・・よかったら・・・明日も手伝うかい」

「そうしたいのは山々だけど・・・俺がいないと何にもできない相棒とか・・・俺がいないと泣いちゃう彼女とか・・・俺に頼り切りの母ちゃんがいるんで・・・帰らなければならないのです」

その言葉を立ち聞きして怒り心頭に達するピョン吉と京子だった・・・。

その時、停めてあったゴリラパンの車が畦道の下り坂を落ち始め・・・田圃のカエルたちに危機が訪れる。

本能的に危機を察したピョン吉は・・・ひろしに衣装チェンジを求めるのだった。

路上生着替え(露出なし)にトライする京子ちゃんだった。

転落しかかる車をど根性で支えるひろしとピョン吉。

カエルたちもジャンピング・ボディ・アタックで助力する。

こうして・・・田園の平和は守られたのだ・・・。

お日柄もよろしく・・・なんとなく親密になって帰還する一同だった・・・。

穏やかに過ぎて行く日々・・・。

しかし・・・変化しないものなど・・・この世にはないのだ・・・。

ファンタジー世界に忍びよる・・・時の流れという現実・・・。

やがて・・・すべての人生・・・かえるも含めて・・・は永遠の秘密になる運命なのである。

なんだ・・・もう・・・哀しくなってきたのか・・・。

最終回までは・・・まだ・・・ひと夏あるじゃないか・・・。

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2015年7月18日 (土)

表参道高校合唱部!(芳根京子)あまりん参上!(森川葵)痛いことするわよ!(吉本実憂)

昨日、生きながら焼却炉に放り込まれた女が今日は泥水かぶってジャンプである。

エネルギッシュなデビュー・シーズンだな。

そして・・・初森ベマーズ敗れたり!

(金)は激しいバトルだな。

(月)未定

(火)未定

(水)「リスク」

(木)「TのT」

(金)未定

(土)「ど」

(日)「花」

・・・結構・・・つまってきたな。

思いきって(月)「初森」(火)「表参道」にすれば・・・スポーツ系と文化系のJKシリーズで夏っぽいぞ・・・。

(金)は「民王」次第か・・・。

(月)が「月9」なら・・・(火)「DN」という手もあるぞ・・・谷間はないけどな。

ああ・・・明日はもう・・・東京は夏のような気がするよ。

で、『表参道高校合唱部!・第1回』(TBSテレビ20150717PM10~)脚本・櫻井剛、演出・石井康晴を見た。説明の多いドラマは設定の多いドラマなんだよなあ。そういう意味ではゴチャゴチャしすぎているが・・・主役のキャラクター設定が・・・「私は負けない」で・・・見事にそれに応えている・・・「歌の語源は訴える」なんて件は・・・「学校のカイダン」のニュアンスになっている。まあ・・・「ママさんコーラス」より・・・「合唱にかける青春」の方が清々しいよねえ。とにかく・・・第1回は・・・あまりん、かわいいよ、あまりんに尽きるけどね。

どうでもいい設定その1。

「香川から来た香川真琴です」

香川県小豆島から・・・表参道高校に転校してきた真琴(山田望叶→芳根京子)・・・。なんとなく、わがままな母親・美奈代(堀内敬子)となんとなく、ダメな父親・雄司(川平慈英)が離婚協議中。故郷に妹の真弓(松本来夢)を残し・・・両親の母校で・・・家族の再生を「歌」で画策するらしい。

どうでもいいよねえ。

どうでもいい設定その2。

「合唱部は廃部寸前です」

合唱部の顧問はかって・・・小豆島の小学校で教育実習をした鈴木有明先生(城田優)・・・。真琴にとっては恩師だが・・・今はやさぐれて・・・熟女キャバレーの女(西川史子)にいれあげているらしい。なにやら・・・「人殺し」的な不祥事があったようだ・・・。

どうでもいいよねえ。

まあ・・・家族のこととか・・・教師のこととか・・・どうでもいいんじゃないのかな・・・青春にはいらないものだ。・・・おいっ。

さて・・・主人公は凹まない性格。世界は性善説で成り立っている。

転校初日・・・満員電車で痴漢にあっても・・・ステキ男子のトッキュウ1号こと夏目快人(志尊淳)が助けてくれるのだ。

まあ・・・悪魔は満員電車の痴漢は・・・いけないことだと考えます。

あえて・・・言うのか・・・。

祖父の原田万歳(平泉成)直伝の10秒ジャンプがあればどんな苦難も瞬間忘却です。

揺れは確認できませんでした。・・・おいっ。

教師陣は・・・なぜか合唱部を廃部にしたがる天草教頭(デビット伊東)、不熱心な担任えみり先生(神田沙也加)、明らかに主人公贔屓の大曽根校長(高畑淳子)というラインナップ。

新・音楽室で・・・ピアノを弾くクラスメートの桐星成実(柴田杏花)が教えてくれた旧・音楽室に・・・廃部寸前の合唱部の部室がある。

メンバーは・・・大きくなった白夜行の子役・相葉部長(泉澤祐希)、眼鏡っ娘担当の佐々木美子(萩原みのり)、ハーフの山田アンドリュー(瑛)である。

「入部します・・・合唱しましょう」

「部員が定員に達してない」

「募集しましょう」

「・・・」

ガンガン攻める真琴。

タレントでお天気女子高校生の優里亞(吉本実憂)を頂点とするスクール・カーストは完全に無視され・・・一流生徒たちは苛立つのだった。

優里亞の指示で手下の風香(小島梨里杏)とほのか(長谷川ニイナ)は嫌がらせを開始する。

香川の親友・杏子(葵わかな)のプレゼントしてくれた合唱CDを真っ二つ。

顔面粉砕してやればいいのに・・・ぴょんぴょんである。

伝統芸能である「キャリーのシャワー」では泥水の洗礼を受ける。

下半身切断してやればいいのに・・・ぴょんぴょんなのである。

極めつけは・・・一流と二流の境界線にいる里奈(森川葵)を使った潜入作戦。

生徒集会で合唱発表をする段階で・・・里奈が裏切るという段取りである。

優里亞は・・・天使の仮面をかぶった悪魔なんだな。

里奈は・・・密かに仮面のアイドルとして素晴らしいインターネットで人気を博していた。

しかし・・・素顔をさらす勇気がない子だった。

けれど・・・声で里奈の正体を見抜く・・・真琴だった。

「秘密にしてよ」

「好きなことをするのに・・・ためらいはいらない・・・時間がもったいないから」

「え」

いつしか・・・真琴に洗脳されていく・・・里奈。

土壇場で・・・優里亞は飼い犬に手を噛まれるのだった。

響き渡る・・・五人の合唱・・・。

美しいものは

みにくいものを

蔑んだりしない

美しいものは

ただただ美しい

すべてを見抜いているような・・・クラスの天使・快人・・・。

「優里亞・・・お前・・・また・・・痛いことやってるんじゃないだろうな」

「なんのこと・・・わからないわ」

「それならいいのさ・・・今の歌・・・感動したよね」

「ねえ・・・私と付き合う気はないの」

「僕は誰ともつきあわないのさ」

「・・・」

優里亞にとって世界は思い通りにならないことばかりだった。

そして・・・天使は病んでいるらしい。

そんなことは・・・真琴にはどうでもいいのだ。

真琴はただただ合唱がしたい女の子なのである。

だが・・・世界は天使と悪魔の魂争奪の戦場にすぎないのである。

人として真琴の苦難はまだ始ったばかりなのだ。

上がり目と下がり目のハルマゲドンの開幕である。

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2015年7月17日 (金)

生命力がありあまる女(北川景子)横浜チャイナタウンで肉まんひとつ食べさせてもらえない女(川口春奈)

中華パイとか中華もちとかギョーザとかシューマイとかホイコーローとか食べたいよねえ。

ロマンスカーに乗ってシュウマイ弁当食べて温泉に入りたいよねえ。

横浜から箱根に目的地変わってるぞ。

食いしん坊万歳だな。

横浜までおつかいして手ぶらで帰るなんて不憫すぎるよな。

大丈夫だ・・・きっとロケ終わりで中華料理のディナーを食べている。

そう信じたい。

とりあえず・・・現地について入口でチャーシューまん買ってしまった・・・そういう緩い息抜きが欲しいだに。

ドラマの生命力は緩急だからな。

で、『探偵探偵・第2回』(フジテレビ20150716PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・石井祐介を見た。2009年「豊橋ストーカー殺人事件」が発生する。かねてから変質者・岡尾芯也(岡田義徳)のストーカー被害にあっていた高校生・紗崎咲良(芳根京子)は都内から地方の親戚宅に避難していたが、居場所を特定され、岡尾容疑者によって拉致され、生きたまま焼却炉に投げ込まれ殺害される。岡尾容疑者も焼身自殺して事件は終焉する。しかし・・・咲良の姉、紗崎玲奈(北川景子)は妹の住所を特定した探偵の存在を知り、復讐を誓うのだった。

2015年、玲奈は探偵社「「スマ・リサーチ」の対探偵課員となっていた。

悪徳探偵の業務を妨害するのが主な業務である。

探偵業務は基本的にすべてが悪徳探偵の要素を含んでいるために・・・玲奈は業界中から憎悪の対象となる。

寮完備の就職先として「スマ・リサーチ」を選択したという峰森琴葉(川口春奈)は玲奈の助手として須磨康臣社長(井浦新)・・・。

しかし・・・「スマ・リサーチ」の探偵・桐嶋(DEAN FUJIOKA)は・・・履歴書から琴葉が咲良の同級生であったことを知る。

はたして・・・それは偶然なのか・・・桐島は疑問に思うのだった。

玲奈が妹から贈られた赤いマフラーのポーレット人形(クマのマスコツト)と・・・琴葉が所有する青いマフラーのポーレット人形・・・二つの人形が暗示する・・・琴葉と咲良の関係性・・・。ひょっとすると・・・咲良の居場所が特定されたことに琴葉は・・・。

日銀総裁の孫娘・吉池梨央(玉野るな)の誘拐事件が発生。

自宅前で拉致するという大胆な犯行だった。

警視庁は極秘に捜査を開始したが・・・変質者による犯行の可能性を視野に・・・民事訴訟関連の案件において独自の変質者のデータ・ベースを所持する業界最大手の「阿比留綜合探偵社」に捜査協力を依頼する。

「刑事が・・・民間業者に頼るなんて・・・」

縄張り意識の強い捜査一課の窪塚刑事(三浦貴大)が憤慨するが・・・坂東係長(相島一之)は「上からの命令だ」と教育的指導をするのだった。

事件に没頭するために・・・娘を実家の母(岡まゆみ)に預ける窪塚刑事。

しかし・・・犯行に使われた盗難車が付近で発見された以後・・・誘拐された幼女の行方は不明のままである。

玲奈に業務を妨害され、含むところがある「阿比留綜合探偵社」の阿比留佳則社長(ユースケ・サンタマリア)が「スマ・リサーチ」を訪問し・・・「お詫びの品」を玲奈に渡すように留守番をしていた琴葉に手渡す。

探偵課の土井課長(伊藤正之)から電波受信機による発信器検査を命じられた琴葉。

「電波発信検出・・・反応なしです」

「少なくとも・・・送信型の盗聴器の可能性はない・・・ということだ」

「と・・・盗聴器・・・」

仕方なく・・・玲奈に電話する琴葉。

「どこにいるんですか」

「横浜の中華街よ・・・頼みたいことがあるから来てちょうだい」

中華街で・・・ランチという魅惑の言葉が脳裏をかけめぐる琴葉だった。

「何を食べてるの」

「いえ・・・ショウロンポーが百円だったので・・・」

「・・・」

「何をしているんですか・・・」

「風景を撮影しているの」

「写真が趣味なんですか」

「定点で撮影して・・・人物を解析するのよ」

「誰かを探しているんですか」

「いいえ・・・不特定多数の誰かを・・・」

「どういうことですか」

「横浜中華街は基本的に中国共産党工作員の根拠地であるけれど・・・伝統に基づいて旧政権の組織や、チャイニーズ・マフィアの巣窟でもあるの・・・同時に国際的な犯罪組織の出張所でもある・・・」

「えええ」

「闇社会に片足つっこんでいる悪徳探偵も出入りしているわけよ・・・写真にランダムに映り込んだ人物の関係を整理することにより・・・チャイナタウンに潜伏した悪徳探偵の同行を読むのよ・・・」

「わけが・・・わかりません」

「とにかく・・・あなたはここで写真を撮るだけよ」

「私はデスクワーク専門なんじゃ・・・」

「たまには息抜きが必要でしょう・・・」

玲奈の真意を測りかねる琴葉。

「あの・・・これ・・・阿比留から・・・玲奈さんに・・・」

贈り物を取り出した琴葉・・・玲奈の顔色が変わる。

「なんで・・・もって来ちゃったの・・・」

「え」

「これは・・・おそらく・・・振動で発動する・・・GPSによる位置報告装置だわ・・・」

「でも・・・電波発信は未検出です」

「これは・・・ときどき報告して・・・ある程度の距離を移動すると連続報告するタイプだと思う」

「そんな・・・じゃ・・・私・・・」

「今、私たちは居場所を特定されている・・・あなたはすぐに・・・バスに乗って横浜駅へ・・・東京に帰り、寮に直帰しなさい」

「え・・・ランチは・・・」

「ここは危険なのよ・・・早く走って・・・バス停へ向かいなさい」

「はい・・・」

あわてて・・・走りだす琴葉。

しかし・・・たちまち披露困憊するのだった。

道行く人々がすべて凶悪犯に見えてくる琴葉。

そこへ・・・桐嶋が現れる。

「迷子か・・・」

「どうして・・・ここに」

「それは・・・秘密だ・・・とにかく・・・東京に帰ろう」

探偵たちはみな・・・怪しいのだった。

駐車していた社用車に戻る玲奈。

箱の中身は案の定、GPSによる現在位置報告装置だった。

「どんな・・・御礼をしてくるつもりかしら」

玲奈は挑戦に応じて人気のない埠頭に向かうのだった。

夕闇に包まれる横浜港。

停車していた玲奈の車に暴走トラックが爆走して接近する。

咄嗟の判断で切り抜けた玲奈の車は出現したブルドーザーによって海に突き落とされるのだった。

「殺しにきたか・・・」

たちまち、海中に没する車内で玲奈はハンマーを取り出す。

ウインドウを叩き割る玲奈。

「・・・」

海中を潜水したまま泳いだ玲奈は浮上し、闇の中を遊泳する。

充分に現場を離れた玲奈は上陸するのだった。

体内の酸素は限界に達していた。

ずぶぬれの衣装を脱ぐと玲奈は走りだした。

下にはジョギングスタイルを着こんでいたのだった。

最寄りの駅まで走りきった玲奈はタクシーを拾う。

「東京まで・・・」

タクシーの運転手は思わずニヤリとした。

琴葉の携帯電話に着信がある。

「玲奈先輩・・・」

(社長に電話して・・・車は今日の午後・・・盗まれたと・・・)

「え」

(そう言えば・・・わかるから・・・)

「・・・はい」

琴葉は何か恐ろしいことがあったことを直感した。

阿比留社長の元へ殺し屋が報告にやってくる。

「政治家が好き嫌いでものを言っちゃダメだよな」

テレビのニュースを見ながら阿比留はつぶやいた。

「しくじりました」

「失敗の報告って嫌いだなあ・・・」

「車ごと横浜港に沈めたんですが・・・」

「なんだよ・・・それなのに・・・失敗なの・・・」

「しぶといやつです」

「タフでなければか・・・」

消耗して帰還した玲奈の姿に・・・動揺する琴葉・・・。

「何があったんですか・・・」

「たいしたことはないわ・・・」

「ご家族は・・・心配しないんですか・・・」

「母は精神病院にいるし・・・父親は再婚間近なの・・・」

「・・・」

「私には・・・家族は必要ないのよ・・・」

ベッドに倒れ込む玲奈。

去来する過去の現実。

「そんな・・・男に付きまとわれていたことを・・・なぜ・・・黙っていた」

激昂する父親(矢島健一)・・・。

押し黙る在りし日の咲良。

「咲良は・・・お父さんたちに心配をかけたくなかったのよ」

「すぐに・・・警察に行こう」

「待って・・・あなた・・・そんなことをして・・・逆恨みされないかしら」

怯えた表情を見せる母親(宮田早苗)・・・。

「そんなこと言っている場合か・・・お前は口を出すな」

「でも・・・」

「大体・・・お前の育て方が悪いから・・・変な男に目をつけられるんだ」

「なんですって・・・きいいいいいいいいいいいい」

「うるさい・・・だまれ」

「きいいいいいいいいいいいいい」

「お母さん・・・」

「お母さんが・・・壊れた」

「きいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

錯乱した母親の声が夢の中の姉妹の胸をしめつける。

暗闇の中に浮かぶ顔のない男の影。

「愛知県豊橋市鴨田町在住・・・紗崎咲良・・・豊橋北高三年生・・・」

玲奈は声なき声で叫ぶ。

「お前か・・・お前が・・・死神か・・・」

妹の所在を変質者に教えた探偵。

妹を生きたまま焼かれる運命に導いた死神。

玲奈は息もできないほどの憤怒に包まれる。

「お前を・・・絶対に・・・許さない」

玲奈の元へ愛知県警の嘱託医・矢吹洋子(高岡早紀)から連絡が入る。

ホテルのラウンジで密会する二人。

「あなたに・・・どうしても伝えたいことがありました・・・」

「・・・」

「妹さんの御遺体と一緒に発見された死体は・・・DNA鑑定の結果・・・岡尾芯也のものとする報告書をお読みになられましたね」

「・・・」

「あの報告書には削除された但し書きがあったのです」

「但し書き・・・」

「死体は骨まで・・・高熱による組織破壊が及んでいたのです・・・DNA鑑定したのは・・・現場に残された毛髪でした」

「つまり・・・」

「死体が岡尾芯也のものであるというのは・・・あくまで推定です」

「・・・」

「実は・・・現在発生中の誘拐事件に関するDNA鑑定を行いました。逃走に使われた盗難車の遺留物によるものです・・・採取されたDNAが・・・岡尾芯也のものと一致したのです」

「なんですって・・・じゃ・・・岡尾芯也は・・・」

「生きている可能性があります」

玲奈は・・・新たなる事実に・・・一瞬、我を失った。

面白い仕上がりなのだが・・・脚本の整合性がもう・・・一歩なんだよな・・・。

台風11号・・・四国・近畿を縦断中・・・東京も蒸し暑い・・・中華街のあんまんになった・・・気分だ・・・。

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2015年7月16日 (木)

ネジが怖いのですか?(戸田恵梨香)ネジじゃない・・・猫舌なのです(堤真一)

ネコジタ・・・略してネジか・・・。

いや・・・そこは別に狙ってないと思うぞ・・・。

少数派の意見を「民意」と言いすぎだよな。

「安全保障について理解できましたか」

「よく・・・わかりません」

「つまり説明不足だ・・・ということですよね」

「きっと・・・そうかな・・・」

そういうおよそ80%である。

「徴兵制度が復活したらどうします」

「赤紙一つで戦地には行きたくありません」

「この法案にはそういう可能性がなきにしもあらずです」

「ええええええええ」

これはもう・・・詐偽のレベルの論理展開だろう。

「説明不足だって思いませんか」

「馬鹿にはいくら説明しても・・・わからないことってありますよね」

・・・って言えないものなあ・・・。

奥歯にものがはさまった季節が通りすぎていきます。

台風も通過中です。

で、『リスクの神様・第2回』(フジテレビ20150715PM10~)脚本・橋本裕志、演出・石川淳一を見た。格差社会はひとつのリスクである。貧富の差によって生じる嫉妬の情念はたやすく悪意に転嫁するからである。被差別者は社会が混乱することを求め、たやすく自分の首をしめる。勝者は敗者を管理する必要があり、それはすなわちリスク管理に他ならない。奇跡の復興を遂げた戦後の日本社会は・・・勝者と敗者の協力関係によって成立した。それがいかに奇跡であったかは・・・あらゆる紛争地帯で・・・難民があふれだす現実が証明している。

画期的な性能を誇るバッテリー「LIFE」の開発責任者である業界最大手の商社・サンライズ物産のエリート社員・神狩かおり(戸田恵梨香)は不祥事の発覚で勝者から一転、敗者となった。

サンライズ物産の社長として君臨する坂手光輝(吉田鋼太郎)の対抗馬・専務・白川 誠一郎(小日向文世)の派閥に属していたかおりは・・・坂手社長の主導する危機対策室に移動する。

白川派に属する広報部主任の橘由香(山口紗弥加)、薬品部主任の原田清志(満島真之介)たちは落ち目のかおりから距離を置くようになった。

逆境のかおりは・・・我武者羅にリスク管理の知識習得に没頭する。

負けるわけにはいかないからである。

そんな・・・かおりを・・・危機対策室長・西行寺智(堤真一)は生温かく見守るのだった。

サンライズ物産傘下の食品メーカー・豊川フーズの主力商品である「カップマカロニ」に金属製のネジが混入し、ユーザーからのクレームが寄せられる事案が発生。

素晴らしいインターネットの世界に「異物混入の件」が投稿され、世間は騒然となった。

しかし・・・豊川フーズの社長・天野昭雄(飯田基祐)は「危機」から目をそむけ、「異物混入の件」が「捏造」であると「被害者の立場」を強調、初期対応を誤るのだった。

坂手社長は危機対策室に介入を命じる。

「異物混入は・・・愉快犯による悪質な悪戯である」という立場から謝罪や商品の回収、返金などに応じなかった豊川フーズに対し、世間は敏感に反応し、不買運動が始り、株価は急落する。

この期に及んで、矢面に立たない天野社長は・・・謝罪会見に総務部長の麻生次郎(岡本信人)を立てるなどの失態を続ける。

「どうして・・・社長が会見に応じないのか」

記者たちに問われ、答えに窮する麻生部長・・・。

「最悪だな・・・」と吐き捨てる西行寺だった。

「どうして・・・記者会見に出席しなかったのですか」

「謝罪をすれば責任を認めることになるじゃないか・・・そんなことができるか」

「顧客に不信感をもたれたら・・・責任問題になります」

「その危機を回避するのが・・・君たちの仕事だろう・・・私の仕事は・・・サンライズ物産が豊川フーズに投資した金を無駄にしないことだ・・・その責任は充分に果たしている」

「・・・」

豊川フーズは数年前に経営危機を起こし、サンライズ物産が出資し、サンライズ物産の食品部門から社長として出向したのが天野だった。

天野はリストラなどで経営をスリム化し・・・経営を立て直した功績者であった。

しかし・・・その強引な経営手法はいくつかの問題点を残していた。

一方で、麻生部長は旧・豊川フーズの経営陣の一人で・・・食品工場の工場長という経歴を持っていた。

危機対策室では西行寺の状況説明の後で・・・各人が行動を開始する。

副室長の財部(志賀廣太郎)は社内の実情調査。

渉外担当の結城(森田剛)はクレーム処理のレクチャーを行うと同時に・・・素晴らしいインターネットの世界に残されたクレーム画像から商品番号を割り出す。

調査主任の種子島(古田新太)は豊川フーズに敵対する人物の特定を開始する。

「私は・・・小売店で・・・情報を収集します」

かおりは指示を待たずに自ら提案し、存在をアピールするのだった。

「やる気満々だな」

「危機を克服しなければ・・・実績になりませんから」

ハングリー精神を剥きだしにするかおりだった。

やがて・・・異物混入の商品の製造年月日が判明する。

それは・・・七月のとある日・・・王子工場から出荷された商品だった。

種子島は・・・「豊川フーズ怨んでますリスト」を提出する。

「経営合理化に際して・・・天野社長がリストラしたのは・・・1500人・・・」

「そんなに・・・」

「しかし・・・そのうちの一人・・・小畑氏はとある日に工場を訪問している」

「自分をクビにした会社の・・・工場見学に・・・」

「不自然ですね」

「不自然だ」

さらに・・・かって、豊川フーズで発生した異物混入事件の隠蔽工作が雑誌で記事になるという事態が発生するのだった。

西行寺はかおりとともに問題の工場を訪ねる。

「安全面での設備投資はきちんとしました・・・」

異物混入を防止する探知システムを稼働させ説明する麻生部長。

何故か・・・二人を案内する警備員の和田(遠山俊也)に対し・・・表情を曇らせる麻生部長だった。

社宅で質素に暮らす麻生部長だったが・・・中学生の息子とはトラブルが発生している。

「どう思う・・・」

「社宅暮らしということは・・・社宅を追い出された元・社員の家族がいるということです。息子さんが公立中学に通っていればリストラされた元・社員のクラスメートからいじめが発生してもおかしくない状況ですね」

「そうだな・・・給食にネジを入れられたりする前に・・・息子を隔離するべきだったな」

「工場長の息子と・・・大規模なリストラ後に本社に残留した重役の息子では・・・立場が違いますものね・・・」

「麻生氏は・・・家族のリスク管理が甘いということだ」

「・・・」

「それは人間として間違っていますか」

「家族を不幸にする・・・という意味ではな」

土木作業員になっている元・社員の小畑(児玉貴志)と面会する結城・・・。

「なぜ・・・工場見学なんかに・・・」

「俺を疑っているのか・・・」

「いえ・・・そういうわけではありません」

「俺は・・・何もしていない・・・ただ・・・昔を懐かしんだだけだ」

「・・・そうですか」

天野社長は小麦製品に特化する方針を打ち出し、米製品の技術者だった小畑は・・・リストラ対称となり・・・追い出し部屋で・・・無意味なネジの着脱作業に従事させられていた。

「地獄だったよ・・・」

「豊川フーズのコメスナック・・・好きでした・・・あなたが開発者だったとは・・・」

「そうですか」

しかし、巧に誘導する結城をもってしても小畑は口を割らなかった。

やがて・・・豊川フーズには「社員の再雇用」を促す脅迫状が郵送されてくる。

「内部の人間による犯行だな」

西行寺は断定する。

犯人は・・・新聞の広告欄に・・・社員募集の告知を出す要求をしてくる。

「社員募集はいたしません」という広告を掲載する西行寺。

「犯人を挑発するのですか」

「仕方ない」

怒りの導火線に着火した犯人は・・・異物探知システムを停止させ・・・ネジを製品に仕込む。

しかし・・・それは危機対策室の仕掛けた罠だった。

「和田さん・・・あなたでしたか・・・」

「あの日・・・小畑がやってきて・・・実情を知った・・・俺も追い出し部屋にいたんだ・・・俺はなんとか・・・耐えた・・・そのあげくが・・・今は警備員だ・・・俺は堪忍袋の緒が切れた」

「でも・・・あなたのしたことは・・・犯罪なんですよ」

「・・・」

かおりは・・・西行寺を問いつめる。

「これでも・・・ピンチはチャンスなんですか」

「君は・・・経験者として・・・麻生部長にそのことを・・・伝えてもらいたい」

「・・・」

西行寺は・・・打開案として豊川フーズの大蔵食品への吸収合併を画策していた。

そのための社内工作を麻生部長に承諾させる必要があった。

「合併・・・そんな・・・社長に相談しないと・・・」

「あなたは・・・豊川フーズの社員として・・・天野社長の経営方針に従順だった・・・それが今の危機を招いているんです」

「・・・」

「人は大切なものに優先順位をつけたがらない・・・奥さんと息子さん・・・どちらも大切な家族だ・・・みたいにです。しかし・・・二人が同時に溺れていて・・・一人しか助けられなかったら・・・どうしますか・・・。二人を助けられないなら・・・二人とも見殺しにしますか・・・。危機に際して・・・人は無傷ではいられません。本当に大切なものは何か。自分自身・・・会社の存立・・・企業理念・・・職場の仲間・・・顧客の信頼・・・家族・・・あなたは・・・優先順位をつけて・・・何を守るのか・・・選択しなければなりません・・・そうすれば・・・危機はひとつの転機になるのです」

「私自身が・・・変わるための・・・」

「・・・」

麻生部長は暗躍し・・・合併は成立する。

「どういうことだ・・・私に何の相談もなく・・・」

「あなたが・・・私たちに委任したのではありませんか」

「しかし・・・会社を売り払うなんて・・・」

「企業買収によってサンライズ物産の損益は想定内におさまりました・・・」

「・・・」

「そもそも・・・この事態はあなたの・・・無理なリストラに起因するものです」

「なんだって・・・」

「あなたの経営は短期的には成功したかもしれないが・・・長期的には大失敗だったのです」

「そんな・・・」

「あなたは・・・リスク管理に失敗した・・・経営者としては・・・失格ということです」

「・・・」

「あなたのために・・・次のポストが用意されていますよ・・・サンライズ物産・・・資料室・・・通称を御存じですか・・・」

「わ・・・私が・・・追い出し部屋に・・・馬鹿な・・・」

「社長命令です」

「の・・・呪ってやる」

「ま・・・資料にネジを混入しても・・・問題はないですから・・・」

葉山の海辺・・・。

車椅子の老人(田中泯)を見守る西行寺。

そこへ・・・サンライズ物産の顧問・天童徳馬(平幹二朗)がやってくる。

「どうだね・・・彼は・・・」

「話はできます・・・ただ・・・私が息子であることも覚えていないようです」

「そうか・・・」

「このトリオが・・・最終的なネタということなんでしょうね」

「そうだな・・・豪華な危機がやってくる予感があるだろう・・・」

「まあ・・・そういう思わせぶりなやり方は・・・今ではかなりのリスクがありますけどね」

「まあ・・・ヒトケタ発進だ・・・気楽にやるといい」

「主役ともなれば・・・そんなにのほほんとしてられませんよ」

「健闘を祈る・・・ピンチはチャンスなんだろう・・・」

「・・・」

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2015年7月15日 (水)

FLASHBACK~シャンバラに捧げよ、わが怨みの刃を!(高梨臨)

猛暑到来である。

この暑さの中、安全保障と戦争の区別のつかない馬鹿は全員、熱中症になればいいと思う。

もちろん・・・国民は戦争には無関心である。

戦争について無知だし、戦争について無見識だ。

ただ・・・戦争というものが好ましくないとは思っているわけである。

売国奴の皆さんは・・・そういう無知蒙昧につけこみすぎである。

戦争をしないですむ方法は二つしかない。

けして、他国に攻め込まないこと。

そして、他国から攻められないことである。

集団自衛権を認めることと・・・認めないこと・・・どちらが・・・戦争をしないですむ確率が高まるか。

そういう話なのである。

憲法で戦争を放棄している以上・・・戦争を放棄する状態を持続することが課題なのだ。

それには・・・防衛力を強めるべきか弱めるべきか・・・自明の理ではないか。

国会でクソみたいなパフォーマンスを繰り広げる議員諸君は・・・恥知らずと言えるのだ。

本当に・・・馬鹿みたいだぞ・・・。

で、『FLASHBACK・第1回』(フジテレビ201506290125~)脚本・大野敏哉、演出・ヤングポールを見た。フジテレビNEXTの作品(2014年12月19日 - 2015年2月6日)のお下がり放送である。かなりのとんでもドラマだが・・・(火)は谷間になる方向でここでレビューしておく。オカルト的なファンタジーは妄想が膨らむからだ。なにしろ・・・アドルフ・ヒトラーの頭蓋骨が登場したりするわけである。いろいろな意味で凄いぞ。

東都大学先端科学研究所の人工知能研究員・轟日見子(高梨臨)はノーベル賞クラスの研究成果を上司の西ノ森秀樹教授(佐野史郎)に奪われた上で警視庁への出向を命じられる。

「私の研究を返して下さい」

「うぬぼれるな・・・君の研究がたまたま・・・私の研究に似ていただけだ」

「ひどい・・・」

復讐の誓いを愛用の「呪いのノート」に書きこんだ日見子は泣きながら出向先へと向う。

都心には珍しい森の中の「考古学研究所」という名の怪しげな洋館。しかし・・・そこには警視総監直属の秘密組織・HIDE(秘匿事件課)の本部が置かれている。

そこに所属するのは・・・捜査一課から出向している古澤尊史刑事(豊原功補)。

考古学の権威である文殊博士(津川雅彦)・・・。

そして・・・「遺体に接触すると三種類のイメージが浮かび、72時間以内にそのイメージの現物に触れないと死亡するというかなり厄介なリーディング能力」を持つ超能力者・加々美稜真(成田凌)だった。

「かなり・・・痛い設定ですね」

「仕方ないだろう・・・そういうフィクションなんだから・・・」

もちろん・・・科学者である日見子は・・・「そんな能力・・・あるわけないじゃないですか」と反応するが・・・設定なので・・・それは現実のものとなるのだった。

幽霊井戸と呼ばれる古井戸から上半身が木端微塵となった文部科学大臣の死体が発見される。

遺体に接触した稜真は「ハーケンクロイツ」「アーネンエルベの紋章」「数字」のイメージを感知する。

イメージに導かれ、日本民俗博物館にやってくる日見子と稜真・・・。

秘密の部屋を発見した稜真は・・・ナチスドイツの鉤十字旗、アーネンエルベの紋章・・・そして番号式の金庫を発見する。

「数字」は金庫の鍵番号だった。

金庫の中身は・・・頭蓋骨だった。

応対した館長は目の前で人体発火現象を起こし・・・焼死するのだった。

遺体に触った稜真は・・・再び「死」へのカウントダウンを開始する。

「でも・・・72時間後に死んだことはないんですね・・・それなのにどうして72時間後に死ぬってわかるんですか」

「設定・・・だから」

「じゃ・・・仕方ないですね」

二人の前に名誉館長の天明寺悟(小松政夫)が現れる。

「これは・・・呪いかもしれない」

意味ありげな言葉を残し去って行く名誉館長。

やがて・・・幽霊井戸からは黄金のリングを持つ錫杖が発見される。

「これは・・・」と何でも知っている文殊博士が息を飲む。

「なんですか・・・」

「神の錫杖じゃ・・・」

「神の錫杖?」

「チベットに伝わる秘宝じゃ・・・シャンバラの門の前で鳴杖として使えば扉が開くという」

「なんで・・・そんなことを知っているんです」

「博士だからな」

シャンバラは・・・秘密の仏教王国で初代ダライ・ラマが封印したという伝説上の産物である。

やがて、頭蓋骨を遺伝子鑑定した結果・・・それがナチス・ドイツの指導者・アドルフ・ヒトラーであることが判明する。

「なんで・・・ヒトラーの頭蓋骨が・・・こんなところにあるんですか」

「ヒトラーはUボートで同盟国の大日本帝国に亡命したという説がある」

「うそ・・・」

「しかし・・・ヒトラーは何しに日本へ・・・」

「ヒトラーは腹心のハインリヒ・ ヒムラーに命じて・・・歴史学の公的研究機関・アーネンエルベでシャンバラの門を捜索していたという・・・」

「なんですって・・・」

「ヒトラーは大陸空洞説を信じていたからな・・・地球の裏側から敵国に侵入し、地下から粉砕する計画を持っていたのだ」

「そんな馬鹿な・・・」

「ヒトラーだけに・・・なんでもありなのだ」

「シャンバラの入り口が日本にあるとしたら・・・」

「そうか・・・第三地下帝国の野望か・・・」

「・・・ついていけません」

科学者として・・・事件の解決にとりくんだ日見子はニュースで「台湾のカラーシャワーで粉塵爆発発生の映像」を見る。

「そうか・・・」

幽霊井戸には古い炭鉱の跡地であり・・・周囲には粉塵が漂っていたのである。

「神の錫杖は点火装置だったんだ」

真相を確かめるために単身、日本民俗博物館に向かった日見子。

応対する名誉館長。

「あなたが・・・犯人ですね」

「そうだ・・・君は戦争というものを知らないだろう・・・」

「・・・」

「私は・・・考古学の学生だった・・・古代チベットの支配者・アルタン・ハーンがゲンドゥン・ドゥプパに大海師(ダライ・ラマ)の称号を贈ってから後・・・秘宝として伝来していた・・・破壊の象徴である阿修羅王を封印した神の錫杖が・・・シルクロードを経て日本に伝来したことを突き止めたのだ・・・しかし・・・戦争の際中に・・・そんな研究は無意味だった」

「・・・」

「敗戦は濃厚となった・・・空襲で・・・親兄弟はみな・・・死んだ・・・そんな時・・・ヒトラー総統がやってきた・・・私は通訳として彼に仕えた・・・そして・・・この男がいなければ・・・帝国は愚かな戦争に巻き込まれなかったという思いにかられたのだ」

「まさか・・・」

「そうだ・・・私がヒトラーを罠にかけ・・・暗殺したのだ」

「そんな・・・」

「その秘密は・・・私の胸だけに収めていた・・・ところが・・・最近・・・その秘密を暴こうと・・・日米の神秘家たちが動きだしたのだ・・・」

「神秘なんて・・・ないのに・・・」

「お嬢さん・・・それは違うよ・・・人知で測れないものはある・・・たとえば・・・あの男の奇妙な能力はどうだ・・・」

「あれは・・・設定だから」

「シラケドリはいつだって南の空を飛ぶんだ・・・」

「え」

謎の言葉を残し・・・名誉館長は自殺した。・・・おいっ。

日見子と稜真の奇妙な戦いはこうして始ったのである。

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2015年7月14日 (火)

ミサミサ、君のためなら殺せる(窪田正孝)ニアです・・・そしてメロです(優希美青)

東京では迎え火の季節である。

何故か、夕方になると風が強く吹いてくるのだなあ・・・。

下町では迎え火を焚いて・・・いたるところで火事になってもおかしくない季節である。

地獄の炎を乗り越えて西方浄土に侵入し御先祖様を迎え、この世に帰ってくる。

儀式を終えると・・・神も仏もない現世は真っ赤に燃えあがるのだ。

ああ・・・世界の終焉が幻視できます。

家人が残り火に水を撒く。

ああ・・・明日もきっと・・・暑いんだろうなあ・・・。

夏だ・・・夏がまた来る・・・。

で、『・第2回』(日本テレビ201507122230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・猪股隆一を見た。可視の世界では光は見えても闇は見えない。光の届かぬものを闇と認識するだけである。生あるものは死を意識することはできても死後の世界を認識することはできないのだ。死神たちは・・・その生と死の境界線に佇む天使にすぎない・・・。初回視聴率が16.9%・・・である。この枠の前作「ワイルド・ヒーローズ」の最終回が*8.1%なのだ・・・。みんな・・・デスノートを好き過ぎるぞ・・・。

先に動いた方負ける・・・そういうゲームがある。

お互いが身を隠し・・・相手の居場所を探り合うゲーム。

何もしないことが一番なのである。

しかし・・・何もしないではいられないのが人間だ。

弁明すればするほど・・・罪は深まって行く。

逃げれば逃げるほど追いつめられる。

「姿なき殺人鬼」・・・ライトこと夜神月(窪田正孝)は・・・エルこと天才探偵L(山崎賢人)の仕掛けた罠にまんまとひっかかっていくのだった。

息子が殺人鬼となっているとは露知らない夜神総一郎(松重豊)はエルの暴走に歯止めをかけるために警視庁が特設した「キラ対策室」の室長に抜擢される。

仏の模木完造(佐藤二朗)、久しぶりの日村章子(関めぐみ)、ちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)、偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)・・・総一郎の部下の捜査員たちは・・・ワタリ(半海一晃)によって・・・除菌・消臭されてしまうのだった。

地下アイドル、もしくは週末アイドル、あるいは発展途上アイドルにしか見えない人気アイドル・グループ「イチゴBERRY」のミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)に執着するライト・・・。ミサミサの両親を殺害した凶悪犯をデスノートによって殺害する。

死神リュークに「君のために殺したって告白すれば~」と囁かれ・・・「いいんだ・・・彼女が幸せならば・・・それで」と腰抜けな感じのライトだった。

「イチゴBERRY」のライブも遠くから見守る態勢である。

そこへ・・・イチゴBERRYのマネージャーがやってくる。

「いつも応援ありがとう・・・来週は友達誘って来てねえ・・・五人ぐらい連れて来て~」と激しく説諭されるのだった。・・・おいっ。

しかし・・・リュークから・・・「死」についての秘密事項を漏洩されるライト。

「あのミサミサとかいう女・・・B75じゃなくてB84らしいぜ・・・じゃなくて・・・死期が近いぜ・・・死神の目で見れば・・・人間の氏名と寿命がわかるんだ・・・これ、トップ・シークレットな」

「そんな・・・それはいつ・・」

「七日後の午後七時だよ~」

「くそっ」

「それより・・・お前を尾行しているあいつをなんとかしろよ」

「今・・・いろいろと試している」

デスノートに死因を書けば・・・死の状況を操作できる・・・そのことを確かめるために死刑囚を殺しまくるライト。死刑執行をなんとなくためらう法務大臣を楽にさせる善行である。

「ブサブサとか言う人もいますが・・・B75よりB84だよねって応援してくれる人もいるんです」

バイトを抜けだして・・・ミサミサに「危機が迫っていることをお知らせする手紙」を手渡ししようとするライト。

「君の命が危ないんだ」

お前が危ないぞ・・・ライト。

しかし・・・阻止した警備員の裕木田努(崎本大海)は優しく事情を聞いてくれるのだった。

「どうしたの」

「う・・・占いで・・・四日後の午後七時に・・・ミサミサに・・・危険が・・・」

「そうか・・・その日は・・・握手会だから・・・一緒に守ろう」

「ありがとう・・・裕木田さん・・・」

しかし・・・バイトを抜けだしたことを父が知っていると知ったライトは・・・捜査の手が自分に迫っていることにあせるのだった。

「エルの奴・・・なかなかやるね・・・」

「大丈夫だ・・・俺を尾行している奴に・・・エルを殺させる」

もはや・・・正義のためには誰でも殺す宣言をするライトだった。

完全に殺人鬼だよな。

逃走中の強盗殺人犯・恐田奇一郎を操作して・・・尾行中のFBI捜査官・レイ・ペンバー(尚玄)の身分証の確認に成功するライト。

「レイ・ペンバー・・・心臓麻痺・・・所持していた拳銃でLを射殺した後で死亡する」

デスノートに書きこむライトだった。

ミサミサの警備のためにイベント会場のスペースランドにやってきたライト。

しかし・・・そこにいたのはアイドル・グループ「革命少女隊」だった。

あわてて・・・裕木田に電話をするライト。

「ミサミサが・・・いない」

「危険人物に・・・ミサミサの居場所を教えるわけないじゃん」

「えええええ」

その頃・・・エルは・・・ニアことNと対話していた。

「キラってまるで死神みたい」

「ニア・・・君は面白いことを言う」

「キラって少し頭悪いんじゃないの」

「メロ・・・お前は黙っていろ」

ニアの側の不気味な人形は沈黙した。

ミサミサの自宅前で待ち伏せする・・・裕木田。

「ミサミサ・・・君は僕のもの・・・」

「・・・」

階段から落ちて気絶するミサミサ。

気がつくと・・・裕木田は倒れていて・・・白い羽根と赤いデスノートが置かれている。

そして・・・白い死神レムが現れた!

その頃・・・ライトは凹んでいた。

「俺って・・・バカなのか」

そこへ・・・エルから電話が入る。

「はじめまして・・・エルです」

「え・・・」

「君のこと・・・レイから・・・いろいろ聞きましたよ・・・ちなみにレイは偽名なんですけどね」

「ええっ」

「ライトくん・・・君って・・・キラですよね」

「えええええええええええ」

追い詰められるライト・・・バカだから・・・しょうがないよねえ。

エルも相手がミスしまくるので・・・楽勝だよねえ。

だけど・・・ライトはデスノートを持ってるから・・・まだまだ負けないんだな。

エルにとってはある意味・・・無理ゲーだもんね。

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2015年7月13日 (月)

拝啓、父上様、籠の中の鳥は解き放たれてまだうまく飛べないけどいつかは風を切って・・・(石橋杏奈)

高杉晋作は英国、仏国、米国、蘭国の四カ国連合艦隊との和議交渉のために野山獄から解放され、荻から下関へと向う。

藩主・毛利敬親の命により、家老・宍戸備前の養子となり、宍戸刑馬を名乗る。

連合艦隊旗艦・ユーリアラス号の艦内において講和のための談判を行う。

晋作は次の三点について合意した。

一、戦闘は朝廷および幕府の命令によって行われたものであり、賠償の責任は長州にあらず。

一、領土はすべて皇室の治めるものであり、他国への割譲・貸借について長州の決するところにあらず。

一、下関は万国に向けて開港す。

連合艦隊としては下関を通過して、入港し、便宜を図ってもらえればそれでよく、賠償金を幕府から得ることは道理であり、租借交渉は棚上げでも構わない・・・後の世から見ればパーフェクトな交渉結果である。

天才なんだな・・・。

進発(先制攻撃)を叫んだものは玉砕し、割拠派(篭城)は焦土作戦を主張、恭順派(降伏開城)はひたすら謝罪工作・・・。

混乱する藩の上下の中で・・・一人、高杉晋作(宍戸刑馬)だけが覚醒しているかのようである。

晋作は山口で藩主に仕える父親に文を認める。

「籠の鳥であった私が今、大空を飛び、どこへ行くかも定かではなく、迷いつつ勤めを果たそうとあがいております。愚か者であろうと志し、ここまで無我夢中で生きて来た私ですが・・・藩命により馬関応接役を仰せ付かり、なんとかその任をはたしましたことをご報告いたします」

父は晋作を溺愛していた。晋作は狂いつつその愛に応えようとしていた。

で、『燃ゆ・第28回』(NHK総合20150712PM8~)脚本・宮村優子、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は長州藩・第12代藩主・毛利斉広の娘にして第13代藩主・毛利敬親の正室・都美子の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。まあ・・・なんだかんだ松阪慶子さんが出てくるだけで「大河」っぽくはなりますけどねえ。なんだろう・・・この各所から立ち上る民放時代劇っぽい安普請のオーラは・・・。なんだかんだ・・・説明不足なんですよねえ。都美姫様がどれだけ高貴かわからないと・・・主人公が結構・・・大事にされてる感じがわからないわけで・・・女同志のいじめを描きたいだけで・・・それ・・・主人公の不遇捏造・・・をやっちゃうと完全に本末転倒ですよねえ。長州藩の派閥抗争の複雑さと・・・下剋上の流れ・・・そして国難に際して天才たちが躍動する・・・それがあっての幕末長州でございますのに・・・。未亡人になったために・・・奥勤めの見習いとなる・・・才能があるので史実通り、後継者夫人のお付になる・・・こういう自然な流れでいいのになあ・・・。

Hanam028元治元年(1864年)八月五日、四カ国艦隊下関砲撃。守備側は壊滅し、各砲台は艦隊の上陸兵により占拠される。野山獄から解放され、萩城下高杉屋敷で謹慎中の高杉晋作は英国より帰国した伊藤俊輔、井上馨らと共に和平交渉にあたることを藩主・毛利敬親より命じられ、クーパー艦長と談判を開始。長州側が「攘夷実施の命令書」の写しを提出したことにより、賠償責任が長州から幕府に責任転嫁されることになる。禁門の変の後、京に潜伏した桂小五郎は出石に逃亡。四カ国艦隊との和平が成立すると、藩内は幕府への徹底抗戦を叫ぶ正義派(攘夷派)と幕府への恭順を掲げる保守派(俗論派)が対立。正義派は下関など戦場に拡散したために、山口藩庁では一時期、椋梨藤太に保守派が主導権を握る。保守派にとって幕府に対立する指導者的立場である高杉は政敵であり、正義派にとっては下関開港に同意した高杉は裏切り者であった。これにより高杉晋作は両者の暗殺対象となり、潜伏を余儀なくされる。七月の長州追討の勅命を受けて幕府は八月、征長総督を尾張藩の前々藩主である徳川慶勝に決する。九月、周布政之助、切腹。十月、大坂城における軍議で征長軍は十一月開戦を決定する。高杉晋作は萩より脱走。椋梨籐太が政務役となる。

西国街道における山口の小郡から下関の長府までは山中、船木、厚狭市、吉田、小月の五つの宿場町を通過する。一日一宿の旅程ならば六日を要する。

隠し目付け配下として、山口の奥御殿に奉公に登った久坂文は侍女見習いとして「みわ」の名を授かった。

藩主の後継者で養子の毛利元徳の正室である銀姫はこの年二十二歳で懐妊していた。

みわは銀姫のお付の一人となったのである。

銀姫は長府藩主毛利元運の二女で夫の元徳と同じく、藩主夫妻の養女となっている。

藩主夫人の都美姫は先代藩主の長女である。

そして、長州のくのいちの上忍であった。

銀姫を通じて、都美姫に呼び出されたみわは奥の間の庭に平伏した。

「そなたが・・・吉田松陰の妹で・・・久坂玄瑞の寡婦か・・・」

「みわでございます」

「ふふふ・・・佳い名であろう・・・毛利に命を捧げたものの縁者として妾が贈りし名じゃ」

「お方様が・・・」

「そなた・・・高杉晋作とも面識があろうな・・・」

「高杉様は兄の塾の塾生でございましたので・・・」

「これより・・・殿の密書を下関の高杉に届けてもらう」

「私が・・・」

「腕利きのくのいちを護衛につける・・・まりと申すものじゃ」

音もなく・・・くのいちのまりがみわの背後に畏まる。

「お見知りおきを・・・」

二人のくのいちは六日の行程を一昼夜で駆け抜ける。

高杉晋作は・・・一回目の交渉を終えて下関の遊郭に籠っていた。

「高杉様・・・」

「お・・・殿の使いは・・・ふみ女か・・・」

「こんなところでのんびりなさっていてよろしいのですか」

「馬鹿どもから・・・命を狙われている」

「高杉様のお命を・・・」

「黒船の砲撃から命からがら逃げ出した匹夫どもが・・・俺の交渉内容が気に食わんと息まいておるのだ・・・脱力するわ・・・」

もちろん・・・下関の情勢は読心の術を心得るみわにはお見通しである。

「殿からの密書をお預かりしています」

「そうか・・・お墨付きがきたか・・・」

「これは・・・お墨付きでございましたか」

「全権委任状じゃ・・・俺の答えが殿の答えということでないと・・・まとまるものもまとまらん・・・」

「まとまるのですか・・・」

「まとめるのさ・・・今はとにかく・・・敵の数を減らさねばならん・・・四面楚歌じゃからの」

「・・・」

「久坂のことは・・・残念じゃった・・・」

「武士でございますから・・・」

「・・・そうか」

下関では蝉が鳴いていた。

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2015年7月12日 (日)

ど根性ガエル(満島ひかり)ひろし、三十歳独身(松山ケンイチ)永遠のマドンナにはなれない(前田敦子)

鬼太郎「父さん、妖気アンテナに反応が・・・」

親父「むむむ・・・これは不思議な現象じゃ・・・」

鬼太郎「どういうことですか」

親父「お前のちゃんちゃんこは御先祖様の霊毛でできておる」

鬼太郎「ええ」

親父「人間にも子孫を案じる先祖の思いというものがあるのじゃ」

鬼太郎「そうなんですか」

親父「その霊気の集積が・・・生きたいというカエルの執念と融合して・・・物質化現象を起こしたらしい」

鬼太郎「じゃあ・・・あれは妖怪ですか」

親父「・・・のようなものじゃ」

鬼太郎「人間に悪さはしないでしょうか・・・」

親父「まあ・・・人知を越えた存在じゃが・・・放っておいても大丈夫じゃろう・・・」

鬼太郎「じゃあ・・・帰りましょうか」

親父「今日は蒸したので茶碗風呂に入りたいのう」

鬼太郎「あ・・・百円落ちてました」

親父「ご祝儀じゃ・・・ひろっておきなさい」

鬼太郎「はい、父さん」

で、『ど根性ガエル・第1回』(日本テレビ20150711PM9~)原作・吉沢やすみ、脚本・岡田惠和、演出・菅原伸太郎を見た。2015年のVFX技術凄いな。これをテレビドラマの予算内でできる時代・・・この枠の積み重ねの成果だな・・・。泣いて笑ってケンカした努力の成果。その美しさは・・・不自然さをかんじさせないこと。つまり・・・目立たないんだよねえ。凄ければ凄いほど・・・地味って素敵なことだよねえ。今の小中学生は幸せすぎるけど・・・それが普通なんだもんねえ。

16年前・・・1999年~2000年頃・・・。シドニーオリンピック女子マラソンで高橋尚子が金メダルを獲得した頃。「SUNAMI/サザンオールスターズ」がヒットした頃。義務教育に観点別評価が導入された頃。原作コミック「ど根性ガエル」の連載開始から三十年後の世界で・・・。

東京のとある下町・・・中学二年のひろし(髙澤父母道→松山ケンイチ)は番長のゴリライモこと五利良イモ太郎(菊池宇晃→新井浩文)と対峙している。ひろしは強いものが嫌いなのである。心配そうに見守る後輩の五郎(山﨑光→勝地涼)と中学のマドンナ生徒・京子ちゃん(松本来夢→前田敦子)・・・。朝ドラ子役オールスターズかっ。

「やっちゃいなさい」と勝気な性格を示す京子ちゃんだった。

しかし、ゴリライモの剛腕で投げ飛ばされるひろしだった。

季節はカエルたちの恋の季節。

ピョン吉(満島ひかり)はピョン子(木村真那月)にアプローチ中である。

そこに墜落してくるひろし・・・。

ピョン吉はピョン子をかばって必死のジャンプ・・・。

ピョン子は無事、避難できたが・・・ピョン吉はひろしの下敷きになる。

そして・・・奇跡は起こった・・・ひろしのTシャツとカエルのピョン吉は融合し・・・妖怪のようなものとして復活したのである。

「か、怪奇現象だ」

「これ・・・妖怪ものだったのか」

「気がつかなかったでやんす」

「なんだよ・・・これ」

「お・・・しゃべった」

「お前・・・喋れるのか」

「オレ・・・喋れるのか」

日本中はTシャツのカエルが生きているという状況に・・・大興奮し・・・関心を集めた・・・しかし、謎は解明されないまま・・・やがて忘却した。

2015年・・・いろいろなことがあって・・・ひろしは三十歳の無職の遊び人になっていた。

ピョン吉Tシャツはフリーサイズなので・・・今でも着用可能だが・・・最近は着ることが稀になっていた。

ひろしとピョン吉は・・・倦怠期を迎えていたのだった。

いつまでも・・・中学生気分の抜けないひろしは・・・怠惰な日々を過ごしている。

そんなひろしを歯がゆく思うピョン吉。

しかし・・・ひろしのピンチを何度も救ってきたことが・・・ひろしの人間的成長を妨げてしまったのではないかと・・・悔悟するピョン吉。

そう思うのは・・・ピョン吉は最近・・・生命力の減退を感じるからなのだ。

ちょっと気を抜くと・・・黒ずんでTシャツから分離しそうになるピョン吉だった。

「もしも・・・おいらがいなくなったら・・・ひろしは一人で生きていけるんだろうか・・・」

過保護で心配症なピョン吉なのである。

橋の上で釣りをしていたひろしは・・・釣果がないことに苛立ち・・・ピョン吉に魚の捕獲を命じる。

「嫌なこった」

「頼むよ」

そこに群がる子供たち。

「おい・・・ピョン吉Tシャツ、今なら一時間五十円で貸すぜ」

「やめろ、ひろし」

しかし・・・子供たちの反応は鈍い。

「ちぇ・・・ピョン吉の人気も落ちたもんだ」

「・・・」

その時、風が吹いて・・・女児の帽子を飛ばす・・・。

帽子は川に落ちるのだった。

「ひろし・・・いくぞ」

「おい・・・やめろ・・・俺は泳げないって・・・何度言ったら」

ピョン吉は根性、根性、ど根性パワーでひろしとともに川に飛び込むのだった。

「やめ・・・ブクブクブク」

仕方なくひろしは・・・沈んだ帽子を拾い上げる。

水中からジャンプしたピョン吉によって土手に叩きつけられるひろし。

女児は心配そうに覗き込む。

ひろしは拾った帽子を手渡す。

「ありがとう・・・ピョン吉くん」

ひろしは・・・やるせない思いを感じるのだった。

「ゴリラパン・・・買っておきな・・・ゴリラパン・・・損はさせないから」

怪しい宣伝歌とともに街を巡回するゴリラパン販売車。

立派なゴリラパン工場の経営者となったゴリライモ・・・。

そこへ・・・結婚して街を出て行った京子ちゃんが現れる。

「どうしたんだ・・・まるで離婚して帰って来たみたいな顔をして・・・」

「その通りなの・・・」

ゴリライモはゴリラパンを京子に渡す。

「あげるよ・・・まあ・・・食ってみな」

「おいしい・・・」

「俺の助手席はいつでも京子のためにあいてるぜ」

颯爽と去って行くゴリライモ・・・。

「立派な大人になったのね・・・」

物憂げにつぶやく京子ちゃんだった・・・。

ひろしの朝は遅い・・・。

ゴリライモのパン工場でパートリーダーとして働くひろしの母ちゃん(薬師丸ひろ子)が出勤する時間まで起きないのである。

最近ではピョン吉Tシャツを着用するのはひろしより母ちゃんであることが多いらしい。

母ちゃんは器用にめざしなどをピョン吉に与えるのだった。

「さっさと仕事探しに行きなさい」

「俺には労働が向いていないみたいなんだ」

「お前は・・・高等遊民かっ」

「母ちゃんがしっかりしてるから・・・大丈夫さ」

「あのね・・・いつまでもあると思うな・・・親と金よ」

「いやいや・・・母ちゃんはまだまだいけるよ・・・もっともっと稼げるよ」

「ひろし・・・」と苛立つピョン吉。「母ちゃん・・・いいかい」

「やっておしまい」

ピョン吉ボディアタックで制裁されるひろしだった。

仕方なく・・・一人で自転車に乗り出かけるひろし。

「仕事・・・捜しました・・・仕事・・・見つかりませんでした・・・と」

まったくやる気のないひろしだった。

ユイちゃんの兄のヒロシでさえ・・・役場勤めをしているというのに・・・。

このひろしは・・・完全なダメ人間なのだった。

このままでは・・・ひろしはダメ男の代名詞になってしまう。

ひろしです・・・ひろしです・・・ひろしです・・・お前かっ。

区長選挙に立候補しているらしいゴリライモの選挙ポスターを発見するひろし。

かっての宿敵は・・・立派な大人になっているのだ。

無性に腹が立つひろしだった。

そこへやってくる後輩の五郎。

五郎は派出所勤務の警官になっているのだった。

「ポスターに悪戯したらダメでやんす」

「何・・・お前・・・ゴリライモが憎くないのか」

「憎いでやんす・・・しかし・・・職務上、許すことはできないのでやんす」

「やんすの使い手としては日本一かもな」

「おほめにあずかり恐縮でやんす」

そこへゴリライモがやってくる。

「ひろし」

「ゴリライモ・・・やるか」

「おいおい・・・子供じゃないんだから・・・今さら喧嘩なんかしないよ・・・やっても勝つのは俺様だし」

「ちっくしょおおおおおお」

しかし・・・何やら高度な格闘技術をマスターしているらしいゴリライモは・・・あっさりとひろしを投げ飛ばすのだった。

「ははは・・・そうだ・・・一ついいことを教えてやろう・・・」

「なんだよ」

「・・・やっぱりやめた・・・あははは」

悠然と去って行くひろしだった。

口惜しさのあまり・・・自転車で激走するひろし・・・。

しかし・・・ブレーキが故障して・・・坂道を転げ落ち・・・橋から川に転落してしまう・・・。

「うわあ・・・ピョン吉・・・助けてくれえ・・・ブクブクブク」

その姿を通りすがりの京子ちゃんが見ていた。

「なんだか・・・なつかしい・・・」

母ちゃんに手洗いで洗濯してもらい・・・物干し場でまどろんでいたピョン吉は・・・ひろしのSOSにたちまち反応するのだった。

「ひろし・・・待ってろ・・・今いくぞ」

街の上をジャンプで滑空するピョン吉。

水没したひろしを救助するのだった。

「大丈夫?」

「京子ちゃん・・・」

「ピョン吉くん・・・まだ生きてたんだ」

京子は・・・言葉の底に幽かにピョン吉への敵意を感じさせる。

まあ・・・憎からず思っている男性がずっと・・・しゃべるカエルのTシャツを着ているのはいろいろとアレだと妄想できるわけである。

「京子ちゃん・・・帰ってきてたの」

「見ての通りよ・・・」

「・・・」

「離婚して帰って来たの・・・」

「えええええええええええ」

ゴリライモは一目で察することができるのに・・・・ひろしには無理だったらしい。

そういうところも・・・京子には・・・ガッカリな気分を感じさせるらしい。

しかし・・・ひろしは・・・京子が離婚したことに飛びあがりたくなるほどの喜びを感じているのだった。

さっそく・・・京子ちゃんの歓迎会を催すべく・・・教師生活四十一年目になっている町田校長(でんでん)、梅さん(光石研)、梅さんのプロポーズを待ち続けて十六年、四十歳になってしまったよし子先生(白羽ゆり)などに声をかけるのだった。

しかし・・・京子は・・・。

「そんな歓迎会なんか・・・出たくない・・・」と出席拒否だった。

宝寿司に集まった一同に頭を下げるひろし。

「ごめん・・・京子ちゃん・・・来ないって・・・」

「まあ・・・離婚して帰って来たんだから・・・そうかもね・・・」

納得する一同。

「だけど・・・俺・・・京子ちゃんを元気づけたくて・・・それなのに・・・京子ちゃん・・・妙に冷たくて・・・よそよそしくて・・・なんだか変わっちゃった・・・」

「人は変わって行くのよ・・・」と母ちゃん。

「このままで・・・いいのか・・・ひろし」とピョン吉。

「いや・・・俺・・・本当は京子ちゃんが結婚するって聞いた時・・・すごく嫌だった・・・でも・・・それで京子ちゃんが幸せになるならと思って・・・耐えたんだ・・・だけど・・・今度は俺が京子ちゃんを幸せにしたい・・・俺、京子ちゃんにプロポーズする」

「・・・」

店の外で京子はすべてを聞いていた。

深夜の街を爆走する一同。

両親が他界した京子は祖母(白石加代子)と二人暮らしである。

「京子ちゃん・・・好きだ・・・好きだ・・・大好きだ・・・俺と結婚してください」

京子の部屋の窓に向けて叫ぶひろし・・・。

しかし、窓をあけたのは京子ちゃんのおばあちゃんだった。

「ロマンチックねえ・・・うっとりしたわあ・・・」

「私はここにいるわよ」

路上に姿を見せる京子。

思わず京子に抱きつくひろし。

「京子ちゃん・・・俺の気持ちは言った通りだ」

「お断りします・・・」

「ええええええ」

「私・・・明日からゴリライモさんの工場で働くの・・・あなたも結婚とかなんとか言う前に働きなさいよ」

正論だった・・・。

夜更け・・・泣き寝入りするひろし・・・。

息子の身を案じた母ちゃんはそっと息子の部屋に・・・。

その時・・・壁にかかったピョン吉の異変に気がつく・・・。

「・・・ピョン吉・・・」

ピョン吉は黒ずんで・・・Tシャツからはがれおちそうになっていた・・・。

哀愁の「ど根性ガエル」・・・始りました。

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銭ゲバ

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2015年7月11日 (土)

初森ベマーズ(西野七瀬)運命は私に王冠を戴かせるだろう(白石麻衣)

なでしこが準優勝で終わり・・・実はなでしこロスである。

どんだけ、好きだったんだよ。

世界一を争う日本人は甘美だからな・・・。

ドタバタしている新国立競技場問題とか、やたらと白紙に戻せと叫ぶ左巻きのコメンテーターとか、自殺した少年の死亡責任を担任教師に追わせたがるコメンテーターとか、やたらと戦争法案反対を叫ぶ売国奴の宣伝車とか・・・うんざりすることが多いからな。

死にたいと思った人間をとめることのできる人間はいない。

死にたいと思わせないようにする人間は神様のようなものである。

素晴らしい国民なんていない。素晴らしい国民であろうとする努力を嘲笑する馬鹿はいても。

素晴らしい人間になれたらいいよね。

そのためにはまず・・・素晴らしく生きてみないとね。

バカだってエジソンになれるかもしれないんだから・・・。

で、『初森ベマーズ・第1回』(テレビ東京201507110012~)原作・秋元康、脚本・小峯裕之、演出・鈴村展弘を見た。「太鼓持ちの達人〜正しい××のほめ方〜」「怪奇恋愛作戦」「食の軍師」などの脚本家である。(金)には「表参道高校合唱部!」や「民王(たみおう)」が控えており・・・生き残るのは至難のワザだが・・・猫舌と猫の額の区別がつかない権田原兼持(津田寛治)と火の玉剛速球お嬢様・権田原キレイ(白石麻衣)の父と娘が楽しすぎるのでミラクルもありえるわけである。・・・そうなのかっ。

白石麻衣は「仮面ティーチャー」で今をときめく窪田正孝の恋人役なのに昏睡状態だったからな。

ちなみに登場する主要登場人物は全員なんちゃって女子高校生だ。

白石麻衣も(22)だ。

東京の下町・・・初森(フィクション)にある初森公園。

野島伸司脚本の「49」で学園のマドンナ・水無月マナを演じた西野七瀬は主人公のもんじゃ焼き屋の一人娘で・・・漫画研究部に所属する女子高校生・ななまるだ。

ちなみに・・・基本的に登場する女子たちは・・・基本的に乃木坂46のメンバーである。

初森公園はななまるにとって暮らしのベースとなっている存在である。

近所の初森商店街の子供たちはみんな・・・この公園でデビューし・・・公園とともに成長していったのである。もちろん、夏には盆踊りが行われるのだろう。

その土地が何故か再開発用地となり、セレブ都市開発社長のキャッシュ・権田原によってマンション建設が開始されようとしていた。

工事のために公園から現金三万円で追い出されそうになる地域住民たち。

居合わせた仲良しトリオのななまる、ショパン(生田絵梨花)・・・「残念な夫。」の岸谷五朗と大塚寧々の娘役からココ、ソフトクリームと肉まんの好きな剣道部のコテ(高山一実)は「そんなの嫌だ」と駄々をこねる。

そこへ颯爽と姿を見せるキャッシュの娘・キレイ・・・。

「今度の大会で・・・セント田園調布ポラリス学園の女子ソフトボール部より上位の成績が獲得できたら・・・計画は白紙にいたします」

物凄い取引である。

ダメで元々・・・なので勝負を受けるトリオだった。

しかし・・・キレイは子供たちのサッカーボールを下手投げで投球し・・・公園のフェンスをぶち抜くという剛腕を見せつける。

そんな球、打てる奴いるのかよっ。

とある・・・野球コミックの香りがします。

一方、トリオは「ソフトボールって何人でやるの」というレベルである。

なにしろ・・・漫画少女とピアノ少女と剣道少女なのである。

そこへ・・・「マジすか学園」と孤軍で渡りあう喧嘩上等のヤンキー・イマドキ(若月佑美)が現れる。

ななまるの母・蘭子(いとうまい子)は「もんじゃ焼き一年間無料」の餌でイマドキに助っ人を頼むのだった。

「九人いなけりゃ、まんずソフトボールさできねえべ」

何故か東北訛りの担任教師(児嶋一哉)に言われてお約束のメンバー集めである。

初森公園を愛する女子高校生たちは・・・呼びかけに応じるのだった。

残りの五人は・・・。

マルキュー(橋本奈々未)・・・「SUMMER NUDE」の変な浜辺のカップル・春夫と清子の清子である。現在は休学中でアルバイトをしている。

ブナン(桜井玲香)・・・波風を立てない生徒会長。

アカデミー(生駒里奈)・・・朗読し続ける演劇少女。

ハーバード(秋元真夏)・・・理系少女・・・「失恋ショコラティエ」のユカリンだ。

カアチャン(深川麻衣)・・・家庭の事情で幼い兄弟たちの面倒を見ているが近所の人々の好意で参戦が可能となる。

ユウウツ(松村沙友理)・・・蟻が友達である。

これは・・・常識的に考えて・・・勝てないね。

その頃・・・キレイは・・・何故か地下30階にあるセント田園調布ポラリス学園の女子ソフトボール部練習場にいた。

そして・・・くりひろげられる諸星監督(西丸優子・・・「結婚できない男」の中川総合病院の看護師の一人だった)の意味不明なほどの特訓である。

全員が大リーグボール養成ギプスを着装し・・・全方位からくる打球をキャッチし、全方位から来る球を打ち返す・・・まさに・・・シルク・ド・ソフトボールな光景。

一同爆笑の瞬間だった。

なんじゃ~こりゃ~である。

楽しいぞ。

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2015年7月10日 (金)

探偵の探偵(北川景子)それって探偵バスターズ・・・ですか?(川口春奈)

「若くて綺麗」ってだけで不快な気持ちになる一部お茶の間の方々がスルーしていく。

そのために・・・男性がうっとりする美少女がドラマから駆逐される日本のテレビ史・・・。

しかし、圧倒的な男性優位の作り手たちが断崖絶壁で頑張るのだった。

死守せよ・・・お茶の間の数少ない男性たちのために・・・。

怒りの五寸釘をぶちこむのだ。

そういう感じで二本の美しい楔が打ち込まれました。

うっとりにつぐうっとり・・・断固、支持します。

北川景子と川口春奈が乱舞する木曜日のお楽しみである。

で、『探偵探偵・第1回』(フジテレビ20150709PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・石井祐介を見た。世界は情報によって構成されている。情報を得ることは世界を得るのと同じことである。しかし、情報は神秘のベールに包まれているものだ。個人情報の保護が叫ばれて久しい。昔は氏名がわかっていれば電話帳を探るだけで電話番号も住所も入手できたわけである。個人情報を探るために番号案内に電話をかけるのは探偵の常套手段だった。役所に行けばだれもが他人の住民票を入手できたのだ。いい時代だったなあ・・・。時は過ぎ去った。しかし・・・個人が存在する以上、個人情報が消滅するわけではない。個人を管理するための名簿も同様である。ある種の人々にとっては・・・個人情報の入手はより容易になったとも言える。そこには素晴らしいインターネットの世界が広がっているからである。

2009年「豊橋ストーカー殺人事件」発生。

愛知県豊橋市の高校三年生・紗崎咲良(芳根京子)が住所不定で無職のストーカー・岡尾芯也(岡田義徳)に誘拐後、廃棄物処理場の焼却場から焼死体となって発見される。なお、容疑者の遺体も同時に焼死体で発見される。

恐ろしい偶然により・・・後に上司と部下になる・・・被害者の姉・紗崎玲奈(北川景子)と通りすがりの女子高校生・峰森琴葉(川口春奈)は現場に居合わせる。

ドラマのオリジナル展開である・・・こういう脚色をしてしまうのはスタッフが神秘主義者である場合が多い。現実主義者や確率論者がゲンナリするので控えめでお願いします。なお、変な宗教にひっかからないよう、注意が必要です。

2011年「スマ・リサーチ」(探偵社)の養成所「PIスクール」に紗崎玲奈が入塾。

2015年「スマ・リサーチ」に峰森琴葉が入社。

玲奈の過去を知りつつ・・・入社を認めた須磨康臣社長(井浦新)は違法な業務を行う探偵相手の専門業務を行う「対探偵課」を開設していた。

「ストーカーに妹の所在を報せた探偵に復讐する」決意を秘めた玲奈の「探偵」に対する憎悪を利用したのである。

琴葉は愛知県から上京、姉の彩音(中村ゆり)と同居していた。しかし、姉の結婚を期に独立、社員寮のある「スマ・リサーチ」に入社した。

須磨社長は何故か・・・琴葉を対探偵課に配属する。

こうして・・・妹を失った姉と姉に追い出された妹の同棲生活が始るのである。

やがて・・・二人の間には禁断の愛が・・・おそらく芽生えないと思うぞ。

好奇心の強い琴葉は・・・探偵業務に興味を示すが・・・玲奈の業務は想像を越えていた。

2007年6月1日に施行の「探偵業の業務の適正化に関する法律」により、探偵業者は届出を要するものとなり、様々な規制の対象となった。

民法709条・プライバシーの侵害に抵触することを持さない探偵は闇に潜ったのであった。

もちろん・・・正規の探偵もプライバシーは侵害するわけであるが・・・そこは良識の範囲内という曖昧な基準で対応するわけである。

しかし・・・基本的にストーカーにターゲットの情報を提示することはしない建前なのである。

もちろん・・・ストーカーが何者かを装い、それらしい理由を述べれば余計な詮索をしなければよいのだった。

探偵業とはそもそもそういうビジネスなのである。

ともかく玲奈の妹の所在をストーカーに教えた探偵はいわゆるモグリの探偵だったのだ。

探偵の違法行為を憎む玲奈はそういう探偵を摘発し、告発するのが主任務である。

そのために・・・同業者からは目の仇にされていた。

「スマ・リサーチ社」の探偵たち・・・桐嶋(DEAN FUJIOKA)、伊根(高山侑子)でさえも・・・玲奈は煙たがられていたのだ。

何故なら・・・違法な探偵たちに対抗するために・・・玲奈も違法行為を行うからである。

「探偵に浮気の証拠写真を撮られて・・・恐喝されている」という通りすがりの依頼者。

四百万円を恐喝者に渡すための同行を求められた玲奈。

しかし・・・待ち合わせの喫茶店で・・・四百万円を強奪した恐喝者は付近のマンションに逃げ込むのだった。

琴葉とともに恐喝者を追いかけてマンションの一室に不法侵入した玲奈は待ち伏せしていた男に強襲される。

すべては・・・玲奈に悪事を暴かれた悪徳探偵による報復の罠だったのだ。

「逃げなさい」

琴葉を庇う玲奈。

「きゃあああああああああ」

悲鳴を上げて立ちすくむ琴葉。

手段を選ばず玲奈を攻撃する襲撃者。

しかし・・・復讐のために鍛え上げられた玲奈の肉体は襲撃者を粉砕するのであった。

暴行につぐ暴行である。

「これって・・・違法じゃないんですか」

「お互い様だから・・・大丈夫・・・私たちは無法地帯を生きているの」

「闇社会ですか・・・」

「いいえ・・・これが現実よ」

非合法の剥き出しに怖気づく琴葉だったが・・・帰る場所がないのだった。

「別の就職先が見つかるまで・・・お世話になります」

「二度と現場には近付かないで」

「も、もちろんです」

琴葉はデスクワークによるバックアップ専門の玲奈の助手となるのだった。

襲撃者の所持品から・・・敵の背後に業界最大手の阿比留綜合探偵社の存在があることを突き止める玲奈だった。

社長の阿比留佳則(ユースケ・サンタマリア)は探偵業をマネージメントしつつ、マスメディアに登場するタレントでもあった。

警察組織にも顔が聞き、捜査協力にも積極的だった。

阿比留は前副総監の遺産相続問題について警察から依頼を受けていたのである。

民事不介入の原則からであった。

警視庁捜査一課の坂東係長(相島一之)や船瀬主任(阪田マサノブ)とともに遺言状の開示に立ち会った窪塚刑事(三浦貴大)は阿比留の胡散臭さに辟易する。

しかし・・・筆跡鑑定により・・・前副総監の実子と内縁の妻が持ち寄った二通の遺言状のうち・・・内縁の妻のものは偽造と判定される。

だが・・・内縁の妻に接近した玲奈は・・・鑑定用の資料となった前副総監の日記そのものが偽造されたものだと・・・窪塚刑事に匿名通報するのだった。

私文書偽造は刑法犯なので・・・窪塚刑事は前副総監の実子を私文書偽造等の罪(刑法159条)で逮捕するのだった。

阿比留の前に立ちふさがる玲奈。

「すべて・・・あなたのたくらみでしょう」

「残念ながら・・・証拠がありませんな」

「実行犯には・・・因果を含めてあるってわけ・・・」

「想像におまかせします・・・妹さんをストーカーに殺させた探偵を憎んで探偵全員を敵にしている紗崎玲奈さん」

「・・・」

「みんな・・・一生懸命仕事をしているだけなんですから・・・ほどほどにしてくださいよ」

「私も業務を遂行しているだけよ」

「中学生が自殺する・・・いじめがあったと担任教師が責められる・・・しかし・・・それが自殺した中学生の妄想だったらどうするんです・・・ただの死にたがりの中学生のために・・・中学校の教師全員が悪人認定ですか・・・」

「私の妹は半分・・・炭になっていた・・・そういう現実を招いた関係者を全員・・・許さない」

「妹を守れなかった・・・あなた自身もですか・・・」

「・・・」

「一言・・・申し上げておきましょう・・・その探偵はきっと優秀な男だったのでしょう・・・もしかしたら・・・あなたの社に・・・彼はいるのかもしれない」

「承知の上よ」

「なるほど・・・探偵を全員・・・殺す気なんですね」

無言で応じる玲奈だった。

情報産業の従事者にとって口は災いの元だからである。

戦いはまだ始ったばかりなのである。

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このミステリーがすごい! ベストセラー作家からの挑戦状

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2015年7月 9日 (木)

リスクの神様(堤真一)危機は一つの機会ですから楽しみましょう(戸田恵梨香)

夏ドラマが始ったと感じる一作登場である。

クレジットを最初に持ってきて・・・キャストの豪華さで・・・ドラマ好きのお茶の間の気持ちを鷲掴みである。

えげつないことを・・・。

しかし、主人公・堤真一、ヒロイン・戸田恵梨香で・・・吉田鋼太郎、小日向文世、田中泯、志賀廣太郎、古田新太、森田剛、満島真之介、風間トオル、松澤一之、丸山智己、山口紗弥加、霧島れいか、山下容莉枝、新川優愛・・・これだけ並べられるとうっとりするしかないのだった。

原発がメルトダウンし、ギリシャが借金を踏み倒し、無謀な新国立競技場建設がスタートし、新幹線では焼身自殺、学校ではいじめ、死にたがる教え子、上海では株暴落、父親が家に放火し、なでしこが優勝を逃す・・・この危機に満ちた世の中に・・・リスクの神様、降臨である。

この世にノーリスクなものなんか・・・ないんだからあ・・・。

「すべての責任は私にありま~す・・・」

涙の記者会見、万歳。

注意・謝罪の王様ではありません。

で、『リスクの神様・第1回』(フジテレビ20150708PM10~)脚本・橋本裕志、演出・石川淳一を見た。「簡単に謝罪してはだめだ」・・・そういう考え方がある。謝罪するのは「非」を認めたことになるからである。しかし、「桜を折ったのは私です」と正直に告白することは美徳なのである。「失敗」は誰にでもあることであり、それを認めることは「最悪」ではないのである。「失敗が成功の元になる」ために・・・「危機管理」の必要性が叫ばれる。しかし・・・愚かにも人間は失敗を繰り返すんだなあ・・・そこが悪魔としては一番面白いところなんだな。

インドのとあるホテルの一室・・・。

業界最大手の商社・サンライズ物産の若き電機部主任・神狩かおり(戸田恵梨香)はライフパワー社の生島徹社長(風間トオル)と祝杯をあげる。

ライフパワー社はサンライズ物産と大手家電メーカーの生島電機が共同出資する会社である。

生島電気の創業者一族である生島徹は新素材を使った次世代型バッテリー「LIFE」をサンライズ物産と共同開発し・・・ついに完成させたのである。

新素材を生島電機に持ち込んだのは・・・かおりであり、ライフパワー社では商品開発担当役員に抜擢されている。かおりは東大卒の才媛だった。

「君には・・・仕事のためには取引相手と肉体交渉も辞さないという噂があるそうだね」

「入社の時の面接で・・・仕事のためには何でもやります・・・と言ったんですよ」

「なるほど・・・」

「面接官が・・・すると枕営業もするのかと言ったんです」

「・・・」

「私は必要があれば枕も売りますと言って笑いをとりました」

「だから・・・入社して八年目の今も伝説になっているんだね」

「一千億の事業を一晩寝て稼げたらこんなに楽なことはありませんからね」

「まったくだ・・・」

かおりは・・・社長と寝てもいいかとも思ったが・・・彼が妻子持ちであることは五年間の付き合いでわかっている。取引先の御曹司の家庭に波風をたてるようなリスクは回避するべきだった。

それにかおりには・・・サンライズ物産の薬品部主任でエリート仲間の原田清志(満島真之介)というセックス・フレンドがいて・・・男に不自由はしていないのだった。

生島徹は誘いがかわされると自制する。

御曹司もまた・・・必要以上のリスクを冒さないものなのだ。

彼もまた女に不自由はしていないのである。

新素材の応用により、画期的な性能を誇るバッテリー「LIFE」は各家電に使用され、爆発的なヒット商品となった。

若き開発者として・・・かおりは海外メディアも注目する「時の人」となっていた。

その頃、サンライズ物産の危機対策室長には・・・米国企業や政府関連の危機管理に抜群の手腕を発揮し、「リスクの神様」の異名を戴いた危機管理のプロフェッショナル・西行寺智(堤真一)が就任する。

その信条は「誰も信用してはいけない」である。

空港に出迎えに来た危機対策室副室長の財部栄一(志賀廣太郎)の正体さえ疑ってかかる用心深さである。

そして・・・その剛腕は・・・かおりの人生を一転させるのだった。

サンライズ物産の社長として君臨するのは坂手光輝(吉田鋼太郎)である。

そのワンマン経営ぶりには批判も多い。

専務・白川 誠一郎(小日向文世)は反社長派として暗躍している。

かおりや、原田、そして広報部主任の橘由香(山口紗弥加)などの若手エリート社員たちに社長の経営者としての力量に危機感を持つようにと吹聴している。

かおりの成功は白川専務にとって・・・社長の独裁体制に楔を打ち込む意義があった。

反社長グループはかおりの成功を祝福する。

新川優愛(新川優愛)は新商品のCMキャラクターに起用されるのだった。

「二倍早く充電、二倍長持ち・・・倍返しバッテリー・・・カナでもカンナでもありません」

新バッテリー「LIFE」を内蔵した自走式掃除機「マンボ」は熱気の中を走行していた。

天才幼児たちが熱帯密林ごっこを楽しんでいた。

猛暑日に冷房をとめ、床暖房を最強にしてシャワーの熱湯をまき散らし、羽毛をまき散らし・・・室内はジャングルと化していた。

室内の湿度、温度は上昇しまくる。

帰宅した母親(霧島れいか)は嬌声をあげてはしゃぐ野獣のような子供たちに半狂乱となる。

「なんなのよ・・・あんたたち・・・なんなのよ」

その時、粉塵を吸いこんだマンボは異常な湿気、高熱の中でショートして発火する。

その火はたちまちカトリのカーテンに飛び火するのだった。

「あああああああああああああああああ」

母親は叫んだ。

悪魔の子供たちはうっとりとした。

かおりの前に西行寺が現れた!

「危機対策室の方から参りました」

「新任の室長さんですね・・・噂になっていますよ」

「噂の才女にお目にかかれて光栄です」

「私には無縁の部署ですね」

「なぜです」

「私は・・・失敗しませんから」

「失敗しない人はいません」

「それは・・・用心が足りないのです」

「クレームが発生しています」

「・・・」

「LIFEが発火して生島電機の製品が炎上したのです」

「そんな馬鹿な・・・一万回のテストをクリアしているのですよ」

「しかし・・・事実です・・・それにテストのデータは三千回分しかありません」

「・・・」

「とりあえず・・・クレーマーに対処しますのでご一緒願えますか」

「私が・・・何故・・・・」

「責任者だからです」

「私は謝罪しません・・・こちらに非がないことは明らかですから」

「そうですか」

しかし・・・第二の発火事故が発生する。

零細な服飾メーカーでマンボが火災の原因となったのである。

現場に乗り込んだ西行寺は金銭的な解決を図るのだった。

工場の再建費用や被害者の子息の就職先まで世話して事実を隠蔽するのである。

二件目の事案の発生で仕方なく被害者宅に西行寺と同行するかおり。

しかし・・・「謝ったら負け」と信じるかおりはあくまで謝罪を拒絶する。

西行寺は主婦に何やら・・・強烈な説得材料を渡し、商品の回収に成功する。

そして・・・外部の実験室で・・・耐久テストを行うのだった。

かおりの目の前で発火するマンボだった。

「この条件で・・・発火するということは・・・テストのデータに問題があると思われます」

研究員(森田剛)は事務的に告げる。

追い詰められたかおりは・・・隠匿されていた残り七千件のテストデータを発見するのだった。

インドの試験場でとられたデータでは7012件目に発火が起こっていた。

「そんな馬鹿な・・・」

「あなたは・・・失敗した」

「・・・」

「あなたの失敗は・・・生島社長を信用したことです」

「・・・」

「あなたは若い・・・才能もある・・・やり直せばいいことです」

「一千億円の損害を与えた私が・・・会社に残れるとは思えない・・・会社の看板を失えば・・・私はただの無力な女よ・・・」

かおりには介護の必要な母親(山下容莉枝)がいた。

かおりの父親は零細企業の経営者だった。

父親は・・・事業に失敗し・・・自殺したのだった。

「失敗しないために・・・大企業に・・・入ったのに・・・」

「謝罪するのです」

「できないわ・・・そんなことをしても無意味ですもの」

「知ってますよ・・・プロポーズを断った相手に逆プロポーズして断られたんでしょう・・・」

「・・・」

「彼だって・・・不良債権を抱え込みたくないでしょうからねえ」

「辞職します」

「いい加減にしなさい。あなたは失敗したんだ・・・失敗した時にこそ・・・自分自身を見つめ直すチャンスでしょう・・・あなたにとって何が一番大切なのか・・・考えなさい・・・たとえば介護の必要な母親のこととか」

「どこまで・・・私を調べたの」

「危機を管理するために必要なことはすべてです」

「しかし・・・事故はすでに起きたわ」

「事故を他人に告発されたのではなく・・・自ら謝罪するのです・・・恥知らずでも見栄っ張りでもない・・・全うな企業の態度として・・・世間は評価してくれます」

「こんな会社・・・やめてやる」

そこで危機対策室調査主任の種子島(古田新太)が現れる。

モニター画面に現れるインドのホテルの一室に消えるかおりと生島社長の画像。

「あなたは・・・誰とでも寝るという噂がありますよね」

「そんな・・・ただ・・・私たちは祝杯を・・・」

「世間がどう思うかが大切なんですよ・・・社長の夫人とか・・・あなたの家族とか・・・」

「私にどうしろと・・・」

「社長がお呼びですよ」

二人は社長室に迎え入れられる。

「君には責任をとってもらいたい・・・」

「はい・・・」

「すべての責任をだ・・・」

「え・・・でもデータを隠匿したのは・・・生島社長では・・・」

「生島グループと我が社がどれだけの取引があるのか・・・知らない君でもあるまい」

「・・・」

「それに・・・LIFE事業をつぶすわけにもいかない」

「・・・」

「LIFEの開発責任者である君が・・・すべての責任を背負ってくれれば・・・君を悪いようにはしない」

かおりは謝罪会見に応じる以外の道をすべて塞がれたのを知った。

生島社長は体調不良で入院するのだった。

御曹司だからである。

かおりの最後の晴れ舞台は・・・謝罪記者会見だった。

「行ってきなさい・・・君が謝罪することで・・・多くの社員が路頭に迷わずにすむ・・・君の父親を助けるつもりで・・・謝るといい」

「そ・・・そんなことまで・・・」

かおりは断頭台に上った。

「商品はコンプリートリコールに応じます。他社との開発競争があり・・・不十分なテストデータのまま・・・完成をあせった私が・・・開発担当役員として・・・責任を・・・すべての責任を・・・全責任がございます。誠に申し訳ありませんでした」

悔恨の涙・・・深く頭をさげるかおりだった。

西行寺は微笑んだ。

もちろん・・・かおりの行きつく先は危機対策室である。

「ようこそ・・・」

そこには・・・あの研究員がいた。

「危機対策室渉外担当の結城実です」

「ど・・・どういうことですか」

「あの実験はフェイクだ・・・あれが欠陥商品であることを君に認めさせ・・・隠匿されていたデータを発掘してもらう必要があった」

「私・・・はめられたの」

「だから・・・誰も信用するなということだ」と西行寺。

「・・・」

「誰にも失敗はある。最初のクレーマーは不倫をしていたのでその証拠写真を口止めの材料にしました」と種子島。

「あなたがすべての責任をおってくれたおかげで・・・サンライズ物産は生島グループに大きな貸しを作ることができました。ライフパワー社の出資比率も改められ七対三で我が社に有利なものになりました」と財部副室長・・・。

「さあ・・・君はどうするね」

「私は・・・あきらめない・・・ここから・・・のしあがってやる」

「素晴らしい・・・君のような人材を獲得出来てうれしいね」と西行寺。

「どうせ・・・口先だけなのでしょう」

「もちろんだ」

こうして・・・サンライズ物産・危機対策室に新たなる一員が加わったのだった。

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2015年7月 8日 (水)

HEAT(栗山千明)VSホテルコンシェルジュ(西内まりや)マリアンヌ!(AKIRA)火の用心!(佐藤隆太)サイコパス!(田中圭)コンサルタント!(菜々緒)ポルターガイスト!(夏菜)

おい・・・。

いやあ・・・ペンディングである。

おいおい・・・。

なんていうか・・・いい勝負なんだよな。

可もなく不可もない「ホテル」と撃たないで~の声が遠くに聞こえる無理がありすぎる「しょぼしょぼ団」・・・。

もう・・・西内まりやの可愛さと栗山千明・菜々緒のゴージャス感・・・どちらを選択するか・・・それだけだよな。

レギュラー性ということで言えば・・・今のところ・・・①「デスノート」で・・・②に「婚活刑事」「小泉さん」「ホテル」「ホース」が一直線だ。

来週の(火)のレビューがない可能性もあるよね~。

夏だなあ・・・。

で、『ホテルコンシェルジュ・第1回』(TBSテレビ20150707PM10~)脚本・松田裕子、演出・今井和久を見た。「ごくせん」や「花咲舞が黙ってない」など堅実なエンターティメントの脚本家である。一流の接客に必要なのが「おもてなしの心」なのか「気品」なのかというよくわからない裏テーマがあるらしい。主人公の新人コンシェルジュ・天野塔子(西内まりや)が何か「輝くもの」を持っていると考える総支配人の鷲尾(高橋克典)と「ホテルの廊下を走る女なんて問題外」と考える経営戦略室ゼネラルマネージャーの片桐(若村麻由美)が経営方針をめぐって火花を散らすのだ。

・・・そんなホテルは嫌だな。

ま、それはさておき・・・伝説の高級旅館の番頭さんだったチーフ・コンシェルジュの珠久里(尾美としのり)、無駄口はたたかない先輩コンシェルジュの本城(三浦翔平)、旅行鞄を破壊し、宿泊客の夫婦仲を険悪にさせ、突然の渋滞を呼び起こす客室係の亜里砂(夏菜)など・・・ホテル従業員の顔ぶれはなかなかに楽しいのだった。

問題は365日24時間勤務にならないように・・・リアリティーを感じさせるかどうか。

コンシェルジェが三人しかいないなら・・・三人が顔を合わせるのは基本的に無理なんだから~。

だって・・・ホテルは不夜城なんだから・・・。

まあ・・・どんなサービス業ドラマも・・・ここは基本スルーなんですけどね。

ドラマだからな。

「お客様のご希望にノーと言わないこと」

本城に指導された天野はゲストのカリスマファッションデザイナー・海宝沙知(鈴木保奈美)の無理難題に対応する。

「実現不可能なことにイエスと言うのはノーと言うのと同じ」

本城の次のアドバイスに戸惑う天野だった。

「君の仕事が・・・他の従業員に負担をかけるだけならば・・・君はいないのと同じ」

天野の「イエス」によって仕事が増えた出入りの業者の一人、花屋の渡辺(尾上寛之)は恋人へのサプライズ・バースデーに遅刻してしまう。

渡辺は恋人のまどか(浅見れいな)にプロポーズする予定だったのである。

客の要望に応えるどころか・・・足を引っ張ってしまいそうな事態にあせる天野。

しかし・・・社員食堂でカツ丼(大)を食べれば「かがやき」を取り戻す天野なのである。

従業員一同を巻き込んでホテル付属の教会でサプライズを成立させ、プロポーズも大成功させるのだった。

ついでに・・・夫のモラルハラスメントに悩んでいた沙知の悩みも解決する天野。

まさに主人公パワー炸裂である。

ホテルみたいな病院をテーマにした「まっしろ」で玉砕したこの枠である。

今度は病院みたいなホテルをやるんだな・・・。

まあ・・・今度は爽やか主体なので大丈夫かもしれない・・・。

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で、『HEAT・第1回』(フジテレビ20150707PM10~)原案・秦建日子、脚本・丑尾健太郎、演出・小林義則を見た。「ショムニ」とか「TAKE FIVE」の脚本家である。不動産会社「クローバー都市開発」で都市開発を手掛けるビジネスマン・池上タツヤ(AKIRA)が「地上げ」のために再開発予定地である幸多市に「経営コンサルタント」と身分を詐称して潜入・・・情報を獲得して土地買収を有利に進める手段として地元消防団に参加するという物凄いとんでも設定である。・・・さすがだな。

本社ビルでの火災訓練に非協力的で・・・消防士隊長の合田篤志(佐藤隆太)に注意されたタツヤである。

「あんたは・・・死んだ」

「訓練なんか無意味・・・いざとなったら自分の身は自分で守る」

クローバー都市開発社長の日比野(稲垣吾郎)は巨大プロジェクトを推進中。

その候補地候補をライバルの濱田(田中圭)に先取りされてしまうタツヤである。

情報を流したのは・・・部下の榊(井出卓也)か・・・社外のビシネスパートナーの結城エリ(菜々緒)なのか・・・そういうどす黒さも醸しだしつつ・・・。

幸多市消防団第十一分団のリーダーで幼稚園に勤務している安住咲良(栗山千明)との出会いが・・・「目的のためなら手段を選ばない」サイコパスな一面を持つタツヤの心を少しずつ変化させていくという趣向である。

同時に謎の不審火で住民の信頼を失った第十一分団の復権の物語でもあるらしい。

有力な地権者で偏屈な老女の飼い犬を追って火事場に飛びこむタツヤ。

しかし、バックドラフトによって密室に閉じ込められてしまう。

タツヤの危機を救ったのは・・・タツヤが蔑んでいた第十一分団の地道な水の手確保作業だった。

「あんたはまた死んだ・・・自分でなんとかするんじゃなかったのか」

「・・・」

何故か・・・幸多市消防士隊長に転任した合田に皮肉られるタツヤだった。

しかし・・・地主の犬を救助したので買収には成功するのだった。

真面目な消防士の白石(工藤阿須加)もいます。

靴屋の白石(菅原大吉)、主婦の神戸(堀内敬子)、サラリーマンの鳴海(正名僕蔵)などのんびりした団員たちは微笑ましい。

まだまだ・・・たくさんの土地を買収しなければならないタクヤ。

なんだかんだ・・・しがらみというか・・・絆が深まっていくんだろうねえ。

あまり・・・深く考えなければ・・・火事場見物は楽しいからな。

さあ・・・どうなんだ・・・(火)は・・・。

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2015年7月 7日 (火)

デスノート(窪田正孝)キラなんて嫌い(優希美青)

それが言いたかったのかっ。

まなかな~的なレベルかっ。

意外なことに・・・キッドのブログには「DEATH NOTE」シリーズの独立した記事がないのだった。

ホラーなのにかっ。

「アニメ」で「映画」だからな・・・。

今回・・・アレなのは・・・。

映画版

弥海砂・・・戸田恵梨香

夜神粧裕・・・満島ひかり

ドラマ版

弥海砂・・・佐野ひなこ

夜神粧裕・・・藤原令子

・・・というキャスティングだ。

落差激しいよね・・・それ以上は言及するなよ。

土曜日から来ているな。

しかし・・・映画版に登場しないニアが少女(優希美青)になって登場するんだな。

とにかく・・・意外と面白いので・・・背筋が寒くなります。

で、『デスノート・第1回』(日本テレビ201507052230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・猪股隆一を見た。死神が落した「名前を書くと必ず死ぬデスノート」を拾ったライトこと夜神月(窪田正孝)が「姿なき殺人鬼」となり、天才的探偵エルことL(山崎賢人)と対決する・・・というこの物語。合成で登場する死神リュークの悪魔的なポジションが死神一同に不評を買っているわけだが・・・現世ではそこそこ人気である。やはり誰もが誰かを「殺してやりたい」という衝動にかられた経験があるからだろう。

ライトは・・・善人だったが・・・「誰でも殺せる手段」を手に入れたことにより・・・殺人の快楽に溺れて行くわけである。ここが「命を大切に」と言いながら「とんかつ」を食べ「殺虫剤」を振りまく人間の偽善性に触れていて、中学生ぐらいの感性にフィットするんだなあ・・・。

死んだ方がマシという人間はいるでしょう・・・という感覚である。

悪魔はその点について微笑むしかないわけである。

ドラマ版のライトは映画版(藤原竜也)よりもさらに普通の青年として描かれている。

地下アイドルっぽい「イチゴBERRY」のメンバー・ミサミサこと弥海砂のファンで、捜査を理由に母親の死に際を逃した父・夜神総一郎(松重豊)をなんとなく怨んでいる・・・なんて手垢のついた設定なんだ・・・将来の目標は警察官以外の公務員である。

放送中の朝ドラマのヒロインかっ。

ちなみに「あまちゃん」でおなじみの優希美青の演じるニアことNは喋り出しそうな人形を持っています。

そんなライトの前に・・・リンゴが大好きな悪戯好きの死神リュークがデスノートをお届けである。

ライトはかってのいじめられっ子の鴨田(柾木玲弥)を友人としているが・・・かってのいじめっ子で・・・少年刑務所を出所した佐古田(出合正幸)が現れて・・・一緒に恐喝されてしまう。

冗談半分でデスノートに「佐古田」の氏名を記入したライトは佐古田がデスノートのルールに従って死亡したことに驚く。

やがて・・・かっての凶悪犯が出所し・・・夜神総一郎を人質にとって立てこもるという事件が発生。再びノートを使用したライトは二人目が死んだことにより・・・自分が魔法によって人間を二人も殺した罪悪感に苛まれ・・・一度は自殺を決意する。

しかし・・・死にきれず・・・毒を食うなら皿までの覚悟で・・・「死んだ方がマシな人間の暗殺者」として活動を開始するのである。

こういうお茶の間向けの丁寧な展開は・・・じつにまどろっこしいが・・・主人公の演技力でなんとか乗り切るのだった。

そして・・・姿なき殺人者の存在を探知する天才探偵エルの登場である。

エルは執事のワタリ(半海一晃)を通じてICPO(インターポール)に協力を依頼させるのだった。

エルもまた・・・彼以外の「悪」を許さない独善者なのである。

こうして・・・魔法殺人鬼となったライトと天才探偵エルとの知的な鬼ごっこが開始される。

ライトはエルの顔と名前を見つければ勝ち。

エルはデスノートの存在とデスノートの所有者を突き止めれば勝ち。

そういうゲームなのだった。

やがて・・・犯行時刻から・・・ライトに迫って行くエル。

エルの仕掛けた罠で・・・偽のエルを殺したライトは・・・好敵手の存在に慄くのだった。

その間にも・・・ミサミサの両親を殺害した凶悪犯をデスノートで葬ったライト。

ミサミサを始めとする・・・「正義の殺人肯定派」は姿なき殺人者をキラと名付け神として崇拝し始める。

しかし・・・捜査情報を父親の部下から聞きだしたことが仇となって・・・ライトの身辺にエルの捜査網が迫ってくるのだった。

キラことライトとエルの対決を眺める謎の美少女ニアも登場しテレビ版もそれなりに面白い感じに仕上がるのである。

きっと・・・また・・・愚かな小中学生が萌えるんだな・・・。

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Hcgkm2015s001まこちゃんハウス。シークレットルーム。まこついに平成財閥魔法研究所がコレを開発したのデス!

くうデスノート?

まこ「ちがいましゅ~・・・顔を知っている人の名前を書くだけで必ずキスができるという凄いアイテムでしゅ~

くう「・・・

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2015年7月 6日 (月)

勝てば官軍、敗ければ賊よ・・・命惜むな、国のため(井上真央)

つまり、現在の官軍とは米軍のことである。

日本国内にあって朝廷をお守りしているのは・・・あくまで米軍なのである。

そういう意味では現在では大日本帝国の軍隊は賊軍であり、朝敵なのである。

日本は米国の属国ではないという考え方もあるが・・・日本独自の戦力では象徴天皇を守護できない可能性があり、米国が在日し、核の傘を広げることは道理にかなっているわけだ。

時代が変わり、大陸間弾道弾で御所が一瞬で蒸発してしまう可能性もあり、抑止力としての核が絶対的な正義であることは・・・間違いないわけである。

尊皇の立場からは実に明快な話なのだ。

有事にあって強い米軍の指揮下に自衛隊が入る。

一体、それのどこに問題があるのだろうか。

吉田松陰の目指した尊皇攘夷。ついに夷狄に護国を委ねるまでになったのだ。

その慧眼おそるべしである。

で、『燃ゆ・第27回』(NHK総合20150705PM8~)脚本・大島里美、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は朝敵となっために賜った慶の字を幕府から剥奪され毛利慶親改め毛利敬親の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。そうせい・・・と言いすぎましたな。今回、入江(兄)死亡で伊藤夫人来るかと思いましたが裏をかかれました・・・。しかし、あくまでマイペースでお願いいたします。歴史というものに対する解釈は人それぞれで・・・どちらとも言えないというのも一つの見識ですが・・・ドラマでそればっかりやっていると・・・面白味というものが薄れるということはありますよね。そのあげくに・・・まるで藩内の権力闘争によって・・・禁門の変が起きたみたいな・・・おかしなことに・・・。そもそも・・・主人公が凄い女だったという風な作劇にちょっと無理があるのでございますよねえ。兄は幕府に逆らって死刑、夫は朝廷に弓引いて自害というヒロイン・・・もう少し・・・受動的でいいと思うんですよねえ・・・。少なくとも文は教養のある才女だったことは間違いないわけですから。自分で家を借りたり、自分で奥へ売り込んだりというのは・・・あまりにも時代とかけ離れていますよねえ。そんなに自由だったら苦労ないわけですから・・・。幕府に恭順の態度を示しつつ・・・毛利家としては士気を維持する必要がある。文の奥勤めは一種の温情処置なのでございますから・・・。まあ・・・脚本家が時代背景に頓着せず・・・そういう女を描きたいのであれば・・・しょうがないなあ・・・と思う他ございませんけれど~。・・・ここから坂道を転がり落ちる長州は言わば四カ国戦、長州征伐戦と・・・袋叩きにあって4-0のリードを米国に許したなでしこみたいなもので・・・ここから4-5で逆転するわけですから・・・明治維新ってすごいですな~・・・。その立役者である高杉晋作と桂小五郎に・・・一縷の望みをつなぎたいと考えます。

Hanam027元治元年(1864年)七月十九日、長州諸隊は洛中への進軍を開始。長州は西と南から二軍に別れたために西側から突入した家老・益田右衛門隊が先行する形成になり、南側の家老・福原越後守隊の突入が遅れる。結果として少ない戦力をさらに分散させ・・・各個撃破されてしまうのである。西から突入した来島又兵衛遊撃隊は黒田藩が守備する中立売御門を制圧し、鉄砲隊を配置して、会津藩守備の蛤御門へと再突入。会津藩が防戦するうちに乾御門守備の薩摩軍が応援に現れ、挟撃された長州勢は壊滅的打撃を被る。来島又兵衛は射殺され、撤退。大垣藩の砲兵と遭遇した福原隊もまもなく敗走。久坂玄瑞たち残った部隊は京都市街地を迷走しながら、前関白鷹司屋敷に到達するが・・・敗色は濃厚で・・・敗れた長州に情けをかけるような貴族があるはずもない。「赦免の嘆願」という目的が達成困難と知った久坂玄瑞は切腹して果てる。一説によれば負傷して逃走することもできなかった由縁とも言う。二十一日、三条実美らをともない、兵を率い京都に向かっていた毛利元定は敗報に接し、山口城へと退却する。八月、四国艦隊は下関に迫っていた。

海の向こうでは戦争が始っていた。

南北戦争である。アトランタでは激戦が続いている。

文は幽かにその気配を感じていた。

兄がその目で見ようとした国は今、戦いの中にあった。

遠い遥かな阿鼻叫喚。

一つの壺の中に毒虫を入れ殺し合いをさせる。

最強の毒を生むための蠱毒の術である。

「己を鍛えるためには己を苛めるしかありません」

生前の兄は文にふともらした。

「国が強くなるためには他国と競う前に・・・己を鍛える必要があるのです」

「鍛錬でございますか」

「練習です・・・太平の世が終わったことを自覚するものだけが・・・日の本の明日を担えるのです」

そして・・・今・・・京都では太平の世が終焉を迎えていた。

(これが・・・兄の目指したものか・・・)

御所を守る幕府軍の布陣は鉄壁だった。

長州の諸隊は魔に魅入られたように次々と死地に飛びこんでいく。

長い長い平和。

果てしない停滞の果てに・・・下剋上の炎が燃え上がる。

雄叫びをあげて抜刀し、敵陣に切りこんだものがたちまち骸となって横たわる。

命があっけなく消えて行く。

(本当に・・・これが・・・あるべき明日へ続く道なのか・・・)

文にはわからない。

しかし・・・久坂玄瑞の命が・・・その未来への供物として捧げられることが・・・避けられないことだとは分かっていた。

十重二十重に囲まれた久坂の直属部隊はすでに壊滅している。

(文・・・すまぬ・・・)

自害する夫が最後に自分の顔を想い浮べたことを・・・文は不思議な気持ちで見つめる。

鏡に映ったような自分の顔。

それは微笑んでいた。

そして・・・暗転する世界。

文は叫んだ。

「ああああああああああああ」

(兄上・・・長州は滅びるのですか・・・長州が消えてしまうのが・・・兄上の望みなのですか)

文は思わず問いかける。

しかし・・・答えるものはいない。

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2015年7月 5日 (日)

She(松岡茉優)監視された学園(竹富聖花)校内ミステリ(清水くるみ)電波ちゃん(森川葵)少女喪失(中条あやみ)

そろそろ・・・谷間も終わりだなあ。

雨がしとしと週末だ。

今日は弟の愛猫と会話した。

普通に喋ってたな・・・。

しかも・・・それほど驚かなかった。

部屋で死体を発見した時の方がショックだったよな。

つまり・・・猫が喋るのは・・・身元不明の死体を発見するほど驚くべきことではないのだな。

まあ・・・夢の話なんですけどね。

深夜アニメも新と旧が交錯していて紛らわしい。

なんか・・・自衛隊がドラゴンと戦ったり、火星に第四東京都があったり、宇宙の彼方から変なものが帰ってきたりしてたよね。

もうすぐ・・・夏だなあ・・・。

無事に秋を迎えたいよなあ・・・。

で、『She・第1~最終回(全5話)』(フジテレビ201504182340~)脚本・安達奈緒子、演出・山内大典(他)を見た。一度消えた土ドラの枠がこっそり復活しての第一弾である。深夜ドラマには「キューティーハニーTL」とか「怨み屋本舗」とか「みんな!エスパーだよ!」とか「モテキ」とか「アオイホノオ」とか「なぞの転校生」とか名作が多いので頑張ってほしい。みんな!テレ東じゃないかっ!

あまちゃんの埼玉こと・・・松岡茉優がドラマ初主演である。

ひとつのピークを迎えたんだな。

なんとも言えない魅力を醸しだしたからな・・・。

男女共学の高校で・・・始業式の日に新三年生の女生徒が消息不明になる。

彼女は・・・何故・・・消えたのか・・・親友の西澤涼子(松岡茉優)は・・・真実を求めて捜査を開始するのだった。

消えたのは学園一の美少女で成績もトップクラス・・・アスリートで性格もいい荻原あづさ・・・演じるのは「SUMMER NUDE」で小南写真館のアルバイトをしていた中条あやみだ。

しかし・・・消える寸前・・・あづさは・・・様々な裏の顔をのぞかせていた。

期末試験の問題を盗んだ・・・という噂。

いかがわしい「仕事」をしていた・・・という噂。

恋人と不仲になっていた・・・という噂。

そして・・・ジャーナリスト志望のあづさがクラスメートから真相を聞きだす課程で・・・学園内に仕掛けられた盗撮・盗聴の機器が発見され・・・あづさの秘められた過去が明らかになるのであった。

消息不明から二週間・・・刑事に伴われたあづさの母親・みづき(霧島れいか)がクラスメートに事情を聞きにやってくる・・・あの日、満開だった桜は・・・すでに散っていた。

第一の容疑者・・・江藤美百合(清水くるみ)・・・「学校のカイダン」の会計少女・玉子である・・・はあづさの恋人・村岡晴人(成田凌)と深い関係になっていた。美百合と村岡がキスしているのを・・・あづさは屋上から見ていた。

第二の容疑者・・・村岡・・・しかし、彼はあづさとはすでに別れていた。

第三の容疑者・・・山本沙綾(竹富聖花)・・・学園の女王の座をあづさと争ったライバル。しかし・・・実はいじめによる休学を経た二歳年上の生徒だった。

第四の容疑者・・・涼子・・・実は答案用紙を盗んだのは・・・涼子だったのである。しかし・・・親友だと思っていたあづさに冷たくあしらわれ・・・憎しみを感じていたのだった。

第五の容疑者・・・奥村千里(森川葵)・・・「ごめんね青春!」のあまりんである・・・電波少女で地味な存在だった千里は・・・実はあづさの幼馴染だった。高校で再会したあづさは・・・千里に優しくしてくれたのだが・・・ある日を境にあづさは豹変したのだった。

第六の容疑者は・・・あづさの母親のみづき・・・村岡の友人でチャラ男の広瀬(白洲迅)はあづさとみづきの危険な関係を知っていた。みづきは母親として過剰な執着をあづさに持っていた。

学校に監視カメラや盗聴器を仕掛けるほどの・・・依存症だったのである。

「お母さんから・・・逃れるために・・・」

「カメラの前で・・・」

「私たちを悪者にして・・・」

「お母さんが・・・傷つかないように・・・」

「お母さんが・・・好きだったから・・・」

クラスメートたちは・・・すべてがあづさの演技だったことを知る。

しかし・・・涼子は・・・千里が持っていたあづさの幼い頃の写真から・・・あづさの失踪の本当の理由に気がつくのだった。

そして・・・あづさの母親みづきの・・・恐ろしい正体を・・・。

その正体については・・・珍しく秘めておきたいと考える。

涼子は真実にたどり着く。

しかし・・・そのことを胸に秘めるのである。

何もかも・・・明らかにすればいいというものではない。

涼子は・・・ジャーナリストの心得の一つを学んだのだから・・・。

とにかく・・・かわいいよ・・・みんな・・・かわいいよなのである。

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2015年7月 4日 (土)

びったれ!!!(田中圭)またあなたですか!(森カンナ)

そこかよっ・・・。

谷間だからな・・・一昨日の記事「心の科学者・成海朔の挑戦」の敵役を演じた田中圭と昨日の記事「婚活刑事」の主人公のライバルを演じる森カンナが主人公とヒロインの作品であり・・・今秋、映画化されるらしい。

地方局の共同制作ですでに放送終了しているが・・・捜すと現在、深夜に再放送中だったりする。

「カバチタレ!」や「極悪がんぼ」と同じ原作者の・・・底辺そして裏社会ドラマである。

もう・・・谷間でしか・・・触れられない展開だよな。

でも・・・田中圭と森カンナ・・・いいよねえ。

なんか・・・いいよねえ。

で、『びったれ!!!・第1回』(千葉テレビなど201501172230~)原作・田島隆、脚本・門間宣裕(他)、演出・水波圭太(他)を見た。もみじ司法合同事務所に所属する司法書士の伊武努(田中圭)は事務所スタッフの杉山栄子(森カンナ)に書類の誤字なとでいつも叱責されるのである。

「渡邊さんのなべは難しい方だって言ったじゃないですか」

「あ・・・すみません・・・」

「だから・・・渡辺ではなくて渡邊です」

「渡邉ね・・・」

「渡邊ですっ」

「・・・」

ああ・・・森カンナに叱責されてえなあ。

・・・という方は必見ですな。

一部限定じゃないか。

努は姉・伊武清美(高橋かおり)の娘・かりん(岩崎未来)を養女としている。

複雑なシングル・ファザーであり・・・もちろん・・・そこには秘められた過去があるのだった。

努は・・・かって泣く子もだまる極道者だったのである。

そういう過去を隠して司法書士として更生した努・・・法律の知識を使って弱きものにそっと手を差し伸べる。

最初に努が救済するのはかりんと同じ保育園に通う園児の父親・流行人(池田鉄洋)である。

流は昼の土建会社勤務とは別に夜の居酒屋でもアルバイトする金欠男。

しかし、勤務先の丸山珍平社長(及川いぞう)から五百万円の融資を強要され、断ると解雇されてしまうのだった。

「もう・・・父ちゃん・・・ダメだ」と幼い息子に泣きごとを言う流。

「着手金一万円で・・・不払いの給与を社長に支払わせる」

「そんなことができるのですか」

「できますよ」

労働基準法第三十八条・・・労働時間は事業場を異にする場合においても労働時間に関する規定の適用については通算する。

つまり、別の仕事をかけもちする人物を雇った雇い主は労働者が過剰勤務にならないように両方の仕事の労働時間を把握するべきだという考え方である。両方の仕事の労働時間を通算したときに労働時間が基準を越え残業に準ずる場合・・・雇い主はの割増賃金を払わなければならないのだ。

つまり・・・努は請求時効の二年間分の割増賃金四十八万円を丸山社長に請求するのだった。

その方法は・・・簡易裁判所における少額訴訟。

この場合、司法書士は代理人として法廷に立てるのである。

六十万円以下の金銭の支払を求める場合に限り,利用することができ、一回の期日で審理を終えて判決をすることを原則として、控訴はなしという特別な訴訟手続だ。

「こりゃ・・・何の真似じゃい」と裁判所に出頭を命じられた丸山。

「裁判です」と努。

「あなたは請求者がかけもちで働いていたことを御存じでしたか」と裁判官。

「知ってたが・・・それがどうしたって言うんじゃ」

「判決を申し渡します・・・請求者に期日までに請求金を支払うことを命ずる」

「え」

裁判終了である。

「誰が払うか・・・」

「・・・」

「おい・・・俺はな・・・裏社会ともつながっておるんぞ」

凄む丸山社長。

二人きりになると努は裏の顔を見せるのであった。丸山の局所を握る努。

「なにが・・・裏社会じゃ・・・大人しく払わんと・・・二つあるもんが一つになるが・・・ええんかの」

「いててててててて」

仕方なく・・・支払いに応じる丸山だった。

大金を見て目を輝かす流。

「成功収入は・・・」と流の胸ぐらをつかむ努。「二度と息子の前で泣きごと言わないと約束せい・・・」

「はいっ」

二人の父親は仲良く・・・園児に対して読み聞かせの奉仕活動を行うのだった。

腹立ちのおさまらない丸山は・・・裏社会の刺客を努に放つ。

しかし・・・努の姿を一目見た刺客は・・・。

「あほんだら・・・そんなはした金で・・・命かけられるかい・・・あのお方を誰だと思ってけつかる・・・」

・・・と丸山を罵倒するのだった。

伊武努・・・恐ろしい司法書士なのだ・・・。

まあ・・・この手の話が好きな人はまったりと楽しめます。

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2015年7月 3日 (金)

婚活刑事(伊藤歩)愛した男が必ず犯罪者という呪い(森カンナ)確率的におかしい(小池徹平)

さて・・・夏の気配がするよね。

雨が降って湿度は高くて・・・南の方で台風が発生して・・・。

七月だからな・・・。

あきらめろ・・・この谷間を越えたら・・・夏だよ。

それにしても「日本テレビ」はゴールデンタイムよりも深夜の警察の方が設定がまともだよな。

それにしても映画「スワロウテイル」(1996年)のアゲハも(35)である。

二十年か・・・。

最近ではスーパーでパートタイマーをしている笹本紗和(上戸彩)の浮気相手の晴鐘学園付属高校理科教師の北野裕一郎(斎藤工)の妻だった女が・・・遅咲きの主人公として降臨するのだった。

それにしても・・・もう少し・・・早くてもよかったよねえ・・・。

で、『花田米子が結婚できない・・・じゃなかった婚活刑事・第1回』(日本テレビ201507021159~)原作・安道やすみち、脚本・ますもとたくや、演出・遠藤光貴を見た。1980年度生まれを代表するスター女優の一人である伊藤歩だが・・・ここには広末涼子、田畑智子、竹内結子、田中麗奈、酒井若菜、小池栄子、優香、眞鍋かをり、野波麻帆、井上和香、新山千春、北川弘美、奥田恵梨華、菊地凛子などがいるのだった。・・・大変だなあと思うばかりである。

え~・・・「うぬぼれ刑事」というものがあります。

陣川兄妹もおるでよ。

まあ・・・それはさておき・・・警視庁両国警察署刑事課の刑事・花田米子巡査部長(伊藤歩)は交通課の小西弥生巡査(森カンナ)とともにホテルにおける婚活パーティーに参加していた。捜査のためではなく・・・婚活のためである。

しかし・・・花田刑事がターゲットにした男性は・・・突然、乱入してきた警視庁捜査一課の刑事・・・藤岡躑躅(小池徹平)により・・・暴行致死の容疑で逮捕されてしまうのだった。

ホテルのパーティー会場から・・・退散した花田刑事は・・・清掃会社の経営者で高校時代の同級生である福田潤平(和田正人)と「運命の再会」をする。

偶然につぐ偶然だが・・・もう・・・一種のお約束という他はないよね。

翌日・・・出勤した花田刑事は異動してきた藤岡躑躅警部と再会する。

藤岡警部は・・・花田刑事に・・・囁く。

「三十五歳からの婚活での成功は女性の場合およそ五十人に一人というデータがあります」

思わず故郷の鳥取弁で「だらず・・・(バカ・・・)」と罵る花田刑事だった・・・。

そして・・・闇金の経営者が殺害されるという事件が発生する。

現場に向かう刑事たち。

塚本課長(鈴木砂羽)は花田刑事と藤岡警部を組ませるのだった。

ひろし(ユイちゃんの兄)・・・じゃなかった藤岡警部はデータ主義のエリートである。

被害者の顧客データから・・・容疑者を絞り込む・・・。

最初の容疑者は・・・大金を入手していた。

しかも・・・その金は濡れていたのである。

現場では大量の被害者の流血があった。

金庫から持ち出された金も・・・血液で汚れていた可能性があった。

そして・・・容疑者の使用した金からは血液が検出されるのだった。

一件落着と見えた事件・・・しかし・・・藤岡警部は疑り深い性格である。

「用心深い被害者が・・・簡単に加害者の侵入を許したことが解せない」

やがて・・・藤岡警部は被害者の事務所の清掃を担当していた福田潤平に目をつける。

「潤平くんが犯人なんて・・・ありえません」

幼馴染を弁護する花田刑事。

その言葉に反応する同僚の宮谷刑事(升毅)・・・。

「まさか・・・福田を好きなのか」

「・・・」

「福田が犯人ね」と課長。

「どういうことです」と藤岡警部。

「米子レーダーです」

「米子レーダー?」

「彼女が愛した男は必ず犯罪者になるのです」と宮谷。

「そんなの偶然です」と花田刑事。

「馬鹿馬鹿しい・・・」と藤岡警部。

しかし・・・犯人は・・・福田なのである。

福田は被害者に父親を借金苦による自殺へと追い込まれていたのである。

鳥取に帰ろうとする福田を逮捕する・・・花田刑事。

「俺は・・・ただ・・・厳しすぎた借金の取り立てを謝ってほしかったんだ」

「ギリシャ政府みたいなこと言わないで・・・」

落ち込む花田刑事に藤岡警部は囁く。

「犯罪者が故郷を目指すのは・・・自殺目的の場合が多いというデータがあります・・・あなたは彼を救ったのかもしれません」

「・・・」

とにかく・・・これでワンクール押し切るらしい。

藤岡警部の異動も・・・警視庁警務部参事官の佐伯信二郎(大杉漣)が絡んだワケアリらしい。

まあ・・・のんびりと睡眠薬代わりで見る分には申し分ないドラマと言えます。

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2015年7月 2日 (木)

なぜ家族は消されたのか?心を操る恐怖のサイコパス~成海朔の挑戦~(山下智久)それは私です(田中圭)

テレビ番組欄のジャンル分けでバラエティーに分類されドラマファンがうっかり見逃すコレである。

それはさておき・・・なでしこすげええええええええっ。

なんていうか・・・特別な人たちなんだな。

こらしめの必要な自民党の議員や・・・新幹線で焼身自殺する老人とかとは違う人類なんだと考える。

特別だけど・・・なんだか・・・とても普通に感じる・・・彼女たちに幸あれと願う。

すげえええええええ人たちが必ずしも一生幸福とは限らないのが世界というものだからねえ。

川澄がギリギリのパスを出した。

そして・・・バセットがオウンゴール。

なんという・・・ドラマなのか・・・。

そして・・・決戦は・・・日米である。

ドイツを破ったアメリカと・・・イングランドを破った日本・・・これは・・・アレじゃないか・・・。

で、『ザ!世界仰天ニュース・なぜ家族は消されたのか?心を操る恐怖のサイコパス~成海朔の挑戦~』(日本テレビ20150701PM7~)脚本・松田裕子(他)、演出・森田俊介を見た。櫻川大学文学部心理学科准教授・成海朔(山下智久)を主人公とした再現ドラマ風ミステリの第2弾である。成海朔は心理学者なので・・・素人探偵ものでもある。犯罪捜査に関しては安孫子賢人刑事(浅利陽介)がフォローをする。今回は我孫子の部下の高杉草太刑事(二階堂高嗣)、成海朔の助手として瀬野尾ひかり(山本美月)も登場する。

櫻川大学に一人の男・真壁広樹(田中圭)が訪ねてくる。

真壁は・・・成海朔のかっての教え子・野川諒子(夏菜)の婚約者だと名乗り、諒子が三週間前から消息不明となったので・・・何か事情を知らないかとやってきたのだ。

もちろん・・・成海朔には心当たりがない。

「警察には届けたのですか」

「いえ・・・事を荒立てたくないものですから・・・」

「ご心配でしょうね」

諒子の後輩にあたる瀬野尾ひかりは真壁に同情する。

しかし・・・真壁を観察した成海朔は不審を感じるのだった。

「彼は・・・精神病質(サイコパシー)の疑いがある・・・」

「え・・・真壁さんがサイコパス(精神病質者)・・・何故ですか」

「表情だよ・・・彼の表情は左右対称ではない・・・」

「そんなことで・・・」

「サイコパスは慢性的に平然と嘘をつく・・・当然、それに伴った感情も・・・演技的になる。演技で不自然に顔面の筋肉を使うために・・・左右の表情がずれて・・・歪んだ顔つきになるのだ」

「そんな・・・全然気が付きませんでした」

「ある程度の視力と・・・普通の表情と異常な表情を見分ける訓練が必要となる・・・ただし・・・観察力の優れた人間は・・・歪みを直感的に感じる場合がある。所謂、人相が悪いと言った表現がそのために生まれるのだ」

「・・・印象というやつですね」

「そうだ・・・田中圭が・・・畑仲珪みたいな感じになるのだ」

「・・・よくわかりません・・・」

「そうですか・・・しかし・・・サイコパスが必ずしも犯罪者というわけではないから・・・誤解しないように・・・ただ・・・彼の場合・・・婚約者が三週間も行方不明なのに・・・警察に届け出ようとしないのが・・・気になるのです」

しかし、真壁に呼び出された瀬野尾は・・・野川諒子の所在確認に利用されてしまうのだった。

その頃、下着姿で路上で保護された少女(大友花恋)・・・。

担当となった我孫子刑事は・・・少女が何も話さないために困惑し・・・心理カウンセラーとしての成海朔の手腕を頼る。

「お願いできませんか・・・」

「引き受ける交換条件として・・・一人の男を照会してもらいたいのですが・・・」

「うわあ・・・個人情報ですか・・・」

「秘密は守ります」

サイコパスの一つの要件として「慢性的に平然と嘘をつく」という項目がある。

そういう意味では成海朔にもサイコパスの疑いがあり、その要求に応じる我孫子刑事にも同じことが言えるわけである。

ただし・・・サイコパスには「良心が異常に欠如している」「他者に冷淡で共感しない」「自尊心が過大で自己中心的」「無責任」「順法精神が皆無」など様々なチェック・ポイントがあり・・・二人はあくまでサイコパス的な要素を持っている人間ということになる。

基本的に創作家は虚構を制作する課程で「嘘をついてつきまくる」のでサイコパスである。

真壁には脅迫、詐偽、器物破損の前科があった。

「こういう情報を一般人にもらすのは問題あるんですけど・・・」

「この男が・・・新たなる犯罪を起こしている可能性があります」

「犯罪・・・」

「彼は・・・おそらく・・・マインドコントロールにより他人を支配しようとするコントロールフリーク(命令愛好家)だと思われます」

「なんです・・・」

「所謂・・・犯罪を示唆するタイプですよ・・・」

「嫌な奴だな・・・」

傷だらけの少女の病室に成海朔が現れた。

「こんにちは・・・」

「・・・」

「成海朔です」

「・・・」

「私は警察のものでもお医者さんでもありません・・・あなたと少しお話がしたいのです」

「・・・」

「何か・・・困ったことはありませんか・・・」

「・・・」

「あなたは・・・高校生ですか?」

「・・・」

「なでしこ・・・すごかったね」

「・・・」

無反応な少女に成海朔は微笑みかける。

成海朔は少女の隠したノートの表紙を見ていた。

病室を出る成海朔に我孫子刑事が問いかける。

「どうですか?」

「彼女は虐待を受けているようですね」

「医師の話では・・・身体に火傷の後が多数あるそうです・・・おそらくスタンガンによる電撃によるものだと思われます」

「身元の調査は・・・」

「所持品はノートと・・・おそらく家族のものと思われる写真が一枚・・・発見場所を中心に聞き込みをしています・・・」

「衰弱した身体では・・・監禁場所からはそう遠く逃れられない・・・」

「監禁?」

「彼女は・・・おそらく・・・長期に渡り・・・監禁されています」

「何故・・・」

「最近の出来事について・・・知らないのです」

「・・・」

「付近の公立中学で・・・彼女を知るものがないか・・・調べてみてください」

「なるほど・・・」

真壁に前科があると知り、成海朔は・・・野川諒子の身を案じて瀬野尾とともに野川家を訪ねる。

現れた諒子が緊張していることを成海朔は察する。

極端に短いドア・チェーン。

窓には内側から不自然な目隠しが施されている。

「やあ・・・久しぶりだね」

「先生・・・どうして・・・ここに」

「君が行方不明だと聞いたものだから」

成海朔は諒子の首元に少女と同じ傷跡を確認する。

諒子の背後から真壁が現れた。

「御心配をおかけしましたが・・・こうして・・・諒子は戻ってくれました」

「真壁さん・・・同居されていたのですか」

「はい・・・婚約者ですから・・・」

「この家はまるで・・・何かを隠しているようですね」

「まさか・・・ただのプライバシーの保護ですよ」

「諒子さんを連れ戻すために・・・あなたは死んだことにして・・・諒子さんの母親とお姉さんに迎えに行かせたりしていませんよね」

「・・・なんですって・・・」

「いや・・・そういう良く似た事件を知っているものですから」

「成海さん・・・あなたは御結婚は・・・?」

「・・・」

「御家族はおありですか・・・」

「・・・」

「失礼だが・・・あなたは家族というものをよく御存じではないようだ・・・世の中にはいろいろな家族があるんですよ」

訪問を終えた成海朔に瀬野尾が問いかける。

「先生・・・諒子先輩は明らかに・・・様子がおかしかったです」

「昔・・・彼女から・・・家族について質問されたことがあった」

「え」

「彼女は・・・母親が自分より姉を贔屓にしているという拘りがあったようだ」

「近親憎悪の一種ですか・・・」

「その時・・・私は自分に家族がいないことを彼女に話している」

「・・・それでは・・・真壁が先生を心理的に攻撃した情報源は・・・」

「おそらく・・・諒子くんだろう・・・真壁と諒子くんの間には特別な関係が構築されている」

「それは・・・真壁によるマインドコントロールが・・・」

「マインドコントロールと一口に言っても・・・親が子供に対して行儀作法を教えることや・・・宗教的な教育・・・国家による義務教育・・・情報を個人に受容させることはすべてマインドコントロールであるとも言える」

「・・・」

「朱に交われば赤くなると言うように・・・軍国主義の集団にいれば好戦的な性格が醸成されたりもする。暴力的な手法を用いれば・・・洗脳と言うことになるが・・・」

「電撃による・・・恐怖支配ですか」

「睡眠不足や空腹を利用する方法もある」

「感情を麻痺させて・・・支配されることを受容させるのですね」

「その通りだ・・・外科医は治療のために人体を切断することがある。必要だからそれをする・・・という理性が・・・生理的な嫌悪感を克服するのだ」

「自分自身に対するマインドコントロール・・・つまり・・・擬似サイコパスですか」

「しかし・・・真壁は明らかに発達障害の兆候がある。彼はおそらく感情というものを知らないのだろう」

「感情を・・・」

「彼には喜怒哀楽というものがわからない・・・だから・・・それを演じているのです」

「それは・・・先天的なものですか」

「おそらく」

我孫子刑事が・・・少女の身元を突き止める。

「地元の中学の去年の卒業生でした・・・進学先の高校には・・・入学以来・・・一度も登校していません」

「・・・家族は・・・」

「彼女の名前は園田玲奈・・・両親がいるはずですが・・・近所の話では・・・最近、姿を見かけないそうです」

成海朔は刑事たちと園田家を訪れる。

窓には目張りがされていた。

短いドアチェーン。

「先生・・・ここって・・・野川家に・・・」

「同じだよ・・・」

高杉刑事が・・・割れた窓ガラスを示す。

「ここから・・・玲奈ちゃんは・・・逃げたんじゃ・・・」

成海朔は見覚えのあるアクセサリーを発見する。

それは・・・諒子がブレスレットとして身につけていた数珠と酷似していた。

「パワーストーン・・・ですか」

「神秘的なものを求める傾向のある人間は暗示にかかりやすい・・・」

「どういうことでしょう・・・」

「こういう事件では・・・被害者と加害者が限りなく一体化するんだ」

「擬似近親関係ですね」

「愛と憎しみは・・・似たようなものだからね」

「加害者に親近感や・・・依存を・・・」

「何の話なんだ」と師弟の会話に我孫子刑事が割り込む。

「心理学的な仮説の話ですよ・・・それより・・・園田家と真壁の関係を洗ってください」

「え・・・この家にも・・・真壁が関係しているの」

「おそらく・・・」

野川家では・・・領主となった真壁が領民たちに教育的指導を行っていた。

「今日・・・罪を犯したのは誰かな」

諒子がおずおずと手を挙げる。

「冴子姉さんは・・・三時間しか寝てはいけない決まりを破って・・・居眠りをしました」

諒子の姉・冴子(渡辺舞)に怯えが浮かぶ。

「許してあげてください」

諒子の母親・康恵(宮田早苗)が娘を庇う。

「お母さんは・・・二回しか行ってはいけないトイレに三回・・・行きました」

「そうか・・・掟を破った上に・・・掟を破ったものを庇う・・・早苗の罪は重いな・・・今日は早苗に罰を与えなさい・・・」

「やめて・・・許して」

悶える康江を諒子が押さえつける・・・スタンガンを構える冴子・・・。

「ぎゃあああああああああ」

防音された部屋に響く早苗の絶叫。

花束を持って玲奈の病室を見舞う成海朔。

「君のノートの表紙にあった花・・・探してみた」

「それは・・・ガーベラです・・・ノートの絵はマーガレット」

「そうなんだ・・・君はどうやって逃げたのかな」

「あの人が・・・出ていったから・・・」

「それは・・・男の人かな・・・それとも・・・」

「あの人は・・・私のお父さんやお母さんを・・・お父さんが抵抗して・・・数珠が切れた・・・」

「恐ろしい人だったんだね・・・」

「あの人は・・・優しくて・・・恐ろしい・・・」

「彼女がいなくなったから・・・逃げようと思ったんだね」

「はい」

我孫子刑事が報告する。

「玲奈ちゃんの父親は・・・借金があって・・・経営コンサルタントの真壁の顧客だった・・・」

「つながりましたね」

「屋内からは多数の血痕が発見されている」

「おそらく・・・玲奈ちゃんの両親は消されています」

「・・・」

「真壁の手口は・・・家族に家族を虐待させることです。罪が罪を呼び・・・家族を呪縛していくのです」

「自分が加害者になったんじゃ・・・警察に通報できないものな・・・」

「一体・・・何故・・・そんなことを・・・」と高杉刑事・・・。

「真壁は寄生虫なんですよ・・・家族にとりついて・・・家族の血を吸う・・・」

「・・・」

「急ぎましょう・・・野川家もそろそろ・・・誰かが消されるかもしれない」

「えええ」

長期間に渡る通電による虐待行為で・・・母親の康江は衰弱し、苦悶に喘いでいる。

「うるさいな・・・だまらせろ」

「・・・」

「どうするの・・・」

「母さんを静かにさせるしかないでしょう・・・姉さん」

諒子は無造作に母親を抑えつける。

感情が麻痺した冴子はスタンガンを構える。

そこへ・・・成海朔たちが到着した。

「そこまでだ・・・」

「何です・・・」

「園田さんのことでお話があります」

「・・・」

「園田玲奈さんは保護されて・・・すべてを話していますよ」

「知らないな・・・俺は何もしていない」

「ぎゃああああああ」

「なんだ・・・」

「大変です・・・救急車を呼ばないと」と拷問現場を発見した高杉刑事。

「お前が呼べ」

「あ・・・はい」

「知らないではすみませんよ」

「そう言われても・・・俺は・・・何もしていないんだ」

「ただ・・・みんなを利用しただけだと」

「・・・」

「しかし・・・利用されたのはあなたかもしれませんよ・・・」

「なんだって・・・」

「諒子さんは・・・母親と姉を・・・深層心理で憎んでいた・・・あなたに唆されたふりをして・・・自分の復讐を果たしたのです」

「馬鹿な・・・俺が利用されるなんてありえない・・・支配しているのは俺だ」

「あなたが・・・コントロールフリークであるように・・・彼女もまたコントロールフリークなのです」

「俺が・・・俺が一番だ」

「サイコパスは・・・精神医学ではパーソナリティー障害の一種とされていますが・・・責任能力はあると見なされる場合が多い・・・あなたが・・・どれくらいの家族を消したのか・・・まだ明らかにされていませんが・・・」

「・・・」

「あなたは極刑は免れない・・・」

「馬鹿な・・・」

「あなたは支配されているんですよ・・・国家の法という制度に」

「嫌だ・・・俺は認めない・・・支配しているのは俺だ・・・俺が一番なんだ」

連行される真壁。

ひっそりと佇む諒子。

成海朔は・・・諒子の目を見つめる。

諒子は微笑んだ。

左右対称ではない・・・歪んだ微笑み。

数日後・・・。

家族を失った玲奈の心のケアを施す成海朔。

「君はつらい経験をした・・・」

「・・・」

「その苦しみを乗り越えるのは・・・簡単じゃないと思います・・・心に空虚なものを抱えてしまうかもしれない・・・そういう君の喪失感を誰かが狙うかもしれない」

「・・・」

「でも・・・君の両親は・・・君を愛してくれたでしょう・・・」

「・・・」

「愛された記憶が・・・きっと・・・あなたを救ってくれますよ」

玲奈は在りし日の家族写真を見る。

成海朔は微笑んだ。

玲奈は・・・微笑みを返した。

関連するキッドのブログ→ザ!世界仰天ニュース・なぜ少女は記憶を失わなければならなかったのか?~心の科学者・成海朔の挑戦~

アルジャーノンに花束を

Hc2015eri001ごっこガーデン。成海朔御用達のどこかでみた花屋セット。

エリ孤独な哀愁を漂わせながら・・・クールで優しい成海朔P先輩再登場。金田一P、咲人PとどのP先輩も素敵でス~。心のプロフェッショナルである朔Pにはすべてお見通しなのでスー。そして・・・女子には優しく、おっさんには厳しいのです。アツアツのたこ焼きをフーフーしてハフハフハフハフハフハフ・・・しかし・・・ゲロはなし・・・アイドル根性抜群なのでス~。クールに秘められたガッツ。そういうところも萌え~なのでした~

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2015年7月 1日 (水)

ダレン・シャン・・・シルク・ド・フリークへようこそ・・・(渡辺謙)

水月から文月へ渡る夜である。

カレンダーは人の作りしフィクションであるが・・・それは神の営みを模倣したものとも言える。

西洋では結婚の女神ユノが六月を指し、東洋では遠距離恋愛の七夕月でもある。

結婚するなら六月・・・単身赴任の七月なんだな。

ムーンストーンは悪霊を払う霊力を持っているわけだが・・・それは魔法ではないのか・・・。

魔法について考える時は・・・原子力が人類に何をもたらしているかを考えるべきなのだろう。

科学は魔法に過ぎないし、科学者は魔法使いに過ぎない。

人間は・・・良かれと思うものだ。

良かれと思って・・・新幹線で焼身自殺をし・・・マスメディアを懲らしめようとする。

その愚かさは悪魔一同爆笑ものである。

恐ろしい世界になりつつあると思う他はない。

戦後の翌年に生まれた口汚い男が国会議員になり、終戦直前に生まれた男が無差別殺人を厭わない。

多くの善良な人々は唖然とするんだな。

ルビーには病を治す力があると信じる人がいる。

うるう秒が来る前に更新しないといけないのだ。

で、『Tナイト・ダレン・シャン(2010年日本公開作品)』(フジテレビ20150701AM2~)原作・ダレン・シャン、脚本・ブライアン・ヘルゲランド、監督・ポール・ワイツを見た。原作ありということを考えると・・・いろいろと問題がある・・・作品だが・・・「シルク・ド・フリーク」の場面は非常にファンタスティックで楽しいわけである。ワーナーが挫折し、ユニバーサルが成し遂げたというのも面白い。そもそも・・・「ダレン・シャン」というタイトルで・・・原作ファン以外には日本ではまるっきりピンと来ないことは確実なのである。「ダレン・シャン/ダレン・シャン」だもんな・・・。

もちろん・・・吸血鬼が登場し・・・そこに人間と同じような善悪の戦いがあることが・・・悪魔にはたまらないわけである。

なんだろう・・・善なる吸血鬼とか・・・正しい悪魔レベルだからな。

もちろん・・・その根底には個性というものを認められない人間への皮肉があるわけである。

自由民主党の党員が自由と言う言葉の意味を知らないのは許せない。

しかし、それも個性なのだ。

つまり、彼は自分で自分の首を絞めていることに気がつかないくらい愚か者か・・・あるいはそういう趣味の人なのである。

信条とか置かれている立場とか義理とか人情とか・・・もろもろあわせて個性なのであり・・・それを人類一人一人が持っているわけである。

それを前提に生き直してもらいたい。

一方で、ヴァンパイア(吸血鬼)は基本的に「人類の血を求めてやまない亜人類」である。

そんなものはいないと言われればそれまでだが・・・ここは吸血鬼は悪魔と同じくらいに現実に存在する前提で記述します。

16歳の少年・ダレン・シャン(クリス・マッソグリア)は優等生である。

何しろ・・・数学でAをとったのだ。

両親は喜び・・・妹のアニー・シャン(モーガン・セイラー)は兄を誇りに思う。

彼は格差社会の勝ち組の入り口にいる。

良い大学、良い仕事、良い家庭・・・それを持つものが良い人間・・・。

しかし・・・ダレンの親友・スティーブ・レナード(ジョシュ・ハッチャーソン)は負け組に片足を突っ込んでいた。父親は不在で・・・母親は酒乱・・・成績は振るわない。

ダレンはスティーブに授業をさぼろうと誘われる。

そんな二人の友人関係をダレンの両親は良く思わない。

友情と家族愛の不一致が・・・ダレンの前に壁となって現れる。

あたかも・・・自民党でなければ人でなし・・・自民党に逆らうものは懲らしめると言い出す馬鹿への道が開きかけているのだった。

ちなみにキッドは憲法九条廃止論者です。

そんな二人の前に「シルク・ド・フリーク」のチラシが舞い降りる。

ダークな世界の神・デズモント・タイニー(マイケル・セルベリス)が二人にちょっかいを出している。悪魔が純粋な子供を鴨にするのは常套手段なのである。

なんのために・・・ただ・・・神をおちょくりたいから・・・。

「シルク・ドゥ・ソレイユ」が「太陽のサーカス」という意味なら・・・「シルク・ド・フリーク」は「おタクのサーカス」・・・ではなくて「奇形のサーカス」なのである。

突然変異で生まれた奇形の人々の見世物興業を主催するのはミスター・トール(渡辺謙)である。彼はやや巨人であったが・・・映画では明らかにされない出生の秘密を持っている。

この世界ではヴァンパイアは・・・突然変異で生まれた奇形の一種とされているので・・・お歴々の方々や・・・悪魔であり吸血鬼という一部の紳士淑女には我慢ならない設定と言える・・・ヴァンパイアの名士・ラーテン・クレプスリー(ジョン・C・ライリー)もショーを支える一員として登場する。

カラフルな毒蜘蛛マダム・オクタとのコラボレーションで・・・ダレンを魅了するのだった。

ダレンは蜘蛛のフリーク(変態的愛好家)だったのである。

一方・・・人間をやめて吸血鬼になりたいと願うスティーブはクレプスリーに吸血鬼化を懇願する。

だが・・・聖なる吸血鬼であるクレプスリーはスティーブの魂に邪悪な影を感じ・・・拒絶するのだった。

しかし・・・それは悪魔タイニーの計画の一部だったのだ。

乱入した健全な市民たちは・・・奇形の人々の人権の擁護を翳して彼らのビジネス・チャンスを奪う。

その混乱の中・・・毒蜘蛛マダム・オクタを盗みだすダレン。

彼は隠れ潜んだロッカーの中で・・・邪悪な吸血鬼(バンパニーズ)のマーロック(レイ・スティーヴンソン)と善良な吸血鬼(バンパイア)の確執を目撃してしまう。

クレプスリーはダレンを追うが・・・悪魔タイニーは彼の逃亡を援助する。

やがて・・・ダレンが学校に毒蜘蛛マダム・オクタを持ちこんだことによって・・・スティーブは瀕死となってしまう。

クレプスリーは解毒剤と引き換えに・・・ダレンをハーフバンパイアとする。

それは吸血鬼の掟「子供を一族にしてはならない」を犯すことになる行為だった。

つまり・・・定着して暮らすには・・・成長しない子供は問題だからである。

だが・・・クレスプリーは「敵」が・・・ダレンを「バンパニーズ」化しようとしていることを察しており・・・究極の選択を迫られていたのだった。

マーロックはダレンを諦め・・・スティープを「バンパニーズ」化する。

二人は・・・善良な吸血鬼と邪悪な吸血鬼として宿命のライバルになってしまったのだった。

まあ・・・当然、壮大な物語が展開するわけだが・・・映画版では・・・とりあえずフィナーレに持ち込む。

「シルク・ド・フリーク」までは見せるのだが・・・後半がやや低調になるのである。

映画のオリジナル・キャラクターである・・・突然変異で尻尾の生えたモンキー・ガールのレベッカ(ジェシカ・カールソン)とダレンが死んだと思っている家族を人質に取られ・・・決戦の場へ赴くダレン。

しかし・・・人間性を失うことを惧れ・・・吸血を拒否するダレンは超人となったスティーブに圧倒されてしまう。

クレスプリーが割り込むが・・・マーロックがスティーブとタッグを組んで・・・邪悪な勝利が目前となる。

そこで・・・レベッカは囁く。

「血を吸うから・・・人間でなくなるわけじゃないわ・・・尻尾があったって私は人間だもの・・・いいのよ・・・私の血を吸いなさい」

ダレンは・・・フリークへの偏見を克服し・・・聖なる吸血鬼として覚醒するのである。

ダレン・クレスプリー組と・スティーブ・マーロック組一本勝負。

ダレンは勝利し・・・マーロックはリトル・ピープル(小人)に変身する。

そして・・・吸血鬼大戦が幕を開けるのだった・・・。

まあ・・・興行的に失敗するあらゆる条件を供えている佳作である。

言いたいことは分かるが・・・この手の作品にそういうメッセージはいらないのである。

関連するキッドのブログ→悪霊病棟

恋して悪魔~ヴァンパイア☆ボーイ

彼岸島

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