キラキラ光る新世界へ(窪田正孝)疑心暗鬼を検索(佐野ひなこ)キラに電話してLを殺そう(優希美青)
人の心のとりとめなさというものを考える。
恐ろしい光景をテレビで見る。
まるで中学校の校庭を機銃掃射でもしそうな低空飛行で飛び去る軽飛行機。
しかし・・・調布の飛行場は歴史ある飛行場である。
多くの住民は後から来たはずだ。
飛行場があってはいけない場所にあるのではなく・・・多くの人間が住んではいけない場所に住み着いただけなのである。
自殺する人間をどう感じるのかは・・・人それぞれである。
死にたくないと思っている人間から見れば・・・それは恐ろしい存在だ。
死んだ方がマシだと言うのは簡単だが・・・なかなか死ねるものではないからである。
死んでもらいたくない人間に死なれた人間はうろたえる。
しかし・・・人間なんて・・・死ぬ時は死ぬのである。
なにしろ・・・地球では毎年一億人くらい死ぬのである。
それでも・・・地球の人口はまだ増えている。
で、『デスノート・第4回』(日本テレビ201507262230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・西村了を見た。名前を書かれた人間は死ぬ「デスノート」を手に入れたライトこと夜神月(窪田正孝)とLこと天才探偵L(山崎賢人)との命をかけたゲームは続いて行くのだった。すでに「名前と顔が知られたら殺される」となんとなく知っている感じのLは映画「デスノート」や原作「デスノート」の愛読者なのだろう。「魔法」もしくは「超能力」前提なので・・・ちょっとバカっぽいところが「もう一つ別のデスノート」の醍醐味なのだった。
殺すつもりのFBI捜査官(尚玄)に出し抜かれ・・・必死のライトだったが・・・キラをこよなく愛するミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)によって救命される。
ミサミサは赤いデスノートと死神の目の持ち主で・・・ライトがキラであることを見抜いているのだった。
そして・・・ミサミサもまた「殺人」についてサイコパス(超越した精神)のキャラクターなのである。
このドラマの世界観では「殺人」は克服するべきハードルに過ぎないのだ。
この世界では「人殺しはいけないことです・・・戦争は人殺しです・・・だから戦争はいけないことです」という論理は通用しないのである。
それを「中二病的世界観」と唾棄することもできるが・・・それもまた一つの現実に過ぎないという考え方もある。
来日したFBI捜査官捜査官全滅の報を受けて・・・仏の模木完造(佐藤二朗)、久しぶりの日村章子(関めぐみ)、ちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)、偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)たちは唖然とする。
日本におけるキラ事件の捜査官のリーダーである夜神総一郎(松重豊)は上司から捜査規模の縮小を言い渡される。
前代未聞の殺人鬼の存在を確信したLは闘志を燃やして次の一手を打つのだった。
それは・・・盗撮・盗聴によるライトの完全なる監視だった。
「なぜ・・・私の息子がキラだと・・・」
「どういう方法で・・・キラが殺人を可能にしているか・・・それは不明です・・・しかし・・・日本におけるキラ事件は・・・あなたと・・・重要な関係があることは明白です」
「私と・・・」
「キラは・・・あなたの命を救うために・・・最初の犯行をしたと推測できます」
「え」
「あなたを怨んでいた凶悪犯の・・・死因を・・・お忘れですか」
「・・・」
「たとえば・・・キラは名前と顔を知っていれば人を呪い殺すことができるのかもしれない」
「呪い殺す・・・」
「だが・・・彼はあの日まで・・・その能力を行使していなかったのかもしれない・・・しかし・・・あなたの命が危険にさらされ・・・彼は踏み切った」
「それは・・・君の単なる想像じゃないか・・・念じるだけで人を殺せるなら・・・人の心を読むことだって可能かもしれないぞ・・・もう・・・ファンタジーの領域だからな」
「人間は・・・自分がファンタジーの世界の住人だと信じた時・・・頭のおかしな人に認定される可能性がありますからね・・・しかし・・・凶悪犯が統計的にありえない確率で・・・心臓麻痺していく現実をどう説明しますか・・・」
「私の息子は・・・人を殺せるような人間じゃないよ・・・」
「それもまた・・・あなたの空想に過ぎないのでは・・・」
「・・・」
「すでに・・・あなたの家は完全なる監視体制におかれています・・・」
「いつの間に・・・しかし・・・念じるだけで殺せるとしたら・・・監視していても無意味じゃないか」
「いえ・・・少なくとも・・・家にいる間に報道された相手が死んだ時・・・息子さんが報道に接していなければ・・・無実の可能性が生じます」
「それでも可能性なのか・・・」
「なにしろ・・・キラは・・・手も触れないで誰かを殺すことができる存在です」
「荒唐無稽だな・・・」
「荒唐無稽なことが・・・現実に起きているのです」
「・・・」
「統計的には・・・キラ事件以後・・・凶悪事件の発生件数は激減しています。すでにキラは一定の抑止力を誇示している。それでも事件を起こすのは自分の死を厭わない特殊な人格の持ち主ということになる。大衆はステーキを食べる時に・・・まず自分で屠殺しようとは思わない。誰かが殺した牛を・・・誰かが焼いて・・・誰かがテーブルに並べる。殺された牛のことを考えながらステーキを美味だと感じるものは少ない。悪人を始末してくれるのがキラでも・・・司法を運営する役人でも・・・構わないと思うのです」
「そんな・・・馬鹿な」
「私たちは・・・そういう現実と向き合う必要があるのです・・・個人的な正義のための殺人を認めてしまったら・・・社会は崩壊するから・・・」
「・・・」
しかし・・・ライトは監視に気が付き・・・一計を案じるのだった。
ポテトチップスの袋の中に携帯テレビを隠し・・・机に向かって勉強に励みつつ・・・報道された凶悪犯を殺すのだった。
「これで・・・息子は・・・無実の可能性が高まったな・・・」
「さあ・・・それはどうでしょうか・・・」
帰宅した総一郎は息子と対話する。
「お父さんは・・・キラをどう思う」
「哀しい人間だと思うよ・・・どんな方法かは不明だが・・・簡単に人を殺すことの可能な手段を手に入れ・・・それを実行に移した人間だ・・・人が人を殺して幸福になれるわけがない」
「そうだねえ・・・たとえば死刑だって・・・人を殺した人を人が殺すのは・・・変だものね・・・」
「・・・」
「世界は矛盾に満ちている・・・キラもそういう矛盾のひとつなのかな・・・」
「だが・・・私は・・・自分の息子が・・・道を間違えないと信じている」
「道・・・」
「人の道だ・・・」
「お父さん・・・ありがとう」
父に信用されて心温まるライトだった。
「お前も嘘が上手になったな」とリュークがライトを嘲笑する。
「人を殺した人は人ではない・・・だから・・・殺してもいいんだよ」
「なるほどねえ」
「父さんは・・・キラは不幸だというが・・・僕はそう思わない。素晴らしい能力を手に入れて・・・僕は新しい世界を作る」
「ふふふ・・・言うねえ・・・まるで神みたいだ」
「知っているか・・・リューク。悪魔サタンの名は・・・敵という意味なんだ」
「・・・」
「神の敵だから・・・悪なんだよ」
「つまり・・・新世界の神であるキラは・・・悪を裁くのだな」
「そうさ・・・」
すでに・・・平凡な青年であるライトは消え・・・キラがそこに立っていた。
ポテトチップスの袋の中にマジックの仕掛けがあることに気がついたLは強行突破を試みる。
ライトとの直接対決である。
「やあ・・・ライトくん・・・私がLだ」
「え・・・」
「君と友達になりたいと思ってね」
「・・・」
「そして・・・私は・・・君がキラだと確信しているんだ」
「僕は・・・キラじゃないよ」
「それはどうだろう」
二人はお茶の間サービスのためにシャワーを浴びて火花を散らす。
電話をしたのにLが不在なので情緒不安定になるニアことN(優希美青)・・・。
「私のこと・・・馬鹿にして・・・蔑ろにされてる・・・メロが悪いのよ・・・あはははは」
孤独な一人二役らしい・・・。
とにかくさっさとLが退場して・・・Nとキラの対決に期待したい。
やがて・・・ライトが関与しないキラによる殺人が発生する。
キラを名乗る人物がキラに敵対する警察幹部を公開処刑したのである。
そして・・・ミサミサは完全な監視下におかれた夜神家を訪問する。
「え・・・ミサミサ」と絶句するライトの妹・夜神粧裕(藤原令子)・・・。
「私・・・信用してもらいたくて来たの・・・私は赤いのを持ってるの・・・普通は黒いって彼は言うけど・・・あなたのは何色?」
白い死神レムを見あげてライトは・・・非常にまずいことになった・・・とあわてふためくのだった。
関連するキッドのブログ→第3話のレビュー
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コメント
レビュー継続ありがとうございます。でも、先日のコメントはまるでお願いではないかと、後から反省しました。何だかすみません。
民王すごく面白かったですし…。どうぞお気持ちの向くままに…。
ミサミサを見ていて、○○○○に刃物という言葉を思い出しました。
元々そこまで賢くないのに、悉く窮地に追いやられるライトを見ていたら、どうしても心配になってしまいます。殺人鬼なのに…。
松重父の心情を思うと辛いです。
それにしても、夏バテ気味で、睡魔に負けて、リスクの神様も他のドラマもリタイア気味です…。あ、民王は見ます。デスノートも。
キッドさん、谷間なくて大丈夫ですか。無理なさらぬよう…。
投稿: ギボウシ | 2015年7月30日 (木) 19時45分
オチツキレイセイシズカナヒト~ギボウシ様、いらっしゃいませ~ワクイエミダイスキ!
いえいえ・・・デスノートは
生き残るべくして生き残ったのでご心配なく・・・。
「民王」は解説不要の面白さですし
小ネタとかセリフとか
拾いだしたら夏向きではないという自主規制でございます。
(月)王道の若者メロドラマ
(火)殺しのゲーム
(水)社会派
(木)復讐劇
(金)青春歌劇
(土)どファンタジー
(日)腐っても大河
バランスもいい感じであっさりと夏を過ごせるラインナップでございますよ~。
ミサミサは思いこみの激しい性格ですが
スレンダーならどこか危うい感じがするのに
グラマーだとふてぶてしい感じになりますな・・・。
ドラマ版ではNとメロが
変則的に登場しますので
そこにも興味をひかれています。
Nはあまちゃん軍団ですしねえ・・・。
「殺人」が「悪」であることを述べることは
永遠の主題でございます。
基本的に・・・述べれば述べるほど説得力がなくなるのが
基本ですからねえ。
ライトのパパが・・・。
「殺せる能力は不幸の源」と断言しても・・・。
人は基本的にその能力を持っている。
刃物はその象徴でございます。
五体不満足でも・・・誰かに命じることができる。
「殺意の行方」というダーク・ファンタジーの真髄を
じっくりと考えたいものですな。
殺意とは何か・・・殺意はどこから来てどこへ行くのか。
谷間のない夏はクーラーギンギンで・・・
投稿: キッド | 2015年7月30日 (木) 20時41分