リスクの神様(堤真一)危機は一つの機会ですから楽しみましょう(戸田恵梨香)
夏ドラマが始ったと感じる一作登場である。
クレジットを最初に持ってきて・・・キャストの豪華さで・・・ドラマ好きのお茶の間の気持ちを鷲掴みである。
えげつないことを・・・。
しかし、主人公・堤真一、ヒロイン・戸田恵梨香で・・・吉田鋼太郎、小日向文世、田中泯、志賀廣太郎、古田新太、森田剛、満島真之介、風間トオル、松澤一之、丸山智己、山口紗弥加、霧島れいか、山下容莉枝、新川優愛・・・これだけ並べられるとうっとりするしかないのだった。
原発がメルトダウンし、ギリシャが借金を踏み倒し、無謀な新国立競技場建設がスタートし、新幹線では焼身自殺、学校ではいじめ、死にたがる教え子、上海では株暴落、父親が家に放火し、なでしこが優勝を逃す・・・この危機に満ちた世の中に・・・リスクの神様、降臨である。
この世にノーリスクなものなんか・・・ないんだからあ・・・。
「すべての責任は私にありま~す・・・」
涙の記者会見、万歳。
注意・謝罪の王様ではありません。
で、『リスクの神様・第1回』(フジテレビ20150708PM10~)脚本・橋本裕志、演出・石川淳一を見た。「簡単に謝罪してはだめだ」・・・そういう考え方がある。謝罪するのは「非」を認めたことになるからである。しかし、「桜を折ったのは私です」と正直に告白することは美徳なのである。「失敗」は誰にでもあることであり、それを認めることは「最悪」ではないのである。「失敗が成功の元になる」ために・・・「危機管理」の必要性が叫ばれる。しかし・・・愚かにも人間は失敗を繰り返すんだなあ・・・そこが悪魔としては一番面白いところなんだな。
インドのとあるホテルの一室・・・。
業界最大手の商社・サンライズ物産の若き電機部主任・神狩かおり(戸田恵梨香)はライフパワー社の生島徹社長(風間トオル)と祝杯をあげる。
ライフパワー社はサンライズ物産と大手家電メーカーの生島電機が共同出資する会社である。
生島電気の創業者一族である生島徹は新素材を使った次世代型バッテリー「LIFE」をサンライズ物産と共同開発し・・・ついに完成させたのである。
新素材を生島電機に持ち込んだのは・・・かおりであり、ライフパワー社では商品開発担当役員に抜擢されている。かおりは東大卒の才媛だった。
「君には・・・仕事のためには取引相手と肉体交渉も辞さないという噂があるそうだね」
「入社の時の面接で・・・仕事のためには何でもやります・・・と言ったんですよ」
「なるほど・・・」
「面接官が・・・すると枕営業もするのかと言ったんです」
「・・・」
「私は必要があれば枕も売りますと言って笑いをとりました」
「だから・・・入社して八年目の今も伝説になっているんだね」
「一千億の事業を一晩寝て稼げたらこんなに楽なことはありませんからね」
「まったくだ・・・」
かおりは・・・社長と寝てもいいかとも思ったが・・・彼が妻子持ちであることは五年間の付き合いでわかっている。取引先の御曹司の家庭に波風をたてるようなリスクは回避するべきだった。
それにかおりには・・・サンライズ物産の薬品部主任でエリート仲間の原田清志(満島真之介)というセックス・フレンドがいて・・・男に不自由はしていないのだった。
生島徹は誘いがかわされると自制する。
御曹司もまた・・・必要以上のリスクを冒さないものなのだ。
彼もまた女に不自由はしていないのである。
新素材の応用により、画期的な性能を誇るバッテリー「LIFE」は各家電に使用され、爆発的なヒット商品となった。
若き開発者として・・・かおりは海外メディアも注目する「時の人」となっていた。
その頃、サンライズ物産の危機対策室長には・・・米国企業や政府関連の危機管理に抜群の手腕を発揮し、「リスクの神様」の異名を戴いた危機管理のプロフェッショナル・西行寺智(堤真一)が就任する。
その信条は「誰も信用してはいけない」である。
空港に出迎えに来た危機対策室副室長の財部栄一(志賀廣太郎)の正体さえ疑ってかかる用心深さである。
そして・・・その剛腕は・・・かおりの人生を一転させるのだった。
サンライズ物産の社長として君臨するのは坂手光輝(吉田鋼太郎)である。
そのワンマン経営ぶりには批判も多い。
専務・白川 誠一郎(小日向文世)は反社長派として暗躍している。
かおりや、原田、そして広報部主任の橘由香(山口紗弥加)などの若手エリート社員たちに社長の経営者としての力量に危機感を持つようにと吹聴している。
かおりの成功は白川専務にとって・・・社長の独裁体制に楔を打ち込む意義があった。
反社長グループはかおりの成功を祝福する。
新川優愛(新川優愛)は新商品のCMキャラクターに起用されるのだった。
「二倍早く充電、二倍長持ち・・・倍返しバッテリー・・・カナでもカンナでもありません」
新バッテリー「LIFE」を内蔵した自走式掃除機「マンボ」は熱気の中を走行していた。
天才幼児たちが熱帯密林ごっこを楽しんでいた。
猛暑日に冷房をとめ、床暖房を最強にしてシャワーの熱湯をまき散らし、羽毛をまき散らし・・・室内はジャングルと化していた。
室内の湿度、温度は上昇しまくる。
帰宅した母親(霧島れいか)は嬌声をあげてはしゃぐ野獣のような子供たちに半狂乱となる。
「なんなのよ・・・あんたたち・・・なんなのよ」
その時、粉塵を吸いこんだマンボは異常な湿気、高熱の中でショートして発火する。
その火はたちまちカトリのカーテンに飛び火するのだった。
「あああああああああああああああああ」
母親は叫んだ。
悪魔の子供たちはうっとりとした。
かおりの前に西行寺が現れた!
「危機対策室の方から参りました」
「新任の室長さんですね・・・噂になっていますよ」
「噂の才女にお目にかかれて光栄です」
「私には無縁の部署ですね」
「なぜです」
「私は・・・失敗しませんから」
「失敗しない人はいません」
「それは・・・用心が足りないのです」
「クレームが発生しています」
「・・・」
「LIFEが発火して生島電機の製品が炎上したのです」
「そんな馬鹿な・・・一万回のテストをクリアしているのですよ」
「しかし・・・事実です・・・それにテストのデータは三千回分しかありません」
「・・・」
「とりあえず・・・クレーマーに対処しますのでご一緒願えますか」
「私が・・・何故・・・・」
「責任者だからです」
「私は謝罪しません・・・こちらに非がないことは明らかですから」
「そうですか」
しかし・・・第二の発火事故が発生する。
零細な服飾メーカーでマンボが火災の原因となったのである。
現場に乗り込んだ西行寺は金銭的な解決を図るのだった。
工場の再建費用や被害者の子息の就職先まで世話して事実を隠蔽するのである。
二件目の事案の発生で仕方なく被害者宅に西行寺と同行するかおり。
しかし・・・「謝ったら負け」と信じるかおりはあくまで謝罪を拒絶する。
西行寺は主婦に何やら・・・強烈な説得材料を渡し、商品の回収に成功する。
そして・・・外部の実験室で・・・耐久テストを行うのだった。
かおりの目の前で発火するマンボだった。
「この条件で・・・発火するということは・・・テストのデータに問題があると思われます」
研究員(森田剛)は事務的に告げる。
追い詰められたかおりは・・・隠匿されていた残り七千件のテストデータを発見するのだった。
インドの試験場でとられたデータでは7012件目に発火が起こっていた。
「そんな馬鹿な・・・」
「あなたは・・・失敗した」
「・・・」
「あなたの失敗は・・・生島社長を信用したことです」
「・・・」
「あなたは若い・・・才能もある・・・やり直せばいいことです」
「一千億円の損害を与えた私が・・・会社に残れるとは思えない・・・会社の看板を失えば・・・私はただの無力な女よ・・・」
かおりには介護の必要な母親(山下容莉枝)がいた。
かおりの父親は零細企業の経営者だった。
父親は・・・事業に失敗し・・・自殺したのだった。
「失敗しないために・・・大企業に・・・入ったのに・・・」
「謝罪するのです」
「できないわ・・・そんなことをしても無意味ですもの」
「知ってますよ・・・プロポーズを断った相手に逆プロポーズして断られたんでしょう・・・」
「・・・」
「彼だって・・・不良債権を抱え込みたくないでしょうからねえ」
「辞職します」
「いい加減にしなさい。あなたは失敗したんだ・・・失敗した時にこそ・・・自分自身を見つめ直すチャンスでしょう・・・あなたにとって何が一番大切なのか・・・考えなさい・・・たとえば介護の必要な母親のこととか」
「どこまで・・・私を調べたの」
「危機を管理するために必要なことはすべてです」
「しかし・・・事故はすでに起きたわ」
「事故を他人に告発されたのではなく・・・自ら謝罪するのです・・・恥知らずでも見栄っ張りでもない・・・全うな企業の態度として・・・世間は評価してくれます」
「こんな会社・・・やめてやる」
そこで危機対策室調査主任の種子島(古田新太)が現れる。
モニター画面に現れるインドのホテルの一室に消えるかおりと生島社長の画像。
「あなたは・・・誰とでも寝るという噂がありますよね」
「そんな・・・ただ・・・私たちは祝杯を・・・」
「世間がどう思うかが大切なんですよ・・・社長の夫人とか・・・あなたの家族とか・・・」
「私にどうしろと・・・」
「社長がお呼びですよ」
二人は社長室に迎え入れられる。
「君には責任をとってもらいたい・・・」
「はい・・・」
「すべての責任をだ・・・」
「え・・・でもデータを隠匿したのは・・・生島社長では・・・」
「生島グループと我が社がどれだけの取引があるのか・・・知らない君でもあるまい」
「・・・」
「それに・・・LIFE事業をつぶすわけにもいかない」
「・・・」
「LIFEの開発責任者である君が・・・すべての責任を背負ってくれれば・・・君を悪いようにはしない」
かおりは謝罪会見に応じる以外の道をすべて塞がれたのを知った。
生島社長は体調不良で入院するのだった。
御曹司だからである。
かおりの最後の晴れ舞台は・・・謝罪記者会見だった。
「行ってきなさい・・・君が謝罪することで・・・多くの社員が路頭に迷わずにすむ・・・君の父親を助けるつもりで・・・謝るといい」
「そ・・・そんなことまで・・・」
かおりは断頭台に上った。
「商品はコンプリートリコールに応じます。他社との開発競争があり・・・不十分なテストデータのまま・・・完成をあせった私が・・・開発担当役員として・・・責任を・・・すべての責任を・・・全責任がございます。誠に申し訳ありませんでした」
悔恨の涙・・・深く頭をさげるかおりだった。
西行寺は微笑んだ。
もちろん・・・かおりの行きつく先は危機対策室である。
「ようこそ・・・」
そこには・・・あの研究員がいた。
「危機対策室渉外担当の結城実です」
「ど・・・どういうことですか」
「あの実験はフェイクだ・・・あれが欠陥商品であることを君に認めさせ・・・隠匿されていたデータを発掘してもらう必要があった」
「私・・・はめられたの」
「だから・・・誰も信用するなということだ」と西行寺。
「・・・」
「誰にも失敗はある。最初のクレーマーは不倫をしていたのでその証拠写真を口止めの材料にしました」と種子島。
「あなたがすべての責任をおってくれたおかげで・・・サンライズ物産は生島グループに大きな貸しを作ることができました。ライフパワー社の出資比率も改められ七対三で我が社に有利なものになりました」と財部副室長・・・。
「さあ・・・君はどうするね」
「私は・・・あきらめない・・・ここから・・・のしあがってやる」
「素晴らしい・・・君のような人材を獲得出来てうれしいね」と西行寺。
「どうせ・・・口先だけなのでしょう」
「もちろんだ」
こうして・・・サンライズ物産・危機対策室に新たなる一員が加わったのだった。
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