探偵の探偵(北川景子)それって探偵バスターズ・・・ですか?(川口春奈)
「若くて綺麗」ってだけで不快な気持ちになる一部お茶の間の方々がスルーしていく。
そのために・・・男性がうっとりする美少女がドラマから駆逐される日本のテレビ史・・・。
しかし、圧倒的な男性優位の作り手たちが断崖絶壁で頑張るのだった。
死守せよ・・・お茶の間の数少ない男性たちのために・・・。
怒りの五寸釘をぶちこむのだ。
そういう感じで二本の美しい楔が打ち込まれました。
うっとりにつぐうっとり・・・断固、支持します。
北川景子と川口春奈が乱舞する木曜日のお楽しみである。
で、『探偵の探偵・第1回』(フジテレビ20150709PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・石井祐介を見た。世界は情報によって構成されている。情報を得ることは世界を得るのと同じことである。しかし、情報は神秘のベールに包まれているものだ。個人情報の保護が叫ばれて久しい。昔は氏名がわかっていれば電話帳を探るだけで電話番号も住所も入手できたわけである。個人情報を探るために番号案内に電話をかけるのは探偵の常套手段だった。役所に行けばだれもが他人の住民票を入手できたのだ。いい時代だったなあ・・・。時は過ぎ去った。しかし・・・個人が存在する以上、個人情報が消滅するわけではない。個人を管理するための名簿も同様である。ある種の人々にとっては・・・個人情報の入手はより容易になったとも言える。そこには素晴らしいインターネットの世界が広がっているからである。
2009年「豊橋ストーカー殺人事件」発生。
愛知県豊橋市の高校三年生・紗崎咲良(芳根京子)が住所不定で無職のストーカー・岡尾芯也(岡田義徳)に誘拐後、廃棄物処理場の焼却場から焼死体となって発見される。なお、容疑者の遺体も同時に焼死体で発見される。
恐ろしい偶然により・・・後に上司と部下になる・・・被害者の姉・紗崎玲奈(北川景子)と通りすがりの女子高校生・峰森琴葉(川口春奈)は現場に居合わせる。
ドラマのオリジナル展開である・・・こういう脚色をしてしまうのはスタッフが神秘主義者である場合が多い。現実主義者や確率論者がゲンナリするので控えめでお願いします。なお、変な宗教にひっかからないよう、注意が必要です。
2011年「スマ・リサーチ」(探偵社)の養成所「PIスクール」に紗崎玲奈が入塾。
2015年「スマ・リサーチ」に峰森琴葉が入社。
玲奈の過去を知りつつ・・・入社を認めた須磨康臣社長(井浦新)は違法な業務を行う探偵相手の専門業務を行う「対探偵課」を開設していた。
「ストーカーに妹の所在を報せた探偵に復讐する」決意を秘めた玲奈の「探偵」に対する憎悪を利用したのである。
琴葉は愛知県から上京、姉の彩音(中村ゆり)と同居していた。しかし、姉の結婚を期に独立、社員寮のある「スマ・リサーチ」に入社した。
須磨社長は何故か・・・琴葉を対探偵課に配属する。
こうして・・・妹を失った姉と姉に追い出された妹の同棲生活が始るのである。
やがて・・・二人の間には禁断の愛が・・・おそらく芽生えないと思うぞ。
好奇心の強い琴葉は・・・探偵業務に興味を示すが・・・玲奈の業務は想像を越えていた。
2007年6月1日に施行の「探偵業の業務の適正化に関する法律」により、探偵業者は届出を要するものとなり、様々な規制の対象となった。
民法709条・プライバシーの侵害に抵触することを持さない探偵は闇に潜ったのであった。
もちろん・・・正規の探偵もプライバシーは侵害するわけであるが・・・そこは良識の範囲内という曖昧な基準で対応するわけである。
しかし・・・基本的にストーカーにターゲットの情報を提示することはしない建前なのである。
もちろん・・・ストーカーが何者かを装い、それらしい理由を述べれば余計な詮索をしなければよいのだった。
探偵業とはそもそもそういうビジネスなのである。
ともかく玲奈の妹の所在をストーカーに教えた探偵はいわゆるモグリの探偵だったのだ。
探偵の違法行為を憎む玲奈はそういう探偵を摘発し、告発するのが主任務である。
そのために・・・同業者からは目の仇にされていた。
「スマ・リサーチ社」の探偵たち・・・桐嶋(DEAN FUJIOKA)、伊根(高山侑子)でさえも・・・玲奈は煙たがられていたのだ。
何故なら・・・違法な探偵たちに対抗するために・・・玲奈も違法行為を行うからである。
「探偵に浮気の証拠写真を撮られて・・・恐喝されている」という通りすがりの依頼者。
四百万円を恐喝者に渡すための同行を求められた玲奈。
しかし・・・待ち合わせの喫茶店で・・・四百万円を強奪した恐喝者は付近のマンションに逃げ込むのだった。
琴葉とともに恐喝者を追いかけてマンションの一室に不法侵入した玲奈は待ち伏せしていた男に強襲される。
すべては・・・玲奈に悪事を暴かれた悪徳探偵による報復の罠だったのだ。
「逃げなさい」
琴葉を庇う玲奈。
「きゃあああああああああ」
悲鳴を上げて立ちすくむ琴葉。
手段を選ばず玲奈を攻撃する襲撃者。
しかし・・・復讐のために鍛え上げられた玲奈の肉体は襲撃者を粉砕するのであった。
暴行につぐ暴行である。
「これって・・・違法じゃないんですか」
「お互い様だから・・・大丈夫・・・私たちは無法地帯を生きているの」
「闇社会ですか・・・」
「いいえ・・・これが現実よ」
非合法の剥き出しに怖気づく琴葉だったが・・・帰る場所がないのだった。
「別の就職先が見つかるまで・・・お世話になります」
「二度と現場には近付かないで」
「も、もちろんです」
琴葉はデスクワークによるバックアップ専門の玲奈の助手となるのだった。
襲撃者の所持品から・・・敵の背後に業界最大手の阿比留綜合探偵社の存在があることを突き止める玲奈だった。
社長の阿比留佳則(ユースケ・サンタマリア)は探偵業をマネージメントしつつ、マスメディアに登場するタレントでもあった。
警察組織にも顔が聞き、捜査協力にも積極的だった。
阿比留は前副総監の遺産相続問題について警察から依頼を受けていたのである。
民事不介入の原則からであった。
警視庁捜査一課の坂東係長(相島一之)や船瀬主任(阪田マサノブ)とともに遺言状の開示に立ち会った窪塚刑事(三浦貴大)は阿比留の胡散臭さに辟易する。
しかし・・・筆跡鑑定により・・・前副総監の実子と内縁の妻が持ち寄った二通の遺言状のうち・・・内縁の妻のものは偽造と判定される。
だが・・・内縁の妻に接近した玲奈は・・・鑑定用の資料となった前副総監の日記そのものが偽造されたものだと・・・窪塚刑事に匿名通報するのだった。
私文書偽造は刑法犯なので・・・窪塚刑事は前副総監の実子を私文書偽造等の罪(刑法159条)で逮捕するのだった。
阿比留の前に立ちふさがる玲奈。
「すべて・・・あなたのたくらみでしょう」
「残念ながら・・・証拠がありませんな」
「実行犯には・・・因果を含めてあるってわけ・・・」
「想像におまかせします・・・妹さんをストーカーに殺させた探偵を憎んで探偵全員を敵にしている紗崎玲奈さん」
「・・・」
「みんな・・・一生懸命仕事をしているだけなんですから・・・ほどほどにしてくださいよ」
「私も業務を遂行しているだけよ」
「中学生が自殺する・・・いじめがあったと担任教師が責められる・・・しかし・・・それが自殺した中学生の妄想だったらどうするんです・・・ただの死にたがりの中学生のために・・・中学校の教師全員が悪人認定ですか・・・」
「私の妹は半分・・・炭になっていた・・・そういう現実を招いた関係者を全員・・・許さない」
「妹を守れなかった・・・あなた自身もですか・・・」
「・・・」
「一言・・・申し上げておきましょう・・・その探偵はきっと優秀な男だったのでしょう・・・もしかしたら・・・あなたの社に・・・彼はいるのかもしれない」
「承知の上よ」
「なるほど・・・探偵を全員・・・殺す気なんですね」
無言で応じる玲奈だった。
情報産業の従事者にとって口は災いの元だからである。
戦いはまだ始ったばかりなのである。
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