勝てば官軍、敗ければ賊よ・・・命惜むな、国のため(井上真央)
つまり、現在の官軍とは米軍のことである。
日本国内にあって朝廷をお守りしているのは・・・あくまで米軍なのである。
そういう意味では現在では大日本帝国の軍隊は賊軍であり、朝敵なのである。
日本は米国の属国ではないという考え方もあるが・・・日本独自の戦力では象徴天皇を守護できない可能性があり、米国が在日し、核の傘を広げることは道理にかなっているわけだ。
時代が変わり、大陸間弾道弾で御所が一瞬で蒸発してしまう可能性もあり、抑止力としての核が絶対的な正義であることは・・・間違いないわけである。
尊皇の立場からは実に明快な話なのだ。
有事にあって強い米軍の指揮下に自衛隊が入る。
一体、それのどこに問題があるのだろうか。
吉田松陰の目指した尊皇攘夷。ついに夷狄に護国を委ねるまでになったのだ。
その慧眼おそるべしである。
で、『花燃ゆ・第27回』(NHK総合20150705PM8~)脚本・大島里美、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は朝敵となっために賜った慶の字を幕府から剥奪され毛利慶親改め毛利敬親の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。そうせい・・・と言いすぎましたな。今回、入江(兄)死亡で伊藤夫人来るかと思いましたが裏をかかれました・・・。しかし、あくまでマイペースでお願いいたします。歴史というものに対する解釈は人それぞれで・・・どちらとも言えないというのも一つの見識ですが・・・ドラマでそればっかりやっていると・・・面白味というものが薄れるということはありますよね。そのあげくに・・・まるで藩内の権力闘争によって・・・禁門の変が起きたみたいな・・・おかしなことに・・・。そもそも・・・主人公が凄い女だったという風な作劇にちょっと無理があるのでございますよねえ。兄は幕府に逆らって死刑、夫は朝廷に弓引いて自害というヒロイン・・・もう少し・・・受動的でいいと思うんですよねえ・・・。少なくとも文は教養のある才女だったことは間違いないわけですから。自分で家を借りたり、自分で奥へ売り込んだりというのは・・・あまりにも時代とかけ離れていますよねえ。そんなに自由だったら苦労ないわけですから・・・。幕府に恭順の態度を示しつつ・・・毛利家としては士気を維持する必要がある。文の奥勤めは一種の温情処置なのでございますから・・・。まあ・・・脚本家が時代背景に頓着せず・・・そういう女を描きたいのであれば・・・しょうがないなあ・・・と思う他ございませんけれど~。・・・ここから坂道を転がり落ちる長州は言わば四カ国戦、長州征伐戦と・・・袋叩きにあって4-0のリードを米国に許したなでしこみたいなもので・・・ここから4-5で逆転するわけですから・・・明治維新ってすごいですな~・・・。その立役者である高杉晋作と桂小五郎に・・・一縷の望みをつなぎたいと考えます。
元治元年(1864年)七月十九日、長州諸隊は洛中への進軍を開始。長州は西と南から二軍に別れたために西側から突入した家老・益田右衛門隊が先行する形成になり、南側の家老・福原越後守隊の突入が遅れる。結果として少ない戦力をさらに分散させ・・・各個撃破されてしまうのである。西から突入した来島又兵衛遊撃隊は黒田藩が守備する中立売御門を制圧し、鉄砲隊を配置して、会津藩守備の蛤御門へと再突入。会津藩が防戦するうちに乾御門守備の薩摩軍が応援に現れ、挟撃された長州勢は壊滅的打撃を被る。来島又兵衛は射殺され、撤退。大垣藩の砲兵と遭遇した福原隊もまもなく敗走。久坂玄瑞たち残った部隊は京都市街地を迷走しながら、前関白鷹司屋敷に到達するが・・・敗色は濃厚で・・・敗れた長州に情けをかけるような貴族があるはずもない。「赦免の嘆願」という目的が達成困難と知った久坂玄瑞は切腹して果てる。一説によれば負傷して逃走することもできなかった由縁とも言う。二十一日、三条実美らをともない、兵を率い京都に向かっていた毛利元定は敗報に接し、山口城へと退却する。八月、四国艦隊は下関に迫っていた。
海の向こうでは戦争が始っていた。
南北戦争である。アトランタでは激戦が続いている。
文は幽かにその気配を感じていた。
兄がその目で見ようとした国は今、戦いの中にあった。
遠い遥かな阿鼻叫喚。
一つの壺の中に毒虫を入れ殺し合いをさせる。
最強の毒を生むための蠱毒の術である。
「己を鍛えるためには己を苛めるしかありません」
生前の兄は文にふともらした。
「国が強くなるためには他国と競う前に・・・己を鍛える必要があるのです」
「鍛錬でございますか」
「練習です・・・太平の世が終わったことを自覚するものだけが・・・日の本の明日を担えるのです」
そして・・・今・・・京都では太平の世が終焉を迎えていた。
(これが・・・兄の目指したものか・・・)
御所を守る幕府軍の布陣は鉄壁だった。
長州の諸隊は魔に魅入られたように次々と死地に飛びこんでいく。
長い長い平和。
果てしない停滞の果てに・・・下剋上の炎が燃え上がる。
雄叫びをあげて抜刀し、敵陣に切りこんだものがたちまち骸となって横たわる。
命があっけなく消えて行く。
(本当に・・・これが・・・あるべき明日へ続く道なのか・・・)
文にはわからない。
しかし・・・久坂玄瑞の命が・・・その未来への供物として捧げられることが・・・避けられないことだとは分かっていた。
十重二十重に囲まれた久坂の直属部隊はすでに壊滅している。
(文・・・すまぬ・・・)
自害する夫が最後に自分の顔を想い浮べたことを・・・文は不思議な気持ちで見つめる。
鏡に映ったような自分の顔。
それは微笑んでいた。
そして・・・暗転する世界。
文は叫んだ。
「ああああああああああああ」
(兄上・・・長州は滅びるのですか・・・長州が消えてしまうのが・・・兄上の望みなのですか)
文は思わず問いかける。
しかし・・・答えるものはいない。
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