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2015年8月31日 (月)

三瀬川世にしがらみのなかりせば君もろともにわたらしものを(井上真央)

勝負事は終わってみなければわからないという言葉がある。

人生という勝負はかならず「死」で終わるので・・・ある意味、ドローと言える。

最後から二番目の徳川将軍の正室、和宮は「(当時の)今上天皇の妹であり、将軍の妻であるという立場さえなければ・・・夫と一緒に三途の川を渡りたいものだ」と第14代征夷大将軍・徳川家茂の病没を悼み、詠んでいる。

夫の後を追って死にたいほどの夫婦愛というものがうっとりさせるわけである。

なにしろ・・・ほとんどの夫は後を追ってもらえないからである。

もちろん、和宮も夫の死後、十年ほど永らえる。

それでも・・・夫婦の間に通う情愛は現代でもそこはかとなく通じるものがある。

男尊女卑の時代とはいえ・・・ここまで身分が高いと・・・女性といえども賤しくはないわけである。

幕末の一般の女性も・・・夫婦ならば夫を愛し、浮気されれば嫉妬する。

ただし・・・その表現の仕方はある程度抑制されるわけである。

後継者出産が絶対条件なので・・・側室がいるのは醜聞にはならないのである。

そのあたりの機微を伝えて行くのも歴史を題材にとったドラマの使命であると思う。

戦争である以上、戦死者はつきもので・・・第二次長州征伐でも多くの女たちが和宮と同じ気持ちを抱いたはずである。

そういう意味で・・・この作品は・・・少し物足りない。

後継者を生んだ女を・・・後継者を生めなかった女が慰めるというのは少し歪んだ情景と言える。

で、『燃ゆ・第35回』(NHK総合20150830PM8~)脚本・金子ありさ、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに人生の終盤で一瞬の輝きを見せる軍神・高杉晋作の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。うっとりでございますな。何度も書いていますが「孤独」とは幼くして親がなく年老いて子がない状態を示す言葉。孤高とは親を失くして高みを望む姿勢でございます。高杉晋作は立派な親があり、いつも晋作を心配しているわけですが・・・その親をなかったものとして人跡未踏の高山に挑むような行動に出るので庶民は圧倒されるわけでございます。突拍子もない言動、常識を越えた行動・・・そういうものを憎む一般男性たちに命を狙われつつ、やるべきことをやると寿命が尽きる。なんてスマートなんだ・・・でございます。まあ・・・いろいろとおかしな設定の中で・・・晋作の妻に晋作を讃える主人公は素晴らしかったと思うのですな。もう・・・それ以上はきっと高望みというものだと思う今日この頃でございます。しんみりしちゃったものなあ・・・どんだけ高杉晋作が好きなんだよ・・・。

Hanam035慶応二年(1866年)二月、唐津藩主(世嗣)で幕府老中の小笠原長行が広島に入る。長州支藩の藩主を召喚するが拒絶される。長州は挙国(藩)一致体制に入っていた。三月、毛利敬親の名代・宍戸備後助が小笠原と交渉を開始する。四月、小笠原は長州に「最後通告」をして五月末を期限と定める。薩摩藩は幕命による出兵を拒否。五月、幕府軍は芸州口、大島口、石州口、小倉口の長州境界線に兵力を結集させる。六月、伊予松山軍(藩主・松平勝成)は大島に上陸、住民を虐殺。幕府海軍の巨艦・富士山丸(排水量1000トン)に対し高杉晋作は丙寅丸(推定排水量100~300トン)で特攻、機関不調の富士山丸は退避。長州艦隊は下関戦争で西洋艦隊との実戦を経験しており、蒸気船の丙寅丸、癸亥丸、帆船の庚申丸、丙辰丸の四隻で艦隊として活動したのに対し、実戦経験のない幕府海軍は艦隊として統制が不足していた。海援隊の蒸気船ユニオン号(乙丑丸)が長州側に参戦すると制海権は長州軍が完全に握ることになる。世良修蔵の第二奇兵隊が大島に進撃し、幕府軍は撤退する。芸州口では毛利親直の遊撃隊が彦根藩軍(藩主・井伊直憲)と高田藩軍(藩主・榊原政敬)を新式銃による近代戦法で壊滅・敗走させる。徳川譜代の雄・井伊・榊原の敗北を受け広島藩(藩主・浅野長訓)は出兵を拒否。石州口では大村益次郎が清末藩軍(藩主・毛利元純)と共に浜田藩軍(藩主・松平武聰)を急襲、浜田城および要所の石見銀山を占領。七月、小倉口では制海権を奪った長州軍が山縣有朋の奇兵隊で上陸戦を開始。佐賀藩は出兵拒否し、熊本藩は撤退。総督・小笠原長行は小倉城に孤立する。二十日、徳川家茂が病没し、小倉城は陥落。後詰として出陣した徳川慶喜率いる幕府軍は撤退を余儀なくされる。ここに第二次長州征伐(長幕戦争)は長州軍の圧勝に終焉する。

遊撃隊の主力はマタギと呼ばれる狩猟家たちである。昔ながらの火縄銃で猟をしていた男たちは射程距離が10倍以上のミニエー銃を与えられ、たちまち、戦闘技術を習得した。

待ち伏せを得意とする遊撃隊の戦法は地の利を得た防衛戦で無敵の力を発揮する。

行軍する幕府軍は射的の的にように殲滅されるのだった。

幕府太平の間に様式化した幕府軍の諸将の軍法は・・・鉄砲隊を迅速に散開させることも出来ず、右往左往する。海岸線を進軍すれば長州艦隊の艦砲射撃の餌食になるのである。

瀬戸内海の小島・・・坂本龍馬の指揮する科学忍者隊の秘密基地では長州海軍の旧型船舶が次々と改造され、三田尻に進出する。

小倉口から脱出する幕府艦隊は敗残兵を乗せ、旗艦・富士山丸を中心に瀬戸内海の難所を航海していた。

その背後に海援隊の亀山号、鶴川号の二隻の潜水艦が浮上する。

「小笠原長行様が尻尾を巻いて逃げちょる」

坂本龍馬は大笑した。

「まあ・・・逃がしておけ・・・やがて・・・日本国の貴重な戦力となる軍艦だ」

蒼ざめた顔で高杉晋作が微笑む。

「いや・・・せっかくなので・・・最後尾の一隻は・・・標的艦になってもらうきに」

「何をするのだ」

「技術部が開発した新型兵器の実験じゃ・・・」

「新型兵器・・・」

「そうじゃ・・・名付けて魚雷じゃ・・・」

「魚雷?」

「蒸気機関で発電し、蓄電池による推進機関を備えた鉄の筒を泳がせるんじゃき」

「鉄の筒が泳ぐのか?」

「そりゃあもう・・・かつおのごとき・・・すぴいどじゃ」

「すびいど・・・」

「速さのことじゃ・・・魚雷は目にもとまらぬ速さじゃき」

「坂本さんは・・・面白きことを考えつくのう」

「論より証拠じゃ・・・艦首発射管・・・準備」

「準備よし」

「発射じゃ」

「発射しますき」

轟音とともに亀山号から魚雷が射出される。

白い航跡が前方に現れる。

逃げる幕府の蒸気線に一直線に向かっていく魚雷。

しかし・・・それは寸前で海中に消え・・・直後に爆発して水柱をあげる。

「あちゃあ・・・失敗じゃ」

「・・・」

「まだまだ改良が必要じゃのう・・・」

「まあ・・・幕府の船にとっては・・・命拾いでよかったといえますな」

「高杉さんは優しいのう・・・」

龍馬は無邪気に笑った。

オーストリア帝国海軍が圧縮空気による魚雷の開発を公式発表したのは1866年12月のことである。

魚雷が実用化されるのはその十五年後だった。

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2015年8月30日 (日)

一番星になりやがれ(松山ケンイチ)死んでも生きる交差点(満島ひかり)温泉入浴はありません(前田敦子)

戦争と平和の交差点。

奇跡の時代・・・奇跡の国。

紛れ込んだゴキブリに大騒ぎする日常。

海の外では子供たちが奴隷になり、殺戮されて、アグネスの心を痛ませる。

奪いつくした果てに荒廃と飢餓が待っていることを知らぬ愚か者が王者となる。

彼らは思う。

世界は奪っても奪っても尽きぬほど広く果てしないと・・・。

もののはずみで内戦にもののはずみで大混乱。

戦争をしないためだよ多数決。

一番星もやもめのジョナサンもいない夏。

誰か・・・教えてあげてください。

で、『ど根性ガエル・第7回』(日本テレビ20150829PM9~)原作・吉沢やすみ、脚本・岡田惠和、演出・丸谷俊平を見た。初々しい演出でピョン吉の漫画的な変化の妙を描きだした今回。だよ~んのおじさんのように頬が膨らみ、食べ過ぎで風船化した腹部、そして、最後は全体が少し大きめに設定されている存在感の誇張と続いて行く。二次元・三次元合成という昔ながらの特撮ながら・・・素晴らしい技術を感じさせるこの作品だが・・・ピョン吉の表情がますます豊かになり、少年版の実写化も楽しそうだなとふと思う。まあ・・・アニメ化と比較して経済効率の問題があるか・・・。ついに大量に登場したピョン吉Tシャツ・・・事業部かっ。

ピョン吉(満島ひかり)の病状を確認するために南葛医科大学病院(フィクション)を訪れるひろし(松山ケンイチ)・・・。

「どうして生きているかわからないから・・どうして死ぬのかわからないって・・・なんなんだよ」

「医者の癖に根性ないよな」

意気投合するひろしとピョン吉だった。

「病魔退散の御祈祷だよ」

京子ちゃん(前田敦子)のおばあちゃんの提案で薬草で燻されるピョン吉。

「霊験あらたかだよ」

「く、燻製になっちゃう・・・」

「け、煙い・・・」

失敗だったようだ。

宝寿司に集合した一同。

「二時間サスペンス・外科医・○○コンテスト」で一位を獲得したよし子先生(白羽ゆり)は針と糸でピョン吉をTシャツに縫い付けることに・・・。

「無理よ・・・そんな残酷なことできない」

「私だって無理よ」とひろしの母ちゃん(薬師丸ひろ子)・・・。

「京子ちゃんはお裁縫苦手でやんすしね・・・」と五郎(勝地涼)・・・。

「教師生活41年・・・確かにそうだった」と町田校長(でんでん)・・・。

「切ったり裁いたりなら・・・得意なんだけどな」と梅さん(光石研)・・・。

万策尽きた・・・早いな・・・ひろしとピョン吉だった。

二人は物干し場の屋根に登る。

「本当に見えるのか」

「見えるさ」

ビルとビルの彼方に小さく見える富士山・・・。

「小さいな・・・」

「本当は大きいのかい」

「本当は大きいのさ・・・」

「見てみたいな・・・」

「いつか・・・大金稼いで連れてってやるよ」

しかし・・・そのいつかは・・・遠く・・・ピョン吉の死期は・・・。

風に煽られ落下するひろしを歯を食いしばって救助したピョン吉は頬が左右に広がってしまう。

「学級文庫っていってみろ」

「ぎゃっきゅうう・・・言えるかっ」

ゴリラパンの工場で真面目に勤務するひろしである。

ピョン吉の寿命の危機を知った近所の子供たちが千羽鶴などを持ってお見舞いにやってくる。

せつなさを子供たちの心尽くしに対する悪態でごまかすひろしだった。

「贈り物ならお菓子とかにすりゃいいのによ」

「言っていいことと悪いことがあるよ」とひろしは母ちゃんにたしなめられる。

言論弾圧の常套句である。

・・・大人になれ。

五利良イモ太郎(新井浩文)は選挙の応援キャラクターとしてピョン吉を使うことをピョン吉に申し入れる。

「いいとも・・・その代わり、負けるなよ」と快く応じるピョン吉。

ひろしの相棒であるピョン吉を利用することに良心の呵責を感じるゴリライモ。

「ズルをしたら・・・その分・・・世間様にお返しをする・・・それが大人の分別よ」と優しい悪知恵を授ける京子ちゃんのおばあちゃんだった。

ゼブラーマンには生きにくい人生である。

赦す心と許さない心のせめぎあいの世界だ・・・。

殺したいほど憎いやつを許容する心は忘れ難い思いを抱えて・・・。

白黒つけないのが大人というものなのか・・・。

生と死。これ以上なく白黒はっきりしているものに懊悩するヒロシ・・・。

五郎の勤務する交番でピョン吉抜きで愚痴るのだった。

「どうすればいいんだよ」

卓袱台返しと卓袱台返し封じの攻防あって・・・。

ひろしは・・・新聞記事で「富士山にある蛙神社」(フィクション)の存在を知るのだった。

「不老長寿の御利益があるそうだ・・・」

「すごいでやんすね・・・」

「よし・・・ここに・・・ピョン吉を・・・」

しかし、先立つものがないひろし・・・。

商店街の福引の一等賞品が・・・「富士山豪華温泉旅館の旅」だった。

有り金の千円をはたいて一回だけ挑戦するひろしだが・・・残念賞の箱ティッシュだった。

五郎は先輩のためと三万円を投じて三十回チャレンジ。

築きあげる箱ティッシュの山。

三万円あれば立石から富士山までとは・・・けして言わないでください。

ひろしの母ちゃんとピョン吉が挑戦。

ひろしは建設現場の時給千円のアルバイトに一時間だけ応募。

だが・・・すべては残念賞なのだった。

そこへ・・・京子ちゃんがやってくる。

やはり・・・この世界では・・・京子ちゃんは特別な存在なのであろう。

一発で金の玉を出して・・・一等を獲得するのだった。

どうやら・・・四名様ご招待だったらしい。

電車に揺られるのは・・・ひろしとピョン吉、ひろしの母ちゃん、五郎、そして京子ちゃんである。

「なんで・・・私が・・・」とは言うものの・・・エンジョイする気満々の京子ちゃん。

目的地が不老長寿の御利益がある「蛙神社」と知って・・・ひろしの心情を読みとり・・・ひろしを見直す京子ちゃんなのである。

ピョン吉の快復を願って祈る一同。

そんな彼らを何者かが見つめる。

豪華温泉旅館では浴衣に着替えてごちそう三昧である。

ピョン吉は満腹で膨張するのだった。

「昔もこんなことがあったわねえ・・・」

母ちゃんは昔を懐かしむ。

ひろし(高澤父母道)、京子(松本来夢)、五郎(山﨑光)だった頃・・・。

「ピョン吉は変わらないわねえ」

「俺だって・・・」とひろし。

「変われよ」と声を揃えるひろしの母ちゃんと京子ちゃんだった。

五郎は踊りだす。

「やっとな~やんすやんす」

男たちは温泉につかるが・・・ひろしの股間を覆ったピョン吉はなぜか赤面するのだった。

幻想的なエロチシズムである。

母ちゃんと京子ちゃんの入浴サービスはないのだった。

その夜・・・。

泣き濡れて失禁状態のピョン吉に・・・目覚めたひろしは激しく動揺する。

「泣くな」と鉄拳制裁である。動物愛護団体が色めき立つ。

「泣いてなんかないやい」と意地を張るピョン吉。

はがれかけたピョン吉を優しく撫でるひろしだった。

その時・・・山の呼び声がピョン吉に聴こえる。

深夜・・・蛙神社にやってくるひろしとピョン吉。

四六のガマ(本来はニホンヒキガエルの見た目の指の数)がやってきて・・・ピョン吉を讃える。

「怪獣ヒロシから命がけで仲間を救ったピョン吉は伝説のカエルの英雄」になっていたのだった。

「今回はRPG展開だな」

カエルの王様が現れて・・・ピョン吉を池の中のカエル王国へ招待するのだった。

「いってこい」

「いいのか」

「いいとも」

「待ってろよ・・・」

しかし・・・「達者でな」と置き手紙を残し去って行くひろし。

ピョン吉の末期に立ち会いたくないひろしなのである。

年老いた親を老人ホームに送る的心情なのだった。

そんな・・・ひろしを一同は責めるが・・・ひろしの決心は固い。

「あいつは・・・カエルの国で幸せに余生をすごすんだよ・・・それでいいじゃねえか」

「そんな・・・そんなの・・・なんだか・・・」

ひろしの心を思い・・・矛先の弱まる一同。

しかし・・・地上に戻ったピョン吉はひろしを追いかけて・・・ヒッチハイクを開始するのだった。

その執念は・・・もはや・・・ほれたはれたの落とし穴である。

ゴリライモの応援集会にやってくる帰り道の一同。

あふれるピョン吉Tシャツの人々に心が騒ぐひろし・・・。

やぶれかぶれで・・・嘘八百を並べ出す。

「これは・・・ピョン吉からの最後の伝言だ・・・京子ちゃん・・・オレの分もひろしと仲良くしてやってくれ・・・ひろしと結婚してやってくれ・・・と」

「嘘・・・」

茫然とする京子ちゃん・・・。

しかし・・・ヘリコプターから舞い降りるピョン吉だった。

「オレはそんなこと・・・ひとことも・・・言ってないぞおおおおおおおお」

ひろしに熱烈キッス・・・いや・・・フライング下唇噛みつきアタックをかますピョン吉。

「いてててて・・・なにしやがるんだ・・・」

「ひろしのバカヤロー」

喧嘩するほど仲のいい・・・オアツイ二人を・・・見守る人々・・・。

「応援団長のピョン吉くんが駆けつけてくれました・・・盛大な拍手をお願いします」

歓声に応え・・・胸をはるピョン吉だった・・・。

夏の終わりの晴れた日。

日向ぼっこをするひろしとピョン吉。

「死ぬなよ」

「ひろし・・・」

「死んでも生きろ」

「死んでも生きてやる・・・」

しかし・・・どんなど根性も・・・無常の時の流れには・・・勝てないのかもしれない。

多くのお茶の間が死ぬ死ぬ詐偽でいいと・・・許す気持ちの今日この頃である。

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2015年8月29日 (土)

小暮写眞館~心霊写真探偵(神木隆之介)黒いスニーカーの女(成海璃子)

世界陸上的な谷間である。

夏も終わりだな・・・そればかりだな。

クーラーをガンガンに使いすぎて・・・涼しくなると書斎が冷蔵庫の中のように冷えてしまうのだ。

クーラーを停止しろよ。

もう・・・室温25℃を越えると汗ばむんだよな。

雪男体質か・・・。

巨大台風も東京を避けてきたが・・・そろそろかなあ。

今年の秋はどんな災厄が待っているのか・・・。

読者の皆様も夏バテにご注意ください。

・・・遅すぎる残暑見舞いか・・・。

で、『小暮写眞・第1回~最終回(全4話)・・・2012年3月31日 - 4月21日、NHK BSプレミアムにて放送作品』(NHK総合20150811AM1~)原作・宮部みゆき、脚本・国井桂、演出・熊坂出(他)を見た。BSプレミアムドラマからのお下がりである。公共放送と言う名の有料放送はサービス・サービスなのであった。NHKというものの存在のあいまいさは一種の心霊現象のようなものである。時々、白黒つけたくなるが・・・グレーの領域こそが・・・日本らしさというものなのかもしれない。日本政府、大企業、そして受信料を支払う国民・・・あらゆるものから自由な放送などないわけである。美名さえ言い立てなければ嘘くさくないのにねえ。昔は「受信料」を払わないという猛者のいた制作会社の制作である。今はおそらくいないのだろう。

築五十年の「小暮写真館」に傷心の花菱一家が引っ越してくる。

前店主の小暮泰治郎(品川徹)が死去した後で空き家となっていた写真館の建物を気に入った会社員の父親・花菱秀夫(石黒賢)は営業するわけでもないのに看板などはそのままに移住してきた。

秀夫の妻・花菱京子(松下由樹)や二男のピカちゃんこと光(加部亜門)も状況をすんなりと受け入れる。

しかし・・・神経質な長男のハナちゃんこと花菱英一(神木隆之介)はなにか納得がいかないのだった。

引越しの手伝いにきた親友のテンコこと店子力(堀井新太)はそんなハナちゃんをからかう。

「なんでも・・・小暮さんの幽霊が出るって噂があるらしいよ」

「・・・まあ、いいけどさ」

軽く受け流すハナちゃんだったが・・・確かに・・・小暮さんはいるのだった。

花菱家の心にわだかまっているのはハナちゃんの妹でピカの姉にあたるフーコこと花菱風子(新井美羽)の早世だった。

フーコは満四歳でインフルエンザ脳症により亡くなったのである。

フーコの死に気がつかなかった母親は自分を責め、仕事で家にいなかった父親も自分を責め、先にインフルエンザに罹患していたピカも自分を責め、容態の急変に気が付きながら寝入ってしまったハナちゃんも自分を責めているのだった。

フーコの葬儀で心ない言葉で妻の京子を詰った母親の敏枝(大方斐紗子)に腹を立て秀夫は花菱一族と絶縁し、気を使った京子も実家と絶縁している。

小暮写真館に移住した花菱家の事情である。

しかし、傷ついた家族の心は・・・不思議な出来事と周囲の人々との出会いで癒されて行くのである。

小暮写真館を紹介したST不動産の社長・須藤(笹野高史)を訪ねたハナちゃんは事務員の垣本順子(成海璃子)と出会い、ツンデレの年上の女と交流を深めて行く。

しかし・・・順子には実母の垣本保恵(黒沢あすか)との間に陰惨な確執があった。

男狂いの母親の情夫に十代の順子は母親の目の前で強姦されていたのだった。

理知的な順子は・・・ハナちゃんに的確なアドバイスをするが・・・その心は常に死と隣り合わせているのだった。

小暮写真館が営業を再開したと誤解して奇妙な写真が持ち込まれる。

「家族団欒の写真に泣いている女(田中美里)の首が映っている」

「縁側での家族写真に父親(渡辺哲)と娘(徳永えり)の泣き顔が映っている」

「フリースクールの集合写真で少年(浦上晟周)の上に変なカモメが飛んでいる」

成り行きで心霊探偵となったハナちゃんはアドバイザーであり、後見人であり、助手である順子と真相に迫って行くのだった。

そこには・・・。

「怪しい宗教を信じる一家にいびりだされた嫁の生霊」とか「プライドがたかい男の哀しい念写能力」とか「モラルハラスメントに悩む母親を思う幼子のトリック」とかが隠されていたのだった。

その間にも・・・順子は・・・「電車を正面から見たくなった」と言って線路に飛びこみ、「待ち合わせに遅れたくなかったから」と言って睡眠薬を飲み過ぎ・・・対岸へと渡りかける。

ハナちゃんは小暮さんの霊に導かれ・・・順子の危機を救うのだった。

やがて・・・ハナちゃんは・・・順子の不幸な過去を知る。

同時に・・・淡い初恋をするのだった。

暗い情念を抱えた美少女・・・順子に・・・一部お茶の間はうっとりするのである。

家出して・・・友達の家の庭でキャンプとか・・・小学生が一人で墓参りとか・・・深夜に河川敷のベンチに女性が佇むとか・・・いろいろタイムリーな事象もちりばめられている。

妹の死に対する自責の念を感じるハナちゃん。

しかし・・・順子はささやく。

「あんたの家の子供に生まれたら・・・きっと・・・幸せだったと私は思うよ」

リバーサイドの高層マンションのベランダに幻のフーコが現れる。

手をふるハナちゃん。

手をふるフーコ。

慰められたハナちゃんは順子に手数料として「三雲高校鉄道愛好会」の田中博史(加藤諒)から「正面から電車が見えるポイント」を入手して支払うのだった。

付き添い人としての順子と祖父の納骨式に参加するハナちゃん。

「一族の皆さんに不義理を重ねていることをお詫びします・・・しかし・・・妹の葬儀であなたたちは善意だか正義だかに基づき・・・私の母に言ってはならないひどいことを言った・・・それだけは許さない・・・私たち一家のことは放っておいてください」

口汚い祖母は冷水を浴びせられるのだった。

心臓発作で死ぬのかと思ったぞ。

駅まで走る二人。

ホームで記念写真を撮った順子は・・・無垢な年下の恋人に別離を告げる。

「私・・・あなたの写真を大事にする・・・でも・・・私の写真は捨てちゃっていいよ」

「・・・」

「まあ・・・いいけどって・・・言えば」

「嫌だ」

線路を渡って反対側のホームに立った順子はローカル線に乗り込む。

ほほえんで・・・ありがとうとささやく順子。

母親への殺意を秘めた美しい年上の人を・・・もやもやしながら見送るハナちゃんだった。

まあ・・・これ以上の進展は公共放送には・・・無理だもんな・・・。

菜の花畑に順子の母親の骸が埋まっているとか・・・。

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怪奇恋愛作戦

地獄先生ぬ〜べ〜

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2015年8月28日 (金)

死者に背中を押されたりはしない(北川景子)ただいま実働中(川口春奈)痛恨のフィアンセ(藤本泉)

夏の終わり・・・である。

驚くべき事件が次々とワイドショーをにぎわす。

不謹慎にも「少し間隔あけてくれればいいのに」とスタッフの誰かが思うのではないかと想像する。

なにしろ・・・そういうビジネスなのである。

差別された有色人種が・・・虐待された女性が・・・底辺の前科者が・・・しでかすわけである。

社会的弱者による凶悪犯罪に良識的なコメンテーターは言葉を選ぶのだった。

本当に悪魔たちが形成する人間たちのもつれは・・・厄介だな。

お前が言うか。

荒唐無稽なフィクションをリアルと感じるかどうかは・・・各人の持つ・・・心ののどかさによります。

で、『探偵探偵・第8回』(フジテレビ20150827PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・石井祐介を見た。陰鬱な社会を描くエンターティメントは冷酷非情であることが一つのユーモアであり、爽快でなければならない。信じられないような残酷さを隠しもつ人間が優雅に振る舞うことが苦い笑いを生むからである。そして、それは現実から目をそむけることがいかに危険かという警告でもある。非現実的なものから現実について想像する。それは普遍的なお笑いのスタイルなのである。この作品が時々、禁じ手を放って失望もさせるものの総合的には優れたハードボイルドとして成立している由縁だ。

人を苛むことでしか生きていけない男たちに・・・罪なき供物としての女たちを捧げる野放図のイベントに殴りこんだ探偵の紗崎玲奈(北川景子)と刑事の窪塚悠馬(三浦貴大)・・・。

野放図との乱闘の中・・・野放図のリーダーである淀野瑛斗(丸山智巳)の凶刃な倒れる窪塚。

接近する栃木県警のサイレン音に・・・。

玲奈は脱出を開始する。

無法者である探偵は・・・尻尾を掴まれてはいけないのだ。

森を走る玲奈。

窪塚の指示で脱出用車両とともに待機する峰森琴葉(川口春奈)・・・。

琴葉と合流した玲奈は・・・証拠の残らない携帯電話で窪塚の母(岡まゆみ)に栃木県警に窪塚刑事の安否を確認するように指示する。

「なにがあったんですか」

「窪塚刑事が瀕死になった・・・」

「死神のことは・・・」

「聞けたのはさわやなぎななという名前だけ・・・」

「原作者が柳沢なな(麗奈)のファンなんでしょうか」

「泣かないと決めた日か・・・」

「とにかく・・・窪塚刑事の名誉を守らなければならない」

「名誉を・・・」

「誘拐された女性たちを救助した英雄的行為も法令順守の社会では傷害罪を問われる可能性がある」

「そんな・・・」

「証拠を隠滅しなければならない」

栃木県警航空隊の倉庫に侵入した玲奈は発電機のショートにより巨大な電磁場を発生させ、警察ヘリの搭載カメラの記録映像を消去した。

玲奈と窪塚の行動を曖昧なものとしたのである。

「証拠がなければ・・・警察の隠蔽工作も成功するでしょう」

窪塚が収容された病院に向かう玲奈。

窪塚の母は先着していたが・・・窪塚はすでに絶命していた。

到着した警視庁の刑事たちの目を逃れ、病院を脱出する玲奈。

「どうでしたか・・・」

「彼は死んだ・・・」

「・・・」

事情を知る刑事たちは玲奈を呼び出す。

「何があったか話してくれ」と船瀬刑事(阪田マサノブ)・・・。

「・・・」

「お前のせいで・・・窪塚刑事は・・・」と長谷部刑事(渋谷謙人)・・・。

「・・・なにをしても彼は帰らない」

「・・・」

「窪塚はお前に同情したかもしれないが・・・俺はお前を追い詰める」と坂東刑事(相島一之)・・・。

玲奈は無言で警視庁に背を向ける。

そして・・・引き籠った。

玲奈不在の対探偵課において・・・スマ・リサーチ社の須磨社長は現場に琴葉を送りだす。

悪徳探偵に法外な調査費用を要求された「婚約者に裏切られたかもしれない女」・・・後藤清美(藤本泉)を救援する琴葉。

「まほろ駅前番外地」の吉村刑事に似た悪徳探偵の浅村(三浦誠己)を護身用のスタンガンで撃退する琴葉だった。

「ありがとうございました」

「仕事ですから・・・」

「お前は・・・なんなんだ」

「無許可の探偵行為は犯罪です・・・自首する気がないようなので通報しました」

「死神捜索」に協力するスマ・リサーチ社の桐嶋(DEAN FUJIOKA)は琴葉とともに自宅療養中の連絡役の宇佐美秋子(今村美乃)を尋問する。

「死神とは・・・どうやってコンタクトするんだ」

「あああああああああああ」

精神に問題のある秋子にハサミで抵抗され軽傷を負う琴葉。

「精神を病んでいるのは事実のようだ・・・」

宇佐美家を出た二人は刺客に尾行されるが・・・桐島は返り討ちにするのだった。

「野放図のバックにはやはり獅靱会が控えているようです」

桐島は刺客の背後関係を須磨に報告する。

「一般企業となった暴力団が・・・半グレを使い・・・半グレが・・・無認可探偵を使う・・・縦社会だな・・・」

「無認可の探偵が探偵の評判を下げ続けるということです」

「そのための対探偵課だ・・・探偵は非合法活動だが・・・あくまで法令順守の建前は貫く」

「自己責任で・・・ということですね」

「その通り」

宿舎に戻った琴葉は玲奈を食事に誘う。

「そのケガ・・・どうしたの・・・」

「大丈夫ですよ・・・」

「・・・」

「玲奈さんが不在の間は・・・私ががんばります」

「私は・・・」

「逃げるんですか」

「死神を追いかけて・・・私は死に物狂いになった・・・そして・・・あの人を巻き込んで」

「だからこそ・・・逃げることは許しません」

「・・・琴葉」

「死神をつかまえた時・・・すべてが終わるんです」

「・・・」

「咲良のためにも・・・」

帰らぬ咲良(芳根京子)の名前を出されて覚醒する玲奈。

「一緒ですよ・・・」

琴葉の手の温もりに蘇生する玲奈。

玲奈は窪塚の娘(藤田彩華)の授業参観に新しいお母さんとして参加する。

美貌の未亡人の登場に教室はどよめくのだった。

対探偵課に帰還した玲奈に須磨は「さわやなぎなな」に関する情報を伝える。

「かって澤柳菜々という女を調査した探偵がいることがわかった」

「何者ですか」

「君がよく知っている探偵だ」

収監中の阿比留綜合探偵社社長・阿比留佳則(ユースケ・サンタマリア)に面会する玲奈。

「死神か・・・今度は誰を殺すんだ・・・俺か」

「澤柳菜々という探偵を知っている」

「そういう探偵は知らないが・・・澤柳菜々という女は調査したことがある」

「・・・」

「ひきこもりの男がFXで儲けて・・・澤柳菜々という女と結婚し・・・すぐに死んで二千万円の遺産を残した・・・調査を依頼してきたのは男の家族だ・・・」

「・・・」

「調べてみると・・・女は・・・十代から・・・孤独で小金をもった男と結婚しては死別するというビジネスを展開していた」

「・・・」

「謎だったのは・・・どうして・・・彼女がそういう男たちを見つけていたかだが・・・まあ、彼女自身が探偵なら・・・そうか・・・彼女が・・・死神・・・」

「・・・」

「またきてくれよ・・・ここは退屈すぎる」

社に戻った玲奈は須磨に報告する。

「いよいよ・・・最終章だな」

「直前でバレーボール中継で11時30分オンエアって・・・」

「まあ・・・ドミニカに逆転勝ちしてよかったじゃないか」

「・・・」

「死神に手が届いたら・・・殺せ」

非合法には非合法で対応するしかない。

探偵たちは非情のライセンスを所持しているのだ・・・あくまで自己責任で。

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2015年8月27日 (木)

海に千年、山に千年(堤真一)蛇は竜になるのですね(戸田恵梨香)スピン・ドクター(大谷亮介)ハゲタカファンド・マネージャー(手塚とおる)ホワイト・ナイト(木下ほうか)

日本に闇がゆっくりと広がって行く。

その闇の気配に慄く人もいるし・・・安寧を感じる人もいる。

七十年前・・・荒廃した国土はいたるところに闇が蹲っていた。

闇は悲惨を隠すのには都合がいい。

人々はその闇を抱え込み・・・陽のあたる場所へ出た。

二十代で敗戦を迎えた人々はもはや九十代である。

十代で敗戦を迎えた人々は八十代。

幼少時代に敗戦を迎えた人々も七十代である。

濃淡のある闇はまだらに点在している。

闇の中で人は人ではなくなる。

かっての夏・・・下町の玄関の扉は開いていた。

今は固く閉ざされているのが一般的だ。

受験戦争のために・・・闇の中で学習塾の扉は開いている。

放射能汚染された地域には隔離された闇がある。

刹那的な欲望しか与えられない人は愛を忘れる。

世間の顔色を窺う大人は口を噤む。

社会の凡庸な少数派は多数決を盲目的に否定する。

混乱を面白がる邪気に満ちた一般人。

友愛の名のもとに祖国を売る愚か者。

闇の中から這い出た悪鬼は未熟で無防備な弱者を捕食する。

すぐそこにあるリスク。

で、『リスクの神様・第7回』(フジテレビ20150826PM10~)脚本・橋本裕志、演出・城宝秀則を見た。リーダーの交代は一つのリスクである。世代交代や新陳代謝は自然な流れだが・・・リーダーシップの影響力が強い組織ではトップの交代には様々な摩擦が発生する。リーダーの指導力が低下することで組織は弱体化し、組織が弱体化することで指導力が問われるのである。ひとにぎりの勝者と圧倒的多数の敗者が出現すれば革命あるいは恐怖政治のリスクが高まる。義理も人情もない混乱の中で人々は囁く。こんなはずじゃなかったのに・・・と。

サンライズ物産が出資している烏丸屋ホールディングスが乗っ取りの危機に陥る。

呉服店からスタートし、百貨店、スーパー、ホテルと事業を拡大してきた烏丸屋ホールディングスは前社長の岡崎竜太郎(小野武彦)が一代で急成長させた会社である。

しかし、後継者候補だった息子の大樹(中村峻介)は企業体質の改善を目指し、一年前に父親を解任に追いやった。

お家騒動のスキャンダルに加えて買収した日陽ホテルの経営破綻により、経営危機に陥った烏丸屋ホールディングス。

危機の責任は息子の経営手腕に問題があるとして竜太郎は投資会社片山ファンド代表の片山(手塚とおる)と組んで株式取得による経営権の奪回を目論んでいた。

サンライズ物産危機対策室長・西行寺智(堤真一)は背後に烏丸屋ホールディングスの解体・売却を目論むプライベート・エクイティ・ファンド(いわゆるハゲタカファンド)の大手・リバーファンドが動いていることを探知し、買収阻止のために出動する。

「ハゲタカファンドですか・・・」と遠い目をする副室長の財部(志賀廣太郎)・・・。

ほぼ、役割終了である。

西行寺と助手の神狩かおり(戸田恵梨香)は現社長の大樹に事情聴取を行う。

「父に経営者として育てられてきましたが・・・その経営手法は・・・時代の流れに取り残されていたのです。私は改革を訴えましたが・・・父は聞き入れなかった・・・解任は仕方のないことだったのです」

「親子問題はこの際、どうでもいいのです・・・このままでは・・・烏丸屋ホールディングスは換金されてしまう。そうなれば多くの従業員が路頭に迷うでしょう」

やがて・・・経営危機の一因となった日陽ホテルの買収に関与した監査役の花村(大谷亮介)が姿を消す。

「そもそも・・・日陽ホテルの買収は父の持ち込んだ案件でした・・・父の意志に配慮して・・・計画を実行したのが仇となったのです・・・花村は監査役として・・・日陽ホテルの経営状態に問題なしとしておきながら・・・巨大な負債を見逃していた・・・そして事が明らかになると一転して私の経営者としての資質を弾劾し始めたのです」

「一種のスピン・ドクターですね」とかおり。

「スピン・ドクター?」

「ある特定の人物・団体について実状を無視して虚像を伝える工作員ですよ」

「言葉巧みに情報操作を行う専門家です」と西行寺。

「花村が・・・そんな・・・公明正大な人だと思っていたのに・・・」

「社長殿・・・スピン・ドクターは黒を白と言いくるめるプロなんですよ」

「・・・」

不良債権を巧につかませて、経営者としての評価を下げる任務に成功した花村は前社長陣営の送り込んだ刺客だったのだ。

息子陣営の株式取得状況

息子20%

サンライズ物産15%

合わせて35%

父親陣営の株式取得状況

父親15%

片山ファンド20%

合わせて35%

・・・その他30%である。

「残り30%から16%を取得したものが過半数の株主代表として株式総会で経営権を獲得することになります」

「敵は敵対的買収を仕掛けてくるでしょう」と渉外担当の結城(森田剛)・・・。

「用意周到な相手だ・・・すでに・・・買収は成功しているとみていい」と西行寺。

「打つ手なしですか・・・」

「いや・・・増資による持ち株比率の変換という手が残っている」

「ホワイトナイトですか・・・」とかおり。

「どなたか・・・増資を引き受けてくれる相手がいますか」

「心当たりがあります」と息子。

息子の学生時代の友人がアジアグローバル証券の代表であるフォー(木下ほうか)だった。

フォーは友情ではなくビジネスとして増資に応じると言う。

「話が上手すぎる・・・」

危険な匂いを嗅いだ西行寺は探偵の種子島(古田新太)にフォーを探らせるのだった。

結果として・・・フォーは片山とつながっていることが判明する。

「そんな・・・誰も信じられない」

「お坊ちゃんだからですよ・・・」

「打つ手なしですか・・・」とかおり・・・。

「いや・・・一番大切なものを守る方法が残っています」

「それは・・・」

「愛ですよ」

「愛・・・」

「前社長に頭を下げるのです」

「そんな・・・父は僕を憎んでいる・・・そして僕にだってプライドが・・・」

「親子喧嘩で・・・全社員が路頭に迷う・・・そんな経営者にプライドなんて最初から無用です」

「お父さんがいて・・・いいでいね・・・私にはいません」とかおり・・・。

息子はかおりの誘惑に屈した。

西行寺とかおりは息子の手紙を持って竜太郎を訪問するのだった。

「サンライズ物産が・・・烏丸屋ホールディングスを乗っ取るのか」と頑なな父親。

「そこに・・・大義がありますか」

「大義」

「出資しているサンライズ物産は・・・企業価値が上がれば・・・経営者は・・・父でも息子でもハゲタカでも構わないのです」

「・・・」

「しかし・・・あなたが一代で築きあげた会社は・・・跡形もなく食い尽くされますよ・・・」

「それも・・・宿命だろう」

「・・・」

運命の株式総会。

しかし・・・息子は・・・51%の株式を取得して・・・勝利する。

息子陣営36%・・・そして父親15%・・・。

ハゲタカは岡崎父子に敗北したのだった。

「心の底からの和解でしょうか・・・」

「いや・・・会社を守るために・・・前社長は笑顔の仮面を装着したのだ」

「百戦錬磨ですか・・・」とかおり・・・。

「義理も人情も・・・見せかけだ・・・顔で笑って心で泣くのが人生だ」と西行寺。

種子島(古田新太)は西行寺に新たな情報を告げる。

「とんでもないぞ・・・」

サンライズ物産の社長・坂手光輝(吉田鋼太郎)はアジアグローバル証券のフォーと密会していたのである。

「買えるものは買い、売れるものは売るのが・・・商社だからな・・・」

西行寺の胸に秘められた想いはまだ語られることはない。

遠い記憶・・・。

「僕はお父さんのような商社マンになりたい」

「商社マンはつらいぞ・・・お前はもっと自由になれ・・・」

若かりし頃の西行寺の父・・・孝雄(田中泯)・・・。

「君のお父さんは・・・会社のために尽くしたのだ」

若かりし頃のサンライズ物産の顧問・天童徳馬(平幹二朗)・・・。

「じゃ・・・なんで・・・あなたたちは・・・お父さんを助けてくれないんですか」

西行寺は少年時代の苦い記憶を噛みしめる。

子会社に出向になった橘由香(山口紗弥加)は白川専務(小日向文世)と密会する。

「メタンハイドレートの実用化の目途は全くたっていません・・・ほとんど白紙の状態です」

「地球温暖化対策としても有効な新エネルギー源として期待が高まっているというのに・・・」と専務の秘書・逢沢統吉(丸山智己)・・・。

「坂手社長は実用化目前という口ぶりだったな・・・」

「何か・・・あると思います」と注意を促す橘だった。

白川専務はかおりに探りを入れる。

「なにか・・・大きな危機が迫っている・・・」

「私にできることがあれば・・・」

「その時は頼むよ・・・」

二人は坂手社長と遭遇する。

「おや・・・危機対策室の期待の新人と・・・専務が一緒とは珍しい・・・」

「危機対策室の活躍は目覚ましいですから・・・」

「我が社の株主総会も近い・・・身辺には気をつけたまえ」

怪しい社長は・・・怪しい専務の耳元で囁く。

とにかく・・・かおりの行く手には暗雲が立ち込めている。

輝かしい業績を残すサンライズ物産には西行寺の父親を牢獄に追い込んだ闇があるからである。

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2015年8月26日 (水)

いいもわるいも気分しだい(窪田正孝)敵に渡すな殺人ノート(山崎賢人)死んだ死んだ(優希美青)

少年マンガで言えば「鉄人28号/横山光輝」の系譜が匂う「デスノート」である。

圧倒的な凶器として・・・デスノートは「鉄人のリモコン」と同じだ。

リモコンを持てば正義も悪もロボット兵器「鉄人」を操縦できるのである。

名前を書くと死ぬというアイディアは古典的で・・・陰陽道では「呪殺防止」のために本名を隠す必要があるわけである。

だから、古代の人々は・・・仮名生活をしていたわけである。

真名を呪者に知られたら・・・どんな恐ろしい目にあうか・・・わからないからだ。

まあ・・・匿名という奴は・・・その延長線上にあるわけである。

芸名=本名の芸能人というのは基本的に怖いもの知らずなんだな。

そうではない迷信深い人の心を揺らすコンテンツなのである。

で、『・第8回』(日本テレビ201508232230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・猪股隆一を見た。知性と知性の激突・・・緻密なコンゲームとはかなり違う展開だが・・・キラは結構、ドジを踏んでるし、エルはどう考えても「原作」を読んで「デスノート」の存在を知っているとしか思えない推理を述べる。まあ・・・そういう大雑把な感じが・・・一部お茶の間にフィットしていると思える。夏なので・・・おかしいだろうって言い出すとくたびれるために・・・なんだかんだ楽しめるわけである。多次元世界的・・・似て非なるデスノート的状況。ストーリーは「ああ・・・歴史が変わった」「ああ・・・修正された」という繰り返しである。結局、誰かを殺さずにはいられない人間が実在する以上・・・デスノートの存在そのものがホラーなのである。

ミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)をこよなく愛する死神レムの脅迫によってデスノート放棄作戦を実行したライトこと夜神月(窪田正孝)は黒のデスノートをレムに託し、火口卿介(柏原収史)に貸し出す。

ライトはリュークに「偽のデスノート・ルール」を追記させている。

「デスノート使用者は十三日に一度使用しないと死ぬ」

「デスノートを廃棄すればデスノートに接触したものは死ぬ」

これにより・・・警察関係者あるいはエルことL(山崎賢人)がデスノートを入手した時に簡単にはデスノートを使用することも廃棄することもできはないとライトは考えた。

「死刑囚に・・・死刑囚の名前を書かせ・・・十三日後の様子を見るというのはどうでしょう」

「死刑囚は・・・死刑に処せられるのであって・・・人体実験の対象者ではない」と今さらながらお固いことを言う日本におけるキラ事件の捜査官のリーダーである夜神総一郎(松重豊)・・・。

「ですか・・・」と微笑むエル。「地上波お茶の間暗黙のルールですね」

「とにかく・・・ライトくんもミサミサちゃんもキラではないよね・・・拘束期間中・・・ノートを使用しなかったのに・・・十三日を過ぎても生きている」と仏の模木完造(佐藤二朗)・・・。

「ですね・・・」

「しかし・・・ノートに名前を書くだけで・・・人が死ぬなんて・・・本当なのかな」とライト。

「ですよねえ・・・」

エルは本心を隠しながらライトを見る。

エルはライトが犯人であると直感した以上・・・ライトが犯人である論理しか信じないのである。

すでに・・・ノートに接触し・・・デスノート所有の呪いによりキラ化しているライトには・・・エルが自分への疑いを捨てていないことを直感するのだった。

エルとキラ化したライトは・・・思いこみの激しい似たもの同志なのである。

直感とはスパースモデリングのようなものかもしれない。

限定された情報から望ましい回答を捏造するスパースモデリング・・・。

意志伝達とは・・・基本的にそういう怪しいものを含んでいる。

誤解こそが正解なのである。

意味をわかって言ってんのか。

なんとなく・・・で。

つまり、穴だらけに見える推論こそが王道なのである。

「とにかく・・・ヨツバグループの生き残りたちに尋問する必要がある・・・ライトくん、君にも手伝ってもらいたい」

「かまわないさ・・・」

ライトは解放されたミサミサに指令を下す。

リュークと共に封印した赤のデスノートの発掘である。

このドラマのミサミサにそんな重要な任務を与えていいのか・・・と思うが・・・想定通り・・・ミサミサは油多川(牧田哲也)という探偵に赤のデスノートを強奪されてしまうのだった。

油多川にミサミサを尾行させていたのはキラを崇拝する東京地検の検事の魅上照(忍成修吾)だった。

お宝発掘現場に遭遇した油多川は思わず、ミサミサを昏倒させ、お宝を持ち去ったのだった。

その正体を確かめもせず、金目当てでお宝を魅上照に譲渡する油多川・・・。

赤のデスノートを手に入れた魅上照はたちまち第四のキラと化すのだった。

不起訴になった凶悪犯罪者たちに死を与える魅上・・・。

ミカミカの誕生である。

ミカミカは無慈悲な削除を続けるのだった。

一方、ミサミサを襲撃した犯人の捜査に乗り出すライトとちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)・・・。

ライトは単なる大学生なのだが・・・大雑把な展開はツッコミを許さないのだった。

エルが承諾すれば基本的になんでもありらしい・・・。

しかし・・・エルの右腕である左腕にメロを抱えたニアことN(優希美青)は防犯カメラの映像を解析し、元探偵で詐偽師の油多川を襲撃犯と断定する。

ライトと松田は油多川を取り逃がすが・・・ニアは油多川を捕縛。

松田はニアを殴り倒すが狂暴な第二の人格メロに強制的な尋問を受ける。

「依頼者が・・・検事ということは聞き出したが・・・死んじゃった」

油多川を誰が殺したのかは伏される。

エルやニアに殺人戒があるのかどうかは不明である。

そもそも・・・彼らは快楽推理者なのである。

謎が解ければ・・・人類がどうなろうと知ったこっちゃないという性格でも問題ない。

もちろん、お茶の間対策として・・・メロが殺人鬼ではなく・・・ミカミカによる口封じの線もあるわけである。

しかし・・・メロが殺したと思わせた方がインパクトがあると考える筋立てなんだな。

あざといよねえ。

再度・・・現場を訪れたライトは検事の名刺を入手するのだった。

ミサミサが記憶を取り戻せなかったために・・・新しいパートナーとしてミカミカを迎えることにするライト。

ミカミカの元にいるリュークに林檎を宅配するのだった。

まあ・・・普通に考えて・・・その行動のすべては・・・エルとニアに筒抜けなのである。

それでも・・・決定的な証拠がない以上・・・探偵たちに状況は不利なのである。

「あなたが・・・キラなのですか・・・」

「私がキラだ・・・」

「わが神よ・・・」

「なぜ・・・汝は我をあがめるのか」

「私は・・・かって・・学級委員長だった・・・正義のために苛められた子を庇ったのです・・・しかし・・・いじめっ子たちは私をいじめた・・・そして私の母親は・・・そんないじめっ子を許せと言った・・・しかし・・・神は交通事故で母といじめっ子たちに死を賜った・・・それから・・・私は神は正義を実現すると悟りました」

「キラの作る新世界を見たいか」

「どこまでもお伴します」

検事の立場を利用したミカミカは・・・キラ対策室に保管されたデスノートを証拠品として押収する作戦を開始する。

しかし、逸早くエルはデスノートとともにライトを別室に連れ出していた。

「一体・・・エルはどこに・・・」と日村章子(関めぐみ)・・・。

「エルとライトは最終決戦をする・・・生きて帰るのは一人だけ・・・」とニア・・・。

ワタリ(半海一晃)はモニターに・・・対決会場のライブ映像を公開するのだった。

「一体・・・何の真似だ・・・」

「デスノートの使い方について・・・いろいろと考えたのです。ひょっとしたら・・・ちぎっても使えるのではないかとか・・・死に方を指定できるのではないかとか・・・嘘のルールを死神に書きこませたり、所有を放棄したら記憶を失ったり・・・」

「原作、読んだのかよ」

「そうなると・・・やはり・・・キラは・・・ライトくんしか考えられない」

そこで・・・カメラをオフにするエル。

「できれば・・・ライトくんがキラではないと証明したい・・・でも・・・どう考えてもライトくんはキラなんですよ・・・困りました」

「なぜ・・・友達を信じることができないんだ・・・」

「そうです・・・友達が・・・死を操る男だと信じるしかありません」

「・・・信じる方向が間違ってる」

「どうしてですか・・・最初はちょっとした悪戯心・・・次は必要に迫られて・・・しかし・・・その後は快楽殺人犯になってしまう」

「快楽・・・?」

「だってそうでしょう・・・理想の世界を作るなんて・・・快楽そのものじゃないですか」

「・・・」

「もはや・・・試してみるしかありません」

「何をだ」

「このノートにライトくんの名前を書いて・・・それから・・・十三日後に僕が死ぬかどうか」

「なんで・・・俺で試すんだ」

「ライトくんなら命がけでキラの逮捕に協力してくれるでしょう」

「エルの名前を俺が書いてもいいじゃないか」

「いや・・・ライトくんに・・・人を殺させるわけにはいかない」

夜・・・神・・・月を書きかけるエル。

「やめろ・・・」

ついにエルに肉弾戦を挑むライト。

「無駄ですよ・・・君は僕の本名を知らない・・・ノートに名前を書けるのは僕だけだ」

「今・・・エルを殺しても正当防衛だ」

「ノートに名前を書こうとしたからですか・・・それでは正当防衛は無理だな」

「急に法治国家みたいなことを・・・」

しかし・・・その時・・・死神の目を手に入れたミカミカからメールが届く。

「L.Lawliet・・・か」

「誰かが・・・死神と取引したんですね」

「もう・・・遅い・・・死ね」

ライトはエルの名をデスノートに記す。

四十秒後・・・エルは死ななかった・・・。

「何故だ・・・何故なんだ・・・」

「チェックメイトです・・・ライトくん」

キラと化したライトは・・・凄惨な表情で・・・不死身のエルを見た。

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2015年8月25日 (火)

ONE PIECE51キタ━━━━!!(福士蒼汰)ふりかえらない彼を私は呼びとめた(本田翼)私は彼女を呼びとめた(野村周平)

まっすぐに前を見つめる人は素直で素敵だ。

いつもキョロキョロしている人は落ちつきがなくて素敵だ。

後ろばかり振り返る人は用心深くて素敵だ。

しかし、誰かの背中をじっと見つめている人はいる。

時には上から何かが落ちてくる。

そして、突然、何かが曲がり角から現れる。

運命は時に残酷で救いはないように思われる。

躓けば転び、転べば二度と立ち上がれないような気もする。

けれど・・・棺桶に入るまでが人生なのだ。

最後まで希望を失わなければ少なくとも心は平穏である。

で、『・第6回』(フジテレビ20150824PM9~)脚本・桑村さや香、演出・宮木正悟を見た。甘い恋の夢を見るのに老若男女の区別はない。ただ、それを語るには相応しい年齢というものがあるだろう。だからといって相応しくない年齢というものが何歳なのかは・・・人それぞれの判断である。見映えは悪くとも・・・本人同志が甘い恋をしている場合には第三者が口を挟むのは野暮というものだ。しかし、本人に部外者の自覚がないと・・・物事はこじれていくものだ。また・・・恋を実らせない障害としては都合がいい存在だとも言える。なにしろ・・・本人に悪気がないのである。しょうがないなあ・・・もう・・・と思うしかない。だが・・・本当に本人が無邪気なのかどうか・・・油断はならない。疑心暗鬼になるよりは君子危うきに近寄らずである。特に理由もなく人から避けられているタイプというのは・・・実在する。

甘い恋の夢を見た二人は現実に帰ってくる。

バスターミナルで別れる二人。

あかりはふりかえる。

しかし・・・葵はふりかえらない。

芹沢あかり(本田翼)にはまだ秘密がある。何故・・・初恋が実らなかったのか・・・その理由を三浦葵(福士蒼汰)に告げていないのである。

お茶の間的に秘密なのは・・・あかりが・・・葵にキスをされて・・・どう感じたのか・・・ということである。

天にも昇る気持ちだったのか・・・そうでもなかったのか・・・つまり・・・あかりの初恋が終わっているのかどうかである。

少なくとも・・・あかりは・・・自分を騙していた蒼井翔太(野村周平)に愛を感じてしまっている。

子供を盗んだ女に・・・五年も育てられたら母親への情を感じずにはいられないのが人間というものなのである。

まして・・・二人は男と女なんだな。

一方、三浦葵(福士蒼汰)はまだ・・・翔太の邪悪な振る舞いをしらない。

かっての親友の恋人に・・・キスをしてしまった自分を恥じる気持ちがある。

初恋の人を忘れることはできなかったが・・・冴木瑠衣子(市川由衣)と交際してしまった負い目もある。

そして・・・相手を思うあまりに・・・自分が相手に相応しい男であるかどうかの自信がない。

二十代半ば・・・それは青春の終わりを感じるのに相応しい年齢の一つだと言える。

十代は遠ざかり・・・三十代は近付く。

振り返らない男である葵には・・・迫りくる三十代がプレッシャーとなる。

初恋に心を奪われて悶々としながら・・・丹羽万里子(吉田羊)の設計事務所で悶々とする葵。

事情を知らぬ小谷照吉(前野朋哉)は葵を叱責するのだ。

「ボヤボヤしてんじゃねえぞ」

ちなみに・・・照吉は・・・今回のキーパーソンである居候の公平(太賀)と一対になっている。

公私ともに・・・つまり・・・どこにでも・・・しょうがない人間は配置されているのである。

万里子は「八王子の水族館」というユーミンの香る大きな仕事を抱えている。

発注者から「ペンギンと触れあえるカフェ」という注文が入り・・・万里子は悩むのだった。

「ヨチヨチ歩いていたかと思うと急にスイスイ泳ぐペンギンは不気味で好きになれない」

「ペンギンかわいいじゃないですか」と富永美玲(山本美月)・・・。

「ペギラが好きだからチャンドラーも好きだ・・・ぐらいに好き?」

「そのたとえは誰にもわからないっ」

「アラレちゃんと言う名前も冷静に考えると嫌だな」

「まゆゆがサシコに変身するレベルでか」

「もう・・・いいだろう」

結局、愛こそがすべてという理論で・・・ペンギンカフェの設計を美玲にまかせる万里子。

助手を命じられた葵は複雑な心境になる。

もちろん・・・事務所の先輩である美玲に敬意はあるが・・・ウサギ小屋しかまかせられない自分に不甲斐なさを感じるのである。

あかりの同居人・高梨恵里香(馬場園梓)は事情を聞いて激昂する。

「翔太くんが・・・そんなことをするとは・・・あかり・・・文句を言ってやったの」

「言えなかった・・・」

恵理香はあかりの複雑な感情を思いやる。

一方・・・あかりの複雑な事情を知らない公平は・・・あかりと翔太の関係修復に人肌脱ぐ気持ちになる。

公平にとって・・・大人の関係のない高校時代の人間関係こそが楽園なのである。

その楽園を再構築することに夢中なのだ。

もちろん・・・ひょっとすると・・・公平もまたあかりに横恋慕していて・・・あかりが・・・葵と交際するよりは・・・それほど深くない関係の翔太の方がいいと心の底では思っているのかもしれない。

七海(大原櫻子)に対して・・・自分を高く売り込みたい気持ちも潜在しているかもしれない。

しかし・・・基本的にはしょうがない男としてふるまう公平なのである。

誰の味方もしない・・・それが公平というものだ。

そして・・・そういう人間は複雑で繊細な関係をぶち壊しにするものなのだ。

あかりは・・・翔太との関係を確認しに行く。

「お父さんのこと・・・すまなかった」

二人は病院の屋上で別々のベンチに離れてすわる。

「・・・」

「それだけじゃなくて・・・ひどいことをして・・・ごめん」

「・・・」

「僕には・・・君を愛する資格はない・・・でも君には笑顔でいてもらいたい」

「とても・・・笑える心境じゃないわ・・・」

あかりの心の迷いは隠されている。

翔太に戻りたいのか・・・葵とやりなおしたいのか・・・。

しかし・・・初恋の頃のあかりは・・・もういないのである。

あの日には帰れないのだ。

山城心音(大友花恋)が星野悠真(萩原利久)と花火大会のデートのための外出許可が得られないと知ると・・・研修医として・・・指導医に許可を求める翔太・・・。

罪滅ぼし・・・しかし・・・本当に許しを乞う相手は別にいる。

翔太は葵を訪ねるのだった。

アパートの屋上で・・・翔太は葵に向き合う。

「あかりを迎えに行ってくれてありがとう」

「別に・・・お前のためじゃない・・・俺があかりのそばにいたかっただけだよ」

「ようやく・・・本音を言ったな」

「・・・」

「お前の気持ちは・・・七年前からわかっていた・・・あかりの気持ちもね」

「?」

翔太は「「ONE PIECE51」を差し出した。

「お前とあかりを引き裂いたんだ・・・俺は」

「・・・」

「ラブレター」の文面を読み・・・すべてを悟る葵。

ひとつひとつの断片がつながって行く。

花火大会で・・・来るはずのない葵を待つあかり。

あかりを奪い去った翔太。

とりかえしのつかない七年の歳月が一瞬で過ぎ去って行く。

高まって行く暴力衝動・・・。

しかし・・・葵は・・・翔太を殴ることはできなかった。

親に捨てられたあかりを・・・守ってきたのは・・・葵ではなく・・・翔太だったのである。

自分が・・・翔太のようにあかりを守れたか・・・葵には自信がなかった。

そんな二人のやりとりを・・・七海と公平は立ち聞きしていた。

「翔太さんがそんなことをするなんて・・・お兄ちゃん・・・可哀想」

「・・・」

公平は・・・やはり・・・あかりに横恋慕していたのだろう。

自分にできなかったことを成し遂げた翔太に心が傾いて行く。

「でも・・・証拠を捨てなかったのは・・・翔太も翔太なりに苦しんだ証だと思う」

「・・・」

「そうなんじゃないかな・・・」

「私にはわからない・・・友達じゃないから・・・」

友達として・・・公平は・・・あかりと翔太が壊れないことを望むのだった。

あかりと葵が結ばれることには・・・なんとなく抵抗があるわけである。

あかりと葵・・・そして自分ではなく・・・幼馴染の三人で・・・いたかったのである。

もちろん・・・公平にそういう自覚はない。

ただ・・・あかりと公平が壊れないようにするのが・・・友達らしいと考えるのだった。

葵は・・・精一杯・・・あかりに尽くそうと考える。

二人はベンチにすわる。

その距離は・・・あの朝よりも離れている。

あかりの背後には・・・噴水がある。

「ワンピースの51巻を読んだんだ・・・」

「え」

噴水は鎮まる。

「手紙も読んだ・・・」

「・・・」

「花火大会の日・・・一人で待たせてごめん」

噴き出す噴水。

「・・・」

知らなかったんだから仕方がないとは言わないあかり。

「あかりをとりもどしたい・・・」

噴水はとどまるところを知らない。

「・・・」

「試験・・・がんばれ」

葵は・・・お守りを渡す。

しかし・・・それは「合格祈願」ではなく「健康祈願」だった。

「なによ・・・これ」

「あ」

あかりは笑った。

高校生のころに戻ったように・・・。

しかし・・・二人はもう高校生ではないのだ。

「合格したら・・・カレーを作ってお祝いするよ」

「合格したら・・・お腹壊しても平気だもんね」

「・・・」

二人は笑顔で別れた。

葵は振り返らない。

あかりは振り返り・・・葵を呼びとめる。

「葵・・・」

「なんだよ」

「ありがとう・・・」

一瞬で七年間はなかったことになったのだった。

あかりは・・・晴れ晴れとした気持ちで・・・東京都の教員採用候補者選考会に臨むのだった。

翔太は肩の荷を下ろした。

しかし・・・愛の灯が消えたわけではない。

事情を知らない研修医仲間の一葉(新川優愛)は翔太に表面的な謝罪をする。

「私・・・余計なことをしたのかしら」

「誤解だったんだ・・・心配してくれてありがとう」

一葉は穏やかな翔太に戸惑うのだった。

葵は・・・美玲の助手として・・・仕事に没頭する。

しかし・・・徹夜続きで二百枚の描き直しをする美玲のガッツに気遅れする。

「二百枚・・・」

「当然でしょう・・・チャンスだもの」

「・・・」

「あらあら・・・アオイくん・・・自分にはチャンスが来ないって・・・落ち込んだの」

「・・・」

「私だって・・・ジョーズのようなパワーを持つ万里子さんを見ると凹むことあるのよ」

上には上がいる。

自信のない葵はボティブローを食らうのである。

しかし・・・がんばるしかないのだ。

恋も仕事も・・・自分にできることを・・・。

葵は一生懸命・・・前を向いている。

しかし・・・公平は・・・七年をないことにはできないのである。

それでは・・・自分が・・・疎外されてしまうのだ。

公平は・・・翔太の前に現れる。

「お前が・・・ひどいことをしたのは知ってる」

「・・・」

「でも・・・五年間・・・あかりを支えたのはお前だもん・・・あかりが夢をかなえたかどうか知る権利はあると思う」

「・・・」

公平が動かないと知ると・・・あかりを待ち伏せる公平だった。

恋の成就を願うお茶の間は・・・そのお邪魔なふるまいに唖然とするのだった。

ちなみに散りばめられた言葉遊び・・・。

ワンピースの51巻は「コイ」と読むことができる。

葵には「コイ」がずっとなかったのである。

あかりの受験番号は「101851」番である。

「イワイハツコイ」と読むこともできる。

しかし・・・101は男女男の三角関係を示しているとも言える。

今・・・ようやく・・・物語は初恋をめぐる三角関係に発展した。

しかし・・・大人には分かる・・・初恋の美しさと・・・すでに大人の関係になってしまった二人と・・・そうではない一人の葛藤を・・・。

公平は・・・そういうことを童貞だけに・・・無神経に持ち込むのである。

たちまち・・・崩れて行く・・・あかりと葵の淡い初恋の延長戦・・・。

「葵に合格したことを知らせたの?」

「一番最初にね」

「翔太にも・・・報告してやれよ」

「・・・」

「だって・・・翔太が一番喜ぶんじゃないの・・・」

「・・・」

一部お茶の間・・・絶叫である。

なにしろ・・・大人の関係である・・・あかりは・・・翔太を無視することはできないのだ。

目をつぶっていることを・・・公平が許さないのである。

公平が破壊の限りを尽くしていることは知らずに七海は気をきかせて外出するのだった。

気の効く妹が去って・・・あかりを待つ葵・・・。

初恋の味のするカレーが匂い立つ・・・しかし・・・風立ちぬ。

「葵・・・私・・・翔太に会ってくる」

「・・・わかった」

「ごめん・・・でも約束の時間には必ず行くから」

平静を保とうと努力している・・・翔太の前に・・・あかりが現れる。

「合格したよ・・・」

「よかった・・・」

「合格できたのは・・・翔太のおかげだよ」

「・・・」

あかりはふりかえらない・・・しかし・・・翔太は呼びとめる。

「心音ちゃんに会っていって・・・」

「・・・わかった」

心音は外出許可を得てウキウキしていた。

「落ちたの・・・」

「残念でした・・・合格しちゃった」

「・・・おめでとう」

「ありがとう」

初恋の成就を呪う神は・・・心音の病状を急変させるのだった。

動揺するあかり・・・。

スマホの入ったバッグは閉ざされた病室に取り残される。

約束の時間を過ぎても現れないあかりに電話をする葵。

「あかり・・・」

「留守番電話サービスです」

そして・・・あかりは・・・自分を待っている初恋の人の存在を・・・嘘のように忘れてしまう。

もちろん・・・そうなるのは・・・あかりの心が揺れているからである。

翔太と葵の間で・・・。

愛し合った男と初恋の人の間で・・・。

101851・・・101851・・・101851・・・。

秀才だったあかりと翔太・・・そうではない葵。

お似合いの二人に打ちのめされ続けて来た葵のハートは破裂寸前だった。

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2015年8月24日 (月)

まずはシェイクハンドから(伊原剛志)シェイクハンド・・・(東山紀之)ざけんなよ(井上真央)

ファンタジーというよりメルヘンだな・・・。

何が哀しくて吉田松陰の妹のご機嫌を・・・高杉晋作、桂小五郎、次期藩主の毛利元徳までが伺わねばならんのだ・・・。

まあ・・・禁門の変から第一次長州征伐まで・・・長州を窮地に追いつめた薩摩国と・・・軍事同盟を締結することに対し・・・長州藩にあった心理的な抵抗を主人公に仮託したという手法である・・・と言うしかない。

しかし・・・そのためには・・・夫を殺したのが薩摩である。

この強調がなされていないとねえ。

ドラマでは・・・吉田松陰を処刑した幕府と・・・それに追従した長州藩の保守派。

禁門の変から第一次長州征伐に至る幕府軍と・・・それに追従した長州藩の保守派。

これに加えて・・・京都における夫の愛妾問題に対する主人公の葛藤があり・・・「薩摩憎し」の感情が突然発生したようにしか見えないのだった。

「椋梨藤太憎し」も同様だけどな。

まあ・・・こんなもんだよねえ。

歴史をひもとくと・・・状況の類似というものの発見が醍醐味の一つになる。

たとえば・・・「薩長同盟」と「日米同盟」である。

もちろん・・・厳密に言えば状況はかなり違う。

しかし・・・「昨日の敵は今日の友」という言葉の裏に潜む・・・様々な感傷を想像することができるのである。

政府「日米は軍事同盟を結びます」

沖縄人「え」

東京人「と、東京大空襲で十万人焼き殺した相手と・・・」

広島人「げ、原爆・・・」

長崎人「げ、げ、原爆・・・」

英霊たち「・・・」

政府「じゃ・・・ソ連か中国共産党と軍事同盟結びますか?」

一同「いやいやいや・・・」

いろいろあるけれど・・・薩長同盟も日米同盟も・・・歴史的な事実なんだな。

耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び・・・「利」をとるのも人間なのである。

で、『燃ゆ・第34回』(NHK総合20150823PM8~)脚本・金子ありさ、演出・橋爪紳一朗を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は若かりし頃の藩主夫人・都美姫(1985年の大河ドラマ「春の波涛」で松坂慶子が演じた川上貞奴・・・伊藤博文の愛妾ヴァージョン)の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。伊藤博文(伊丹十三)とか幸徳秋水(蟹江敬三)とか坪内逍遥(仲谷昇)とか山縣有朋(高橋悦史)とか板垣退助(米倉斉加年)とか・・・嗚呼・・・でございますな。一方・・・奇想天外を通り越して荒唐無稽の域に達してきた本編・・・。自分たちがどれほどの「とんでもドラマ」を作っているのかという自覚が・・・ひょっとしたらスタッフにないのかもしれないと考える今日この頃です。なにしろ・・・ワイドショーの独占インタビューで山本耕史が語る・・・「私はこうして堀北真希を攻略した」という話の方が百倍面白いですからなあ・・・とほほですなあ。

Hanam034慶応元年(1865年)五月、坂本龍馬、「亀山社中」を結成。閏五月二十一日、下関で龍馬は桂小五郎と西郷隆盛の会合をセッティングするが西郷は欠席。二十二日、将軍家茂が上洛。二十八日、椋梨藤太処刑。六月、幕府は周防徳山藩主・毛利元蕃と周防岩国領主・吉川経幹の召喚を命ずるが長州藩は拒否の姿勢を示す。八月、禁裏御守衛総督・徳川慶喜の主導により長州再征勅許が求められる。龍馬は薩摩藩名義で購入したミニエー銃を長州藩にお届け。杉百合之助死去。十月、英国製蒸気軍艦「桜島丸」の運航が薩摩藩より「亀山社中」に委託される。幕府は朝廷と兵庫開港の条約勅許で対立。十一月、幕府は長州に降伏条件の不履行について外交圧力を強化するも長州側は屈せず。幕府は第二次長州征伐の布陣を開始。十二月、桂小五郎は藩命により三田尻を出航。慶応元年二年(1866年)一月二十二日、長州処分の勅許が下される。同日、小松帯刀の京都屋敷において、桂と西郷の会談が開かれ、龍馬が立会人となって薩長同盟締結。二十四日、伏見奉行が寺田屋を襲撃。二月、防長武士および農民の対幕府決戦の覚悟を述べた「防長士民合議書」が配布される。幕府軍と長州軍の激突の時は迫っていた。

瀬戸内海の小島に・・・坂本龍馬が率いる科学忍者隊の秘密基地があった。

薩長同盟を成功させるために放浪中の高杉晋作一行を道後温泉でキャッチした龍馬は潜水艦「鶴川」で秘密基地を出航、九州・福岡に上陸する。

「黒田藩は結局、佐幕派ではないのか」と問う高杉晋作・・・。

「筑前宰相の黒田長溥様は勤皇志士嫌いじゃが・・・蘭癖じゃ・・・攘夷と開国は・・・奇妙なものじゃき・・・」

「・・・」

「みんな・・・攘夷、攘夷と騒いでおるが・・・結局は開国しなければ攘夷など絵空事・・・この辺が難しいのじゃき」

「その通りです」

「黒田様には・・・薩摩と長州の密約の後ろ盾になってもらおうと思うちょる」

「なんだと・・・」

「黒田様は・・・毛利家には同情的じゃが・・・それだけではすまん」

「どういうことだ・・・」

「黒田様は・・・シーボルト一族と秘密の研究をしているんじゃ」

「秘密の研究・・・」

「そこで・・・井上さんに来てもらった・・・」

「わしになんの用じゃ」

「ちくと・・・血を抜かせて欲しいんじゃ・・・」

「血・・・」

「知っちょるぞ・・・井上さんが・・・不死身だと言うことは・・・」

「・・・」

「なんでも・・・長崎のタダ博士は・・・おまんの細胞を培養したいらしい」

「サイボーのバイヨー・・・」

黒田藩にある秘密研究所では美少女天才科学者・失本タダが待っていた。

「龍馬・・・その男が・・・死んでも生きかえるという超人か・・・」

「そうだ・・・長州藩士・井上聞多様じゃき・・・」

「誰でもいい・・・とにかく採血じゃ・・・」

強制的に採血される聞多だった。

「俺の血をどうするつもりでありますか」

「なんでも・・・死人を蘇らすそうだ・・・フラフラ坊主とかいう」

「フランケンシュタインのモンスターよ・・・これはフィクションじゃないの・・・」

「・・・」

「死を克服する・・・医学の最終目的よ・・・」

美少女天才科学者は目を輝かせる。

とにかく・・・黒田藩の協力により・・・薩長同盟の交渉は進捗していくのだった。

美和は・・・現実離れした展開に眩暈を感じる。

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八重篇

龍馬変

篤姫篇

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2015年8月23日 (日)

妻と飛んだ特攻兵~覚悟しちょりますけん(堀北真希)内助の功で先立ちます(竹富聖花)

毎度おなじみの24時間テレビによる谷間発生である・・・夏も終わりだなあ。

谷間なしの夏ドラマなので・・・かなり零れているわけだが、ここは8月22日、俳優の山本耕史と都内の区役所に婚姻届を提出した堀北真希のコレで祝したい。

「誰かが誰かのものにならないで」という虚しい願いをするお茶の間の皆さんの何万人かは妄想による悶え死にをしていると推察でき、まことにご愁傷様だった。

ドラマの中で堀北真希は夫の純愛に殉じて特攻参戦という「究極の女」を可憐に演じている。

ある意味・・・「乙女として彼女」の遺作だな。

「そばにいたいから」と言われて堀北真希と心中できたら・・・思い残すことはないよね。

「日曜エンターテインメント」で放送された以上、これは娯楽作品なんだな・・・きっと。

で、『妻と飛んだ特攻兵』(テレビ朝日20150816PM9~)原作・豊田正義、脚本・岡本貴也、演出・田崎竜太を見た。実在した「神州不滅特別攻撃隊」の谷藤徹夫少尉と妻の朝子をモデルとしている。つまり・・・本当にあった話である。東京都世田谷区下馬の「世田谷観音」には「特攻観音堂」があり、「神州不滅特別攻撃隊之碑」が現存する。

昭和十八年(1943年)秋・・・。谷藤徹夫少尉をモデルとする山内節夫(成宮寛貴)は青森県出身、特別操縦見習士官として訓練中の久留米で遠縁の娘・房子(堀北真希)を見染める。

かぼちゃを煮るのが得意な娘とかぼちゃが好きな少尉は破局へと向う帝国で恋の花を咲かせるのだった。

昭和十九年(1944年)七月・・・。満州国内の陸軍特攻兵訓練所へ教官として赴任することが決まった谷藤少尉は青森県で房子と入籍する。一週間後には単身、満州へ渡るあわただしさであった。

すでに・・・敗色濃厚な大日本帝国だったが・・・空襲の始った本土よりも・・・満州国は平和だった。

昭和二十年(1945年)夏・・・。山内少尉は妻を満州へ呼び寄せる決意をする。

すでに日本本土への空襲により・・・都市は次々と焦土と化していた。

七月二日にも空襲を受けている下関から関釜連絡船に乗った房子は死線を越えて釜山に着く。

客貨船の崑崙丸は昭和十八年に潜水艦の雷撃で沈没。天山丸も昭和二十年七月に空襲により沈没している。

朝鮮半島を経由して房子が関東軍第5練習飛行隊の所属する満州国大虎山飛行場に到着した時は七月中旬であった。

大虎山の隊長である道場一男(杉本哲太)は妻子持ちであり、山内少尉に妻との同居を奨めたのだ。

若き少年兵たちを訓練し・・・特攻隊員として送りだす・・・。

苦悩する山内少尉を支える房子・・・。

少年兵たちは房子を母や姉のように慕うのだった。

ソ連が日ソ中立条約を順守している間・・・満州国は地獄と化した本土に比べて平和だった。

副隊長の小熊勇(荒川良々)も戦争未亡人である重永キミ子(小西真奈美)に色目を使う始末である。

おい・・・副隊長じゃないぞ・・・いや、どう考えても駅長と副駅長だ・・・んだな。

隊長夫人の道場悦(羽田美智子)も帝国の戦局悪化に伴い空襲時の防空用に女性の着用が義務付けられたもんぺ着用の房子に「もっとおしゃれしなさいよ」と推奨する。

「でも・・・内地の人たちに申し訳なくて・・・」ともんぺを脱がない房子である。

道場夫人は・・・すでに無差別虐殺にみまわれている内地を想像することができないのだった。

それほど・・・平和な満州国内。

商店街のショーウインドウには白いワンピースが飾られている。

「これを君にプレゼントしたい・・・」と夫。

「そんな幸せをもらったら・・・よくないことが起きる気がするたい」と妻。

「まんず・・・心配性だな・・・」

広島に原爆が落ちた日・・・湯浅少尉(堀井新太)と井上ハナ(竹富聖花)の婚約の宴が催され飲み明かす飛行隊だった。

夫のハーモニカ演奏で「蘇州夜曲」をサービスする房子・・・。

しかし、房子は夫の書斎で遺書を発見する。

「送りだした若者たちに・・・俺も続くと約束した」

「あなたに嫁いだ時から覚悟しちょりますけん・・・うちは大丈夫やけんね」

そして・・・運命の八月九日、一方的に日ソ中立条約を破棄してソ連は満州国への侵略作戦を開始する。

大虎山で仲居をする真知子(趣里)の父親・藤田秀雄(國村隼)が居住する国境沿いの開拓地もソ連の戦車部隊に蹂躪されるのだった。

関東軍は八月十五日を反撃の日と伝達するが・・・司令部は早々に撤退を開始する。

軍人の家族たちにも優先的な避難命令が出る。

「民間人を残して逃げるなんてできないべ」

「隊長・・・そんなこと言っているとシベリアに抑留されますよ」

「・・・生まれ変わって三陸で会おう」

戦後、抑留生活を送る道場隊長。九死に一生を得た隊長夫人も脱出に成功するのだった。

「女への暴行は兵士へのご褒美だとスターリンは言った」と激昂する隊員たち。

ソ連兵たちは女子供も強姦した上虐殺するのである。

「どんなにひどい目にあっても・・・私たちは鬼になってはだめ」と道場夫人が暴徒となって妹を殺した中国人を殺そうとする凌辱された姉を諭すのはテレビ朝日だからである。

八月十五日・・・出撃準備を整えた飛行隊は「玉音放送」に脱力するのだった。

しかし、降伏した帝国に対し、進撃をやめないソ連軍。

民間人への略奪と虐殺は続く。

偵察飛行をした加藤隼戦闘隊の生き残りである西村強准尉は・・・ソ連軍による無差別殺戮の光景に絶句する。

八月十九日・・・司令部の命令でソ連軍への練習機引き渡しに向かうことになった山内少尉。

しかし、「ソ連軍の侵攻を停滞させ・・・民間人の脱出を助けるために特攻を決意する」男たち・・・。

特攻には否定的だった湯浅少尉も・・・暴徒に襲われた婚約者のハナが母親の井上文子(高島礼子)と共に服毒自殺したことで翻意する。

「私も特攻に連れてって」

「・・・」

「満州に来て四十日・・・私は充分に幸せでした」

「・・・」

「あなたのそばにいたか・・・」

「新婚旅行にいくか・・・」

「うれしいばい・・・」

「神州不滅特別攻撃隊」の十一機は離陸する。

見送る道場隊長。

「軍規違反のお前たちの名誉は俺が必ず回復する」

「ロシアのことは絶対に信用しないでください」

「・・・」

白いワンピースを着た房子は・・・夫の機体に下部から乗り込んだ。

「もう・・・お前を一人にしない」

「空は・・・静かやねえ・・・」

君がみむねに抱かれて聴くは

皇紀2597年(1937年)に制式採用された

九七式戦闘機の爆音

二人は天を翔けソ連戦車に突入した。

いつか・・・ロシア人が自滅して北方領土が返還されますように。

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遠い約束〜星になったこどもたち〜

スペシャルドラマ・僕たちの戦争

永遠の0

命ある限り戦え、そして生き抜くんだ

NHKスペシャル・東京大空襲583枚の未公開写真

筑紫哲也NEWS23

霧の火~樺太・真岡郵便局に散った9人の乙女たち

梅ちゃん先生

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2015年8月22日 (土)

怪談の探偵(芳根京子)合唱部の合宿で合(吉本実憂)さよなら眼鏡っ子(萩原みのり)ピアノも弾ける霊感少女(柴田杏花)入浴シーンはありません(森川葵)

夢の美少女合唱団・・・ついに始動である。

結成篇が丁寧に描かれているので・・・女の子たちの友情にもコクがあるのだった。

そして・・・夏休み、合宿、怪談である。

この夏一番の青春絵巻なんだな。

「なんどめだ」の裏で思い出きらきらなんだな。

躾けが虐待に変遷し、我儘がゆとりに転化される時代・・・。

夜の闇の恐怖を忘れて行く人々に甘い愛の詩が響く。

「心の瞳」は坂本九の遺作である。

日本航空123便墜落事故から30年なのだった。

で、『表参道高校合唱部!・第6回』(TBSテレビ20150821PM10~)脚本・櫻井剛、演出・池田克彦を見た。死後の世界・・・失われた生命はどこにいってしまうのか。ある人は言う。彷徨っていた魂が家路を捜して憑依したと。結ばれている人間関係の絆。肉体から肉体をリレーして・・・彼は山奥から都会に戻り、懐かしい我が家にたどり着いたと。恐ろしい悪鬼が徘徊する夜の闇は・・・優しく甘い香りを漂わせることもある。心に地獄を育てるのも人間・・・そして地上の楽園を作るのもまた人間なのだ。

天草教頭(デビット伊東)は合唱部に回す予算はないと断言する。

「それでは合宿ができません」と合唱部顧問の鈴木有明先生(城田優)・・・。

「無料の合宿所」を紹介するわ・・・」と大曾根校長(高畑淳子)である。

「夏休み・・・嫌いだ」と意味不明なことをつぶやく主人公・真琴(芳根京子)・・・。

「どうしてよ・・・」と一同。

「だって・・・何していいかわからないもの」

「一日中、合唱してればいいのよ」

「なんだ~・・・そうか~」

もはや・・・人間界の話ではないな。

そう・・・これは妖精たちの話だ。

女王を追放した竹内風香(小島梨里杏)と相原ほのか(長谷川ニイナ)らは理解不能だが・・・教室の扉にとりついた合唱部の妖精たちに招かれて優里亞(吉本実憂)は飛翔するのだった。

合唱部の魔法の王国が下等な人間たちには見えないのである。

合宿決定の報を受けて歓声をあげる妖精たち。

しかし、あまりんである里奈(森川葵)は「恋」がなければおさまらないのである。

合宿の準備のためにおしゃれなショッピングをエンジョイする女子部員たちだった。

合唱部部長の相葉廉太郎(泉澤祐希)に好意を寄せるミコこと佐々木美子(萩原みのり)を大変身させる一同だった。

しかし・・・能天気な主人公に悩みがないわけではない。

のび太な父親の雄司(川平慈英)に対して、出来すぎな野獣の内田勇輝(石丸幹二)が出現し、誘惑に弱い美女の美奈代(堀内敬子)がウキウキしまくっているからである。

伝説の愛の歌が発見できないまま、両親は離婚してしまうかもしれない・・・。

真琴と真弓(松本来夢)の姉妹は心を痛める・・・。

しかし・・・合宿ともなれば・・・そういう瑣末なことはどうでもよくなる真琴だった。

合宿当日・・・変身して眼鏡っ子ではなくなったミコに・・・一同は熱狂するのたった。

「小林涼子さん・・・」

「永作博美さん・・・」

「お、お約束すぎる・・・」

風光明媚な合宿所・・・そこは校長の私邸だった・・・。

しかし・・・謎のピアノ少女・桐星成実(柴田杏花)はついに秘められた能力を示す。

「この家には・・・何かいる」

「え・・・」

「私・・・霊感があるの・・・」

桐星は真琴を開かずの間に導く。

「ここよ・・・ここに・・・男がいるわ」

「ええええええええええええ」

しかし・・・校長は独身だった。

そこへ・・・「あまちゃん」の大吉の母や「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」の老ムラサキにそっくりな謎の老婆(星野晶子)が現れる。

「この家は呪われている・・・幽霊屋敷じゃ」

だが・・・合唱部の妖精たちには歌があるのである。

みんなで歌えばこわいものなどないのだ。

一方、優里亞と里奈の元一軍コンビに唆され、恋する美少女の道を歩くミコ。

恋愛奥義「じっと見つめて、目があったら視線をそらす誘惑の眼差し」を実践したりするのだった。

しかし・・・どうやら朴念仁設定である部長には通用しないのだった。

「だめじゃないのっ」

「おかしいわね・・・雑誌には百パーセント成功って書いてあったのに・・・」

優里亞はなんだかんだ乙女なのだった。

一方・・・歌いまくり・・・走りまくる健全な合宿に・・・。

一人、ヘトヘトになる合唱部副顧問の瀬山えみり先生(神田沙也加)・・・。

ワンポイント・ギャグが冴えわたるのだった。

えみり先生、可愛いよ、えみり先生である。

眠れない夜。

金縛りにあう桐星と・・・淫らな夢で寝笑いする里奈に挟まれた真琴。

仕方なく・・・開かずの間に向かう。

扉は開き・・・不気味な声が響く。

部屋の中にいたのは校長だった。

「これは・・・私の亡き夫の歌声なのよ・・・私たちはよく歌った・・・でも・・・夫は末期がんを発症した・・・私は夫に・・・入院して治療するように頼んだの・・・でも・・・夫は本当は死ぬまで歌っていたかったのかもしれない・・・私は夫から歌を奪ったの・・・だから・・・二度と歌わないことを誓ったの・・・でも・・・夫の残した歌声は聞きたくて・・・何度も再生した・・・そしてテープはのびきって・・・こんな音色に・・・」

「別のメディアにダビングすればよかったですね・・・」

「ああ・・・その手があったわねえ」

校長の歌声を聞きたい。

決意した真琴は・・・ポルターガイスト現象を捏造するのだった。

奇術部かっ。

しかし・・・校長は嘘を見抜く。

「あなたたちの気持ちはうれしいけど・・・これは私が自分に与えた罰なの・・・」

しかし・・・響き渡る亡き夫・敬三(国広富之)の朗々たる歌声。

私がオジさんになっても

何度も求めて欲しい

ディスコにはいかないけれど

二人で歌い踊り明かす

時がながれていくことは

哀しいことではないだろう

どんな歌にも終わりはあるけれど

気分を出してもう一度

愛は永遠なのだから

「死後の世界は必ずある」と叫ぶ桐星だった。

ついに勇気を出して部長に告白するミコ。

しかし・・・「ごめんなさい」で木端微塵になるのだった。

「私・・・調子にのって・・・浮かれてた」

ミコは眼鏡をかけ直すのだった。

「そんなことない・・・当たって砕けたミコは・・・永遠のゼロよりかっこいいよ」

「そのたとえはどうでしょう」

「気持ちを伝えられたら・・・恋は実ったも同じだよ」

優里亞の慰めに・・・乙女一同は激しく同意するのだった。

その頃・・・元野球部の桜庭大輔(堀井新太)は「甲子園百年東海大相模優勝おめでとう・・・僕は里奈が好きみたい」と男子たちに打ち明けて虚しくバットを振るのだった。

一方、生徒たちを暖かく見守るようになった鈴木先生はステキ男子のトッキュウ1号こと夏目快人(志尊淳)の体調不良に気がつく。

「大丈夫か・・・」

「大丈夫です」

「嘘ばかりついていると狼に食べられちゃうぞ・・・」

「・・・」

キャンプファイヤーで・・・校長の思い出の歌を歌う合唱部。

もちろん・・・合唱の力で・・・校長の自縛された心は溶ける。

「そうよね・・・あの人の分まで・・・私が歌うべきなのね」

合唱バカの勝利を祝う虫の声が響く。

お約束の花火・・・。

線香花火でツーショットの真琴と快人。

二人の姿に・・・少し揺れる優里亞だった。

幼馴染と親友の恋・・・もう邪魔することはできない。

この合宿には「ワンピース51」はないのである。

そして・・・時間もない・・・なにしろ・・・世界陸上が来襲するのだ。

しかし・・・ついにその時が来る。

「家に帰るまでが合宿だ」という駅前解散のセレモニー。

快人の心臓は限界に達するのだった。

「グギギ」

「快人」

「快人くん」

路上に倒れた快人に・・・かけよる・・・真琴と優里亞。

彼女のくれた夏が終わって行くのだ・・・。

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2015年8月21日 (金)

誰かが助けてと叫ぶ夜(北川景子)ただいま救援中(川口春奈)野垂死の目撃者(門脇麦)

女子中学生の惨殺事件が関西で発生中である。

現実の警察が事件の真相を明らかにすることを祈るばかりである。

現実の世界の残酷さと・・・フィクションの世界の残酷さは時にリンクする。

しかし、それはあくまで作り手の妄想と受け手の妄想が重複するようなものである。

ハードボイルドの作品では・・・時系列のシャッフルによる釣りが禁じ手であることは前にも述べたが・・・なにしろ・・・しらけるのである。

「前代未聞のラストシーン」などと惹くのも醜悪だ。

まあ・・・視聴率に基づくビジネスなので・・・なりふりかまわない姿勢は仕方ないが・・・あまりにウエットで・・・ハードボイルドに似会わないのである。

いや・・・物凄いシーンを見せてくれれば問題ないのですが・・・絶対、そんな演出力ないんだから・・・ねえ。

で、『探偵探偵・第7回』(フジテレビ20150820PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・森脇智延を見た。半グレ集団(暴力団指定されていない暴力組織)の一つ「野放図」に拉致された紗崎玲奈(北川景子)が着衣のまま覚醒するのはお茶の間に配慮すると同時に主演女優のポリシーの問題であってリアリティーとは無縁である。逃亡を阻止し、武装解除するためにも実際は全裸で捕縛されていると妄想補完しなければならない。剥き出しにされた局部に縄が食い込み、玲奈は屈辱とともに死地に落ちたことを悟る。

拉致現場から程近い「野放図」の接客用施設には・・・升瀬淳史(中野裕太)や沼園賢治(姜暢雄)が集合していた。

男たちは美貌の虜囚の艶めかしい姿に心を奪われている。

「一体、この女、なんなんだ」

「しばらく・・・お待ちください」

野放図のメンバーである宇佐美秋子(今村美乃)が客たちを宥める。

野放図のリーダーである淀野瑛斗(丸山智巳)は玲奈を見下ろす。

「お前・・・誰だ」

「・・・」

「紗崎玲奈という探偵なんだろう・・・」

「・・・」

「何しに来たんだ」

「死神という探偵に用がある」

「死神・・・か」

「どうせ・・・殺すなら・・・教えてくれ・・・死神のことを・・・」

「さあな・・・」

玲奈は淀野が秋子に目配せするのを見た。

死神につながる細い糸があることを感じる玲奈。

「皆さん・・・闖入者のおかけで少し・・・時間をロスしましたが・・・まもなく出発しますのでご安心を・・・」

「ペナルティーを要求する」と客たちが騒ぐ。

「ペナルティー?」

「予定変更の違約金・・・と言いたいところだが・・・その女でいい」

「なるほど・・・処分の前にご賞味なさりたいと・・・他にご希望のある方は」

二人が手をあげる。

「それでは・・・別室をご用意します・・・ただし・・・三十分程度でお願いします」

全裸で拘束されたまま・・・担ぎあげられた玲奈は個室に移される。

男たちは下腹部を剥きだしてそそりたつものを身動きできない玲奈の露出された局部に押し付ける。

身悶える玲奈。

そこへ・・・鉄パイプを構えた窪塚悠馬(三浦貴大)が現れた。

剣道の有段者である窪塚は三人の男たちを悶絶させる。

「・・・」

男たちの一人の上位とスボンを脱がせた窪塚は玲奈とともに抱えあげる。

侵入経路を逆にたどり脱出した窪塚は玲奈を愛車に詰め込んだ。

カッターナイフで手の縛めを切断する。

「後は・・・自分でやれ・・・とにかく撤退する」

「・・・」

「とにかく・・・上着を着て大人しくしていろ・・・出血があるが・・・大丈夫か」

「どうして・・・あなたが・・・」

「お前の助手に頼まれた・・・お前の位置は助手が追跡していた」

「琴葉・・・いつの間に・・・これから・・・どうする気」

「ここは・・・俺の実家が近い・・・ひとまず・・・そこに避難する」

「・・・」

「それとも・・・あそこに・・・拉致された女たちがいたのか」

「いない」

「男たちだけでは・・・どうすることもできない・・・それとも・・・お前は暴行傷害でやつらを訴えるか」

「・・・」

傷だらけの玲奈は・・・窪塚の母(岡まゆみ)にもてなされる。

ただならぬ気配に起き出した窪塚の幼い娘(藤田彩華)は亡き母の服に着替えた玲奈を「新しいお母さん」と決めてかかる。

刑事の家庭の地道な日常生活に・・・修羅場の毒気を抜かれる玲奈だった。

「今度・・・父兄参観日に来て」

「・・・わかった」

こんな危険な女に来られてたまるかと思う窪塚だった。

「どうする・・・」

「問題は消えた女たちの居場所ね」

「相手は野放図だ・・・資金力もあるし・・・アジトを特定するのは難しい」

「淀野瑛斗とはどんな奴」

「大学生時代に覚醒剤などのドラッグを使った乱交パーティーを主催したのを手はじめにスーパーでフリーな闇のビジネスを手掛ける弁護士だ」

「手掛かりはDVシェルターにあると思う」

「なぜだ・・・」

「内部に協力者がいたと野放図のメンバーが口にしていた」

「協力者・・・都の職員だぞ・・・」

「国会議員だって犯罪をおかす」

「・・・」

「ところで・・・刑事がこんなことしてていいの」

「緊急避難だ・・・人命優先で行動する・・・刑事失格だがな」

二人はDVシェルターを訪問する。

元おはガールの職員・穂津芽衣(安藤聖)に対する事情聴取で野放図のトリックを見破る玲奈。

「お粥を高熱で蒸発させ・・・失われた水分を昏睡させた人間の体重で補完したのよ」

「侵入者を許さないハイテクを逆利用したのだな」

配送トラックの運転手である宇佐美秋子の父(千葉哲也)と挙動不審の職員・笹倉志帆(橋本真実)がグルであることを看破した玲奈は「欠勤通知」のメールに添付された位置から・・・笹倉の現在地を特定する。

「池袋から車で三時間の山奥だ・・・符合するな」

「野放図はフリーメールのアカウント共有を連絡手段にしている。送信履歴を残さないトリックだけれど・・・下書きはチェックできる・・・おそらく・・・笹倉が野放図のマリコなのよ」

「イベント開催は・・・日の出後か・・・」

「急ぎましょう」

刑事と女探偵は戦場へ向かう。

「戦力不足ね」

「高速で速度違反をして・・・パトカーに追跡してもらう」

「免職になるわよ」

「・・・見て見ぬフリして・・・生きるのには・・・飽きた」

「・・・」

暴走する刑事の車をパトカーと警察ヘリが追跡するのだった。

人里離れた山奥のイベント会場。

「皆さん・・・お待たせしました・・・野放図がお届けする愛しい人との再会の宴の開幕です」

整列したDV加害者たち。

そこに呪縛された芦原遥香(西原亜希)や沼園凛(門脇麦)などのDV被害者が連れ出される。

男たちは歓声を上げる。

「遥香・・・お前を捜すのに・・・大金を使ったよ・・・」

「わ・・・私のお金じゃない」

「生意気な口を聞くんじゃないよ」

男たちは自分の女たちに暴力をふるい始める。

「皆さん・・・どうぞ・・・ご自由に再会の喜びをわかちあってください・・・ここは野放図の私有地ですので・・・スーパーにフリーにエンジョイできます・・・よきところで・・・指定の場所まで送迎いたします・・・なお・・・ここでお相手が死亡した場合の処理費は別料金となりますのでご注意ください」

そこへ乗り入れる刑事と探偵。

刑事は野放図の男たちを車で追いたてるが運転を誤り転倒してしまう。

車から脱出した二人は乱闘モードに突入するのだった。

「応援はどうしたのよ」

「警察ヘリが下の状況を知らせれば・・・誰かが駆けつけるだろう」

「それまで持つかしらね」

玲奈は秘密兵器ガソリンライターで火炎放射などで野放図を駆逐する。

多勢に無勢だが・・・混乱した男たちは窪塚の鉄パイプの餌食になるのだった。

玲奈はついに・・・宇佐美秋子を追い詰める。

「死神の名前を言いなさい・・・じゃないと殺すわよ」

「こ・・・殺さないで・・・さ・・・さわやなぎ・・・なな・・・」

「・・・」

その時、沼園凛を庇った窪塚は淀野のナイフに貫かれていた。

「危ない」

「グギギ」

玲奈は駆け寄るが・・・間に合わなかった。

淀野は玲奈のタックルを受け・・・転倒して自傷する。

「グギギ」

「窪塚刑事・・・」

「あはは・・・やはり・・・慣れないことはするもんじゃないな」

「死なないで」

「グギ・・・」

「・・・」

高まるサイレンの音。

茫然とする男と女たち・・・。

まあ・・・アクション監督がいないアクションは・・・アクションのようなものに過ぎないという見本がここに・・・。

峰森琴葉(川口春奈)は玲奈の無事を祈る。

しかし・・・窪塚刑事はその祈りの対象から漏れていたようだ。

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2015年8月20日 (木)

傷つけたかったのは誰の心(堤真一)個人的事情の犯罪(戸田恵梨香)女の敵は女(中山忍)

暗いサラリーマンの日常である。

クスリの話なのにクスリとも笑わない男と女たち。

ギスギスした職場環境ではハラスメント(嫌がらせ)が日常化し、もはや嫌味さえ感じられない。

緊張に耐えられない人間は笑いが欲しくて機密漏洩してしまいそうだ。

皮肉な結末にはそこそこのユーモアが潜んでいるのだが・・・全体のトーンがそれを押しつぶす。

最初からすべてを見抜いている主人公は・・・あのミステリを彷彿とさせる。

ヒロインはまさに「相棒」である。

冷徹な主人公に対し、少し、熱血で・・・感傷的で・・・甘さの残るキャラクター設定。

ヒロインのお相手に・・・裏の顔がある・・・となるとますます・・・そういう感じである。

そうなるとサブキャラクターたちがもう少し、エキセントリックでもよかった気がする。

まあ・・・「カメヤマ~」とか「ヒマか」とか「お前は」とか「お調べの件ですが」とか・・・名物を生むにはそれなりに時間が必要なわけですが・・・仕掛けてみないことにはね。

で、『リスクの神様・第6回』(フジテレビ20150819PM10~)脚本・橋本裕志、演出・菊川誠を見た。長期的プロジェクトはひとつのリスクである。「成果」を得るために「投資した時間と金」が必ずしも回収されるとは限らないからだ。画期的な「製品」が生み出される裏には「失敗と挫折」が死屍累々と横たわる。結局、人間はギャンブルに溺れる。「仕事」なのか「遊び」なのかは気分の問題なのである。

サンライズ物産と新陽薬品が共同開発中の「花粉症治療新薬」が完成し、サンライズ物産薬品部主任の原田(満島真之介)は新陽薬品の新薬開発プロジェクトリーダーの望月貴子(中山忍)は喜びを分かち合う。

しかし、新薬の特許出願は受理されなかった。

ライバル会社のヒューマン製薬が同じ製法ですでに特許を出願していたのである。

恋人の神狩かおり(戸田恵梨香)を頼って危機対策室に駆け込む原田だった。

サンライズ物産危機対策室長・西行寺智(堤真一)は「機密情報漏洩」と断定し、新陽薬品の進藤社長(中丸新将)に内部調査の開始を進言するのだった。

「調査の協力者として望月くんを推薦する・・・女だと甘くみてはいかんよ・・・彼女は優秀な研究員だ」

匂い立つ・・・時代を超越した・・・進藤社長の男尊女卑思考。

プロジェクト総責任者・大鷹取締役(筒井真理子)は唯一の女性役員だったが・・・調査は大鷹にも秘密裏に行われることになる。

大鷹も容疑者の一人なのだ。

非常事態を知らぬまま・・・望月に声をかける大鷹・・・。

「御苦労様・・・この間の日経ビジネスのインタビュー記事・・・よかったけど・・・少し、女を売りにしすぎたわね」

「女を売りにしない」のが大鷹の口癖であり、男女同権主義者にありがちな女性蔑視が匂い立つのだった。

男性社長からは「女であること」を馬鹿にされ、女性役員からは「女であること」を否定される・・・迫害される望月の立場に・・・一部お茶の間は「犯人」が誰か・・・わかってしまう仕組みである。

なにしろ・・・演じているのが白石美帆(37)でも中山美穂(45)でもない中山忍(42)なのである。

・・・おいっ。

いやあ・・・いつまでも若いなあ・・・。

区別がつかないくせに・・・。

地味なドラマがそれだけで潤うよね。

・・・もう、いいか。

さっそく・・・出動する危機対策室のメンバーたち。

西行寺とかおりは・・・プロジェクトルームの入室用ナンバーキーや製剤機密へアクセスするためのパスワードが定期的に変更されていなかったことを指摘し・・・危機管理の甘さを追及する。

進藤社長や役員の大鷹に対するのと同様、西行にも低姿勢の望月だった。

一方・・・副室長の財部(志賀廣太郎)も清掃員に変装し、現場へ。

盗聴器を探索する元産業スパイの結城(森田剛)をバックアップする。

清掃員を見たら調査員と思えである。

役員室から盗聴器が発見され・・・少なくとも新陽薬品にはスパイが侵入していることが確認される。

「狙われていたな・・・」

「まあ・・・狙われていないものなんてない・・・というのが前提だけどな」

容疑者は木村室長(野間口徹)をはじめとする研究員たち・・・そして、望月や原田に絞られる。

「原田もですか」

「新薬開発情報に接する機会は彼にもあったからな」

西行寺と財部は「情報漏洩の経緯」をアクセス履歴から検証し、かおりと結城は人間関係の調査を担当する。

聞き込みの中でかおりは望月が引退後はサンフランシスコに永住したいと考えていることや「恋人の原田」が望月に「かおりへ寄せる愛情」について話していることを知る。

「新薬開発への情熱」を感じ、かおりは無意識に望月を容疑者リストから外すのであった。

やがて・・・大鷹がヒューマン製薬の社長と個人的な交際をしていることや・・・ヒューマン製薬で開発に携わった関東医科大学の石森教授と木村室長が学会で顔を合わせていることなど・・・不審な点が隠密探偵の種子島(古田新太)によってもたらされる。

また・・・特許出願の遅れがデータの改竄によってコントロールされていたことが判明する。

そして・・・情報への不正アクセス日時が特定され・・・木村室長にはアリバイがないことが疑われる。

大鷹に対する不透明な金の流れが投書によって告発され・・・危機感を持った進藤社長は証拠不十分のまま・・・情報漏洩について記者会見をしてしまうのだった。

殺到するマス・メディアによって・・・新陽薬品の男尊女卑の体質、大鷹のモラルハラスメントぶり、社長と大鷹の対立など・・・あることないことで・・・新陽薬品の社会的信用は低下しまくるのだった。

「なぜ・・・中途半端なことを・・・」

「ヒューマンが新薬開発の発表をしたのだ・・・このままでは・・・我が社の敗北は濃厚だ・・・闘志した四百億が・・・水の泡だ・・・」

「あなたの・・・失態は責任追及の対象になりますよ・・・」

かおりは・・・西行寺に疑問をぶつける。

「進藤社長に・・・大鷹さんへの疑惑を進言したのは・・・望月さんです・・・でも・・・それは西行寺さんが・・・望月さんにそのことを伝えたからではないですか」

「結果として・・・進藤社長も・・・大鷹も苦しい立場になった」

「・・・」

「情報流出の日・・・望月にもアリバイはない」

「望月さんをはめたんですか・・・」

「彼女に連絡してみたまえ・・・」

「・・・」

望月は辞表を提出し・・・所在不明になっていた。

「彼女はどうする気だと思う」と問う西行寺。

「国外逃亡ですか・・・」と答えるかおり。

「だな」

空港で望月を確保する西行寺とかおり。

「なぜ・・・あなたが・・・」

「会社は・・・女性社員を・・・不当に扱ってきた・・・そんな時、大鷹さんが役員になって・・・私に希望の光が灯ったの・・・でも・・・彼女にとって私は出世の道具に過ぎなかったの」

「復讐ですか・・・」とかおり。

「あなたのしたことは単なる犯罪ですよ」と西行寺。

「男のあなたには私の気持ちはわからない」

「女の私にもわかりません・・・望月さん・・・あなたの望みは何ですか・・・出世ですか・・・待遇改善ですか・・・新薬を開発することじゃなかったんですか」

「・・・」

「あなたと一緒に心血を注いだ研究員たちのことを・・・考えてみてください」

長い悪夢から目覚める望月・・・。

「あなたの研究を取り戻すためには・・・自首するしかありません」

望月は観念するのだった。

望月は匿名で石森教授に相談をもちかけ・・・研究データを送っていたのだった。

二人の不適切な関係が証明され・・・ヒューマンは特許申請を取り下げたのだった。

「金銭的解決か・・・」と種子島。

「すべては痛み分けですよ・・・向こうの研究費の穴埋めをして・・・数千億円の利益を確保する。確実な投資と言えます」

「進藤社長と大鷹は解任され・・・人事権はサンライズが握る・・・まるで新陽薬品がはめられたみたいだな」

「また・・・裏切られてしまいました」とかおり。

「いや・・・望月を説得したのは君だ・・・真心は時には必殺兵器だからな・・・ジェットモグラのように人の心を穿つのだ」

「・・・」

原田から御礼の食事に誘われたかおりは心が和むのを感じる。

「君には感謝している」

「こちらこそ・・・私を頼ってくれて・・・ありがとう」

しかし・・・種子島は西行寺に報告していた。

「周辺調査を進める課程で・・・不審なダミー会社を発見した」

「サンライズからの月額五千万円の・・・使途不明金か・・・」

「担当は原田だ」

「・・・」

「奴には注意が必要だ」

浜辺に佇む父と子・・・。

「お父さん・・・あなたに再会してから・・・私の心は落ち着きません・・・あなたが一番大切にしていたのが・・・私たち家族ではなかったことについて・・・心が疼くのです・・・自分がこんなに感傷的な男だったとは・・・意外ですよ・・・私はただ・・・あなたに愛されていたのかどうか・・・それだけが知りたいのかもしれません」

西行寺の父・孝雄(田中泯)は黙って海を見つめていた。

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2015年8月19日 (水)

杜撰な計画通り(窪田正孝)妄想では何人殺しても罪に問われない世界が続きますように(山崎賢人)NはニヤニヤのN(優希美青)

ペンは剣よりも強しの先には凶器としての著作物がある。

銃刀法と禁書は隣り合わせの存在なのである。

計画と実戦という作業の方法そのものが罪に問われるという話である。

反社会勢力の資金源を根絶するとか、弱者の人権を守るとか・・・適当な理由で・・・思想の自由が収奪される危険は常にあるわけである。

どこかの馬鹿が生殖器がわいせつであると言い出せば性器所持の罪にだって問われる可能性があるわけである。

大衆の求める正義が・・・一部の独善的な知識階級に支配されれば恐怖はすぐそこにあるのだ。

「デス・ノート」は他愛のない妄想に過ぎない。

そういう妄想が危険視されれば・・・人類そのものを粛清することが肯定されることになる。

テロリストが違法なのは・・・人間が他人の苦悶に基本的に無関心だからである。

で、『・第7回』(日本テレビ201508162230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・岩﨑麻利江を見た。キラが超法規的に犯罪者を殺すのでLもまた超法規的にキラを逮捕しようと試みる。容疑者の人権を基本的に無視して盗撮・盗聴・拉致・監禁・拷問などを遂行しているので・・・暗殺直前である。そもそも、魔法による殺人が法で裁かれる可能性は低く、キラを封じるためには法外の処置をせざるをえない可能性は高い。そういう意味で・・・キラとLは似たもの同志なのである。神と悪魔の戦争が異教徒にとって意味不明なように・・・多くのお茶の間の人々にとって・・・デスノートをめぐるゲームは不毛そのものなのかもしれない。しかし・・・そういう人知が及ばぬものには恐怖があり・・・基本的には恐怖は人間を魅了するものだ。

赤(共産主義)も黒(無政府主義)も妄想としてのエンターティメントに過ぎないのである。

国民的アイドルトと地下アイドルのイメージの狭間を生きるミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)の衣装はそのシンボルなのだ・・・そうなのかよっ。

「結局、死神って・・・天使なのか」

「いや・・・こいつらは単純に・・・死神族という妖怪だよ・・・地獄や天国とは無関係の・・・精神寄生種族だ・・・悪魔でないなら・・・天使でもないさ」

「ご教授ありがとう・・・コンスタンティン」

「喫煙は長期的な自殺だから・・・天国にはいけないんだぜ」

「残念だけど・・・天国よりこの世の楽園が好きなんだ」

「アジアの文化はファンタスティックだよなあ」

ミサミサは夢から目覚める。

愛するライトこと夜神月(窪田正孝)が目の前にいる。

ライトこそ・・・ミサミサの神である。

「ありがとう・・・ライト。助けに来てくれると思っていた」

ミサミサに抱きつかれ、たじろぐライト。

憧れのアイドルに神と呼ばれる自分に戸惑う。

その様子に違和感を感じるエルだった。

「素朴な疑問だが・・・君たちはどうやって知り合ったんだ」

「ライトが私のライブに来てくれたのよ」

「観客の一人に一目惚れか・・・」

「愛することに理由を求めるなんて・・・馬鹿みたい」

「君に馬鹿と呼ばれるとは・・・」

「ライト・・・この人、どSなのよ」

「こいつは・・・エスじゃなくて・・・エルなんだ・・・しかも・・・女子よりも男子が好きなタイプらしい」

「ええっ・・・十三人に一人いるという・・・」

「やめんか」

「とにかく・・・僕は自分がキラでないことを証明するために・・・キラの逮捕に協力するよ」

「え・・・キラを逮捕するの・・・」

「いやかい・・・」

「だって・・・キラは私のもう一人の神様なのに・・・」

「人殺しの味方をするのかい」

「あら・・・警察だって人殺しの味方じゃない・・・殺人犯を死刑にしないんだから」

「まあ・・・死んだ被害者よりも・・・生きている加害者の方が基本的人権を保持しているからね」

「あなたに・・・基本的人権のことを言われたくないわ」

「そりゃ・・・そうだ」

エルの後継者候補であるニアことN/メロ(優希美青)の活躍により・・・すでに内偵の進んでいる第三のキラと目される日本を代表する企業・ヨツバジャパングループの幹部たち・・・。

「彼らは定例会議と称して・・・暗殺対象を合議制で決定しているらしい」

「ダミーとして犯罪者を殺してもいるが・・・目的は・・・競争者の排除だ。出世のために上層部も殺すし、ライバル企業の経営者も殺す。大手のサンライズなんて危機対策室が全員暗殺されているし、不正を暴こうとした東京第一銀行の女性行員も殺されている」

「永遠に黙らされちゃったのね」

「そこまで・・・わかっているなら・・・逮捕すれば」

「証拠はない」

「・・・」

「そこで・・・潜入捜査をすることにしました」

「潜入調査?」

ヨツバのイメージ・モデルとして・・・ミサミサを売り込むという杜撰な計画である。

「私の協力前提なの・・・」

「ハリウッドの売り込みに失敗して・・・帰国することになったと発表した」

「私のアイドルとしてのイメージ戦略ぶちこわしじゃない」

マネージャーとしてちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)は松井太郎の偽名のまま参加。

付き人としてライトも参加することになるのだった。

「彼は・・・民間人じゃないですか」と仏の模木完造(佐藤二朗)・・・。

「市民の協力は犯罪の抑止に必要なことです」

「また・・・勝手なことを・・・」とワタリ(半海一晃)・・・。

「今回、ほとんど出番ありません」と偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)・・・。

「俺もだよ・・・」と日本におけるキラ事件の捜査官のリーダーである夜神総一郎(松重豊)・・・。

ヨツバジャパングループに潜入したライトはトイレで清掃員に潜入し、幹部たちの定例会議が行われる会議室に盗撮カメラを仕掛けるのだった。

「これさ・・・ワタリさんに命ずればたちまち終了する作業じゃないの」

「主役としての見せ場作りに文句言われてもな」

「私なんて・・・股間にカメラを仕掛けた風に見えるわよ」

なぜか・・・ヨツバグループは謎の探偵バベルことBにミサミサの尋問を担当させる。

「あなたは・・・第二のキラとして逮捕されましたね」

「違うわよ・・・どSなエルって人に監禁されてたの・・・私のストーカーらしいの・・・」

「・・・」

幹部の一人・・・火口卿介(柏原収史)はミサミサのムチムチなボディに脳殺され、個人的に接触する。

「枕営業はありですか」

「事務所を通して下さい」

「私の本当の姿を知れば・・・あなたは私の虜になりますよ」

「私・・・ライトの虜なので」

「ライト・・・」

デスノートにライトの名を書き込む火口しかし・・・実効はない。

「くそ・・・・愛称かよっ」

実はバベルの正体はニアだった。

ニアは・・・幹部の一人、奈南川零司(越村友一)と取引して第三のキラに罠を仕掛ける。

エルはニアとジグゾーパズルに興じる。

「どうして・・・奈南川がキラではないと・・・」

「キラは八人のうちの一人・・・1/8なら・・・勝率は高い」

「当たりじゃなくて・・・よかったよ」

「当たりだったとしても・・・私・・・平気だし」

「・・・最後のピースは君のためにとっておこう」

「あらあら・・・敗北宣言なの」

「相手は・・・魔法を使うとしか思えない・・・ライトやミサミサの精神を完全にコントロールできたとしたら・・・私や君も・・・のっとられるかもしれない」

「もしかして・・・もう・・・のっとられているのかも」

「君が時々・・・メロになるようにか」

「ああ・・・そうだよ・・・」

松田捜査官は・・・大手テレビ局の生放送の特別番組「キラスペシャル」に出演し・・・キラの正体を暴露すると宣言する。

罠を仕掛けられ完全に監視されている幹部たち。

第三のキラは・・・火口だった。

偽名の松田を殺せない火口は芸能事務所に潜入し・・・松田の本名を捜す。

「松井じゃなくて・・・松原かよ」

しかし・・・それも偽名だった。

デスノートに書きこんで独り言をつぶやく火口は監視されていることに気付かない。

「死神・・・取引だ」

火口は・・・死神のレム(恒松あゆみ)に「死神の目」を与えられる。

「死神・・・なんのことだ」

「探偵の探偵が追いかけている悪徳探偵では・・・」

「いや・・・キラが超能力者だとすると・・・死神が実在するのかもしれない」

「そんな馬鹿な」と呟く・・・元・死神くんの上司の夜神総一郎・・・。

火口はテレビ局に向かう途中・・・白バイ警官を葬る。

「白バイ警官は・・・取り締まる時に身分を提示しますか」とエルは日本の慣習を久しぶりの日村章子(関めぐみ)に問う。

「セリフがあることに感謝します・・・ケース・バイ・ケースですね」

「つまり・・・火口は・・・顔だけで殺せるキラに変化した可能性があるということです」

「覆面部隊を投入します」

「そうしてください」

スタジオに侵入し・・・告発者の顔を見ようとした火口は催涙弾を打ちこまれ・・・失明する。

「うわあ・・・何にも見えない」

「確保」

エルは火口の所持品の中からデスノートを発見する。

「これか・・・」

デスノートに触れてレムの姿を見たエルは腰を抜かす。

「どうした・・・」

エルを助け・・・デスノートに触れるライト。

すべての記憶が蘇ったライトはキラとしての自覚を取り戻す。

(俺がキラだ・・・キラはデスノートの所有を放棄した・・・しかし・・・現在のデスノート所有者を殺せば・・・デスノートは再び俺のものになるルールなのだ・・・ルールはご都合主義で適当に改編されるのがデスノートのお約束だからだ・・・)

ライトはあらかじめ・・・時計の裏に針とデスノートの紙片を隠していた。

こっそりと血文字で・・・火口の名前を書くライト。

「とにかく・・・事情聴取だ」

我を取り戻したエルは火口の元へ急ぐ。

しかし・・・火口はすでに心臓麻痺で死亡している。

ふりかえるエル。

目に映る蹲るライトの後ろ姿。

(君がキラでないことを信じたかった・・・しかし・・・君は今・・・何をしたのだ・・・ライト)

悪魔が支配する夜の闇が二人を包む。

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2015年8月18日 (火)

千葉の館山か・・・(福士蒼汰)小田舎かいっ!(本田翼)夕闇海岸での間接キスから二人花火で告白して始発バスを待ちながら肩枕修正後の直接キスかよ!(野村周平)

・・・おいっ。

あまりにロマンチックな展開に耐えられませんでした。

お約束過ぎるよな・・・。

ベタの上にもベタです。

一部お茶の間の皆さんには逆に新鮮なんじゃないのか。

これが・・・月9・・・。

変わらないもの・・・変わってはいけないものってあるよね。

汚れた大人たちが・・・こねくりまわすからダメになるんだよな。

王道でいいじゃないか。

王道でいいじゃないか。

王道でいいじゃないか。

で、『・第5回』(フジテレビ20150817PM9~)脚本・桑村さや香、演出・金井紘を見た。これが小田舎じゃなくて・・・恋仲というものらしい。絶対、睡眠不足だよな・・・翌日、仕事大丈夫か・・・とか・・・けして問わないでください。国際化した地球で・・・地の果ての人と結ばれるのが珍しくないとは言うものの・・・幼馴染以上の運命の出会いがあるだろうか。しかし・・・それは・・・必ずしも・・・良縁にはならない。あの日・・・ダメ親父には定評がある小林薫が演じる芹沢寛利が借金に追われて夜逃げすることがなければ・・・お前かっ。あの日・・・クズ男には定評がある野村周平が演じる蒼井翔太が「ONE PIECE51」と「ラブレター」を盗まなければ・・・お前もかっ。ルンルンだったかもしれない二人の遅すぎた告白の巻・・・。ああ・・・夏が終わって行きます。夏枯れも終わります。

芹沢あかり(本田翼)の同居人・高梨恵里香(馬場園梓)から「あかりがいなくなっちゃった」と聞かされた三浦葵(福士蒼汰)は職場から翔太の家に直行するのだった。

「どういうことだよ」

「終わったんだよ」

「何・・・言ってんだ」

(全部・・・お前が悪いんだ)という言葉を飲み込む翔太。

「お父さんに金を渡して追い払ったって」

「そうだよ」

「あかりが・・・どんなにお父さんに会いたがっていたか・・・知ってるだろう」

「あんなやつ・・・いない方がいい」

「おまえ・・・最低だ」

部屋を飛び出す葵である。

幼馴染の二人は捨てゼリフもシンクロするのだった。

葵の同居人である妹の七海(大原櫻子)と居候の公平(太賀)は消息不明のあかりを案じる。

「なんで・・・二人に破局が・・・」

「お父さんのことで・・・ちょっと行き違いがあったみたいだ」

葵は「あかりと翔太の間」に深入りすることを避ける。

葵にとって遠い初恋の人は気がかりだが・・・現実の問題ではないのだ。

丹羽万里子(吉田羊)の設計事務所では富永美玲(山本美月)が設計コンクールのライバルとして一歩も二歩もリードしている。

「やりたいことをやるのが一番」と万里子は葵を刺激する。

出遅れた美玲に片思いをしているらしい小谷照吉(前野朋哉)は事務所で留守番中にあかりに訪問され・・・新しい恋心を覚える。

恋仲のカップル成立確率。

小谷照吉&富永美玲・・・0%

小谷照吉&芹沢あかり・・・0%

しかし・・・美玲とあかりのどちらが自分にふさわしいか悩む照吉だった。

ちなみにこのドラマは・・・。

芹沢あかり&三浦葵・・・50%

芹沢あかり&蒼井翔太・・・50%

・・・というのが基本出力である。

冴木瑠衣子&三浦葵・・・50%

・・・という状況の年上の元彼女・冴木瑠衣子(市川由衣)は・・・芹沢あかりが「父親」の住所を入手したことを知ったために・・・恋愛成就のための試練のカードを入手してしまう。

あかりの父親はバス・ターミナルから「館山行き」のバスに乗ったのだ。

「また・・・バスですか・・・JR東日本・内房線のことなんか・・・どうでもいいのですね」

「鉄子の育て方」(2014年・名古屋テレビ)の登場人物・二郷あずさ(小林涼子)は嘆くのだった。

「TOKYOMXで絶賛再放送中です・・・プシューッ・・・ウイ~ン」

あかりもバスに乗って「館山」に向かうのだ。東京湾アクアライン経由である。

瑠衣子は建築コンクールのためのヒントになればと葵を美術館デートに誘っていた。

しかし・・・あかりのことが心配で・・・心ここにない葵である。

帰宅した二人は・・・。

七海&公平(50%)と合流する。

葵・七海・公平はあかりとは富山県人会の絆が高い。

あかりの身を案じる流れに・・・「あかりの近況」を知らせる瑠衣子。

あかりが翔太の恋人であることに拘る葵は・・・。

「あかりは館山にいる・・・迎えにいけ」と翔太に命じるが・・・。

「論文で忙しいから・・・無理だ」と拒否をする翔太。

病院で翔太は・・・あかりの代わりに山城心音(大友花恋)の家庭教師を務めるのだった。

「芹沢はどうしたの」

「ちょっと・・・心が風邪をひいているんだ」

「・・・ああ」

翔太は・・・ここで・・・恋泥棒だけど・・・悪気がないことを示す。

(あかりの父親には・・・家族がいる)

葵は・・・翔太の真意の一部をメールによって受け取るのだった。

揺れる葵の心・・・。

(あかりはきっと・・・傷ついてしまう)

川面のアパートの屋上で・・・苦渋の選択をする瑠衣子。

「私たち・・・やり直すことできるかな」

「・・・」

「嘘よ・・・私・・・また他に好きな人ができちゃった・・・」

「嘘だろう」

「好きな人が我慢しているのを見るのはつらいのよ・・・いきなさい」

「え」

瑠衣子はあかりの父親の現住所を控えていたのだった。

こうなることをずっと・・・予感していたのだった。

どこまでも走って行く葵を見送る瑠衣子。

「あなたの・・・お兄さんって・・・ちょっといいわよね」

「・・・」

七海はそっと頷くのだった。

葵もバスに乗って「館山」に向かうのだった。

公平は・・・あかりを葵にまかせ・・・翔太を呼び出す。

「幼くして母親を亡くしたあかりにとって・・・父親は特別な存在なんだよ」

「・・・」

「あかりが・・・ショックを受けたら・・・慰めてやればよかったんだ」

「・・・」

「きっと・・・やりなおせるよ・・・」

「それは・・・」

無理だという言葉は空に溶けて行く。

あかりは・・・ショックを受けていた。

父親は仙台で知り合った女(相築あきこ)と同棲していた。

「すまない・・・」

「・・・」

幼い宮田怜奈(新井美羽)に小遣いを渡して席を外させる父親。

「あの人の連れ子なんだ・・・女手ひとつで子供を育てるのは大変だから・・・」

「・・・」

「入籍しようと思っている・・・それで・・・いろいろと金が」

「死んだかもと思って・・・すごい心配だったよ」

「すまない」

「あやまるくらいなら・・・捨てたりしないでよ」

「・・・」

「お金は・・・私から返しておくわ・・・」

「あの医者と・・・結婚するのか」

「・・・うん」

「幸せになれよ」

「・・・」

家の外で・・・あかりは玲奈と対峙する。

玲奈は・・・あかりとおそろいの船のキーホルダーを持っていた。

玲奈はラムネをくれた。

「お姉ちゃんの分」

「美味しい・・・お父さんが好き?」

玲奈は笑顔で答えた。

いたたまれず玲奈は・・・父親の新しい家族に背を向ける。

一人ぼっちのあかり・・・。

そこに葵がやってくる。

「葵・・・」

館山の海にやってくる二人。

「お父さん・・・海の側に住んでた」

「我慢するなよ」

「え」

「叫んじゃえ・・・片道2500円って結構痛いって」

「だよね・・・往復で5000円だもんね」

「おじさんの馬鹿野郎」

「お父さんのバカ野郎」

「暑いぞ」

「暑いよ」

「あかりをみつけられて良かったよ」

「どうして・・・来てくれたの」

「あの時は・・・何もできなかったから・・・」

「・・・お父さんが女の人と暮らしてるって知ってたの」

「翔太から・・・聞いた・・・翔太も・・・あかりを傷つけたくなくて・・・」

「・・・」

それだけではないとは言えないあかりだった。

海を見つめる二人。

「つきあわなくてもいいのよ」

「気が向いたら帰るよ」

しかし・・・いつまでも帰らない葵だった。

二人はコンビニのチーズ・バーガーとドリンクであの頃に戻って行く。

葵は花火セットも買ってきたのだった。

「お約束だもんね」

「お約束だね」

線香花火が・・・時間を遡上する。

「俺・・・あかりが好きだった・・・あかりは俺の初恋だった」

「え」

「・・・びっくりするなよ・・・さすがに気がついてるだろう」

「言われなきゃわかんないよ・・・どうして・・・言わなかったの」

「ふられたら・・・友達でもなくなっちゃうだろう・・・好きじゃなくちゃ・・・花火大会に誘わない」

「私・・・本当は手紙に・・・葵が好きだったって書いたんだ」

「え」

「葵が初恋だった・・・普通・・・気がつくでしょう」

「言われなきゃわかんないよ・・・」

「好きじゃなきゃ・・・キスなんてしない・・・」

「・・・」

「でも・・・手紙じゃなくて・・・ちゃんと会って言えばよかった・・・」

「・・・」

手紙がなぜ・・・届かなかったのか・・・その理由を隠すあかりだった。

二人の間には・・・葵の親友であり・・・あかりの恋人である翔太がいたのである。

翔太は・・・捨てられなかった恋文を眺める。

とりかえしのつかないこと・・・しかし・・・やむにやまれることを・・・。

翔太はした・・・その罪は翔太を苦しませる。

葵とあかりはバスを待っていた。

海の香り。

夏の朝。

あかりと二人きり・・・。

葵は失われた時の中にいる。

居眠りをしたあかりは葵にもたれかかる。

葵は・・・あかりにキスをせずにはいられなかった。

眠っているフリをしていたあかりは・・・キスの相手こそが自分の求めていた相手だと・・・感じたのかどうか・・・それは謎である。

あかりは・・・初恋の幼馴染と現在の恋人の間で・・・揺れているらしい。

どうか・・・彼らが高枝切り鋏を購入したりしませんように・・・。

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2015年8月17日 (月)

世のよし悪しはともかくも誠の道を踏むがよい~戦う回天の詩を戦わない輩が嗤うだろう(井上真央)

良くも悪くも幕末の長州を描くことは好戦的である。

十九世紀の中盤、西欧列強の植民地主義は旺盛だった。

暗黒大陸、インド亜大陸、新大陸は続々と彼らに征服されていった。

東アジアでも、清帝国がすでに半ば侵されている。

日本では攘夷が提唱され・・・とにかく戦いを始めることになった。

長州や薩摩はその先達だったのである。

しかし・・・太平の眠りの中にあった日本の軍事力は圧倒的に劣勢であった。

現実を知る幕府は開国を決断し、現実を知らない朝廷は攘夷を迫る。

そのうねりの中で突出した長州は・・・幕府という体制の中で袋叩きに遇う。

椋梨藤太に代表される長州恭順派は・・・無条件降伏をした大日本帝国の国民の姿そのものである。

幕府という権威にひたすら追従し・・・長州藩そのものがなくなっても戦を回避するのが大前提という姿勢。

当然のことながら・・・現代人の多くは・・・それを肯定するべき衝動にかられるわけである。

そもそも・・・松下村塾の思想は・・・平和を打ち砕くテロリストのそれではないか。

そんなことをして・・・百害あって一利なしではないか。

しかし・・・恐ろしいことに・・・恭順派を追放した長州過激派は・・・そのまま・・・勝ち続け・・・ついには幕府を瓦解させてしまうのだ。

さらに・・・清帝国を打破し、ロシア帝国にも辛勝してしまう。

そして・・・第一次世界大戦では勝ち組として残るのである。

やがて・・・大日本帝国の命脈は・・・全世界を敵に回して尽きる。

その流れの中で・・・あの時、長州が滅びていればよかったのだと叫ぶことは・・・。

あまりに単純すぎるわけである。

弱肉強食と平和共存の両輪によって今も歴史の歯車は回転している。

強者に占領され・・・あらゆる反乱を封じ込めて維持されてきた平和・・・。

今、それは・・・静かに綻び始めている。

自分たちが戦わなくても・・・他の誰かが戦いを始めるからである。

米国と同盟して中国を叩くか・・・中国と同盟して米国を叩くか・・・そういう非現実的な選択が・・・幕末の長州では成立し・・・ついに「敵」をうち果たすのである。

現代人としては唖然とするしかないのだなあ。

それはもはや魔術的と言ってもいいだろう・・・。

で、『燃ゆ・第33回』(NHK総合20150816PM8~)脚本・宮村優子、演出・安達もじりを見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は加筆修正予定の晩年の杉百合之助描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。長塚京三渾身の揺れる老衰の姿・・・揺れる親を持つお茶の間の皆さんは落涙必至・・・。まあ・・・ドラマの内容がないようだったとしても・・・。とにかく・・・長州は客観的に見れば絶体絶命ですからな。無条件降伏を受け入れた後で・・・逆襲に転じ・・・江戸を陥落させるなんて・・・想像するのも恐ろしい本当の歴史でございますからなあ・・・。そのありえない展開が現実化するところを面白おかしく描いてもらいたいものですよねえ。

Hanam033元治二年二月七日(1865年3月4日)、萩にて毛利元徳の正室・銀姫は長男・興丸(後の毛利元昭)を出産。中旬に恭順派の椋梨藤太は萩を脱出。岩国藩(藩主・吉川氏)を目指すが津和野藩(藩主・亀井氏)領内で追手に捕縛され野山獄に投獄される。幕府は長州の処罰が不徹底であることから藩主親子の江戸拘引を画策するが、幕府の体制強化を望まない朝廷および薩摩藩は京都所司代へ執行猶予を沙汰する。長州周辺国もこれに従う。二月二十日、藩主親子は藩内の擾乱を鎮めるために藩士を集結させ恭順政策の停止を宣言。三月、諸隊を正規軍として布告した。毛利敬親が萩に、世子・毛利定広が山口にて藩士の融和をはかる。四月、敬親も山口に戻り、再び、山口が長州藩の居城となる。高杉晋作は下関開港の準備を進めるが攘夷派か反対し、暗殺の動きを感知したために井上聞多と出奔。元治二年四月七日、慶応元年に改元。慶応元年(1865年)五月、亡命中の桂小五郎が伊藤俊輔によって下関に帰還する。桂は藩主により用談役に就任。村田蔵六による近代洋式軍隊の創設が着手される。閏五月、坂本龍馬は最初の薩長同盟会議として下関における桂小五郎・西郷隆盛会談を設定するが不調に終わる。閏五月二十八日、椋梨藤太処刑される。

「なんでまた・・・逃げるんじゃ・・・とにかく山口に戻ろう」

瀕死の重傷から完全に復活した井上聞多が船上で言う。

癸亥丸は高杉晋作が完全に私物化している。

「あほか・・・下関開港を山口の藩庁がしぶっとるんじゃ・・・長州藩が長府藩から下関を取り上げるのは物騒じゃなんじゃと・・・難癖つけておる・・・結局、日和見根性よ・・・わしがなにかしでかすにちがいないと臆している」

「しかし・・・晋作、洋行費用の千両はどうするつもりじゃ」

「逃走資金じゃ」

「え・・・これ・・・使っちゃっていいのか」

「いいも悪いもない・・・幕府がまた攻めてきて・・・切羽詰まったら・・・また泣きついてくるに決まってる・・・その間・・・命の洗濯しても罰は当たるまい」

「どうするんじゃ」

「まず・・・下関で芸者のおうのを拾って・・・それから伊予で温泉三昧じゃ」

「・・・」

銀姫母子の伴をして萩から山口へ向かう美和は晋作と聞多の珍道中にあきれ果てた。

美和が山口に着いた頃、晋作は道後温泉を出立し愛人のおうのと琴平参詣を果たしていた。

琴平では晋作は子分千人と言われる博徒の長、日柳燕石の屋敷に逗留している。

軍師金千両を元手に大博打を打っていたのである。

日柳燕石は大胆な晋作の張りっぷりに感嘆していた。

「お若いの・・・あんた・・・大した度胸やなあ・・・」

「度胸もくそもない・・・金なんて・・・いくら賭けたって・・・たかが知れてる」

「そうかいな・・・」

「そうさ・・・もうすぐ・・・国を賭けての大博打が始るんだ・・・俺に賭けるなら今だぜ」

「こりゃ・・・たまげた・・・」

しかし・・・美和は知っていた。

晋作はすでに喀血していたのである。

回天の時は迫っていた。

美和は愚図る興丸のために亡き夫の作った数え唄を歌う。

「ひとつとせ~・・・」

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2015年8月16日 (日)

不発弾のブルースを聴かせて(松山ケンイチ)わたしの大切なあの人へ(満島ひかり)

他人の心を想像できる人が善人とは限らない。

苛められて苦しんでいる人の心が想像できなくて苛めている人はむしろ少ないのではないか。

その苦しみこそが喜びであり・・・もっと苦しめてやろうと生きがいを感じるのが人間らしい。

苛めることを苦痛に感じながら苛めをやめられないという心理を想像することもできるが・・・そういうことで苛められる苦痛が緩和するとは限らない。

しつけられた人々が穏やかに過ごす世界。

のびのびと育った人々が勝手気ままに過ごす世界。

理想の世界は常に裏側に地獄を伴っている。

国家が共同体とすれば・・・歴史を共有することは相互理解を深めるひとつの武器となるだろう。

しかし・・・歴史を共有できないように・・・様々な障害が設置されているのが敗北した奴隷たちの宿命なのである。

弱いものを併合し、強いものに征服された共同体の子孫たち。

せめて・・・誰もがその腕を縛られていることだけは・・・暗黙の了解として共有したい。

そういう話なのである。

で、『ど根性ガエル・第6回』(日本テレビ20150815PM9~)原作・吉沢やすみ、脚本・岡田惠和、演出・菅原伸太郎を見た。浅草で灯篭流しが行われた終戦の日にうなぎを食べる幸せがある。東京の街は少し静かなのに人出があってはしゃいだ気分にもなる。祈りと高揚と浴衣を着た外国人観光客。なにしろ・・・あれから七十年たっているのだ・・・風化を許してはいけないと誰かが叫んでも・・・千年後には・・・一行あるかないかの話なんだな。

階下でざわめきがある。

回り続ける扇風機のノイズに混じってさざめく人間の温もり。

惰眠をむさぼるひろし(松山ケンイチ)の夢から現実への帰還。

お茶の間のにぎやかさに誘われてひろしは起き上がる。

小さな卓袱台を囲む・・・京子(前田敦子)とおばあちゃん(白石加代子)、ゴリライモこと五利良イモ太郎(新井浩文)、町田校長(でんでん)と梅さん(光石研)・・・。そして台所には母ちゃん(薬師丸ひろ子)とノースリーブにエプロンのよし子先生(白羽ゆり)・・・ほぼ全員集合である。

「なんの騒ぎだよ」

「バカだね・・・この子は・・・昨日話しただろう」

「ひろしは・・・人の話を聞かないからなあ」

母ちゃんの胸元でピョン吉(満島ひかり)が嘆く。

町内で先の大戦の名残の不発弾が発見され・・・「不発弾の処理および除去」の作業が朝霞駐屯の陸上自衛隊・第102不発弾処理隊によって行われているのである。

不慮の事態に備えて・・・周辺住民には避難指示が出ている。

京子のアパート、ゴリラパン工場、宝寿司、中学校はすべて避難地域に入っていたのである。

どんだけご近所なんだよ。

避難地域を免れたひろしの家に全員集合していたのだった。

ちなみに・・・周辺の警戒に狩りだされた五郎(勝地涼)は警察官として任務についている。

ひろしは朝から京子ちゃんと一緒という状況に激しく勃起するのだった。

母ちゃんに握り飯を食べさせてもらいながらピョン吉は素朴な疑問を口にする。

「不発弾ってなんだい?」

ひろしの母ちゃんは最年長で七十二歳の京子のおばあちゃんに解説を求めるのだった。

ちなみに・・・町田校長は六十四歳である。

「私だって戦争が終わる二年前に生まれたので・・・戦争のことはほとんど覚えていないんだけど・・・不発弾は・・・鬼畜米英が日本人皆殺しのために投下した焼夷弾などの爆弾のうち・・・様々な不具合で爆発しないまま・・・放置され・・・忘れられた存在なのよ」

「だそうです」

「爆弾なのかい」

「爆発しなかった爆弾なのよ・・・」

「処理されるとどうなるんだい」

「爆発しなくなるのよ・・・場合によっては・・・あえて爆発させちゃうの」

「どうして・・・」

「誰もいないところで爆発させれば・・・誰も怪我しないし、死んだりもしないから」

「爆弾は・・・爆発しても死に・・・爆発しなくても死ぬ・・・可哀想な奴だなあ」

「まるで・・・ひろしくんみたい」とひろしを甚振らずにはいられない京子だった。

「ひでえな・・・俺は不発弾かよ」

「不発弾男よねえ・・・」と合意する一同。

母ちゃんは・・・ピョン吉が「死」に対してカエルにしては敏感になっていることに気を揉むのだった。

不憫だったのである。

「オレ・・・不発弾を見てみたい」

「しょうがねえなあ」

物干し台から凧揚げ風にピョン吉シャツを浮上させるひろし。

枯れたひまわり。青空の下の東京スカイツリー。夏の終わりの入道雲。

のどかな光景を見下ろすピョン吉。

タコ糸が切れて浮遊するピョン吉は風に飛ばされる・・・。

「ひろし~・・・たすけてくれよ~」

しかし、ひろしは呑気にスイカを食べるのだった。

不発弾は路地裏に佇んでいる。

アンテナに引っかかったピョン吉は不発弾を見下ろした。

「お前が不発弾かい」

「ソウダ・・・ワタシハハレツシテヒトヲコロスタメニウマレテキタ」

「恐ろしい奴だな」

「ダガ・・・オレハカタワダッタノデヤクタタズダ」

「そうかい・・・そいつは残念だったな」

「イイノサ・・・ハレツスルモバクダン・・・ハレツシナイノモバクダンダ」

「ふ~ん」

「ヒトトシテウマレテバクダンニナルヨリマシダ」

「そういうものかい」

「ソウイウモノサ」

不発弾は不発だった一生を終えた。

京子が・・・五郎が・・・ゴリライモが・・・そしてひろしが飛ばされたピョン吉を捜し出す。

よし子先生のノースリーブのセクシーな肩を鷲掴みにしてプロポーズしようとした梅さんは・・・「ケケケケケケ警戒警報解除です」と報告するのだった。

どんなプレーなんだよっ。

政治の季節・・・立候補したゴリライモは応援演説をひろしに依頼する。

ひろしはためらうが・・・引き受けると徹夜で演説のための原稿を執筆するのだった。

しかし・・・風邪をひいて声が出なくなってしまう。

シャツを後ろ前に着て・・・ゴースト弁士のぴょん吉におまかせするひろし・・・。

「ゴリライモと私は幼馴染です・・・昔から・・・喧嘩ばかりしていた・・・宿敵です・・・しかし・・・ゴリライモにもいいところがあると・・・認めざるをえない・・・ゴリライモは乱暴者ですが・・・昔から弱いものいじめはしませんでした・・・戦う相手は・・・常に自分より強い・・・ひろしです」

「・・・」と聴衆一同。

「政治家が何をする人なのか・・・おいらは知りません・・・でも・・・弱い人を守るのが政治家の仕事だとしたら・・・ゴリライモには政治家になる・・・資格があると思います」

「・・・」とゴリライモ。

「そして・・・おいらは・・・ひろしに隠していることがありました・・・顔を合わせたら・・・ひろしが・・・どんな顔をするのか・・・こわくて・・・言えなかった・・・今は・・・ひろしの顔が見えないので・・・いい機会です・・・ひろし・・・ごめん・・・おいら・・・もうすぐ・・・死ぬかもしれない」

「・・・」とひろし。

落魄するピョン吉の姿・・・。

息を飲む聴衆・・・。

「ピョン吉・・・何を言ってんだよ」

「だまっていてごめん・・・殴ってもいいよ・・・ひろし・・・」

シャツを脱いだひろしの前で半分はがれかけたピョン吉の無惨な姿が揺れる。

ひろしの声なき叫び・・・。

喜びの音はゆがんで哀しい音まで届かない。

いつも中途半端なブルースが響く。

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2015年8月15日 (土)

お嬢さん、お入んなさい(芳根京子)トレイントレインもモータリゼーションの波にのまれて(吉本実憂)美女と野獣(神田沙也加)

勝利の喜びは・・・残虐な現実を飲みこんでいく。

敗北の悲しみは・・・残虐な現実を生み出していく。

勝負とはそういうものだ。

敗北感を相殺するために新たな勝利を望むものは・・・自爆も辞さない場合がある。

打ちのめされて泣くのも人間。

高枝切り鋏をふるうのも人間である。

なんの話だよ。

「あーだこーだ言える時代は素晴らしい・・・もっとあーだこーだ言うべきだ」

百歳の翁の言葉は重い。

だが・・・「あーだこーだ」言ったとしても・・・現実的な選択肢は少ない。

勝者が分裂している時に・・・敗者は・・・顔色を窺うしかないのである。

「どっちについたら・・・正しいの・・・」

70年後・・・選択の結果は出ているだろう。

だからといって・・・そのことについて・・・「あーだこーだ」言われても・・・ねえ。

きっと・・・精一杯だったし・・・なるようになったんだよ。

「戦争」について学び、思考実験の中で・・・何千何万何億という人間を殺戮し・・・あらゆる可能性を吟味し・・・選択しても・・・人間は間違える。

間違えないのは・・・間違えないタイプのドラマの主人公だけなのです。

で、『表参道高校合唱部!・第5回』(TBSテレビ20150814PM10~)脚本・櫻井剛、演出・石井康晴を見た。山本美月と早見あかりのツーショットって神々しいよな・・・別次元だよな。・・・誰がAスタジオの話をしろと・・・。うっとりモードが解除されないんだよな。夏のせいもあるけれど・・・処理能力が明らかに劣化してきたよね。昔はドラマ一本は完全に記憶できたけどな・・・最近はなんとなく霧がかかったような記憶に・・・妄想しているつもりがそのまんまだったりするよね。自覚のない再現性の高さほど恐ろしいものはないからな。情報をコピーするだけの生き物が傲慢になると・・・オリジナル性があるとか言い出すんだよな。

真琴(芳根京子)の魔性の歌声はついに合唱部顧問の鈴木有明先生(城田優)の「キャバクラ嬢にいれあげるだけが人生だ」という呪いを解き・・・表参道高校合唱部はついに廃部の危機を克服したのだった。

一方・・・禍々しい美少女・・優里亞(吉本実憂)は実の父親(加藤虎ノ介)とのツーショットを盗撮され・・・「ホームレスの娘」として揶揄されるのだった。

優里亞のとりまきである竹内風香(小島梨里杏)と相原ほのか(長谷川ニイナ)は反逆の時を待って追従する。

香川天国からのうどん天使である真琴は・・・優里亞の心の痛みを感じて、救済に乗り出すのである。

テレポーテーション(瞬間移動)の能力を持つ天草教頭(デビット伊東)は合唱部に対するいやがらせとして・・・「合唱コンクールの東京都大会で入賞しなければ同好会に格下げ」を発表する。どんな権限なんだよ。

鈴木先生は合唱部の人間関係に波風を立てつつ・・・心を一つにするために・・・路上合唱訓練を申しつける。

路上生活中の雄司(川平慈英)が優里亞の父親とホームレス仲間だったことで・・・真琴は優里亞の心に眠る「思い出の歌」の発掘に成功する。

幼馴染を思うステキ男子のトッキュウ1号こと夏目快人(志尊淳)は優里亞が重ねてきた犯罪クラスの悪事を追及する。

「全部吐き出してしまえ」

「父との秘密を探るために・・・同級生に窃盗犯の濡れ衣を着せたり、転校生に泥水あびせたり、過去のスキャンダルを掘り起こしたり・・・」

「ゲロゲロ」

しかし・・・優里亞のすべての悪事は素晴らしいインターネットの世界で暴露されてしまう。

たちまち・・・女王の座から転落し・・・孤立する優里亞。

二人の子分は・・・ついに・・・「中学生時代のいじめられっ子だった優里亞の姿」を公開し・・・女王にとどめをさすのだった。

「おまえはもう女王様じゃねえから」

「おまえはクラスの最下層民だから」

「こんな・・・学校やめる」

母親(原沙知絵)の新しい夫(山田純大)のコネで・・・やらせのオーディション合格が決まっている優里亞は・・・芸能界一本で生きる覚悟をする。

そのために・・・母親から・・・父親との決別を求められる優里亞だった。

マネージャーとともに・・・ホームレスのホームにやってきた優里亞。

「この人は誰ですか」

「ボランティアで知り合った・・・赤の他人です」

「本当ですか・・・」と父親に念を押すマネージャー。

「間違いありません・・・」

居合わせた真琴は・・・哀しい気持ちになるのだった。

昔・・・優里亞は・・・貧しさに負けて夫婦喧嘩をする両親を歌で仲直りさせた天使だったのである。

「お父さん・・・街を出て行くって・・・長距離バスで」

「その日・・・私は大事なオーディションがある」

「このままでいいの」

「私の気持ちなんかわからない」

「わかるよ・・・私の親も離婚の危機だし」

「原爆被災者の気持ちを東京大空襲被災者がわかるみたいなこといわないで」

「ヒロシマの人の気持ちはナガサキの人にならわかるんじゃ」

「その・・・たとえやめろ・・・」

天使である真琴には・・・堕ちた天使・優里亞の気持ちがわかっていた。

「校長先生・・・どうすればいいでしょう」

「歌には・・・人の気持ちをつなぐ力がある・・・あなたが人と人をつなげたいと思えば・・・かならずジョイントできるわよ」

大曾根校長(高畑淳子)は適当なアドバイスをするのだった。

早速・・・合唱部に「優里亞の救済」を求める真琴。

しかし・・・優里亞にひどい目にあってきたメンバーの気は重い。

「盗んでもいない金を盗んで・・・みんなに疑われた傷は深いよ」

「仲間を信じてやれなかった傷も深いよ」

「みんな・・・ポンコツだしな・・・」

「ポンコツは言いすぎだろう」

「僕からも頼む」

快人に言われてその気になる女子たち。

「お願いします」

真琴に頼まれたら嫌と言えない男子たちだった。

おい・・・ちょっと違うだろう。

「顎をひけ」

「お尻をつきだせ」

「フラフラするな」

鈴木先生の熱血指導。

「うわあ・・・こんな道端で合唱してる人たちがいる・・・なんだろうなんだろう・・・すごいなすごいなー」

合唱部副顧問の瀬山えみり先生(神田沙也加)もサクラとして応援するのだった。

「鈴木先生、TRAIN-TRAIN入りました」

「じゃ・・・男子メンバーの補強だ」

「快人くん入りました」

「よし・・・合唱部・・・出動だ」

謎のピアノ少女・桐星成実(柴田杏花)はキーボードをスタンバイするのだった。

優里亞のオーディション会場に現れた・・・表参道どこでも合唱団・・・。

「あの人たち・・・なに・・・」

「し・・・目をあわせないで・・・」

有色人種を奴隷化していた国が言う

大陸に手を出すな

強いものたちが囁く

言うことをきかないと

原爆を味わうことになる

はだしのゲンは飛び出して

栄光の図書館から疎外される

ピカドンが響き渡れば

こんな女に誰がしたの嵐

自由と銃をまちがえて

話は見えなくなっていく

この歌をきけば

あなたの本当の心が蘇る

そうなったら

もう

走らずにはいられない

メンバー中、揺らせるタイプの優里亞はバス・ターミナルにむかってトレイントレインするのだった。

「お父さんのこと・・・忘れようとしたって忘れられない」

「・・・」

「お父さんが・・・大好きだから・・・」

「同居してると・・・そうでもなかったりするけどねえ・・・」

旅立つ前に風呂に入ってさっぱりした父と娘は別れの抱擁をエンジョイした。

主人公と愉快な仲間たちは・・・魔法の空間を形成し・・・拍手喝采を受けるのだった。

魔法の歌は・・・優里亞の母親の歪んだ心まで修正してしまう。

恐ろしいことである。

「忘れようとすればするほど忘れられないってあるよな」

「嫌なことをされても・・・許せば忘れられる」

「忘れてくれるといいのに・・・いつまでも怨みがましい人はいるよね」

「まあ・・・それが人間関係の基本だから」

「高枝切り鋏には気をつけないとねえ・・・」

「許してください・・・なんでもします」

「じゃ・・・合唱部に入ってね」

ついに・・・合唱部員はなんだかんだ十人になったのである。

男女比もちょうどいいぞ。

フィナーレに向かって走る列車は加速していく。

真琴と真弓(松本来夢)の姉妹は・・・妻に捨てられそうな父親を慰める。

しかし・・・そこに現れたのは・・・。

美女(堀内敬子)と野獣(石丸幹二)だったのだ。

「劇団・・・」

「四季かよ・・・」

「誰か・・・高枝切り鋏のブルースを歌ってくれ・・・」

「ディズニーランドで何故悪い?」

「オレたちはタテノリで」

「左右には揺れないでピョンピョンするのさ」

「上下にね」

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2015年8月14日 (金)

壁に耳あり(北川景子)ただいま盗聴中(川口春奈)発覚しなければお咎めなし(井浦新)

罪悪感とか罪の意識というものを最近はどう考えているのだろうか。

無人の交差点で赤信号を無視する人間が感じる心の揺らぎというようなものが今も常識としてあるのかどうか・・・謎である。

赤信号、みんなで渡ればこわくないという言葉が生まれた時、心の在り方は大きく変わったような気がする。

キリスト教などの一神教では神による人間支配が根底にある。

宗教には戒律があり、ルールである以上、犯してはならないものである。

それを破るということは神に逆らうことになる。

汝、殺すなかれと定められていれば・・・殺すことには心理的抵抗が生じる。

もちろん・・・多くの人間は殺すという面倒な行為に最初から積極的ではないという考え方もある。

ただし・・・「一度死んでみろ」が口癖の人間も多い。

とにかく・・・ルールだから・・・殺さない人間は・・・発覚しなければ殺す人間である。

たたりとか・・・のろいとか・・・そういうものも恐ろしいが・・・殺そうと思えば殺せる人間も恐ろしい。

しかも・・・殺しても心が揺るがないとなれば・・・それは・・・一種の超越者なのだ。

うっかり・・・気を許せば・・・とんでもない目にあわされる。

だから・・・世界は一寸先が暗闇なのである。

で、『探偵探偵・第6回』(フジテレビ20150813PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・品田俊介を見た。紗崎玲奈(北川景子)の妹・咲良(芳根京子)の居所をストーカーの殺人鬼・岡尾芯也(岡田義徳)に売った探偵「死神」・・・。その正体は謎である。兇悪な結果を導いた死神だが・・・その行為は「情報提供」にすぎない。暴力沙汰とは違い情報提供者のプロフィールは混沌としている。老若男女・・・誰もが死神になれる。探偵業者のプロとして・・・いかにも怪しい・・・「スマ・リサーチ」の須磨社長(井浦新)から・・・いかにも素人同然の峰森琴葉(川口春奈)まで・・・あらゆる人間に可能性がある。

琴葉の姉である織田彩音(中村ゆり)が「暴力衝動を解放する女」という秘めた顔を持っていたように・・・羊の皮をかぶった狼はどこにでも潜んでいる。

優しかった姉が・・・兇悪な素顔を隠していたという件はこの物語の一つの象徴である。

おそらく・・・死神の正体は・・・それほど恐ろしくない存在であるような気がする。

恐ろしいことをする人が恐ろしい人であってほしい。

しかし・・・「ふつうの人でした」という街の声は絶えないのだから。

捜査一課の窪塚刑事(三浦貴大)と長谷部刑事(渋谷謙人)は・・・DVシェルターから失踪した芦原遥香(西原亜希)に暴力をふるった男・升瀬淳史(中野裕太)を訪ね、玲奈と琴葉に遭遇する。

「男はいたの?」

「留守だった」

「そう・・・」

「お前が何をする気なのか知らないが・・・あの時・・・お前に協力したのは・・・人質の安全を優先させたからだ・・・私も人の親だからな・・・」

「あなたが・・・まともな刑事でよかったわ」

「しかし・・・今度・・・お前が法を破れば見逃すことはできないぞ」

「私は・・・順法精神でいっぱいの探偵よ・・・その証拠に前科なしよ」

「・・・」

刑事たちが去ると・・・玲奈は無許可で男の郵便受けを解錠し中身を押収する。

法令順守をすりこまれた琴葉は良心の呵責を感じる。

「男が帰ってきたら・・・通報されてしまうのでは?」

しかし、玲奈は男の妻を装い・・・文書の再送付を請求するのだった。

「素晴らしいインターネットの世界では個人情報は一端が判明すれば・・・まるで無防備になる」

「・・・」

「しかも・・・その間には優柔不断な人間という要素が加わるの」

「しかし・・・それは犯罪じゃないんですか」

「DV加害者の情報なんて・・・すべて公開されるべきなのよ」

「・・・」

「しかし・・・私は公開したりするわけじゃない・・・必要な情報を得るだけよ」

「悲劇を・・・避けるために」

「私は・・・溺れている人間がいれば・・・手を差し伸べる・・・ただそれだけのこと」

「私は何をすればいいですか」

「社に戻って・・・男の利用する金融機関をローラー作戦で見つけて・・・それから・・・探偵課に頼んで・・・その他のDV加害者たちの動向を探ってもらって・・・」

「わかりました」

その頃、「スマ・リサーチ」には刑事たちの上司・坂東係長(相島一之)が訪問していた。

「久しぶりだな」

「ベテラン警部殿がわざわざお越しとは・・・」

「結構・・・儲かっているようじゃないか」

「探偵業は今では正規な事業ですからそれなりに・・・」

「指定暴力団が看板おろしたからって・・・中身はあまり変わらんぞ」

「我が社は合法的に運営しています」

「獅靱会のような・・・暴力団の依頼はもう受けないか・・・」

「・・・」

「もっとも・・・獅靱会も今や合法的な企業だ・・・汚れ仕事はハングレまかせさ」

「指定されていない暴力団は・・・一般市民扱いですか・・・」

「こっちは・・・探偵だって市民として扱ってやってるよ」

「恐縮です」

「お前らの後釜は・・・野放図とかいう奴らで・・・やりたい放題だよ・・・知ってるか」

「初耳です」

「とにかく・・・玲奈という女探偵に忠告してやれ・・・警察をなめるなと」

「探偵業務は基本的に自己責任ですから・・・この盗撮カメラはお返しします」

「・・・おっと・・・いつ・・・鞄から落ちたんだ」

「手ぶらですよ・・・警部殿」

事務所に戻ってきた琴葉は・・・二人の会話を盗み聞きしていた。

須磨社長と獅靱会・・・悪徳探偵の阿比留もそのことについて仄めかしていた。

琴葉は・・・野放図の名を記憶に刻みこむ。

琴葉もまた・・・探偵としての資質を開花させようとしていた。

「男の口座は東京第一銀行です・・・そこに預金が300万円あります。男は家賃を滞納していますが・・・その金だけは手をつけていません」

「報酬・・・のために準備された金ということね」

「スマ・リサーチ」に琴葉の姉がやってくる。

「こんな危険な仕事はやめて・・・私のところへ戻りなさい」

「いやよ・・・姉さんは・・・私を飼いたいだけなんでしょう」

「・・・」

「姉さんが私を支配しようとしていたこと・・・私はもう・・・わかったの」

「何を言ってるの・・・話が通じないわ」

「姉さんは・・・自分の都合のいい話しかしないものね」

琴葉は姉をエレベーターに叩きこんだ。

男の携帯番号が判明したために・・・玲奈は電話をかける。

「東京第一銀行の・・・花咲と申します。お客様の口座に裁判所からの差し押さえ請求が来ています・・・このままでは口座が凍結される可能性がございます」

「なんだって・・・」

「必要書類にご署名いただけると・・・執行猶予が可能ですが・・・いかがなされますか」

「それでいい」

「では・・・ご自宅に書類を郵送します」

「いや・・・今・・・外なんだ・・・池袋駅前ホテルに頼む」

「畏まりました」

玲奈は男の妻を装い、結婚記念日のサプライズを口実に隣室にチェックインするのだった。

カード・キーのトリックを使って男の部屋に侵入した玲奈は男のスマホのメールをチェックし、「野放図」の名を発見する。

玲奈は男のスマホを操作し、メールを同期する設定をプログラムする。

そして・・・男の室内で「死神の調査報告書」を発見する。

男の隣室で玲奈と琴葉は合流する。

琴葉の持ち込んだ壁面設置型収音器で隣室を盗聴する二人。

「あの男は・・・死神の調査報告書を持っていた・・・」

「野放図はハングレ集団です」

「男は何かを待っている・・・」

「野放図は男たちを池袋にあつめているようです」

「男たちを集めて・・・女たちを宛がうか」

「動きました」

「私は仕掛けたGPSで後を追う・・・あなたは寮に戻って」

「一緒に行きます」

「今度の相手は・・・油断できないの・・・同じ失敗を繰り返す気はないわ」

「姉のことを許してください」

「いいのよ・・・人間はみんな・・・獣だから」

狩人は男を追跡する。

琴葉は・・・内通者がいる可能性のある探偵課への連絡を禁じられ・・・窪塚を頼るのだった。

窪塚は裏サイトの情報から背後に野放図が絡んでいることを突き止めたが・・・手掛かりを失っていた。

「なんだって・・・あの女は・・・なんて手が早いんだ」

「警察じゃなくて・・・探偵だからです」

「なぜ・・・俺に頼ってきた」

「私がただの足手まといだから・・・」

「・・・」

「玲奈先輩を助けてください・・・」

走りだす窪塚刑事。

男たちの集会場。一人の女が姿を見せる。

「野放図のマリコです・・・彼女たちはとある場所で皆さんをお待ちです・・・入金をお願いします」

しかし・・・銀行預金に関するトラブルを口にした男によって・・・野放図は警戒を強める。

室内を盗聴していた玲奈は発見され・・・逃走するが・・・乱闘の末・・・野放図の手に落ちる。

ガスによって意識を失う玲奈。

すべては闇に包まれる・・・。

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2015年8月13日 (木)

人命尊重で(堤真一)安全第一で(戸田恵梨香)自己責任で(田中美里)

1986年、総合商社のマニラ支店長であった日本人がフィリピンの共産ゲリラに誘拐される事件が発生。

事件は日本国内のマスメディアでニュースとし報道される。

総合商社の本社やマスメディアに被害者の写真や音声テープを同封した脅迫状が郵送される。

国内世論は被害者の解放を求める方向に傾く。

その後、被害者は解放に至る。

人質と引き換えに1000万ドルが身代金として支払われた。

総合商社が事実として認めたことにより、同様の事件を誘発させるという各方面から批難を受ける。

人質の人命優先とテロリストの要求には応じないという理念が問題解決に大きな関門となり、現在に至る。

苦肉の策として生まれた言葉が「自己責任」であることは言うまでもない。

世界は今も理不尽に満ちている。

で、『リスクの神様・第5回』(フジテレビ20150812PM10~)脚本・橋本裕志、演出・石川淳一を見た。海外での事業展開はひとつのリスクである。国内の常識は通用しない上に、日本は国外での活動が特に制限される特殊な国家だからである。国際連合憲章に「第二次世界大戦中に連合国の敵国であった国」として戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できないと定められているからである。つまり、うかつなことはできないということだ。

日本はこれについて削除を求めて来たが・・・いくつかの国の同意が得られないために・・・現状は維持されているのである。

つまり・・・世界は悪意に満ちているのだな。

土下座しまくるノイローゼの元総理大臣はある意味、この状況を体現しているとも言える。

国家としての日本には世界でできることとできないことがある。

だから、ある種の特殊工作は・・・水面下で・・・隠密に・・・こっそりとやるしかないのだった。

もちろん・・・それは・・・大衆の目にはいかにも無能に見えるのものだ。

日本の忍びの優秀さをもってしてもだ・・・おいっ。

五年前・・・。国際的産業スパイの結城(森田剛)はイカサマ賭博で糊口をしのいでいた。

フリーの危機対策代行業を営む西行寺智(堤真一)は敵対した結城にお灸をすえた後、ビジネス・パートナーとしてスカウトする。

その諜報力を高く評価したのである。

二年前・・・。西行寺、結城、そして探偵の種子島(古田新太)はトリオを組み、身代金目的の少女誘拐事件の解決に協力する。しかし、身代金受け渡しを代行した西行寺が犯人を深追いしすぎて・・・事故が発生。犯人は死亡し・・・監禁場所を発見した時、少女はすでに衰弱死していた。西行寺にとって失敗の苦い味。

二か月前・・・日本にやってきた西行寺は認知症を発症した父親の孝雄(田中泯)と再会する。父親が本当に記憶を失っているのか・・・疑いを禁じえない西行寺・・・。

二日前・・・天然ゴムの資源国として知られるマーレーン(フィクション)でサンライズ物産生活資材事業部のマーレーン駐在所の袴田明所長(桜井聖)が消息不明となる。

一日前・・・規定に従い・・・マーレーン駐在所の所員・危機対策室に「所長の所在不明」を報告。

応対したのは見習いの神狩かおり(戸田恵梨香)だった。

「それはトラブルということでしょうか」

「いえ・・・とにかく・・・規定に従っただけです」

「状況に変化があったら・・・お知らせください」

「わかりました・・・」

そして・・・その日・・・サンライズ物産社長・ 坂手光輝(吉田鋼太郎)宛てに匿名の国際郵便が届く。

不審物として対処する副室長の財部(志賀廣太郎)・・・。

封入されていたのは・・・破損した眼鏡と袴田所長の写真。

日付は二日前で・・・タイムリミットは72時間と記されている・・・。

「つまり・・・残り24時間か」

「・・・まさか・・・誘拐事件ですか」

「それ以外なら・・・茶番じゃないか」

かおりは初期対応を間違えたことを悟るのだった。

「報告するほどのことではないと・・・」

「失った時間を悔やんでも仕方がない・・・できることをやるだけだ」

「警察に通報しますか」

「日本の警察には海外での捜査権がない」

「外務省に・・・」

「情報収集するだけで日が暮れる」

「じゃ・・・どうするんです」

「我々で・・・対応する・・・そのための部署だ」

「ここで・・・」

「現地には種子島さんに飛んでもらう」

坂手社長はリオデジャネイロに出張中であるために・・・京都出張中の白川専務(小日向文世)が最高責任者となった。

袴田の上司である窪塚徹本部長(春海四方)が召集され、国内在住の袴田の妻・美沙(田中美里)も呼び出される。

「主人が・・・誘拐されたのですか」

「今・・・確認中です」

「最初は四年の約束だったのに・・・延長・・・延長で・・・もう九年ですよ」

「袴田くん以上の適任者がいないのです・・・奥さん・・・」

窪塚本部長は頭を下げる。

そこへ・・・社長室経由でマーレーンからの国際電話が回されてくる。

「できることをしたまえ」

語学堪能のかおりが犯人との交渉役となる。

「社長か」

「社長は出張のために不在です・・・秘書の私が応対します」

「ハカマダの命は・・・一千万ドルとサンライズのマーレーンからの撤退とひきかえだ」

「ハカマダさんの声ほ聞かせてください」

「・・・袴田です」

「今・・・どこに・・・」

「二人の男と・・・」

切断される通話。

「一千万ドル・・・十億円は・・・ちょっと高いな」と本部長。

「主人の命がかかっているんですよ」と袴田夫人。

「現地の警察に通報したらどうでしょうか」とかおり。

「犯人が共産ゲリラだとすると・・・現地警察内部にスパイがいる可能性がある」と西行寺。

「マーレーンからの撤退は・・・無理だぞ・・・天然ゴムの二割はマーレーンからの輸入だ」と本部長。

「金銭の要求と・・・政治目的の要求・・・どちらが・・・主なのでしょうか」

「今や・・・そこに区別はないな・・・政治とは経済だし、経済とは政治だ」

「・・・ですか」

「日本からマーレーンへの渡航時間は・・・」

「通常なら七時間です」

「現地との摩擦を避けるために正規のルートを使う」

サンライズ物産所有のスティルス輸送機「おんみつ075」は発進中止となった。

「すでに・・・種子島さんは成田に」

「種子島・・・頼んだぞ」

「まもなく搭乗する。奥さん・・・美人らしいな」と種子島。

「ミステリなら・・・真犯人で間違いない」

「袴田所長が奥さん恋しさに狂言をしている可能性は?」

「五分五分だな」

「とにかく・・・情報分析を急いでくれ」

再び、犯人から国際電話がかかる。

「金は用意できたのか」

「準備中です」

「サンライズは資本主義のクソだ・・・マーレーンから出て行くと約束しろ」

「検討中です」

「お前では話にならない・・・社長を出せ」

「私が社長です」と西行寺。

「タイムリミットまでに記者会見を開いてマーレーンから出て行くと発表しろ」

「決定には時間が必要だ」

「時間がきたらアカマダは死ぬ」

銃声とともに電話は切られる。

「何か気がついたことは・・・」

「フランス訛りがあります・・・Hが発音されていないし」とかおり。

「ハカマダがアカマダになっているということか」

「こいつら・・・バカな素人かもしれない」と結城。

「何故だ」

「脅迫状の・・・テロリスト・グループの署名が間違っている」

「なに・・・」

「Hが抜けている」

「フランス系のアホか・・・」

「種子島が現地についたら・・・解雇された従業員を中心に犯人を捜索させよう」

「素人なら・・・眼鏡に指紋が残っているかもしれない」

「そこまでアホだとは・・・思わないが・・・おや・・・」

特殊能力で指紋を採取する結城・・・。

現地に到着した種子島も・・・フランス系のアホな現地従業員の指紋を採取しまくるのだった。

特殊能力で指紋を照合しまくる結城。

白川専務が本社に到着する。

「社員の人命のためだ・・・一千万ドルは送金する・・・しかし、身代金を払ったことが漏洩しないようにしたまえ」

「善処します」

「記者会見は・・・避けたい・・・テロリストと交渉しないのが前提だ」

「しかし・・・タイムリミット前に事件が解決しなかった場合・・・社員を見捨てたことになります」とかおり。

「記者会見は・・・設定する・・・しかし・・・事件が解決しない場合は・・・事件の発生を伝えるものにする。犯人の要求を明らかにするのが妥協点だ・・・対応は協議中ということにする」

「・・・」

「見捨てる気はないが・・・見捨てるということですね」

「ギリギリの決断だ・・・もはや20世紀ではないのだから・・・」

「しかし・・・袴田さんは社のために・・・九年も・・・前線で・・・」

「それを選択したのは・・・彼本人だ・・・我々にできるのは無事を祈ることだけだ」

しかし・・・記者会見直前・・・指紋が確認され、犯人が解雇された現地の従業員であることが判明する。

種子島は特殊な交渉術で現地の警察と連携し、犯人のアジトを急襲。

袴田所長の無事救出に成功するのだった。

もちろん・・・緊急展開したサンライズ物産・特殊急襲部隊「あかつき075」が実力を行使したのであった。

「総合商社・・・おそるべし・・・ですね」

「何でも買うし、何でも売る・・・ということは何でももってるのと同じだからな」

笑顔で記者会見に臨もうとする白川専務。

しかし、寸前で帰国する坂手社長。

「ご苦労だった・・・後はまかせたまえ・・・」

「・・・」

事件解決の記者会見で「社員の無事救出」を安堵の笑顔で報告する社長だった。

「まるで・・・すべてが社長の手柄みたいですね」とかおり・・・。

「いいんだ・・・社員が無事でよかった・・・私には私の仕事がある」

「・・・」

「その時がきたら・・・私に力を貸してくれるね」

「もちろんです」

かおりは白川専務に忠誠を誓う。

しかし・・・それが本心であるのかどうかは・・・かおり自身にも不明だった。

袴田夫人は・・・マーレーンに旅立った。

夫を心から愛していたらしい。

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2015年8月12日 (水)

どちらともいえない(窪田正孝)よくわからない(山崎賢人)時間・空間そして人間(優希美青)

時間と空間の中で風に囁かれて瞬く星のように存在する人間の意識。

それが生まれ、いつか消えることを知った時、それは問う。

どこからきて・・・どこへいくのかと。

生前や死後があるのかないのか・・・それはよくわからない。

それは迷いながら・・・言葉を紡ぐ。

自分の生が偶然ではないことを祈り、自分の死が無意味でないことを願う。

それはどちらでもないとしか表現できない。

それでも・・・人は生きて・・・やがて死ぬのである。

あらゆるそれは・・・秘密にすぎない。

それが美しいものであることを信じたい。

それが哀しいのはそれだけではないからである。

それが心というものだ。

で、『・第6回』(日本テレビ201508092230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・西村了を見た。心理学の世界でも統一された定義のないサイコパス(狂人性質)はある意味で心の性質の傾向を示す言葉でもある。常人の定義が曖昧である以上、異常な精神の定義も曖昧なものとなる。平均的知能を正常とするならば愚鈍であることも賢明であることもサイコパス的だと言える。他者に冷淡で共感しない人間が罪を犯せば異常者、画期的な発明を成し遂げれば天才なのである。

知的な犯罪者を追及する探偵であるエルことL(山崎賢人)はその分野において天才と言える。

平凡な大学生であるライトこと夜神月(窪田正孝)がエルを悩ますのは人知を越えたデスノートの所有者だからである。

それは原子爆弾による殺人の犯人を捜索するより困難な作業である。

もちろん・・・デスノートの存在を実証するためには実験的な殺人を行う必要がある。

そして・・・それが実証されて・・・デスノートによる殺人を禁止する法律ができたとしても・・・法律ができる以前のデスノートによる殺人は・・・法理的に裁けないのである。

つまり・・・デスノート所有者とそれを追うものは・・・国家間における戦争状態にあると言える。

人権侵害は殺人より罪が軽い・・・エルの行動は・・・そういう理念に基づいていると考える他はない。

つまり・・・「私が一番正しい」ということです。

エルは脅迫状に残された指紋などの物的証拠を根拠としてミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)り身柄を拉致・拘束・監禁する。

キラと戦うことが非常に危険であることを認識した日本の司法組織はエルに全権委任をしているために・・・エルは無法者と化しているのだった。

日本におけるキラ事件の捜査官のリーダーである夜神総一郎(松重豊)とその部下たちは絶対権力者であるエルに服従するしかないのであった。

仏の模木完造(佐藤二朗)、久しぶりの日村章子(関めぐみ)、ちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)は社会的常識に照らしあわせて・・・エルの行きすぎを感じる。

しかし、偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)だけは・・・少しエルに共感するのだった。

「まともじゃないことが起きているのにまともにやってられるか」という心境になりつつあるのである。

家族よりも警察官として治安を守ることが大切な総一郎も・・・息子であるライトがキラである可能性を否定できずに・・・エルに対する批判を控える。

おそらく・・・ワタリ(半海一晃)の変態的趣味の延長線上の準備により・・・拷問具的拘束状態におかれるミサミサ。

その太ももはハムのように緊縛され、股間は締めあげられている。

何故か、顔を見られることは自殺行為と妄想するエルはミサミサに目隠しを装着している。

「あなたは・・・第二のキラなんでしょう」

「・・・」

「そして・・・第一のキラが誰かを知っているのでしょう」

「・・・」

「第一のキラは誰なんですか」

「・・・」

「黙秘ですな・・・電流を流しますか」

「この時期・・・それはいろいろと差障りがあるだろう・・・それにお茶の間は拉致・監禁までは我慢できても拷問は絶対ダメと拒絶する可能性ある」

「また・・・きれいごとを・・・」

「大衆はサイコパス予備軍であっても・・・サイコパスではないのだから仕方ない」

「じゃあ・・・どうするのです」

「くすぐりプレイはどうだ」

「それは逆な意味で事務所NGです」

「ち」

しかし・・・追い詰められたミサミサは・・・愛するライトを守るために・・・命を捧げる覚悟である。

「殺して・・・私を殺して」

何故か、ミサミサを庇護する死神のレム(恒松あゆみ)は・・・ミサミサを苦悶から救うために・・・デスノートの所有権を放棄するように・・・ミサミサに指示する。

ミサミサは・・・ライトを守るために同意するのだった。

恐ろしいデスノートのテクノロジーは・・・ミサミサの記憶からデスノート関連項目のみを削除することができるのだった。

心理学者や脳神経科学者が羨望するテクノロジーである。

デスノートの所有権を失ったものは・・・デスノートに関する記憶を失うのである。

ライトの部屋にやってきたレムは事情を説明して、ミサミサの救出をライトに懇願するのだった。

「死神の目はどうなった・・・」

「所有者でなくなれば能力は消失します」

「・・・」

「ミサミサを助けることができないのなら・・・あなたを殺します」

「おいおい・・・どんだけ一人の人間にいれこむんだよ」

リューク(福島潤)は死神的倫理観を言い出すのである。

「お前が言うな」

「ち」

「わかった・・・俺が・・・なんとかするよ・・・しかし・・・それにはレムの協力が必要だ」

「おいおい・・・お前、悪知恵が働く様になったな」

「デスノートのパワーが俺に超知性を与えているのだろう・・・自分でも不思議なほど・・・アイディアが浮かんでくる」

「ははは・・・おもしれえ・・・ライトを選んだ俺の目に狂いはないねえ」

川栄李奈のように自画自賛するリュークだった。・・・おいっ。

一部の記憶を失ったミサミサは・・・ストーカーに拉致されたアイドルとして天真爛漫にふるまう。

「ダメだよ・・・いくら私のことが好きでも・・・これは犯罪だよ」

「え」

異常事態に唖然とするエル。

「ストーカーさん・・・心をいれかえなさい」

「きききき君は・・・ララララライトくんのことをどう思ってるの」

「愛してる・・・」

「ラララララララライトくんがキキキキキキラなんだよね」

「ええ~、どういう意味~」

「・・・」

「なんだか・・・別人になったようだ」

「こうなったら・・・もう・・・ライトくんと直接対決です」

しかし・・・ライトは妹の粧裕(藤原令子)に「旅に出ます」と置き手紙を残し出奔である。

死神たちに警戒させて・・・隠密裏に・・・どこぞの山奥にデスノート(赤)を隠蔽するライト。

そして、ライトはレムにデスノート(赤)を「慾深い人間に拾わせること」を指示する。

「なんだか・・・いきあたりばったりな計画だな」

「俺はデスノートによって・・・犯罪のない世界を作るという野望に目覚めた・・・その心があれば・・・俺はもう一度デスノートにめぐり会うことができるのだ」

「・・・」

死神たちは人間の考えることを興味深く見守るのだった。

そして・・・エルの前に姿を見せるライト。

「これだけ疑われるとなると・・・俺がキラなのかもしれない」

「おやおや・・・」

「だから・・・気のすむまで・・・俺を調べてくれ」

「・・・」

「ミサミサのことは解放してくれ」

「それはできません・・・彼女には・・・物証があります」

「キラは・・・手を触れないで心臓麻痺を起こせる奴なんだろう・・・そんな証拠ぐらいいくらでも捏造できるかもしれないじゃないか」

「そんなこと言われると・・・すべてが私の一方的な決め付けみたいになるじゃないですか」

「違うのかい・・・」

「とにかく・・・君が望むなら・・・君を拘束しますよ・・・」

やがて・・・謎の闇の集会が開催される。

集うのは正体不明の男たち。

彼らは「キラの力」を使って・・・暗殺を開始するのだった。

デスノートを所有するのが誰かは不明である。

一方・・・東京検察局の検事・魅上照(忍成修吾)は密かにキラにシンパシーを感じているらしい。そして・・・「ハリウッドで女優デビュー」が噂されるミサミサがキラなのではないかと疑い出すのだった。

地下アイドルにしか見えないのに国民的アイドルとして「隠密渡米」がスポーツ新聞の一面を飾るミサミサである。

憐れ「イチゴBERRY」はエルのために活動休止に追い込まれている。

ひどい奴だな・・・エル。

ワタリに買収されたマネージャー(中原裕也)はどんだけもらったんだよ。

監禁生活の果てに・・・精神失調の症状を示すライト。

「よし・・・嘘発見器を使おう」

「今さらですか・・・」

「だって・・・手詰まりなんだもん」

「また・・・勝手なことを・・・」

「ライトくん・・・君がキラなんだよね」

「もう・・・俺はプライドを捨てる」

あらかじめ決めた符牒で・・・リュークにデスノート放棄宣言をするライト。

「質問に応えてください・・・」

「いいえ」

「え」

「いいえ・・・いいえ・・・いいえ」

しかし・・・嘘発見器は反応しない。

「えええ・・・機械こわれちゃった・・・」

「いいえ」とワタリ。

「じゃ・・・ライトくんはキラじゃないの・・・僕の面目丸つぶれじゃん」

「でございますね」

「もう・・・僕は断定するよ・・・ライトくんはキラ・・・これ決定事項ね」

「・・・」

一方・・・独自の捜査を展開するニアことN/メロ(優希美青)は・・・エルの名を騙り・・・捜査班の目を第三のキラが関係していると思われる日本を代表する企業・ヨツバジャパングループに誘導する。

総一郎はエルの依頼によって・・・ライトを解放し・・・自分の命を賭けてキラに挑むのだった。

「キラは最初は・・・正義のための殺人をしていた・・・しかし・・・エルに追われてからは自分の身を守るために殺人をしている。もし・・・自分の息子がキラなら・・・警察官として許すわけにはいかない。お前がキラかどうかはわからない。もしもキラなら・・・たとえ父親だろうと私を殺すだろう。しかし・・・そうでなければ・・・お前を殺して俺も死ぬ・・・お前は天国に行き・・・私は殺人者として地獄に堕ちるだろう・・・許せ・・・ライト」

「お父さん・・・地獄があると・・・本気で・・・」

しかし・・・拳銃は空砲だった。

「私は生きている・・・だから・・・息子はキラではない」

「いや・・・キラは人の心を読めるのかもしれない」

「そんな・・・なんでもありじゃ・・・お手上げじゃないか・・・」

「ですよね・・・」

もちろん・・・これは「デスノートの世界」なので・・・「デスノート」をめぐる展開が続くのである。

デスノートの記憶を失ったライトは・・・父親の苦しい立場に同情するのだった。

「仕事をするって・・・大変なんだなあ・・・」

エルは・・・少し・・・困惑した。

ただのライト・・・ただのミサミサ・・・そして第三のキラと・・・エルとニア・・・複雑な鬼ごっこはまだまだ続くのである。

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2015年8月11日 (火)

あやまちはあの夏おこった(本田翼)僕はふりむかない(福士蒼汰)自分の気持ちを正直に(野村周平)

福士蒼汰の女性遍歴を考える。

デビュー作は「美咲ナンバーワン!!」であり、キャバクラ嬢で高校教師という香里奈の教え子の一人であり、除外したい。

また初主演の「仮面ライダーフォーゼ」のヒロインは同級生役のギンギンでおらおらの清水富美加だが・・・これも特撮ヒーローという特殊なジャンルなので除外する。

注目をあびたのは「あまちゃん」の主人公・能年玲奈の先輩で恋人役である。先輩後輩の間柄だが二人は1993年度生まれの同級生なのだ。

この後、「スターマン・この星の恋」では1980年度生まれの広末涼子、「弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜」では1992年度生まれの有村架純、「きょうは会社休みます。」では1984年年度生まれの綾瀬はるか、そしてコレである。

年下の恋人、同年代の恋人、年下の恋人ときてこれなのである。

同年代と言っても、本田翼も有村架純と同じ1992年度組で一つ年上なんだな。

つまり・・・年上の恋人限定の男なのである。

そういう企画ばかり・・・たてて・・・どうなんだと思わないわけでもないが・・・ビジネスなんだな。

今回は・・・お約束の三角関係のために・・・1985年度生まれの市川由衣が配置されている。

そういう時代なのか・・・狙いすぎなのか・・・。

ついでに・・・ヒロインの本田翼の1992年度組をあたっておこう。石橋杏奈がいて、石橋菜津美がいて、成海璃子がいて、剛力彩芽がいて、桜庭ななみがいて、忽那汐里がいて・・・前述の有村架純がいる年度。

役柄を考えると・・・かなり適役と言える。

とにかく・・・こうして・・・サイボーグとアンドロイドは恋をしているのだった。

で、『・第4回』(フジテレビ20150810PM9~)脚本・桑村さや香、演出・宮木正悟を見た。またしても「デス・ノート」とのチェンジならずである。やはり、作品として完成度が高いので時系列的に整理する対象にならないのだった。「デス・ノート」を語るよりも「恋仲」を語りたいわけである。善悪という意味では・・・蒼井翔太(野村周平)は「恋文」を盗み、都合よく利用しているわけで・・・完全な悪である。人の恋路を邪魔しているのも悪行三昧と言えるだろう。しかし・・・恋愛という意味では・・・それを成就するために手段を選ばない人間は優れていると言えないこともないわけである。悪い人間を好きになることなんて日常茶飯事なのだから。発端がたとえ・・・策略であったとしても・・・芹沢あかり(本田翼)は五年間の交際で翔太を愛しているわけである。三浦葵(福士蒼汰)は悪事は働いていないが恋愛については消極的であり、意中の人を寝取られた間抜けであるとも言える。この辺りの匙加減が絶妙なんだな。

善良な人々にとって・・・翔太の悪事が発覚した以上・・・葵とあかりは結ばれて当然なので・・・この後の展開が読みにくいわけである。

しかし・・・あかりは五年間の間に翔太といろいろなことをしてしまったのであり、葵はそのことを妄想せずにはいられない。そして、あかりも葵が妄想することを妄想する。なかなかに・・・素直には喜べない状況である。

そういう・・・あれやこれやを乗り越えて二人がハッピーエンドになるのはものすごく高いハードルがある。

一方で・・・翔太は・・・どんなことをしても手にいれたかった葵を手に入れたものの・・・結局・・・抱えきれずに手放してしまう。しかし・・・五年間に渡っていろいろなことをしてきた実績があるわけである。情というものの不思議さを考えると二人が復縁するのはそれほどハードルは高くないような気がする。

だから・・・二人のアオイがあかりを獲得するレースはここからが本番なのである。

まあ・・・童貞や処女には分かりにくい問題かもしれません。

とにかく・・・臆病者の葵と卑怯者の翔太の間で・・・翻弄されるヒロインという意味ではあかり最高と言えるだろう・・・。

もちろん・・・主人公特権で・・・葵は勝利するでしょうけどね。

葵に返したはずのラブレター付きのコミック「ワンピース・第51巻」を翔太の部屋で発見したあかりは翔太と二人で飲もうと思っていた缶ビールをぶらさげて帰宅する。

同居人の高梨恵里香(馬場園梓)は「肉じゃが」を作りすぎたのでお裾わけをしたら暴言を吐かれたとぼやく。

「そんなまずそうな肉じゃがは見たことないですって・・・人のいいおじさんだと思っていたのに・・・人間の本性ってわからないものね・・・」

五年間交際していた恋人が自分を騙していたのかもしれないと疑心暗鬼になっているあかりに突き刺さる言葉。

あかりは思わず・・・缶ビールを恵理香に譲渡するのだった。

一方・・・交際中、冴木瑠衣子(市川由衣)が他の男に情を移したために破局した過去を持つ二人・・・葵と瑠衣子は・・・旧交を温めていた。

瑠衣子は結局、浮気相手とも別れ・・・葵と復縁するために積極的なアプローチを仕掛けている。

自分が知らない間に・・・あかりと翔太が・・・深い関係になっていることを知った葵は・・・心の動揺を鎮静化させるために・・・かって自分を傷つけた相手に心を許し始める。

結局・・・葵は「一途な恋」をしているのである。

あかりへの初恋を心に潜ませたままで瑠衣子と交際したことが・・・破局の一因であったことは否定できないのだった。

あかりと翔太が結婚し・・・倫理的に手が届かない関係になる未来に備えて・・・パートナー選びをしなければならない・・・葵の中で打算が働いている。

年下の恋人を再び、捕獲する・・・自信満々の瑠衣子は再会を約束して別れた後でそっと振り返る。

しかし・・・葵はまだ振り返らないのだった。

瑠衣子は急がない・・・タイムリミットが迫っているのでより慎重なのである。

夜の交差点は・・・人々の出会いと別れを静かに見守っている。

年頃になって花開いた七海(大原櫻子)に夢中になった公平(太賀)は悶々としている。

「お兄さん・・・どうしよう」

「だれが・・・お兄さんなんだ」

「だって・・・七海ちゃん・・・つれないんだもん」

「少しは・・・相手の気持ちも考えろ・・・七海だって就職活動中という重要な時期なんだぜ」

「・・・」

童貞と童貞ではないものの越えられない壁である。

研修医・翔太の担当患者である山城心音(大友花恋)の家庭教師として病院を訪れたあかり。

見舞いに来ていた心音の幼馴染が花火見物の約束を交わしていることを知り・・・暗澹とする。

翔太に会っても真相を問い正す勇気が湧かないあかりだった。

「昨日・・・家に来た?」

「いいえ」

「お茶でも飲まない」

「ごめん・・・バイトがあるから」

帰宅したあかりは餌の過剰投与による金魚虐殺に着手する。

異変に気がついた恵理香はあかりの相談に乗る。

バイト仲間として付き合いの長い二人である。

「それじゃ・・・葵くんに手紙が届かなかったってこと・・・つまり・・・ふられていなかったってこと・・・」

「・・・」

「でも・・・誤解かもしれないよ・・・翔太くんに聞いてみれば・・・」

「そんなこと・・・こわくてできない」

「じゃ・・・葵くんに手紙のことを確かめたら・・・」

「・・・」

この時点で・・・あかりにとって翔太は失いたくない恋人・・・葵は何でも相談できる幼馴染なのである。

もちろん・・・葵には・・・初恋という思い出がある・・・それは失恋に終わったと思いこんでいたあかりは・・・心を疼かせる。

初恋は秘められたままだったかもしれないのだ。

スピーチによって幼馴染夫妻の離婚の危機を救った葵は・・・雇用主の丹羽万里子(吉田羊)に冷やかされる。先輩の磯原新一(永井大)は葵に「設計コンクール」への応募を奨める。葵の前途は輝き始めていた。

目敏い同僚の富永美玲(山本美月・1991年度生まれ)は「瑠衣子との復縁」を盗撮していた。

「あのな・・・葵くん・・・瑠衣子さんのこと・・・どう思ってるの?」

とんこさんじゃないと何度言ったら・・・。

帰宅した葵は公平が七海をバーベキューに誘おうと計画していることを知る。

しかし・・・ぱるるな対応をする七海。

「私は車のない人とはバーベキューをしません」

仕方なく・・・助け舟を出す葵。

「じゃ・・・瑠衣子に頼んでみるよ」

瑠衣子にとっては渡りに船である。

葵との親密な時間のために・・・お嬢様パワーで・・・豪華な海辺の別荘を準備するのだった。

全方位的に空気を読まない公平はあかりと翔太を誘うことを発案。

兄想いの七海は厳しく咎める。

しかし・・・葵は・・・初恋を過去に葬り去るために激しく同意するのだった。

「お誘い合わせの上・・・お越しください」

しかし・・・あかりは翔太を誘うことはできない。

葵に確かめることがあるのだ・・・。

一方・・・立ち位置の不明だった研修医・沢田一葉(新川優愛)は翔太にただならぬ好意を寄せていることが判明する。

「・・・変な男にお金を渡していたでしょう・・・何か心配ごとがあるんじゃないの」

「君には関係のないことだ・・・」

しかし・・・一葉は面会者名簿によってそれが芹沢寛利(小林薫)であることを確認する。

さらに・・・あかりが・・・心音に貸した使い古しの辞書から・・・芹沢あかりの名前を突き止める。

一葉も特権階級に属する女らしく・・・探偵に命じて・・・翔太の周辺を調査させるのだった。

「あの男って・・・彼女の父親なんでしょう・・・何かよくないことに巻き込まれているんじゃないの」

「君には関係のないことだと言ってるだろう・・・」

あの日・・・あの本を盗まなければ・・・。

研修医カップルが誕生していた夜だったのかもしれない・・・。

バーベキューの日・・・空は晴れ渡り・・・みんなははしゃいでいた。

しかし・・・遅れてやってきたあかりは晴れ晴れとはしていない。

そして・・・瑠衣子もあかりの参加に顔を曇らせる。

そういう気配を七海は察知する。

しかし・・・葵と公平は鈍感にドライブを楽しむのだった。

通俗的な男と女の描写。

そして・・・葵へのサービスにあふれる瑠衣子が用意した素敵すぎる海の家。

例によって・・・事情も知らず空気も読まない公平は・・・「楽しい夏の一日」を翔太にメールで通知するのだった。

心に雷鳴が鳴り響く翔太。

キッチンで下ごしらえをする七海は買い出しに出た公平のことを葵に冷やかされる。

「このイベント・・・七海ちゃんのために企画したみたいよ」

「告白して玉砕して橋の上から身を投げるような奴の企画ですよ」

「・・・」

「私は・・・もっと一途な人がいい。そういう人を守ってあげたい・・・その人を苦しめるすべてのことから」

「音楽の教科書ね」

「お兄ちゃんとあかりさんは私の理想でした・・・」

「え」

「幼馴染で相思相愛で・・・」

「そんなことないよ」

「そうですか・・・少なくともお兄ちゃんはあかりさんのことをずっと好きだったと思うけど」

「・・・」

テラスでは葵と瑠衣子が磯辺を見ながらバーベキューの準備を始めている。

「あかりさんとのことは・・・終わったって言ってたけど・・・」

「え」

「しばらくぶりに一緒になって・・・もう一度やり直したいと思ったりはしないの」

「・・・それは・・・ないよ」

男と女の復縁については二重の意味が込められている。

瑠衣子は戦闘モードに入るのだった。

「私は・・・あなたと・・・もう一度やり直したいと思っている」

「・・・」

「返事は・・・今でなくていいの・・・考えてみて」

「・・・わかった」

あかりは翔太と幸せになった。去って行った瑠衣子が戻ってきたがっている。

それでも・・・ためらう葵だった。

ある意味・・・この性格が悲劇の原因なのである。

目的を達成した瑠衣子は葵を泳がせるのだった。

瑠衣子のガードが緩んで・・・葵と二人きりになることができたあかり。

二人は子供の時のように西瓜を食べて種を遠くへ飛ばす競争をする。

勝者はあかりである。

葵が消極的なのは・・・あかりが強い女だからでもある。

「聞きたいことがあるんだっけ」

「手紙のこと・・・」

「手紙・・・?」

「最後に手紙を机の中に入れておいたんだけど・・・」

「そんなの・・・知らないよ・・・手紙って何が書いてあったんだ・・・」

「来年・・・」

「来年・・・?」

その続きは言えないあかりだった。

今・・・告白しても・・・すべては遅すぎる。

あかりは・・・翔太の恋人なのだから。

「来年の受験の時・・・牛乳飲みすぎて・・・お腹をこわさないようにって・・・」

「なんだよ・・・それ・・・」

「だって・・・高校受験の時・・・下痢して大変だったじゃない」

「・・・」

あかりは嘘をついた。

葵は・・・嘘に気がつかない・・・。

お人好しだからである。

あかりは時を遡上する。

翔太と橋の上で再会した時のことを・・・。

葵が現れるまで・・・何時間も待って・・・哀しかったことを・・・。

それから・・・翔太と過ごした歳月。

しかし・・・翔太は・・・葵へのあかりの言葉を盗んでいたのだ。

ずっとずっと・・・そのことを秘密にしていたのだ。

あかりを騙し続けていた。

卑劣な裏切り行為。

そして・・・そういう翔太を愛している自分・・・。

「あなたと過ごしたいくつもの夏が・・・すべて嘘だったなんて・・・」

夏をエンジョイする仲間たちの中で一人・・・あかりは孤独を抱きしめる。

決着をつけるために・・・病院にやってきたあかりを・・・恋に狂った一葉が待ち受ける。

「あなたのこと・・・調べさせてもらいました」

「え」

「あなたの父親は・・・造船会社を倒産させて借金に追われているそうね」

「ええ」

「この間・・・蒼井先生はあなたの父親に金を渡していたわ」

「えええ」

「父子で・・・蒼井先生を騙しているのでしょう・・・もう、蒼井先生には近付かないで・・・」

「・・・」

明るい世界で・・・事務所のメンバーに瑠衣子との復縁をいじられる葵。

しかし・・・童貞でとんこさん・・・いや美玲に片思いをしているらしい小谷照吉(前野朋哉)だけは毒づく。

「恋っていうもんは・・・一途なもんやろ・・・よりをもどすくらいなら・・・最初から別れんといてや」

「そうとは言えないわよ」と大人の意見をのたまう万里子・・・。「相手の長所も短所もわかっていて・・・やり直そうというなら・・・それも愛じゃないかしら」

葵の心をどんどんと瑠衣子に傾かせる世界なのである。

暗い世界で・・・あかりは翔太を待ち伏せする。

「なんだよ・・・灯りもつけないで・・・」

「お父さんに会ったの・・・」

「・・・」

「私が・・・どんなにか・・・お父さんに会いたいと思っているか・・・知っているでしょう」

「葵が・・・工事現場でお父さんを見かけたって・・・」

「どうして・・・教えてくれなかったの・・・お父さんのことを一緒に捜してくれてたのは・・・きっと会えるって元気付けてくれたのは・・・嘘だったの・・・あの日・・・私が・・・橋の上で待っていたことを知っていたみたいに」

「え」

「なんで・・・葵に返したはずの本が・・・あなたの机の中にあるのよ・・・」

「君のことをずっと好きだった」

「・・・」

「だから・・・葵と君を会わせたくなかったんだ・・・だけど・・・ずっとこわかった・・・君が葵のことを忘れないんじゃないかって・・・」

「・・・」

「だから・・・葵が東京にいることを知って・・・君を葵に会わせてみた・・・それでも・・・君が僕を選んでくれることを確認して・・・安心したかった・・・」

「安心・・・私はずっと・・・あなたに会えてよかったと思っていたのに・・・あなたの恋人になれてよかったって・・・あなたを愛していたのに・・・あなたはずっと・・・わたしのことを疑っていたの」

「だって・・・そうだろう・・・葵と再会して・・・君だって心が揺れただろう・・・この本を見つけた時・・・もしも僕が邪魔をしなければ・・・今とは違う運命が待っていたと・・・僕を怨んだだろう・・・」

「・・・最低・・・」

つまり・・・まだ・・・翔太とあかりは相思相愛なのである。

しかし・・・翔太は・・・あかりの愛を信じることができない。

そして・・・あかりは・・・愛が暗礁に乗り上げたことを悟る。

だから・・・あかりはこの世界から消えてしまいたいと思うのだった。

あかりの親友である恵理香は・・・帰ってこないあかりを案じて・・・翔太に連絡し・・・そして・・・すべての事情を察して葵に連絡する。

「あかりが・・・消えちゃった」

「え」

「翔太くんと何かあったらしいの・・・」

「ええ」

「どこにもいないのよ・・・」

「えええ」

仕事場から何もかも投げ出して葵は走りだす。

失ってはじめて大切さに気がつくことがある・・・自分の言葉が心に木霊する葵。

「翔太・・・何があったんだよ」

「終わったのさ・・・僕とあかりは・・・何もかも・・・」

青春は過ぎ去った・・・しかし、一つのあやまちから生じた愛の旅路は続くのだった。

なんて・・・王道なんだ・・・。

あかりのいた十八回の夏・・・あかりのきえた七回の夏。

二十五回目の夏はまたたく・・・。

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2015年8月10日 (月)

動けば雷電の如く発すれば風雨の如し・・・私は負けたことがない・・・どんな戦もこわくなかった・・・私負けたりするのは違うと思ってた(高良健吾)

一種の特異点として高杉晋作がついに歴史に登場する。

高杉晋作によって徳川幕府は敗北し、ついに滅亡するのである。

戦えば必ず勝つ・・・そんな恐ろしいものが歴史を決定していくのである。

そういうことがピンと来ない人はお茶の間にもあふれているし・・・このドラマの三人の脚本家たちも深い理解があるのかどうかはわからない。

しかし・・・どう描いても「絶対に負けない人」というのは絵になってしまうのである。

サッカーのゲームを見れば一目瞭然だ・・・ゴールしなければ得点できないし勝利しなければ記憶に残らない。

得点し、勝利したものだけが・・・リプレイされるのである。

だから・・・とにかく・・・高杉晋作のしたことを淡々と描くだけで・・・大河ドラマっぽくなってしまうのである。

今回は五十代脚本家の担当である。

メインライターではないが・・・「柳生十兵衛七番勝負 最後の闘い」とか「慶次郎縁側日記」とか・・・一応時代劇のキャリアがあり・・・主人公以外の歴史的な人物の活躍をどうにかこうにか描いています。

とにかく・・・大日本帝国の成立に向けた史実が展開していくわけであり・・・それが・・・世界的な不幸を招いた事実であるという認識を強要される社会ではいろいろと困難が伴うことは察するしかないんだな。

ましてや・・・四十代の「電車男」の脚本家や、三十代の「1リットルの涙」の脚本家には多くを望まないことである。

彼女たちは・・・「戦後」のことさえ・・・体験してないわけで・・・。

もはや、戦後ではないことしか知らないわけで・・・。

幕末のことなんか・・・理解不能のお年頃なのだ。

そういう歴史の勉強には時間がかかるからねえ。

よほど好きじゃないと燃えないだろうしねえ。

で、『燃ゆ・第32回』(NHK総合20150809PM8~)脚本・宮村優子、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は三回目のお色直し・・・絶対に負けない男・高杉晋作の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。奇しくも長崎原爆忌のオンエア。圧倒的な攻撃力というもので・・・高杉晋作と原子爆弾は相通じるものがございますねえ。自然というものが・・・高杉晋作を生みだしたように・・・原子爆弾も生み出したと考えることもできます。なんとも恐ろしいことですが・・・それが真実というものでございましょう。アドルフ・ヒトラーがいなければ・・・第二次世界大戦は起こらなかったと同じくらい・・・高杉晋作がいなければ明治維新は起こらなかったと申せましょう。そういうものは・・・ストレートに描くだけで充分に魅力的なのですが・・・そういう「怪物」が誕生する背景をきっちりと描いてこその・・・ドラマだとも考えます。吉田松陰の死、久坂玄瑞の死・・・それが高杉晋作を生む。それだけで充分なのに・・・いろいろとまぜるので・・・なんだか薄味になってくる。百五十年も前の事実を描くのさえ・・・色濃く描けない・・・なんて不自由な時代なんだ・・・と瞑目するのみです。

Hanam032元治元年(1864年)12月28日、長州藩恭順派は高杉晋作の挙兵を謀反として萩より下関にむけて追討軍を発する。追討軍は萩街道を南下して明木に本陣を構え、先鋒隊はさらに大田街道を南下し、絵堂に進出する。一方、すでに三田尻に進出し、藩庁により処刑された松島剛蔵によって創出されたと言える長州海軍を高杉晋作は掌握する。主力艦三隻は下関に回航される。幕府軍の撤退により、制海権は反乱軍のものとなった。萩と下関を結ぶ対角線の陸路の中間点は秋吉台の南西、伊佐付近である。しかし、脱走した赤禰武人に代わり奇兵隊総督代理となった山縣狂輔はすでに伊佐から秋吉台の山中に進出していた。旧式な追討軍と新式の反乱軍との速度差が覗われる。1月6日、奇兵隊は夜襲により、絵堂の追討軍先鋒隊を壊滅させる。奇兵隊を中心とする反乱軍は大田街道を南下し、大田川と大田街道を結ぶ地点に拠点を構築する。絵堂を通過し、南下を開始した追討軍主力は待ち伏せにより各個撃破される。14日、大田街道の呑水峠で本格的な激突。追討軍は撃破され後退、15日、高杉率いる遊撃隊か奇兵隊に合流、16日、敗走する追討軍を追撃し、これを壊滅させる。秋吉台周辺を制覇した反乱軍は山縣の提案により、東に進み、山口城を奪取する。21日、毛利敬親の使者として毛利元純は萩と山口の中間地点である佐々並で反乱軍との休戦交渉が開始される。23日、追討軍に撤退命令。2月10日、休戦交渉中の中立派(鎮静会)の武士が恭順派(俗論党選鋒隊)の武士に暗殺される事件が発生。休戦が終わり、反乱軍は北上を開始。14日に奇兵隊は萩の東側に位置する東光寺に進出。癸亥丸は萩に威嚇射撃を開始。15日、萩の西側に位置する玉江へ遊撃隊が進出し、反乱軍による萩包囲が完成する。恭順派による藩政府は瓦解し、首領の椋梨藤太は脱走する。

藩庁で佇む椋梨藤太は唖然としていた。

早馬によってもたらされる情報はすべて敗報である。

「どういうことじゃ・・・」

すでに・・・周囲に人はなく・・・椋梨藤太は孤立無援である。

突然、天井から・・・赤禰武人が舞い降りた。

「お頭・・・もはや・・・これまででござる」

椋梨藤太は長州における公儀隠密の頭である。

赤禰武人もまた・・・公儀隠密の一人であったのだ。

「なぜ・・・奇兵隊を・・・とどめ置かなかったのじゃ・・・」

「松下村塾の塾生として潜入し・・・これまで草として・・・忍んでまいりましたつもりが・・・すべて見抜かれていたようなのでございます」

「なんじゃと・・・」

「それにくわえ・・・高杉様のなされよう・・・まさに・・・下剋上そのもの・・・」

「下剋上とな・・・」

「武士の世は終わりじゃと・・・百姓、町人どもに吹聴しているのです」

「馬鹿な・・・何を言うか・・・」

「武士も百姓も町人もない・・・あたらしき世を作る・・・世直しだと申します」

「・・・そのようなことが・・・」

「戯言でございます・・・しかし・・・高杉様が語りだすと・・・誰もが踊りだすのです」

「・・・」

「反乱軍に・・・百姓どもは・・・隠していた米を差し出し・・・商人どもは大金を貢いでおります」

「・・・愚かしい・・・武士のなんたるかを・・・」

「武士でございますか・・・われらは忍び・・・高杉様に踊らされるのは不本意なれど・・・もはや成す術がございませぬ・・・御免・・・」

赤禰武人は消えた。

「もはや・・・これまでか」

椋梨藤太は誰もいない政堂をゆっくりと後にした。

赤禰武人は萩から西へと抜けて行く。

比較的、包囲が薄いことを知っているのである。

冬の枯れ木の山を駈ける武人。

不意に殺気を感じ立ち止まる。

武人は足元を見る。武人自身の影から現れたのは・・・伊藤俊輔だった。

「おぬしか・・・」

「やはり・・・幕府の犬だったのですね」

「・・・まさか・・・椋梨様のことを・・・」

「はい・・・ずっと・・・あなたの影に潜んでおりましたから・・・」

「お前・・・忍びだったのか・・・」

「長州の隠し目付けでございます・・・」

「しかし・・・今の術は・・・」

「はい・・・飛騨流・・・青影の術・・・」

武人は樹上に飛びあがった。

その一瞬、俊輔に伊賀十字撃ちの手裏剣が飛ぶ。

しかし、すでに俊輔は・・・武人の背後にあった。

「なんと・・・」

「はい・・・甲賀流・・・猿飛びの術・・・」

「おぬし・・・」

「はい・・・豊臣家に仕えた甲賀と飛騨の二流の術を継承する・・・仮面の忍者にして猿飛佐助・・・それが・・・伊藤俊輔です」

「もはや・・・これまでか・・・」

「いえ・・・お逃げなされ・・・あなたのお役目は・・・すみましたゆえ・・・」

「忍びに情けなど・・・」

しかし・・・すでに・・・俊輔の姿は消えていた。

敗北感に苛まれながら・・・赤禰武人は西へ・・・。

美和は休戦中の元治二年二月七日に初産を終えた銀姫の身を清めながら・・・すべてを見ていた。

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2015年8月 9日 (日)

何が欲しいのか今もわからない(松山ケンイチ)スイカを抱きしめて(前田敦子)片思いの夏休み(満島ひかり)

母親たちは子供をさがしている。

あどけない寝顔で寝息をたてる子供を。

夏の浜辺で水しぶきをあげる子供を。

玩具売り場で泣きわめく子供を。

うるさいほどにまとわりつく子供を。

しかし・・・時は流れて行く。

あの子供たちはもういない。

スイカを食べていた子供たち。

花火を見上げていた子供たち。

日焼けで黒くなった子供たち。

あの子供たちはみんな大人になってしまった。

母親は耳をすます。

どこかで子供たちの声がする。

胸が騒ぐ。

しかし・・・もうあの子供たちはいないのだ。

で、『ど根性ガエル・第5回』(日本テレビ20150808PM9~)原作・吉沢やすみ、脚本・岡田惠和、演出・菅原伸太郎を見た。不思議な友達は・・・王道の展開である。時にはオバケ、時にはロボット、時には怪物、時には忍者・・・しかし、中学生になっているのにカエルのお化けと付き合っている主人公は・・・やはり、少し、発達障害の気配がある。アダルト・バージョンになって・・・それが・・・リアルに描かれる。リアルなのに・・・平面ガエルが実在している以上・・・ファンタジーなのである。なんとも・・・奇妙な世界・・・そこに漂う哀愁。これは・・・凄いね。凄すぎるね。

子供たちの夏休みと言えば早朝のラジオ体操である。

物干し台で・・・ピョン吉(満島ひかり)は母ちゃん(薬師丸ひろ子)と深呼吸をする。

体調不良のピョン吉を気遣って・・・母ちゃんは健康法を指南するのだ。

「深く吸って・・・吐いて」

「すうううううううはああああああああ」

ど根性な肺活量は洗濯物を吹き飛ばす。

夜勤明けの五郎(勝地涼)はひろしのパンツを受けとめるのだった。

「ありがとう・・・朝ごはん食べていきな」

「ごちになるでやんす」

ひろし(松山ケンイチ)と食卓を囲む五郎。

母ちゃんはピョン吉のためのスタミナメニューとしてイナゴの佃煮を用意する。

警察官の直感で・・・違和感を感じる五郎。

しかし・・・ピョン吉は・・・虫が苦手な体質になっていた。

ひろしは呑気に・・・クワガタ捕りの話をする。

「こんな街でクワガタなんて捕れるはずないのに・・・何が楽しかったんだろう」

「でも・・・楽しかったでやんす」

ひろしと五郎の小学生時代の思い出・・・。

中学生のひろしと出会ったピョン吉にとってそれは知られざる過去であった。

その日はゴリラパン創業30周年のイベントがあり・・・ひろしと母ちゃんは・・・早めに出勤する。

残された五郎とピョン吉。

五郎は・・・実は長年の夢だった・・・ピョン吉Tシャツを着ることをピョン吉に願い出る。

五郎とピョン吉のコンビ誕生である。

一人と一匹は街に出るのだった。

五郎・・・夜勤明けなのに・・・タフだな。

ひろしは・・・朝礼で・・・早くもふてくされるが・・・恒例行事の「新入社員の一日社長」に色めき立つ。

京子(前田敦子)との一日社長争奪激辛ゴリラパンゲームで・・・当たりを引き・・・退屈な日常に風穴をあけるのだった。

ノリノリで社長ごっこを始めるひろしに・・・母ちゃんと京子はため息をつくのだった。

しかし・・・腐っても主人公である。

営業もしないのに・・・社長室に座っているだけで・・・ゴリラパンの大量発注が舞い込むのだった。

「ゴリラパンを五千個ですと」

「単価は60円です」

一日社長秘書を務めるゴリライモこと五利良イモ太郎(新井浩文)は素人のひろしを補佐する。

発注してきたポンポコ商事はかってゴリライモが営業したが注文をとれなかったイベント会社だった。

社長を演じるのは手塚とおるなので・・・すでに・・・きな臭いわけである。

五千個の増産を開始するゴリラパン工場・・・。

その頃・・・街に出たピョン吉と五郎は・・・。

梅さん(光石研)とよし子先生(白羽ゆり)の十六年におよぶいつものプロポーズ失敗につきあい、町田校長(でんでん)と「やってみたいこと」について語りあう。

「五郎のやってみたいことってなんだい」

「そうでやんすね・・・車の走っていない車道を横断するとか」

「ひろしはいつもやってるぜ」

「しかし・・・公僕である立場上・・・できないのでやんす」

そこへ・・・老婆が巨大西瓜を二個・・・放出するという惨事が発生する。

坂道を転げ落ちる西瓜。

その行く手には・・・乳母車を押す母親がいて・・・このままでは大惨事発生である。

車道を横断して救助に向かうピョン吉と五郎。

五郎は夢を叶え、母子を西瓜追突事故から救うが・・・ピョン吉の体調不良に気がつく。

ピョン吉は発熱していた。

あわててパン工場に向かう五郎。

しかし、大量発注に浮かれるひろしはピョン吉の異変には気がつかない。

ピョン吉もひろしの邪魔にならないように病状を隠すのだった。

結局・・・母ちゃんと京子がピョン吉を看病するのだった。

五郎が着衣中のピョン吉を撫でさする母ちゃん。

鈴鹿ひろみに乳首周辺を愛撫された前髪クネオは必死に耐えるのだった。

あきらかに狙っています。

それは邪推だろうがっ。

京子はピョン吉の頬に梅干しを貼って少し可愛くデコレーションするのだった。

ピョン吉は・・・雄ガエルだが・・・明らかに13人に一人のタイプを示している。

ひろしが・・・好きなんだよな。

男と男の垣根を越えて・・・。

それも邪推だろうがっ。

でも恋をした

でも片思い

そこかっ。

「卸値は40円の約束でしたよね」

「え」

納品に来たひろしにふっかけるタヌキな社長・・・。

ひろしは困惑するが・・・。

「つまり・・・予算不足で・・・最初から値切るつもりでウチに発注したんですね。いいでしょう・・・その代わり・・・今度は儲けさせてください」

ゴリライモは冷静に損して得とれ的対応をするのだった。

「そんな・・・」と納得のいかないひろし・・・。

「あいつは・・・最初から俺を騙すつもりで・・・汚いよ」

「いいんだ・・・これも商売のかけひきだから・・・」

「それが・・・大人になるってことか・・・」

「台所事情はどこも苦しいし・・・やりくりが必要なだけだよ」

「お前に迷惑かけたんじゃ・・・」

「大丈夫・・・40円ならギリギリ原価割れしてないよ・・・トントンだ」

「・・・」

またしても・・・ゴリライモが一人だけ大人になってしまったようで・・・淋しさを感じるひろしだった。

そんなひろしの心の鬱屈を察する一同。

梅さんの寿司屋で創業の祝いの宴を開催である。

「俺は・・・情けないよ」

「情けないってことがわかるなんて大人になったね」とどこまでも甘い母ちゃん。

「俺は・・・自分が何をやりたいのかさえ・・・わからない」

「究極の片思いだねえ」と目を細める京子のおばあちゃん(白石加代子)・・・。

ピョン吉は・・・人間たちの会話に耳をすます。

帰り路・・・京子はゴリライモに問う。

「なんで一日社長なんて始めたの」

「俺だって・・・しんどいのさ・・・一日くらい・・・休みたい」

「そうか・・・」

ゴリライモが苦しんでいることに安堵する京子。

京子だって苦しくないはずはないのである。

ひろしは・・・ひょっとするとすべてを理解してバカを演じている可能性が浮上する。

翌日は日曜日、ピョン吉はおねだりをするのだった。

「クワガタ捕りに連れてってくれよ」

「なんでだよ」

「だって・・・いるのか・・・いないのか・・・わからないから・・・ドキドキするだろう」

母ちゃんはピョン吉の意図を察するのだった。

「そうだね・・・クワガタ捕りに行こう」

公園でスイカを抱えた京子や・・・不眠不休で勤務につく五郎と合流する。

ひろしは・・・主人公パワーで樹上のクワガタを発見。

子供のように木登りを始める。

ひろしとピョン吉を見守る母ちゃんと五郎と京子。

三人は・・・ピョン吉の異変に気が付いているのだった。

「ピョン吉はもしかして・・・」

「・・・」

不吉な予感に黙り込む三人。

「昔は京子ちゃんもパンツ丸出しで登ってたわよね」

沈黙に耐えかねて鈴鹿ひろみと化す母ちゃん。

「昔の話ですよ・・・もう・・・アイドルじゃないし」

しかし・・・ピョン吉は叫ぶ。

「おいらはさ・・・カエルだから・・・人間より・・・早く死ぬかもしれないよ・・・でも・・・そんなの嫌だよ・・・俺はひろしとずっと生きていたい・・・だってずっと一緒だったもの・・・カエルがダメなら・・・人間になりたいよ」

「何言ってんだ・・・」

「・・・何でもない・・・いつ死ぬかわからないから・・・楽しいって話さ」

「うん・・・そうだな・・・わからないのは・・・楽しいよな」

さりげなく・・・たちあがる・・・ひろしの一生の終わりの予感。

クワガタに手が届きそうな一瞬。

ひろしは樹上から落下する。

絶体絶命・・・しかし・・・母ちゃんが教えてくれた深呼吸が役に立つのだった。

吐息式ホバリングである。

その風でもめくれない京子のロングスカート。

もはや・・・アイドルではないんだなあ・・・。

アイドルならマリリン・モンローみたいに・・・いつの話だよっ。

セーラー服と・・・。

ピョン吉のど根性を見た一同は・・・その健気さに・・・自分自身を省みる。

ひろしとピョン吉と京子の三角関係でもうっとりしたい今日この頃である。

京子の離婚相手は・・・出さないつもりなのか・・。いや・・・そうもいかないだろう。

気になるものなあ・・・。

「銭ゲバ」か・・・「はらちゃん」から・・・誰か来るかな・・・。

アイドルかヤサグレか・・・それが問題だ。

その二者択一しかないのかよっ。

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2015年8月 8日 (土)

ダメな父親の娘なのね(芳根京子)ダメな父親の娘なのよ(吉本実憂)まれなことではありません(松本来夢)

静岡県西伊豆町の獣害対策用の電気柵による感電死亡事故の電気柵設置者が自宅の庭で首つり自殺をした。

事故も哀しいが・・・結末も憐れである。

現実というものは基本的に哀しくて憐れなものなのである。

もちろん・・・人間を感電死させるような物騒なものを設置することの危険性についての認識の問題がある。

「危険」の認識は・・・そう簡単なものではない。

もちろん・・・核兵器の「危険さ」は簡単に認識できると誰もが考えるだろう。

しかし、核兵器が溢れる世界で・・・核兵器を持つ危険、核兵器を持たない危険の両方を吟味する必要がある。

持っていなければ使われないとは限らないのが・・・ヒロシマやナガサキで明らかになっているからである。

すべてを廃絶するべきだという意見も・・・もしも宇宙から核兵器でしか破壊できない天体が地球衝突コースにのった時・・・急には製造できないという心配に対応していない。

危険を考えること・・・それは結構・・・馬鹿馬鹿しい場合がある。

だが・・・そういうことまで考えないで核廃絶を訴える人間は・・・賢いとは言いかねる。

一方的に戦争嫌悪を叫ぶニュース番組のキャスターたち。

自殺した中学生の担任教師に対する無思慮で攻撃的なコメント。

そういうことはすべて間抜けなことだ。

そういうことこそ反省すべきなのである。

まあ・・・ビジネスなので・・・反省してもやるんですけどね・・・彼らは。

で、『表参道高校合唱部!・第4回』(TBSテレビ20150807PM10~)脚本・櫻井剛、演出・池田克彦を見た。人生に困難はつきものである。しかし、金メダルを掴むものは必ずいるのだ。才能や努力や運も大切だろう。しかし、最後は精神力がものを言う。勇気とか根性とか無神経とかそういうものだ。・・・おいっ。時には世界は空気を読まないものに微笑む。鈍感万歳である。精神的なタフさこそが・・・この世の原動力なのだ。このドラマの主人公の面白さは・・・まさにそこにある。

合唱魔法少女・真琴(芳根京子)は滅亡しかけていた表参道高校合唱部に香川県からの転校生として出現する。

合唱家族として生きて来た香川家。

しかし、うどんに魂を奪われた父親の香川雄司(川平慈英)が歌を忘れたことに激怒した母親の美奈代(堀内敬子)は離婚をつきつけるのだった。

真琴は・・・夫婦の危機を救うべく伝説の「愛の歌」を求めて東京にやってきたのである。

このバックボーン・・・脱力するしかないな。

「愛の歌」が隠された合唱部は廃部の危機にあったが・・・ネコ娘の里奈(森川葵)、ひきこもりの宮崎(萩原みのり)、ポンコツ野球部員・桜庭(堀井新太)を発掘し、謎のピアノ少女・桐星成実(柴田杏花)も召喚して・・・ついに部員定数の八人獲得を達成する。

歓喜にわく・・・魔法合唱部・・・しかし、何故か合唱部を敵視する天草教頭(デビット伊東)は「顧問のいない部活動は認められない」と宣言する。

合唱部顧問の鈴木有明先生(城田優)は元生徒・小山田周二(中河内雅貴)の母親(古村比呂)に訴えられたのである。

「どういうことなの」

真琴に事情説明を求められたために・・・大きくなった白夜行の子役・相葉部長(泉澤祐希)、眼鏡っ娘担当の佐々木美子(萩原みのり)、ハーフの山田アンドリュー(瑛)は淡々と答えるのだった。

コンクールで金賞を獲得するために・・・熱心すぎた指導をした鈴木先生が・・・小山田に本番で口パクを指示。歌うことを禁じられた小山田はショックで自殺未遂・・・一命はとりとめたもののそのまま学校を退学・・・五年の歳月が流れたのだった。

「なんでいまさら・・・」

「ドラマだから・・・」

しかし・・・訴訟の裏には・・・真琴の天真爛漫さが憎くて憎くてたまらない闇の天使・優里亞(吉本実憂)の暗躍があった。

小山田の母親の焦燥に火をつけたのである。

「訴訟をとりさげてもらえるように本人に頼みます」

「そんな・・・生徒を巻き込むわけにはいかないわ・・・私はこれから小山田さんの家に行くけど絶対についてこないでよ・・・絶対によ」

「・・・はい」

「いや・・・そこはついていかないと・・・」

合唱バカの背中を押すステキ男子のトッキュウ1号こと夏目快人(志尊淳)・・・。

母親には面会拒否されるが・・・清掃会社でアルバイトをする小山田を尾行する「街角の探偵」・・・。タイトル落ちしたんだな。

かわいいよ、合唱バカかわいいよ・・・である。

「訴訟をとりさげてください」

「い・・・いやだ・・・」

「・・・」

その頃・・・原宿祭りが開催されるにあたり実行委員長(ミスターちん)は合唱部に近所の敬老会と子どものグループとともに合唱イベントをしてもらいたいと依頼。

B21スペシャル祭りなのか・・・。

指導者を欠いた合唱部は・・・老人と子供のパワーに制御不能となる。

一方、真琴の父親は二女の真弓(松本来夢)を連れて上京。復縁を迫るが・・・真琴の祖父母(平泉成・立石涼子)に撃退されてしまう。

真琴の父親は不良にからまれたホームレスを助けようとして惨敗する。

ホームレスは・・・優里亞の父親(加藤虎ノ介)だった。

ちなみに優里亞の母親を演じるのは原沙知絵である。

「ちりとてちん」の和田秀臣、徒然亭四草、緒方奈津子がトリオを構成しています。

ついでに優里亞の継父は「あぐり」の吉行淳之介を演じた山田純大。

真琴の母親の堀内敬子もつい最近「マッサン」に出ていました。

まあ・・・そこはかとなく漂う連続テレビ小説風味は仕方ないんじゃないか・・・。

「あまちゃん」の人も「純と愛」の人もいるし・・・。

・・・もういいかな。

経営者失格の父親たちは・・・娘たちがクラスメートだとは露知らず慰めあうのだった。

日本には店や工場をつぶす父親しかいないのか・・。

てんやわんやの合唱部を見かねた副顧問の瀬山えみり(神田沙也加)は鈴木先生を訪ねる。

「生徒たちの指導をお願いします」

「あんなことをしておいて・・・それはできない」

ドアの窓から心霊現象で現れた魔法少女は叫ぶ。

「そんなの・・・本人に聞かなければわかりません」

小山田に土下座して謝罪する鈴木先生。

「ぼ・・・ぼくには・・・あ・・・あなたが・・・ゆゆゆゆゆゆるせない」

鈴木先生が去っても食い下がる真琴。

「一体・・・何が許せないのですか」

「ぼ・・・ぼくは・・・お、おむすびが・・・た、たべたい人なので・・・」

「どもりですか」

「そ・・・それは不適切な言葉なんだな」

「き・・・吃音症的な」

「だ・・・から・・・と・・・もだちもいなくて・・・だけど・・・先生が合唱部にさそってくれて・・・な・・・ぜか・・・歌はどもらなかった・・・」

「あ・・・自分で言ってる」

「ど、どもりが・・・どもりと言ったら・・・も、問題ないんだな」

「・・・」

「と友達も・・・でできたし・・・た楽しかった・・・そそれなのに・・・せ先生は・・・う歌をう奪った・・・ぼ僕のい居場所を・・・ぼ僕の・・・ぜぜんぶを」

仕方なく魔法の歌を歌う真琴。

たたいせつなことは

ぜぜんぶここにある

ななくことわわらうことおおこることよよろこぶこと

合唱バカパワーに心を洗われ・・・合唱練習会場に転移する小山田だった。

鈴木先生を焼き鳥屋で説教する大曽根校長(高畑淳子)・・・。

「あなたを信じている」

「信頼に応えようとして・・・金賞狙いに走り・・・我を失ったボクはとりかえしのつかないことを・・・」

「女々しい・・・アムロのように・・・新しいガンダムに乗りなさい」

「・・・」

「運命の女神様が微笑むまで・・・何度でもやるのよ」

合唱部・・・老人と・・・子供と・・・小山田のいる場所へ鈴木先生がやってくる。

「よし・・・まずは夏の思い出を絵に描くことからはじめよう」

「え」

「お約束のリアクションありがとう」

子供たちの描く夏の思い出。

「さあ・・・みんな・・・思い出の絵の中に飛びこもう」

「・・・」

夏が来れば思い出す

水平線の彼方には

何かが待っている

サボテンには刺がある

覚醒剤撲滅キャンペーン

小山田は歌の力で復活するのだった。

邪悪な優里亞の姦計は・・・聖なる歌によって打ち砕かれるのだった。

邪悪な母親の邪悪な執着に呪縛される優里亞。

追い詰められた優里亞は・・・手下の竹内風香(小島梨里杏)のドラマのチョイ役出演を嘲笑する。

悪意を向けられた風香は・・・悪意を優里亞にむける。

ホームレスの父親と密会する優里亞は盗撮されるのだった。

まあ・・・合唱バカの聖なる歌声は・・・無敵なので・・・すべては時間の問題。

理不尽なことなんて気にしないのが一番。

楽しい音楽の時間は続くのである。

こういうドラマもたまにはないとね・・・。

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2015年8月 7日 (金)

人は殺して食べる生き物(北川景子)ただいま修行中(川口春奈)いかにも怪しい職員(橋本真実)

広島原爆忌である。

一国の首相がメッセージを述べる時に野次を飛ばす人間は慰霊というものを理解していないアホである。

人間が暴力衝動によって進化した生物であるという仮説に立てば・・・原子爆弾の使用はその一つの成果ということになるだろう。

一方で人間は・・・そういう人間的な衝動を悲しみ、反省し、後悔する性質も持っているという考え方もある。

多くの人間は暴力性と暴力に対する恐怖の相克の中で生きている。

想像するのも恐ろしい暴力の開花と・・・それを抑圧するための知恵。

人類の歴史は美しくもあるが時におぞましい。

そして未来もまた・・・似たようなものだと考える。

で、『探偵探偵・第5回』(フジテレビ20150806PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・森脇智延を見た。ミステリの一角を成すハードボイルド系では暴力が重要な要素となる。強さ(弱肉強食)と優しさ(平和共存)の対立軸が犯罪とそれを追うものを展開させるのである。妹の咲良(芳根京子)を失った紗崎玲奈(北川景子)は妹に「死」をもたらした原因を追い求める。そのために・・・暴力世界に飛び込んでいく。作品の本質に・・・由緒正しいハードボイルドの香りが立つのだ。うっとりするね。

暴力というものには様々な側面がある。

咲良を生きたまま焼却炉に投げ込んで死に至らしめた岡尾芯也(岡田義徳)は少女に対する偏愛に執着する異常者であり、その執念はストーカー的であった。

岡尾に不足していた調査能力を補ったのが正体不明の探偵「死神」である。

岡尾に対する情報提供は・・・暴力であると玲奈は考える。

だから・・・妹の死に対する報いを与えなければならないのだ。

弱体化する警察組織に浸透しようとした阿比留佳則(ユースケ・サンタマリア)は苛められた経験を糧として権力による絶対的な支配を渇望する。

そのための障害となる玲奈を殺害することも厭わない。

しかし、玲奈とスマ・リサーチ社の探偵たちは阿比留の仕掛けた狂言誘拐の茶番を暴き・・・その野望を挫く。

檜池(尾上寛之)は連続婦女暴行殺人犯である。

彼は多数のもぐりの探偵を雇用し、同時に複数の獲物を狩る犯罪者だ。

探偵たちはストーカー代行業を請け負っていた。

檜池の狙った獲物の所在を確認し、犯行の手助けを行っていたのである。

もぐりの探偵・堤(松尾諭)を追及し、被害者を救出し、瀕死の檜池を警察に逮捕させた玲奈はまさに無法者なのである。

なぜなら・・・暴力は暴力でしか制御できないのだ。

常に法治国家の建前に拘束され・・・平和的な解決を求められる捜査一課の窪塚刑事(三浦貴大)は・・・玲奈に特別な感情を抱くのである。

それは畏敬の念であり・・・そして嫉妬であった。

檜池の書棚に・・・「死神」の手による報告書を発見した玲奈。

入院中の檜池から・・・「死神」の情報を引き出そうとした玲奈は・・・窪塚が待機する病室への潜入を試みる。

しかし・・・すでに・・・檜池は何者かによって筋弛緩剤を注射され死亡していた。

玲奈は・・・「死神」の影を感じるのだった。

自宅療養中の峰森琴葉(川口春奈)は姉の織田彩音(中村ゆり)が・・・教育的指導と称して謝罪に訪れた玲奈を虐待している衝撃映像を発見する。

「一体・・・これは・・・なんなの・・・」

「こらしめてやったのよ」

「お姉ちゃんのしたことは・・・犯罪だよ」

優しい姉の隠された暴力衝動に驚愕した琴葉は・・・死線を乗り越えた仲間である玲奈の元へ復帰するのだった。

「見習いでも・・・ボランティアでもいい・・・私は探偵になりたい」

「・・・好きにすれば」

亡き咲良の姉である玲奈と・・・咲良の親友だった琴葉はこうして・・・妖しい絆で結ばれるのだった。

百合展開はないぞ・・・期待するな。

都内ではあらたな事件が発生していた。

挙動不審の職員・笹倉志帆(橋本真実)が勤務するDVシェルター(ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)などに遭った被害者を、加害者である家族から隔離し保護するための施設)から・・・入所していた女性たち11名が失踪したのである。

元おはガールの職員・穂津芽衣(安藤聖)の名を語ったメモにより、職員の一人、佐藤結菜(小松春佳)がアナウンスして11人の女性たちは裏庭に集められ・・・何者かによって車で連れ去られてしまったのである。

捜査にやってきたのは窪塚刑事と長谷部刑事(渋谷謙人)だった。

窪塚は例によって実家の母親(岡まゆみ)に愛娘(藤田彩華)を預けての捜査である。

「まるで・・・内部に犯行を手引きしたものがいるみたいですね」という長谷部。

「あの人たちは自分の意志で出て行ったように見えました」と怪しい証言をする・・・前夜、不審な行動をしていた職員・笹倉志帆(橋本真実)である。

お前か・・・お前が内通者か・・・なんだな。

しかし・・・玲奈に心を奪われている窪塚刑事は上の空なのである。

「奇妙ですよね・・・夫や近親者からの暴力から逃れてここに来た人たちが集団で脱走するなんて」と疑問を感じる長谷部。

「・・・とにかく・・・加害者の方をあたってみよう」

資料から二人の刑事が選んだのは元妻の芦原遥香(西原亜希)に執拗な暴力をふるっていた升瀬淳史という男だった。

一方、死神への手掛かりを失った玲奈は助手の琴葉とともに・・・唯一の接点であるもぐりの探偵・堤を追う。

堤の新しい潜伏先を琴葉のもどかしい活躍でつきとめた玲奈。

留守を狙って・・・すべての荷物を運び出してしまうのだった。

「また・・・おまえか・・・」

「檜池に情報提供した他の探偵を教えなさい」

「そんなの・・・知るかよ」

「あなたの悪事を通報したのですでに警官が包囲しているわよ・・・秘密の脱出口は施錠しておいた」

「なんてこと・・・するんだ」

「解除のためのコードを教えて欲しかったら・・・有益な情報を出しなさい」

「そんなこと言ったって・・・知らないよ」

「じゃ・・・逮捕されちゃいなさい」

「そそそそそそうだ・・・今・・・事件になっているシェルターの入所者の・・・芦原遥香・・・その加害者から・・依頼を受けたことがある・・・そいつは別の探偵にも依頼していた・・・」

「名前と連絡先」

「升瀬淳史だよう・・・資料はお前が盗んだ金庫の中だよう」

玲奈は漸く堤を解放する。

隠れ家を脱出した堤だったが・・・逃走用のバイクは玲奈によって破壊されていた。

「ひでぶ・・・」

レンタル倉庫の前でもぐりの探偵の憐れな結末を思う二人。

「なんだか・・・かわいそう・・・」と琴葉。

「豚は死ね・・・そして豚は死ねよ」と玲奈。

二人の女探偵は・・・升瀬淳史の住居を訪ね・・・二人の刑事と出会うのだった。

そして・・・刑事たちの上司・坂東係長(相島一之)と「スマ・リサーチ」の須磨社長(井浦新)は意味ありげな通話を交わす。

盗難車担当の探偵・伊根涼子(高山侑子)は琴葉の姉からの「クレーム」の電話に困惑するのだった。

今週は・・・暴力控えめだったな・・・。

堤に対する容赦ないお仕置きを除いては・・・。

檜池なんか・・・口封じで殺されてるぞ。

やはり・・・探偵の探偵より・・・死神の方が・・・容赦ないんだな。

世界から非道な暴力が根絶されることを一部人格が祈りながらお届けしています。

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2015年8月 6日 (木)

被害者と加害者が別人とは限らない(堤真一)一番大切なのは自分自身のリスク管理ですか(戸田恵梨香)

夏の音楽特番やら、ドローの男子サッカー日韓戦に押し退けられてコンテンツ的にはやや不遇だよな。

まあ・・・記録的な猛暑だから・・・。

鉄道で架線断線が発生し、フェリーが火災を起こし、アセチレン工場は爆発、五輪のエンブレムにはいちゃもんがつけられ、朝日新聞の編集委員は公認ツイッターに捏造画像を掲載・・・リスク管理のネタには困らない今日この頃である。

終戦の日が近付き・・・大日本帝国の国民は加害者であり被害者であるという矛盾を抱えて懊悩する。

すべての出来事には複雑な関係性がある。

リスクを管理するということは・・・その複雑性に向き合うということである。

大日本帝国が滅亡し、日本国憲法が生まれた。

ヒトラーが死んで・・・ドイツは東西に分裂し・・・そして平和的に統一された。

だからといって・・・戦争が根絶していない事実を・・・安保法制に盲目的に反対する人々は・・・認めることから始めよう。

で、『リスクの神様・第4回』(フジテレビ201508052230~)脚本・橋本裕志、演出・城宝秀則を見た。企業経営は一つのリスクである。一つの企業に大きな影響を受ける自治体運営もまた一つのリスクである。そして・・・同じ日に社長と係長を演じるのも一つのリスクだ。

「刑事7人」のメンバー・・・。

天樹悠巡査部長(東山紀之)

沙村康介警部補(髙嶋政宏)

山下巧巡査部長(片岡愛之助)

永沢圭太巡査部長(鈴木浩介)

水田環巡査(倉科カナ)

堂本俊太郎医学部長(北大路欣也)

片桐正敏警視庁捜査一課12係長(吉田鋼太郎)

「リスクの神様」のメンバー・・・。

危機対策室長・西行寺智(堤真一)

副室長の財部(志賀廣太郎)

渉外担当の結城(森田剛)

調査主任の種子島(古田新太)

見習いの神狩かおり(戸田恵梨香)

サンライズ物産専務・白川 誠一郎(小日向文世)

サンライズ物産社長・ 坂手光輝(吉田鋼太郎)

とにかく・・・リーダーとしてどうしようもなくかぶっています。

事件の黒幕に・・・「あんたが殺したも同然なんだよ」と叫んだ後で・・・ライバル重役に「あなたも少し負担を軽くした方がいいでしょう」と囁く。

まあ・・・一部愛好家には・・・夢の水曜日と言えます。

それにしても第4話ゲストの記憶喪失の弁護士・高杉(眞島秀和)と出生の秘密のある妻(大塚千弘)・・・いい感じだったな。山下リオの姉も三十路を前に顔立ちが落ち着いてきた。

何より、桂小五郎刑事が「高杉さん」を連発して一同爆笑だ。

もういいんじゃないか・・・。

業界最大手の商社・サンライズ物産の傘下にある「波丘樹脂」の企業城下町である波丘市。

住民たちは家族の誰かが「波丘樹脂」の関係者という状況である。

波丘樹脂工場で働く有田俊介(坂田聡)は漁師の父親と水産加工場で働く妻の水江(西尾まり)・・・そして一人息子の小学生・剛(藤本哉汰)の四人家族である。

夏休みに漁に同行させるという祖父の言葉に剛は歓声をあげる。

剛は少し頑固なところがあり、リスク管理が必要な子供である。

大人の言うことを聞かない子供とは・・・そもそも危険な存在なのである。

しかし・・・呑気な有田夫妻には危機意識は薄い。

一人っ子であるために比較対象がないからである。

一人っ子はすでにリスクの一つだ。

その時・・・消防車のサイレンが響き渡る。

「波丘樹脂」の工業薬品倉庫で火災が発生したのである。

坂手社長は危機対策室に出動を命じるのだった。

現地に到着したのは・・・西行寺室長、結城、そしてかおりの三人だった。

「波丘樹脂」の塚原典雄社長(浅野和之)は過去の経営危機を救った実績がある男だった。

「これでも・・・リスク管理には自信があります・・・マスメディアへの対応なども・・・私自身が行いますので・・・忌憚のないアドバイスをお願いします」

「了解しました・・・」

「しかし・・・化学薬品についての専門知識も必要ですので・・・その点はお任せいただきたい」

「当然です・・・我々の仕事はあくまで危機対策ですから」

西行寺は微笑む。

しかし・・・結城はさっそく地元住民たちと特殊な接触を開始するのだった。

焦点は火災事故により・・・危険な化学物質が流出し・・・環境を汚染した可能性があるかどうか。

塚原社長は記者会見でデータをすべて公開し、澱みない謝罪を展開する。

水質汚染についても地元の大学に調査を依頼し、結果もすべて公表。

安全が確認されるまでの期間、漁業関係者への補償も手厚く行い、両者は円満な関係を構築する。

危機対策室の出る幕なしの手際である。

しかし・・・遊泳禁止の波丘湾で採取した魚介類を食べた剛は腹痛を訴えて病院に搬送されるのだった。

「汚染は・・・問題ないという発表が・・・」と戸惑うかおり。

「捏造の疑いがある」と微笑む西行寺。

水面下で調査を開始するメンバーたち。

「この微妙な時期に・・・食中毒なんか起こして・・・」

有田夫妻には無言の圧力が加わるのだった。

「波丘樹脂」の支配下にある病院では・・・「単なる食中毒」という診断が下る。

西行寺に命じられて有田水江に「剛君を東京の病院に転院させる」ことを提案するかおり。

しかし・・・水江は「街を裏切るようなことはできない」と拒絶するのだった。

「波丘樹脂」あっての波丘の街なのである。

結城は秘密の検査チームを動員するが・・・何者かの圧力によって挫折する。

そして・・・かおりの前にサンライズ物産・薬品部主任の原田(満島真之介)が現れる。

「塚原社長は・・・白川専務の派閥に属している・・・これ以上の追及は控えた方がいい」

「しかし・・・私は今・・・危機対策室の一員です」

隠蔽工作の影に白川専務の影を感じるかおり。

本社に戻ったかおりは白川専務の意向を確かめようとするが・・・西行寺が先手を打っていた。

「後ろ盾にお伺いをたてにきたのか・・・安心したまえ・・・白川専務は・・・この件にタッチしないそうだ」

「・・・」

「君には分かるだろう・・・リスクというものは・・・一度生じれば・・・誰もが無傷ではいられなくなるものだということが・・・」

介護の必要な母親(山下容莉枝)のために帰宅するかおり。

「あなた・・・なんだか・・・優しくなったみたい」

「リスクに直接向き合う仕事が・・・私の心を軽くするの」

「そうなの・・・」

リスクに怯えて生きるよりも・・・リスクに向き合う方が・・・楽なのだと悟るかおりだった。

病院の看護師たちから特殊な情報収集を行った結城は・・・剛に処方された薬品を入手する。

かおりは・・・薬品の分析結果を持って有田夫妻を説得する。

「余計なことをしないでください」と父親は叫ぶ。

「とりかえしのつかないことになりますよ・・・あなたたちにとって一番大切なのは・・・何ですか・・・この街での平穏な暮らし・・・それとも剛くんの命ですか・・・剛くんが死んでしまった時・・・あなたは選択に間違いがなかったと言えますか・・・あなたたちは被害者かもしれないけれど加害者でもあるのです」

「・・・」

精密検査を受けた剛の身体からはあるはずのない有害物質が検出される。

解禁された真実の水質検査もそれを裏付けていた。

西行寺は・・・真実を塚原社長に突きつける。

「そんなことをして・・・波丘樹脂は・・・終わりじゃないか・・・」

「いいえ・・・終わるのはあなたのキャリアだけです・・・あなたは・・・かって薬品流出事故を起こした経営トップを追及して・・・社長になった。事故の原因はろ過装置の故障だった。徹底的なメンテナンスが必要と結論付けたあなたが・・・経営者となると・・・メンテナンス費用を惜しむようになった・・・つまり・・・あなたはリスク管理を怠ったのです・・・火災事故も・・・薬品流出も・・・あなたの杜撰な隠蔽工作も・・・すべてリスクを増大させただけだった・・・もしも・・・人命が損なわれたら・・・企業のイメージダウンは致命的だ」

「隠蔽すればすむことじゃないか」

「漏洩した場合のリスクが高すぎるのですよ・・・」

「・・・考えさせてくれ」

「その必要はありません・・・すでにマスメディアにはすべてのデータを公表しましたから・・・このタイミングなら波丘樹脂の再生は可能です」

「ひでぶ・・・」

調査主任の種子島は別件の調査結果を報告する。

西行寺の父・関口孝雄(田中泯)は天然ガスの採掘権をめぐる贈賄事件で逮捕されていた。

その事件に関わったのは坂手社長、顧問の天童徳馬(平幹二朗)、そして白川専務の三人だった。

犯罪者の息子として「地獄の青春時代」を送った西行寺。

その苦い思い出が・・・蘇る。

リスクによって苦しむかおりが・・・西行寺の目にはかっての自分自身のように映る。

その複雑な状況の行方を・・・西行寺は想像している。

転院した有田剛の病状は快方に向かった。

坂手社長は白川専務と密会する。

「塚原社長の後任は・・・どうするね」

「化学部門から・・・トップを送りこみます」

「よろしい・・・ただし・・・化学部門のトップの後任人事は私にまかせてもらおう」

「・・・」

「君の負担を軽減したいだけだ・・・我々は同志なんだから・・・」

社長と専務は冷たい火花を散らすのだった。

それもまた・・・リスクの一つに過ぎない。

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2015年8月 5日 (水)

人殺しと人殺しのキス(窪田正孝)ロマンチックが半端ない(佐野ひなこ)東京へやってきた私たち(優希美青)

「デスノート」というアイディアの面白さは「お手軽な魔法用具で殺人ができる」という一点にある。

これによって「殺人」という結構、面倒くさい行為が身近なものになるわけである。

誰かが「死ねばいいのに」と考えても誰かを「殺そう」とまでは思わなかった人間も簡単に「殺人者」になれる。

そのハードルが高いものなのか・・・低いものなのか・・・そういう「人道的な問題」もいろいろと考察できるわけだ。

「殺人は禁じられた行為」ではあるが「戦争」や「死刑」あるいは「正当防衛」で「殺人は認められる行為」でもある。

平和でのどかな日常を過ごす一般の人間が・・・あまり深く考えない問題。

そこに「デスノート」は忍びよる。

たとえば・・・あなたが明日・・・落ちているデスノートを発見した時・・・。

あなたは・・・どうします?

で、『・第5回』(日本テレビ201508022230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・猪股隆一を見た。現在でもデスノート・システムは謎に包まれている。もちろん、基本的には原作者の妄想だが・・・それだけではリアルさにかけるわけである。「聖書」のように民族的な妄想があってこそ・・・神が実在するとも実在しないとも言えないリアルさが生まれるのである。デスノートもまた・・・未知の世界、暗黒の歴史、非現実の賜物であった方がいい。デスノートは実在するし・・・死神たちも漂っている。ただ・・・デスノートを手に入れることのできる人は極めて僅かだし・・・死神はデスノート所有者にしか見えない。ただそれだけのこと。そういうリアルの領域にあるべきなのだ。

「どうして・・・息子がキラだと思うのかね」

「主人公だからです」

「・・・」

この世界のLこと天才探偵L(山崎賢人)は・・・少し論理より直感に傾いているようだ。

しかし・・・この世界のライトこと夜神月(窪田正孝)は思っていることが顔に出まくるタイプなので・・・仕方ないのかもしれない。

赤いデスノートと死神の目の持ち主でキラの崇拝者であるミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)が突然、夜神家に来訪。

薄氷を踏む思いで・・・監視の目を欺いてきたライト(キラ)は「何か非常に拙い事態」を予測して動揺し・・・挙動不審となるのだった。

天真爛漫なミサミサ(第二のキラ)は崇拝するキラに自分を信用してもらうためにすべてを明らかにする覚悟なのである。

ミサミサの登場にあわてふためくライトを監視するLはニヤニヤするのだった。

「これは・・・キラでしょう・・・」

「・・・キラかもな・・・」

日本におけるキラ事件の捜査官のリーダーである夜神総一郎(松重豊)も息子を庇いきれぬ状況である。

ライトの妹・夜神粧裕(藤原令子)はそういう緊迫した空気を一切読まない。

「アイドルのお仕事御苦労さまで~す。ミサミサって呼んでもいいですか」

「1994年度生まれ組だもの。いいわよ」

「やった~」

「お互い、読者モデル出身だものね~」

「すぐ上に小島瑠璃子さんいますものね~」

「そっちだって有村架純さんがいるでしょう」

「あやかりたいですね~・・・イチゴBERRYさんはTIFには出ないんですか?」

「あらあら・・・他局系のイベントじゃない・・・」

「おっと・・・それではお邪魔虫はこの変で・・・ドロンします」

妹がいなくなったことで・・・さらに高まるライトの緊張。

もはや・・・ライトはアイドルに憧れる平凡な大学生ではなく・・・兇悪犯罪者限定の大量殺戮者なのである。

「あなたに警戒されないように・・・あなたのために・・・・やったの・・・だってあなたはキ」

いけないおしゃべりをするミサミサの口をキスで封じるライトだった。

耳元で・・・小芝居を命じるライト。

言われた通りにライトを平手打ちにして部屋を出るミサミサ。

「ミサミサって何者ですか」

「アイドルですよ・・・国民的アイドルのようでもあり、地下アイドルのようでもある・・・ポジション不明のアイドルです」

音夏祭には出ないのか」

「だから・・・それは事務所の壁的な・・・」

「アイドルたちがいろいろな場所で夏祭りをする日本・・・平和っていいな」

監視カメラのない場所で密会するキラとキラキラ。

「まずいんだよ・・・部屋はLに監視されているんだ」

「・・・」

「君は・・・無防備すぎる・・・」

「キラのためにはノーガードで」

「下半身の話じゃない」

憧れのアイドルと二人きりなのに・・・もはや欲情もしないライト。

大量殺人の澱みは・・・ライトから・・・正常な感覚を奪っているのである。

凡人だったライトが責め立てる・・・人間の心臓をとめまくる男が人並みに恋なんかできるものか。

「どうして・・・わかってくれないの・・・すべてキラのために・・・」

「デスノートを持ち歩いているのか」

「今度から・・・しまっておきます」

「・・・確かに・・・俺はキラだ・・・そして・・・君は足手まといだ」

「そんな・・・」

「君は・・・余計なことはするな」

「私のことが・・・心配なの」

「・・・そうだ」

「うれしい・・・」

「・・・」

キラが心配するのは・・・キラキラが何かしでかして・・・Lがキラにたどりつくことなのである。

「私が・・・Lを殺してあげる・・・私があなたの目になるわ」

「Lは・・・そんなに甘い相手じゃない・・・」

直感的にキラと第二のキラがいることを見抜いたLはライトを秘密の部屋に招待する。

まるで・・・キラは死神の目を持っておらず・・・第二のキラが死神の目を持っていることを脚本を読んだので知っているかのような推理力である。

「どうして・・・」と仏の模木完造(佐藤二朗)、久しぶりの日村章子(関めぐみ)、ちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)、偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)たちは疑問に感じる。

「第一のキラは顔と名前があれば殺せる。第二のキラは顔だけで殺せる・・・以上」

「第一のキラも顔だけで殺せた可能性はありますよね」

「以上」

他人の意見には耳を傾けないのがLなのだ。

ついに敵地に乗り込んだライト。

「この脅迫状をどう思いますか」

「どうして・・・僕に?」

「主人公だからです」

「・・・」

「いえ・・・あなたは僕と出会って・・・才能を開花させたんじゃないのかな・・・と思うんです。僕って刺激的な男だから・・・」

「僕の身体に興味があって・・・監視カメラを仕掛けたのか」

「いえ・・・見られていると知って・・・あなたは・・・自慰行為を控えましたよね」

「そそそそそそそそんなことはないもん」

「・・・第二のキラに・・・第一のキラになりすまして・・・メッセージを送ろうと思います」

「キラは二人いるのか・・・」

「ええ・・・キラとキラキラ・・・三人目がいればキラキラキラ」

「もういいわ・・・」

「偽物のキラへ・・・無差別殺人はいけないよ・・・本物のキラ」

「なるほど・・・シンプルだ」

テレビ番組を使った交換日記である。

「本物のキラへ・・・ごめんなさい・・・キラキラ」

「キラキラへ・・・わかってくれればいいんだよ・・・キラ」

すべては・・・キラがミサミサに命じたことだった。

「私はあなたの夢を叶えるお手伝いがしたい」

「危険な夢なんだよ・・・正体がバレたら逮捕されるかもしれないし・・・呪術を裁判で立証できないと考えたら超国家機関によって殺されるかもしれない」

「ロマンチック・・・」

「君が逮捕されたら・・・君の名前をデスノートに書くよ」

「超ロマンチック・・・」

ミサミサはキラに赤いデスノートを捧げる。

キラは・・・LをイチゴBERRYのライブに招待する。

「僕のとなりの白いシャツを着たメイクばっちりの男がLだ」

ミサミサが死神の目でLの本名を確認したらチェックメイトである。

しかし・・・Lは影武者をライブ会場に多数配置する。

「お面はかぶらないのか」

「ひょっとこが似会うのは銭ゲバとかピョン吉の相棒とかを平気で演じるあの人だけです」

「とにかく・・・今夜は事件のことは忘れて・・・萌えよう」

「ええ・・・ドキドキしますね・・・あなたがキラではないといいんですが・・・」

「え」

「だって・・・あなたは・・・私のたった一人の友達だから・・・」

「ええ」

ステージに姿を見せるマコ(橘希)とセリナ(真凛)・・・。

「ごめんなさい・・・ミサミサは今日・・・トイレの後で手を洗わなかったのでダニにやられてしまって」

「カワええ~」

「カワええ~」

「カワええ~」

「えええ」

「ミサミサさんは・・・最初の脅迫状に指紋を残していて・・・第二のキラとして超法規的逮捕をしました」

「ええええええええええええ」

「どうしたんです・・・ライトさん・・・そんなに驚いて・・・まるで何か・・・計画が狂っているみたいじゃないです」

「お前・・・絶対、原作コミックか・・・映画版を見ているだろう」

「神に誓って・・・アニメ版さえ・・・見てませんよ」

その頃・・・ニアことN(優希美青)は某公園にいた。

「おい・・・N」

「なんだい・・・メロ」

「お前・・・道に迷っているだろう・・・」

「・・・東京って広いね」

「ごまかすな」

「Lの次はN・・・」

「・・・Mを忘れるな」

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2015年8月 4日 (火)

あいつはあいつはONE PIECE泥棒!(本田翼)僕は知らない(福士蒼汰)除菌そして隔離(野村周平)

一緒に暮らす人は・・・優しい人がいい。

一緒に暮らす人は・・・美しい人がいい。

一緒に暮らす人は・・・楽しい人がいい。

一緒に暮らす人は・・・丈夫な人がいい。

一緒に暮らす人は・・・いい人がいい。

でも・・・いい人は・・・結構簡単にだまされたりして・・・家族を不幸にしたりします。

まあ・・・でも・・・いい人だから・・・しょうがないと思えるしね。

だけど・・・花嫁を略奪されちゃ・・・ダメだよね。

で、『・第3回』(フジテレビ20150803PM9~)脚本・桑村さや香、演出・宮木正悟を見た。レビュー時系列的には・・・「デス・ノート」→「恋仲」にしたいのだが・・・なかなかタイミングが難しいよね。「恋仲」の方がシリアスだからな。ミサミサがムチムチだからだろう。たくましく監禁されてる来週が一つの分岐点だな。来週・・・「なぜ・・・これをあなたが持ってるの」に対して「彼から渡された」と苦しい言いわけをする展開だと・・・チャンスがあるかもしれない。

お互いを憎からず思っていたマリオこと三浦葵(福士蒼汰)とピーチ姫こと芹沢あかり(本田翼)・・・。しかし、魔界都市・東京からやってきた魔王クッパこと蒼井翔太(野村周平)は二人の仲を引き裂き・・・拉致監禁して凌辱の限りを尽くす。囚われの身となったピーチ姫を救出するためにマリオは魔界都市・東京で・・・幼馴染の幸福を願いつつもやもやするのだった。

んだんだんだ・・・地下面に突入かっ。

映画「夏の彼方」で二人が幸せだった最後の夏の・・・思い出の一曲「BABY BABY」が流れ出し・・・激しく揺さぶられる葵とあかりの「恋心」・・・。

しかし・・・あかりはすでに・・・翔太の恋人として・・・五年の歳月を過ごしているのだった。

すべては・・・あかりを独占することに執念を燃やす翔太の姦計の結果であることを・・・二人は知らない。

自分に自信のない葵は・・・研修医という自分よりも社会的に優位な立場にいる翔太こそがあかりを幸せにできると・・・自分の気持ちを隠す。

あかりは・・・翔太に告白して失恋したと事実を誤認するように誘導されているために・・・すべてを青春の思い出として封印しようとする。

そして・・・翔太は・・・いつか・・・自分の「悪事」が露見して・・・すべてを失うことに怯えながら・・・どうしても・・・「記念品」を処分することができない。

(どうして・・・これを捨てない)

(あの女が他の男に心を奪われた過去を忘れないためだ)

(本当にそうか・・・お前は・・・自分が破滅することを望んでいるじゃないのか)

(支配しているものに・・・愛されたいのだ)

(そんな日が来るといいね)

屈託なく・・・幼馴染の葵と過ごした時間について翔太に語るあかり。

翔太の心臓は切り刻まれ血を流す。

それを微笑みで克服する翔太。

「翔太もいたらよかったのに」

「そうだな・・・今度ね」

しかし・・・翔太はとりあえず・・・あかりを抱きしめる。

(はははははは・・・葵・・・あかりは俺のものだ・・・五年間、俺はやりまくってる・・・あはははははは)

童貞なので・・・葵とあかりの間に漂う微妙なエモーションを理解できないひと夏の居候・公平(太賀)は「初恋の相手と二人きりで盛り上がったんじゃないの」と葵を冷やかす。

葵の妹・七海(大原櫻子)は過去に・・・あかりと翔太の買い物デートを目撃しており・・・葵が「二人は両想い」と誤解していることに一役買っているはずだが・・・現在は静観中である。設定的には・・・以前よりずっときれいになったからだろう。

スーパーマリオの世界なので・・・基本的にクリボーやノコノコ的存在でありながら・・・時には増員お助け要素になるわけである。

んだんだんだ。

あかりは・・・明らかに・・・本当に好きな人・・・葵との再会に性的興奮を覚えているが・・・天真爛漫な性格のためにそれには全く気がつかない。

めぐまれないものである高梨恵里香(馬場園梓)は葵の興奮を冷静に見抜くのだった。

もちろん・・・あかりが・・・葵と翔太の両方に愛されることを避けるために・・・葵には「あかりを幸せにするのは翔太」と釘をさすのである。

めぐまれないものは善意の行動も悪意よるものに見えるので注意しましょう。

恐ろしいドラマの偶然力で・・・葵は・・・あかりが探している消息不明の父親・寛利(小林薫)に工事現場で再会する。

巨大化した葵だったが・・・すぐに「自分は七年間も・・・あかりを守ってやれなかった」という落とし穴に落ちる。

「あかりが・・・教員試験に合格したらプロポーズする・・・彼女に家族がいるという安定した立場を与えたいから・・・」

葵に宣言する翔太に・・・「父親の所在」というカードを贈る葵。

寛利は迷いつつ・・・娘との再会を拒んだからである。

自分より翔太の方があかりに相応しい・・・心の迷路を彷徨う葵だった。

浮気して葵を捨てた過去を持つ冴木瑠衣子(市川由衣)は再び、葵にアプローチをする。

不器用な葵は「なかったことになんかできない」と瑠衣子を拒絶。

しかし・・・葵の上司の丹羽万里子(吉田羊)に新居の建築を依頼しにきた夫婦(岡田義徳・西山繭子)が「コレクション・アイテムの収納スペースの件」で新築離婚の危機に陥ると・・・営業職として懸命に仕事をする瑠衣子。

その姿に・・・葵は・・・あかりの不在の間に愛した女を見直す。

「あの二人・・・幼馴染なんやて・・・離婚なんて残念やなあ・・・アオイくんどう思う?」

とんこさん的な同僚の富永美玲(山本美月)は近距離で囁くのだった。

そして・・・ドラマのお約束の力で・・・夫婦が幼馴染の間柄であると知った葵は・・・離婚するという夫に熱弁をふるう。

「愛する人がずっと一緒にいてくれた幸せを・・・あなたは忘れている。失って初めて気がつく大切なものがあります。一度・・・失くしてしまったら・・・もう取り戻せない・・・そのことをもう一度考えてみてください」

唖然とする一同だった。

「それって・・・あかりさんのこと・・・」

思わず葵に確認する瑠衣子だった。

一方、翔太はあかりを身近に置くために・・・受験生の入院患者・山城心音(大友花恋)の院内教師をあかりに推奨する。

経済的な理由から特待生を目指す心音に共感するあかりだった。

あかりは・・・典型的な苦学生なのである。

本棚もボロボロなのだ。

天真爛漫なあかりは・・・本棚の作成を葵に依頼する。

幼馴染として・・・甘えたいのである。

葵はあかりの期待に応えるのだった。

御礼の品は・・・冷めた鯛焼きだった。

貧乏なんだなあ・・・あかり。

しかし・・・自分の女に本箱を作った葵が・・・自分のコップでジュースを飲んだことに暗く青い情念を燃やす翔太。

あかりを激しく蹂躪するのだった。

「あはははは・・・葵・・・俺は今夜もあかりを抱いたぜ・・・後ろから前からどうぞだぜ・・・あははははははははは」

おい・・・クッパ、声が出てるぞ。

葵から・・・あかりの住所を教えられ・・・迷いつつやってきた寛利だったが・・・翔太が捕獲する。

あかりの家族は・・・支配者である自分だけでいいと考える翔太は・・・寛利を追放するのだった。

しかし・・・父親の去りゆく姿を目撃するあかり。

「お父さんがいた・・・」と翔太に報告するが・・・「もう・・・お父さんのことはあきらめた方がいい」と応ずる翔太だった。

翔太は父親に手切れ金の五十万円を渡し・・・永久追放する算段だった。

その金銭受け渡しの場面を・・・女医の沢田一葉(新川優愛)は見た。

ファイヤー・フラワー的な存在か・・・。

翔太に冷たく対応されたあかりは・・・葵に相談するのだった。

「どうしたらいいの・・・」

「あかりらしくないな・・・もっと本心をぶつければいいじゃないか」

相思相愛の二人は激しくすれ違うのだった。

葵に励まされたあかりは意を決して翔太の家へ。

コレクター夫婦が仲直りしたことで祝杯をあげる葵と瑠衣子・・・。

葵は・・・あかりへの思いを断ち切るために・・・新しい恋を模索しようとあがく。

瑠衣子にその気があるなら・・・瑠衣子だっていいじゃないかの心境である。

そして・・・あかりは・・・翔太の部屋で・・・葵に返却したはずの・・・告白メモ付き「ワンピース51」を発見する。

「え・・・」

悪魔に支配された夏の記憶が・・・あかりの中で渦巻くのだった。

それは・・・悪魔がくれた夏。

悪魔がくれた夏。

悪魔がくれた夏だったのだから・・・。

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2015年8月 3日 (月)

かねてよりたてしこころのたゆむべきたとへこの身はくちはてぬとも・・・初恋ですから(井上真央)

そうだよね・・・松島剛蔵の辞世よりも・・・主人公の初恋の方が大事だ。

・・・なわけないだろうがああああああああああっ。

心に秘めた初恋を・・・死刑囚に打ち明けるために・・・萩城の奥御殿を飛び出して・・・城下の野山獄に走る奥女中・美和・・・しかも、その相手は姉の夫だった・・・。

まあ・・・あくまでフィクションだからな・・・。

そういう主人公を脚本家が描きたいなら・・・仕方ないよな・・・。

・・・なわけないだろうがああああああああああっ。

「たとえ俺が死んでも志は絶えないよ」

ここまで魂を投げ出して・・・どうでもいい話を描いたのに・・・低視聴率・・・。

お茶の間相手のビジネスは本当に難しいよねえ・・・。

できれば・・・失敗から・・・何かを学んでもらいたいと真剣に思うのだった。

生き証人が一人もいない時代を描いているのである。

だから・・・なんでもありでいいじゃん。

・・・なわけないだろうがああああああああああっ。

脚本家のスマホに変なアプリダウンロードされろ・・・どこの屋上のシェフの呪いだよっ。

せめて、来週はは高杉晋作万歳を叫ばせてください。

で、『燃ゆ・第31回』(NHK総合20150801PM8~)脚本・金子ありさ、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついにほとんど見せ場もないまま刑場の露と消える攘夷決行の長州海軍指揮官・松島剛蔵と主人公のわがままなおねだりを何でも叶えてくれる上席の女友達ポジションに配置された長州藩・最後の藩主夫人・銀姫の二大イラスト描き下ろしでお得でございます。前回は画伯が降臨され・・・シナリオ的にもかなり危機感が漂ったこのドラマ。今回は脚本家がチェンジしてさらにとんでもない方向に向かって踏み出しましたな・・・。文だけに・・・いや・・・今は美和か・・・。戦後時代でも・・・幕末でも・・・女性は確かに存在していた。しかし・・・現代においても女性総理大臣の誕生していないこの国では・・・あくまで男尊女卑の制度の中・・・。そういう女性を生き生きと描くためにはかなりの力量が求められると考えます。そういう意味では・・・今をときめく女流作家たちも・・・実力不足が露見してしまっている・・・まあ・・・基本的に・・・他人の仕事にあれこれ言うのは自粛しています・・・今さらかっ。

Hanam031元治元年(1864年)11月1日、高杉晋作は谷梅之助を名乗り、下関を船で脱出、海峡を渡り、筑前に潜入する。福岡藩の攘夷志士・野村望東尼の元で藩外の攘夷志士による挙兵を画策する。11月中旬、三家老の切腹の報に接した晋作は藩庁による奇兵隊に対する解散命令に危機感を募らせる。長州藩恭順派(俗論党)は征長総督・徳川慶勝、参謀・西郷隆盛にひたすら追従し、藩は存亡の危機に陥っていた。21日、晋作は博多を出発。25日、下関着。長府まで退陣した奇兵隊と合流。松陰門下の奇兵隊総監・赤根武人と激論し、穏健派の赤根を弾劾。長府の諸隊の内、力士隊(隊長・伊藤俊輔)、遊撃隊(総督・石川小五郎)が晋作に同意する。12月中旬、長府を出発した晋作軍団は16日、下関の奉行所を急襲し、これを占拠する。同日、晋作の下関挙兵を探知した萩藩庁は諸隊を反乱軍と認定。19日、見せしめとして反恭順派(正義派)の毛利登人、松島剛蔵、山田亦介、前田孫右衛門らを処刑。晋作は別働隊によって三田尻に突入。長州海軍の「癸亥丸」「丙辰丸」「庚申丸」の三隻を強奪。25日、藩庁は報復として投獄中の清水清太郎親知を切腹させる。こうして長州藩内の仁義なき戦いが開始された。もはや・・・長州藩は内戦状態に突入したのである。これを元治の内乱と呼ぶ。そして・・・それを見さだめたように・・・27日、征長軍は解兵令を発する。29日、崇文院殿天常端誠大居士(長州藩第12代藩主・毛利斉広)命日。

文は西郷吉之助の心を読んでいた。

西郷の心は憤怒に燃えていた。

長州藩庁の藩士に対する扱いに・・・義の心が騒いだのであった。

西郷もまた・・・攘夷の志に燃える士なのである。

ひたすら・・・幕府の威を惧れ・・・次々と志士の首を届けにくる・・・恭順派たちの性根に嫌気がさしていたのだった。

「終わりにしもす」

「え・・・」

徳川慶勝は参謀の決断に唖然とした。

しかし・・・幕府軍は無傷で・・・長州軍を降伏させたのである。

成果は充分にあったとして・・・西郷に異議は唱えなかった。

任務半ばでの徳川慶勝の撤退に幕府も朝廷も激しく動揺するのだった。

椋梨藤太は藩の命令に服従しない諸隊に恐怖を感じている。

恫喝のための処刑も効果を示さず・・・もはや・・・正攻法の討伐しか手はなかった。

「しかし・・・」と藤太は考える。

(数万の幕府軍に包囲され・・・数千の長州正規軍がいる・・・やつら・・・わずか数百の人数で何をしようというのだ・・・)

だが・・・下関の奇兵隊には続々と応援が駆けつけていた。

仕方なく、藤太は・・・藩主より・・・諸隊追討の命をとりつける。

(おかしいな・・・)

藤太は・・・部下の公儀隠密の報告が遅れていることに舌うちをする。

野山獄に残っている反乱分子の毒殺を命じたものの・・・その結果報告が帰ってこないのである。

その頃、長州藩の隠し目付けたちは・・・藩内に潜入した公儀隠密たちをほぼ壊滅させていた。

もはや・・・長州藩内に残った公儀隠密は・・・藤太一人となっている。

出世目当てで・・・俗論党に与した長州藩士たちは・・・風向きが変わったことを敏感に察し日和見を決め込み始める。

藩庁に出仕するものが一人また一人と消えて行く。

「どういうこっちゃ」

藤太は天を仰ぐ・・・。

空からは雪が舞い降り、元治元年は暮れようとしていた。

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2015年8月 2日 (日)

今年も咲いた打ち上げ花火が(松山ケンイチ)あなたを忘れて(前田敦子)しまいなさいと(満島ひかり)

先週、今週と東京は花火大会の季節である。

夏は盛りで・・・つまり・・・そろそろ終わりの予感に満ちている。

都会でも道端に蝉が死んでいたりする。

甲子園の予選も終わり・・・敗れた球児たちの夏はもはや終わった。

週末のテレビは・・・終戦の気配を濃厚にする。

あの手この手である。

多くの人にとって夏は100回も来ないものだ。

夏を共に過ごす人も・・・そう多くはない。

誰かと過ごす最後の夏になるかもしれないと思えば・・・。

夏さえもあまりに愛おしいものに感じられてくる。

愛って不思議だなあ・・・。

で、『ど根性ガエル・第4回』(日本テレビ20150801PM9~)原作・吉沢やすみ、脚本・岡田惠和、演出・狩山俊輔を見た。子供が大人になるポイントは二つある。ひとつは親になった時。それは喜びとともに緊張感漂う成人式である。もうひとつは親を失った時だ。悲しみと解放感に満ちている卒業式だ。幼くして親をなくせば早熟するしかなく・・・年老いて子供ができれば早熟を願う他はない。子供もいないし・・・親が存命のものは・・・なかなか大人になった実感がわかないと言う話だ。成人式なんて通過点だしね。税金納入の件もあるぞ・・・ロマンがないだろう・・・。消費税もあるしな。

下町に花火大会の季節がやってくる。

花火大会が好きな登場人物たちは夏の恒例行事に想いを馳せるのだった。

京子ちゃん(前田敦子)がいる夏にひろし(松山ケンイチ)は発情する。

花火大会の夜にキスしたいお年頃なのである。

とっくに子供ではない年齢のひろしだが・・・心は中学生なのだ。

ピョン吉(満島ひかり)の存在が・・・ひろしの性的成熟を妨げているのだった。

口やかましいカエルと同居しているといろいろとアレだからな。

休日の散歩に出たひろしは・・・警官の五郎(勝地涼)の追いかけるひったくり犯に遭遇してお気に入りのサングラスを奪われてしまう。

ピョン吉のど根性とゴリライモこと五利良イモ太郎(新井浩文)の剛腕で・・・サングラスを取り戻すことには成功するが・・・愛用の品・・・破損という結果に激しく動揺するひろし。

巻き添えになった梅さん(光石研)はけ、け、怪我をしてしまうのだった。

五郎は・・・京子ちゃんとゴリライモにサングラスの由緒を語るのだった。

「先輩のサングランスはお父さんの形見なのでやんす・・・そして・・・花火大会にはサングラスはかかせないのでやんす」

物心がつくまえに父親を亡くしたひろし・・・。

花火大会の日に幼いひろしに母ちゃん(薬師丸ひろ子)は父親のサングラスをかけさせる。

「花火大会の日は・・・みんな空を見上げるだろう・・・だから・・・天国にいるお父さんがひろしをすぐに見つけられるように・・・サングラスをかけるんだよ」

「だから・・・花火大会とサングラスは先輩にとって特別なのでやんす」

「ひろしくん・・・五郎ちゃんにはなんでも話すのね」

「それは・・・先輩と後輩の仲ですから・・・俺の母ちゃんが死んだ時・・・メソメソしてたら・・・俺はお前の先輩だって・・・慰めてくれたでやんす」

しんみりする三人。

「じゃあ・・・私は五郎ちゃんの後輩ね」

京子の両親も事故で他界しているのだ。

「じゃ・・・俺が一番下っ端かよ」

ゴリライモの父親は三年前に故人となったのである。

ああ・・・あの世とこの世の境界線にみんな佇んでいます。

親と子、子と親の・・・寿命はそれだけで様々な立場の違いを生み出すという話である。

親が元気で長生きポックリというのが理想であることは言うまでもない。

子供が孫の顔を見せるのも定番なんだな・・・。

それが・・・大人になるということの一つの流れなんだから・・・。

花火大会の準備を見学していたひろしとピョン吉は・・・花火師になったゴリライモの子分・モグラ(柄本時生)と再会する。

モグラは今ではトンビと名乗っている。

「中学三年生で転校した時・・・親分のゴリライモさんに守ってもらえなくなった俺は・・・モグラでは生きていけないと覚悟を決めたのです」

モグラは結婚し・・・三人の子持ちである。

教師生活四十一年目になっている町田校長(でんでん)も感激である。

いつまでも大人にならないピーターパン効果をひろしとピョン吉が発動しているために・・・結婚離婚をしている京子ちゃんも・・・立派な経営者のゴリライモも・・・モグラに先を越されているのだった。

しんみりする一同。

「いやだねえ・・・辛気臭くていけねえや・・・花火みたいパッと咲いて華々しく散る・・・そういう人生が俺の目標だ」

「永遠の〇か」

「生まれる時代を間違えたのねえ」

「くすぶり続けているものねえ」

嫌味を言われる主人公だった。

花火大会当日・・・。

ゴリラパンの工場はいつもの三倍の生産目標である。

「えええ」

「当然だろう・・・花火大会は稼ぎ時だ・・・」

「でも・・・俺か本気だすと・・・ろくなことにならないぜ」

ひろしはまだまだ心に闇を抱えているのである。

しかし、母ちゃんとピョン吉に見守られてなんとか勤務をやり遂げるひろし。

一方、梅さんはよし子先生(白羽ゆり)と仲睦まじく花火見物用の弁当作りに精を出すのだった。

相思相愛なんだな。

もう・・・内縁の夫婦なんじゃないか・・・。

しかし・・・カエルであるピョン吉は・・・雨の気配を感じるのだった。

夕立である。

花火大会は中止となったのだった。

なんとなく・・・意気消沈するメンバーを・・・家に誘うひろしの母ちゃん。

ピョン吉と過ごす最後の夏になるかもしれないと・・・ひろしの母ちゃんだけが心を痛めているのである。

思い出作りなんだな・・・。

サングラスも復活し・・・少し元気を取り戻したひろしだが・・・花火大会が中止になったことで・・・亡き父との交流が途絶えたような気がしてもやもやする。

しかし・・・雨は通り雨であがってしまう。

雨上がりの街に・・・自分のために仕立てなおした浴衣を着て、京子のおばあちゃん(白石加代子)が現れた。

ピョン吉はゴリライモに頼み、夜空にTシャツを投げてもらう。

「もしも・・・おれが死んだら・・・こうして・・・空から見ているよ」とピョン吉。

「何言ってんだ・・・」とひろし。

その時・・・夜空に花火が打ち上がる。

故郷の仲間のために・・・モグラが親方に頼んだのだった。

「あれ・・・俺の友達がうちあげてるんでやんす」

警官として夜店を警備中の五郎は職務を忘れて叫ぶ。

ひろしは天国の父ちゃんに今年もまた・・・元気な姿を見せることができてホッとするのだった。

時は過ぎて行く。

時は過ぎて行くから・・・。

今、見ているもの。

今、一緒にいるもの。

今、そこにいるあなた・・・。

すべてが宝物なのだ。

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2015年8月 1日 (土)

病院の探偵(芳根京子)「TOMORROW」入りました(森川葵)私も入りました(柴田杏花)合唱バカの集いにようこそ(萩原みのり)夢中になれることあります(吉本実憂)

「何故、いじめはなくならないの?」

「いじめていないとストレスがたまるタイプの人がいるからよ」

「いじめられる方のストレスはどうすれば発散できるの?」

「もっと弱い子をいじめるといいよ」

「・・・」

「世の中の人の99%が誰かを苛めないとストレスでおかしくなるのだから」

「残りの1%の人は・・・?」

「全体のために奉仕しなさい」

「涙の分だけ・・・強くなれますか?」

「健闘を祈る・・・」

で、『表参道高校合唱部!・第3回』(TBSテレビ20150731PM10~)脚本・櫻井剛、演出・池田克彦を見た。民間機だろうが軍用機だろうが飛行機というものはいつか墜落するものである。なんてったって飛んでるんだからな。同じように原子力発電所はメルトダウンするものだし、火山はきっと噴火するし、戦争はいつか勃発するものだ。すべてはリスクなのである。しかし・・・その中に先天的な障害を持った子供を含むべきなのか・・・そうではないのか・・・それは悩ましい。リスクだとすれば・・・それをスルーできるだけの・・・愛の歌が求められるのだろう・・・。

冤罪で引き籠りとなり放置されていた幽霊部員の宮崎祐(高杉真宙)を合唱力で救済してしまった天使・真琴(芳根京子)のパワーに・・・心の中でひれふす大きくなった白夜行の子役・相葉部長(泉澤祐希)、眼鏡っ娘担当の佐々木美子(萩原みのり)、ハーフの山田アンドリュー(瑛)・・・そして、すでに真琴信者である里奈(森川葵)・・・。

家庭内のストレスを学校で発散していたタレントでお天気女子高校生の優里亞(吉本実憂)は歯ぎしりをするのだった。

みんなが幸福になったら・・・自分の鬱憤がたまるタイプなのである。

もう・・・そういうタイプなんだからしょうがないよね。

「抑止力」という言葉を聞いただけで耳をふさぎ・・・「戦争反対」を叫ぶバカと一緒なのである。

国防を担当する組織が日々訓練を重ね、命がけで防衛出動し、野心的な軍事力と緊張状態を保つ・・・安全保障・・・平和・・・はそうしなければ維持できないものなのである。

誰かを苛めることでしか・・・自分を表現できないものは・・・存在そのものが不幸なんだなあ・・・。

何もかもだんだんよくなると・・・歌う他ないのだ。

しかし・・・天使・真琴も・・・人としては女子高校生にすぎない。

合唱バカは・・・本当にバカだったのだ。

「赤点星人か・・・」

「追試星人です・・・」

ステキ男子のトッキュウ1号こと夏目快人(志尊淳)に助けてもらおうとした・・・真琴だが・・・快人は・・・病の身で多忙なのだった。

野球バカの桜庭大輔(堀井新太)と共に・・・実は秀才揃いの合唱部が面倒を見てくれるのだった。

プロデューサーがちょっとバカなのでとんでもないことになっている大河ドラマで鎖国の禁を犯した吉田松陰に連座して・・・獄中で病死する金子重輔を演じた泉澤祐希が演じる相葉部長は薩長同盟を丁寧に解説してくれるのだった。

「薩長を結びつけたのが誰かは知ってるよね」

「ペリー・・・」

「・・・まあ・・・すごく間接的な話になっちゃうよね・・・EUができたのはヒットラーのおかげみたいで・・・かなり問題あるよね・・・」

強力なクラスメートのバックアップでなんとか合格点を確保する合唱バカと野球バカ。

お互いに合唱と野球というフィールドに戻って行く。

しかし・・・死球によるダメージで左目視力が低下している野球バカは・・・野球による推薦入学しているにも関わらず・・・野球部をお払い箱寸前なのだった。

合唱部員たちは・・・員数合わせで・・・野球バカのスカウトを視野に入れる。

しかし・・・天使はそんなことでは納得しない。

「夢にときめかないとダメです」

祖父の万歳(平泉成)がぎっくり腰で入院。

見舞いに訪れた真琴は・・・快人ではなく・・・抗がん剤投与中の父親(小市慢太郎)を見舞いに来た野球バカに遭遇する。

彼は・・・息子に期待する父親に・・・キャプテンだと嘘をついていた。

父親が見学に来る紅白戦に出場するために・・・退部を申し出る野球バカだった。

合唱バカは・・・彼の好きな第68回選抜高等学校野球大会の入場行進曲で応援することを決意するのだった。

天使に協力を求められたら部員たちはもはや断ることはできないのだった。

部員たちの唄声に・・・死にかけていた合唱部顧問の鈴木有明先生の心も精気を取り戻す。

「お前たちは・・・どうして・・・俺を生きながらブルースで弔ってくれないのさ」

過去の問題の解決にむけて怨みがましい女(古村比呂)を訪ねる鈴木先生。

しかし、女は土産のシュークリームを鈴木先生に投げつける。

通りすがりの合唱部副顧問・瀬山えみり(神田沙也加)はただならぬプレイに唖然とする。

悩み多き教師二人はなんとなく酒席を共にした。

いつしか・・・二人は夜の公園で歌い出すのだった。

さあさあ皆さんご一緒に

喜びも悲しみも歌にして

もじもじしないで

大きな声を出しましょう

時には愛を売る人のように

世界に歌を響かせよう

二人の心はいつしか一つになるが・・・身体はひとつにはならないのです。

一方・・・闇の天使・優里亞はランチタイムに仲睦まじい真琴と快人に青白い嫉妬を燃やす。

「あなたに忠告しておくわ・・・快人はプレイボーイだから気をつけて・・・」

これまで・・・真琴の思い出のCDを破損させ・・・真琴に泥水をかぶせ・・・合唱部の発表会を妨害し・・・濡れ衣でクラスメートを不登校に追い込んだ女の忠告なんか聞けるか・・・とは天使は思わない。

(快人くんと恋仲になったら・・・どうしよう・・・うっひゃあ)

天使レベルの次元が違う二人だった。

仕方なく・・・快人に真琴について問う優里亞・・・。

「あの子は・・・あなたの玩具なんでしょう・・・」

「玩具か・・・そうかもね・・・僕はあの子のファンなんだ・・・」

「なによ・・・それ・・・」

「だって・・・あの子はいつも夢中で・・・心が汚れることがない・・・お前も・・・何かに夢中になれるといいのにな・・・」

幼馴染の進言に従い・・・真琴つぶしに熱中する優里亞だった。

ねじれた奴はどこまでもねじれていくしかない・・・それがネジ式の人生。

合唱部を廃部に追い込むために・・・鈴木先生の暗い過去を電子レンジでチンする優里亞だった。

野球バカの最後の打席にエールを送る合唱バカと愉快な仲間たち。

泣いても泣かされてもいいよ

雑草魂だよ

雑草だって花咲くよ

グループ魂は

彦麻呂を歌うよ

アスファルトの宝石箱は

きっと重いね

ゲームセットとともに・・・野球をあきらめた桜庭は七人目の合唱部員になるために・・・真琴に着替え中のパンツをサービスするのだった。

そして・・・伴奏者として・・・桐星成実(柴田杏花)が名乗りをあげる。

合唱部八人揃いました・・・。

天使の真琴・・・アルト 

ネコ娘・・・ソプラノ 

眼鏡っ子・・・アルト 

部長・・・バス 

ひきこもり・・・バス 

アンドリュー・・・テノール 

元野球部・・・声が大きい 

「JIN-仁-」の野風(幼少期)あるいは「ハガネの女」の琴平れもん・・・ピアノ

いい・・・とてもいい・・・。

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