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2015年8月25日 (火)

ONE PIECE51キタ━━━━!!(福士蒼汰)ふりかえらない彼を私は呼びとめた(本田翼)私は彼女を呼びとめた(野村周平)

まっすぐに前を見つめる人は素直で素敵だ。

いつもキョロキョロしている人は落ちつきがなくて素敵だ。

後ろばかり振り返る人は用心深くて素敵だ。

しかし、誰かの背中をじっと見つめている人はいる。

時には上から何かが落ちてくる。

そして、突然、何かが曲がり角から現れる。

運命は時に残酷で救いはないように思われる。

躓けば転び、転べば二度と立ち上がれないような気もする。

けれど・・・棺桶に入るまでが人生なのだ。

最後まで希望を失わなければ少なくとも心は平穏である。

で、『・第6回』(フジテレビ20150824PM9~)脚本・桑村さや香、演出・宮木正悟を見た。甘い恋の夢を見るのに老若男女の区別はない。ただ、それを語るには相応しい年齢というものがあるだろう。だからといって相応しくない年齢というものが何歳なのかは・・・人それぞれの判断である。見映えは悪くとも・・・本人同志が甘い恋をしている場合には第三者が口を挟むのは野暮というものだ。しかし、本人に部外者の自覚がないと・・・物事はこじれていくものだ。また・・・恋を実らせない障害としては都合がいい存在だとも言える。なにしろ・・・本人に悪気がないのである。しょうがないなあ・・・もう・・・と思うしかない。だが・・・本当に本人が無邪気なのかどうか・・・油断はならない。疑心暗鬼になるよりは君子危うきに近寄らずである。特に理由もなく人から避けられているタイプというのは・・・実在する。

甘い恋の夢を見た二人は現実に帰ってくる。

バスターミナルで別れる二人。

あかりはふりかえる。

しかし・・・葵はふりかえらない。

芹沢あかり(本田翼)にはまだ秘密がある。何故・・・初恋が実らなかったのか・・・その理由を三浦葵(福士蒼汰)に告げていないのである。

お茶の間的に秘密なのは・・・あかりが・・・葵にキスをされて・・・どう感じたのか・・・ということである。

天にも昇る気持ちだったのか・・・そうでもなかったのか・・・つまり・・・あかりの初恋が終わっているのかどうかである。

少なくとも・・・あかりは・・・自分を騙していた蒼井翔太(野村周平)に愛を感じてしまっている。

子供を盗んだ女に・・・五年も育てられたら母親への情を感じずにはいられないのが人間というものなのである。

まして・・・二人は男と女なんだな。

一方、三浦葵(福士蒼汰)はまだ・・・翔太の邪悪な振る舞いをしらない。

かっての親友の恋人に・・・キスをしてしまった自分を恥じる気持ちがある。

初恋の人を忘れることはできなかったが・・・冴木瑠衣子(市川由衣)と交際してしまった負い目もある。

そして・・・相手を思うあまりに・・・自分が相手に相応しい男であるかどうかの自信がない。

二十代半ば・・・それは青春の終わりを感じるのに相応しい年齢の一つだと言える。

十代は遠ざかり・・・三十代は近付く。

振り返らない男である葵には・・・迫りくる三十代がプレッシャーとなる。

初恋に心を奪われて悶々としながら・・・丹羽万里子(吉田羊)の設計事務所で悶々とする葵。

事情を知らぬ小谷照吉(前野朋哉)は葵を叱責するのだ。

「ボヤボヤしてんじゃねえぞ」

ちなみに・・・照吉は・・・今回のキーパーソンである居候の公平(太賀)と一対になっている。

公私ともに・・・つまり・・・どこにでも・・・しょうがない人間は配置されているのである。

万里子は「八王子の水族館」というユーミンの香る大きな仕事を抱えている。

発注者から「ペンギンと触れあえるカフェ」という注文が入り・・・万里子は悩むのだった。

「ヨチヨチ歩いていたかと思うと急にスイスイ泳ぐペンギンは不気味で好きになれない」

「ペンギンかわいいじゃないですか」と富永美玲(山本美月)・・・。

「ペギラが好きだからチャンドラーも好きだ・・・ぐらいに好き?」

「そのたとえは誰にもわからないっ」

「アラレちゃんと言う名前も冷静に考えると嫌だな」

「まゆゆがサシコに変身するレベルでか」

「もう・・・いいだろう」

結局、愛こそがすべてという理論で・・・ペンギンカフェの設計を美玲にまかせる万里子。

助手を命じられた葵は複雑な心境になる。

もちろん・・・事務所の先輩である美玲に敬意はあるが・・・ウサギ小屋しかまかせられない自分に不甲斐なさを感じるのである。

あかりの同居人・高梨恵里香(馬場園梓)は事情を聞いて激昂する。

「翔太くんが・・・そんなことをするとは・・・あかり・・・文句を言ってやったの」

「言えなかった・・・」

恵理香はあかりの複雑な感情を思いやる。

一方・・・あかりの複雑な事情を知らない公平は・・・あかりと翔太の関係修復に人肌脱ぐ気持ちになる。

公平にとって・・・大人の関係のない高校時代の人間関係こそが楽園なのである。

その楽園を再構築することに夢中なのだ。

もちろん・・・ひょっとすると・・・公平もまたあかりに横恋慕していて・・・あかりが・・・葵と交際するよりは・・・それほど深くない関係の翔太の方がいいと心の底では思っているのかもしれない。

七海(大原櫻子)に対して・・・自分を高く売り込みたい気持ちも潜在しているかもしれない。

しかし・・・基本的にはしょうがない男としてふるまう公平なのである。

誰の味方もしない・・・それが公平というものだ。

そして・・・そういう人間は複雑で繊細な関係をぶち壊しにするものなのだ。

あかりは・・・翔太との関係を確認しに行く。

「お父さんのこと・・・すまなかった」

二人は病院の屋上で別々のベンチに離れてすわる。

「・・・」

「それだけじゃなくて・・・ひどいことをして・・・ごめん」

「・・・」

「僕には・・・君を愛する資格はない・・・でも君には笑顔でいてもらいたい」

「とても・・・笑える心境じゃないわ・・・」

あかりの心の迷いは隠されている。

翔太に戻りたいのか・・・葵とやりなおしたいのか・・・。

しかし・・・初恋の頃のあかりは・・・もういないのである。

あの日には帰れないのだ。

山城心音(大友花恋)が星野悠真(萩原利久)と花火大会のデートのための外出許可が得られないと知ると・・・研修医として・・・指導医に許可を求める翔太・・・。

罪滅ぼし・・・しかし・・・本当に許しを乞う相手は別にいる。

翔太は葵を訪ねるのだった。

アパートの屋上で・・・翔太は葵に向き合う。

「あかりを迎えに行ってくれてありがとう」

「別に・・・お前のためじゃない・・・俺があかりのそばにいたかっただけだよ」

「ようやく・・・本音を言ったな」

「・・・」

「お前の気持ちは・・・七年前からわかっていた・・・あかりの気持ちもね」

「?」

翔太は「「ONE PIECE51」を差し出した。

「お前とあかりを引き裂いたんだ・・・俺は」

「・・・」

「ラブレター」の文面を読み・・・すべてを悟る葵。

ひとつひとつの断片がつながって行く。

花火大会で・・・来るはずのない葵を待つあかり。

あかりを奪い去った翔太。

とりかえしのつかない七年の歳月が一瞬で過ぎ去って行く。

高まって行く暴力衝動・・・。

しかし・・・葵は・・・翔太を殴ることはできなかった。

親に捨てられたあかりを・・・守ってきたのは・・・葵ではなく・・・翔太だったのである。

自分が・・・翔太のようにあかりを守れたか・・・葵には自信がなかった。

そんな二人のやりとりを・・・七海と公平は立ち聞きしていた。

「翔太さんがそんなことをするなんて・・・お兄ちゃん・・・可哀想」

「・・・」

公平は・・・やはり・・・あかりに横恋慕していたのだろう。

自分にできなかったことを成し遂げた翔太に心が傾いて行く。

「でも・・・証拠を捨てなかったのは・・・翔太も翔太なりに苦しんだ証だと思う」

「・・・」

「そうなんじゃないかな・・・」

「私にはわからない・・・友達じゃないから・・・」

友達として・・・公平は・・・あかりと翔太が壊れないことを望むのだった。

あかりと葵が結ばれることには・・・なんとなく抵抗があるわけである。

あかりと葵・・・そして自分ではなく・・・幼馴染の三人で・・・いたかったのである。

もちろん・・・公平にそういう自覚はない。

ただ・・・あかりと公平が壊れないようにするのが・・・友達らしいと考えるのだった。

葵は・・・精一杯・・・あかりに尽くそうと考える。

二人はベンチにすわる。

その距離は・・・あの朝よりも離れている。

あかりの背後には・・・噴水がある。

「ワンピースの51巻を読んだんだ・・・」

「え」

噴水は鎮まる。

「手紙も読んだ・・・」

「・・・」

「花火大会の日・・・一人で待たせてごめん」

噴き出す噴水。

「・・・」

知らなかったんだから仕方がないとは言わないあかり。

「あかりをとりもどしたい・・・」

噴水はとどまるところを知らない。

「・・・」

「試験・・・がんばれ」

葵は・・・お守りを渡す。

しかし・・・それは「合格祈願」ではなく「健康祈願」だった。

「なによ・・・これ」

「あ」

あかりは笑った。

高校生のころに戻ったように・・・。

しかし・・・二人はもう高校生ではないのだ。

「合格したら・・・カレーを作ってお祝いするよ」

「合格したら・・・お腹壊しても平気だもんね」

「・・・」

二人は笑顔で別れた。

葵は振り返らない。

あかりは振り返り・・・葵を呼びとめる。

「葵・・・」

「なんだよ」

「ありがとう・・・」

一瞬で七年間はなかったことになったのだった。

あかりは・・・晴れ晴れとした気持ちで・・・東京都の教員採用候補者選考会に臨むのだった。

翔太は肩の荷を下ろした。

しかし・・・愛の灯が消えたわけではない。

事情を知らない研修医仲間の一葉(新川優愛)は翔太に表面的な謝罪をする。

「私・・・余計なことをしたのかしら」

「誤解だったんだ・・・心配してくれてありがとう」

一葉は穏やかな翔太に戸惑うのだった。

葵は・・・美玲の助手として・・・仕事に没頭する。

しかし・・・徹夜続きで二百枚の描き直しをする美玲のガッツに気遅れする。

「二百枚・・・」

「当然でしょう・・・チャンスだもの」

「・・・」

「あらあら・・・アオイくん・・・自分にはチャンスが来ないって・・・落ち込んだの」

「・・・」

「私だって・・・ジョーズのようなパワーを持つ万里子さんを見ると凹むことあるのよ」

上には上がいる。

自信のない葵はボティブローを食らうのである。

しかし・・・がんばるしかないのだ。

恋も仕事も・・・自分にできることを・・・。

葵は一生懸命・・・前を向いている。

しかし・・・公平は・・・七年をないことにはできないのである。

それでは・・・自分が・・・疎外されてしまうのだ。

公平は・・・翔太の前に現れる。

「お前が・・・ひどいことをしたのは知ってる」

「・・・」

「でも・・・五年間・・・あかりを支えたのはお前だもん・・・あかりが夢をかなえたかどうか知る権利はあると思う」

「・・・」

公平が動かないと知ると・・・あかりを待ち伏せる公平だった。

恋の成就を願うお茶の間は・・・そのお邪魔なふるまいに唖然とするのだった。

ちなみに散りばめられた言葉遊び・・・。

ワンピースの51巻は「コイ」と読むことができる。

葵には「コイ」がずっとなかったのである。

あかりの受験番号は「101851」番である。

「イワイハツコイ」と読むこともできる。

しかし・・・101は男女男の三角関係を示しているとも言える。

今・・・ようやく・・・物語は初恋をめぐる三角関係に発展した。

しかし・・・大人には分かる・・・初恋の美しさと・・・すでに大人の関係になってしまった二人と・・・そうではない一人の葛藤を・・・。

公平は・・・そういうことを童貞だけに・・・無神経に持ち込むのである。

たちまち・・・崩れて行く・・・あかりと葵の淡い初恋の延長戦・・・。

「葵に合格したことを知らせたの?」

「一番最初にね」

「翔太にも・・・報告してやれよ」

「・・・」

「だって・・・翔太が一番喜ぶんじゃないの・・・」

「・・・」

一部お茶の間・・・絶叫である。

なにしろ・・・大人の関係である・・・あかりは・・・翔太を無視することはできないのだ。

目をつぶっていることを・・・公平が許さないのである。

公平が破壊の限りを尽くしていることは知らずに七海は気をきかせて外出するのだった。

気の効く妹が去って・・・あかりを待つ葵・・・。

初恋の味のするカレーが匂い立つ・・・しかし・・・風立ちぬ。

「葵・・・私・・・翔太に会ってくる」

「・・・わかった」

「ごめん・・・でも約束の時間には必ず行くから」

平静を保とうと努力している・・・翔太の前に・・・あかりが現れる。

「合格したよ・・・」

「よかった・・・」

「合格できたのは・・・翔太のおかげだよ」

「・・・」

あかりはふりかえらない・・・しかし・・・翔太は呼びとめる。

「心音ちゃんに会っていって・・・」

「・・・わかった」

心音は外出許可を得てウキウキしていた。

「落ちたの・・・」

「残念でした・・・合格しちゃった」

「・・・おめでとう」

「ありがとう」

初恋の成就を呪う神は・・・心音の病状を急変させるのだった。

動揺するあかり・・・。

スマホの入ったバッグは閉ざされた病室に取り残される。

約束の時間を過ぎても現れないあかりに電話をする葵。

「あかり・・・」

「留守番電話サービスです」

そして・・・あかりは・・・自分を待っている初恋の人の存在を・・・嘘のように忘れてしまう。

もちろん・・・そうなるのは・・・あかりの心が揺れているからである。

翔太と葵の間で・・・。

愛し合った男と初恋の人の間で・・・。

101851・・・101851・・・101851・・・。

秀才だったあかりと翔太・・・そうではない葵。

お似合いの二人に打ちのめされ続けて来た葵のハートは破裂寸前だった。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

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