人命尊重で(堤真一)安全第一で(戸田恵梨香)自己責任で(田中美里)
1986年、総合商社のマニラ支店長であった日本人がフィリピンの共産ゲリラに誘拐される事件が発生。
事件は日本国内のマスメディアでニュースとし報道される。
総合商社の本社やマスメディアに被害者の写真や音声テープを同封した脅迫状が郵送される。
国内世論は被害者の解放を求める方向に傾く。
その後、被害者は解放に至る。
人質と引き換えに1000万ドルが身代金として支払われた。
総合商社が事実として認めたことにより、同様の事件を誘発させるという各方面から批難を受ける。
人質の人命優先とテロリストの要求には応じないという理念が問題解決に大きな関門となり、現在に至る。
苦肉の策として生まれた言葉が「自己責任」であることは言うまでもない。
世界は今も理不尽に満ちている。
で、『リスクの神様・第5回』(フジテレビ20150812PM10~)脚本・橋本裕志、演出・石川淳一を見た。海外での事業展開はひとつのリスクである。国内の常識は通用しない上に、日本は国外での活動が特に制限される特殊な国家だからである。国際連合憲章に「第二次世界大戦中に連合国の敵国であった国」として戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できないと定められているからである。つまり、うかつなことはできないということだ。
日本はこれについて削除を求めて来たが・・・いくつかの国の同意が得られないために・・・現状は維持されているのである。
つまり・・・世界は悪意に満ちているのだな。
土下座しまくるノイローゼの元総理大臣はある意味、この状況を体現しているとも言える。
国家としての日本には世界でできることとできないことがある。
だから、ある種の特殊工作は・・・水面下で・・・隠密に・・・こっそりとやるしかないのだった。
もちろん・・・それは・・・大衆の目にはいかにも無能に見えるのものだ。
日本の忍びの優秀さをもってしてもだ・・・おいっ。
五年前・・・。国際的産業スパイの結城(森田剛)はイカサマ賭博で糊口をしのいでいた。
フリーの危機対策代行業を営む西行寺智(堤真一)は敵対した結城にお灸をすえた後、ビジネス・パートナーとしてスカウトする。
その諜報力を高く評価したのである。
二年前・・・。西行寺、結城、そして探偵の種子島(古田新太)はトリオを組み、身代金目的の少女誘拐事件の解決に協力する。しかし、身代金受け渡しを代行した西行寺が犯人を深追いしすぎて・・・事故が発生。犯人は死亡し・・・監禁場所を発見した時、少女はすでに衰弱死していた。西行寺にとって失敗の苦い味。
二か月前・・・日本にやってきた西行寺は認知症を発症した父親の孝雄(田中泯)と再会する。父親が本当に記憶を失っているのか・・・疑いを禁じえない西行寺・・・。
二日前・・・天然ゴムの資源国として知られるマーレーン(フィクション)でサンライズ物産生活資材事業部のマーレーン駐在所の袴田明所長(桜井聖)が消息不明となる。
一日前・・・規定に従い・・・マーレーン駐在所の所員・危機対策室に「所長の所在不明」を報告。
応対したのは見習いの神狩かおり(戸田恵梨香)だった。
「それはトラブルということでしょうか」
「いえ・・・とにかく・・・規定に従っただけです」
「状況に変化があったら・・・お知らせください」
「わかりました・・・」
そして・・・その日・・・サンライズ物産社長・ 坂手光輝(吉田鋼太郎)宛てに匿名の国際郵便が届く。
不審物として対処する副室長の財部(志賀廣太郎)・・・。
封入されていたのは・・・破損した眼鏡と袴田所長の写真。
日付は二日前で・・・タイムリミットは72時間と記されている・・・。
「つまり・・・残り24時間か」
「・・・まさか・・・誘拐事件ですか」
「それ以外なら・・・茶番じゃないか」
かおりは初期対応を間違えたことを悟るのだった。
「報告するほどのことではないと・・・」
「失った時間を悔やんでも仕方がない・・・できることをやるだけだ」
「警察に通報しますか」
「日本の警察には海外での捜査権がない」
「外務省に・・・」
「情報収集するだけで日が暮れる」
「じゃ・・・どうするんです」
「我々で・・・対応する・・・そのための部署だ」
「ここで・・・」
「現地には種子島さんに飛んでもらう」
坂手社長はリオデジャネイロに出張中であるために・・・京都出張中の白川専務(小日向文世)が最高責任者となった。
袴田の上司である窪塚徹本部長(春海四方)が召集され、国内在住の袴田の妻・美沙(田中美里)も呼び出される。
「主人が・・・誘拐されたのですか」
「今・・・確認中です」
「最初は四年の約束だったのに・・・延長・・・延長で・・・もう九年ですよ」
「袴田くん以上の適任者がいないのです・・・奥さん・・・」
窪塚本部長は頭を下げる。
そこへ・・・社長室経由でマーレーンからの国際電話が回されてくる。
「できることをしたまえ」
語学堪能のかおりが犯人との交渉役となる。
「社長か」
「社長は出張のために不在です・・・秘書の私が応対します」
「ハカマダの命は・・・一千万ドルとサンライズのマーレーンからの撤退とひきかえだ」
「ハカマダさんの声ほ聞かせてください」
「・・・袴田です」
「今・・・どこに・・・」
「二人の男と・・・」
切断される通話。
「一千万ドル・・・十億円は・・・ちょっと高いな」と本部長。
「主人の命がかかっているんですよ」と袴田夫人。
「現地の警察に通報したらどうでしょうか」とかおり。
「犯人が共産ゲリラだとすると・・・現地警察内部にスパイがいる可能性がある」と西行寺。
「マーレーンからの撤退は・・・無理だぞ・・・天然ゴムの二割はマーレーンからの輸入だ」と本部長。
「金銭の要求と・・・政治目的の要求・・・どちらが・・・主なのでしょうか」
「今や・・・そこに区別はないな・・・政治とは経済だし、経済とは政治だ」
「・・・ですか」
「日本からマーレーンへの渡航時間は・・・」
「通常なら七時間です」
「現地との摩擦を避けるために正規のルートを使う」
サンライズ物産所有のスティルス輸送機「おんみつ075」は発進中止となった。
「すでに・・・種子島さんは成田に」
「種子島・・・頼んだぞ」
「まもなく搭乗する。奥さん・・・美人らしいな」と種子島。
「ミステリなら・・・真犯人で間違いない」
「袴田所長が奥さん恋しさに狂言をしている可能性は?」
「五分五分だな」
「とにかく・・・情報分析を急いでくれ」
再び、犯人から国際電話がかかる。
「金は用意できたのか」
「準備中です」
「サンライズは資本主義のクソだ・・・マーレーンから出て行くと約束しろ」
「検討中です」
「お前では話にならない・・・社長を出せ」
「私が社長です」と西行寺。
「タイムリミットまでに記者会見を開いてマーレーンから出て行くと発表しろ」
「決定には時間が必要だ」
「時間がきたらアカマダは死ぬ」
銃声とともに電話は切られる。
「何か気がついたことは・・・」
「フランス訛りがあります・・・Hが発音されていないし」とかおり。
「ハカマダがアカマダになっているということか」
「こいつら・・・バカな素人かもしれない」と結城。
「何故だ」
「脅迫状の・・・テロリスト・グループの署名が間違っている」
「なに・・・」
「Hが抜けている」
「フランス系のアホか・・・」
「種子島が現地についたら・・・解雇された従業員を中心に犯人を捜索させよう」
「素人なら・・・眼鏡に指紋が残っているかもしれない」
「そこまでアホだとは・・・思わないが・・・おや・・・」
特殊能力で指紋を採取する結城・・・。
現地に到着した種子島も・・・フランス系のアホな現地従業員の指紋を採取しまくるのだった。
特殊能力で指紋を照合しまくる結城。
白川専務が本社に到着する。
「社員の人命のためだ・・・一千万ドルは送金する・・・しかし、身代金を払ったことが漏洩しないようにしたまえ」
「善処します」
「記者会見は・・・避けたい・・・テロリストと交渉しないのが前提だ」
「しかし・・・タイムリミット前に事件が解決しなかった場合・・・社員を見捨てたことになります」とかおり。
「記者会見は・・・設定する・・・しかし・・・事件が解決しない場合は・・・事件の発生を伝えるものにする。犯人の要求を明らかにするのが妥協点だ・・・対応は協議中ということにする」
「・・・」
「見捨てる気はないが・・・見捨てるということですね」
「ギリギリの決断だ・・・もはや20世紀ではないのだから・・・」
「しかし・・・袴田さんは社のために・・・九年も・・・前線で・・・」
「それを選択したのは・・・彼本人だ・・・我々にできるのは無事を祈ることだけだ」
しかし・・・記者会見直前・・・指紋が確認され、犯人が解雇された現地の従業員であることが判明する。
種子島は特殊な交渉術で現地の警察と連携し、犯人のアジトを急襲。
袴田所長の無事救出に成功するのだった。
もちろん・・・緊急展開したサンライズ物産・特殊急襲部隊「あかつき075」が実力を行使したのであった。
「総合商社・・・おそるべし・・・ですね」
「何でも買うし、何でも売る・・・ということは何でももってるのと同じだからな」
笑顔で記者会見に臨もうとする白川専務。
しかし、寸前で帰国する坂手社長。
「ご苦労だった・・・後はまかせたまえ・・・」
「・・・」
事件解決の記者会見で「社員の無事救出」を安堵の笑顔で報告する社長だった。
「まるで・・・すべてが社長の手柄みたいですね」とかおり・・・。
「いいんだ・・・社員が無事でよかった・・・私には私の仕事がある」
「・・・」
「その時がきたら・・・私に力を貸してくれるね」
「もちろんです」
かおりは白川専務に忠誠を誓う。
しかし・・・それが本心であるのかどうかは・・・かおり自身にも不明だった。
袴田夫人は・・・マーレーンに旅立った。
夫を心から愛していたらしい。
関連するキッドのブログ→第4話のレビュー
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コメント
今週はまさにキャップが指示を出して各人が飛ぶ…キタ━(゚∀゚)━! そして脳内補完で燃えました。
特殊急襲部隊「あかつき075」……もちろん地図屋の地下がアジトですね。小型艇は75%だけ完成していて直前に組み立てる(~_~;。
で、結局社長はリオデジャネイロからとんぼ帰りなんでたっけ。飛行機ごと途中から戻ってきたんでしたっけ。扉を破壊して飛び下りたんでしたっけ。
2年前の廃ビルはストロベリーナイトで竹内結子がぶら下がったところなんでしょうか。他人(他ビル)の空似?
投稿: 幻灯機 | 2015年8月13日 (木) 11時35分
✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪
ムラマツあるいはキリヤマが
フルハシあるいはアラシが
イデとかソガとかアマギとか・・・。
フジやアンヌが・・・。
「パリの本部に連絡を」入れまくっているようでしたな。
フリーランスのトーゴーやらダテやらサイジョウやらが
狙撃位置にスタンバイ・・・。
特殊潜航艇で闇夜に上陸、無言で撤収・・・。
死して屍拾うものなし・・・。
「拳銃は最後の武器だ」と男たち・・・でございますね。
やってることはほぼ「キイハンター」ですよね。
種子島大活躍と理想の誘拐犯で
事なきを得た感じが少し甘めですが・・・
まあ・・・苦さを求めては酷ですからあ・・・。
ふふふ・・・妄想のロケ地は大活躍ですよねえ。
投稿: キッド | 2015年8月13日 (木) 21時13分