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2015年8月27日 (木)

海に千年、山に千年(堤真一)蛇は竜になるのですね(戸田恵梨香)スピン・ドクター(大谷亮介)ハゲタカファンド・マネージャー(手塚とおる)ホワイト・ナイト(木下ほうか)

日本に闇がゆっくりと広がって行く。

その闇の気配に慄く人もいるし・・・安寧を感じる人もいる。

七十年前・・・荒廃した国土はいたるところに闇が蹲っていた。

闇は悲惨を隠すのには都合がいい。

人々はその闇を抱え込み・・・陽のあたる場所へ出た。

二十代で敗戦を迎えた人々はもはや九十代である。

十代で敗戦を迎えた人々は八十代。

幼少時代に敗戦を迎えた人々も七十代である。

濃淡のある闇はまだらに点在している。

闇の中で人は人ではなくなる。

かっての夏・・・下町の玄関の扉は開いていた。

今は固く閉ざされているのが一般的だ。

受験戦争のために・・・闇の中で学習塾の扉は開いている。

放射能汚染された地域には隔離された闇がある。

刹那的な欲望しか与えられない人は愛を忘れる。

世間の顔色を窺う大人は口を噤む。

社会の凡庸な少数派は多数決を盲目的に否定する。

混乱を面白がる邪気に満ちた一般人。

友愛の名のもとに祖国を売る愚か者。

闇の中から這い出た悪鬼は未熟で無防備な弱者を捕食する。

すぐそこにあるリスク。

で、『リスクの神様・第7回』(フジテレビ20150826PM10~)脚本・橋本裕志、演出・城宝秀則を見た。リーダーの交代は一つのリスクである。世代交代や新陳代謝は自然な流れだが・・・リーダーシップの影響力が強い組織ではトップの交代には様々な摩擦が発生する。リーダーの指導力が低下することで組織は弱体化し、組織が弱体化することで指導力が問われるのである。ひとにぎりの勝者と圧倒的多数の敗者が出現すれば革命あるいは恐怖政治のリスクが高まる。義理も人情もない混乱の中で人々は囁く。こんなはずじゃなかったのに・・・と。

サンライズ物産が出資している烏丸屋ホールディングスが乗っ取りの危機に陥る。

呉服店からスタートし、百貨店、スーパー、ホテルと事業を拡大してきた烏丸屋ホールディングスは前社長の岡崎竜太郎(小野武彦)が一代で急成長させた会社である。

しかし、後継者候補だった息子の大樹(中村峻介)は企業体質の改善を目指し、一年前に父親を解任に追いやった。

お家騒動のスキャンダルに加えて買収した日陽ホテルの経営破綻により、経営危機に陥った烏丸屋ホールディングス。

危機の責任は息子の経営手腕に問題があるとして竜太郎は投資会社片山ファンド代表の片山(手塚とおる)と組んで株式取得による経営権の奪回を目論んでいた。

サンライズ物産危機対策室長・西行寺智(堤真一)は背後に烏丸屋ホールディングスの解体・売却を目論むプライベート・エクイティ・ファンド(いわゆるハゲタカファンド)の大手・リバーファンドが動いていることを探知し、買収阻止のために出動する。

「ハゲタカファンドですか・・・」と遠い目をする副室長の財部(志賀廣太郎)・・・。

ほぼ、役割終了である。

西行寺と助手の神狩かおり(戸田恵梨香)は現社長の大樹に事情聴取を行う。

「父に経営者として育てられてきましたが・・・その経営手法は・・・時代の流れに取り残されていたのです。私は改革を訴えましたが・・・父は聞き入れなかった・・・解任は仕方のないことだったのです」

「親子問題はこの際、どうでもいいのです・・・このままでは・・・烏丸屋ホールディングスは換金されてしまう。そうなれば多くの従業員が路頭に迷うでしょう」

やがて・・・経営危機の一因となった日陽ホテルの買収に関与した監査役の花村(大谷亮介)が姿を消す。

「そもそも・・・日陽ホテルの買収は父の持ち込んだ案件でした・・・父の意志に配慮して・・・計画を実行したのが仇となったのです・・・花村は監査役として・・・日陽ホテルの経営状態に問題なしとしておきながら・・・巨大な負債を見逃していた・・・そして事が明らかになると一転して私の経営者としての資質を弾劾し始めたのです」

「一種のスピン・ドクターですね」とかおり。

「スピン・ドクター?」

「ある特定の人物・団体について実状を無視して虚像を伝える工作員ですよ」

「言葉巧みに情報操作を行う専門家です」と西行寺。

「花村が・・・そんな・・・公明正大な人だと思っていたのに・・・」

「社長殿・・・スピン・ドクターは黒を白と言いくるめるプロなんですよ」

「・・・」

不良債権を巧につかませて、経営者としての評価を下げる任務に成功した花村は前社長陣営の送り込んだ刺客だったのだ。

息子陣営の株式取得状況

息子20%

サンライズ物産15%

合わせて35%

父親陣営の株式取得状況

父親15%

片山ファンド20%

合わせて35%

・・・その他30%である。

「残り30%から16%を取得したものが過半数の株主代表として株式総会で経営権を獲得することになります」

「敵は敵対的買収を仕掛けてくるでしょう」と渉外担当の結城(森田剛)・・・。

「用意周到な相手だ・・・すでに・・・買収は成功しているとみていい」と西行寺。

「打つ手なしですか・・・」

「いや・・・増資による持ち株比率の変換という手が残っている」

「ホワイトナイトですか・・・」とかおり。

「どなたか・・・増資を引き受けてくれる相手がいますか」

「心当たりがあります」と息子。

息子の学生時代の友人がアジアグローバル証券の代表であるフォー(木下ほうか)だった。

フォーは友情ではなくビジネスとして増資に応じると言う。

「話が上手すぎる・・・」

危険な匂いを嗅いだ西行寺は探偵の種子島(古田新太)にフォーを探らせるのだった。

結果として・・・フォーは片山とつながっていることが判明する。

「そんな・・・誰も信じられない」

「お坊ちゃんだからですよ・・・」

「打つ手なしですか・・・」とかおり・・・。

「いや・・・一番大切なものを守る方法が残っています」

「それは・・・」

「愛ですよ」

「愛・・・」

「前社長に頭を下げるのです」

「そんな・・・父は僕を憎んでいる・・・そして僕にだってプライドが・・・」

「親子喧嘩で・・・全社員が路頭に迷う・・・そんな経営者にプライドなんて最初から無用です」

「お父さんがいて・・・いいでいね・・・私にはいません」とかおり・・・。

息子はかおりの誘惑に屈した。

西行寺とかおりは息子の手紙を持って竜太郎を訪問するのだった。

「サンライズ物産が・・・烏丸屋ホールディングスを乗っ取るのか」と頑なな父親。

「そこに・・・大義がありますか」

「大義」

「出資しているサンライズ物産は・・・企業価値が上がれば・・・経営者は・・・父でも息子でもハゲタカでも構わないのです」

「・・・」

「しかし・・・あなたが一代で築きあげた会社は・・・跡形もなく食い尽くされますよ・・・」

「それも・・・宿命だろう」

「・・・」

運命の株式総会。

しかし・・・息子は・・・51%の株式を取得して・・・勝利する。

息子陣営36%・・・そして父親15%・・・。

ハゲタカは岡崎父子に敗北したのだった。

「心の底からの和解でしょうか・・・」

「いや・・・会社を守るために・・・前社長は笑顔の仮面を装着したのだ」

「百戦錬磨ですか・・・」とかおり・・・。

「義理も人情も・・・見せかけだ・・・顔で笑って心で泣くのが人生だ」と西行寺。

種子島(古田新太)は西行寺に新たな情報を告げる。

「とんでもないぞ・・・」

サンライズ物産の社長・坂手光輝(吉田鋼太郎)はアジアグローバル証券のフォーと密会していたのである。

「買えるものは買い、売れるものは売るのが・・・商社だからな・・・」

西行寺の胸に秘められた想いはまだ語られることはない。

遠い記憶・・・。

「僕はお父さんのような商社マンになりたい」

「商社マンはつらいぞ・・・お前はもっと自由になれ・・・」

若かりし頃の西行寺の父・・・孝雄(田中泯)・・・。

「君のお父さんは・・・会社のために尽くしたのだ」

若かりし頃のサンライズ物産の顧問・天童徳馬(平幹二朗)・・・。

「じゃ・・・なんで・・・あなたたちは・・・お父さんを助けてくれないんですか」

西行寺は少年時代の苦い記憶を噛みしめる。

子会社に出向になった橘由香(山口紗弥加)は白川専務(小日向文世)と密会する。

「メタンハイドレートの実用化の目途は全くたっていません・・・ほとんど白紙の状態です」

「地球温暖化対策としても有効な新エネルギー源として期待が高まっているというのに・・・」と専務の秘書・逢沢統吉(丸山智己)・・・。

「坂手社長は実用化目前という口ぶりだったな・・・」

「何か・・・あると思います」と注意を促す橘だった。

白川専務はかおりに探りを入れる。

「なにか・・・大きな危機が迫っている・・・」

「私にできることがあれば・・・」

「その時は頼むよ・・・」

二人は坂手社長と遭遇する。

「おや・・・危機対策室の期待の新人と・・・専務が一緒とは珍しい・・・」

「危機対策室の活躍は目覚ましいですから・・・」

「我が社の株主総会も近い・・・身辺には気をつけたまえ」

怪しい社長は・・・怪しい専務の耳元で囁く。

とにかく・・・かおりの行く手には暗雲が立ち込めている。

輝かしい業績を残すサンライズ物産には西行寺の父親を牢獄に追い込んだ闇があるからである。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

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コメント

手塚とおる+木下ほうか(゚∀゚)(゚∀゚)(゚∀゚)

もしかて歴史的共演???

投稿: 幻灯機 | 2015年8月27日 (木) 21時42分

✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪

ですねえ。

キッドの記憶にはございません。

おそらく・・・なんとなく・・・
かぶってるからでしょうなあ・・・。

木下ほうかは「相棒 Season 5 」第12話
手塚とおるは「相棒ten」第18話で
すれちがってますけどねえ。

投稿: キッド | 2015年8月28日 (金) 10時03分

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