あやまちはあの夏おこった(本田翼)僕はふりむかない(福士蒼汰)自分の気持ちを正直に(野村周平)
福士蒼汰の女性遍歴を考える。
デビュー作は「美咲ナンバーワン!!」であり、キャバクラ嬢で高校教師という香里奈の教え子の一人であり、除外したい。
また初主演の「仮面ライダーフォーゼ」のヒロインは同級生役のギンギンでおらおらの清水富美加だが・・・これも特撮ヒーローという特殊なジャンルなので除外する。
注目をあびたのは「あまちゃん」の主人公・能年玲奈の先輩で恋人役である。先輩後輩の間柄だが二人は1993年度生まれの同級生なのだ。
この後、「スターマン・この星の恋」では1980年度生まれの広末涼子、「弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜」では1992年度生まれの有村架純、「きょうは会社休みます。」では1984年年度生まれの綾瀬はるか、そしてコレである。
年下の恋人、同年代の恋人、年下の恋人ときてこれなのである。
同年代と言っても、本田翼も有村架純と同じ1992年度組で一つ年上なんだな。
つまり・・・年上の恋人限定の男なのである。
そういう企画ばかり・・・たてて・・・どうなんだと思わないわけでもないが・・・ビジネスなんだな。
今回は・・・お約束の三角関係のために・・・1985年度生まれの市川由衣が配置されている。
そういう時代なのか・・・狙いすぎなのか・・・。
ついでに・・・ヒロインの本田翼の1992年度組をあたっておこう。石橋杏奈がいて、石橋菜津美がいて、成海璃子がいて、剛力彩芽がいて、桜庭ななみがいて、忽那汐里がいて・・・前述の有村架純がいる年度。
役柄を考えると・・・かなり適役と言える。
とにかく・・・こうして・・・サイボーグとアンドロイドは恋をしているのだった。
で、『恋仲・第4回』(フジテレビ20150810PM9~)脚本・桑村さや香、演出・宮木正悟を見た。またしても「デス・ノート」とのチェンジならずである。やはり、作品として完成度が高いので時系列的に整理する対象にならないのだった。「デス・ノート」を語るよりも「恋仲」を語りたいわけである。善悪という意味では・・・蒼井翔太(野村周平)は「恋文」を盗み、都合よく利用しているわけで・・・完全な悪である。人の恋路を邪魔しているのも悪行三昧と言えるだろう。しかし・・・恋愛という意味では・・・それを成就するために手段を選ばない人間は優れていると言えないこともないわけである。悪い人間を好きになることなんて日常茶飯事なのだから。発端がたとえ・・・策略であったとしても・・・芹沢あかり(本田翼)は五年間の交際で翔太を愛しているわけである。三浦葵(福士蒼汰)は悪事は働いていないが恋愛については消極的であり、意中の人を寝取られた間抜けであるとも言える。この辺りの匙加減が絶妙なんだな。
善良な人々にとって・・・翔太の悪事が発覚した以上・・・葵とあかりは結ばれて当然なので・・・この後の展開が読みにくいわけである。
しかし・・・あかりは五年間の間に翔太といろいろなことをしてしまったのであり、葵はそのことを妄想せずにはいられない。そして、あかりも葵が妄想することを妄想する。なかなかに・・・素直には喜べない状況である。
そういう・・・あれやこれやを乗り越えて二人がハッピーエンドになるのはものすごく高いハードルがある。
一方で・・・翔太は・・・どんなことをしても手にいれたかった葵を手に入れたものの・・・結局・・・抱えきれずに手放してしまう。しかし・・・五年間に渡っていろいろなことをしてきた実績があるわけである。情というものの不思議さを考えると二人が復縁するのはそれほどハードルは高くないような気がする。
だから・・・二人のアオイがあかりを獲得するレースはここからが本番なのである。
まあ・・・童貞や処女には分かりにくい問題かもしれません。
とにかく・・・臆病者の葵と卑怯者の翔太の間で・・・翻弄されるヒロインという意味ではあかり最高と言えるだろう・・・。
もちろん・・・主人公特権で・・・葵は勝利するでしょうけどね。
葵に返したはずのラブレター付きのコミック「ワンピース・第51巻」を翔太の部屋で発見したあかりは翔太と二人で飲もうと思っていた缶ビールをぶらさげて帰宅する。
同居人の高梨恵里香(馬場園梓)は「肉じゃが」を作りすぎたのでお裾わけをしたら暴言を吐かれたとぼやく。
「そんなまずそうな肉じゃがは見たことないですって・・・人のいいおじさんだと思っていたのに・・・人間の本性ってわからないものね・・・」
五年間交際していた恋人が自分を騙していたのかもしれないと疑心暗鬼になっているあかりに突き刺さる言葉。
あかりは思わず・・・缶ビールを恵理香に譲渡するのだった。
一方・・・交際中、冴木瑠衣子(市川由衣)が他の男に情を移したために破局した過去を持つ二人・・・葵と瑠衣子は・・・旧交を温めていた。
瑠衣子は結局、浮気相手とも別れ・・・葵と復縁するために積極的なアプローチを仕掛けている。
自分が知らない間に・・・あかりと翔太が・・・深い関係になっていることを知った葵は・・・心の動揺を鎮静化させるために・・・かって自分を傷つけた相手に心を許し始める。
結局・・・葵は「一途な恋」をしているのである。
あかりへの初恋を心に潜ませたままで瑠衣子と交際したことが・・・破局の一因であったことは否定できないのだった。
あかりと翔太が結婚し・・・倫理的に手が届かない関係になる未来に備えて・・・パートナー選びをしなければならない・・・葵の中で打算が働いている。
年下の恋人を再び、捕獲する・・・自信満々の瑠衣子は再会を約束して別れた後でそっと振り返る。
しかし・・・葵はまだ振り返らないのだった。
瑠衣子は急がない・・・タイムリミットが迫っているのでより慎重なのである。
夜の交差点は・・・人々の出会いと別れを静かに見守っている。
年頃になって花開いた七海(大原櫻子)に夢中になった公平(太賀)は悶々としている。
「お兄さん・・・どうしよう」
「だれが・・・お兄さんなんだ」
「だって・・・七海ちゃん・・・つれないんだもん」
「少しは・・・相手の気持ちも考えろ・・・七海だって就職活動中という重要な時期なんだぜ」
「・・・」
童貞と童貞ではないものの越えられない壁である。
研修医・翔太の担当患者である山城心音(大友花恋)の家庭教師として病院を訪れたあかり。
見舞いに来ていた心音の幼馴染が花火見物の約束を交わしていることを知り・・・暗澹とする。
翔太に会っても真相を問い正す勇気が湧かないあかりだった。
「昨日・・・家に来た?」
「いいえ」
「お茶でも飲まない」
「ごめん・・・バイトがあるから」
帰宅したあかりは餌の過剰投与による金魚虐殺に着手する。
異変に気がついた恵理香はあかりの相談に乗る。
バイト仲間として付き合いの長い二人である。
「それじゃ・・・葵くんに手紙が届かなかったってこと・・・つまり・・・ふられていなかったってこと・・・」
「・・・」
「でも・・・誤解かもしれないよ・・・翔太くんに聞いてみれば・・・」
「そんなこと・・・こわくてできない」
「じゃ・・・葵くんに手紙のことを確かめたら・・・」
「・・・」
この時点で・・・あかりにとって翔太は失いたくない恋人・・・葵は何でも相談できる幼馴染なのである。
もちろん・・・葵には・・・初恋という思い出がある・・・それは失恋に終わったと思いこんでいたあかりは・・・心を疼かせる。
初恋は秘められたままだったかもしれないのだ。
スピーチによって幼馴染夫妻の離婚の危機を救った葵は・・・雇用主の丹羽万里子(吉田羊)に冷やかされる。先輩の磯原新一(永井大)は葵に「設計コンクール」への応募を奨める。葵の前途は輝き始めていた。
目敏い同僚の富永美玲(山本美月・1991年度生まれ)は「瑠衣子との復縁」を盗撮していた。
「あのな・・・葵くん・・・瑠衣子さんのこと・・・どう思ってるの?」
とんこさんじゃないと何度言ったら・・・。
帰宅した葵は公平が七海をバーベキューに誘おうと計画していることを知る。
しかし・・・ぱるるな対応をする七海。
「私は車のない人とはバーベキューをしません」
仕方なく・・・助け舟を出す葵。
「じゃ・・・瑠衣子に頼んでみるよ」
瑠衣子にとっては渡りに船である。
葵との親密な時間のために・・・お嬢様パワーで・・・豪華な海辺の別荘を準備するのだった。
全方位的に空気を読まない公平はあかりと翔太を誘うことを発案。
兄想いの七海は厳しく咎める。
しかし・・・葵は・・・初恋を過去に葬り去るために激しく同意するのだった。
「お誘い合わせの上・・・お越しください」
しかし・・・あかりは翔太を誘うことはできない。
葵に確かめることがあるのだ・・・。
一方・・・立ち位置の不明だった研修医・沢田一葉(新川優愛)は翔太にただならぬ好意を寄せていることが判明する。
「・・・変な男にお金を渡していたでしょう・・・何か心配ごとがあるんじゃないの」
「君には関係のないことだ・・・」
しかし・・・一葉は面会者名簿によってそれが芹沢寛利(小林薫)であることを確認する。
さらに・・・あかりが・・・心音に貸した使い古しの辞書から・・・芹沢あかりの名前を突き止める。
一葉も特権階級に属する女らしく・・・探偵に命じて・・・翔太の周辺を調査させるのだった。
「あの男って・・・彼女の父親なんでしょう・・・何かよくないことに巻き込まれているんじゃないの」
「君には関係のないことだと言ってるだろう・・・」
あの日・・・あの本を盗まなければ・・・。
研修医カップルが誕生していた夜だったのかもしれない・・・。
バーベキューの日・・・空は晴れ渡り・・・みんなははしゃいでいた。
しかし・・・遅れてやってきたあかりは晴れ晴れとはしていない。
そして・・・瑠衣子もあかりの参加に顔を曇らせる。
そういう気配を七海は察知する。
しかし・・・葵と公平は鈍感にドライブを楽しむのだった。
通俗的な男と女の描写。
そして・・・葵へのサービスにあふれる瑠衣子が用意した素敵すぎる海の家。
例によって・・・事情も知らず空気も読まない公平は・・・「楽しい夏の一日」を翔太にメールで通知するのだった。
心に雷鳴が鳴り響く翔太。
キッチンで下ごしらえをする七海は買い出しに出た公平のことを葵に冷やかされる。
「このイベント・・・七海ちゃんのために企画したみたいよ」
「告白して玉砕して橋の上から身を投げるような奴の企画ですよ」
「・・・」
「私は・・・もっと一途な人がいい。そういう人を守ってあげたい・・・その人を苦しめるすべてのことから」
「音楽の教科書ね」
「お兄ちゃんとあかりさんは私の理想でした・・・」
「え」
「幼馴染で相思相愛で・・・」
「そんなことないよ」
「そうですか・・・少なくともお兄ちゃんはあかりさんのことをずっと好きだったと思うけど」
「・・・」
テラスでは葵と瑠衣子が磯辺を見ながらバーベキューの準備を始めている。
「あかりさんとのことは・・・終わったって言ってたけど・・・」
「え」
「しばらくぶりに一緒になって・・・もう一度やり直したいと思ったりはしないの」
「・・・それは・・・ないよ」
男と女の復縁については二重の意味が込められている。
瑠衣子は戦闘モードに入るのだった。
「私は・・・あなたと・・・もう一度やり直したいと思っている」
「・・・」
「返事は・・・今でなくていいの・・・考えてみて」
「・・・わかった」
あかりは翔太と幸せになった。去って行った瑠衣子が戻ってきたがっている。
それでも・・・ためらう葵だった。
ある意味・・・この性格が悲劇の原因なのである。
目的を達成した瑠衣子は葵を泳がせるのだった。
瑠衣子のガードが緩んで・・・葵と二人きりになることができたあかり。
二人は子供の時のように西瓜を食べて種を遠くへ飛ばす競争をする。
勝者はあかりである。
葵が消極的なのは・・・あかりが強い女だからでもある。
「聞きたいことがあるんだっけ」
「手紙のこと・・・」
「手紙・・・?」
「最後に手紙を机の中に入れておいたんだけど・・・」
「そんなの・・・知らないよ・・・手紙って何が書いてあったんだ・・・」
「来年・・・」
「来年・・・?」
その続きは言えないあかりだった。
今・・・告白しても・・・すべては遅すぎる。
あかりは・・・翔太の恋人なのだから。
「来年の受験の時・・・牛乳飲みすぎて・・・お腹をこわさないようにって・・・」
「なんだよ・・・それ・・・」
「だって・・・高校受験の時・・・下痢して大変だったじゃない」
「・・・」
あかりは嘘をついた。
葵は・・・嘘に気がつかない・・・。
お人好しだからである。
あかりは時を遡上する。
翔太と橋の上で再会した時のことを・・・。
葵が現れるまで・・・何時間も待って・・・哀しかったことを・・・。
それから・・・翔太と過ごした歳月。
しかし・・・翔太は・・・葵へのあかりの言葉を盗んでいたのだ。
ずっとずっと・・・そのことを秘密にしていたのだ。
あかりを騙し続けていた。
卑劣な裏切り行為。
そして・・・そういう翔太を愛している自分・・・。
「あなたと過ごしたいくつもの夏が・・・すべて嘘だったなんて・・・」
夏をエンジョイする仲間たちの中で一人・・・あかりは孤独を抱きしめる。
決着をつけるために・・・病院にやってきたあかりを・・・恋に狂った一葉が待ち受ける。
「あなたのこと・・・調べさせてもらいました」
「え」
「あなたの父親は・・・造船会社を倒産させて借金に追われているそうね」
「ええ」
「この間・・・蒼井先生はあなたの父親に金を渡していたわ」
「えええ」
「父子で・・・蒼井先生を騙しているのでしょう・・・もう、蒼井先生には近付かないで・・・」
「・・・」
明るい世界で・・・事務所のメンバーに瑠衣子との復縁をいじられる葵。
しかし・・・童貞でとんこさん・・・いや美玲に片思いをしているらしい小谷照吉(前野朋哉)だけは毒づく。
「恋っていうもんは・・・一途なもんやろ・・・よりをもどすくらいなら・・・最初から別れんといてや」
「そうとは言えないわよ」と大人の意見をのたまう万里子・・・。「相手の長所も短所もわかっていて・・・やり直そうというなら・・・それも愛じゃないかしら」
葵の心をどんどんと瑠衣子に傾かせる世界なのである。
暗い世界で・・・あかりは翔太を待ち伏せする。
「なんだよ・・・灯りもつけないで・・・」
「お父さんに会ったの・・・」
「・・・」
「私が・・・どんなにか・・・お父さんに会いたいと思っているか・・・知っているでしょう」
「葵が・・・工事現場でお父さんを見かけたって・・・」
「どうして・・・教えてくれなかったの・・・お父さんのことを一緒に捜してくれてたのは・・・きっと会えるって元気付けてくれたのは・・・嘘だったの・・・あの日・・・私が・・・橋の上で待っていたことを知っていたみたいに」
「え」
「なんで・・・葵に返したはずの本が・・・あなたの机の中にあるのよ・・・」
「君のことをずっと好きだった」
「・・・」
「だから・・・葵と君を会わせたくなかったんだ・・・だけど・・・ずっとこわかった・・・君が葵のことを忘れないんじゃないかって・・・」
「・・・」
「だから・・・葵が東京にいることを知って・・・君を葵に会わせてみた・・・それでも・・・君が僕を選んでくれることを確認して・・・安心したかった・・・」
「安心・・・私はずっと・・・あなたに会えてよかったと思っていたのに・・・あなたの恋人になれてよかったって・・・あなたを愛していたのに・・・あなたはずっと・・・わたしのことを疑っていたの」
「だって・・・そうだろう・・・葵と再会して・・・君だって心が揺れただろう・・・この本を見つけた時・・・もしも僕が邪魔をしなければ・・・今とは違う運命が待っていたと・・・僕を怨んだだろう・・・」
「・・・最低・・・」
つまり・・・まだ・・・翔太とあかりは相思相愛なのである。
しかし・・・翔太は・・・あかりの愛を信じることができない。
そして・・・あかりは・・・愛が暗礁に乗り上げたことを悟る。
だから・・・あかりはこの世界から消えてしまいたいと思うのだった。
あかりの親友である恵理香は・・・帰ってこないあかりを案じて・・・翔太に連絡し・・・そして・・・すべての事情を察して葵に連絡する。
「あかりが・・・消えちゃった」
「え」
「翔太くんと何かあったらしいの・・・」
「ええ」
「どこにもいないのよ・・・」
「えええ」
仕事場から何もかも投げ出して葵は走りだす。
失ってはじめて大切さに気がつくことがある・・・自分の言葉が心に木霊する葵。
「翔太・・・何があったんだよ」
「終わったのさ・・・僕とあかりは・・・何もかも・・・」
青春は過ぎ去った・・・しかし、一つのあやまちから生じた愛の旅路は続くのだった。
なんて・・・王道なんだ・・・。
あかりのいた十八回の夏・・・あかりのきえた七回の夏。
二十五回目の夏はまたたく・・・。
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