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2015年8月 7日 (金)

人は殺して食べる生き物(北川景子)ただいま修行中(川口春奈)いかにも怪しい職員(橋本真実)

広島原爆忌である。

一国の首相がメッセージを述べる時に野次を飛ばす人間は慰霊というものを理解していないアホである。

人間が暴力衝動によって進化した生物であるという仮説に立てば・・・原子爆弾の使用はその一つの成果ということになるだろう。

一方で人間は・・・そういう人間的な衝動を悲しみ、反省し、後悔する性質も持っているという考え方もある。

多くの人間は暴力性と暴力に対する恐怖の相克の中で生きている。

想像するのも恐ろしい暴力の開花と・・・それを抑圧するための知恵。

人類の歴史は美しくもあるが時におぞましい。

そして未来もまた・・・似たようなものだと考える。

で、『探偵探偵・第5回』(フジテレビ20150806PM10~)原作・松岡圭祐、脚本・徳永友一、演出・森脇智延を見た。ミステリの一角を成すハードボイルド系では暴力が重要な要素となる。強さ(弱肉強食)と優しさ(平和共存)の対立軸が犯罪とそれを追うものを展開させるのである。妹の咲良(芳根京子)を失った紗崎玲奈(北川景子)は妹に「死」をもたらした原因を追い求める。そのために・・・暴力世界に飛び込んでいく。作品の本質に・・・由緒正しいハードボイルドの香りが立つのだ。うっとりするね。

暴力というものには様々な側面がある。

咲良を生きたまま焼却炉に投げ込んで死に至らしめた岡尾芯也(岡田義徳)は少女に対する偏愛に執着する異常者であり、その執念はストーカー的であった。

岡尾に不足していた調査能力を補ったのが正体不明の探偵「死神」である。

岡尾に対する情報提供は・・・暴力であると玲奈は考える。

だから・・・妹の死に対する報いを与えなければならないのだ。

弱体化する警察組織に浸透しようとした阿比留佳則(ユースケ・サンタマリア)は苛められた経験を糧として権力による絶対的な支配を渇望する。

そのための障害となる玲奈を殺害することも厭わない。

しかし、玲奈とスマ・リサーチ社の探偵たちは阿比留の仕掛けた狂言誘拐の茶番を暴き・・・その野望を挫く。

檜池(尾上寛之)は連続婦女暴行殺人犯である。

彼は多数のもぐりの探偵を雇用し、同時に複数の獲物を狩る犯罪者だ。

探偵たちはストーカー代行業を請け負っていた。

檜池の狙った獲物の所在を確認し、犯行の手助けを行っていたのである。

もぐりの探偵・堤(松尾諭)を追及し、被害者を救出し、瀕死の檜池を警察に逮捕させた玲奈はまさに無法者なのである。

なぜなら・・・暴力は暴力でしか制御できないのだ。

常に法治国家の建前に拘束され・・・平和的な解決を求められる捜査一課の窪塚刑事(三浦貴大)は・・・玲奈に特別な感情を抱くのである。

それは畏敬の念であり・・・そして嫉妬であった。

檜池の書棚に・・・「死神」の手による報告書を発見した玲奈。

入院中の檜池から・・・「死神」の情報を引き出そうとした玲奈は・・・窪塚が待機する病室への潜入を試みる。

しかし・・・すでに・・・檜池は何者かによって筋弛緩剤を注射され死亡していた。

玲奈は・・・「死神」の影を感じるのだった。

自宅療養中の峰森琴葉(川口春奈)は姉の織田彩音(中村ゆり)が・・・教育的指導と称して謝罪に訪れた玲奈を虐待している衝撃映像を発見する。

「一体・・・これは・・・なんなの・・・」

「こらしめてやったのよ」

「お姉ちゃんのしたことは・・・犯罪だよ」

優しい姉の隠された暴力衝動に驚愕した琴葉は・・・死線を乗り越えた仲間である玲奈の元へ復帰するのだった。

「見習いでも・・・ボランティアでもいい・・・私は探偵になりたい」

「・・・好きにすれば」

亡き咲良の姉である玲奈と・・・咲良の親友だった琴葉はこうして・・・妖しい絆で結ばれるのだった。

百合展開はないぞ・・・期待するな。

都内ではあらたな事件が発生していた。

挙動不審の職員・笹倉志帆(橋本真実)が勤務するDVシェルター(ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)などに遭った被害者を、加害者である家族から隔離し保護するための施設)から・・・入所していた女性たち11名が失踪したのである。

元おはガールの職員・穂津芽衣(安藤聖)の名を語ったメモにより、職員の一人、佐藤結菜(小松春佳)がアナウンスして11人の女性たちは裏庭に集められ・・・何者かによって車で連れ去られてしまったのである。

捜査にやってきたのは窪塚刑事と長谷部刑事(渋谷謙人)だった。

窪塚は例によって実家の母親(岡まゆみ)に愛娘(藤田彩華)を預けての捜査である。

「まるで・・・内部に犯行を手引きしたものがいるみたいですね」という長谷部。

「あの人たちは自分の意志で出て行ったように見えました」と怪しい証言をする・・・前夜、不審な行動をしていた職員・笹倉志帆(橋本真実)である。

お前か・・・お前が内通者か・・・なんだな。

しかし・・・玲奈に心を奪われている窪塚刑事は上の空なのである。

「奇妙ですよね・・・夫や近親者からの暴力から逃れてここに来た人たちが集団で脱走するなんて」と疑問を感じる長谷部。

「・・・とにかく・・・加害者の方をあたってみよう」

資料から二人の刑事が選んだのは元妻の芦原遥香(西原亜希)に執拗な暴力をふるっていた升瀬淳史という男だった。

一方、死神への手掛かりを失った玲奈は助手の琴葉とともに・・・唯一の接点であるもぐりの探偵・堤を追う。

堤の新しい潜伏先を琴葉のもどかしい活躍でつきとめた玲奈。

留守を狙って・・・すべての荷物を運び出してしまうのだった。

「また・・・おまえか・・・」

「檜池に情報提供した他の探偵を教えなさい」

「そんなの・・・知るかよ」

「あなたの悪事を通報したのですでに警官が包囲しているわよ・・・秘密の脱出口は施錠しておいた」

「なんてこと・・・するんだ」

「解除のためのコードを教えて欲しかったら・・・有益な情報を出しなさい」

「そんなこと言ったって・・・知らないよ」

「じゃ・・・逮捕されちゃいなさい」

「そそそそそそうだ・・・今・・・事件になっているシェルターの入所者の・・・芦原遥香・・・その加害者から・・依頼を受けたことがある・・・そいつは別の探偵にも依頼していた・・・」

「名前と連絡先」

「升瀬淳史だよう・・・資料はお前が盗んだ金庫の中だよう」

玲奈は漸く堤を解放する。

隠れ家を脱出した堤だったが・・・逃走用のバイクは玲奈によって破壊されていた。

「ひでぶ・・・」

レンタル倉庫の前でもぐりの探偵の憐れな結末を思う二人。

「なんだか・・・かわいそう・・・」と琴葉。

「豚は死ね・・・そして豚は死ねよ」と玲奈。

二人の女探偵は・・・升瀬淳史の住居を訪ね・・・二人の刑事と出会うのだった。

そして・・・刑事たちの上司・坂東係長(相島一之)と「スマ・リサーチ」の須磨社長(井浦新)は意味ありげな通話を交わす。

盗難車担当の探偵・伊根涼子(高山侑子)は琴葉の姉からの「クレーム」の電話に困惑するのだった。

今週は・・・暴力控えめだったな・・・。

堤に対する容赦ないお仕置きを除いては・・・。

檜池なんか・・・口封じで殺されてるぞ。

やはり・・・探偵の探偵より・・・死神の方が・・・容赦ないんだな。

世界から非道な暴力が根絶されることを一部人格が祈りながらお届けしています。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

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