どちらともいえない(窪田正孝)よくわからない(山崎賢人)時間・空間そして人間(優希美青)
時間と空間の中で風に囁かれて瞬く星のように存在する人間の意識。
それが生まれ、いつか消えることを知った時、それは問う。
どこからきて・・・どこへいくのかと。
生前や死後があるのかないのか・・・それはよくわからない。
それは迷いながら・・・言葉を紡ぐ。
自分の生が偶然ではないことを祈り、自分の死が無意味でないことを願う。
それはどちらでもないとしか表現できない。
それでも・・・人は生きて・・・やがて死ぬのである。
あらゆるそれは・・・秘密にすぎない。
それが美しいものであることを信じたい。
それが哀しいのはそれだけではないからである。
それが心というものだ。
で、『デスノート・第6回』(日本テレビ201508092230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・西村了を見た。心理学の世界でも統一された定義のないサイコパス(狂人性質)はある意味で心の性質の傾向を示す言葉でもある。常人の定義が曖昧である以上、異常な精神の定義も曖昧なものとなる。平均的知能を正常とするならば愚鈍であることも賢明であることもサイコパス的だと言える。他者に冷淡で共感しない人間が罪を犯せば異常者、画期的な発明を成し遂げれば天才なのである。
知的な犯罪者を追及する探偵であるエルことL(山崎賢人)はその分野において天才と言える。
平凡な大学生であるライトこと夜神月(窪田正孝)がエルを悩ますのは人知を越えたデスノートの所有者だからである。
それは原子爆弾による殺人の犯人を捜索するより困難な作業である。
もちろん・・・デスノートの存在を実証するためには実験的な殺人を行う必要がある。
そして・・・それが実証されて・・・デスノートによる殺人を禁止する法律ができたとしても・・・法律ができる以前のデスノートによる殺人は・・・法理的に裁けないのである。
つまり・・・デスノート所有者とそれを追うものは・・・国家間における戦争状態にあると言える。
人権侵害は殺人より罪が軽い・・・エルの行動は・・・そういう理念に基づいていると考える他はない。
つまり・・・「私が一番正しい」ということです。
エルは脅迫状に残された指紋などの物的証拠を根拠としてミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)り身柄を拉致・拘束・監禁する。
キラと戦うことが非常に危険であることを認識した日本の司法組織はエルに全権委任をしているために・・・エルは無法者と化しているのだった。
日本におけるキラ事件の捜査官のリーダーである夜神総一郎(松重豊)とその部下たちは絶対権力者であるエルに服従するしかないのであった。
仏の模木完造(佐藤二朗)、久しぶりの日村章子(関めぐみ)、ちょっと馬鹿な松田桃太(前田公輝)は社会的常識に照らしあわせて・・・エルの行きすぎを感じる。
しかし、偽タキシード仮面の相沢周市(弓削智久)だけは・・・少しエルに共感するのだった。
「まともじゃないことが起きているのにまともにやってられるか」という心境になりつつあるのである。
家族よりも警察官として治安を守ることが大切な総一郎も・・・息子であるライトがキラである可能性を否定できずに・・・エルに対する批判を控える。
おそらく・・・ワタリ(半海一晃)の変態的趣味の延長線上の準備により・・・拷問具的拘束状態におかれるミサミサ。
その太ももはハムのように緊縛され、股間は締めあげられている。
何故か、顔を見られることは自殺行為と妄想するエルはミサミサに目隠しを装着している。
「あなたは・・・第二のキラなんでしょう」
「・・・」
「そして・・・第一のキラが誰かを知っているのでしょう」
「・・・」
「第一のキラは誰なんですか」
「・・・」
「黙秘ですな・・・電流を流しますか」
「この時期・・・それはいろいろと差障りがあるだろう・・・それにお茶の間は拉致・監禁までは我慢できても拷問は絶対ダメと拒絶する可能性ある」
「また・・・きれいごとを・・・」
「大衆はサイコパス予備軍であっても・・・サイコパスではないのだから仕方ない」
「じゃあ・・・どうするのです」
「くすぐりプレイはどうだ」
「それは逆な意味で事務所NGです」
「ち」
しかし・・・追い詰められたミサミサは・・・愛するライトを守るために・・・命を捧げる覚悟である。
「殺して・・・私を殺して」
何故か、ミサミサを庇護する死神のレム(恒松あゆみ)は・・・ミサミサを苦悶から救うために・・・デスノートの所有権を放棄するように・・・ミサミサに指示する。
ミサミサは・・・ライトを守るために同意するのだった。
恐ろしいデスノートのテクノロジーは・・・ミサミサの記憶からデスノート関連項目のみを削除することができるのだった。
心理学者や脳神経科学者が羨望するテクノロジーである。
デスノートの所有権を失ったものは・・・デスノートに関する記憶を失うのである。
ライトの部屋にやってきたレムは事情を説明して、ミサミサの救出をライトに懇願するのだった。
「死神の目はどうなった・・・」
「所有者でなくなれば能力は消失します」
「・・・」
「ミサミサを助けることができないのなら・・・あなたを殺します」
「おいおい・・・どんだけ一人の人間にいれこむんだよ」
リューク(福島潤)は死神的倫理観を言い出すのである。
「お前が言うな」
「ち」
「わかった・・・俺が・・・なんとかするよ・・・しかし・・・それにはレムの協力が必要だ」
「おいおい・・・お前、悪知恵が働く様になったな」
「デスノートのパワーが俺に超知性を与えているのだろう・・・自分でも不思議なほど・・・アイディアが浮かんでくる」
「ははは・・・おもしれえ・・・ライトを選んだ俺の目に狂いはないねえ」
川栄李奈のように自画自賛するリュークだった。・・・おいっ。
一部の記憶を失ったミサミサは・・・ストーカーに拉致されたアイドルとして天真爛漫にふるまう。
「ダメだよ・・・いくら私のことが好きでも・・・これは犯罪だよ」
「え」
異常事態に唖然とするエル。
「ストーカーさん・・・心をいれかえなさい」
「きききき君は・・・ララララライトくんのことをどう思ってるの」
「愛してる・・・」
「ラララララララライトくんがキキキキキキラなんだよね」
「ええ~、どういう意味~」
「・・・」
「なんだか・・・別人になったようだ」
「こうなったら・・・もう・・・ライトくんと直接対決です」
しかし・・・ライトは妹の粧裕(藤原令子)に「旅に出ます」と置き手紙を残し出奔である。
死神たちに警戒させて・・・隠密裏に・・・どこぞの山奥にデスノート(赤)を隠蔽するライト。
そして、ライトはレムにデスノート(赤)を「慾深い人間に拾わせること」を指示する。
「なんだか・・・いきあたりばったりな計画だな」
「俺はデスノートによって・・・犯罪のない世界を作るという野望に目覚めた・・・その心があれば・・・俺はもう一度デスノートにめぐり会うことができるのだ」
「・・・」
死神たちは人間の考えることを興味深く見守るのだった。
そして・・・エルの前に姿を見せるライト。
「これだけ疑われるとなると・・・俺がキラなのかもしれない」
「おやおや・・・」
「だから・・・気のすむまで・・・俺を調べてくれ」
「・・・」
「ミサミサのことは解放してくれ」
「それはできません・・・彼女には・・・物証があります」
「キラは・・・手を触れないで心臓麻痺を起こせる奴なんだろう・・・そんな証拠ぐらいいくらでも捏造できるかもしれないじゃないか」
「そんなこと言われると・・・すべてが私の一方的な決め付けみたいになるじゃないですか」
「違うのかい・・・」
「とにかく・・・君が望むなら・・・君を拘束しますよ・・・」
やがて・・・謎の闇の集会が開催される。
集うのは正体不明の男たち。
彼らは「キラの力」を使って・・・暗殺を開始するのだった。
デスノートを所有するのが誰かは不明である。
一方・・・東京検察局の検事・魅上照(忍成修吾)は密かにキラにシンパシーを感じているらしい。そして・・・「ハリウッドで女優デビュー」が噂されるミサミサがキラなのではないかと疑い出すのだった。
地下アイドルにしか見えないのに国民的アイドルとして「隠密渡米」がスポーツ新聞の一面を飾るミサミサである。
憐れ「イチゴBERRY」はエルのために活動休止に追い込まれている。
ひどい奴だな・・・エル。
ワタリに買収されたマネージャー(中原裕也)はどんだけもらったんだよ。
監禁生活の果てに・・・精神失調の症状を示すライト。
「よし・・・嘘発見器を使おう」
「今さらですか・・・」
「だって・・・手詰まりなんだもん」
「また・・・勝手なことを・・・」
「ライトくん・・・君がキラなんだよね」
「もう・・・俺はプライドを捨てる」
あらかじめ決めた符牒で・・・リュークにデスノート放棄宣言をするライト。
「質問に応えてください・・・」
「いいえ」
「え」
「いいえ・・・いいえ・・・いいえ」
しかし・・・嘘発見器は反応しない。
「えええ・・・機械こわれちゃった・・・」
「いいえ」とワタリ。
「じゃ・・・ライトくんはキラじゃないの・・・僕の面目丸つぶれじゃん」
「でございますね」
「もう・・・僕は断定するよ・・・ライトくんはキラ・・・これ決定事項ね」
「・・・」
一方・・・独自の捜査を展開するニアことN/メロ(優希美青)は・・・エルの名を騙り・・・捜査班の目を第三のキラが関係していると思われる日本を代表する企業・ヨツバジャパングループに誘導する。
総一郎はエルの依頼によって・・・ライトを解放し・・・自分の命を賭けてキラに挑むのだった。
「キラは最初は・・・正義のための殺人をしていた・・・しかし・・・エルに追われてからは自分の身を守るために殺人をしている。もし・・・自分の息子がキラなら・・・警察官として許すわけにはいかない。お前がキラかどうかはわからない。もしもキラなら・・・たとえ父親だろうと私を殺すだろう。しかし・・・そうでなければ・・・お前を殺して俺も死ぬ・・・お前は天国に行き・・・私は殺人者として地獄に堕ちるだろう・・・許せ・・・ライト」
「お父さん・・・地獄があると・・・本気で・・・」
しかし・・・拳銃は空砲だった。
「私は生きている・・・だから・・・息子はキラではない」
「いや・・・キラは人の心を読めるのかもしれない」
「そんな・・・なんでもありじゃ・・・お手上げじゃないか・・・」
「ですよね・・・」
もちろん・・・これは「デスノートの世界」なので・・・「デスノート」をめぐる展開が続くのである。
デスノートの記憶を失ったライトは・・・父親の苦しい立場に同情するのだった。
「仕事をするって・・・大変なんだなあ・・・」
エルは・・・少し・・・困惑した。
ただのライト・・・ただのミサミサ・・・そして第三のキラと・・・エルとニア・・・複雑な鬼ごっこはまだまだ続くのである。
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