好きなら好きと言いましょう(芳根京子)何度でも(吉本実憂)なつかしい痛みだ(森川葵)恋しくてMEMORIES(萩原みのり)十三番目のスイーツ(中島美嘉)
この世には「大前提」というものがある。
たとえば学校のクラスの人数の基本は四十人である。
しかし・・・過疎地では・・・全学年の生徒を合わせても四十人に満たないこともある。
少子化によって人口密集地でもクラスが二十~四十人の間で変動する。
少数精鋭の特殊なクラス編成もある。
だから・・・たとえというものは難しい。
性別では男子が二十人。女子が二十人。
で・・・ここに特殊な性意識を持つ人間が十三人に一人であるという怪しい統計を持ちこむ。
つまり・・・ひとつのクラスに男女ともに一人は特性の人がいることになる。
特殊な性意識というものは実に複雑なものである。
単純に性同一性障害なら・・・女性なのに男性の意識、男性なのに女性の意識ということになる。
しかし・・・同性愛には同性を同性として愛したいものも、同性を異姓として愛したいものもいる。
そして、なんでもありの両性愛者も存在する。
ここまで性別意識の問題である。
大前提というのはここからだ。
今は・・・「性別意識の少数派をきもいと言ってはいけない」ということである。
なぜなら・・・それは「病気」ではないからだ。
しかし・・・たとえば低年齢者限定の異性愛者は「病気」なのである。
「豚」しか愛せない「人間」もおそらく「病気」なのだろう。
もちろん、キッドは「大前提」なんてクソだと考えている・・・悪魔だからである。
なにしろ・・・大前提というものはひとつの良識なのである。
「戦争はいけない」とか「殺人はいけない」とか「差別はいけない」とか「あくまで個人的な意見です」とか・・・まあ・・・そういうことについて・・・おちょくりたい気持ちが・・・常に抑えきれないものなのです。
そういう「大前提」があります。
で、『表参道高校合唱部!・第8回』(TBSテレビ20150911PM10~)脚本・渡邉真子(他)、演出・吉田秋生を見た。新学期である。恐ろしいことに生死の境を彷徨ったステキ男子のトッキュウ1号こと夏目快人(志尊淳)は夏休みの間に完全回復して何事もなかったように元気に登校するのだった。そして・・・あっという間に夏休みが過ぎ去って・・・あまりんである里奈(森川葵)は「恋」をエンジョイすることができなかったらしい。一方、部長の相葉廉太郎(泉澤祐希)にふられたミコこと佐々木美子(萩原みのり)は失恋の痛手を忘れようと努めている。謎のピアノ少女・桐星成実(柴田杏花)は霊感少女で別枠である。快人は明らかに合唱バカの主人公・真琴(芳根京子)に好意を寄せており、それを知っていて自分は何度も交際を断られているのにめげずにアタックする幼馴染の優里亞(吉本実憂)・・・。上京中の親友・・ハスミンこと蓮見杏子(葵わかな)に一発で快人への恋心を見抜かれた真琴もそのことに馴染めないのだった。とにかく・・・いろいろともやもやしている青春真っ盛りである。ずっと見てない人にはわからない・・・もやもやとの一体感が楽しいのですな。
怒ったらこわい合唱部副顧問の瀬山えみり先生(神田沙也加)に怯えるアマクソ教頭(デビット伊東)は何故か部室で一人ラーメンである。
大曾根校長(高畑淳子)は合唱部に学園OBのアーティストの前座の仕事を持ってくる。
そのアーティストとはマニアックな人気を持つ・・・神島カナ(中島美嘉)なのだった。
かみしまかなを逆に読むとなかましみかだけどな。
だからひらがな的には神増カナにしてほしかった。
どうでもいいわっ。
挨拶にやってきた高校生たちに歌わせるカナ。
素人にむかって「なんだか・・・嘘っぽいわ」と忌憚のない意見をぶつけるのだった。
だが・・・思い当たることの多い「彼ら」なのだった。
合唱バカは優里亞に「恋のライバル」宣言をされて受けて立つことができずにモヤモヤし、里奈が好きなのに告白できない桜庭(堀井新太)もモヤモヤしている。
そして・・・今回もっともモヤモヤしているのが・・・宮崎祐(高杉真宙)なのである。
かって優里亞の策略で不登校に追い込まれた祐であるが・・・実はもっと根本的な悩みを抱えていたのである。
それは・・・性にまつわる問題だった。
幼い頃から好きになるのは男性ばかりだったのだ・・・。
そんな祐が突然、親友の桜庭が片思い中の里奈にデートを申し込むのだった。
あまりんの呪いなんだな。
別に祐に特別な思いを持っていない里奈だったが・・・恋に恋するお年頃なのでネコミミつけてデートに臨むのだった。
手をつないで・・・キスされても構わない覚悟の里奈。
しかし・・・祐は・・・「僕はやはり普通じゃない」と言って緊急離脱である。
「なんなのよ・・・」
だから・・・あまりんの呪いだってば。
ごめんね・・・青春。
そして・・・「祐が部活やめるってよ」と怒る合唱部顧問の鈴木有明先生(城田優)・・・。
その理由を推測する桜庭。
「親友じゃなくて恋人になりたいって言うから・・・きもいって言っちゃった」
「えええ」と驚く合唱部一同。
「だめじゃん・・・大前提として・・・LGBTは受け入れないと・・・」
「なんだよ・・・それ」
「レズ・ゲイ・バイ・トランスジェンダーよ」
「元野球部には難しすぎる・・・か」
「それはそれで大前提として問題あるわ」
「大前提として表現の自由よね」
「大前提として差別反対よ」
「気持ち悪いものを気持ち悪いと言って何が悪い」
「問題は・・・親友を傷つけちゃったことでしょうが・・・」
意気消沈する・・・合唱部一同。
リハーサルでカナは厳しく指導する。
「嘘くさい上に辛気臭くなってるじゃん」
「・・・」
「どうなってるの・・・一人減ってるし」
「LGBT問題です」
「男同志の世界の男同志のもつれか・・・私も昔・・・女同士でもつれたことあるわ・・・私は親友と一緒にデビューするはずが・・・私だけデビューすることになっちゃって・・・どうしてもそのことが言い出せなかった・・・そしたら・・・その子が猛烈に怒って・・・一緒にデビュー出来ないことが口惜しいんじゃない・・・隠し事をされたのが口惜しいって・・・おかげで私たちは今でも友達よ」
「・・・」
話し合う合唱部。
「複雑に考えることはない・・・相手が同性だろうが凄く年上だろうが危険なくらい年下だろうが・・・既婚者だろうが宇宙人だろうが・・・好きになっちゃった・・・それだけだ」
「私も部長にふられてショックだったけど・・・それはそれとして受けとめたわ」
「私なんか好きな人に好きって言えないのに祐くんは告白して偉いと思うよ」
「まあ・・・それで立ち直れないことになっちゃってるけどな」
「そんなに俺が悪いのか」
「祐抜きのアレンジにするか」
「待とうよ」
「しょうがないなあ・・・」
勇気を出して・・・桜庭は祐に立ち向かうのだった。
「ごめんな・・・正直な気持ちを言っちゃって・・・」
「・・・」
「でも・・・俺はお前の恋人にはなれないけど・・・友達でいたい・・・だからお前と歌いたいんだ・・・ライブ、楽しみにしてる」
ライブ当日である。
懐かしい痛みなのね
恋しくて泣きだすのね
あの日には戻れないのね
ずっと前に忘れていたのね
失った夢だけが美しく見えるのね
あの頃の夢の中へもう一度なのね
幸せって訊かないでね
ウソをついて笑ってね
きっといつかは君のママもわかってくれるのね
客席から合流する祐。
合唱部は燃え・・・カナも歌い出す。
甘い恋の記憶・・・。
カナは・・・昔のパートナーであるえみりと旧交を温め合うのだった。
合唱成功の勢いで快人はついに・・・真琴に「好きだ」と囁く。
真琴は・・・どうしていいのか・・・わからなくなる。
うぶでねんねの合唱バカなのだ。
その頃・・・妹の真弓(松本来夢)は母親の愛人の甘いロールケーキを食べ・・・。
ちょっとお人好しすぎる美奈代(堀内敬子)は内田勇輝(石丸幹二)に三百万円を貸し出し・・・。
内田が結婚詐欺師だと見抜いた雄司(川平慈英)は・・・。
見境なく内田を鉄拳制裁し・・・。
恋に盲目となっている・・・美奈代は激怒して警察に通報し・・・。
憐れ・・・雄司は傷害の現行犯で逮捕されてしまうのだった。
恋しくて甘くない・・・大人たちだった。
いつまでも・・・見ていたい青春絵巻も終幕が近付いている・・・。
関連するキッドのブログ→第7話のレビュー
| 固定リンク
« 探偵たちのブルース(北川景子)ただいま失策中(川口春奈)無傷で綺麗な夢(門脇麦) | トップページ | 踏み切りの向こうに青春がある(松山ケンイチ)温かい朝食の匂いがする(満島ひかり)夏の日々にさよなら(前田敦子) »
コメント