死にたくないから殺すだけ(窪田正孝)殺人以外は無罪(優希美青)証拠がなければ送検できません(忍成修吾)
「人は死ねば無になる」というこの世の大前提がある。
つまり・・・お化けなんてないさ・・・死後の世界なんてないさ・・・神も仏もいないのさ・・・ということである。
もちろん、「死後の世界は必ずある」と断言する人もいて・・・意見は分かれているわけである。
しかし・・・唯物的な思想が浸透して・・・世の多くの人が死後の虚無をなんとなく信じているわけである。
たとえば・・靖国神社で戦死者を参拝することが好ましくないとされる問題では・・・戦死者を慰霊する無宗教の施設を作るべきだ・・・などという無思慮な発言も出るわけである。
慰霊するのに・・・無宗教というのは・・・厳密にはありえない。
そもそも・・・無宗教であれば・・・霊そのものがないのである。
無宗教を拡大解釈して・・・宗派の隔てなくという意味だとしても・・・そもそも・・・多神教と違って一神教では・・・他の宗教を認めないのが基本である。
信仰の自由が保障されている以上、日本国あるいは天皇制を護持するために・・・護国戦争で死んだものは靖国神社で神となる・・・という信仰を否定することは困難なのである。
後は・・・信じるか信じないかの問題だ。
しかし・・・多くの人間が「死んだら無」という虚しい思想を根本にもてば・・・お墓参りをして死者と交信することも馬鹿馬鹿しいことになるわけである。
死んだら終わりだから・・・生きている間に好きなことをするのがいい。
この無味乾燥な思想が人々の心にとりついて・・・世界はまた一歩・・・奥深い神秘さを失っていく。
だが・・・天国や地獄が存在することを証明したものがいないように・・・天国や地獄が存在しないことを証明したものもいない。
死んだら無と思って死んで気がつくと地獄の門の前に立っていた時・・・人は真の恐怖を味わうのだな。
えええええ・・・死後の世界は本当にあるのと驚いても遅いのだ。
もちろん・・・この世が・・・あの世に過ぎないという場合もあります。
で、『デスノート・最終回(全11話)』(日本テレビ201509132230~)原作・大場つぐみ、小畑健、脚本・いずみ吉紘、演出・猪股隆一を見た。そもそも・・・デスノートの存在を知らないものがデスノートの存在を予測することはほとんど不可能だという大前提を覆すのが不可能を可能にするエルことL.Lawliet(山崎賢人)の存在である。そこで・・・そんな馬鹿なと思わないことが・・・デスノート・ワールドを楽しむ秘訣です。「デスノート2016」はそういう根本的な矛盾を解消するために・・・デスノート所有者同志が殺し合う話だといいなあ・・・。
デスノート(黒)の所有者・キラとライトこと夜神月(窪田正孝)はついにデスノートを取り戻す。
キラを神とあがめ、死神の目を持つデスノート(赤)の所有者・テルテルこと東京地検の検事・魅上照(忍成修吾)、キラの正義を信じデスノート(赤)の断片を持つミサミサこと弥海砂(佐野ひなこ)を従えたライトはついに・・・日村章子(関めぐみ)の削除に成功する。
父親殺しの犯人を日村章子であると偽証したライトは・・・アジトで傷ついたメロを心に抱えたニアことN(優希美青)を殺害すれば・・・キラによる新世界の実現は確実なものとなる・・・と考えるのだった。
夜神総一郎(松重豊)の葬儀は終わり、キラ事件の捜査の指揮を仏の模木完造(佐藤二朗)が受け継いだ。
突然、有能さを発揮した摸木は・・・メロを追い詰めて行く。
一方、メロはライトに日村の端末を使ってメッセージを送る。
「ライト・・・お前がキラなんだろう」
「・・・」
「そして・・・魅上照と弥海砂はお前の愉快な仲間」
「・・・」
「お前ら・・・みんなぶっ殺す」
三人はそれぞれ何者かに命を奪われかかる。
「メロを殺さなければならない」と殺意を高めるライト。
しかし・・・指名手配された犯罪者となっているメロに何ができるだろう。
つまり・・・ライトは油断したのだった。
殺人以外は何でもやる・・・エルの違法捜査を知っていたのに・・・メロにはそれができないと・・・甘く見たのだった。
メロの隠れ場所を特定した捜査チームはSITも動員して包囲網を作る。
検事としての捜査権により・・・現場に姿を見せるテルテル。
ライトはテルテルの死神の目で・・・メロ/ニアの名前を特定し・・・デスノート(赤)で葬る計画だった。
すでに・・・父親を殺したライトにとって・・・邪魔ものに過ぎないキラ捜査チームはメロ殺害後・・・ミサミサのデスノート(赤)断片で殺害する予定である。
しかし・・・すべては・・・生前のエルが仕掛けた壮大な罠だったのである。
逃亡するメロを追いかけたライトとテルテルは・・・まんまと罠にはまるのだった。
「お前・・・メロだろう」
「お前は・・・キラだ」
「何を言ってる・・・」
「あなたは顔と名前で殺せる第一のキラ・・・そして・・・隠れている男が顔を見れば名前がわかる第二のキラですね」
テルテルは勝利を確信し・・・Nate Riverをデスノート(赤)に書きこむ。
「無駄ですよ・・・」
「赤いデスノートが偽物だからか」
「ええ」
「残念だったなあ・・・メロ・・・赤いデスノートは最初から偽物だったのだ」
「ということは・・・ライトさん・・・あなたがキラということですね」
「・・・お前」
「そうです・・・私は・・・ニアです」
「・・・」
「二重人格は便利ですよね・・・たとえばライトさん・・・あなたがキラだったとしても・・・ライトさんとは別人格ということになれば・・・責任能力が問題になります」
「その必要はない・・・お前は死ぬのだから・・・」
「だから・・・死にません」
「おかしい・・・死にません」とテルテル。
「なんだと・・・」
「だから・・・あなたが第二のキラだと推定された時から・・・あなたはずっと監視されていたのです」
「つまり・・・エルを殺した時から・・・ワタリか・・・」
「はい」
「盗聴して、盗撮して、ノートを盗んだと・・・」
「はい」
「泥棒じゃないか」
ワタリ(半海一晃)はエルの命ずることはどんなことでもする無法者である。
「検事が本物だと思っていたノートはすでにフェイクだったのです」
「じゃ・・・俺のノートに書くよ」
「遅いのです」
扉が開いて・・・捜査チームとSITが現れた。
「この模様は全国放送されています」
「え」
「日本中が・・・あなたがキラだと知りました」
「・・・」
「あなたは裁きを続けるために・・・日本人全員を殺しますか」
「・・・」
「神・・・」
「神じゃない・・・ただの殺人鬼・・・友達だろうと・・・実の父親だろうと・・・平気で殺す」
「俺の邪魔をしたからだ」
「ライトくん・・・目を覚ませ」と模木。
「目を覚ますのは・・・そっちの方だよ・・・俺が誰のためにノートを使ったと思う・・・父親を助けるためだ・・・俺がノートを使ってなければ・・・父親はとっくに死んでいた・・・命の恩人だ・・・それをあの父親は・・・恩を仇で返した・・・息子の理想を信じなかった・・・そればかりか・・・自分で自分を殺したんだ・・・良く考えろ・・・キラによって・・・兇悪犯罪は減少している。何が悪い・・・飲酒運転で家族を失った人間は・・・犯人を処刑した俺に感謝こそするが怨んだりはしない。広島市民のために・・・原爆投下関係者を全員処刑することもできる・・・正義は俺にあるのだ・・・お前たちこそ・・・悪なんだよ・・・」
「負け惜しみですね・・・あなたは悪賢いエルに負けた愚か者にすぎないのに」
「じゃ・・・聞くけど・・・お前たちはどうするつもりだ・・・俺が持っているのはノートとペンだけ・・・丸腰の俺を射殺した場合・・・どう見ても単なる殺人だろう」
「・・・」
「だから・・・俺はこれからお前たちの名前を書くよ」
馬鹿な松田桃太(前田公輝)は発砲した。
「馬鹿野郎・・・松田・・・何で撃つんだよ」
「だって・・・僕は死にたくないですから」
「決めた・・・お前の名前を書く」
相沢周市(弓削智久)は発砲した。
「ひでぶ・・・ほら・・見ろ・・・お前たちだって平気で人を殺すだろう」
「確保・・・ライトくんを黙らせないと」
「やめろ・・・神に手を出すな」とテルテルは言った。
「神じゃない」
「神だ・・・その証拠に・・・こんなところに・・・ガソリンの入ったドラム缶がある」
「え・・・」
テルテルはドラム缶に着火した。
爆発・・・炎上。
何故か・・・炎は・・・ライトを取り囲む。
「危険です・・・避難しましょう」
テルテルは捕縛され・・・ライトを残して全員退場である。
「ほら見ろ・・・人命救助のために・・・俺を助ける奴さえ・・・いない・・・ははは・・・俺だ・・・俺だけが・・・人々が平和に暮らせる世界のために・・・けだものを・・・排除できるのだ」
「ライト・・・どうした・・・面白いもの見せてくれるんじゃないか」
「リューク・・・取引だ・・・死神の目を・・・」
「もう遅いよ・・・ライト・・・なぜなら・・・お前の寿命はゼロだから」
デスノート(黒)は燃えあがり・・・ライトを炎に包む。
「・・・」
「ライト・・・死神に取りつかれた人間の末路としては・・・まあまあ面白かったぜ」
デスノート(赤)も燃え尽きた。
所有権を失い・・・デスノートの記憶が消えたテルテル。
本体が失われると断片も・・・効力を失うらしい。
ミサミサもデスノートの記憶を失う。
もちろん・・・ライトへの愛は消えない。
まもなく・・・ミサミサは悲しみに包まれることになる。
愛するライトが・・・この世からいなくなってしまったから。
「すべては・・・エルの計画通り・・・だけど・・・デスノートってなんのことだろう」
「さあ・・・」
ワタリは首をかしげた。
すべての人々はデスノートについて・・・忘れてしまったのである。
「エルの動画があったはずよね」
「いえ・・・そんなものはありません」
「何か・・・恐ろしい事件があって・・・最後のピースは私がはめたのに」
「・・・」
この世にはただ・・・謎の死の謎だけが残るのだった・・・。
ノートに名前を書くだけで人が殺せるなんてはずがないのだから・・・。
そこがデスノートの恐ろしいところです。
そして・・・今日も人は安心して人を殺すのだった。
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