あなたのことをもっともっと知りたくて(戸田恵梨香)ブラッディー・プレジデント!(堤真一)動くもリスク動かざるもリスク(黒坂真美)
雨が降っている。
水は命の源である。
恵の雨なのである。
しかし・・・過ぎれば及ばざるが如し・・・なのだった。
増水した河川はたちまちリスクとなる。
人間は団結の力で自然を克服する。
しかし・・・巨大化した組織はたちまち腐敗する。
清流は濁流となって個人を飲みこんでいく。
一人の小さな手は何もできないが・・・みんなが力を合わせれば地球を滅ぼすこともたやすいのだ。
で、『リスクの神様・第9回』(フジテレビ201509092245~)脚本・橋本裕志、演出・城宝秀則を見た。スポーツファンを取るか・・・ドラマファンを取るか・・・何を一番大切に考えているか・・・結果は常に示される。編成も一つのリスクなのだ。反社会的な人々を管理するのは公的な機関の任務だが、過ぎれば市民は飼育された家畜になってしまう。国家の不正を追及して国家が崩壊し他国の侵略を許せば売国奴である。会社の反社会性を暴露して会社を崩壊させれば職を失ってしまう場合がある。すべては悪魔が念入りに落とし穴を掘っているからだ。人はその狭き安全地帯を導く天使を見出さなければならない。結局。出来るのは最悪の選択を避けることぐらい・・・それでも何もしないよりマシと思う他はない。毒物の危険性を言えば毒物に誘惑されるものも増えるのである。
自民党はとっくに危険であるが・・・その他の野党よりマシなのだ。
・・・なんとかしてもらいたいよねえ。
この苦渋を・・・。
ま、なんともならないんだけどね。
サンライズ物産危機対策室に構成員対立というリスクが芽生える。
巨大企業におけるリスク管理の重要さを・・・室長の西行寺智(堤真一)から学んできた神狩かおり(戸田恵梨香)は・・・リスクの神様と呼ばれた西行寺の動向に不穏な気配を感知したのだった。
西行寺の父親・孝雄(田中泯)が汚れ役を引き受けたことでサンライズ物産は危機を免れ、一つの家族が犠牲となった。
三十年前の地獄帝国・ソビエト連邦と日本政府の密約とも関連するサンライズ物産の暗部。
それを暴くことで・・・サンライズ物産を崩壊させる復讐の企みを・・・西行寺が持っているのではないか・・・。
かおりは・・・サンライズ物産の崩壊の危機を食い止めるために・・・暗躍を開始するのだった。
しかし・・・その実行力は・・・いかにも未熟である。
神様を狩れるのか・・・かおりは自分の負う家名に戦慄を感じる。
困った時の危機対策室ということで・・・吐血した女をホテルの部屋に残し、血まみれ社長・坂手(吉田鋼太郎)が現れる。
「なんとかしてくれ」
「わかりました・・・」
「助かったよ・・・」
「一つだけお願いがあります・・・私には隠し事はしないでください・・・危機対策の支障になりますから」
「もちろんだ」
しかし、すべてを語る気は社長にはないし・・・西行寺も社長を信じたりはしない。
「他人を信じること」は「リスク」そのものなのである。
危機対策室渉外担当の結城(森田剛)はサンライズ物産の100%出資の子会社である「サンエアーズ」の不祥事を内偵中に確証を得て報告する。
「サンエアーズの主力製品である工業用硫化水素除去装置に欠陥があることが確実となりました」
「そうか・・・社に戻る前に・・・社長の女を一人を処理してくれ」
「特別手当だな」
「社長のポケットマネーを確保してある」
男たちが休みなく汚れ仕事を続けている頃、かおりはプライペート・タイムを満喫している。
失態により、系列子会社「サンエナジー」に飛ばされた橘由香(山口紗弥加)との同期会。
しかし・・・もう一人の同期社員で・・・かおりとは肉体的関係のある薬品部主任の原田清志(満島真之介)が姿を見せない。
由香は原田が白川専務(小日向文世)の勉強会にも姿を見せなかったことを告げる。
対策室では原田の闇を追及しているがかおりは蚊帳の外に置かれている。
「あなたは・・・私がエネルギー事業関連で危機対策室に呼び出されたことを知らないの」
「え」
かおりは・・・西行寺への疑念を深めるのだった。
かおりに対する情報開示が不十分であることは・・・西行寺が心を閉ざしていることを意味するからである。
情報不足は予想外の危機を招く・・・かおりは自分の非力を痛感する。
その頃・・・原田はかおりの呼び出しを無視し・・・退職届を準備していた。
かおりは・・・原田の抱える闇についても何も知らなかった。
かおり自身の不祥事に始った世界的な大企業であるサンライズ物産および傘下の関連企業に続発するトラブル。
そのトラブルを最小限の犠牲で解決した西行寺。
しかし・・・その西行寺の不審な言動。
かおりをとりまくリスクの渦は・・・かおりをさらなる危機の中に投げ込もうとしていた。
緊急招集されるメンバーたち。
集うのはかおり、西行寺、結城そして副室長の財部(志賀廣太郎)である。
「サンエアーズの工業用硫化水素除去装置に欠陥があることが判明した」
「変更された認可基準を達成するために検査数値を改竄したことが原因だ」
サンエアーズに出向していた社員(黒坂真美)が本社・環境事業部長の峰岸(伊藤正之)に早期の製品化を急かされ・・・不正に関与してしまったのである。
事情は違うが・・・出向社員のおかれた立場はかってのかおりと同様だった。
「硫化水素除去装置が機能しなければ・・・有毒ガスである硫化水素が発生し・・・事故が発生するのは・・・自明の理なのに・・・なんて愚かな・・・」
「それが・・・人間が存在することのリスクそのものだ」
「何故・・・不正が発覚したのですか」
「たまたまだ」
「何故・・・私はエネルギー事業部に対する事情聴取について知らされていなかったのでしょう」
「たまたまだ・・・それより・・・問題は・・・目の前にある危機に対処することだ」
目の前の利益に幻惑されてリスクが生じる。
しかし・・・目の前のリスクに幻惑されてより大きなリスクを見逃すことはできない。
かおりの中で西行寺に対する疑いは深まって行く。
硫化水素は濃度によっては人を死に至らしめるガスである。
結城や財部の調査によってサンエアーズの工業用硫化水素除去装置を導入した企業で軽微な事故がすでに発生していることが判明する。
坂手社長の還暦を祝うパーティー・・・。
白川専務に財部は・・・社長と同期だったことを明かす。
「すっかり差をつけられてしまいました」
「総合商社の社長業は・・・激務です・・・彼はその激務を五年間全うしている」
民族自決党総務会長の薮谷(名高達男)との会話を打ち切り・・・白川専務の元へやってくる坂手社長。
「白川専務・・・お忙しいのにありがとう」
「坂手社長・・・おめでとうございます」
社長の座を争うライバルは火花を散らして乾杯する。
外国工作員と密会中の座礁事故処理の件で藪谷に恩を売った西行寺は質問を投げかける。
「三十年前の件です・・・」
「話せることは・・・話そう・・・」
事件発生中に担当者が出張中なのはお約束のサンライズ物産。
環境事業部長の峰岸が出張中に・・・ついに硫化水素発生による作業員の病院搬送事案が起こる。
西行寺とかおりは坂手社長と環境事業担当役員である永嶋常務(羽場裕一)と対策会議を実施する。
「この件は速やかに公表し・・・謝罪会見を行う必要があります」
「株価の下落の問題がある・・・発表は週末だ」
「その間により重大な事故が起きたら致命的です」とかおり。
「その時はその時だ」
「よろしいでしょう」と西行寺。
「なぜですか・・・」とかおりは食い下がる。
「企業のリーダーである社長が決定したことだ・・・」
西行寺は危機を増幅しているのでは・・・とかおりの不信感は高まるのだった。
例によって暗躍している種子島(古田新太)は調査報告をする。
「結城を負傷させたのは探偵だ・・・そして・・・その探偵事務所は坂手社長とつながっている」
「目付けの目付けだったな」
かおりは・・・西行寺の秘密を知りたくてついに西行寺の父親を訪問する。
「三十年前の・・・事件のことをくわしく・・・」
「・・・」
「西行寺さんがサンライズ物産に就職していることは御存じなんですよね」
「・・・」
しかし・・・認知症の孝雄に驚愕の気配が滲む。
怪しい週刊誌「週刊新分潮春」に藪谷議員と坂手社長の怪しい癒着関係が報じられる。
「これ・・・西行寺さんの仕業じゃないですよね」
「・・・」
「・・・コンプリートリコール(完全回収)に踏み切るべきです」
「いいだろう・・・社長による記者会見の潮時だ」
「・・・」
その時・・・かおりに由香が緊急事態を伝える。
「原田君が・・・薬の過剰摂取で・・・意識不明の重体よ」
「・・・」
事故か・・・自殺か・・・それとも・・・。
記者会見は失敗する。
「有毒ガスを発生させてどう責任をとるつもりですか」
「発生させたのではなく・・・除去が不十分だったのてす」
「殺人商社だ」
「たたけばホコリの出る人にエンブレムなんかまかせられない」
「愛人は何人いるんですか」
「愛人のマンションの家賃は百万ですか」
「やばいクスリを家族ぐるみでやってたりしてえ」
「お前なんてやめちまえ」
「偉そうな顔してざまあみろ・・・」
「リーダーなんてみんなクソだ」
「戦争法案反対・・・多数決なんて大嫌い」
「増税も強姦も漏洩もいじめも自殺もすべての責任はあなたにある」
「み、耳障りだ・・・か・・・カラマーゾフ・・・ゲスどもめ・・・」と涙目の社長。
「時期を誤った・・・記者会見は失敗だな」と西行寺・・・。
「社長を貶めるのが目的なら・・・大成功でしょう」とかおり。
「・・・白川専務派の君にとっては望むところだろう」
坂手社長は断崖に追い詰められた。
「なぜ・・・西行寺は・・・三十年前の事件にこだわるのだ」
坂手はかおりに問う。
「彼の父親は・・・関口孝雄氏ですから」
「なんだって・・・」
「ご存じなかったのですか・・・」
「・・・」
その頃・・・孝雄は大地に立っていた。
「お父さん・・・僕はただ・・・本当のことが知りたいだけなんです」
海は波音だけを奏でる。
社長の責任問題を追及するサンライズ物産役員会議。
永嶋常務による坂手社長の解任動議提示。
白川専務による議事進行開始。
「クーデターか」
「民主主義の基本・・・多数決ですよ」
白川社長誕生・・・。
「坂手社長・・・お勤め御苦労様でした」
かおりの不安は高まる。
「西行寺さん・・・あなたの狙いは何ですか」
「リスクの管理こそが私の仕事だ」
「もしや・・・あなたが・・・最大のリスクそのものなのでは・・・」
「・・・」
西行寺とかおりは・・・クライマックスにむけて対峙する。
弟子は師を乗り越えることができるのか・・・。
サンライズ物産全従業員数万人・・・の命運は二人に握られているのか。
それはそれでかなりのリスクなんだな。
SPVSSPECなら・・・SPECが勝つわ。
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