百年続く家(本田翼)僕には自信がない(福士蒼汰)君が幸せになる必要はない(野村周平)
百年続く人生は長い。
男も女もそこにたどり着くことさえ困難である。
生まれてくることさえ許されないものもいる。
生まれて来たのに親に殺されるものもいる。
病気や怪我の心配は絶えることがない。
恐ろしい保母さんがいる。
恐ろしい学校長がいる。
勉強ができたりできなかったり。
友達ができたりできなかったり。
恐ろしい警察官がいる。
恐ろしい施設の職員がいる。
奪った領土を返さない隣国がある。
核弾頭を準備している隣国がある。
就職ができたりできなかったり。
結婚ができたりできなかったり。
健康に恵まれない子供。
苛められる子供。
自殺する子供。
火山は噴火し、大地は崩壊し、津波が街を洗う。
線路にはハイヒールが投げ込まれ、飛行機は民家に墜落する。
恋しい人がさらわれて行く。
恋しい人が別の人を恋しがる。
愛の写真が復讐のために使われる。
ドラマの途中でテロップが入る。
階段を踏み外す。
ブドウの花言葉は「好意」と「思いやり」と「陶酔」と「狂気」・・・。
百年続く関係は・・・手と手をのばしたその先に・・・あるのか・・・ないのか。
心配したって・・・しょうがないよねえ。
で、『恋仲・第8回』(フジテレビ20150907PM9~)脚本・桑村さや香、演出・宮木正悟を見た。恋泥棒の三枚目が恋を成就することは王道ではないが・・・色恋沙汰には倫理の及ばぬ点がある。それは・・・なんといっても・・・秘め事というものがあるからだ。マリオとピーチとクッパの三角関係は何度も何度も繰り返される。囚われてしまったピーチ姫を取り戻すためにマリオはクッパの王国のクッパの王城のクッパの牢獄に挑む。いくら花火を打ち上げても、いくら牢獄の鍵をあけても・・・次の瞬間・・・ピーチ姫はクッパに囚われているのである。マリオは何度も死にながら・・・ピーチ姫を求めて・・・前進する・・・その間にもピーチ姫はクッパと秘め事を繰り広げているのである。哀しいぞ・・・マリオ。
三浦葵(福士蒼汰)と芹沢あかり(本田翼)は恋心を秘めた幼馴染。あかりに横恋慕する蒼井翔太(野村周平)は策略によってあかりと交際を開始する。真実を知らずに七年の歳月が過ぎ・・・再会した葵とあかり・・・真実を知りお互いの気持ちを確かめ合った二人だったが・・・開き直った翔太は・・・あかりにプロポーズをするのだった。七年間を過ごした愛の生活と・・・不在だった初恋の人の間で・・・あかりの心は揺れる。
「ひどいことをしたことはわかっている・・・でも・・・十年後、二十年後・・・君がいない人生には耐えられない・・・君を愛する気持ちには嘘がないから・・・僕と結婚してくれ」
「・・・」
偽の花火に照らされてあかりを抱きしめる翔太。
七年前・・・二人の間に割って入れなかった葵は・・・またしても二人に背を向ける。
何故なら・・・葵は翔太と自分を比べてしまうから・・・。
葵に幸せになってもらいたい・・・そのためには・・・建築家の見習いである自分より・・・研修医の翔太の方が相応しいのではないかと考えてしまうから。
翔太が自分が幸せになるためには・・・手段を選ばない男だったとしても・・・。
あかりは・・・葵を愛し・・・翔太に愛され・・・途方に暮れるのだった。
もちろん・・・それは・・・贅沢な悩みなんだけどね。
でも仕方ない・・・あかりはピーチ姫・・・どんなにマリオに助けられても・・・クッパにつかまってしまう定めなのだ・・・最終面までは・・・。
あかりに「愛の告白」をする勢いだった兄・葵が意気消沈して帰って来たことを敏感に察知する妹の鑑・七海(大原櫻子)・・・。
「これ・・・二人で行ってこい」
スタッフ思いの雇用主・丹羽万里子(吉田羊)から贈られた浅草の遊園地「花やしき」のチケットをおバカな親友・公平(太賀)に手渡す葵。
「やった~・・・七海ちゃん・・・一緒に」
「行かない」
居候の公平に・・・胸の痞えを語る葵。
「プロポーズだぜ・・・結婚なんて・・・今の俺には考えられない・・・」
しかし・・・公平は深い眠りの中にあるのだった。
一方・・・あかりの同居人の高梨恵里香(馬場園梓)は報告を暖かく受け入れる。
「それで・・・あかりは・・・なんて」
「何も言えなかったよ・・・」
「でも・・・そんなこと言われたら・・・私なんて幸せすぎて爆発しちゃうね」
ノコノコなのか・・・クリポーなのか。
あかりに励まされ、病院祭りを成功させ、高揚した葵だったが・・・たちまちモチベーションが下がる。
富永美玲(山本美月)が完成させている「第27回新人建築設計コンクール」の応募作が完成しないのである。
部下思いの磯原(永井大)は事情を聴きだす。
「なんだ・・・冴木瑠衣子(市川由衣)と上手くいっていると思ってたのに・・・」
もはや・・・禊は済んだとばかりに・・・葵に挑戦状をたたきつける翔太。
「俺・・・プロポーズしたんだ・・・今年の花火大会にあかりをさそった・・・二人であの場所からやりなおすつもりだ」
平成27年の「富山みなと祭り納涼花火大会」は8月31日(月)・・・開催である。
つまり・・・山城心音(大友花恋)の花火大会のチラシは・・・去年のだったのか・・・。
それとも単なる発注ミスか・・・。
とにかく・・・一年後はないんだな・・・。
花火大会の日は・・・新人コンテストの日とダブルブッキングである。
葵と翔太の背後で・・・葡萄の果実がたわわに実る。
陶酔する翔太。慈善に沈む葵。
心音の転院の日。
見送りにやってきたあかり。
「何があったのか・・・わからないけど・・・あんたたち・・・結構お似合いの二人だよ」
パックンフラワーである。
翔太は・・・貧乏なあかりのために・・・富山までの北陸新幹線のチケットを渡す。
「待っているから・・・」
あかりはチケットを受け取り、マリオ・サイドからは非難轟々である。
「なんで・・・助けても助けても・・・また捕まっちゃうんだよ」
しかし・・・ファイヤーフラワーの七海はついに旅行代理店「エバートラベル」(末長い旅行)への就職を決めるのだった。
「エバートラブル?」
「誰が災難続きじゃ」
キノコの公平は早速、下心を秘めた祝賀パーティーを開催である。
帰宅した・・・七海は・・・あかりを連れ帰っていた。
「あかりちゃんの合格祝いも兼ねて・・・」
その上で・・・あかりは公平と買い出しに出かけ・・・兄とあかりを二人きりにするのだった。
「コンテスト・・・月曜日なんだ・・・」
「うん」
「でも・・・私・・・プロポーズされて・・・その日はあの花火大会に誘われているの」
「・・・」
「私・・・帰るね」
いくなと言わない葵に・・・失望するあかり。
「あかり」
あかりを呼びとめる葵。
「・・・」
「・・・き・・・気をつけて」
一部お茶の間からは・・・お前は梅さんか・・・と嘆きの声があがるのだった。
とぼとぼと家路につくあかりは・・・ふりかえらない。
高い窓からなす術もなく・・・あかりを見送る葵。
夏の終わりである。
マリオは無敵状態のまま・・・落とし穴に落ちて行くのだ。
そこにヨッシーではなく・・・牡羊座生まれの万里子が駆けつける。
「そばとそばつゆは恋愛と仕事みたいなものよ」
「え・・・」
「いいそばができなかったら・・・まずはそばつゆを作って・・・そばつゆにあうそばをね」
「・・・」
「できることから・・・やれってことよ・・・」
「増税のための減税ですか・・・」
「人間関係は切磋琢磨こそ望ましいの」
「それが・・・人生」
単純な葵はすべてを忘れて・・・作品制作に打ち込むのだった。
あかりの望んだ「未来の家のイラスト」を実現するための設計図・・・夢を形に変える第一歩を踏み出す葵・・・。
七海が・・・公平が・・・美玲が・・・磯原が・・・夢中で前進する葵を見つめるのだった。
「そこには・・・隠しマップにつながる土管があるわよ」
万里子も惜しみないアドバイスを送る。
今できることをやり遂げた葵・・・。
妹の鑑である七海は兄を急かす。
「あかりちゃんに・・・見てもらいなよ」
コンクールは公開なのだった。
葵は・・・「きてほしい」とあかりにメールを送る。
哀しいほどに・・・消極的な男の・・・精一杯の命令である。
コンクール会場となるメディアホール・・・。
ただの審査員でないことが明らかな・・・審査員・島野仁(矢島健一)・・・。
本番に弱い葵は緊張しまくる。
あかりの席は空席・・・。
しかし・・・檀上に葵があがると・・・扉が開き、あかりが現れる。
あかりには分かる・・・葵の設計した家が・・・二人の青春の結晶であることが・・・。
課題テーマは・・・「百年続く家」だった。
セプテンバー・イレブンが近いので・・・「表参道高校合唱部」から「恋仲」へ「ハナミズキ」のリレーである。
「オモコー」も「ど根性ガエル」も「恋仲」の話なのである。
甘酸っぱいのは「仕事」でも「結婚」でもなく・・・「恋」なのだ。
葵の発表が終わると・・・あかりは姿を消す。
最優秀賞は逃したが・・・優秀賞を獲得する美玲・・・。
そして・・・葵は審査員賞を受賞する。
「ありがとうございました・・・」
予想外のことに驚く葵。
しかし・・・ただものではない審査員は・・・葵の心を問うのだった。
「百年続く家と言えば・・・誰もが耐震設計に目を向けると思うのですが・・・あなたのコンセプトは違いますね」
「家は・・・住む人がいなければ・・・ただの廃墟です・・・これは僕がずっと住み続けたい家なんです」
「あなた一人で・・・だから・・・寝室とキッチンが一体化しているんですか」
「別々の場所にいても・・・淋しくないように・・・気がつようそうにみえるけれど・・・淋しがり屋だから・・・」
「その人への熱い思いが・・・設計から伝わってきますよ」
「・・・」
「その人を手放すことはできませんね・・・」
「・・・」
「設計で一番大切なのは・・・情熱だと私は思います・・・その人はあなたの情熱の源なんだから」
二人の対話に静まりかえる会場とお茶の間・・・。
「百年続くためには・・・今・・・つながっていないと」
微笑む・・・スーパー審査員・・・同じ苦難を乗り越えたルイージなのか・・・。
葵は会場を飛び出す。
しかし・・・あかりの姿はない・・・。
葵はあかりに電話をかける。
「あかり・・・」
「かんばったね・・・でも噛みすぎだったよね・・・へらへら笑ってないでひらひら舞ってよ」
「今・・・どこにいるんだ・・・」
「もう・・・いかないと・・・」
響き渡る発車のベル・・・。
「最終面にワープだ・・・」
「増殖は・・・」
「十五分延長で・・・」
「結末は・・・」
「ナイショ・・・」
「どこへ・・・」
「キリマンジャロではありません・・・」
「君がくれた夏へ」
「奇跡を捜して」
「100人マリオ体制で・・・」
葵はBボタンダッシュで東京駅に向かう。
赤い屋根と青い屋根を飛び越えて・・・。
結婚できない男になるのは・・・マリオなのか・・・クッパなのか・・・。
そこに金魚はいますか・・・。
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