私は赤ちゃんに私を強要する刑事(黒木メイサ)私は赤ちゃんに救世主たることを・・・(安達祐実)
自分が一番かわいい・・・ひとつの基本的な考え方である。
自分を保全することは自分に対する責任であると言える。
そのために・・・安全を確保しようとして・・・私たちは激しく衝突するのだった。
東京を守るためには日本を守らなければならない。
日本を守るためには日本近海を守らなければならない。
日本近海を守るためには地球を征服しなければならないのだ。
だから・・・中国は南シナ海は歴史的にシナだと主張するのだし、米国は地球は誰のものではない・・・主に米国のものだと主張するわけである。
平和主義者たちは・・・誰のものでもいいから・・・穏便にと願うのだが・・・そんなことを言っていると靖国神社に参拝するだけでレアメタルを輸出してもらえなくなるのだった。
保身は・・・難しい。
人は自分の保身に甘く、他人の保身に厳しいものである。
自分の赤ちゃんより・・・他人の赤ちゃんの無事を願う母親は・・・ある意味で・・・頭がおかしいのです。
で、『デザイナーベイビー~速水刑事、産休前の難事件~・第6回』(NHK総合20151027PM10~)原作・岡井崇、脚本・早船歌江子、演出・長沼誠を見た。全八回だとすれば二話が一段の起承転結という構成が基本である。そういう意味では今回は「転の後篇」ということになる。ほぼすべての謎が出そろい・・・「結の前後篇」に流れ込む仕上がりになっている。岸田トモ(安藤玉恵)による近森優子(安達祐実)が出産したノゾミこと新生児「望」(仮名)誘拐事件は・・・城南大学附属病院の院長・峠緑郎(柴俊夫)と息子・峠則孝(柿澤勇人)の父子対立によるノゾミ殺害未遂事件へと発展し・・・ついに産婦人科における分娩担当の須佐見誠二郎教授(渡部篤郎)は不妊治療の「トータルケアプロジェクト」を推進する崎山典彦特任教授(渡辺いっけい)の闇を追及する。しかし・・・不妊のための核移植技術を上回る秘密がノゾミには隠されていたのだった。
非常階段から・・・転落する崎山特任教授・・・。
頭部に重傷を負い意識不明の重体である。
峠則孝の愛人で病院長秘書・有吉久美(臼田あさ美)にノゾミを乳児院に預けることを指示した崎山の変事に・・・乳児院からまたしても何者かに連れ去られたノゾミは行方不明となる。
事件の指揮をとる与那国令子管理官(松下由樹)は度重なる不手際の連続に・・・「生きたまま新生児を救出」する以外には出世の道が閉ざされ唇をかみしめる。
再び、暗礁に乗り上げた「ノゾミ救出」に独自捜査を展開する妊婦刑事・速水悠里(黒木メイサ)は刑事魂を燃やす。
しかし・・・次の水曜日は・・・定期検診として、妊婦健康診査を受ける予約があった。
事件に追われる速水刑事は夫の下地浩介(山崎樹範)に連絡されるまで・・・予約があることを失念していたのだった。
そして・・・事件解決のために・・・予約をキャンセルするのだった。
与那国管理官は・・・すべての責任を速水刑事の暴走に押し付けるために彼女の捜査活動を制限する。
さらに・・・不手際を警視庁捜査一課特殊犯捜査係に押し付けるために捜査に特命係を増員するのだった。
長いものにまかれる主義の特殊犯捜査係の日村係長(神保悟志)は自分の保身のために速水刑事に自重を促すのである。
与那国管理官はフクスケこと土橋福助刑事(渡辺大知)に速水刑事の監視を命ずる。
「崎山教授は・・・赤ちゃんを見たがっていました・・・医者が特別な病例に関心を持つ感じで・・・」
逮捕された有吉久美の証言から・・・ノゾミが特別の中の特別であることを察知した速水は母親の近森優子に真意を問いただそうとするが・・・「確定するまでノゾミの生存を秘匿したい」と考える与那国管理官は速水刑事と優子の接見を許さない。
そして・・・お茶の間は・・・・ゴッドハンドの胚培養士・山原あけみ(斉藤由貴)の回想によって・・・非常階段での出来事を知るのだった。
「まさか・・・先生は・・・すべてを公開するつもりですか」
「今・・・ここで何が行われているか・・・世間は真実を知るべきだ」
「そんなことをしたら・・・あの子は世間の好奇の目にさらされてしまいます・・・」
「それがどうした・・・」
「・・・」
そこへ・・・現れた近森優子の担当医・皆本順(細田善彦)は非常階段から崎山を投げ落とすのだった。
驚愕するゴッドハンド山原・・・。
「安心してください・・・これで秘密は守られました・・・もう大丈夫ですよ」
ゴッドハンド山原は・・・皆本順が目的達成のために手段を選ばないサイコパスであることを知るのだった。
ゴットハンド山原とサイコパス皆本は・・・共犯者だったのだ。
悪役プロレスラーのタッグチームみたいだぞ・・・。
なにしろ・・・スケバンとよしひこだからな・・・。
ラスボスとして申し分ない・・・。
そして・・・近森優子の長男・新(あらた)は急性骨髄性白血病を発症する。
優子は・・・ノゾミの出産によって治療のための臍帯血を確保していたことを新の担当医に告げる。ノゾミは臍帯血移植のためのドナーとして白血球の血液型ともいわれるHLA型が一致していたのだった。
しかし・・・確保していた臍帯血の造血幹細胞は治療のためには不十分であることが判明する。
絶望的な骨髄移植のための適合する骨髄を持つドナー待ち状況。
「この日のために・・・ノゾミを準備したのに・・・」
優子はついに隠していた心情を吐露する。
その言葉を・・・夫で足の不自由な近森博(池内万作)は複雑な表情で聞く。
警視庁で事件の報告書を作成する速水刑事。
監視するフクスケは・・・後ろめたさをごまかすために・・・素晴らしいインターネットの世界の情報を示すのだった。
遺伝子操作によるゲノム編集で作られた動物たちのデザイナー・ベイビーの画像である。
「昔、有名な文豪に・・・美人女優が言いました」
「・・・?」
「私の美貌とあなたの頭脳を供えたベイビーが欲しいわと・・・すると文豪は答えました・・・逆だったらどうする・・・と。しかし・・・今や・・・ジョークは成立しなくなったと言うことですよ」
「近森夫妻の場合・・・夫の優秀な頭脳と・・・妻の優秀な身体を供えた・・・子供が・・・」
「実際には・・・病弱な長男が・・・生まれてしまったんですけどね」
「だから・・・今度は・・・デザイナー・ベイビーを・・・」
「え」
「おっと・・・定期検診としての妊婦健康診査の時間だわ」
妊娠を理由に監視の目を逃れ出る速水刑事をフクスケは尾行する。
速水の主治医の病院では義母と胎内の異母兄弟の身を案じるゾンビマニア下地雄介(若山耀人)が待機していた。
速水刑事は二人をやり過ごし・・・城南大学附属病院に向かうのだった。
「ごめんね・・・許してくれる」
「・・・」
胎児は無言だった。
「隠し続けるなんて・・・無理よ」
「そんなことは・・・ありません」
ゴッドハンド山原にサイコパス皆本は圧力をかける。
「お借りしていた・・・これをお返しします」
「え」
それは・・・卵子貯蔵タンクのキーだった。
「1号タンクです・・・」
「私の卵子を・・・どうしたの」
「大切に保管していますよ・・・」
ゴッドハンド山原は・・・サイコパス皆本に急所を制圧されたらしい・・・。
ゴッドハンド山原もまた・・・妊娠出産に関する・・・望みを持っていたらしい。
崎山転落に関して疑いを持たれている須佐見教授は速水刑事とともに・・・崎山研究室を捜索する。
「ノゾミが特別な子供であることを・・・確認したいのです」
「ノゾミは・・・アラタと・・・HLA型が完全に一致している」
「・・・」
「移植可能なドナーということですか・・・」
そこへ・・・特命係がやってきて事情聴取のために須佐見を連行するのだった。
残された速水刑事は・・・製薬会社から・・・崎山にかかってきた電話を取る。
「お尋ねの・・・納品酵素の件なのですが・・・ZAP-2ですね」
「それは・・・どういう酵素なのですか」
「DNA制御酵素ですが・・・」
「・・・」
崎山は・・・何者かがオーダーした酵素について問い合わせをしていたらしい・・・。
それが・・・サイコパス皆本であることはお茶の間的には明らかである。
しかし・・・ゴッドハンドとサイコパスはお互いアリバイを証言し・・・非常階段には不在だったとして捜査の手を逃れていた。
速水刑事はフクスケとゾンビマニアに発見される。
「・・・」
「どうして・・・さぼったんですか」
「いま・・・仕事が・・・」
「それは・・・お義母さんでなければ・・・できない仕事ですか」
「・・・」
「お腹の中にいる赤ちゃんを生めるのは・・・お義母さんだけなんですよ」
痛いところを突かれた速水刑事はぐうの音もでないのだった。
しかし・・・捜査の手を休めるわけにはいかない。
ノゾミの命を守ることは・・・刑事の使命なのだから。
速水刑事は・・・ゴッドハンド山原を急襲する。
「捜査状況はどうなの・・・」
「あなたのことを教えてください・・・」
「独身・・・仕事が好き・・・それだけよ」
「仕事をしていると・・・神になった気分になりますか」
「そんなことはない・・・人にはどうしても手の届かない領域があることを思い知るだけよ・・・科学者ほど・・・神の存在を実感するのよ・・・そして人が神ではないことを・・・」
隣室で・・・サイコパスは・・・聞き耳を立てる。
そして・・・ゴッドハンドの動揺を見抜き・・・警告のための着信音を響かせる。
ゴッドハンドは口を封じられた。
「・・・失礼・・・忙しいので・・・これで」
追い出された速水とフクスケは・・・管理官に捕獲されてしまうのだった。
「こんなところで・・・何をしているの・・・」
「ノゾミについて新事実が・・・」
「ノゾミが特別な子供だったことは・・・こちらの捜査でもわかっている」
「・・・それが誘拐犯への手掛かりに」
そこへ・・・ノゾミの父親がやってくる。
「・・・ノゾミは生きているのですか」
「・・・」
心の中で舌打ちする管理官だった。
サイコパスはゴッドハンドをたしなめる。
「ダメですよ・・・うっかり・・・秘密を打ち明けたりしたら・・・」
「・・・」
「それよりも・・・崎山先生が意識を回復しそうなんです・・・」
「え」
「崎山先生には・・・完全に沈黙してもらわないと・・・困りますよね」
サイコパスに命じられゴッドハンドは・・・患者に投与するのは不適切な薬剤を入手する。
サイコパスは・・・看護師とニアミスして・・・崎山の点滴様薬剤を・・・沈黙を促すクスリにすり替えるのだった。
快調に飛ばすよしひこである。
速水刑事を叱責する管理官・・・そこへブラックマザー近森優子が現れる。
「マスメディアを通じて・・・犯人に呼び掛けて」
「誘拐事件では人質の命が優先です・・・現段階では犯人を刺激するようなことはできません」
「アラタのために・・・ノゾミが必要なのよ・・・後、二日でノゾミを取り戻さなければ・・・アラタが死んでしまう・・・」
「ご子息の件は・・・残念ですが・・・」
「あなた・・・子供いないでしょう・・・」
「・・・」
管理官は・・・妊娠出産よりも・・・出世を選んだ女なのである。
「速水さん・・・あなたなら・・・わかるでしょう・・・」
「・・・私は・・・母親としてはまだ・・・思慮にかけているようです・・・そして・・・警察官として・・・ノゾミちゃんの命を第一に・・・考えるべきだと・・・」
「・・・もういいわ・・・警察には頼らない」
管理官は追いつめられる。
ブラックマザーを非常階段に誘いたい気分なのである。
ブラックマザーは・・・オリンピックのゴールド・メダリストだった。
マスメディアに対する発言力を行使できるのである。
ブラックマザーは・・・マスメディア関係者のリストを持っていた。
「なんとかしなくては・・・」
保身のための対応に迫られる管理官。
残された速水刑事は・・・疲労感による動悸を覚える。
ロビーのソファに大股開きで座り込む速水。
そこへ須佐見教授が現れる。
「大丈夫かね」
「取調は終わったのですか・・・」
「・・・うん」
「ZAP-2って何ですか」
「DNAを操作する酵素だ・・・」
「?」
「つまり・・・ゲノム編集だ・・・」
「ノゾミは・・・」
「兄を救うために生まれたデザイナーベイビー・・・救世主妹なのさ・・・」
「それは・・・合法ですか」
「英国ではね・・・日本ではまだ・・・認められていない」
「・・・」
「犯人は・・・ノゾミをどうするつもりなのでしょう・・・」
「・・・さあ・・・君はどう思う?」
「ノゾミは・・・存在そのものが・・・犯罪の証拠・・・」
投与されてはいけない薬剤が点滴装置に装填される。
意識を取り戻しかけた崎山が呻く。
「う・・・う・・・」
「大丈夫ですよ・・・鎮痛剤も入ってます」
何も知らない看護師は微笑む。
管をしたたり落ちる毒の滴。
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