百人巨乳ミニスカポリスは封鎖できません(松坂桃李)私は正義の心を持つ女(木村文乃)今夜も誰かの悲鳴が聞こえます(菜々緒)
禍々しいムードを湛えるドラマである。
サイレーンは半人半鳥の海の魔物だが・・・その正体は冥界の女王ペルセポネの侍女である。
ぺルセポネは豊穣の神デメテルとゼウスの娘だが・・・冥界の王ハーデスに略奪されて嫁ぐことになる。
すでにペルセポネの侍女であったサイレーンはペルセモネを熱愛するデメテル女神に激しく叱責され、死の運命をつかさどるケレスに願い、黄泉路に向かう。
ケレスは死の翼をサイレーンに与え、サイレーンは翼ある乙女となったのである。
ゼウスとハーデスの密談により・・・冬の季節を除いてペルセポネはデメテルの元に里帰りすることが許される。
サイレーンは海中に存在する冥界の扉の番人の一人となり・・・女神ペルセポネの帰還を待つ。
そして・・・忠実な侍女として・・・ペルセポネの純潔を奪った男性原理というものに復讐し続けるのだった。
海の男たちをその魔性の歌声で死へと誘うのである。
サイレーンはローレライの名では人魚と化している。
恋のために足を得た人魚姫は歌うことを封じられたサイレーンなのだ。
タロットカードの死神たちの正体の一人はサイレーンである。
タロットカードの中で札番が不安定なカードは四種類。
札番を示さないことがある「愚者」と「死神」、そして「八番目」と「十一番目」を共有する「力」と「正義」だ。
「死神」が「正義」を伴うことが明白なのが「死の裁き」・・・つまり「死刑」なのである。
愚者は正義によって九番目の「世捨て人」になる。
愚者は力によって十二番目の「吊るされた男」となる。
「正義」の神は・・・ゼウスの二番目の妻・掟の神テミスの娘・ジャスティス女神である。
サイレーンにとって・・・ジャスティスはペルセポネの異母姉妹であるために忠誠の対象となる。
異様に見えるキャラクターたちも・・・古き神話に見える人の心のシンボルに過ぎない。
死の神サイレーンは正義の神ジャステイスに憧れるものなのだ。
で、『サイレーン刑事×彼女×完全悪女・第2回』(フジテレビ20151027PM10~)原作・山崎紗也夏、脚本・佐藤嗣麻子、演出・本橋圭太を見た。日本シリーズ中継のために日付をまたぐ呪われたオンエアである。どれだけ夜更かしさせたら気が済むのだ。「死神くん」「民王」と軽いタッチのヒット作を続ける演出家だが・・・オカルト愛好家の脚本家との相性は抜群である。ただし・・・「リアルっぽい警察もの」が普遍化しているお茶の間的には「警視庁の機動捜査隊が所轄の刑事に下っ端扱い」とか「証拠提出のための書類」とか「医師の守秘義務」とか・・・かなり欠落している部分も気になるところだろう・・・しかし・・・ここはオカルト三昧の世界なので少し割り引くべきだろう。サイレーンが呼び寄せる凶事の連続に身を委ねてうっとりするべきだ。
桜中央署の生活安全課の千歳弘子(山口紗弥加)に狩りだされ、2005年に特定外来生物に指定され輸入、飼育、販売、譲渡、遺棄が禁止されているカミツキガメ密売者の行動確認(尾行)中の機動捜査車両16号担当の警視庁機動捜査隊員・里見偲(松坂桃李)と猪熊夕貴(原菜乃華→木村文乃)・・・。
二人が恋人同志であることは周囲には秘密だった。
どちらかが警視庁の捜査一課に配属されたら結婚する・・・というよくわからないルールで交際中の二人なのである。
オタク気質である里見捜査官は被疑者の立ち回り先であるメイド喫茶のメニューで蘊蓄を傾け、大人の玩具屋で「婦人警官系グラビア雑誌」を購入し、相棒の猪熊を呆れさせるのだった。
被疑者が通行人と衝突するというアクシデントによってかわいい幼体が散乱する。
「外来種被害防止法違反の容疑で逮捕します」
「え」
二人は出世のために地道に手柄を立てるのだった。
ちなみに捕獲された亀は基本的に冷凍(殺)処分されます。
処分された亀の追悼集会で桜中央署の安藤実刑事課長(船越英一郎)とチビデカこと速水翔刑事(北山宏光)とともに二次会の会場を求める里見は・・・二つの殺人事件に関係している謎の女・橘カラ(菜々緒)の勤務する平和通りのキャバクラ店に向かう。
突然、来店した里見をカラは警戒するが・・・トイレで酔いつぶれた里見の醜態に安堵するのだった。
しかし・・・里見は・・・酔いつぶれた自分を軽々と抱き起したカラの怪力に驚くのだった。
白鳥麗子殺害事件の手掛かりを暗示したために・・・親交を深めるカラと猪熊。
カラに根拠のない疑いを感じる里見は・・・その関係に危機感を覚える。
「彼女って・・・何か特別なトレーニングをしているのかな」
「柔術を嗜んでいるって・・・」
「・・・なるほど」
「キャバクラのトイレで酔いつぶれるなんて・・・だらしないぞ」
「すみません・・・」
白鳥麗子殺害の犯人とされる自殺した高野乃花(足立梨花)の動機を裏付けるために高野乃花の整形歴を洗う捜査本部。
里見は整形外科医の月本圭(要潤)のクリニックから「高野乃花のカルテ」を借用するお使いを命じられる。
婦人警官の雨宮ひかる(岡崎紗絵)と衝突するというアクシデントによってひかるのスカートを履いていたあの夜の記憶が喚起される里見。
カラと遭遇した時に・・・もう一人の男がいたことを思い出したのである。
クリニックの受付嬢(沖絵莉)に案内されて院長室に入る里見。
その男が・・・月本圭だったことを知り・・・里見はカラへの疑いを強める。
キャバクラで盗撮したカラの写真を見せて・・・二人の関係をそれとなく・・・探る里見。
「この子・・・整形しているっていうんですけど・・・」
「・・・」
「先生が・・・手がけたんですか」
「いや・・・全く知らない子だね」
「・・・」
(なぜ・・・関係を隠すのか・・・守秘義務なのか・・・)
里見は苛立つのだった。
自殺した風俗店「マックス」のベテランキャバクラ嬢・小坂瞳・・・。
その同僚だったカラ・・・。
自殺した白鳥麗子殺害犯の高野乃花・・・。
高野乃花の整形を手掛けた月本医師。
月本医師となんらかの関係があるカラ・・・。
里見の心中では疑惑の糸がカラを中心に絡み合っていた。
「怪しい・・・だからといって・・・何が怪しいのか・・・わからない」
里見は恋人の夕貴との性行為の間も・・・心に警報音が鳴り響いているような気がする。
デザイナーの渡公平(光石研)のマンションの一室から・・・カラは二人の愛の巣を監視していた。
カラは・・・何故か・・・猪熊夕貴に強く魅かれているのである。
休日をカラと過ごす夕貴・・・。
格闘技ショーを鑑賞した後で・・・二人はスポーツバーで会話を嗜む。
「あなたはどうして警察官になったのですか」
「私・・・警察一家だから・・・」
「昔から正義感が強かったのですか」
「昔・・・いじめられている子を庇ったら・・・自分がいじめられた事があって・・・」
悩んで学校をさぼった夕貴の前に養父の猪熊文一(大杉漣)が現れた。
「困っている人がいたら助ける・・・悪いことをしている人には立ち向かう・・・それはお前の素晴らしい素質だ・・・お前は正義の心を生まれた時から持っているのだ」
養父は娘を励ました。
「なんて言われてその気になって・・・警察官になったのよ」
「・・・」
正義の心・・・「それ」は・・・どうやら・・・カラには欠如しているものらしい。
カラは・・・ないものねだりで・・・「それ」に憧れを抱くのだった。
その頃・・・里見は・・・連日のように月本クリニックを張り込んでいた。
月本とカラの関係を突きとめるためである。
しかし・・・その日は水曜日で月本クリニックの定休日だった。
「しまった・・・」
だが・・・その時・・・赤い車に乗った月本が帰宅する。
その助手席にいたのは・・・カラだった。
カラはメンテナンスを受けていた。
「やはり・・・君は最高だな」
「・・・」
「できれば・・・僕の仕事を手伝ってもらいたい・・・君なら・・・」
「・・・」
「そうか・・・君は別に金が欲しいわけじゃなかったな・・・」
「今度・・・試したいことがあります」
「そうか・・・君は本当にチャレンジャーだな」
渡公平は一人でチャーハンを食べていた。
素晴らしいインターネットの世界で質問する公平。
「三十七歳まで独身でした。今、女性と同棲していますが・・・一線を越えることができません・・・どうしたらいいでしょうか」
次々に答える心優しい通りすがりの人々。
「死ね」
「バカ」
「殺されるぞ」
公平は苦笑した。
サイレンが鳴り響いても耳の不自由な人には届かない。
平和通りで江津孝明(岡田義徳)が通行人と衝突するアクシデントが発生する。
江津はサバイバルナイフを所持している人生に絶望したらしい男だった。
通行人は刺されて倒れた。
悲鳴を上げる人々。
通り魔プロフェッショナルある時はマザーゲームの風来坊夫よっちゃん炸裂である。
わかる奴だけわかればいいにもほどがあるぞ。
江津は手当たり次第に通行人たちを刺しまくる。
飛び散る鮮血に・・・逃げ出す人もいれば・・・恐怖のために身をすくませる人もいる。
夜の街は現場に犠牲者を呼びこむのである。
カラは悲鳴を聞きつけた。
「大変だ・・・店の外に通り魔がいる」
逃げ込んできた男が叫ぶ。
腰の抜けた姉を抱えて・・・妹(小芝風花)は叫ぶ。
「お姉ちゃん・・・逃げないと・・・大変だよ・・・オスカーはそれでなくてもピンチなんだから」
「なんてことを・・・」
通り魔は・・・二人に目標を定める。
その前に立ちはだかる魔性のキャバクラ嬢カラ・・・。
カラは発信器によって・・・機動捜査車両16号が現場に急行していることを知っている。
「なんだ・・・お前・・・」
「来なさいよ・・・私は見たいものがあるの」
「地獄を見せてやるよ」
通り魔はナイフを突きだすが・・・超人的な見切りで身をかわすカラ。
「・・・」
「くそ・・・」
カラは無表情にナイフをかわす。
利き腕を抑えられた通り魔はバッグから二本目を取り出す。
二本のナイフも鮮やかにかわすカラ。
支柱を利用して・・・一本を叩き落とす実力を見せる。
「まだまだよ・・・」
カラは身を翻し、男を誘う。
現場に救急車やパトカーが到着するが・・・覆面パトカーの16号車はまだなのだ。
カラはホームセンターに男を誘いこむ。
「ち・・・」
ようやく、現場に到着する里見と夕貴。
「犯人は向こうに・・・」
交番勤務の三宅亮介(高田翔)が二人を誘導する。
地獄と化した現場を抜けてホームセンターに向かう二人。
「俺は裏に回る・・・」
「私が正面から犯人を説得する・・・」
夕貴の到着を知ったカラは抵抗をやめてあえて人質になるのだった。
カラは囁く・・・。
「見せてもらいたいの」
「何をだよ」
そこで・・・拳銃を携帯した防刃ベスト着用の夕貴が声をかける。
「落ちついて・・・話しましょう」
「うるさい」
「一体・・・何をしてるの」
「俺は死ぬんだよ・・・その前にお伴を作ってるんだ・・・」
「でも・・・その人は関係ないでしょう」
「誰でもいいんだよ」
「じゃ・・・私にしなさいよ・・・ほら・・・拳銃もここに置くし・・・防護服も脱ぐし・・・」
「・・・全部は脱がないのか」
「それは・・・ちょっと」
「じゃ・・・こいつを殺してからお前も殺す」
しかし、カラは片手で通り魔のナイフを封じるのだった。
その機をとらえて犯人に飛びかかる夕貴。
背後からは里見と・・・到着したチビデカが通り魔を抑える。
「確保」
チビデカはカラの肩に手をまわしいやらしい感じで人質を保護するのだった。
駆けつけたマスコミにさりげなくカメラ目線でアピールするチビデカだった。
カラは・・・夕貴の「正義の心」を垣間見たようだ。
しかし・・・まだ満足はできなかった。
「彼女の正義をもっと見たい」・・・カラの欲望に火がついたのだ。
里見は夕貴を賞賛した・・・。
「よくやったな・・・どうやら・・・捜査一課に先発するのは・・・やはり・・・先輩らしい」
「だめよ・・・普通の人なら・・・刺されていた・・・私の説得は無駄だった・・・人質がカラさんだから・・・無事だったの・・・彼女が・・・犯人のナイフを制御したのよ」
「そんな・・・」
「彼女が・・・私を助けてくれたの」
「・・・夕貴・・・」
夕貴の中で何かが崩れかけている・・・。
里見は・・・恐ろしいほどの警報が心に鳴り響くのを感じる。
しかし・・・彼にはまだ・・・なす術がない。
正義の女神が死神に魅了されているとしても・・・。
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