コウノドリ(綾野剛)いつかきっと(松岡茉優)母子心中未遂キターッ!(清水富美加)お尻にテニスボールはじめました(臼田あさ美)
さて・・・金曜日の第一弾は結構、強力だったな。
ここまで・・・。
(月)「変態ラブコメ」
(火)「医療ミステリ」
(水)(仮)
(木)(仮)
(金)「医療ヒューマン」
(土)「おとぼけミステリ」
(日)「それでも大河」
これを決めてしまうと・・・残り二枠になってしまう・・・。
なにしろ・・・医療か、ミステリか、医療ミステリになってしまうという・・・秋ドラマである。
なるべく・・・気分を変えたいよねえ。
で、『コウノドリ・第1回』(TBSテレビ20151016PM10~)原作・鈴ノ木ユウ、脚本・山本むつみ、演出・土井裕泰を見た。人生の始りは混沌である。精子と卵子は融合し分裂を開始する。増殖して増殖して増殖しまくって変化して変化して変化しまくってすべての準備を整えた個体は世界へと出発する。そこには残酷で美しい光景が広がっている。刺激を受け入れそれは誰かになるための最初の反応を示す。ここはどこなの・・・私は誰なの。
やがてそれは世界と自分を分離するだろう。
大切なのは・・・たとえ世界が残酷でも自分が美しいとは限らないということだ。
しかし、時にそれは何もかも忘れて無心になりたいと願う。
コウノドリに揺られて旅をしていた頃のように。
素晴らしいインターネットの世界と接続されたカフェで・・・時は満ちる。
残酷な世界に押し出されてあがきながらここにたどり着いた矢野夏希(矢崎由紗→清水富美加)は一体化した別の個体の運命に翻弄されて呻く。
「大丈夫ですか」
トラブルを嫌う従業員が・・・数パーセントの善意を示しながら問う。
「・・・救急車を呼んでください」
痛烈な痛みが・・・彼女の絶望と・・・一時的な決意を凌駕した。
朦朧とした意識の中で彼女はそれに語りかける。
「ここに来ても・・・いいことなんかないよ」
それは無言である。
それはまだ・・・ただ蠢くだけの生き物なのだから。
「聖ペルソナ総合医療センター」の医師・鴻鳥サクラ(高村佳偉人→綾野剛)はジャズピアニストのBabyでもある。サクラは産婦人科医である前にピアニストであり、それ以前は施設で暮らす孤児だった過去を持つ。サクラにとってピアノ演奏は生きる喜びであり、医師であることは生きるための職業と言える。しかし・・・ピアノを演奏することよりも医師としての使命を果たすことが最優先されるという自覚がある。
病院に呼び出されたサクラはライブ・ハウスでの実演を中断し、病院に向かう。
大澤院長(浅野和之)は医師がピアニストであることを秘匿するようにサクラに命じている。経営者として・・・問題が発生した時に・・・専門分野に専心していないことを落ち度として指摘されることを危惧するからである。しかし・・・サクラの個人情報を知っている院長は・・・サクラがピアニストであることは許容する。
人が職業だけで生きているわけではないことを知っているからである。
死線を彷徨う矢野夏希と胎児は盥回しにされている。
健康保険に加入しておらず、未受診の妊婦を受け入れる病院が見つからないのである。
研修医の下屋加江(松岡茉優)は受け入れ要請への応答に屈していた。
「・・・母子手帳もないんですか・・・」
サクラの同僚医師・四宮春樹(星野源)は帝王切開中だった。
「手術室は使用中だし・・・受け入れるのは無理だ」
「でも・・・」
「まさか・・・まさかお前・・・未受診妊婦を受け入れるつもりじゃないだろうな?」
「でも・・・破水がシャーッ」
「受け入れましょう・・・」
「コウノドリ先生・・・」
サクラは「野良妊婦」を拾った。
搬送された母子は危険な状態だった。
「足が出ている」
「え」
「臍帯が胎児の気道を圧迫して呼吸困難にしている」
「ええ」
「手をつっこんで押し戻せ」
「えええ」
ストレッチャーに乗せられた矢野夏希の股間から膣内に腕を挿入し、下屋は産室に急行する。
その様子を妻・小早川頼子(臼田あさ美)の出産に立ち会うために来院していた夫・小早川俊也(要潤)は唖然として見ていた。
陣痛に襲われ苦悶する矢野夏希・・・。
経験不足の研修医・下屋はうろたえる。
そこへ・・・本日付けで着任した助産師の小松留美子(吉田羊)が参戦する。
ドリカムのメンバーが三人だった頃を知っているベテランで・・・サクラや四宮の研修医時代を知っている小松は強力な援軍だった。
「あなたは・・・手術室と連絡をとって・・・」
第一のコウノトリが虚空を渡り去って行く。
四宮は帝王切開の施術を終えていた。
「矢野夏希さん・・・赤ちゃんを取り出すために・・・お腹を切りますよ・・・いいですか」
「・・・はい・・・」
激痛に耐えながら矢野夏希はサクラの問いに答えていた。
手術室が空き、新たなる患者が運び込まれる。
麻酔科医の船越(豊本明長)は残留する。
「麻酔をしないとますいでしょう・・・なんちゃって」
「おう・・・シット!」
「一分で出しましょう」
サクラは腕のいい産婦人科医だった。
第二のコウノトリが虚空を渡り去って行く。
響き渡る産声・・・。
「娘さんですよ」
矢野夏希は胎児と対面し・・・そして目をそらす。
新生児特定集中治療室(NICU)の今橋貴之医師(大森南朋)は受け入れ準備をする。
研修医の白川(坂口健太郎)は知ったような口をきくタイプである。
「未受診妊婦なんて・・・まずいんじゃないですかね・・・感染症とか」
「生まれくるものは・・・善悪では測れません」
「・・・」
第三のコウノトリは躊躇していた。
小早川夫妻の胎児は・・・出発の支度に手間取っている。
長いお産なのである。
「他の赤ちゃんに追い越されてばかりだ」とぼやく小早川氏。
「赤ちゃんには赤ちゃんの都合があるのよ」と医療チーム。
「膣口が開いて来ましたよ」
「テニスボールをお尻の穴にあてて・・・」
「はい」
「うーっ」と苦悶する小早川夫人。
戦いは24時間続く。
医療(メディカル)ソーシャルワーカーの向井祥子(江口のりこ)が召集される。
「健康保険にも入っていないようですし・・・住所不定で・・・生活費捻出のために短期バイトをしていたようです・・・新生児の父親・・・自身の両親などの家族については・・・質問に答えてくれません・・・」
「つまり・・・ホームレスで無一文か・・・」
「引き続き・・・支援について相談してみます」
「最悪の親をもって・・・生まれて来たな」
「・・・」
心があるのかないのか・・・微妙な会話をする医療チーム。
プロであるために・・・理想ではなく現実的に対処するのだった。
下屋は・・・母親としての自覚を促そうと・・・新生児との対面を矢野夏希に語りかける。
「車椅子も用意できますよ」
「無理よ・・・痛くて動けない」
「・・・」
そして・・・矢野夏希は脱走した。
「産み逃げか・・・」
「捜してみます」
「それは・・・医者の仕事じゃないだろう」
「だけど・・・母子ともに・・・健康な状態で退院させるのは医者の仕事だ」
「・・・」
仄かに対立するサクラと四宮だった。
ベンチに座る矢野夏希を捕獲するサクラ。
「帰りましょう・・・」
「ほっといて・・・あなたの仕事は終わったでしょう・・・私は生んだし・・・」
「あなただってまだ危険な状態ですよ」
「いいの・・・」
「赤ちゃんは・・・あなたを待ってます」
「医者になんか・・・わからない・・・恵まれて育って・・・幸せなあんたになんか・・・」
「・・・」
「あたしのことなんか・・・わからない」
矢野夏希の脳裏に飛来する人生の記憶。
夏希に父親の記憶はない。
母親は「あんたなんか生まなければよかった」が口癖だった。
育児放棄され・・・義務教育もまともに受けられず・・・十代から売春婦になった。
貢いだ男は夏希の妊娠を知ると暴言を残して去ってった。
「風俗嬢の子供なんか・・・だれが父親がわかるもんかよ」
夏希に対していつも残酷だった世界。
「・・・わかりません・・・だけど・・・あなたは・・・赤ちゃんを見た時・・・微笑んだ・・・うれしかったでしょう・・・」
「・・・」
「私・・・いつか・・・きっと・・・赤ちゃんにひどいことを・・・」
「あなたにとって・・・世界はひどいものかもしれない・・・でも・・・あなたがひどいことをする必要はないんですよ」
「・・・」
小早川頼子は胎児の肩がつかえる肩甲難産だった。
パニックになる研修医・下屋。
「カイザー(帝王切開)・・・カイザーにしましょう」
「落ちついて」と助産師・小松。
そこへ・・・サクラが帰還する。
「体位を変えましょう・・・赤ちゃんを回転させます」
「いきんで」
「押して」
「ああああああああ」
第三のコウノトリが虚空を渡り去って行く。
矢野夏希は新生児室にやってきた。
今橋医師は・・・新生児の保育器を見えやすい位置に運ぶ。
「・・・子供の名前は・・・こころにしたいんですが」
「こころちゃんか・・・いい名前です」
「この子は・・・幸せになれるでしょうか」
「人より・・・苦労するかもしれません・・・だけど・・・人より幸せになれるかもしれません・・・未来のことは誰にもわからない・・・」
そこへ・・・小早川夫妻がやってくる。
小屋は二組の親子の境遇の違いを案じる。
二人の胎児は並んでいる。
夫に愛された妻が微笑む。
幸福感に包まれた夫はフレンドリーにつぶやく。
「うちは・・・男の子なんです・・・あなたのところは・・・娘さんですか・・・あなたに似てかわいいですね・・・」
「・・・」
夫婦は新生児室に入って行く。
輝く矢野夏希の顔。
「聞きましたか・・・ウチの子・・・かわいいって・・・かわいいって言われました」
サクラは微笑む。
どんなに貧しさに打たれて荒んでいても親バカにはなれるのだ。
「まず・・・あなたの生活を立て直しましょう」
ケースワーカー・向井に連れられて矢野夏希は退院する。
研修医・下屋は見送りに出る。
「矢野さん・・・いつか・・・こころちゃんを・・・」
言葉を飲み込む下屋。
振り返った矢野夏希は深く深く頭を下げた。
矢野こころは施設に送られた。
四宮は眠り続ける謎の幼女・つぼみに絵本の読み聞かせをする。
四宮を変えた来歴の暗示。
サクラは過去を回想する。
「税金泥棒」
「施設の子と遊ぶなってママが言うよ」
「・・・」
心なき言葉の暴力と・・・それに対する反抗。
迎えに来た寮母・小野田景子(綾戸智恵)に幼いサクラは問う。
「僕は捨て子なの」
「あんたのお母ちゃんは死んだのよ」
「・・・」
「でも・・・それは仕方のないこと・・・気にすることはない」
景子はサクラにピアノを教えた。
世界は残酷でも・・・美しさを秘めている。
「転ばないように気をつけて」
夫(小栗旬)は外出中の妻を気遣った。
「大丈夫よ」
妻(川村ゆき)は端末に朗らかに答える。
そこへファイナル・デッドカーが暴走して来た。
禍々しい衝突音。
救急救命科医の加瀬(平山祐介)が産婦人科にやってくる。
「まもなく・・・頭部外傷の患者が来る・・・妊娠している・・・」
産婦人科チームはどよめく・・・。
第四のコウノトリは来週まで待たされるのだった。
キャスティングが絶妙だな。
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→She
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