あさが来た(玉木宏)新しい朝が来た(鈴木梨央)希望の朝だ(守殿愛生)
最終回の頃をスルーした「まれ」の後が「あさが来た」である。
人生に王道なしという意味では「まれ」は「まれ」で良かったのだと思う。
ちゃらんぽらんでいきあたりばったりで幸せでも不幸せでなくてもなんとなく生きて行くのが人間である。
しかし・・・朝からどうでもいい他人の人生の愚痴を聞くのは「純と愛」でやめておくべきだったな。
朝はとにかく・・・さわやかになりたいお茶の間である。
まあ・・・21世紀の最高の朝ドラマ「あまちゃん」の後ではどんなドラマだって些少の見劣りをする。
「まれ」の場合・・・現代ものということでさらに「粗」が目立っただけなのである。
オリジナルって・・・厳しいよねえ。
そういうわけで・・・今回は実在の人物に材をとり・・・しかも「小説 土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯」というそこそこまとめられたものがある。
脚本家は実力派である。
まったりできるといいよねえ・・・朝が楽しみになるとよろしいですな。
で、『あさが来た・第1~6回(第1週)』(NHK総合20150928AM8~)原案・古川智映子、脚本・大森美香、演出・西谷真一を見た。ヒロインのモデルは広岡浅子で嘉永二年(1849年)の生まれである。実際は妾腹で父親の三井高益は浅子が数えで十歳の時に没している。二歳年上の異母姉の春も妾腹であり、二人は妾腹の異母姉妹。老舗である三井家の別家から養子の三井高喜が来て、春は高喜の養女、浅子は義妹となる。
江戸時代の商家なのである。
このままだと・・・お茶の間に受け入れられるのが困難なのでフィクションにするのだ。
三井家は・・・今井家になる。
義兄の三井高喜は実父の今井忠興(升毅)に変換され、実の実父の三井高益は祖父の今井忠政(林与一)に変換される。
二人の妾は存在を抹消され、姉妹の実母・今井梨江(寺島しのぶ)が挿入される。
これは「戦国自衛隊」的パラレルワールドの話なのである。
こうして・・・誕生した今井はつ(守殿愛生→宮﨑あおい)と今井あさ(鈴木梨央→波瑠)の同母姉妹なのだった。
子役変換的には守殿愛生→波瑠で、鈴木梨央→宮﨑あおいのような気がして仕方ないがα軸からβ軸の変換中に移送ミスがあったと解釈できるので大丈夫だ。
・・・もういいか・・・。
とにかく・・・幕末とか明治に生きる人々をお茶の間に届けるのはいろいろと大変なんだなあ。
嘉永二年。江戸では近藤勇が天然理心流剣術道場・試衛場で目録を受けている。京都の両替商・今井家の次女・あさが生まれる。
嘉永六年。黒船来航。
安政元年。あさは凧とともに飛ぼうとして木から落ちる。あさは数え年で七歳だった。
文久二年。あさは数え十三歳である。
実在の浅子は大坂の豪商・加島屋久右衛門の次男・広岡信五郎に嫁ぐことになるのだが、あさは白岡新次郎(玉木宏)の許嫁となる。
広岡進五郎は天保十二年(1841年)生まれなのであさとは八歳違い。この年、二十一歳である。玉木宏の実年齢が満三十五歳なのがアレだという人がいるが、ドラマ「リモート」(2002年)で深田恭子の婚約者として「そげな~」と言っている頃と今もほとんど同じように見えるとキッドは考えます。
鈴木梨央の実年令が満十歳なので年の差二十歳じゃないかとか・・・お茶の間はあまり深く考えてはいけません。
実年齢より若く見えたり、実年齢より老けて見えるのは日常茶飯事ではありませんか。
あさは蛇をぶんぶん振りまわし、男の子と相撲をとり、男の子のように褌しめたがる・・・十三人に一人いるタイプだったので・・・大人の男性を前にして・・・複雑な気持ちになるのでした。
しかも・・・新次郎はいかにも軽薄そうな遊び人タイプだったのです。
そして・・・小猿のような振る舞いのあさを「小猿ちゃん」と呼び・・・父親に折檻されたあさの「おいど(お尻)」の心配をしたりするのです。
男の子のようになりたい女の子のあさは・・・もう頭が沸騰するのでした。
あさは・・・今井家の長男・久太郎(興津正太郎)のように学問がしたいのです。
しかし・・・時代は良妻賢母以前・・・女は子供を生むための道具でしかなかったのです。
「女に学問は必要ない」
これは戦前までは常識だったのです。
「女が学問なんかしたらろくなことはない」とほとんどの男たちが本気で思っている時代です。
けれど・・・あさは・・・朝ドラマのヒロインに相応しい特別な子供です。
「なんでどす・・・うちかて・・・自分の行く道くらい・・・決めとうおます・・・」
そして・・・また折檻されるあさでした。
「うちのしつけが・・・悪かった・・・」
母の梨江は暗澹たる気持ちになりました。
それでもパラレルワールドなので・・・父の忠興は本当は娘を案じるマイホーム・パパ。
娘たちの許嫁の様子を見るために大阪へ一家で旅をします。
大老の井伊直弼が桜田門外で暗殺された翌年です・・・世情は騒がしさで一杯。
薩摩の大久保一蔵は公家の岩倉具視とともに公武合体を目指して京都で暗躍中。
長崎海軍伝習所で航海術を学んだ五代才助(ディーン・フジオカ)は探偵になるために水夫に身をやつし上海に渡航。
そして・・・姉のはつの許嫁は眉山惣兵衛(柄本佑)は貧乏ゆすりのとまらない白蛇でした。
白岡新次郎の両親は・・・正吉(近藤正臣)、よの(風吹ジュン)・・・。
母親には高等遊民の母の風格が漂います。
京都に戻った姉妹・・・。
気丈で優等生タイプの姉もさすがに・・・許嫁が白蛇だったので・・・落涙です。
新次郎に冷たくあしらわれた妹も号泣です。
しかし・・・翌朝・・・姉はいつものようにすましています。
世の中にはどうにもならないことがあると受け入れたのです。
それが・・・母も歩んだ女の道だから・・・。
しかし・・・あさは・・・不可能を可能にする朝ドラマのヒロインです。
「おかしいのはうちじゃない・・・世の中どす」
押し入れに立て篭もり徹底抗戦の構え。
そこへ・・・新次郎がやってきます。
お土産は・・・あさの欲しがっていたパチパチさんこと・・・算盤・・・。
「嫌なことは嫌やもんなあ・・・でも・・・これから・・・とくと考えて・・・その気になったら・・・お嫁はんになりなはれ・・・その時は・・・仲良うしておくんなはれ・・・」
あさは・・・新次郎の様子の良さに・・・実は一目惚れをしているのである。
優しくされたら・・・その気になっちゃうんだねえ。
ホクロの位置でバトンタッチする子役と主役。
実は白蛇サイドからフライング行為によるNGを出されていたあさ。
それを救ってくれたのが未来の夫である。
どうやら・・・びっくりぽんな人生がスタートしたらしい。
幸不幸は紙一重。
禍福は糾える縄の如し。
長州一発大逆転。
京都・甲州・函館と土方(堀北真希の夫)の人生辛かった。
「梅ちゃんは咲いてますえ」
ラジオ体操が始まりそうな朝ドラマ・・・子役時代は無難なスタートです。
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