食べられる時に食べておかないと何かあったらどうするつもりだ。
真夜中に誰かが不調になって病院に行くことになり、空腹が堪え切れなかったらみっともないぞ。
・・・そういう話じゃないだろう。
寸止めか・・・やはり寸止めだったのか。
やる時にやっておかないと・・・ろくなことはないと思うが・・・。
そういうタブーを破ってハッピーエンドになる気ならそれはそれでいいけどね。
まあ・・・相手がいいと言っているものをだな・・・。
まだ・・・言うか。
いわゆるひとつの・・・だが断る!だよ。
で、『5→9〜私に恋したお坊さん〜・第6回』(フジテレビ20151116PM9~)原作・相原実貴、脚本・小山正太・根本ノンジ、演出・平野眞を見た。いろいろあってお好み焼きをひっくり返すように桜庭潤子(石原さとみ)を組み敷いた星川高嶺(山下智久)だったが・・・据え膳を食わない男だった・・・愛し愛される・・・最高の状態で契りたいのである。なんて贅沢なストーカーなんだ・・・。
見つめ合う二人。
「潤子さん・・・私のことお好きですか?」
答えに・・・迷う潤子。
「・・・」
「帰りましょう・・・大切に取っておきます。あなたが私のことを本当に好きになってくれるまで」
「・・・ごめんなさい」
どうなんだ・・・ある意味・・・女に恥をかかせているんじゃないのか。
まあ・・・一種の凌辱プレーだよな。
・・・おいっ。
帰宅した潤子は・・・悶々とした夜を過ごしたと推定。
そして・・・翌朝・・・母・恵子(戸田恵子)、妹・寧々(恒松祐里)そして個人タクシーの運転手である父・満(上島竜兵)と和気藹々と過ごす高嶺だった。
「・・・おはようございます」
「おはようございます」
「・・・なんでいるんですか」
「お父上のご母堂・・・つまり潤子さんのお祖母様の十七回忌の件で」
「おばあちゃんの・・・法事」
「はい」
「週末にこの部屋で・・・家族だけの法要ということでよろしいですね」
「よろしくお願いします・・・」
抱擁はしないのに法要はするのかよ・・・と潤子は心の中で毒づいたと推定。
誰がじゃ・・・タジャレかっ。
一方・・・英会話学校ELAでは・・・外国人講師アレックスとブリタニーが結婚することになり、スクールにて結婚披露パーティーが挙行されることとなった。
司会は清宮真言(田中圭)と潤子に決定する。
清宮は潤子の態度が急変したことに戸惑うのだった。
やがて・・・部屋で潤子のイヤリングを拾い・・・「結婚式の写真」と指輪を発見されてしまったと推測する清宮。
「君に話したいことがある」とアプローチするのだが・・・清宮が・・・不倫をするような男だと思いたくない潤子は・・・清宮の発言を封じるのだった。
本当のことを知って傷つきたくない潤子なのである。
ただし・・・真相は・・・潤子の推定とはもちろん違うというのがお約束である。
結論から言えば・・・清宮は前妻と死別しているのだが・・・初婚同志でなければ問題外という理想もあるので・・・隠してはいけないことを隠していたという微妙なトーンになるわけである。
まあ・・・お茶の間・・・それぞれの判断にもよるだろうが・・・そういう曖昧な部分は・・・コメディーとしては邪魔くさいんだよな。
複数脚本家は詰めの甘い演出家とは相性が悪いのが基本で・・・この演出家はスタイリッシュなのだが・・・そういう意味では甘いところがあり・・・今回はそういう意味で煮え切らない仕上がりになっている。
まあ・・・好みの問題だけどねえ。
一周回って元の位置展開なので・・・仕切り直しの今回である。
新しいスタートを切るという意味では・・・これはこれで笑えるわけである。
なにしろ・・・やったと思わせてやってないというおやまああらさてな中盤戦突入なのだ。
おやおや・・・まあまあ・・・あらあら・・・さてさて・・・だよな。
ラブコメの基本は「おかしな主人公がヒロインと結ばれること」である。
ただし、このドラマは恋愛戦略ゲームの要素も持っていて、この場合は「主人公が世界のすべての男を攻略すること」が目的なのである。
つまり、高嶺を主人公とする物語と・・・潤子がプレイするゲームが混在しているのだ。
斬新な試みであるが・・・統合に失敗すると「辻褄があわない」事態が発生する。
今回はかなり・・・危うい感じがいたしました。
まあ・・・人生が思いのままにならないこと・・・の提示というのはエンターティメントとしては失敗だが・・・「表現」としてはチャレンジしていることになるからねえ。
まあ、「朝ドラ」とか「月9」でやっちゃうと「テロ」になっちゃうんだけどな。
ラブコメとしての障害物の一つである女魔王・星川ひばり(加賀まりこ)は「一橋寺」の経営者として「桜庭家の法要」をあっさりと許す。
宗教的には何の権限もない前住職の母親が権力を振りかざすことにも違和感はあるが・・・そこは「ラスボス」的設定と考えるしかない。
血縁的遺産相続者の横暴はよくあることだからである。
権力者として自分の意見が通らないことに苛立つひばりは・・・すでに手を打っている。
「一橋寺」後継者候補の一人で高嶺の弟である星川天音(志尊淳)を召喚しているのである。
これを潤子サイドから見ると・・・。
恋愛対象者リスト
星川高嶺・・・生真面目なストーカーで保険
清宮真言・・・本命
三嶋聡(古川雄輝)・・・男友達
里中由希(髙田彪我)・・・かわいい生徒
木村アーサー(速水もこみち)・・・女友達・山渕百絵(高梨臨)の恋人
蜂屋蓮司(長妻怜央)・・・射程外
星川天音・・・期待の新人
・・・ということになる。
ちなみに・・・チート(無敵)兵器である潤子にとっての敵はお嬢様の足利香織(吉本実憂)だけだが・・・星川天音はその対抗兵器のポジションであろう。
二人とも・・・「表参道高校合唱部」の出身である。優里亞と快人なのか・・・。
恋する高嶺にとっては・・・全員がライバルだが・・・味方も多い。
高嶺の父親(故人)と高嶺の間をつなぐ雇われ住職である寺田光栄(小野武彦)や那覇三休(寺田心)をはじめとする僧侶仲間たち。
潤子以外の桜庭家一同。
そして、恋愛マスターのアーサー。
だが・・・「ラブコメ」と「乙女ゲー」が交錯するこの世界では・・・恋愛マスターは中立的ポジションなのである。
エンターティメントとしては・・・少し複雑なシステム採用なんだな・・・。
まあ・・・「恋」という「妄想」は・・・「色即是空」の世界では・・・「無」だからな。
こうして・・・高嶺は桜庭幸江(長内美那子)の十七回忌のおつとめミッション。
潤子は同僚の結婚パーティーの司会ミッション。
二つのミッションをクリアすることが今回の筋になっていくのだった。
「仕事が終わったら飯食いながら打ち合わせでもどうだ?」
「・・・進行表まとめてメールしますのでチェック お願いします」
清宮の本心を疑う潤子はシャットアウトである。
中立者であるアーサーは腐女子奴隷・百絵を密偵として放つのだった。
「不倫・・・」
「結婚式の写真見ちゃった・・・」
「本人に確かめたの」
「だって・・・奥さんがいることが確定したら・・・清宮さんのことを尊敬してるから嫌いになりたくないんだよね」
「・・・BLのことしかわからない私には理解不能だわ・・・」
「BLだとどうなるの」
「結婚ってBLにとってはかなりの障害だからやっぱりいろんなジャンルがあるけどこないだ読んだ話でチョー泣けたのが既婚者の受を思って身を引く攻っていうのがほんとやばくて・・・」
「・・・」
帰宅した潤子を迎える高嶺・・・。
「潤子さん・・・あの夜・・・あのような態度をとってしまい・・・申し訳ございませんでした」
態度とはホテルに同行したことなのか・・・それともやらなかったことなのか・・・どっちだよ。
「こちらこそホントにごめんなさい。そもそも私からホテルに誘うなんて・・・」
それは・・・敗戦処理に利用した謝罪なのか・・・それともがっつきすぎを恥じているのか・・・どっちだよ。
そういう脚本の曖昧さをなぎ倒してタクシー・ドライバーが帰宅。
「今の話・・・誰にも言わないから」
「えっ」
そこへ・・・潤子の母と妹も買い物から帰宅。
「ああ・・・もう我慢できない」
「ええっ」
「二人はホテルにね」
「えええっ」
高嶺を交えた桜庭家の団欒・・・完全に婿養子状態である。
一家は・・・故人の在りし日の姿を収めた動画を視聴する。
「ABCのうた」を謳う幼い日の潤子は「LMN」が歌えず「MMM」なことに。
「どんだけMなんだよ」
「なんで・・・こんなものを・・・」
「法要のために幸江さまの人柄を知っておきたくて・・・」
16年前には生まれたばかりだった寧々は祖母の記憶がない。
「おばあちゃんの顔・・・動画でしか知らないのよね」
「おふくろ・・・写真嫌いだったなあ」
「全然笑わない人だったのわねえ」
「ブスっとしてたよなあ・・・高嶺くん・・・身内じゃなきゃ・・・こんなのつまらないよね」
「いえ・・・ もっと聞かせてください。故人をしのびその思い出を語り合うことが何よりの供養になります」
「どうしたんだ・・・お坊さんみたいだぞ」
「お坊さんよ」
「くるりんぱ」
「じゃ・・・そろそろアツアツなおでんに」
「やめろよ」
「これからは・・・私が・・・潤子さんの成長記録を撮影します」
「やめてよ・・・もう成長しないわよ」
「動きませんね」
例によって潤子が福引で当てたビデオカメラは・・・なんだか幸運なんだな・・・寿命だった。
そこで・・・高嶺は・・・潤子専用ムービー・カメラを購入するのだった。
潤子にとって高嶺もまた当たりくじのようなものなのかもしれない。
パーティー会場の準備に励む従業員一同。
「すごく気になりますね」と百絵。
「常軌を逸してますね」と毛利まさこ(紗栄子)・・・。
潤子、百絵、まさこって・・・中三トリオか。
・・・それ・・・どうしても言う必要あるの。
潤子の成長記録撮影のために密着する高嶺だった。
「星川さん、盗撮ですよ」
「堂々と撮影しておりますし、あなたのご両親にも許可を頂いてます」
授業中も止まらない高嶺カメラ・・・。
「ちょっと・・・やめてください」
「ナイス・・・いい表情です」
「ちよっと」
「ナイス」
「没収します」
「ベリーナイス」
アツアツな二人を生温かく見守るクラスメートたち。
高嶺アイに阻まれて・・・潤子にプライベートな話ができない清宮だった。
ゲーム的には初婚ボーナス百点に対し、結婚歴回数×マイナス五十点が基本だが・・・妻と死別なら減点マイナス十点くらいになる・・・と主張したい清宮である。
ま・・・協議離婚だろうが死別だろうがバツイチだ・・・という考え方もございます。
アーサーは敵対する高嶺と清宮を銭湯に誘うのだった。
もちろん・・・お茶の間サービスである。
しかし・・・お互いをライバルと認めることさえ認めない二人は・・・入浴我慢対決を開始するのだった。
日韓とか、日中とか、米中とか、フランスとイスラム国とかもこうして決着つけるといいのにね・・・夢だな。
たとえていいことと悪いことがあるぞ。
悪魔の辞書にはありません。
一方・・・清宮の事情を潤子に伝えようとする百絵。
「だから・・・ルシファー様が暗黒の迷宮をさまよってる時にミカエルが悠久の祠に封印されちゃうの。そこで」
「なんだか・・・まったくわからない」
たまたまリラクゼーションサウナに集合する中三トリオだった。
三人は現在、商社マンの三嶋聡(古川雄輝)との弱い恋愛関係で結ばれている。
三嶋→潤子
まさこ→三嶋(ただしサイフとして)
百絵→三嶋(ただしワンコとして)
・・・女たちのワンサイドゲームである。
「まさこちゃんはもてるよね」
「今年は不作です」
「まさこちゃんが不作なら私なんか不毛地帯だよ」
「三嶋といい感じだったじゃない」
「あれ・・・終わりました」
「まあ・・・残念」
「あんたが言うか」
「え?」
「とにかく・・・今は年下の子に攻められてるんですよ」
「何・・・相手いくつ・・・」
「十代なんですよ」
「犯罪じゃん」
「百絵先生は・・・アーサー先生とどうなんですか」
「ええ?」
「付き合ってますよね」
「ねえ」
「えええ?」
変則的「え」のシフトチェンジだな。・・・何を言っておるのだ。
結局、銭湯でのぼせた高嶺は桜庭家で潤子に介抱されるのだった。
もう・・・夫婦でいいじゃないか・・・。
「なんで・・・家が我が家みたいなことに」
「法要の前に準備が・・・その前に少し羽目を外して」
「しょうがないなあ・・・もう」
「男のプライドです・・・」
「はあ?」
「私は勝った・・・」
思わず力尽きて潤子の胸に顔を埋める高嶺だった。
「ちょっと・・・」
そこへ帰宅する寧々。
「・・・誰にもいいませ~ん」
《休憩タイム》
プレイヤーまさこ。
ターゲット蜂屋。
食事に誘われました・・・どの店を選びますか?
Ⓐフレンチレストラン
Ⓑイタリアンレストラン
Ⓒラーメン屋
まさこはⒸを選んだ。
「雰囲気台無しだっつうの」
「子供は贅沢しないの」
「ちぇ」
「食事の時は帽子を取りなさい」
「なんだよ・・・もう・・・」
「・・・」
「うめえ・・・」
蜂屋の好感度が105になった。
蜂屋の甘えん坊気質が102になった。
蜂屋の生意気さが少し下がった。
蜂屋はまさこに調教された。
《休憩タイム終了》
本当に中身がごたごたしているよな。
まあ・・・男に甘えられて喜ぶ女幻想のヴァリエーション展開なんだろう。
マザコンだからな・・・マザコンだからだ。
高嶺は桜庭家で家族動画DVD完全制覇に挑む。
「まだ・・・見てるんですか」
「法要の前に幸江さんのことをもっとよく知っておきたくて・・・」
「こういうの・・・家族じゃなかったら・・・飽きるでしょう」
「私にとって皆さんはもう家族です。好きな人の好きな人をもっと好きになりたいんです。どんな年代の潤子さんも見ておきたいですし」
「おいっ」
「それにしても・・・幸江さんは笑顔を見せない方だったのですね」
「星川さんもですよ・・・星川さんの笑っている顔・・・私、見たことないです」
「潤子さんといる時は基本的に笑っておりますが・・・」
「え」
潤子は・・・星川を見て・・・それが当たりくじであることに気がついたようだ。
その顔立ちを確認するために・・・おそろいの髪留めを使用する潤子。
目の前に潤子の無防備な胸を差しだされ・・・思わず欲情する高嶺。
「潤子さん・・・」
「高嶺さん・・・」
「ちょっと潤子ちゃん・・・」
モニター画面の中で若き日の恵子が呼びかける。
ケイちゃんと言うことは夫の満は・・・ミーなのかっ。
・・・それ・・・どうしても言う必要あるの。
やがて・・・高嶺は桜庭家の秘密に気が付くのだった・・・。
とにかく・・・両親や妹が別室で眠っているお茶の間で・・・妄想的には明らかに一戦している二人だった。
声を殺してするのって興奮するよね。
・・・もういいか。
潤子は・・・幼い頃に両親と死別した高嶺の孤独にふたたび心を揺さぶられる。
高嶺は・・・桜庭家の墓を清めた。
高嶺の父親代わりを自負する光栄は桜庭家を訪ねる。
タクシードライバーと光栄は・・・幸江の葬儀以前からの付き合いである。
「わざわざ・・・ありがとね」
「いや・・・今回、私がお経あげないので・・・御焼香だけでもと思ってね」
「ご丁寧に」
「十六年か・・・早いね」
「うん」
「あっと言う間でしたねえ」
潤子は・・・桜庭家が一橋家の檀家であることに漸く気が付くのだった。
「今回の法要は高嶺がしっかり務めますので。今日も桜庭家のお墓を掃除してました」
「まあ・・・高嶺さんが」
「高嶺はそういう男です。今後とも高嶺をよろしくお願いします・・・あいつは潤子さんと知り合えて幸せ者です。潤子さんと会って高嶺は変わりました」
「・・・」
「今まで付き合った人とは全然違う」
「え」
「星川さんって女の人とお付き合いされたことが・・・」
「潤子・・・そりゃ・・・高嶺君だって彼女の一人や二人ぐらい」
「大学のころはかなりモテましたよ。大学1年生のときに付き合った春ちゃんはおとなしくて 控えめな子で。2年のときの夏ちゃんは海が好きな活発タイプで。3年のときの秋ちゃんはこれまた情熱的なもう 色っぽい子でね。冬ちゃんがきたら春夏秋冬全部揃ったのに4年のとき付き合ったのが何とアンジェラ!」
「冬なしか」とタクシードライバー。
「残念ね」と恵子。
「惜しい!」と寧々。
(突っ込むのはそこじゃないだろう)と思う潤子だった。
潤子はモヤモヤした。
モヤモヤが炸裂する英会話教室。
「ミスター星川、軽率なことをしたお詫びを英語で言ってみて」
「私の軽率な行動でご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません」
「もっと丁寧に」
「私の軽率な行動が様々な人に悪影響を及ぼしたことは真にもって慙愧にたえないことであり慎んでお詫び申し上げます」
「そんなことで誠意が伝わりますか」
「私の軽率な行動は万死に値する卑劣極まりない古今東西例のない悪逆非道なふるまいであり・・・」
「どんなビジネス英語なんだよ・・・」と呆れるクラスメイト三嶋だった。
「何を怒っていらっしゃるのですか」
「別に怒ってません・・・授業が終わったら・・・とっととお帰り!」
香織タイムである。
「高嶺様・・・なぜ私じゃいけないのですか」
高嶺の背に身を預ける攻撃。
「すみません・・・準備がありますので」
高嶺はふりむいて距離を置く防御。
「どうして高嶺様が・・・こんな小さな法要を・・・」
「どんな法要も大切なものです・・・御仏の教えを伝える場に大小はありません」
「・・・」
香織タイム終了である。
ラブコメとしては香織は何か・・・お決まりのアクションが欲しいところだ。
前回の「私はあきらめない」で良かったのに・・・。
ポジション的には樹木希林の立ち位置なんだよな。
「高嶺様・・・」みたいな。
美しさが仇になっているというか・・・スタッフが甘いというか。
故・桜庭幸江の十七回忌である。
七回忌という七という数字を軸とした次の法要が十七回忌となる。
三十三回忌を弔い上げと考えれば・・・死者が神となる道の折り返し地点である。
赤いコスモスを供える高嶺。
「読経を始める前に少しだけお話をさせてください。柏木ナイス・・・ではなくて・・・この花は故人が大好きだったコスモスの花です。赤いコスモスの花言葉は愛情と申します。西洋ではコスモスは素晴らしい人生の限りない喜びを讃える花とされています。愛にあふれていた幸江さんに相応しいお花です」
恵子は思わず涙する。
「お嫁に来た時・・・お義母さんがコスモスの花を贈ってくれたのを思い出しちゃった・・・」
「ご近所の皆さんも・・・幸江さんは滅多に笑顔を見せない方だったとおっしゃってましたが・・・しかし・・・幸江さんは・・・よく笑う方だったのです」
「え」
「幸江さんは・・・お年寄りには珍しくなかなかのカメラマンでした・・・」
「ええ」
「皆さんが笑う時・・・幸江さんも笑っていましたよ」
「えええ」
「皆さんが幸せそうに笑う時・・・カメラマンの笑い声が同時に収録されていました・・・幸江さんは家族の幸せを何よりも愛していたのです。家族が幸せそうな時・・・幸江さんはいつも笑っていたのです」
「優しい・・・おばあちゃんだったのね・・・」と寧々。
「大切な人を亡くすことはつらく悲しいことです・・・けれど折りに触れ故人を偲び花を手向け・・・今、自分が生きていることに感謝する・・・それが何よりの供養となるのです・・・皆さまの幸せこそが・・・故人の喜びなのですから・・・」
「高嶺くん・・・お坊さんみたいだ・・・」
「お坊さんですよ」
潤子は・・・高嶺の高貴な心に触れ・・・激しく濡れるのだった。いや・・・心が洗われるのだった。
アレックスとブリタニーの結婚パーティー当日。
二人を祝福する従業員一同と生徒や友人たち・・・。
しかし・・・お祝い動画担当のアーサーと百絵はピンチになっていた。
再生装置のクローズがオープンしてしまうのだった。
「閉じたり開いたり・・・実にはしたない」
そこで・・・高嶺は自分の作品を提示した。
会場に流れ出す・・・二人の結婚準備に追われる潤子とその周囲の人々のスケッチ。
自然なドキュメンタリーが・・・人々の微笑みを誘う。
二人の結婚を祝福するムードが高まるのだった。
高嶺が潤子を見つめる目からあふれた愛がパーティー会場を包む。
潤子は・・・世界を見守る高嶺の気高く優しい表情を見た。
「わかりました・・・どうして・・・ずっともやもやしていたのか・・・私、ずっと気になっていたのです・・・星川さんの元カノさんたちは星川さんの笑顔を見たのかなって・・・でも・・・ もう大丈夫です・・・今・・・見たので」
「元カノさんという方を存じ上げませんが・・・」
「・・・」
脚本的には謎に包まれた・・・高嶺の学生時代だった。
衆人集う場所で温もりを感じ合うことで燃える変態体質の潤子はそっと高嶺の手を包むのだった。・・・まあ、いやらしい・・・。
そして・・・一橋寺には・・・天音が帰還する。
女魔王は・・・煩悩にまみれた高嶺を捨て・・・制御可能な天音に乗り換える気らしい。
まあ・・・法統も俗世間の荒波をかぶるのがこの世の定めというものかもしれない。
しかし・・・そんなことはラブコメとは無縁である。
関連するキッドのブログ→第5話のレビュー
ごっこガーデン。愛と青春の曼荼羅セット。
エリ「きゃああああ・・・公衆の面前でこっそり隠れて恋人握りで・・・むふふ・・・これはもう愛撫でスー・・・もう官能的な名場面と言えるのでスー。お尻を触らせようとしているのかと思って鼻血ブーッなのでス~・・・じいや、ティッシュをお願いしましゅ・・・いよいよ・・・クリスマスシーズン・・・世界が平和で変態でもいい・・・愛にあふれる優しい場所でありますように・・・」
最近のコメント