おはんが死んで新しい日本が生まれたのでごわす・・・明治十一年紀尾井坂の変(井上真央)
歴史音痴の脚本家なので・・・絶句もしないのだが・・・。
木戸と西郷が死んで・・・伊藤や山県が権力を掌握するのは・・・独裁者となった大久保利通が紀尾井坂で暗殺された後である。
いや・・・大久保利通がいない・・・この世界では・・・それでいいのか。
全国の大久保ファン・・・号泣である。
少なくとも・・・群馬県令・楫取素彦と大久保には重大な史実がある。
高崎城に陸軍歩兵第3連隊が駐屯していた関係で・・・県庁を置くスペースがなく・・・仮庁舎を前橋城に置く許可を楫取素彦は大久保内務卿に求めているのである。
大久保はこれを許し・・・前橋が県庁所在地となる伏線が張られる。
そもそも・・・中山道から外れている前橋が群馬県の中心というのはやや無理がある。
しかし・・・楫取の決定は・・・前橋の発展を促し・・・現在に至るのだ。
まあ・・・そういうことを面白いと思わない人に何を言っても無駄だけどな。
前橋(仮)が正式な太政官布告により県庁所在地として認可されるの大久保が暗殺された後の明治十四年のこととなる。
で、『花燃ゆ・第46回』(NHK総合20151115PM8~)脚本・小松江里子、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回も年末年賀状体制発動のためにイラスト描き下ろしはお休みです。まあ、まだ・・・このドラマの記事があることがすでに奇跡で有り難いことだと拝みたい気持ちでございます。もう少しだ・・・もう少しで・・・このわけのわからないへんなものが・・・この世から消えてなくなる・・・のでございます。なぜ・・・そうまでして視聴を続けるのか・・・それもまた歴史の妙ですねえ。まあ・・・今回・・・架空の登場人物である群馬の姐御が・・・主人公の心を問い・・・主人公が・・・家庭の事情を「志」として話す。想像力を全開し・・・ヒロインの演技力に身を委ね・・・堪え難きを堪えず、忍び難きを忍ばなかった・・・やんちゃな兄・松陰や・・・おっちょこちょいな夫・久坂玄瑞の・・・無念の死・・・を想起すれば・・・胸が熱くなってくるのが幕末フリークの心意気なのでございます。
胸が熱くなる回想シーンくらい入れて欲しい・・・。
大好きなお兄ちゃんや・・・愛しい旦那様の・・・無惨な最期をストレートに描いてこなかった報いが・・・ありありと示された・・・残念な演出でしたけれども・・・。
もう・・・感動させたいのか・・・させたくないのか・・・はっきりしろよ・・・と叫びたい。
明治十年十月、アメリカ人の動物学者・エドワード・S・モースが大森貝塚の本格的な発掘を行う。学習院が開業し、初代院長に筑後三池藩藩主だった立花種恭が就任。十一月、招魂社にて西南戦役戦死者招魂祭が催される。十二月、大森貝塚を明治天皇が観覧。騒然とした明治十年は暮れ・・・明治十一年(1878年)三月、露土戦争集結。ルーマニア公国、セルビア公国、モンテネグロ公国、大ブルガリア公国が誕生する。東京・木挽町に電信中央局が開業。五月、東京府麹町区麹町紀尾井町で内務卿大久保利通が不平士族によって暗殺される。実行犯・島田一郎らは自首し、市ヶ谷監獄にて斬首に処せられる。
西南戦争で政府軍に降伏したものたちは・・・各地の監獄に輸送されていた。群馬県は幕府時代の岩鼻代官所を監獄として利用しており、明治十年、岩鼻監獄には五十人ほどの反乱軍兵士が収監されている。反乱者たちは長崎から横浜そして岩鼻へと護送されてきたのである。岩鼻監獄には五万石騒動と呼ばれた高崎農民一揆の罪人も収監されており・・・不平士族たちは・・・四民平等の世に・・・農民と同じ監獄に収監されるという屈辱を味わうのだった。
利根川上流から山内家所有の小型汽船が現れた。
船首には機関砲が設置されている。
しかし・・・美和子はすでにその存在を察知し・・・鉄砲忍びたちに火砲を用意させていた。
敵の小型汽船に砲弾が発射され・・・命中する。
機関砲兵は血煙とともに爆散する。
小型汽船は炎上し・・・夜の川面を照らす。
その影から二艇の小型艇が現れ、乱戦となった。
土佐の科学忍者たちは拳銃で武装し、短剣をかざして白兵戦を仕掛けて来た。
敵の射線に入った美和子は咄嗟に跳躍し、川に落下する。
「美和様」
伊藤佐助は忍者刀で敵を倒して・・・川に飛び込む。
毛利船と・・・山内船はすれ違い・・・お互いに敵味方を乗せたまま遠ざかる。
船上では銃声が響き、忍びたちの死闘が続いている。
美和は流されながら河原へと抜き手を切る。
這いあがった上陸地点に敵の気配はなかった。
背後から伊藤佐助が追従する。
「ご用心くだされませ・・・」
「大丈夫だ・・・岸に・・・敵はいない」
「問答無用で仕掛けてきましたな・・・」
「敵は・・・政商の岩崎弥太郎の手のものじゃ・・・土佐勤王党の死にぞこないというところか・・・」
「土佐・・・勤王党・・・」
「坂本龍馬亡き後・・・明智流の科学忍者たちは・・・分散し・・・一部は政府軍に仕えておるが・・・多くのものが三菱の私兵になっておるのよ・・・」
「なるほど・・・」
「ここは・・・どのあたりじゃ・・・」
「南に下れば・・・本庄宿というあたりでしょう・・・」
「では・・・新町宿、倉賀野宿と一気に夜駆けと参ろう・・・」
「されど・・・なぜ・・・土佐のものが・・・」
「三菱は・・・群馬を狙っているのじゃ・・・」
「はあ・・・」
「そもそも・・・義兄は県庁移転の件で高崎の者どもの怨みを買っておるからな・・・高崎と前橋の戦の気配もある」
「西南戦争では・・・旧高崎藩の士卒も戦死しておりますな」
「義兄は・・・岩鼻監獄に収監された反乱兵を庇護しているというものもある・・・三菱はそういう流れを利用して群馬の利権を奪いにかかってきたのじゃ・・・長州は三井贔屓じゃからな・・・岩崎の背後には薩摩の大久保様がついておるらしい・・・」
「それで・・・混乱にまぎれて・・・県令様のお命を・・・」
「そうじゃ・・・闇に葬る気じゃ・・・この世に争いの種は尽きぬのよ」
二人の忍びはすでに闇の中を走りだしていた。
関連するキッドのブログ→第45話のレビュー
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