うっかりしたら火傷するよ(綾野剛)私は思い続ける(松岡茉優)今夜はいけない(山口紗弥加)
山口紗弥加はローティーンでデビューしていて今や三十路も半ばなので芸歴二十年以上である。
その間・・・ほぼ脇役で過ごしている。
ある意味・・・凄いぞ。
2015年も春ドラマでは「ようこそ、わが家へ」と「ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜」でキャバクラでアルバイトしているOLと整形外科医を演じ、夏ドラマ「リスクの神様」では左遷されるエリート社員、今季もコレと「サイレーン」の刑事役をかけもちである。
まあ・・・汚れ役でも地味な役でも・・・美人でもブスでもできるという・・・ミステリアスなポジションを確保しているわけである。
まあ・・・映画「モスラ」(1996年)の妖精エリアス三姉妹の末っ子ロラだからな・・・。
で、『コウノドリ・第4回』(TBSテレビ20151106PM10~)原作・鈴ノ木ユウ、脚本・山本むつみ、演出・金子文紀を見た。ペルソナ総合医療センターには産科と新生児科の両方が組み合わされた周産期母子医療センターが設置されている。産科には母体胎児集中治療室(MFICU)があり、新生児科には新生児集中治療室(NICU)がある。鴻鳥サクラ(綾野剛)や四宮春樹(星野源)そして後期研修医の下屋加江(松岡茉優)は産科に所属し、新しいメンバーである新井恵美(山口紗弥加)は新生児科に所属する。出産で任務を終える産科から「未熟児」を受け取る新生児科は過酷な任務を引き継ぐことになるのだ。生と死の交錯する医療現場では・・・未熟であることは大いなるリスクなのだから。
天空の女王であるヘラの神殿に仕える巫女がいた。
巫女には二人の自慢の息子があり、彼らは母親に忠孝を尽くした。
母親はヘラに彼らの幸福を願う。
するとヘラはたちまち、それに答えた。
二人の息子は安らかに永遠の眠りについたのである。
「死」こそは最高の神の贈り物なのだ。
待合室で産気づき、破水した妊婦に気がついた下屋はその場で出産させることを決断する。
助産師の角田真弓(清野菜名)とともに出産を成功させる下屋。
そこに新生児科に赴任してきた新井が現れる。
新井は手際よく新生児を診断する。
産科から新生児科へオーソドックスな命のリレーが行われる。
サクラやベテラン助産師の小松(吉田羊)は下屋の成長を賞賛する。
下屋は少し調子に乗るのだった。
そこへ・・・前日に定期検診を受けて「痛みとお腹の張り」を訴えたが担当医の下屋が「特に問題はない」と診断した妊婦・田中陽子(河井青葉)が夫の淳(和田正人)とともにやってくる。
陽子は切迫流産で破水し、危険な状態にあった。
「昨日・・・何も問題はないと・・・おっしゃってましたよね」
「・・・」
下屋は夫婦の問いかけに絶句する。
サクラは下屋に代わり答える。
「切迫流産は事前に予見することは難しいのです・・・発生してからの対応になります」
「赤ちゃんは・・・大丈夫なんですか」
「21週と1日での出産では・・・早すぎて・・・赤ちゃんの生存は絶望的です」
「そんな・・・」
「24週まで・・・安静にして妊娠状態を継続できれば・・・出産後の赤ちゃんの生存率は50%に高まります。ただし・・・この場合も障害の残る可能性は否定できません」
「嘘だ・・・そんな・・・嘘だって言ってください」
「嘘ではありません・・・安静のために入院していただくとしても・・・歩行禁止で食事も排泄もベッドの上でということになり・・・感染病予防の薬剤の投与などの副作用でかなり苦痛を伴うことがあります」
「・・・」
「法的に人工流産の認められるのは21週6日までですので・・・数日の間に・・・決断していただくしか・・・」
「決断って・・・そんなこと決められません」と父親は叫ぶ。
「私たち医者は生まれてくる赤ちゃんの人生を背負うことはできないのです。しかし・・・選択された結果について全力でサポートします」
「・・・そんな・・・結婚して十年・・・ようやく授かった子供なのに・・・」
選択肢ⓐ 胎児をあきらめる
選択肢ⓑ 安静にして障害児になる可能性のある胎児の妊娠を継続
妊婦の田中陽子は取り乱した。
「私の赤ちゃん・・・かわいそう」
「そう思ったら・・・じっとして・・・安静にしてなきゃ・・・子供がかわいそうだろう」
下屋はうつむいた。
四宮は厳しい言葉を投げかける。
「お前は自分が失敗していない証拠を見つけたいのか・・・それが今やる仕事か」
小松は励ます。
「四宮先生の言い方はアレだけど・・・言ってることは間違ってないよ」
「私・・・ちゃんと説明できなくて・・・一番厳しい説明を鴻鳥先生に・・・」
サクラは・・・夫婦の決断を待っていた。
妊娠を継続してほしい・・・しかし・・・それを口にすることはできない。
給湯器からお湯があふれズボンを濡らしても気がつかないほどの放心・・・。
「熱・・・」
そこへ・・・妊婦の夫がやってくる。
「鴻鳥先生・・・何があっても構いません・・・私は子供に出来る限りのことはしてやりたい」
「・・・わかりました・・・全力を尽くします」
選択肢ⓑが選ばれた・・・。
下屋は「死」が遠のいたことに安堵して顔をあげる。
産科と新生児科のカンファレンス(会議)・・・。
「前日の問診で患者が痛みを訴えたのに・・・危機意識はなかったの」
新井は容赦ない言葉を下屋に浴びせる。
「問題ないと・・・思いました」
「思いましたって・・・それはあなたの感想・・・それとも医師としての判断なの」
「・・・」
下屋に好意を寄せている研修医の白川(坂口健太郎)は噂を思い出す。
「新井先生・・・鉄の女とか・・・鉄仮面って呼ばれているらしい・・・」
四宮は両親の意志を危ぶむ。
「両親の覚悟は大丈夫なのか」
「父親の淳さんは・・・胎児に大きな愛情を抱いていると感じました」
「また・・・あなたの直感の話なの・・・」
「・・・」
「しかし・・・選ぶのは医師ではない」とサクラはフォローする。
「まあ・・・四宮先生の危惧はわかるよ・・・実際、出産後・・・胎児の未熟さに・・・逃げ出す親もいるから・・・」
新生児科のリーダー今橋(大森南朋)は仲をとりもつのだった。
野崎隆太という男に・・・「今夜は当直なので・・・デートできない」というメールを送る新井。
救急救命科の加瀬医師(平山祐介)はアイスクリームを食べる。
「アイスを愛す・・・なんちゃって」と麻酔科の船越医師(豊本明長)は緊張感をマラソン・スタイルで和らげた。
24週を目指して安静を続ける田中陽子・・・。
夫の淳は妻を励ますために・・・結婚を反対されたために・・・十年間音信不通だった陽子の両親に連絡をとる。
「なんで・・・もっと早く連絡しなかったの・・・」
娘の身を案じる両親の涙に・・・陽子の闘志は燃えあがるのだった。
しかし・・・妊娠24週を目前にして・・・陽子の陣痛が始る。
「先生・・・カイザーしかありません」
下屋はピアニスト・ベイビーとして開演寸前のサクラに連絡する。
「その選択は・・・誰がしたんだ・・・子宮はまだ小さいし・・・カイザーは母体にかなりの負担になるぞ・・・」
「でも・・・カイザーしない・・・通常分娩では赤ちゃんが助かりません・・・」
「選択するのは医師ではない・・・状況を正しく説明するのが仕事だろう」
「・・・」
下屋は説明した。
ⓐカイザー(帝王切開) 母体に負担がかかる
ⓑ通常分娩(流産) 胎児をあきらめる
「先生は・・・どう、思いますか・・・医者じゃなくて・・・人間として・・・女として」
「私は・・・お母さんも・・・赤ちゃんも助けたいです」
「私も赤ちゃんを助けたい・・・お願いします・・・赤ちゃんを助けて」
「・・・はい」
ⓐが選ばれた。
すでに・・・サクラはスタンバイしていた。
ドラマなので・・・いや・・・サクラが名医なので見事に胎児は取り出される。
「おめでとうございます・・・男の子です」
しかし・・・胎児のあまりの未熟さに下屋は恐怖を感じる。
「ちっちゃい・・・」
たとえ・・・420~450gの未熟児でも男子にそのセリフは禁句である。
新井は新生児を受け取ると冷静に処置を行う。
「早い・・・」
白川研修医は思わずつぶやく。
女子には言ってもいいセリフだった。
新生児集中治療室 (NICU)に搬送される未熟児・・・。
父親になった淳は・・・慄きながら・・・我が子を見た。
「私にできることはありませんか」
「そっと触れてあげてください・・・赤ちゃんはお父さんが来たのを喜びます」
今橋は囁く。
淳は息子の大地に触れた。
「あったけえ・・・」
今橋は微笑んだ。
下屋は暗闇の中にいた。
「こんなところにいたのか」
「あんなに・・・小さいなんて・・・」
「赤ちゃん・・・元気だったぞ」
「私・・・こわくなってしまいました」
「俺だってこわいさ・・・でも・・・できることは二つしかない」
「・・・」
「逃げ出すか・・・立ち向かうかだ・・・」
サクラはホットコーヒーを下屋の手に置いた。
「熱・・・」
淳は陽子の車椅子を押した。
「いいか・・・泣くんじゃねえぞ・・・母親が泣いたら・・・大地が悲しむぞ」
「・・・」
母親は息子に触れた。
「哀しくて泣いてるんじゃないのよ・・・嬉しくて泣いてるの」
「そうか」
母親は下屋を振り返った。
「赤ちゃんを産ませてくれて・・・ありがとうございました」
「・・・」
下屋は深く頭を下げた・・・。
新井は微笑んだ。
その子には厳しい運命が待っているのかもしれない。
しかし・・・基本的に厳しくない人生はないのである。
そうとでも考えないとやってられないのが人生というものなのだ。
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