認めたくないものだな・・・自分が無能だということを(松坂桃李)二人の恋は終わったのね(木村文乃)計画通り(菜々緒)
究極の美男美女の刑事である。
テレビ朝日なら警視庁機動捜査隊所属のカップルでコンビの二人が・・・初動捜査のみという任務の枠を越えて事件を解決してしまう一話完結のシリーズに軽々と仕立て上げるところだ・・・まあ・・・面白いかどうかは別として。
しかし・・・関西テレビの場合・・・魔性のシリアルキラーを軸にして翻弄される二人をねっとりと描くわけである。
魔性がどうしても魅力的に描かれるし、翻弄される刑事たちは恰好悪かったり、間抜けだったりするわけである。
殺害現場がはっきりと描かれているのは変態のタクシー運転手、主婦、ネイルサロン勤務の整形女だけだが・・・売春少女は意識不明、整形外科医は消息不明・・・その他にベテランキャバクラ嬢やおそらく酒場店員も魔性の女の餌食になっている。
シリアルキラーがなぜ殺すのかの動機も解明されないまま死体の山が築かれる・・・。
一年で五人殺しているとすると八年で四十人くらい殺しているわけである。
猟奇的な物語としては非常に面白いのだが・・・平和を愛するお茶の間にストレスたまっちゃうんじゃないか。
必殺仕掛人なら・・・スカッと殺すのに・・・シリアルキラーは殺したいから殺すだけだからな。
できれば・・・ヒロインも主人公も無意味に殺されてシリアルキラーがひっそりと闇に消えて行く展開が見たいが・・・まあ・・・それはさすがにやらないんじゃないか。
で、『サイレーン刑事×彼女×完全悪女・第6回』(フジテレビ20151124PM10~)原作・山崎紗也夏、脚本・佐藤嗣麻子、演出・浜弘大を見た。この日、日本のH-IIA ロケット29号はカナダテレサット社の通信放送衛星を積載して天空へ上昇した。6号の失敗から23回連続の打ち上げ成功である。一方、ロシアの戦闘爆撃機Су-24(スホーイ24)はトルコ空軍の戦闘攻撃機F-16ファイティングファルコンに撃墜された。空戦はトルコ・シリアの国境付近で行われ・・・シリアの反体制派はパラシュート降下したロシア兵を殺害した可能性がある。イスラム・カリフによる世界征服を目論む一派の野望は全世界を混乱に巻き込んでいる。もちろん・・・空飛ぶ機械たちにはいかなる責任もないのである。
人間もまた本来・・・いかなる法にも支配されない。
しかし・・・人間はまた・・・あらゆる法で人を裁こうと考えるのだ。
これは・・・魔性のシリアルキラー・橘カラ(菜々緒)をめぐる物語である。
超人的な知力と体力を持つカラに普通の人々はたやすく屈する。
警視庁機動捜査隊員・猪熊夕貴(木村文乃)の正義の心に魅了され彼女を殺す決意をしたカラ・・・はたして、猪熊のパートナーである犯罪オタクの警察官・里見偲(松坂桃李)は・・・カラからの魔手から猪熊を守護できるのか・・・もはやそれはかなり難しい感じになってきました・・・。
猪熊の生命はいよいよ消滅寸前である。
カラは破壊者として人間を壊す。好奇心で友人を殺してみる女生徒のように・・・。それは多くの人間にとって理解が困難な現象である。しかし・・・人間は人間のことをそれほど知っているわけではない。
移民として・・・あるいは異教徒として差別されて生きていると信じる歪んだ若者と・・・国会前で反政府活動をする若者は全く違う存在だと考える人間もいるが・・・そう思わない人間もいる。沖縄県人である前に日本人であるべきなのか・・・日本人である前に沖縄県人であるべきなのか・・・答えが風に吹かれているのと同じだ。
食後のコーヒーを飲むように殺人を行うカラの内部に潜むメカニズムはまだ描かれない。
ただ・・・里見だけが・・・カラの存在に危機を抱いている。
しかし・・・その危機感の正体である邪悪な地獄の炎を消火する能力が里見に備わっているのかどうかは不明である。
里見はカラの正体に肉薄しているつもりで・・・ただカラの掌で踊っている存在である。
恋人である猪熊に明かすことができないほどの違法を積み重ね・・・カラの住居に不法侵入までしながら・・・カラの犯した犯罪についての証拠を何一つ掴めない里見。
地道な捜査を積み重ね・・・殺されたカラの恋人・高槻とおる(長澤航也)の存在に気がついた猪熊。
売春婦のレナ(入山杏奈)にキャバクラへの潜入捜査を依頼し、常連客の前川(石井正則)の昔話からとおるの存在にたどりついた里見。
本来、二人が正規の捜査協力をしていれば・・・情報の共有により・・・捜査は深まる可能性があった。
しかし・・・里見のカラへの疑いは・・・理由なき直感を根拠としている。
そして・・・猪熊の捜査は・・・里見への不信を払拭するためのものであった。
猪熊が疑っているのは・・・カラではなく・・・里見だったのである。
それも・・・里見の犯罪の関与ではなく・・・「浮気」を含む女性関係なのだ。
カラは・・・すれちがう里見と猪熊の会話を盗聴していた。
里見を応援する人々は・・・そうじゃないと叫ぶ。
猪熊を応援する人々は・・・里見のバカと叫ぶ。
カラを応援する人々はうっとりするのだった。
(里見は・・・私に近付いている)
カラの心の声はお茶の間にサービスされる。
(なぜ・・・あの事件を・・・私に結び付けた)
(常連客が・・・過去の話を)
(その話を誰かが里見に教えた)
(私の周囲にスパイがいる)
カラは思い浮かべる・・・口の軽い前川の顔。
カラは思い浮かべる・・・最近、店に入ってきたレナの顔。
(なぜ・・・私の住所が里見にわかったのか)
カラは思い浮かべる・・・月本の関係者を・・・。
(誰かに・・・里見を見張らせたい)
カラは思い浮かべる孤独な資産家の渡公平(光石研)の顔を・・・。
その男は背後にいた。
カラは公平を煽る。
「男につきまとわれています」
「え」
カラは里見の写真を見せる。
「この男です」
「警察に行こう」
「この男は警察官です」
「なんだって・・・」
「あなたに迷惑がかかるといけないので・・・お話をしておこうと思って」
「警察官が・・・善人とは限らないからなあ・・・」
「とにかく・・・この男を見かけても関わり合いにならないでください」
「・・・」
「あなたのことが・・・心配ですから」
カラは公平をあすなろ抱きでしとめるのだった。
公平は早速・・・桜中央署の生活安全課に相談に出向く。
応対したのは千歳弘子(山口紗弥加)だった。
「恋人が男につきまとわれているんだ」
「本人に事情を伺わないと・・・」
「驚くなよ・・・ストーカーは警察官だ」
「・・・なにか証拠でも・・・」
「彼女がそう言っているんだ」
「本人を連れてきていただけないでしょうか」
「彼女は怖がっているんだよ・・・もういい」
しかし・・・隣接したビルに住んでいる里見は公平にとってご近所中のご近所さんであり・・・公平はすぐに・・・里見と遭遇する。
里見はレナとアイ(佐野ひなこ)と密会中のところを公平に盗撮されてしまう。
「あの男・・・複数の女と交際しているみたいだ・・・」
「危険なので関わらないでください・・・」
「君のためなら・・・何でもするさ・・・」
カラはレナが里見のスパイであることを確認した。
カラは・・・潮時を感じる。
猪熊は・・・もうカラの手中にあった。
「誰も・・・あなたに話を聞きにこなかったのですか」
猪熊は当時の捜査員が被害者の恋人であるカラの存在に気がつかなかったことに憤慨していた。
「ええ・・・犯人は捕まらなかったし・・・私・・・警察を信用できないと思っていた時期もありました・・・それで・・・私自身が・・・犯人を捜そうと決意したことも・・・」
「え・・・」
「その時の資料が・・・私の別荘に・・・保管してあります・・・それを見ていただきたいのですが・・・これは誰にも内緒にしてもらいたいのです・・・恋人の里見さんにも・・・秘密にしてもらえますか」
「わかった・・・約束します」
「え・・・猪熊が捜査一課に・・・」
猪熊の転任をチビデカこと速水翔刑事(北山宏光)から聞かされ・・・刑事課長・安藤実(船越英一郎)に確認する里見。
「本人が・・・承諾しないので困っている・・・お前・・・何か知らないか」
「わかりません」
猪熊は同棲状態を解除し・・・仕事のパートナーは見習いの三宅巡査(高田翔)に交代。
それでも里見は・・・自分が絶縁されかかっているとは思わない。
自分の性的魅力に絶対の自信があるらしい。
ついに猪熊を呼び出し・・・食事を共にすることができた里見。
これが・・・最期の晩餐になるとは・・・里見には予想もつかない。
「話って・・・」
「捜査一課に出世するんだろう・・・約束通り・・・結婚しよう・・・今度の非番に指輪を見に行かないか・・・」
「今度の非番は・・・母と温泉に行くの」
「そう・・・それで・・・あれから・・・カラに会ったのか」
「・・・いいえ」
「彼女には気をつけろ・・・」
「彼女は被害者よ」
「君には何も見えていない・・・」
「あなたには何が見えているの・・・」
「それは・・・」
決裂する二人だった。
もちろん・・・カラはすべてを盗み聞く・・・。
そして・・・微笑んだ。
カラはレナの携帯電話を盗んでいた。
カラはレナになりすまし・・・ホテルの一室に里見を呼び出した。
そして・・・情報提供者として懇意となったチビデカに・・・男に付きまとわれているというメールを送る。
ホテルに到着した里見は鍵の掛かっていない部屋に侵入する。
背後から里見を襲うカラ・・・。
しかし・・・明らかに手加減をしているのだった。
カラの目的は・・・里見の携帯電話だった。
里見は携帯電話をすり取られたことにも気がつかない。
「ついに・・・正体を・・・」
しかし・・・カラは自分の顔を自分で殴り、衣服を引き裂く。
明らかな狂言の開始に・・・気がつかず驚愕する里見。
「助けて・・・」
「おい・・・やめろ」
思わずカラの口を塞いだところに・・・チビデカと猪熊が到着するのだった。
「婦女暴行の現行犯だぞ・・・しかし・・・警察にも体面があるから・・・署までご同行願いましょうか」
「違う・・・これは・・・その女が・・・」
「最低・・・」
猪熊に睨まれ沈黙する里見だった。
里見は漸く・・・自分がまずい立場に置かれていることを悟った。
「女から・・・電話で呼び出された・・・俺は何もやっていない」
「携帯電話はどこだ・・・」
「あの女に盗まれた・・・」
「いつ・・・」
「あの部屋で・・・」
「お前・・・携帯電話を盗まれて気がつかなかったのか・・・それでも刑事か」
「・・・」
しかし・・・カラは訴えなかった。
「あの女に感謝するんだな」
「俺は無罪だ」
「お前は自宅謹慎だよ・・・刑事としては・・・もう終わりだ」
「猪熊さん・・・」
「気安く声をかけないで・・・私たち・・・終わったのよ」
「・・・」
刑事失格の烙印を押された里見。
恋人に見放された里見。
すべてはカラの仕組んだ罠であるが・・・それを知っているのは里見だけなのだ。
しかし、里見は・・・自分が敗北したことを・・・認めることができない。
「くそ・・・必ず・・・お前の化けの皮を・・・」
少なくとも・・・里見にだけは・・・カラは本性を見せたのだった。
それは一種のご褒美だったのだろう・・・。
女王様が奴隷に与える種類の・・・。
猪熊は両親に・・・「捜査一課に転任すること」を報告した。
「お父さん・・・私・・・彼と別れたの」
「そうか・・・」
養父である文一(大杉漣)は複雑な表情を浮かべる。
里見は・・・唯一の手掛かりである前川に接触する。
得られた手掛かりはただ一つ・・・とある甲子園の出場高校の校名にカラが不快感を示したということだけ・・・。
そういう記憶を持っている前川のカラへの執着心の方が・・・恐ろしい感じである。
里見のカラへ続く道は果てしなく遠い。
その頃・・・猪熊は・・・カラに案内されて・・・人里離れた公平の別荘へ到着していた。
「この家・・・今・・・人の気配が・・・したような」
「おどかさないでくださいよ・・・」
「ごめん・・・」
「あ・・・下・・・」
「え」
カラに誘導されてうつむいた猪熊の後頭部を容赦なく鈍器で殴打するカラだった。
猪熊は響き渡るサイレーンの叫びを聞いた。
絶体絶命とは・・・このことなのだ。
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