出血が止まらない!(綾野剛)安産祈願ワンコ頼み!(松岡茉優)おしん!(小林綾子)
14才の母の次は43才の母である。
今回も豪華ゲスト続々だが・・・なんちゃっても続々である。
そもそも後期研修医の下屋を演じる松岡茉優(20)だからな・・・。
43才の妊婦を演じる森口瑤子(49)で・・・38才の不妊治療中の女性編集者を演じる西田尚美(43)なのである。
しかし・・・冒頭で子宮破裂により死産する43才の患者を演じるのは小林綾子(43)だ・・・。
清々しいね・・・。
「おしん」から・・・32年か・・・。
で、『コウノドリ・第6回』(TBSテレビ20151120PM10~)原作・鈴ノ木ユウ、脚本・山本むつみ、演出・加藤尚樹を見た。男女雇用機会均等法が施行され、男女が平等でない国家として指摘され、晩婚化で少子化が進む・・・個人がそれぞれの幸せを追いかける夢の国・ジャパン・・・それでも人々は生きて行く。そしてまだまだ不満があるのだ。偏向報道で名を馳せた「NEWS23」のメインキャスター膳場貴子(40)も産休に突入するのだった。半日的愛国心とでも呼ぶべき心根の疑似リベラルの人たちもいい加減にしてほしい。
周産期母子医療センターが設置されているペルソナ総合医療センターに緊急搬送されてくる妊婦・佐野真理子(小林綾子)・・・。
産科医・鴻鳥サクラ(綾野剛)や四宮春樹(星野源)・・・そして後期研修医の下屋加江(松岡茉優)は蒼ざめる。
「チアノーゼだ」
「腹が固い・・・大量に出血してる・・・」
「カイザーだ」
「新生児科と救急救命科にも応援要請・・・」
しかし・・・医師たちの奮闘虚しく・・・子宮破裂のために死産となり・・・辛うじて母体は命をとりとめる。
救急救命科の加瀬医師(平山祐介)は放心した表情を浮かべる。
「43才か・・・十年前に産んでおけばよかったのにな・・・」
どことなく差別的な発言に激昂する下屋。
「産みたい時に産めない事情だって・・・女にはあるんです・・・エイジハラスメンナトの上にマタニティーハラスメントですよ」
「女医だって・・・産休したら復帰が難しい場合もあるしね・・・」
珍しく下屋の味方をする新生児科の新井医師(山口紗弥加)だった。
女性軍の攻撃に無条件降伏する加瀬・・・。悪気はないのである。ただ・・・命を救えなかった愚痴が漏れただけだ。
もう少し・・・若ければ患者の子宮は破裂しなかったかもしれないのだから・・・。
サクラと四宮は沈黙を守った触らぬ神にたたりなしなのである。
人それぞれに人生がある。
妊娠三十六週の妻・永井晴美(川村ゆきえ)を交通事故で失った永井浩之(小栗旬)は残された新生児・メイを男手ひとつで育てていた。
育児と仕事の両立は辛い。保育園にお迎えに行った後で・・・乳児とともに会社に戻り残業する浩之なのである。
38才から不妊治療を始め五年目で懐妊した竹下敦子(森口瑤子)は臨月に達していた。
「この子に早く会いたい・・・ようやく会えると思うとうれしいです」
検診でサクラに語る敦子だった。
「高年齢による出産はリスクがあります・・・少し、尿に蛋白も出ていますので様子を見るために・・・少し早めに入院することをお奨めします」
「赤ちゃんに何か・・・」
「いえ・・・今のところ・・・問題はありません・・・予防的な入院とお考えください」
「やはり・・・高年齢であるのはまずいんでしょうか」
「そんなことはありません・・・統計的にも高年齢のお母さんから生まれたお子さんは情緒が安定しているという説もあるくらいです」
そこへ・・・夫の真一(山本浩司)がやってくる。
「子育ては出産してからが本番です・・・支えてくれるご主人と一緒なら大丈夫ですよ」
真一は入手が困難な安産祈願のアイテムを持参した。
「かわいい」と下屋は犬のマスコットに少女のように目を輝かせるのだった。
二十代の妊婦(大西礼芳)は四宮の診察を受けていた。
「今度・・・凄い番組がスタートすることになるんで・・・今回の出産はあきらめようかなと思っています」
「中絶を希望するということですか」
「そうなんです・・・この番組を成功させたいんです・・・今回、あきらめても・・・来年か、さ来年か・・・また妊娠できますよね」
「それは占い師にでも聞いてください」
「え」
「いいですか・・・卵子はあなたが生まれた時から増えません・・・つまり、あなたが老化するように老化していきます・・・今年より、来年、来年よりさ来年と妊娠しにくくなっていきます・・・次に妊娠するかどうかは医師にはなんとも言えません」
「・・・」
「で・・・いつにしますか」
「はあ」
「中絶の日取りです」
「・・・少し考えさせてください」
ある意味、脅迫である。
竹下夫妻が通った不妊治療外来に・・・人工授精の成否を確かめるために相沢美雪(西田尚美)がやってくる。
「残念ですが・・・」
今回も妊娠しなかったことを告げる不妊治療の専門医・岸田秀典(高橋洋)・・・。
「そろそろ・・・体外受精を考える時期かもしれません・・・」
「人工授精と・・・どう違うのですか」
「人工授精の場合・・・選抜した精子を子宮に送りこみますが・・・体外受精は・・・受精卵を子宮に戻します」
「なんだか・・・不自然ですよね」
「生命の誕生は・・・いつでも自然なものです」
「成功率は・・・」
「38才の場合・・・統計的には30%・・・三~四回で妊娠することになります。四十代では10%・・・つまり十回に一回という成功率です」
「・・・」
美雪の気持ちは沈む・・・。
メイが発熱していることに気がつかず仕事に熱中していた永井浩之はあわててサクラを訪ねる。
新生児科の今橋医師(大森南朋)が診断し容体を告げる。
「大丈夫ですよ・・・出産後半年くらいには・・・こういう発熱があるものです」
「本当ですか」
「メイちゃんも・・・生きるために・・・細菌と戦い始めているということです・・・しばらく様子を見て落ち着いたら帰宅できますよ」
「すみません・・・夜分におしかけて・・・」
「いいえ・・・仕事ですから・・・いつでもどうぞ」
サクラは孤軍奮闘する父親に話しかける。
「無理をしないでくださいね」
「こんなことでは・・・亡き妻にしかられてしまいます・・・」
「いいえ・・・母親だって・・・こうやって夜中にかけこんでくるものですよ・・・」
「・・・」
「あなたは・・・とてもよくやっています」
「・・・だって・・・この子はすごく可愛いんです・・・亡き妻にも抱かせてやりたかったなあ・・・」
「・・・」
竹下夫人の入院についてのカンファレンス。
高年齢出産によるリスクに神経が高ぶる新生児科の研修医・白川(坂口健太郎)・・・。
「こうなると不妊治療も考えものですよね・・・不妊治療は妊娠したら終わり、産科は出産したら終わりでしょうけど・・・新生児科にすべて押しつけられても・・・」
顔色が変わる下屋。
しかし・・・指導医の今橋が若者を窘める。
「それは・・・ちがうよ・・・周産期母子医療センターはひとつのチームなんだ・・・それぞれが連携して・・・お母さんと赤ちゃんの命を守っているんだよ」
「・・・」
「今回の入院はあくまで・・・予防的処置ですから・・・」
しかし・・・竹下夫人には妊娠中毒症の症状が現れる。
カイザーを決断するサクラ・・・。
見守る安産祈願のお守り・・・。
「おめでとうこざいます・・・女の子ですよ」
しかし・・・母体の出血が止まらない事態となる。
緊迫する産科チーム。
「止まらない・・・」
「全身麻酔に切り替えます」とマラソンのトレーニング中に転倒して指を剥離骨折中の麻酔科医・船越(豊本明長)が宣言する。
「止まらない・・・」
サクラは動揺する。
「落ちつけ・・・大丈夫だ」
四宮はサクラを励ます。
「止まらない」
「まだ・・・手はある・・・母体を助けろ・・・赤ちゃんにあわせてやれ」
「・・・子宮を摘出する」
「それしかない・・・」
サクラは決断した。
「血圧さがってます」
「どうした・・・船越」
「指が痛くてポンピングが・・・」
「死ぬ気で押し込めっ」
「コントをやってる場合じゃない」
「呼んだ・・・」
加勢医師の到着で・・・竹下夫人は一命をとりとめた・・・。
竹下夫妻は愛児と対面し・・・喜びにあふれる。
不妊治療をした岸田医師・・・産科のサクラ・・・新生児科の今橋は肩をならべて奇跡の光景を見守る。
「あの笑顔をみたくて・・・俺たちは・・・頑張るんだよな」
「ええ・・・」
「・・・」
大澤院長(浅野和之)は助産師の小松留美子(吉田羊)にうっかり口を滑らせる。
「子宮摘出か・・・まあ・・・子供は授かったんだから・・・お役御免だな」
「院長の睾丸も摘出しましょうか」
「私の精子はまだまだ元気だ」
相沢美雪の職場では45才の編集者が妊娠したことで盛り上がる。
「まったく・・・妊娠出産するなら・・・やめればいいのに」と毒づく男性社員。
「それ・・・マタハラよ」と嗜める女性社員。
美雪の心は乱れる。
失態をさらした船越を責める加瀬。
「アイスでも奢れよ・・・研修医、お前もチャーシューメンでも奢ってもらえ」
「チャーシューメンよりタンタンメンがいいです」
なんだかんだで女子会である。
「今さら結婚とか出産なんてねえ」と小松は医療ソーシャルワーカーの向井祥子(江口のりこ)に同意を求める。
「そうですねえ・・・結婚は十年前にしてますし」
「え・・・」
「子供は三人産みましたし」
「え・・・仲間だと思ってたのに・・・」
「仲間じゃないですね」
「同志だと」
「同志でもありません」
「味方じゃ」
「味方もしませんねえ・・・」
人にはそれぞれの人生があるのだった。
ベイビーは今日も喜びの調べを奏でる・・・。
偶然・・・手に入れたチケットでライブ会場にやってきた美雪・・・。
ベイビーの演奏は・・・何故か美雪の心を揺さぶる・・・。
やがて消えゆくものの・・・魂の孤独・・・。
それは頬を伝う涙・・・。
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