西郷もいいかげんにしないか・・・明治十年西南戦争(東山紀之)
国家の話である。
国家が生まれて十年・・・。
その形は未だ定まらず・・・蠢動はおさまらない。
明治維新を成し遂げたものたちは・・・それぞれの志によって・・・袂を分かって行く。
議会を作らなければならない・・・木戸孝允は夢を見て一度は捨てた参議の席に戻った。
鉄道を作らなければならない。伊藤博文は工部卿として鉄道建設を推進しようとした。
国民を教育しなければならない。明治五年(1852年)に「学制」が発せられ、明治十年(1877年)には「教育令」発布の準備が始る。
中央直轄か地方自治か・・・教育方法をめぐり・・・方針は二転三転する。
この時代・・・教育は未だ無償では受けられない。
諸々の新政府の事業をすべて停止させる一大事。
それが陸軍大将・西郷隆盛による反乱である。
西郷は「私学校」と言う名の「士族専門軍事学校」を創立し・・・結果として反乱を招く。
陸軍中将・山縣有朋は鹿児島県逆徒征討軍を・・・実質的に率いる司令官となった。
最期の内戦の勃発に・・・心ある人々は涙した。
で、『花燃ゆ・第44回』(NHK総合20151101PM8~)脚本・小松江里子、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は年末年賀状体制発動のためにイラスト描き下ろしはお休みです。あくまでマイペースでお願いします。
「本日お届けするのはおなじみの杉文あらためまして久坂美和でございます」
「うわあ」
「なんと今回は特別に前回に続いて楫取素彦の抱擁をセットでお届けします」
「きゃああ」
「とにかく名高い吉田松陰の妹の美和ですので・・・あの毛利家夫人の安子様、さらには木戸家夫人の松子様、身分の上下を問わず絶賛の嵐です」
「すごおい」
「政府の命令で学制を整えなければならない県令一家が出費を惜しむ地元の人々をゴリ押しで説得してしまう豪華特典つき」
「さすがだわあ」
「そして・・・有名な西南戦争もちょっぴりサービス」
「へ~え~」
「初恋の人と結ばれるための用意も着々と進み、正妻自らが身を引いて行くというスムーズ展開」
「まあ」
「今回は回想シーンも出血大サービス」
「ふ~ん」
「その上受信料は据え置きです」
「やったわあ」
「どなた様もこのチャンスをお見逃しなく!」
こんな深夜の通販みたいな大河はある意味、珍しいと言えましょう。
明治九年(1876年)三月、松下村塾出身の野村靖が神奈川県権令(五等官)に任じられる。県令は海援隊出身で陸奥宗光の妹婿・中島信行。野村は明治11年(1878年)に県令(四等官)に出世する。明治五年発布の「学制」により、国民皆学を目指したが費用負担を国民に課したためにまったく浸透しなかった。このために「教育令」による改革が叫ばれる。しかし、費用負担を国民に課す姿勢は変わらず、結局、国民の自主性に頼る他はなかったのが実情である。それでも向学心に燃える一部の人々によって国民教育は徐々に浸透していく。明治二年(1869年)に東京~京都を結ぶ中山道幹線鉄道建設計画が新政府によって計画されるが実現は困難なものとなる。工部卿・伊藤博文は民間事業への委託を模索し、半官半民の会社「日本鉄道」が設立されることとなる。結局、上野~前橋が開通するのは明治十七年(1884年)のこととなる。越前松平氏の旧前橋藩と大河内松平氏の旧高崎藩は利根川をはさんで前橋城と高崎城が隣接する宿敵同志である。県庁所在地をめぐって誘致合戦が行われるが生糸の輸出で財を成していた前橋が金五万円を捻出し高崎にあった県庁を移転させることに成功するのだった。
伊藤佐助とともに美和は銀座の街を歩いていた。
旧主の夫人である毛利安子に頼まれて木村屋であんパンを購入したのである。
一昨年の春、花見の際に山岡鉄舟が明治天皇に献上し、それ以来宮内省御用達となっている。東京名物であった。
佐助は小柄だが・・・忍びとして膂力がある。
風呂敷包み一杯の土産の品を軽々と担いでいる。
「いい香りが背中から漂ってつばがとまりませぬ」
「だらしがないの」
美和は微笑んだ。
三十路も半ばにさしかかった美和は洋装である。
美和と佐助は皇居を右に見ながら麻布へと歩いて行く。
あんパンの届け先は和宮屋敷だった。
毛利元徳が御用銀行の頭取に就任した祝いの品が和宮から寄せられ、その返礼としてあんパンを贈ることを決めたのは安子だった。
「あんパンですか・・・」
「和宮様は・・・大の甘党じゃそうな」
「なるほど・・・」
「私も食してみたが・・・大層美味であったぞ」
「まあ・・・」
和宮屋敷は元の八戸藩屋敷である。
薩摩藩から南部藩へ養子に出た藩主・南部信順はすでに他界している。
麻布の森に囲まれた和宮屋敷の手前で佐助がつぶやいた。
「これは・・・」
「うむ・・・結構な数の忍びが潜んでおるの・・・」
「さすがは・・・元の御台所様ですね・・・」
「そもそも・・・やんごとなきお方じゃ・・・孝明天皇の四鬼というしのびがお守りしていると言う噂がある」
「そいつは恐ろしゅうございますな」
「妙な悪戯心は無用じゃぞ」
「心得ております」
しかし・・・帰り道・・・佐助は森の中の術者に術比べを挑み・・・危うく命を落しかけるのだった。
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