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2015年11月13日 (金)

するとここは死後の世界なのかもしれない(神木隆之介)やはりあの世か(錦戸亮)富子ではありません(谷村美月)

天寿を全うすることは「運命」という意味ではすべての人間に訪れることだ。

しかし・・・生物学的な寿命による自然死と・・・不慮の死にはなんとなく違いがあるような気がする。

もちろん・・・自然死も・・・遺伝子と環境に左右され・・・一種の病死と言えるかもしれない。

一般的には「平均寿命」より早く死ねば・・・早世という感じがするし・・・老衰によって死ねば大往生な感じはするだろう。

とにかく・・・事故死とか・・・自殺・・・あるいは他殺・・・戦死など・・・特別な死との遭遇というものがあれば・・・「まだ生きられた感じ」は高まるものである。

そういう運命も含めて天寿という考え方もあるが・・・「もっと生きたかった悔い」のようなものが不慮の死には強いような気もする。

慶応元年に切腹した武市瑞山も、その二年後の慶応三年に暗殺された坂本龍馬も・・・肉体的にはまだ生きられた可能性がある。

この世界は・・・一種の地獄システムで・・・二人は残された寿命を消費するためにやってきたのかもしれない。

ちなみに・・・武市富子は大正六年・・・87歳で天寿を全うしている・・・。

もしも・・・富子が死後の世界に復活すると・・・武市瑞山にとっては・・・いろいろとアレなことに・・・。

まあ・・・ファンタジーだから・・・どんなシステムでも問題ないわけだが・・・。

で、『サムライせんせい・第3回』(テレビ朝日201511062315~)原作・黒江S介、脚本・黒岩勉、演出・木村ひさしを見た。(火)の「デザイナーベイビー」が最終回を迎えたので・・・どうしようかと考えているわけである。時系列的には・・・これが(火)へお引っ越しして(木)が谷間になるのがスムーズだが・・・(火)「サイレーン」(水)「サムライせんせい」という手もある。このままで(火)谷間というのもあり・・・迷う。そんなことで悩んで何の意味があるのか不明だが・・・人間というものは迷うものなのだ。・・・お前、悪魔だろう・・・。とにかく・・・武市半平太や坂本龍馬は・・・彷徨っているわけである。つまり・・・二人はきっと・・・幽霊なんだな。

過ぎ去った過去の知識の量も人それぞれである。

世の中には・・・坂本龍馬も武市半平太も知らない人も多い。

佐伯晴香(比嘉愛未)は・・・歴史的な登場人物として・・・二人の名前を知っていた。

しかも・・・知名度という点において・・・武市半平太と坂本龍馬に差異があることを晴香は認識している。

その差異は「大河ドラマ」の脇役と主役のような感じである。

つまり・・・福山雅治と大森南朋の・・・おいっ。

半平太(錦戸亮)と龍馬(神木隆之介)が佐伯家の庭で再会した夜・・・二人を見つめる晴香の顔はどこか・・・この世のものではない感じが漂っていた。

あれが照明のミスでないとしたら・・・この世はやはり・・・二人の死後の世界・・・つまり幻想に過ぎないのかもしれない・・・。

「そうですか・・・あなたは坂本龍馬さんだったのですか・・・」

学習塾の経営者・佐伯真人(森本レオ)は大変な人格者である。

「武市さんは・・・いつ、こっちに・・・」

「数日前じゃ・・・」

「そうか・・・じゃ・・・歴史のことは何も知らないんだ」

「なんじゃ・・・その言葉使いは・・・」

「勉強したんだよ・・・武市さんも現代語を覚えないと・・・」

「おまん・・・いつからこっちに・・・」

「一年前・・・」

「どうして・・・」

「武市さんが切腹した二年後に・・・暗殺されちゃって・・・」

「暗殺じゃと・・・一体誰に・・・」

「・・・まあ・・・それはおいおい」

龍馬暗殺の真相は歴史的に謎に包まれている。

「ちくと待て・・・なぜ・・・後から死んだお主が・・・先着しておるんじゃ」

「その辺は・・・アバウトなんじゃないかな・・・」

「あばうと?」

「龍馬・・・なんか・・・軽い・・・」と晴香は思わずつぶやく・・・。

「そうなんですよ・・・でも・・・僕は前からこんな感じで・・・みんなより有名になっててびっくりぽんです」

「有名・・・」

「うん・・・こっちの世界では・・・大殿(土佐藩主・山内容堂)より・・・僕の方がメジャーなんですよ・・・」

「めじゃあ・・・」

「武市さんや・・・中岡さん・・・長州の久坂さんなんか・・・あんなに真面目に頑張ってたのに・・・なんだか心苦しい感じなんですよ」

「・・・」

なんとなく・・・面白くない気がする半平太だった。

「ほら・・・桂浜に僕の銅像建ってます」

「・・・」

「そうだ・・・歴史の教科書・・・ありますか」

「歴史・・・」

「これまでの流れが大体書いてあります」

「・・・」

「こわいですか・・・ですよね・・・まあ・・・気が向いたら・・・読んでみてください。何しろ・・・百五十年・・・日本も世界も凄いことになってるんですよ・・・」

「百五十年か・・・」

半平太は旧知の龍馬に言われて・・・その事実に・・・うろたえた。

「だけど・・・二人ということになれば三人目もいるかもね」

「三人目・・・」

「そういえば・・・あの時代にいた人によく似ている人が一人いた」

「なに・・・誰じゃ・・・以蔵か?」

「いや・・・富子さん・・・」

「富子じゃと・・・」

「それは・・・武市さんの奥方様の・・・」

「さすがは佐伯先生・・・教養あるなあ・・・」

「どこにおるんじゃ・・・富子は」

「いや・・・他人の空似かもしれない・・・なにしろ・・・女優さんだから・・・」

「じょゆう・・・?」

「女役者さんだよ・・・三方有紗さんという・・・二時間ドラマの女王・・・」

「え・・・有紗さんなら・・・明日、ロケでこの村に来ますけど・・・」と晴香。

「なんじゃと・・・」

半平太は妄想する。

愛妻の富子と再会し・・・二人で泥蕎麦(ヤキソバ)を食す光景を・・・。

「あの美味さを・・・富子にも・・・喜ぶじゃろうなあ」

「は?」

翌朝・・・どうやら芸能人大好きらしい篠原理央(石田ニコル)や寅之助(藤井流星)に誘われてロケ現場にやってくる半平太。

半平太の丁髷に深い関心を抱き、半平太を「マゲマゲ」と呼ぶ赤城サチコ(黒島結菜)は登校中である。

ロケのアテンド(世話役)を務める神里村役場の小見山喜一課長(梶原善)と晴香は主演女優に挨拶に出向く。

有紗と相手役の「二時間ドラマの王子様」と呼ばれる俳優・相馬聖太郎(矢野聖人)は交際中という噂があるらしい。

小見山の推奨する「ハート型の白い蒟蒻に梅肉ソース、赤い蒟蒻に白味噌ソースのラブ田楽」を読者百万人のブログで紹介するという聖太郎。

「一緒に食べた恋人は結婚する」というあきらかにインチキな伝承に興味を示す有紗だった。

そこへ・・・半平太が乱入する。

「あなた・・・どなた・・・」

「富子・・・わしじゃ・・・」

幕末きっての愛妻家である半平太は・・・富子との運命の再会に我を忘れる。

しかし・・・有紗は・・・富子ではなかったらしい。

富子に抱きつこうとする半平太は村人一同に確保されるのだった。

「本人が違うと言ってるでしょう」と説教する晴香。

「この時代の仲間たちには・・・隠しているのかもしれん」と半平太。

「どうしたの・・・」と理央。

「有紗が自分の嫁だって」と寅之助。

「さすが・・・ペータ先輩」と感心する理央だった。

「湯煙探偵13・カニしゃぶ食べ放題殺人ツアー」の撮影が開始され・・・巨乳を封印したサービス度低めの入浴シーンに挑む女優・有紗。

ここは「たぶらかし」なみにアピールしてほしかったな・・・。

その・・・露天風呂の背後に落武者の亡霊が・・・。

半平太だった。

「きゃーっ」

捕縛されて佐伯家の納屋に監禁される半平太。

「違う・・・と言ってるでしょう」

「あれは・・・富子じゃ・・・」

「・・・」

「晴香殿はいくつになられた・・・」

「27ですけど・・・」

「それは・・・随分・・・生き遅れたな」

「え」

「わしは二十歳・・・富子は十九で嫁に来た。それから十余年・・・仲睦まじく暮らしてきたのじゃ・・・わしが見間違えることなどありえん・・・」

「富子さんは・・・本当に妻の鑑のようなお方でしたからねえ・・・武市さんが獄中にある時は・・・夫と同じように土間で寝起きを続けたとか・・・」と佐伯先生。

一途な夫婦の物語に途中参加のサチコは感動する。

交際相手の寅之助が・・・そういう感じではないからである。

一方・・・実際に聖太郎と交際中の有紗も・・・聖太郎の浮気に立腹していた。

どうやら・・・シリーズ最終回らしく・・・ドラマは意外な展開に・・・。

「君は彼がカニアレルギーだと知っていて・・・」

「そうよ・・・私が殺したの・・・」

そこへ・・・龍馬によって縄を解かれた半平太が乱入する。

龍馬の半平太を想うこと衆道の気配ありである。

「また・・・こいつか」と呆れるスタッフ一同。

しかし・・・複雑な心境の有紗はあえて半平太と行動を共にするのだった。

「やはり・・・富子じゃったか・・・」

「違うと言っているでしょう」

「ふふふ・・・富子・・・隠しても背中にはわししか知らぬ黒子があるのじゃろう」

「ないわよ・・・」

サービス控えめの首元をみせる有紗・・・。

そこには黒子はなかった。

「う・・・お前・・・何者じゃ」

「それはこっちのセリフよ・・・」

しかし・・・富子は車を運転し・・・半平太と現場を脱走する。

近くの観光牧場で「はじめてのソフトクリーム」を体験する半平太。

「冷たい・・・そして甘いのか・・・」

「その富子さんて言う人・・・あんたの奥さん?」

「理由あって・・・離れ離れになってしまったのでござる」

「理由ありか・・・」

「有紗殿は・・・あの王子とやらと夫婦の契りを交わしておるのか・・・」

「え」

下半身が節操ないらしい相馬聖太郎は学校の体育館に呼び出されるのだった。

「有紗殿を大切に思うなら・・・わしと勝負せい」

竹刀を渡す半平太。

半平太が剣の達人と知る佐伯姉妹は制止するが・・・聖太郎は半平太に打ちかかる。

無防備に面を撃たせる半平太。

これは・・・痛いぞ・・・富子への煩悩を断ちきるためか・・・半平太。

「見事じゃ・・・有紗殿はお返しいたす・・・末長く添い遂げられよ」

「え」

半平太の気迫に聖太郎は感応したらしい。

ドラマのクライマックス・・・。

「さあ・・・私を逮捕しなさいよ」

「あなたを・・・待っています・・・罪を償って・・・あなたが僕のところへ戻ってくる・・・その時を」

「え」

有紗を抱きしめる聖太郎・・・。

有紗の顔に喜びが浮かぶ・・・。

「監督・・・脚本と違いますけど・・・」

「いい・・・これでいい・・・リアルにまさる演技なしだ」

「・・・」

まあ・・・探偵が犯人じゃ・・・どうせ最終回だからな・・・。

龍馬は雑誌記者として・・・熱愛報道スクープをゲットしたのだった。

そして・・・マゲマゲこと半平太の男気に感動したサチコ・・・。

サチコは金髪のウイッグをとり・・・いつもの黒髪に戻るのだった。

ヤンキーではなく・・・お嬢様だったらしい・・・。

まあ・・・そうだろうとも・・・。

先生と生徒会長再びである。

そして・・・半平太は・・・妻のその後を佐伯先生から聞き・・・黙祷するのだった。

一人の男を愛し抜いた女がいた。

そして半平太が一人の女を愛し抜く男かどうかは・・・まだ不明である。

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