クリスマスイブの早出しである。
まあ・・・すでにクリスマス気分の季節で・・・ただし、キッド的にはスターウォーズ一色の気配が漂っている。
なにしろ・・・1983年の「スター・ウォーズジェダイの帰還」(エピソード6)の続きである。
「つづく」から32年って・・・どんだけ待たせるんだ・・・絶対死んだ奴がいるぞ。
そういう意味では一週間後に続きが見れる連続ドラマは良心的なシステムと言える。
「がんばれ・・・あと一週間で最終回だ・・・」
病床の誰かに誰かが励ましの言葉を告げる。
誰もが最終回を見られるわけではない。
最終回を見られる幸せというものはあるのだ。
「クリスマスイブ」の約束は果たされた・・・聖なる恋の成就・・・まあ、お見合い結婚ですけれど~。
で、『5→9〜私に恋したお坊さん〜・最終回(全10話)』(フジテレビ20151207PM9~)原作・相原実貴、脚本・小山正太、演出・平野眞を見た。由緒正しい一橋寺の次期住職候補・星川高嶺(山下智久)は色恋とは無縁のシンデレラ。英会話学校ELAの講師・桜庭潤子(石原さとみ)は家族に恵まれ、仕事にも恵まれたロマンスの王子様である。二人のイチャイチャぶりがひたすら楽しいこのドラマだったが・・・ラブ・ストーリーの王道で最終回直前の別離である。もちろん、これは「手」なのであって・・・そのために「見どころ」が封印されるのは痛し痒しだが・・・ハッピーエンドを迎えるためには必要不可欠なんだな。もちろん・・・そうでない「手」もあるが・・・たまにはこのようにストレートを投げ込んでもらいたいのである。初めてラブコメを見る人だっているんだから・・・。そして直球にはそれなりに魅力があるのだ。
桜庭潤子はニューヨークの象徴とも言える清宮真言(田中圭)の元に帰還するが・・・憧れの清宮に抱きしめられても反応しない。
なぜなら・・・潤子はもはや・・・高嶺を心から愛しているのである。
一方・・・一橋寺に戻った高嶺は別離の一因となった弟の星川天音(志尊淳)に「まるで死んだ人間のような顔をしている」と告げられる。
なぜなら・・・潤子と別れることは・・・高嶺にとってすべてを失うことなのである。
高嶺と潤子は・・・二人でイチャイチャしないと生きていけない病に侵されているのだった。
まあ・・・男と女がイチャイチャすることは・・・大自然のルールのようなものだからな。
男と男や、女や女でイチャイチャするのはどんなルールにも例外があるということにすぎない。
イチャイチャは基本的に腐っても鯛だ・・・意味不明だぞ。
さて・・・二人のイチャイチャはどうなってしまうのか・・・。
愛の試練篇の開幕である。
潤子は退職届を提出していたのだが・・・潤子側のキーパーソンである高宮はこれを受理しない。
潤子は「高嶺との別離」によって・・・「ニューヨーク行きの夢」を取り戻す。
木村アーサー(速水もこみち)や・・・山渕百絵(高梨臨)は潤子の職場復帰を祝う。
「潤子さんが戻ってくれるなんて・・・ふってくれた星川さんに御礼を言いたいくらい」
事務員の伊能蘭(中村アン)は空気が読めないフリを装って核心を突くのだった。
仕事ではイチャイチャの喪失をカバーできないと指摘したのである。
イチャイチャは宇宙よりも貴いのである。
立ちすくむ一同だった。
桜庭の母である恵子(戸田恵子)は足音で娘の変調を見抜く。
「だから今夜はアジフライよ」
「・・・」
「お姉ちゃん、カニの次にアジフライが好きだもんね」
妹・寧々(恒松祐里)はおそらく・・・毛利まさこ(紗栄子)→蜂屋蓮司(長妻怜央)→里中由希(髙田彪我)というラインで・・・すでに姉の失恋を察知しているのだ。
それにしても、第一位カニ、第二位アジフライってどうなんだよ。
・・・っていうか、潤子、百絵、まさこって・・・中三トリオか。
あぶなく、忘れるところだったな。
イチャイチャの欠損をそこそこの笑いで凌ぐ・・・ラブストーリーの苦しさよ。
「こういう時には・・・高嶺くんに来てもらいたいわね」
母もまた・・・寧々から情報を得ているはずだが・・・素知らぬフリをしている。
そこへ・・・高嶺がやってくるのだった。
父・満(上島竜兵)も含めて総出で出迎える桜庭ファミリー。
しかし・・・潤子だけはアジフライに逃避するのだった。
「え・・・別れた・・・」
まるで初めて知ったように大袈裟にリアクションする母娘・・・しかし、初耳の父はショックを受けるのだった。
「申し訳ありません・・・」
高嶺は・・・悄然として去って行く。
「俺が・・・一言いってやる」
父は高嶺を追いかける。
「高嶺君・・・呼びとめてごめん」
「いえ・・・」
「寒くないかい・・・」
「いえ・・・」
「こういう時は・・・銭湯に行きたいね」
「・・・」
「我が家は・・・女三人だから・・・みんなで銭湯に行っても男湯に一人なんだ・・・高嶺くんが来てくれたら・・・一緒に入れたのになあ・・・入りたかったなあ・・・」
「・・・すみません」
揺れる高嶺の心・・・。
桜庭家の父・・・名演じゃないかっ。
一橋寺で・・・天音は旅支度をしている。
「結局・・・兄貴には勝てなかった・・・僕は京都に帰るよ」
「帰る必要はありません・・・」
「え」
「私は潤子さんに家族があることの幸せを教えてもらった・・・そんな私が・・・家族であるあなたをないがしろにはできません・・・お祖母様がなんと言おうと・・・これからはこの寺で一緒に修行に励みましょう」
「兄ちゃん・・・」
その一言で天音は会心し、改心し、回心するのだった。
このドラマにおいて・・・邪悪な妄執によって生きながら地獄に落ちているのが星川ひばり(加賀まりこ)であることが明らかになる。
ひばりは・・・生老病死の苦に囚われ、人の心を忘れている鬼婆なのである。
もう少し・・・ひねってもよかった気もするが・・・潤子と天音の顔立ちがどことなく似ていることはこのドラマの重要な伏線なのだ。
ひばりが天音を京都に追いやったことと・・・潤子が忌み嫌われることは・・・同じ源泉に発しているのである。
さて・・・シンデレラは魔法によって王子様のハートを射止めるわけだが・・・そのたぐいまれなる仏の道への邁進によって生じた高嶺の法力の功徳は潤子の心に点火したと同時に・・・高嶺のハートにも火をつけている。
潤子への思いを封印すればするほど・・・身体が火照って火照って仕方ない高嶺だった。
滝行で心頭滅却を図れども流水が蒸発する勢いなのである。
単なるお茶の間サービスだろうがっ。
潤子の入浴サービスはタイトルのセルフサービスだが・・・笑いを堪えているっぽい表情が沁みるのだ。
姉の心を察した妹は・・・「高嶺と潤子の仲直り大作戦」を発する。
初めての友達に尽くしたい百絵は・・・アーサーを動かし・・・アーサーは一席設けるのだった。
恋愛マスターであるまさこは尋ねる。
「やり残したことはないの」
「・・・」
「やることはやっとかないと・・・後悔するわよ」
「後悔と言っても・・・ただ・・・せっかく作ったお弁当は食べてほしかったかな・・・」
「ち」
レベル中学生に舌うちする恋愛マスター。
しかし・・・「食」に関することだけに即座に反応する美食マスターだった。
アーサーにそんな設定ないだろう。
・・・基本属性です。
なんかの種族なのかっ。
「まさに天啓・・・それで・・・いきましょう・・・」
「へ」
三嶋聡(古川雄輝)は涙やら涎やらをこらえた。
アーサー監修の・・・やはり特殊技能なのか・・・特製弁当を仕上げた潤子は・・・独身仲間たちに背中を押され・・・一橋寺特攻を敢行する。
おりしも・・・唯一の恋のライバル・・・足利香織(吉本実憂)が高嶺と同行中である。
このドラマでは一番の被害者である足利香織だが・・・東十条司(東幹久)にだって何の罪もないのだ。しいて言えば・・・ライバルを殺さなかったことが悪い。わかる奴だけわかればいい禁止。このドラマのヒロインは高嶺なので・・・香織は東十条ポジションに配置された不運を嘆くしかないのだった。
すでに・・・高嶺のストーカーと化した潤子は・・・手作り弁当アタックである。
しかし・・・潤子の存在を無視してスルーする高嶺。
潤子を眼中に入れたら「嫌いな嘘をつき続ける自分自身」が崩壊する高嶺だった。
匂い立つ二人の関係に圧倒される香織・・・。
立ちすくむ潤子を救うのは・・・仏の道に目覚めた天音である。
「憐れなものですね」
「・・・」
「拙僧が有り難く頂戴いたします」
「ありがとう・・・持って帰るのも・・・アレだったから・・・助かったわ」
「恋文なども・・・供養いたしますよ」
「・・・」
「信じるものは救われる・・・この世のすべては汚れているとも清らかであるともいえない。あなたが伝えたいと願うものは・・・必ず伝わるのです」
「お坊さんみたいなことを・・・」
「如来の本願が救済である以上・・・人はみな他力本願でしか救われないのです・・・御仏の慈悲を疑えば年賀状を投函することもできない」
「・・・お願いします」
天音は託された潤子の手紙を高嶺に渡すのだった。
三嶋は学生時代からの友人として潤子に尽くす。
「あきらめるなよ」
「でも・・・相手に嫌われたら・・・どうしようもないよ」
「そんなの・・・自分が傷つくことを恐れる人間の言いわけさ」
「・・・」
「俺がそうだから・・・間違いない」
「・・・」
「俺はせめて・・・自分の好きな人には幸せになってもらいたいんだ」
「三嶋・・・」
「俺なりにライバルのことは研究したつもりだ・・・あの人は・・・こういうのが好きだと思う」
「三嶋・・・研究の方向が間違ってるよ」
潤子は「東京自然史博物館」(フィクション)のチケットを入手した。
三嶋のお膳立てにより・・・高嶺は呼び出され・・・仲間たちは総力をあげて・・・潤子と高嶺の「はじめてのデート」を成立させる。
とにかく・・・そこは・・・超不人気スポットであるらしい・・・数年間の常設展示で入館者数が3333人だからな。
一日・・・二~三人くらいだぞ・・・。
閑散とした場内・・・。
「こういうところ・・・興味なかったですか」
迸りだす・・・高嶺の潤子への思い・・・。
「説明して差し上げましょう・・・私はこの施設の常連です」
「ぇ」
「自然の営みを察することは・・・真理への道にとって大切なのです」
「ぇぇ」
「カマラサウルスは空洞を持つトカゲという意味の学名です。体重は二十トンですがジュラ期後期の恐竜としてはそれほど大型とは言えず・・・それが繁栄した理由であるという学説もあります」
「ぇぇぇ」
「潤子さんこそ・・・楽しいですか」
「楽しいですよ・・・あなたとなら・・・どこにいても・・・何をしていも楽しいです」
「・・・」
「あなたが・・・そう・・・私に言ってくれたのではないですか」
「・・・忘れました」
「一生離さないって」
「・・・記憶にありません」
潤子必殺のあすなろ抱き攻撃に耐える高嶺・・・。
「この恐竜・・・なんていう名前ですか・・・いつ頃生きていたのかな・・・何を食べていたんですか」
「・・・」
背を向けて涙をこらえる潤子から目をそらす高嶺。
そこへ・・・警備員がやってくる。
「閉館時間です・・・」
「あと・・・五分だけ・・・お願いします」
「・・・」
高嶺は五分以上、我慢する自信がなかったのだ。
「高嶺さん・・・お茶しませんか」
「・・・」
「最後に一つだけお願いがあります」
「何でしょう」
「あなたの笑顔を見せてください」
しかし・・・高嶺は笑うことができないのだった。
「・・・ごめんなさい・・・もういいです」
「・・・」
「星川さん・・・私の誕生日に迎えにきてくれてありがとう・・・とてもうれしかった・・・一緒に回転木馬にのれなくて・・・ごめんなさい・・・」
「・・・」
「もうお会いしません・・・さようなら」
父はタクシーで迎えに来た。
「お父さん・・・だめだったよ」
「そうか」
「でも・・・あの人・・・優しかった」
「そうか」
「私・・・あの人の・・・優しいところが・・・好きだったの」
「そうか」
桜庭家の父・・・名演過ぎるじゃないかっ。
閉館時間なのに・・・冬なのに・・・外が明るすぎるという皆さまへ。
閉館時間が午後三時なのです。
不人気施設だからな・・・。
それよりも涙で前が見えないタクシードライバーに歩行者は注意するべきだよな。
潤子は正社員になるための試験にエントリーする。
高嶺は潤子の記憶を封印し・・・修行に励む。
香織は高嶺の手を握ろうとするが・・・高嶺はそれを修行の妨げと感じる。
東十条司(東幹久)に何の罪もないように香織にも罪はない。
しかし・・・この世に罪など何一つもなくても香織は高嶺に受け入れてもらえない。
そこには恐るべき秘密が隠されているのだ。
寺田光栄(小野武彦)は高嶺に詫びた。
「お前には・・・人を愛する心を知ってもらいたくて・・・お見合いを・・・」
「・・・」
「すまなかった」
「よろしいのです・・・私は・・・潤子さんと恋をして・・・人を愛する喜びを知りました・・・仏に仕えるものとして・・・それを知ることは・・・大切なことでしょう・・・しかし、私は決めたのです・・・こんな苦しい思いをするくらいなら・・・もう二度と恋をしないと・・・」
「・・・」
高嶺は最後に・・・潤子の周囲の人々に礼状をしたためる。
「ご温情に感謝します・・・桜庭潤子さんを介してあなたに出会えたことは生涯の喜びでした・・・」
心温まる手紙を受け取った人々は・・・何かをせずにはいられないのだった。
一橋寺に結集する・・・高嶺に感謝された人々・・・。
「こちらこそ・・・」
彼らは高嶺の感謝状を空に捧げた。
「君に会えてよかったよ・・・」
香織は心を決める。
「高嶺様・・・私は・・・総本山の方とお見合いいたします」
「・・・」
「今度こそ・・・私を愛してくれる方と出会いたい・・・」
「香織さん・・・ありがとう」
潤子は試験に合格した。
研修のために渡されるニューヨーク行きのチケット・・・。
光栄はひばりに直訴する。
「高嶺は・・・また・・・笑うことを忘れてしまいました」
「・・・」
「あなたは・・・それで・・・本当によろしいのですか」
天音がひばりに手紙を届ける。
「あなたにとって・・・不出来な孫の・・・最期のお願いです・・・どうか・・・この手紙をお読みください」
天音は・・・潤子の手紙を・・・ひばりに届けた。
高嶺さん・・・あなたの笑顔が私は好きです
クリスマスもお正月もお盆もあなたの側にいたい
いつでもあなたの笑顔が見ていたい
いつか・・・その願いが叶うことを・・・私は信じています
その日が来るのを私はいつまでも待ち続けます
ひばりは天を仰ぐ。
清宮は桜庭に声をかける。
「桜庭さん・・・もうすぐ出発だね・・・星川さんのことはもういいのかい」
「・・・」
「星川さんから・・・お礼状が届いたんだ・・・一緒に銭湯に入っていただきありがとうございました・・・僕のアドバイスに報いることができず、君を泣かせてしまったことを僕に何度も詫びている・・・僕だけじゃない・・・星川さんは・・・君に言いたいことをみんなに言ってる・・・本当に変な人だ」
「私も・・・あの人のおかげで・・・自分の家族や・・・自分の職場が・・・大切なものであることを知ることができました。ここではないどこかではなくて・・・ここで自分が・・・とても幸せであることを・・・」
「君は・・・いつか・・・あの人に会えると思っている・・・でもね・・・人は必ずしも・・・会いたい人に会えるとは限らない・・・僕の妻は・・・死んだ・・・いくら会いたくても・・・もう会うないんだよ」
「・・・」
田中圭は最近死ななくなったという噂があるが・・・ここでは妻が死んでいるのだった。
「君は・・・会いたい人に会うべきだ・・・何度でも」
「・・・」
大切な人間を失うことは辛いことである。
あらゆる宗教が・・・根源的な・・・苦しみからの解放を目指していると言うこともできる。
そこにあるのは・・・生と死の問題である。
この物語の二人のキーパーソンは同じ悲しみを抱えている。
清宮は愛する妻を失った。
そして・・・ひばりは・・・。
逡巡する潤子の前に・・・もう一人のキーパーソンが現れる。
「お祖母様・・・」
「潤子さん・・・人の好みは十人十色というでしょう」
「はあ・・・」
「美人じゃなくても・・・女が結婚できるのは・・・男が美人からだけ生まれてくるわけじゃないからよ」
「え」
「男にとって・・・最高の美人は・・・母親なのよ」
「ええ」
「だから・・・母親に似ていれば・・・誰でも美人になれるわけ」
「えええ」
「私・・・あなたを見た時に・・・なぜ・・・高嶺があなたを好きになったのか・・・一目でわかったの」
「・・・」
「あなたは・・・息子の嫁・・・つまり・・・高嶺の母親にそっくりなのよ」
「え」
「だから・・・私はあなたが・・・嫌いだった」
「ええ」
「あの女は・・・寺の生活に馴染めず・・・家出して・・・息子は・・・あの女を迎えに行って・・・その帰りに事故を・・・」
「えええ」
「どれだけ・・・あの女のことを憎んだかしれない・・・でもね・・・あなたを見ていて気がついた・・・あなた・・・私の若い頃に・・・そっくりよ・・・」
「・・・えええええええええええ」
「結局・・・男なんてみんなマザコンなのよ」
「はあ・・・」
「だけど・・・あなたは・・・あの女とは違う人間・・・私があの女と違う人間であるように・・・私はあなたに寺の嫁になれとは言いません・・・でも・・・高嶺の嫁になることは許します」
「・・・」
「お行きなさい・・・高嶺は一橋寺であなたを待っている」
潤子は走る。
クリスマス・イブの街を・・・。
まさこは高校生にプロポーズされる。
アーサーは百絵のためにルシファー様を演じる。
寧々はホームパーティーに男装の里中由希を招く。
三嶋は一人で朝までスター・ウォーズである。
僧侶たちはクリスマスパーティーを・・・。
イエスは述べる。
「罪なきものはこの罪人に石もて報いよ・・・しかし罪の有無を決めるのは神である」
シッダルタは告げる。
「善悪など人に決めることはできない・・・すべては仏の慈悲の元にただ還るのだ」
すべての教えは・・・人にイチャイチャを許しも禁じもしない。
イチャイチャしなければ・・・終わる・・・それだけなのだ。
潤子は一橋寺にそびえ立つ巨大なクリスマスツリーを見上げた。
「高嶺さん・・・」
「潤子さん・・・私はお約束しました・・・クリスマスツリーの下で記念撮影をすることを・・・」
「檀家の皆さんの・・・浄財をこんなことに・・・」
「檀家の皆さんの浄財で・・・婚約指輪も買ってしまいました」
「高嶺さん・・・指がしもやけになっているじゃないですか」
「暖冬なのに奇跡的に寒波が」
「徹夜でツリーを飾りつけていたのね・・・」
「潤子さん・・・私の酷い仕打ちをどうか・・・許して下さい・・・そして、私と結婚してください」
「許しません・・・」
「・・・」
「一生かけて償ってもらいます・・・あなたと結婚してさしあげます」
見つめ合う二人。
渾身のホワイトクリスマスが・・・最期の寸止めキスを達成する。
「潤子さん・・・私に・・・どうして潤子さんが好きになったのか・・・お尋ねになられましたね」
「あ・・・それ・・・もういいです」
「いいえ・・・私は言いたいのです・・・潤子さんのすべてが・・・好きだと・・・」
潤子は高嶺にキスをした。
サンタがママにキスをするように・・・。
潤子は高嶺の妻となり・・・ニューヨークに旅立つことになった。
「ほら・・・急がないと飛行機が・・・」
「待ってください・・・急いては事をし損じます」
「そんなこと言って出発前に入籍したいってあなたが言うからこんな時間に・・・」
「印鑑が見つからなかったのです」
「ハンコなんて百均のゴム印で充分なんです」
「ヒャッキンとはなんですか」
「そこからかよっ」
潤子は澄み渡る青空の下、唇で高嶺の口を封じた。
「・・・」
「さあ・・・行きますよ」
「・・・もう一度、お願いします」
「だから・・・時間がないんですって・・・」
二人のイチャイチャを世界が祝福する。
ずっと見ていたいと思うから・・・。
お茶の間の初心者の皆さん・・・これがラブコメです。
素敵でしょう?
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ごっこガーデン。神と仏の忘年会会場セット。
エリ「さあ・・・それでは年末イチャイチャしまくる大会を開始します。クリスマスツリーの前でイチャイチャからスタートでス~。この後、おこたでイチャイチャ、ドライブでイチャイチャ、ゲレンデでイチャイチャ、遊園地でイチャイチャ、クラブでイチャイチャ、雪山遭難イチャイチャとイチャイチャ三昧をするのでしゅ~・・・じいや・・・次はハワイでイチャイチャのスタンバイよろしくお願いしまス~。イチャイチャしてイチャイチャしてイチャイチャしまくるのでス~・・・グフフ」
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