鞠躬尽力死而後已こそ武士の本懐(錦戸亮)諸葛亮かぶれかっ(神木隆之介)軽いけど強い(比嘉愛未)
坂本龍馬の土佐脱藩は文久二年(1862年)三月二十四日のこととされている。
後に武市半平太が投獄される要因となる吉田東洋の暗殺は同年四月八日である。
このために・・・龍馬は東洋暗殺の実行犯として疑われている。
土佐藩の影の実力者である前藩主・山内容堂は・・・東洋に激しい執着があり・・・恐ろしいほどの執念で復讐を遂げる。
尊皇攘夷派の利用価値がある間は半平太を重用し、文久三年の政変で長州藩が失脚するとついに逮捕、投獄を命ずる。
半平太は長州藩への亡命を拒否し、君命に従ったのだった。
獄中の半平太が首謀者として最期まで容疑を認めないと知ると「不敬」という名目で切腹を命じたのである。
半平太が切腹したのは慶応元年(1865年)閏五月十一日のことである。
容堂は一度は脱藩の罪を許した龍馬に帰藩命令を出していた。
第一次長州征伐後の混乱の中で薩長同盟を画策する龍馬は君命を無視し、西郷隆盛とともに薩摩と下関を往還していた。
土佐勤王党壊滅の報せに龍馬がどれほどの憤怒をしたか・・・想像にあまりあるものがある。
その怒りの矛先がいつか・・・自分たちに向けられることを・・・土佐の指導者たちは忘れなかっただろう。
龍馬暗殺の首謀者の一人に山内容堂があげられる由縁である。
で、『サムライせんせい・第6回』(テレビ朝日201511272315~)原作・黒江S介、脚本・黒岩勉、演出・片山修を見た。幕末の土佐では・・・徳川幕府によって土佐一国の主となった山内家臣団を祖とする上士と・・・旧国主であった長宗我部家臣団を祖とする郷士との間に確執があった。武市半平太は郷士あがりの上士であり・・・山内家に対する忠誠を誓いながら、郷士たちの代表として土佐勤王党を指導していた。階級闘争を展開しつつ武士としての倫理に縛られる。この矛盾が半平太を切腹に追い込んでいくのである。勤王志士である前に土佐藩士であるべきか・・・土佐藩士である前に勤王志士であるべきか・・・このような葛藤は日本国民と沖縄県民にも脈々と受け継がれている。甘えているのが誰なのかは・・・出口のない迷宮へと心ある人を誘いこむだろう。誰かが誰かの責任を問う時・・・「死」はたとえようのないインパクトで人心を揺さぶるものなのである。
多くのいい加減な人々は・・・そんなこと言われてもな・・・という本音を必死に隠すしかないのだ。
だが・・・武士はいつでも責任をとって切腹するものなのである。
そうでない場合は暗殺されるので。
ついに日常化した・・・武市半平太(錦戸亮)と楢崎こと坂本龍馬(神木隆之介)のいる佐伯家の朝食風景。
神里村役場に勤務する晴香(比嘉愛未)は「このままでいいのか」と疑問を投げかけるが・・・なにしろ半平太と龍馬は無国籍なのである・・・「いいんじゃないでしょうか」と受け流す佐伯先生(森本レオ)だった。
赤城サチコ(黒島結菜)とつりあう男になるために一攫千金を狙う佐伯寅之助(藤井流星)は新しいビジネスとして「ヤンキーグッズのアンティークショップ」の立ち上げを宣言する。
「なにしろ・・・群馬県はヤンキーグッズの宝庫だから」
「誰が買うのよ・・・」と晴香。
「海外のクールジャパンファンが」
「微妙だな」と龍馬。
「結局・・・骨董屋か・・・」と半平太。
しかし、サチコは・・・おそらくお小遣いで・・・大量のヤンキーグッズを収集するのだった。
これが上州名物・・・嬶天下体質なのか。
半平太と龍馬は連れだっていつもの看板の元へやってくる。
時間漂流者の仲間探しは日課らしい・・・。
今回、二人が発見したのは・・・「11人いる!」のサムではなくて傷ついた前科者・鬼沢克己(RED RICE)である。
カラオケスナック「カーニバル」に鬼沢を担ぎこむ半平太と龍馬。
アルバイトをしている寅之助は鬼沢と気が付いて驚愕する。
「この人・・・群馬の暴走族の頭だった・・・鬼ダルマです。昔、俺も世話になったことが・・・」
「暴走族・・・」と半平太。
「謀反人の集団っていうか・・・山賊の卵っていうか・・・半端な渡世人というか」と龍馬。
「侠客の親分なのか」
「まあ・・・当たらずとも遠からずというか」
「五年前に栃木の暴走族と抗争して・・・一人で相手を全滅させたけど・・・そのために傷害罪で服役して・・・」
「なに・・・獄につながれておったのか」
「ここに置いておくのは・・・いろいろと問題が・・・」
「何故だ」
「優菜ちゃんの父親なので」
「何・・・すると理央殿のご亭主ではないか・・・」
たちまち・・・感情移入する半平太。
自分と妻の富子(谷村美月)と・・・鬼ダルマと「カーニバル」の経営者である篠原理央(石田ニコル)と優菜(岩崎春果)の母娘を重ね合わせたのである。
「理央殿は・・・富子のように・・・夫の帰りを待つ身であったか・・・」
「あら・・・ペータ先輩いらっしゃい」
「おお・・・理央殿・・・御亭主が獄より戻られたぞ」
「ええっ」
しかし・・・鬼ダルマに愛想をつかした理央はすでに獄中離婚をしていたのだった。
「何・・・獄にある間に・・・離縁じゃと・・・」
自分の身に置き換えて涙目になる半平太だった。
「こんな男より・・・ペータ先輩の方がずっといい」
「何・・・」と顔色を変える鬼ダルマ。
鬼ダルマは半平太を神社の境内に連れ出す。
「俺とタイマンで勝負しろ」
「タイマン?」
「果たし合いだよ」
「何故じゃ・・・」
しかし、問答無用で喧嘩を始める鬼ダルマ・・・無論・・・鏡心明智流免許皆伝の半平太の敵ではない。
「まいった・・・あんた・・・強いな・・・あんたになら・・・理央をまかせられる」
「なんじゃと・・・」
「実は・・・俺に怨みを持つ栃木の暴走族連中が・・・理央を狙っている・・・俺はどうなっても構わないが・・・理央たちに迷惑をかけられない・・・」
あわてて・・・店に戻るが・・・理央の姿はない。
「理央さんは・・・買い出しに・・・」と寅之助。
「いかん・・・」
しかし、龍馬は慌てず騒がず・・・理央に携帯電話で連絡するのだった。
理央と合流するために優菜のいる学習塾に向かう一同。
佐伯家の庭は・・・サチコの集めたヤンキーグッズが占拠していた。
「チョリ~ス」
サチコは売れっ子なのでスケジュールが立て込んでいるらしく・・・去って行くのだった。
しかし・・・父親の件で苛められたらしい優菜は脚をすりむいていた。
「平気だよ・・・慣れているから」
しかし・・・半平太の怒りは学習塾の生徒に向かう。
「お前たち・・・黙って見ていたのか」
「だって・・・相手は上級生だし・・・」
「義をみてせざるは勇なきなりじゃ」
しかし・・・子供たちの母親がやってきて・・・理央母娘を遠ざける。
「私たちを巻き込まないで」
「ご迷惑かけてすみません」
女子供を相手にそれ以上言うのを憚った半平太は店に戻る理央の護衛役を務める。
しかし・・・待ち伏せしていた栃木の猿軍団に眼つぶしスプレーや電撃という近代兵器で不意打ちされ・・・不覚をとる半平太だった。
「鬼ダルマに・・・女房を返して欲しかったら・・・いつもの倉庫に来いと伝えろ」
「待て・・・」
しかし・・・理央は猿軍団に拉致されてしまう。
駆けつけた龍馬に救助される半平太。
理央の危機を知った鬼ダルマは死地に赴く。
後に続こうとする半平太を龍馬が制止する。
「その体で行くなんて・・・無謀だよ」
「そうだよ・・・」と寅之助。
「寅之助・・・お前は鬼ダルマ殿に恩義があるのではなかったのか」
「それは・・・」
「晴香殿も・・・理央殿の友であろうが・・・」
「でも・・・」
「とにかく・・・世話になった理央殿を見捨てることなど・・・わしにはできん」
「おんしは・・・いつもそうじゃのう・・・久坂さんも・・・中岡も・・・長州に逃げろと言うたんじゃろう・・・それじゃっちゅうに・・・おんしは・・・諸葛亮孔明の出師表など持ちだして・・・なんが・・・慎みかしこまって死ぬまで力を尽くすがじゃ・・・死んだら元も子もないき」
「龍馬・・・」
「・・・」
「やはり・・・おんしとわしは・・・道が違うようじゃのう」
猿軍団のリーダーは理央を緊縛し恫喝する。
「待ってろ・・・今、鬼ダルマの目の前でヒーヒーいわせてやっから」
「・・・」
そこへ鬼ダルマ登場。
「仕返しは俺にしろ・・・理央に手を出すな」
鬼ダルマは無抵抗で袋叩きになる。
「地獄をみせてやるぜ・・・女房もガキも売り飛ばす」
「そこまでだ・・・」
半平太登場である。
「なんだ・・・丁髷か・・・」
「拙者は・・・武市半平太」
特攻する半平太・・・しかし多勢に無勢である。
「やっちまえ」
「待った・・・」
龍馬と特攻服の晴香・寅之助姉弟登場である。
「なんだ・・・お前ら」
「わしは・・・土佐の龍じゃ」
「・・・北吾妻の寅」
「聴こえねえぞ」
「村役場の晴香」
「むらやくば・・・」
「わしは・・・武市半平太の身内じゃ・・・よって助太刀いたす」
龍馬は一陣の風となって猿軍団をなぎ倒した。
「強い・・・何者なんだ」
「あれ・・・知らなかった・・・あの人は坂本龍馬よ・・・」
「えええええええ」
坂本龍馬は北辰一刀流の達人である。
半平太は息を吹き返す。
「龍馬・・・」
「これでもわしは土佐勤王党に血判を捺した男じゃき・・・」
「お前がおったら・・・負ける気がせん・・・」
晴香は隙を見て理央に封印されていた赤いメリケンサックを渡す。
「今回だけよ」
「ありがとう」
猿軍団は壊滅し、軍団長は理央を人質に逃走を図る。
しかし・・・目に飛び込む赤い凶器。
「う・・・そのメリケンサックは・・・あんた・・・紅の理央なのか」
「うざいんだよ」
一撃で軍団長を屠る理央だった。
大勝利である。
後腐れのないように死体は埋めるのか・・・。
塾に凱旋する武市軍団。
しかし・・・佐伯家に・・・警察関係者である氏家八尋(神尾佑)の姿を見かけた龍馬は何故か身を隠す。
そして・・・何者かが龍馬を昏倒させるのだった。
現代に先着した龍馬は・・・どうやら・・・何かをしでかしていたようだ。
まあ・・・そもそも・・・龍馬は・・・武市半平太より・・・ずっと危険な革命家なのである。
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