無計画こそわが人生(松坂桃李)計画変更お願いします(木村文乃)ただいま変身中(菜々緒)ただいま手術中(要潤)
風が吹いている。
風の音はむせび泣く。
地球のどこかでだれかが悲しみの気持ちを吐息によって告げる。
悲しみは木霊し、世界を震わせる。
鳴り響く・・・魂の絶叫。
風は静寂を破る。
人々は慄く。
あれは・・・サイレーン。
心を狂わせる魔性の神々の声なり・・・と。
で、『サイレーン刑事×彼女×完全悪女・第8回』(フジテレビ20151208PM10~)原作・山崎紗也夏、脚本・佐藤嗣麻子、演出・本橋圭太を見た。常識的には「人が人を殺すこと」はあまり好ましくない行為である。様々な事情で「人が人を殺すこと」はあるが・・・基本的には好ましくないと思いつつ行為してもらいたいと常識的に考えられる。しかし、「人が人を殺すこと」が好ましいことだと感じる人がいないわけではない。なぜなら・・・常識的には「世界では常識でははかりしれないこと」も存在するからである。
「カラさん・・・あなたは間違っている・・・あなたには終わりがない」
拘束された警視庁機動捜査隊員・猪熊夕貴(木村文乃)は説得する。
「いいえ・・・終わらない人生なんかないのよ」
シリアルキラー・橘カラ(菜々緒)は宣告した。
猪熊の人生の終焉を・・・。
カラに魅了されたデザイナー・渡公平(光石研)によって突き落とされた謹慎中の警察官・里見偲(松坂桃李)は警察病院に収容される。
渡は現行犯で逮捕される。
里見は警察に監視されていたのである。
里見は意識不明の重体となった・・・。
渡を取り調べるチビデカこと速水刑事(北山宏光)・・・。
「なんで・・・あんなことをした」
「あの男は私の恋人のストーカーなんです」
「恋人・・・」
「橘カラさんです」
「・・・橘カラ」
生活安全課の千歳弘子(山口紗弥加)は渡が相談に来た事実を告げる。
「橘カラは里見が暴行未遂をした女です」
チビデカは告訴されなかった件に言及する。
捜査会議で桜中央署刑事課長の安藤(船越英一郎)はまとめる。
「すると・・・こうか・・・里見は橘カラをストーカーしていた・・・カラの恋人である渡は警察に相談に訪れたが・・・生活安全課は動かなかった・・・里見は橘カラを襲ったが立件されなかった・・・憤慨した渡は里見と口論になり・・・里見は階段から落ちた・・・」
「ですね」
「警察の無能って・・・言われそうだな」
「すでにお茶の間では定説です」
「無断欠勤をしたまま・・・消息をたっている猪熊の件があります」
「猪熊は里見と交際していたという噂があるが・・・」
「カラに対する暴行事件の後で・・・別れたそうです」
「おい・・・まさか・・・里見の奴・・・猪熊を・・・」
安藤課長は頭を抱えた。
千歳捜査官はカラに事情を聴取する。
「すると・・・里見に・・・」
「つきまとわれていました」
証拠として変装して尾行中の里見の画像を提出するカラ・・・。
「猪熊と親しかったそうですが・・・相談しなかったのですが・・・」
「猪熊さんは・・・里見さんと交際していたので・・・」
「事件以来・・・猪熊と会いましたか」
「いいえ・・・あれきりです」
同行した雨宮ひかる捜査官(岡崎紗絵)は感想を述べる。
「なんだか・・・淡々としすぎていませんか」
「だからといって・・・性格は罪に問えないぞ」
カラは・・・何者かの待つ車に乗り込む。
「指示通りにしましたよ」
何者かは無言で応じた。
カラは・・・監禁中の猪熊との会話を楽しむ。
「続きを聞かせて・・・父親を殺したあなたは・・・それからどうしたの」
「平静を装って暮らしたよ・・・しかし・・・ある日、噂を聞いた・・・私が父親を殺したという噂だ・・・私は失敗した・・・だから・・・二度と失敗しないと決めた」
「・・・」
「高校生になった私は・・・橘カラと出会った」
「え」
「私と同じように・・・周囲と馴染まない女だった。二人ははみ出したもの同志ということで接近した。橘カラの趣味は美容整形で・・・私は誘われて手術を体験した。違う外見になること・・・美容整形を私は気に入った」
「・・・」
「私は・・・橘カラになることに決めた・・・」
「ええ」
「最初に橘カラの両親を事故にみせかけて殺した。天涯孤独となった橘カラを川辺のキャンプに誘いだし・・・殺害した」
「えええ」
「カラの死体は隠し・・・本当のカラは家出をしたことにした・・・そして・・・私はカラの顔を手に入れ・・・カラの戸籍を奪った」
「じゃ・・・あなたは誰なの」
「私は・・・橘カラだよ・・・今のところはね」
「今のところって・・・」
そこに月本(要潤)が現れる。
「月本医師・・・」
月本は冷たい目で猪熊の「顔」を見た。
猪熊は嫌な予感に襲われた。
三宅捜査官(高田翔)は里見の寝顔を見ていた。
里見は夢を見ている。
(猪熊・・・可愛かったなあ・・・制服が似合っていた・・・ドラマの推理対決で勝った俺を・・・十字固めで制裁してくれた・・・ファーストキスはあの河に架かったあの橋の上・・・)
三宅は突然、覚醒した里見に驚く。
「ここは・・・」
「よかった・・・一ヶ月も目を覚まさないから・・・もうだめかと思いましたよ」
「・・・一ヶ月だと・・・」
里見は・・・警察病院に隣接した警察官宿舎の女子寮を訪ねる。
管理人は・・・「焼酎」が山梨県川口湖が送られたことを伝える。
安藤は里見から事情を聴取する。
「すると・・・お前は殺人事件の背後にカラという女が関係していると睨んで・・・単独捜査をしていたということか・・・」
「はい」
「だが・・・状況証拠は・・・お前が限りなく変態警官であると・・・」
「それは・・・あの女の罠です」
「どこに・・・罠だという証拠が・・・」
「・・・それに猪熊さんは・・・カラの恋人が殺された事件を調べていました」
「なんだと・・・調書があるのか」
「事件当時の捜査では・・・カラが恋人であるという証言はなく・・・彼女が独自に突き止めたんです」
「どうやって・・・」
「それは・・・」
「また・・・推測か・・・お前・・・まさか・・・猪熊を・・・」
「僕がなんでそんなことを・・・」
「痴情のもつれだよ・・・一番ありがちな線じゃないか」
「・・・」
「とにかく・・・本格的な取り調べは・・・退院してからだ」
「渡の取り調べは・・・」
「とにかく・・・拘留中だ・・・お前の意識が戻らなかったからな」
「カラは僕が猪熊と同棲しているマンションを監視するために・・・渡を利用していました」
「かなりの資産家らしいな」
「渡が山梨県に・・・なんらかの不動産を持っているかどうか・・・調べてください」
「何故だ・・・」
「・・・刑事の勘です」
「・・・里見・・・よく考えろ・・・お前は・・・殺人未遂事件の被害者でもあるが・・・もし、猪熊の失踪に事件性があるとしたら・・・重要参考人だぞ」
「・・・」
「とにかく・・・大人しくしていろ」
だが・・・一ヶ月は・・・死体が腐敗し白骨化するほどの時間である。
冷たい骸となった猪熊のイメージが里見を追いたてる。
天使の力で・・・売春婦のアイ(佐野ひなこ)を呼びよせる里見・・・。
「レナちゃんは・・・」
「行方不明です」
「河口湖に手掛かりがあるかもしれない」
「河口湖・・・」
そこへ天使の力に導かれ倉本医師(笛木優子)が現れる。
「麻弥ちゃんが・・・」
月本医師による殺人未遂事件の被害者とされている田沢麻弥(三上紗弥)が覚醒したのだった。
朦朧としている麻弥の手を握り、天使の力を送り込む里見。
「君は・・・カラという女を知っているか」
「・・・はい」
「カラは・・・何かしなかったか・・・」
「・・・殺した」
「何」
しかし・・・再び麻弥は意識を失う。
だが・・・妄想力の発達した里見にはそれで充分だった。
「すべての殺人事件の犯人は・・・カラだ」
里見は桜中央署での取調のために移送中の渡を襲撃した。
「お前・・・デザイナーだそうだな・・・指を一本ずつ切り取ってやる」
「やめろ・・・」
「川口湖で思い当たることがあるだろう・・・」
「べ・・・別荘がある」
「住所を言え」
里見はアイとともに車で河口湖に向かう。
猪熊の両親(大杉漣・藤吉久美子)に事情聴取をしていた安藤は出遅れた。
「で・・・里見はどうした」
「おそらく・・・山梨県の渡所有の別荘へ・・・」
「じゃあ・・・追えよ」
「山梨県警には・・・」
「警視庁の不祥事だぞ・・・挨拶は後回しだ」
夜の別荘地に先着した里見とアイ。
「ここからは・・・危険だ・・・車で待て」
「はい」
しかし・・・別荘地には陰湿なブービートラップが仕掛けられている。
天使の勘で降り注ぐ矢をかわす里見である。
しかし・・・拳銃で武装したカラが背後から迫る。
絶体絶命の里見にアイが声をかける。
「里見さん・・・」
間隙をついて反撃に出る里見。
しかし・・・格闘力で里見を上回るカラにより・・・再びお手上げとなる。
「帰れって言われたけど・・・来ちゃった」
すでに別荘内に侵入したアイは護身用のスタンガンを里見にパスすることに成功する。
電撃により身体の自由を奪われたカラを拘束する里見。
バスルームに監禁されていたレナ(入山杏奈)の救出をアイに託し・・・地下室へと下りる。
そこには・・・衰弱した猪熊の姿があった。
「無事だったのか・・・」
水分を補給するために口移しでサービスする里見。
その背後に斧を持ったカラの姿が・・・。
だが・・・間一髪・・・意識を取り戻した猪熊は里見の保持していた拳銃でカラを射撃するのだった。
披露困憊し・・・床に倒れる里見。
警察が駆けつけると別荘はすでに猛火に包まれていた。
果たして・・・カラは死んだのか。
里見と猪熊は別荘から脱出できたのか。
カラに命じていたのは誰か。
月本はどこに消えたのか。
そして・・・カラを躊躇なく撃った猪熊は・・・本当に・・・。
女癖の悪い天使と魔性の女の対決は・・・クライマックスに突入するのだった。
もうすでに死体の山を築いているので・・・ハッピーエンドである必要のないドラマである。
物凄いバッドエンドでありますように・・・。
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