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2016年1月31日 (日)

あなたを信じていいのね(広瀬すず)それは自分で確かめろ(亀梨和也)

正邪は人の心が決めるものである。

弱きを助け強きを挫く・・・そういう人が正しいと思えば正しい。

しかし・・・一度は助けたものを見放すことはどうだろう。

それが邪なことであれば・・・助けたことも邪まだったと言えないこともない。

しかし、助け続けることはできなくても・・・助けることはやはり正しいと思うことはできる。

残酷さに満ちたこの世界で・・・助けることはするけれど挫くことはしないのが正しいと思うこともできる。

幼子に暴力団員が暴力を行使している。

我が身を捨てて幼子を守ることが正しいと思う人がいる。

だが・・・「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」を愚かだと感じる人もいるのが・・・この世というものなのだ。

で、『怪盗 山猫・第3回』(日本テレビ20160130PM9~)原作・神永学、脚本・武藤将吾、演出・西村了を見た。2013年、東京・・・。死地から帰還した自称・怪盗探偵・山猫(亀梨和也)は悪徳警官の関本修吾警部(佐々木蔵之介)と対峙する。殺意を秘めた闘争の果てに・・・関本は山猫に提案する。

「ユウキテンメイから日本を盗もう・・・」

どうやら・・・日本はユウキテンメイに所有されているらしい。

ユウキテンメイが何者かは詳らかにはされないが・・・とにかく・・・山猫と関本は・・・同盟を締結したらしい・・・。

山猫は・・・関本を・・・全面的に・・・信じているわけではないのかもしれない。

しかし・・・関本は山猫に対する不満を述べる。

「犯罪行為中に・・・山猫マスクを脱ぐなよ」

「だが・・・本人がやっていることをお茶の間には時々見せないと・・・主人公として問題あるだろう」

「まあ・・・そうだな」

関本は影で・・・都知事に出馬した藤堂健一郎(北村有起哉)と提携している。

そして・・・藤堂は・・・ユウキテンメイとつながっているらしい。

ユウキテンメイは・・・なんとも言えない黒幕的なキャラクターである。

「キラキラ仮面」的な・・・「ゴキブリ仮面」じゃないのか・・・「ライアーゲーム主催者」的な・・・まあ・・・そのうち・・・正体がわかるといいな・・・。

とにかく・・・「絶対的な正義」のための「絶対的な悪」の存在は必要悪みたいなものだからな・・・。

そして・・・今回も・・・藤堂の要望で・・・関本は・・・山猫に仕事を依頼するのだった。

商事会社に勤務するサラリーマンの滝川(浅利陽介)が路地裏のカフェ「STRAY CATS」にやってくる。

「行方不明の恋人を探してほしいのです」

滝川の恋人・杏里(中村静香)の写真を見た山猫は顔色を変える。

「おっさん・・・この女」

「おっさんはやめろ・・・せめてアニキといってくれ」

「中年でアニキと呼べるのは阪神タイガースの金本だけだ」

「プロ野球の話はやめろと言ったはずだ・・・特にここは巨人軍の世界なんだから」

「野球は巨人だ」

「なんじゃ・・・そりゃ」

杏里が・・・ホテルの従業員であることを知っている二人は合意に達する。

「知らないふりをして・・・調査費をガッポリ稼ごう」

「億単位」の盗みを働いているチームとは思えない話である。

もちろん・・・山猫も・・・この話に裏があることはお見通しなのである。

さっそく調査に乗り出すチーム山猫・・・。

しかし・・・スーパーハッカーだが・・・純真な女子高校生でもある魔王こと高杉真央(広瀬すず)には気がかりがあった。

前任の細田(塚地武雅)を殺害したのが誰かが結局不明のままなのだ。

「まさか・・・山猫が殺したんじゃないよね」

「それは・・・お前自身の五感で・・・見極めろ」

「それとも・・・この世界ではブサイクの寿命が短いというルールがあったりは・・・」

「待て・・・それはフラグになっちゃうから・・・禁句だ」

山猫はホテルで杏里を捜索する。

しかし・・・従業員名簿に杏里は存在しない。

それどころか・・・雑誌記者の勝村英男(成宮寛貴)の調査によって・・・杏里には戸籍がないことが分かる。

「じゃ・・・宇宙人なのか」

「峰不二子的な・・・」

魔王が防犯カメラの映像から・・・暴力団関係者の中岡太一(笹野高史)と杏里の関係を突き止める。

しかも・・・カメラ目線で・・・杏里はメッセージを送っていた。

「もうすぐ会えるよ・・・山猫」

中岡に面会した山猫は・・・杏里が高級売春組織のコールガールであることを明かされる。

早速・・・杏里を指名して勝村の部屋に呼び出す山猫。

「なんで・・・俺の部屋に・・・」

「イメージ的なアレだよ」

しかし・・・杏里は現れなかった。

現れたのは・・・「主に泣いてます」の緑川つね(草刈麻有)の親友の小桃宣親・・・ではなくて売春組織の従業員・達郎(加藤諒)だった。

「真田丸」にパパが出ているんだから・・・麻有には側室役とかで親子共演してもらいたい。

「杏里はどうした・・・」

「セシリアちゃんは・・・行方不明なんです」

「え」

「心配で・・・指名したあなたのところへやってきました」

「お前と・・・セシリアはどういう関係だ」

「友達です・・・」

杏里またの名をセシリアの謎は深まる・・・。

だが・・・裏の世界に通じる宝生里佳子(大塚寧々)は・・・セシリアの装着するアクセサリーから・・・セシリアが・・・アジアン・マフィアの一員ではないかと指摘する。

勝村はようやく・・・セシリアの正体が・・・台湾生まれの謎の女であることを突き止める。

「結局、謎の女じゃないか・・・」

「だって・・・そうなんだもの」

「セシリアちゃんは・・・マフィアなんかじゃないよ・・・」

達郎は・・・セシリアからもらった幸運のブレスレットを見せる。

「ついてない僕のために・・・セシリアちゃんがプレゼントしてくれたんだ」

「・・・」

「それ以来・・・僕はツキに恵まれている」

「それ・・・通販で売ってるぞ」

「いいんだよ・・・だって・・・こうして・・・また新しい友達もできたし・・・」

「友達って・・・俺たちのことか・・・」

「そうだよ~」

「やめろ・・・それ以上・・・人懐っこいキャラを推すと・・・フラグが立つぞ」

「もう・・・遅いんじゃないか・・・」

「フラグってなんだよ・・・アニキ~」

「ああ・・・そのアニキ~は傷だらけの天使のアキラのやつだ・・・」

「完全にフラグ立っちまったな・・・」

「南無阿弥陀仏・・・」

ついに・・・セシリアは山猫に接触してくるのだった。

滝川の会社では・・・仮想通貨を利用したマネーロンダリングが行われているのだった。

取引相手は・・・ロシアンマフィアらしい。

「つまり・・・台湾マフィアとロシアンマフィアのつぶし合いか・・・」

セシリアは・・・山猫に・・・自分と手を組んで・・・仮想通貨の代金として送られてくる現金十億円を強奪しようと提案する。

「つまり・・・汚れた金を受け取り・・・綺麗な仮想通貨で支払うわけか」

「ものすごく・・・シンプルだな」

「あまり・・・ややこしくすると・・・お茶の間がついてこれないからな」

しかし・・・山猫は・・・取引には応じない態度をとり・・・セシリアと滝川を祝福して別れる。

達郎は二人の幸せを祈るのだった。

「ああ・・・それ・・・フラグだろう・・・」

しかし・・・おそろいの幸運のブレスレットをプレゼントするために・・・引き返す。

「引き返しちゃうのか・・・」

達郎は・・・滝川がセシリアを拳銃で脅して車に連れ込む場面を目撃する。

「大変だ」

しかし・・・すべては・・・チーム山猫の作戦通りだった。

セシリアは自慢のバストに取引に必要なカード・キーを隠しており・・・滝川の目当てはカード・キーの回収だったのである。

「お前のおかげで・・・取引が滞って損失が出るところだった」

「・・・」

「後で・・・死ぬほど弄んでから殺してやる」

「・・・」

滝川は送金を終える。

しかし・・・すでにすべてのシステムは魔王によって乗っ取られていた。

「ははは・・・酒樽に隠した十億円はもらったにゃ」

「なんだと・・・」

突然、社内放送から山猫のアナウンスが開始される。

思わず・・・ロシアンマフィアにコンテナに眠る現金の確認を指示する滝川。

しかし・・・コンテナの位置を特定した山猫はまんまと現金強奪に成功する。

「残念だったにゃあ・・・」

社内にいるのは・・・山猫マスクの勝村だった。

山猫の指示通り・・・催眠ガスを滝川のアジトに注入する勝村。

しかし・・・魔王はうっかり・・・換気扇の停止を失念していたのだった。

「ああ・・・・魔王・・・フォローを忘れたのね・・・」

絶体絶命のピンチに・・・紺野泉でもなく橘カラでもない霧島さくら刑事(菜々緒)が登場する。

「どうして・・・ここに・・・」

「先輩が電話で話していたリカコさんが・・・リカちゃん人形好きの男性の愛称ではなくて先輩の恋人かもしれないと想像したら・・・思わず尾行してしまいました」

「えええ・・・なんで・・・」

「知るか!」

霧島刑事は・・・前世の余韻でストーカー体質なのだ。

セシリアを人質にとり・・・山猫の前に現れる滝川・・・。

「滝川・・・お前は日本人ではないのか」

「日本人だよ・・・」

「何故・・・ロシアンマフィアと手を組んだ・・・あいつらは日本を食いものにしようとしているんだぜ」

「日本なんて・・・食われちまえばいい・・・」

「・・・」

「日本人なんて・・・甘えた子供と一緒だよ・・・いざとなったら・・・文句を言えると思っているバカばかりだ」

「かって・・・吉田松陰は・・・日本の植民地化を危惧し・・・警鐘を鳴らそうと・・・禁を犯して密航を企てた・・・」

「おいおい・・・明治維新の話かよ」

「捕縛された松陰は護送中に・・・泉岳寺を拝し・・・赤穂義士の墓に歌を捧げる」

「元禄時代まで遡上するのか」

ちかえもんは・・・赤穂浪士だって・・・みんなが討ち入りしたかったわけじゃないだろうとおちょくるが・・・それでも討ち入りを果たした浪士たちに・・・松陰は義を感じる」

「・・・」

「松陰は赤穂浪士から赤穂義士になったものたちに作った歌を兄への手紙に添えた」

「話が長すぎる・・・」

「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」

「そこか」

「日本人なら誰もが・・・その魂を心に持っている」

「幻想だよ・・・」

しかし・・・そこに現れる関本警部・・・。

「酒樽について・・・説明してもらおうか・・・」

「え」

「いい酒じゃないか」

「蔵元か・・・」

「お前とロシアンマフィアとの不正取引はすべて解明されたよ」

「ひでぶ」

山猫とセシリアは別れを惜しむ。

「結局・・・お前の目的は・・・ロシアンマフィアの壊滅か・・・」

「あなたは・・・お金・・・私は組織のために・・・働くのよ」

しかし・・・組織は・・・セシリアに見切りをつけたらしい。

狙撃されたセシリアを・・・達郎が庇うのだった。

「タツロー」

「セシリアさん・・・」

「笑ってよ・・・セシリアさん・・・僕はあなたの笑顔が・・・」

「タツロー・・・」

「泣くなよ・・・セシリア・・・こいつのために・・・笑ってやれ・・・こいつの友として・・・頼む」

「・・・」

そこへ・・・霧島刑事が登場。

だが・・・セシリアは圧倒的な戦闘力で霧島刑事を昏倒させる。

「やめろ・・・殺ったのは・・・そいつじゃない」

「・・・」

「さようなら・・・セシリア」

「さようなら・・・山猫」

「また逢う日まで・・・逢える時まで・・・」

「・・・」

薄れゆく意識の中で霧島刑事は回想する。

父親が殺された時に・・・現場から立ち去った山猫の足音を・・・。

痛めた首にギブスをはめて出勤する霧島刑事を謎の男(池内博之)が待つ。

「殺人事件の容疑者を逮捕し損ねたそうだな」

「あなた・・・誰・・・」

「誰でしょう・・・」

そして・・・関本警部は・・・また一歩・・・ユウキテンメイに接近したらしい。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

Ky003ごっこガーデン。日韓戦を中継している怪盗探偵のアジトセット。

エリ深夜までごっこ遊びをして・・・休憩中に奇跡の大逆転を見たのでス~。二点とられても三点とればいい・・・不屈の闘志とはこのこと・・・まさに大和魂なのでス~・・・愛する人を守るために身を呈した義士・タツロー・・・それを涙で見送る山猫先輩もまた・・・義の人なのでス~。タツローのような義の人のため・・・山猫先輩は何を目指すのか・・・しかと見届ける覚悟なのでス~

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2016年1月30日 (土)

私はあなたを支配している(水川あさみ)私たちは世界に支配されている(綾瀬はるか)

「見てください・・・この牧場では自然と同じような放飼いが実現されています」

「暗い工場に押し込められた養殖ものとは違うわけですね」

「そうです・・・不健康なものを食べて健康になれると思いますか」

「やはり、健康なものを食べてこその栄養補給ですよね」

「みてください・・・この仔たちの生き生きとした表情を・・・」

「本当に・・・美味しそうですね」

「美味しいものに国境はありません」

「そうですね・・・日本人でも中国人でもロシア人でも・・・美味しいものは美味しいのですね」

「生まれた時から・・・日本人は罪人であると教えられている国々の方でも・・・きっと満足していただけると思いますよ」

「今なら、お得なサービスがあるそうですね」

「はい・・・今、1頭ご購入いただけますともれなくもう1頭が無料になります」

「えええええ・・・ゴージャスでリーズナブルなんて・・・夢のようですね」

で、『わたしを離さないで・第3回』(TBSテレビ20160129PM10~)原作・カズオ・イシグロ、脚本・森下佳子、演出・山本剛義を見た。このドラマの設定に違和感を感じる人には2種類あると思う。「現実」の設定に違和感を感じるタイプと「現実」には設定はないと考えるタイプである。私たちは実は設定された世界で生きている。日本国内で日本人の両親から生まれれば自動的に日本人として設定され、そのまま日本で成長し二十歳になれば日本人として納税する義務が生じるという設定になっているのだ。そういう意味ではこのドラマの提供者も・・・国民として血税を治める納税者も同じなのである。税金なんか納めたくないと考え実行して発覚すれば脱税者として処罰されます。

このドラマはそういう想像力を喚起するドラマなのだが・・・悲しいことに想像力のない人は何をどうしても喚起されないんだよな。

なにしろ・・・大衆というのは飼育された豚なんだから・・・おいっ。

「提供者」のための「陽光学苑」を巣立った保科恭子(鈴木梨央→綾瀬はるか)は「介護人」として「提供」を開始している酒井美和(瑞城さくら→水川あさみ)と再会する。

恭子と美和には土井友彦(中川翼→三浦春馬)をめぐる確執があるらしい・・・。

単純に考えればそれは・・・恭子の好きだった友彦を美和が略奪した三角関係である。

しかし・・・「提供者」としての宿命が・・・三人の心に「共通の影」を落していることも間違いない。

美和は・・・幼い頃に・・・恭子から盗んだ友彦からのプレゼント「Songs after Dark/Judy Bridgewater」を提示する。

「あなたの宝物を・・・誰が盗ったのかしら」

美和が自分に何かを仕掛けようとしていると推測した恭子はあえて、嘘をつく。

「それは・・・私・・・私が置き忘れたの・・・きっと・・・先生が処分したのね・・・だって喫煙者を描いたカバーだったもの・・・」

「・・・」

美和は失望に似た表情を見せる。

恭子は・・・失禁してしまった美和の寝具を洗濯しながら・・・つかの間の勝利感に酔う。

そして・・・「巣立ち」の季節を思い出すのだった。

「普通の人間」が義務教育を終える頃・・・「陽光学苑」の提供者たちは・・・「学苑」での集団生活を終え、小グループによる「コテージ」や「マンション」での生活に移る。

「誰」と「どこ」に行くのか・・・「陽光学苑」の提供者には選択の自由が与えられている。

殺人鬼のいる外の世界では「陽光学苑」の提供者以外の提供者は・・・需要があれば幼児でも提供されてしまうのである。

学園長の神川恵美子(麻生祐未)は・・・「陽光学苑」のシステムが提供者たちに福音をもたらしていると信じている。

一方で・・・「人」と「豚」の違いのわからない未成熟な精神を持った堀江龍子(伊藤歩)は自分の「善意」が広樹(小林喜日)と聖人(石川樹)の提供の前倒しという「結果」を招いたことによる自責の念で・・・精神の平衡を失っていた。

「巣立ちの季節」・・・提供者たちはそれぞれの思惑で「未来」を探りはじめる。

「学苑」の女王として君臨し、自分が特別な存在であるという設定に固執する美和は「普通の人間」である美術教師の山崎次郎(甲本雅裕)と「恋愛すること」で提供者という立場から離脱しようと目論む。

長年の経験から・・・美和の支配に辟易した珠世(本間日陽和→馬場園梓)や花(濱田ここね→大西礼芳)は・・・恭子を美和から解放しようと・・・自分たちのグループに誘う。

しかし・・・恭子は・・・友彦とのロマンチックな新生活を夢見ていた。

だが・・・友彦は・・・プロのサッカー選手になり・・・提供者から解放されることを夢見ていた。

「恭子は・・・料理が上手だから・・・最高の料理人になればいい・・・そうすれば・・・提供しなくてもすむかも・・・」

恭子は・・・常識的に・・・友彦の夢が実現しないことに気が付いている。

しかし・・・学習障害者の傾向を持つ友彦の幼稚な部分も含めて愛している恭子は・・・あえて友彦の夢想を否定しない。

「提供」の示す「恐怖」を克服するためには・・・人それぞれのやり方があるだろう・・・と恭子は考える。

そんな・・・恭子を・・・読書によって・・・誰よりも深く世界の構造を認知し・・・自分たちの置かれた立場を認識している真実(エマ・バーンズ→中井ノエミ)は生温かく見守るのだった。

おそらく・・・真実は・・・知性によって孤立し・・・恭子の知性に期待しているのだろう。

ひょっとしたら・・・真実は・・・「革命」とか「奴隷解放」とかといった最も見果てぬ夢を見ているのかもしれない。

そして・・・真実が真実を知れば知るほどに・・・本質的な絶望は深まっていると推定される。

それでも・・・真実は同志を求めているに違いない。

だが・・・温厚な恭子は・・・稚拙な美和の支配さえ・・・許容していく根っからの追従者だった。

美和は・・・香水を「外の人間からもらった」という作りごとに酔っている。

真実は美和に「本当の支配者」の投影を見る。

真実は美和の「虚栄」を暴くことに・・・実験的な快楽を感じる。

「あなた・・・臭いわよ」

「なんですって・・・」

「香水をつけすぎてるのよ」

「・・・」

「あなたの通った後はすぐにわかる・・・まるでなめくじみたい」

「なめくじ・・・」

真実の容赦ない攻撃に・・・恭子は救いの手を差し伸べずにはいられない。

「それは・・・私・・・私が・・・黙って香水を借りたのよ」

「・・・」

世界の平和を求める恭子の言葉に・・・真実は苛立つ。

「そう・・・あなたはそうやって・・・支配を受け入れるのね・・・それがどんなに理不尽なものであっても」

「・・・」

二人のやりとりを・・・提供者たちは黙って見つめている。

美和はついに・・・山崎次郎を肉体的に誘惑する。

しかし・・・「提供者」を「人間」としては考えない山崎次郎は断固として拒絶する。

「私が・・・提供者だからですか」

「君だって・・・こんなおっさんを相手にするのは・・・俺が外の人間だからだろう」

「・・・」

「お互い様なんだよ・・・」

しかし・・・外の世界を知らない美和にとって・・・それは酷な話だろう。

美和は美和なりに山崎次郎を愛していたのである。

恭子は・・・「失ったものを取り戻す岬のコテージ」に友彦を誘うことに成功する。

恭子と友彦を祝福する珠世と花。

美和の中で憎悪の炎が燃えあがる。

真実は冷たい眼差しで成り行きを見つめる。

巣立ちの季節に・・・「未来」を感じる提供者たち。

しかし・・・ついに堀江龍子の精神は崩壊するのだった。

「サッカー選手になんかなれないわよ・・・あなたたちは何にもなれない・・・あなたたちは提供を甘く考えすぎている・・・あなたたちは提供して死ぬ・・・それだけの存在・・・誰かの部品であり・・・人間にとっての家畜にすぎないの・・・あなたたちは天使なんかじゃないのよ」

驚愕する提供者たち・・・。

ついに堀江龍子は学園を追われることになるのだった。

「先生は・・・精神を病んでしまわれました・・・先生の言葉は間違いです・・・皆さんは・・・本当に天使なのですから・・・」

恭子は・・・それが嘘だとわかっている。

しかし・・・それが嘘であろうと本当だろうと・・・提供者であることは変わらない。

(限りある時を・・・友彦と過ごす・・・それだけで自分は満足だ)

だが・・・美和は恭子だけが幸せになることを許さなかった。

恭子が自分を見捨てることができない道を必死に考える美和。

そして・・・女王は・・・家臣の宝物を奪うことに決める。

「私・・・あなたが好き」

「え・・・どうして・・・僕を・・・」

「だって・・・私たち・・・空っぽ同志だもの・・・」

友彦はたやすく美和に溺れる。

恭子は知る・・・。

美和が友彦を奪ったことを・・・。

「ねえ・・・恭子・・・私たちと一緒に来ない」

恭子は・・・友彦と一緒にいられれば・・・それもいいかなと思う。

たとえ・・・友彦が美和のものだったとしても・・・友彦と別れる必要はない。

真実は・・・恭子の決断を冷笑する。

「これ・・・あげる」

「これ・・・」

「みんなの靴に仕込んであった・・・発信器よ・・・羊がどこにいるか・・・羊飼いはいつでも知っているの」

「・・・」

「学園を出たって同じ・・・私たちはどこにも逃げられない」

「・・・」

「あなたが・・・自分を偽って・・・支配されることを受け入れるなら・・・」

「・・・」

「運命は変わらない」

「・・・」

「また・・・逢いましょう」

生徒たちの去った後・・・学園長は・・・発信器の抜き取られた靴を発見する。

「まったく・・・どうして・・・こんなに守ってあげているのに・・・あの仔たちは反抗するのかしら・・・」

学園長の嘆きを美術教師は無言で聞き流す・・・。

彼だって・・・育てた牛が出荷される時に無感情ではいられないのだ。

到着したコテージ・・・荒廃した古い民家に・・・美和と友彦は立ちすくむ。

二人の保護者のように・・・恭子は偽りの微笑みを見せる。

そして・・・恭子は・・・美和を羨み、憎み、許すというサイクルを乾燥機の中の洗濯もののように繰り返すのだった。

そして・・・時は流れたのだ。

友彦もすでに提供を開始している。

介護人は珠世だった。

「私・・・提供することになっちゃった」

「・・・」

「次の介護人・・・どうする」

「・・・」

「恭子は・・・まだ介護人を続けているみたい」

「彼女が・・・俺に会いたいと思うかい・・・」

「・・・」

しかし・・・恭子はいつだって・・・友彦の側にいたいと思うのだ。

恭子は極めて優秀な提供者なのだから・・・。

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2016年1月29日 (金)

とくさま~(早見あかり)おはつ~(小池徹平)たまらんわ~(青木崇高)しょうがないな~(松尾スズキ)

万吉ではなくてのび太なのか・・・。

ちかえもんではなくてやはりドラえもんじゃねえか・・・。

まあ・・・「ドラえもん」があってこその「ちかえもん」だからな・・・。

通説では近松門左衛門が・・・「歌舞伎」から「人形浄瑠璃」に主軸を移すのは「歌舞伎界」のタレント制度に限界を感じたから・・・ということになっている。

そもそも・・・作者・近松・・・というこだわりが・・・一部愛好家からは「うざい」「近松出すぎ」という批判の対象になっていたわけである。

「あまちゃん」でクドカンが面白いと言うと、「あまちゃん」が可哀想という話だよな。

「歌舞伎俳優」が面白いんじゃなくて・・・「近松の作った話」が面白いんだ・・・と近松は言いたいのだった。

だから・・・人形浄瑠璃なんだよな。

人形だって面白いのは近松の話だからって話なんだよな。

でも・・・結局、竹本義太夫が面白いって話になるんだよな。

じゃ・・・もう、いっそアニメに・・・。

声優が素敵って話になるだけだろう。

結局、作者なんて・・・大衆にとってはどうでもいい存在なんだよなあ・・・。

で、『ちかえもん・第3回』(NHK総合20160128PM8~)脚本・藤本有紀、演出・梶原登城を見た。「出世景清」は貞享ニ年(1685年)の作品でこのドラマにおける現在・・・元禄十六年(1703年)より八年前に発表されている。何やら・・・世を拗ねた遊女のお初(早見あかり)がその一節を口にするのは・・・意味深である。「父は都の六波羅へとりことなりてあさましや・・・」と嘆くのは悪七兵衛景清の妻の一人、小野姫である。幕府に追われる景清をかくまった嫌疑で・・・小野姫の父・熱田大宮司は六波羅に囚われの身となってしまう。父の身を案じ、小野姫は京へと道行し、結局、自身も囚われて・・・拷問の憂き目に遭うのだった。

お初の父と・・・大坂で一二を争う豪商・平野屋の大旦那の忠右衛門(岸部一徳)の間には何やらよからぬ因縁があると妄想するのが王道だろう・・・それはさておき・・・。

不孝糖売りの万吉(青木崇高)は茶屋の「天満屋」でのつけの支払いのために居残りを続けている。

「朝粥」を注文したお客のために部屋へとお届けする万吉。

しかし・・・その部屋では・・・。

「粥を食べたら帰らな・・・」

「帰らんといて・・・」

「無理を言うたらあかん」

「帰ったらわてみたいなもんのこと・・・忘れてしまいますのやろ」

「そんなことあるかいな・・・わてはお茶屋遊びは飽きるほどしてますが・・・裏を返したのは・・・お前が最初や・・・」

「ほんまかしら・・・」

「まして・・・馴染みになったのは・・・お初だけやで」

「とくさま・・・うれしい」

「お初・・・」

同じ遊女と二度寝るのが裏を返すで・・・三度目からはお馴染みさんだす。

ストーブさんじゃなくて・・・徳兵衛(小池徹平)はゴルゴ13のようなことを言いつつ、お初と見つめ合う。

「とくさま」

「おはつ」

「とくさま」

「おはつ」

泣きながらちかえもんこと近松門左衛門(松尾スズキ)の家へ走り出す万吉だった。

万吉はお初にぞっこんなのである。

その頃、ちかえもんは「学生街の喫茶店/GARO」(1972年)の替え歌を歌いながら竹本座二月公演の客の入りを確かめていた。演目は「出世景清」(再演・なんどめだ)・・・。

君とよくこの小屋に来たものさ

わけもなくお茶を飲み話したよ

お客はんで賑やかなこの小屋の

片隅で聴いていた義太夫節

あの時の節は聴こえない

人の姿も変わったよ

時は流れた・・・

閑古鳥が鳴いているのであった。

座主の竹本義太夫(北村有起哉)からちくりちくりと責められるちかえもん・・・。

「トミーも・・・いや、金主の平野屋さんも泣いてるで・・・」

「そやけど・・・書けんもんは書けんもん・・・第一、ネタ切れや・・・」

「ネタかいな・・」

その日は・・・元禄十六年二月四日・・・。赤穂事件の高家旗本の吉良上野介殺害犯が切腹した日である。

電光石火の早さで即日、大阪の街にも号外が・・・。

時空を越えたことに驚かない世界観で進行してます。

天啓に導かれる二人・・・。

「ネタや・・・」

「なんで気付かなかったんや・・・」

「大ネタや・・・」

「こらあかん・・・急がんと・・・」

サルでもわかる赤穂事件・・・サルはわからんと思うぞ。

元禄十四年(1701年)三月十四日、江戸城松之大廊下で浅野内匠頭が吉良上野介に刃傷沙汰に及ぶ。

即日、浅野内匠頭が切腹。

辞世「風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残を イカ煮とやせん」

三月二十三日、吉良上野介、お役御免となる。

四月十八日、赤穂城の明け渡し。

元禄十五年(1702年)十二月十四日、大石以下四十七士、吉良上野介を殺害。

元禄十六年(1703年)二月四日、大石内蔵助他四十六士、切腹。

辞世「あら楽し 思ひは晴るる 身は捨つる 浮世の月に かかる雲なし」

なお・・・寺坂吉右衛門のみは消息不明である。

「母上・・・邪魔をしないでいただきたい」

「心配よ・・・お前が頑張ろうとすると・・・ろくなことがないから・・・」

「母上・・・」

何故か・・・ちかえもんに冷たい母の喜里(富司純子)だった。

おそらくフォーク派ではなく演歌派(主に五木ひろし)なのであろう。

そこへ・・・恋に破れた万吉が乱入する。

徳兵衛のダークサイドのB.G.M.は「ウルトラQ」っぽいが、しおれた万吉のポーズはガラモンだかピグモンだかのスタイルっぽい・・・。

「ちかえもん・・・なんとかしてよ・・・」

「のび太かっ」

ちかえもんは相手が悪いと諭す。

「徳兵衛は・・・大阪一の商人の跡取り息子や・・・つまり、日本一の金持ちの遺産相続人だ・・・お前とでは勝負にならない」

「そんなのわかんない」

「とにかく・・・平野屋を見といで」

「一人じゃやだよ」

「しょうがないなあ」

「ついでにお醤油買ってきて」

ママにおつかいを頼まれるちかえもんである。

平野屋は醤油の商いから始め、一代で巨万の富を得たらしい・・・つまり、相当、悪いことをしているということです。

平野屋見学中の万吉とちかえもん・・・そこへ徳兵衛が帰ってくる。

考案されたての「剣鍔文様付き円型きんつば」を買って来た徳兵衛は店先で一人で味わう。

唾を飲み込む小僧たち・・・。

「うらやましいか・・・しかし・・・やらん・・・怨むなら親を恨め・・・俺のように平野屋の跡取り息子に生まれつかなかった身を呪え」

「にくたらしい・・・」とちかえもん・・・。

「あんな・・・筋金入りの親不孝者がおったとは・・・不孝糖売りとして・・・不明を恥じる」と感服する万吉。

「そこに感じ入るのかいっ」

その頃・・・「天満屋」には油問屋の黒田屋九平次(山崎銀之丞)が酒席の相談に現れる。

「器量よしの遊女」という指定を受け・・・女将のお玉(高岡早紀)はお初を訪ねる。

「お初・・・」

「女将さん・・・なんぞ御用ですやろか」

「お前も大分・・・愛想が身についてきたね・・・徳兵衛さんのおかげかい」

「・・・」

「今度は大事なお座敷だ・・・しくじるんじゃないよ」

「・・・」

「黒田屋様が・・・平野屋様を接待なさるんだ」

「平野屋様・・・」

「徳兵衛さんのお父上だよ・・・」

「・・・へえ」

お玉が去ると・・・遠くを見る目でお初は口ずさむ・・・。

「父は・・・都の六波羅へ・・・擒となりて・・・あさましや・・・うきめにあわせ給うとの・・・そのおとづれをききしより・・・・」

お初の心に去来するものは・・・果たして・・・。

「赤穂浪士・・・討ち入り・・・切腹・・・忠義・・・天晴・・・」

ネタを得たちかえもんだが・・・筆は進まない。

ショーケンがマザコン綱吉を演じた「元禄繚乱」風・・・討ち入りの場。

「おのおの方・・・いざ・・・討ち入りじゃ」

「お待ちを・・・草鞋のひもが切れました」

「・・・いざ・・・討ち入りじゃ」

「お待ちを・・・行燈の灯を消したかどうか・・・気になって」

「いざ・・・討ち入りじゃ」

「お待ちを・・・ここ、本当に吉良の屋敷ですか」

「・・・」

「討ち入れない!」

何故か・・・討ち入りに踏み切れないちかえもんだった。

「討ち入れよ・・・」と竹本義太夫・・・。

「気分がのらんものはのらん・・・」

例によって・・・お袖に愚痴るちかえもん。

「しょうもない・・・」

「お袖・・・↘」

「将軍様でも描けぬ世界を描くのが・・・近松様のお力・・・」

「お袖・・・↗」

お袖に転がされるちかえもんだった。

その頃・・・万吉と対峙した・・・徳兵衛は・・・不孝糖の商いで・・・父親譲りの商魂を見せる。

色の道に通じた徳兵衛にかかれば・・・女子供は釣り放題なのであった。

「わては・・・親不孝と言われても・・・手に入れたいものがあるのや・・・」

「不孝糖・・・お売りくださいませ」

飛ぶように売れる不孝糖なのである。

おやおやおやおや、不孝糖、親を泣かせてやろうとて拵え創めの不孝糖

浪速の街に徳兵衛と万吉のデュエットが鳴り響く・・・。

新コンビ結成なのか・・・。

一方・・・忠右衛門をもてなす黒田屋・・・。

「ぜひ・・・新しい商いに平野屋さんのお力添えをお願いしたい・・・」

「黒田屋さん、何を商うおつもりか・・・」

「輸入雑貨の店をやりたいと思うてます」

「それは・・・幕府ご禁制の品・・・」

「しかし・・・平野屋さんなら・・・」

「それで・・・わてがあんたに力を貸すとどんな利がありますのや・・・」

「・・・」

二人のやりとりを「ブレードランナー」のレプリカント・レイチェルのような瞳で見つめるお初・・・。

もてなしを終えた黒田屋はお初に漏らす・・・。

「さすがやなあ・・・こちらが弱みを握っている風に脅せば・・・譲らずに脅してくる・・・」

「平野屋さんに・・・弱みが・・・」と探るお初・・・。

「ふふふ・・・」

「ご禁制の品とはなんだすか」

「女はそないなこと知らんでええ」

「・・・」

結局、煮詰まるちかえもん。

「赤穂浪士・・・討ち入り・・・切腹・・・忠義・・・天晴・・・」

ちかえもんのコンセプト・メモを覗いた袖は言う。

「切腹して・・・なんで忠義なんやろか・・・死んだ殿様に義理だてしても・・・どないにもならんやろ・・・わてに言わしたら・・・四十七士なんて親不孝もんの集まりや」

「ええええええ」

根底を覆されたちかえもんは思わず尿意を催す。

厠へ向かうちかえもんは番頭の喜助(徳井優)を連れた忠右衛門にバッタリ。

「ええええええ」

そこへ・・・浮かれた徳兵衛と万吉がバッタリ。

「ええええええ」

一同は何故か・・・お袖の部屋へ。

「徳兵衛、平野屋家訓・・・ひとつ節約奨励、ふたつ放蕩厳禁、みっつ・・・なんや」

「忠孝万歳」

「その平野屋の息子が・・・人様に不孝糖を売るとは・・・この恥さらしが」

「・・・」

「喜助・・・江戸の寿屋に文を出せ・・・徳兵衛は修行に出す」

「大旦那・・・」と喜助。

「他人の家で辛抱ちゅうもんを勉強せい・・・」

「そんなことではどもならん・・・」と万吉。

「おい・・・」と息を飲むちかえもん・・・。

「このあほぼんは筋金入りや・・・けどな・・・不孝糖なんてもんを・・・売りきるお人をはじめてみたわい・・・さすが商人りせがれや・・・おそれいった」

「そんなもの売ったところで・・・ほめるわけにはいきません」

その時・・・ちかえもんは・・・魔性のものに憑依されるのだった。

「ほめといてあげなはれ・・・叱られてばかりではせつない・・・そうや・・・忠義・・・忠義て・・・息苦しいんや・・・武士なら切腹するのが当たり前・・・子供は親に孝行するのが当たり前・・・平野屋の息子は平野屋の息子として立派でなければならん・・・そんなの誰かてわかってる・・・そやかて・・・誰が好んで家族ほったらかして討ち入りせにゃあかんのや・・・平野屋の息子は苦しい・・・赤穂浪士も苦しい・・・人間だもの」

「やめい・・・なんでわてが・・・ものかき風情に・・・かばわれんとあかんのかいな」

徳兵衛は懐からきんつばを取り出す。

「今日はわてが自分で稼いだ金で・・・丁稚たちに土産買うたった・・・ご馳走してやろうてな」

「若旦那・・・」と喜助。

「もうええ・・・徳兵衛・・・明日から喜助について精進せい・・・平野屋の跡取りとして・・・一から修行や・・・手代からやりなおしなさい・・・」

「大旦那・・・」と喜助。

お袖は「なんとなくいい話」にうっとりするのだった。

しかし・・・その話を・・・黒田屋とお初は・・・立ち聞きしていたのだった・・・。

それほどやりたくなかった赤穂浪士たちの討ち入り。

豪商の跡取りとして生まれついた徳兵衛のせつなさ。

そして・・・プライドが高すぎて筆がすすまないちかえもん・・・。

つかの間・・・見えた光明に・・・たちまち・・・闇が迫りだすのだった・・・。

「おはつ・・・」

「とくさま~ん」

「いや~ん」

「・・・ふりだしか」

うっとりだね・・・もう、うっとりするしかないね。

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2016年1月28日 (木)

臨床犯罪学者火村英生の推理(斎藤工)人を殺したいと思ったことがありますか(山本美月)それは秘密です(窪田正孝)

人間は「謎」が好きなのか・・・「謎を解くこと」が好きなのか・・・。

よくわからない。

何故、月は明るいの?

太陽の光を反射しているからさ・・・。

あなたは「問題」と「答え」のどちらが好きですか・・・。

まあ・・・愚問といえば・・・愚問かもなあ。

「途中経過」が好きだという人も多いだろうしな。

自分の好きな人が自分のことを好きかどうかという謎に好き嫌いはないかもしれない。

謎の答えに好みがあるかもしれない。

好きという答えが好きな人が多いんじゃないか。

嫌いという答えが好きな人は単なる変態だしな・・・。

ミステリが好きなんて言う人は・・・ある意味、少しおかしいのかもね。

その謎の解明は危険だからやめておけ。

で、『臨床犯罪学者 火村英生の推理・第1回』(日本テレビ201601172230~)原作・有栖川有栖、脚本・マギー、演出・佐久間紀佳を見た。ホームズとワトソンのヴァリエーションという意味ではドラマ「掟上今日子の備忘録」という傑作が生まれたばかりである。ただし、原作が正統な本格ミステリであるかどうかは別の話だ。どちらかと言えば・・・こちらの方が由緒正しい本格風と言えるかもしれない。ただ・・・ドラマとして傑作になるかどうかは別の話だ。なにしろ・・・脚本家が素人だからな・・・。しかし、ホームズとワトソンということでは・・・英都大学の准教授・火村英生(斎藤工)と友人の推理作家・有栖川有栖(窪田正孝)は正統派と言える。まあ・・・ミステリの世界に本格とか、由緒とか、正統とか、素人とかを持ち込むのはどうかと思う。持ちこんでいるのは・・・お前だろうが。

舞台は関西方面で・・・実際に事件を捜査するのは京都府警の鍋島警部(生瀬勝久)、小野警部補(優香)、坂下刑事(清水一希)、八十田鑑識員(マキタスポーツ)と言ったメンバー。

「なんで部外者の意見を・・・」と学者と作家が臨場することに異議を唱える小野警部補。

「どんな意見でも事件が解決できればそれでいい」と応じる鍋島警部・・・。

京都の街には・・・謎の反社会的組織・シャングリラ十字軍が跋扈しているが・・・指導者の諸星沙奈江(長谷川京子)は拘留中である。

他にも・・・正体不明の謎の少年(小野寺晃良)とか・・・妖怪かもしれない火村の下宿の大家・篠宮(夏木マリ)とか・・・登場人物多過ぎの気配が濃厚だ・・・。

そんなわけで・・・英都大学社会学部の学生で・・・火村に興味を持つ貴島朱美(山本美月)の出番が少なすぎる・・・。

「人を殺したいと思ったことがありますか」と貴島が質問する。

「あるよ」と火村が答えるのは・・・一種の「主題の開示」である。

そのために・・・有栖もまた「人を殺したいと思ったことがあるのか」と問い・・・火村は「ある」と答えるのである。

有栖もまた「犯罪」を「面白い」と考えるタイプだが・・・実際の「犯罪者」に対する嫌悪の気持ちを持っている。

火村にそれがあるのかどうかは・・・「謎」で・・・有栖は・・・友人として・・・ある種の「危惧」を火村に抱いている。

つまり・・・「いつか・・・こいつ、本当に人を殺すんじゃないか」ということである。

初回サービスの二つの事件展開である。

第一の事件は・・・スピリチュアルアーティストのニック・ハレルヤ(戸次重幸)とマネージャーの吉永(音尾琢真)というコンビが一部お茶の間を熱狂させる。

しかし、二人はニックのアシスタント・金子ジュリア(留奥麻依子)と三角関係にあり、吉永がジュリアを殺してニックの部屋に隠し、ニックが部屋に戻って鍵をかけたところで・・・吉永が見えないロープで死体を引きずり出して、びっくり仰天の密室殺人を展開。

しかし・・・火村はジュリアと吉永がおそろいのアクセサリーをしていたので二人の関係を見抜き・・・「サプライズ好きっていうのは一種のバカだ」と断定する。

第二の事件は・・・ゲーム「絶叫城」に登場するキャラクター「NIGHT PROWLER(夜の徘徊者)」を模倣した連続殺人事件である。

最後の被害者がフリーライターの雪枝(入山法子)で・・・キャスティング的に重要だと考えた火村は・・・おい・・・真犯人を推理する。

真犯人はいかにも怪しいゲーム・クリエーターの水尾(松尾薫)ではなく・・・雪枝の弟の英児(高杉真宙)であることがキャスティング的に明らかだったのである。

三人連続で殺人していた弟に驚愕した雪枝は・・・被害者を装って自殺したのだった。

「なんでこんなことしたんだよ」と有栖。

「殺意と殺人の違いを・・・味わってみたかったんだよ」と真犯人。

「バカなのか・・・」

「その気持ち・・・わからなくもない」と火村。

「え」

その頃・・・謎の女子大生・貴島朱美は西日を受けて・・・眩暈を感じる。

まあ・・・なんか・・・そんな感じ・・・。

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2016年1月27日 (水)

デカパンと紐パンと肉なしパンケーキの祈りなんです(深田恭子)

サッカー漫画みたいだったなあ・・・。

アディショナルタイムでイラクのキーパーがパンチング・・・こぼれたボールを原川力が豪快にシュート!

日本 2-1 イラク・・・。

日本は6大会連続の五輪出場が決定・・・。

所はカタールのドーハである。

記録的な大寒波の襲来と・・・流れ落ちる中東の汗・・・。

世界は祝祭に満ちているなあ・・・。

それにしても深田恭子は可愛いなあ・・・脈絡がないにもほどがあるだろう。

だから・・・世界には奇跡が満ちているんだってば。

で、『ダメな私に恋してください・第3回』(TBSテレビ20160126PM10~)原作・中原アヤ、脚本・吉澤智子、演出・福田亮介を見た。なぜか・・・三十歳まで男性経験のない深田恭子そっくりの柴田ミチコ(深田恭子)だったが・・・便利グッズの会社「ライフニクス」の年下の同僚・最上大地(三浦翔平)からデートを申し込まれ舞い上がるのだった。ファーストキスを奪った男・黒沢歩(ディーン・フジオカ)とのデートのようなもので練習したミチコはついに・・・初めての本格的デートに挑むのだった。

何を書いても「スターウォーズ」みたいな気分になってくるんだな・・・。

「信長協奏曲」が首位に立ったみたいだぞ・・・フジテレビの発表だけどな。

しかし・・・まともな男とデートしたことのないミチコはかわいいパジャマで窓辺から星に願いをかけるのだった。

「どうか・・・デートが成功しますように・・・」

喫茶店「ひまわり」の二階の窓に浮かびあがる乙女の祈り・・・。

しかし、大家の歩は・・・乙女の背後に干された黄色いデカパンに釘付けになるのだった。

明らかに誤解を招くいつもの朝食風景・・・。

「心ここにないな・・・」

「デートがあるんです」

「あの・・・デカパンでか」

「見たんですか」

「祖母ちゃんが蘇ったのかと思ったよ」

「まるで私のパンツがババくさいみたいに」

「百パーセントババくさいんだよ」

「私、実家が寺なんです」

「そんなの言いわけになるか」

「・・・」

「つけま・・・とれてるぞ」

「う」

完全に仲良しさんだぞ。

「とにかく・・・何があっても貢ぐなよ」

「貢ぎません」

しかし・・・職場では・・・年下の先輩事務員である中島(内藤理沙)に仕事の尻ぬぐいを頼まれれば嫌とは言えないミチコである。

ミチコは中島に誘われ、パンケーキの店で牛丼五杯分の料金のランチを付き合うのだった。

(パンの中に肉が入ってない・・・おかずどこだよ)

かわいいぞ、ミチコ、かわいいぞ。

さらに厄介なことに・・・もう一人の年下の先輩社員である門真(佐野ひなこ)は中島の勤務態度に不満があり、年上のミチコに注意するように命ずるのだった。

「そんな・・・私・・・後輩だし・・・」

「一番、年上で・・・一番、仕事ができるじゃないですか」

「ひえ・・・」

「ガツンと言ってください」

「中島さんの分まで・・・私が頑張りますから・・・」

「あなたを見ていると・・・イライラします」

「・・・」

迫りくるデートの期日。押し寄せる残業問題。そして・・・事務員の内紛。

ミチコのキャパシティーはいっぱいいっぱいなのである

しかし・・・歩の言葉に従順なミチコは「恋の試合」に備えて「ランジェリー・ショップ」に向かうのだった。

だが・・・牛丼が十杯も二十杯も食べられる勝負下着のプライスに眩暈を感じる。

そこへ・・・歩の元カノである晶(野波麻帆)が出現する。

晶は「ランジェリー・ショップ」の店長だった。

「処女喪失用下着をお求めですか・・・」

「・・・」

「この紐パンなんか・・・お奨めですよ」

「ほどけたら大変じゃないですか」

「パンツは脱がされるためにあるのよ」

「ひええええええええええええええええ」

「ちなみに歩くんはTバックが好きだったのよね」

「ひええええええええええええええええ」

想像の限界を越えて話がよくわからないミチコは「ひもがほどけたら幸せになれるパンツ」を購入してしまうのだった。

すべては「処女喪失」という「試合」のためである。

とりあえず、拾ってきた猫をひもでじゃらすミチコだった。

かわいいよ、子猫、かわいいよである。

「今夜、デートです」

「どうせ、残業でドタキャンじゃないのか」

「うるさい・・・Tバックフェチ」

「・・・」

「否定しないんですか・・・」

「・・・デカパンかTバックかと問われたなら迷わずTバックだ」

「ゲッ・・・今日の私は違います」

「知るか」

しかし、歩の予言通りに・・・中島に残業を押しつけられるミチコだった。

ほどけそうなパンツの紐を押さえて走るミチコ。

だが・・・今の処・・・天使の最上は・・・イタリア料理店で・・・遅刻したミチコを笑顔で迎える。

「ごめんなさい」

まあ・・・深田恭子に頭下げられたら・・・何時間でも待つけどな。

とにかく・・・深キョンではなくブタキョンなのだと脳内変換しないとストーリーがスムーズに進行しないのが難点のドラマなんだな。

店員の水こぼし、注文ミスなども苦にせず・・・食欲全開のミチコ。

「柴田さんて・・・優しいですよね」

「貢ぎ体質っていうか」と口が滑るミチコ。

「貢ぎ体質?」

「いえ・・・実家がお寺なので・・・奉仕活動が当たり前になっちゃって・・・」

「柴田さんは・・・尽くすタイプなんですね」

「え」

「柴田さんは・・・きっといいお嫁さんになりまね」

「お嫁さん」というフレーズかお寺の鐘のように鳴り響くミチコである。

食事の後で「行きつけのバー」に誘う最上・・・。

しかし、処女のミチコは「試合」にびびり逃走するのだった。

「今夜はごちそうさまでした」

「わかりました・・・今夜は遅いし・・・送っていきますよ」

あくまで紳士的な最上。

ミチコはさすがに・・・誤解を招くと考え・・・歩との同居は隠す。

しかし・・・喫茶店「ひまわり」前で歩と遭遇。

「うわああああ」

「お知り合いですか」

「元上司で・・・店長です」

「ああ・・・喫茶店の・・・」

「今日はどうもありがとうございました」

「・・・」

「余計なこと言わないで・・・」

「デカパンの話か」

「うわあああああああ」

手をふるミチコ。

笑顔で応える最上。

「私・・・いいお嫁さんになれるって言われちゃいました」

「変わった奴だな」

「最上さんはすごく優しくていい人です」

「なんでそんな奴が・・・三十過ぎた借金持ちの女と・・・」

「何故でしょう」

なにしろ・・・深キョンなので当然なのだが・・・ブタキョンだから話が上手すぎると脳内補完しなければならない。

とにかく・・・店内に消える二人を・・・最上はこっそりと見ていた!

最上・・・善悪定かならず・・・。

ミチコは紐パンを自分で脱いで洗濯するのだった。

まったりとした・・・日曜日の喫茶店「ひまわり」・・・。

常連客の鯉田(小野武彦)の「昭和のオムレツ」をミチコが運び、ポチ(クロちゃん)がシルバーをセット、タマ(石黒英雄)が給水である。

タマ・・・潜伏してるよなあ・・・。

エリートヤンキーだからな。

新メニューの「肉肉しい柴田どん」をマスターが試食していると・・・。

朝ドラマでうっとりしていたようなご婦人方が来店し・・・カウンターに陣取る。

その熱烈ぶりに・・・批判的なミチコ。

「マスター、無理して笑ってますよね」

「いえ、それはちがいます」とテリー(鈴木貴之)・・・。

「どんなお客様にも寛いでいただける店にしたいと・・・マジで思っていると」

「・・・」

「でも・・・あのおばさんたち・・・慎みのかけらもないわよねえ」とポチ。

そこで常連客の鯉田の今日の色紙は・・・。

「女とはパンツを脱ぎ捨てるたびに恥を脱ぎ捨てる生き物である」

名言としては微妙すぎるだろう・・・。

むしろ・・・パンツを脱がない方が恥ずかしい時もあるぞ。

変態かっ。

ステーキ丼改良中のマスター歩。

「私にも肉くださいよ」

「お前・・・マカナイ食っただろう」

「お肉は別腹です」

「使い方・・・違うよなあ・・・食べたいなら・・・お願いして見ろ」

「お肉、食べさせてください・・・マスター」

「・・・」

「master?」

「発音じゃねえよ・・・お前にはプライドというものがだな」

「美味しい~」

「・・・そうか・・・だが・・・普通の女子向きではないよな」

「それなら・・・パンケーキとかどうですか・・・」

「パンケーキ?」

「普通の女子は昇天するらしいです」

「・・・」

パンケーキのスケッチを描きだすミチコに・・・マスターは「何か」を感じるのだった。

つまり・・・ブタキョンの中から深キョンがチョロ見えしたのだな。

一方、職場ではブリブリの中島とツッパリの門真の衝突が激化していくのだった。

ついに赤いデスノートが使われる気配である。

板挟みになったミチコは痩せる思いだが・・・もちろん、痩せない。

帰宅したミチコを待ち構えるマスター。

「紐パン・・・がんばったな」

「見たんですか」

「見えたんだよ・・・窓辺に干すな」

「・・・」

「それより・・・食え」

甘辛ループを狙ったひまわりパンケーキ。

「お肉がいいです」

肉食を禁じられた坊主の積年の怨みが結集した体質のミチコなのだった。

「いいから・・・食え」

「・・・うまっ・・・これ・・・この前食べたパンケーキより・・・百倍美味いです」

食い気味の感想・・・ミチコ、芸が細かいなあ・・・。

「メニューに出せるか」

「出せます・・・う・・・練乳が残業疲れを癒す」

「お前も・・・いい加減、人の分まで残業するな」

「でも・・・誰かがやらないと・・・」

「サボるな」

「え」

「お前が新人なら・・・それもいい・・・しかし、お前もベテランの領域に入って来た・・・」

「ベテラン」

「年下の人間を育てられないのは・・・怠惰と言える」

「でも・・・注意なんかしたら絶対泣かれます」

「だから・・・サボるな・・・困難から目をそむけるなと言っている」

「そんな・・・明治維新の元勲みたいなことを言われても・・・」

「お前はこれから一生働くことになる・・・そうなれば周囲は年下ばかりだ・・・指導力を身につけろ」

「・・・脅しているんですか・・・」

「励ましてるんだ」

サーロインステーキ抱き枕を抱きしめるミチコ・・・。

(一生働くのか・・・)

そこに・・・最上からデートのお誘いが着信する。

思わず、紐パンに祈るミチコだった。

「身につけたい 指導力より 紐パンツ 」・・・みちこ、心の一句。

ちびまる子ちゃん世代なんだな。

紐パンツは季語になるのか・・・。夏か・・・いや、春じゃないか。

インサートされる・・・最上の黒い噂。

女子社員には誰でも声をかける。

女子社員をコンサートに誘っている。

合コンの帝王である。

根っからの色事師・・・。

まあ・・・誰にでも優しいのは・・・一種の罪だからな。

そして・・・門真に注意されたことをミチコに愚痴る中島・・・。

「ひどいでしょう・・・」

「でも・・・それは・・・悪いことではないから」

「え」

「ミスしたのは中島さんでしょう」

「そんな・・・私のこと・・・嫌いなんですか」

泣きだす中島だった。

「あのね・・・徹夜で仕事してマジで笑顔ふりまいて・・・そんな人だったらパンツ見られても平気っていうか・・・主任みたいな」

「パンツ?・・・主任?」

「いや・・・たとえとして・・・中島さんが本気で仕事して・・・本気でミスしたんなら・・・私も本気で助けるってこと・・・でもミスするのは仕方ないって思ったらダメ・・・そういう人には誰もついてこない」

「ついてこなくて結構です」

泣きながらパンケーキに向かって走り出す中島・・・。

「注意するの・・・下手ですね」と門真。

「・・・すみません」

「いえ・・・この間は私も言いすぎました・・・よかったら・・・ランチ、一緒にどうですか」

ミチコは門真にランチを誘われた!

ちなみに・・・ミチコが最上からもらった「いい香り」のハンドクリームを門真も使っている。

そして・・・門真の好物は・・・「豚肉炒めバターのせ」である。

ミチコはこってり仲間を入手した!

「柴田さん・・・最上さんと・・・何かありますか」

「え・・・何もないよ・・・なんで」

「女の勘です」

「女の勘なんて・・・本当にあるのかな」

「主任というのは・・・元カレですか」

「え・・・そんな・・・なんで」

「仄かに柴田さんの主任への愛情が感じられました」

「それはありません・・・女の勘なんて当てにならないよ」

「好きな人に関して特別な直感が女には働くと言いますが」

「とにかく・・・主任より豚肉の方が好きだもの」

「そうですか・・・無理を言ってすみません・・・注意は私がします」

「え」

「柴田さんはフォローをお願いします」

「はい」

夕暮れ・・・迫る退社時間・・・。

中島は固い表情で・・・仕事をしている。

「大丈夫・・・手伝おうか」

「今、本気でデータ入力しているので・・・邪魔しないでください」

「じゃ・・・困ったことがあったら・・・言ってね・・・私もまだ残業するから」

「・・・ありがとうございます」

ミチコは本気の残業仲間ができた!

・・・サクサク進行したぞ・・・。

「自分が働くより人を働かせるほうが難しいんだよ」という主任の言葉に従順なミチコ。

もちろん・・・そこが・・・ダメ恋の本筋なのである。

調子に乗ったミチコは便利グッズの社内コンペに応募する勢いだ。

企画は「パンツも干せる目隠し付き物干しハンガー」・・・。

とにかく・・・門真の好きな人は最上なんだな。

喫茶「ひまわり」には花屋の春子(ミムラ)が訪問していた。

「春子さん」「歩くん」と呼び合う二人に胸騒ぎがするミチコ。

店内は草花で満ちている。

「模様替えですか・・・」

「ドタキャンされたので・・・しばらく置いてほしいって・・・ふふふ」

マスター歩の笑顔に「女の直感」が作動するミチコ。

(マスターは春子さんが好きなんだ・・・)

しかし・・・初心者なので・・・だから・・・自分がマスターを好きだとは感じないミチコだった。

「今度の土曜日・・・お店休んでいいですか」

「残業か・・・」

「デートです」

「とにかく・・・サイフは開くな・・・貢ぎ癖が出たらいかん・・・」

「何さまですか・・・」

「お前の借金を肩代わりして、部屋を貸し与え、アルバイトとして雇用しているマスターだ」

「はい・・・マスター」

「とにかく・・・お前はアホに貢ぐプレミアムアホだからな」

「このエロメガネ」

一触即発の危機に息を飲むバイトくん一同。

しかし、マスター歩は振りあげた鉢植えの花をミチコに贈る。

「この花は・・・お前の部屋に飾れ・・・」

「ありがとうございます」

ミチコの胸の中には自覚なきマスターへの恋心が隠蔽されている・・・その上で・・・最上へのデートに向けて紐パンを装着するのだ。

その恥ずかしい光景に思わず目を伏せる名前のない猫だった・・・。

クリスマスローズに水をやる男(竹財輝之助)と春子とマスター歩の回想シーン。

三人は仲睦まじい・・・その関係はまだ秘密らしい。

春子がどんなパンツを履いているのかも秘密だ。

そして・・・色違いのダッフルコートでペアルックな感じのミチコと最上の映画館デート。

飲み物は二人で手を繋いで買う。

涙なくしては見れない映画を二人で泣いて鑑賞。

「ああいう映画に弱いんです」

「私も・・・この間、主任と見たゾンビ映画は最悪でした」

「主任って・・・柴田さんの恋人ですか」

「とんでもない・・・保護者みたいなものです」

「よかった・・・僕・・・もしかしたら・・・柴田さんはあの人と付き合ってるんじゃないかって・・・そしたら・・・眠れなくなって・・・」

「・・・」

「僕・・・入社した時からずっと柴田さんを見てきました・・・そしてデートしたら・・・どんどん好きになってしまいました・・・」

「・・・」

「結婚を前提としてお付き合いをしてください」

「ひえ・・・」

「結婚を前提として・・・」

「結婚、ケッコン、けっこん、血痕、け・・・」

お茶の間も御存じのように・・・ラブコメで第三話にプロポーズする男は・・・アホなんだな。

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2016年1月26日 (火)

あなたの名前を教えてください(有村架純)

最近、近所を歩いていると半分くらいは外国人である。

東京は・・・どうなってしまうのか・・・とふと思う。

しかし、大相撲では日本人力士が十年に一度しか優勝しないわけである。

そのうち・・・散歩中に日本人を見かけない日が来るのかもしれない・・・。

もちろん・・・今も昔も・・・東京は余所者が多数派を占める街である。

人が流れ込んでくるから大都会なのであり・・・大都会には人が流れ込んでくるものなのだ。

そこで迷子になったら大変なのである。

まあ・・・住所さえ・・・覚えていればなんとかなるけどな。

昔、繁華街で癇癪を起こしはぐれた弟(当時5才)はタクシーで帰宅して両親を蒼白にさせたことがある。

タクシー料金は隣の家の方が支払ってくれたのだった。

今だったらどうなるか・・・わからないけどな。

隣の人が日本人とは限らない時代だしな・・・。

で、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう・第2回』(フジテレビ20160125PM9~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。私生児だった杉原音(有村架純)は幼年時代に母親と死別し、北海道八羽根町(フィクション)の伯母夫婦に育てられたが・・・そこは地獄だった・・・土地の名士に売られそうになった音は・・・盗難品を届けに来た善意の第三者・・・「柿谷運送」のトラック運転手である曽田練(高良健吾)に誘われて東京にやってくるが・・・その日のうちにはぐれてしまう・・・。しかし、音は・・・名前も知らない男に・・・すでに恋をしていたのだった。

なぜなら・・・男が住んでいると言った・・・「雪が谷大塚」という地名を一度聞いただけで忘れなかったのである。

音はガソリンスタンドでアルバイトをしながら・・・介護士の資格をとる勉強をして・・・介護施設を経営する春寿の杜に就職すると・・・東急池上線「雪が谷大塚」駅まで徒歩20分のアパートを借り・・・「彼」を捜す・・・あれから・・・一年が過ぎ去っていた。

音の最大の娯楽は「駅前」での張り込みなのである。

今は・・・2011年の・・・冬の終わり。

まもなく・・・あの三月がやってくるのだ。

百貨店「オイオイ」のある街へ通勤する音は雪が谷大塚駅の南口のコインランドリーを利用する。

そして・・・練は・・・北口のコインランドリーを利用をしていた。

練はバス通勤であり・・・下車するのは「雪が谷三丁目」停留所(フィクション)である。

ちなみに・・・雪が谷大塚駅と東急バス(田園調布~蒲田)の「雪が谷」停留所は微妙に距離がある。

北側は「田園調布に家が立つ」で有名な高級住宅地だが・・・東京としては辺境である。多摩川を渡れば神奈川県なのである。

東京で男と女がすれ違いをくりかえし・・・やがて再会する場所としては無難と言える。

音が眠るアパートからそれほど遠くないアパートで練は幼い頃の夢を見ていた。

学校から帰って来た小学生の練は・・・祖父の曽田健二(田中泯)の畑で農作業を手伝う。

両親のいない練は祖父と一緒に働くことに喜びを覚えていた。

「さすけねえ・・・」

健二の口癖は・・・さすけねえ・・・方言で心配ないという意味・・・である。

そこは・・・会津だった・・・海から遠くて一安心である。

郷愁を誘う夢の世界で練は枕を濡らす。

背中合わせで寝ている窃盗の常習犯・中條晴太(坂口健太郎)・・・。

自分のものと他人のものの区別がつかない男だが・・・それほど悪い人間ではないらしい。

それにしても・・・季節を考えれば寒すぎる寝具である。

人の温もり暖房システムか・・・風邪ひくぞ・・・。

練は出勤前に・・・近所の一人暮らしの仙道静恵(八千草薫)の庭に水をやる。

庭付き一戸建て・・・古いながらも静恵は資産家と言えないことはないが・・・庭には綾瀬はるかが殺した死体が埋まっていそうだ。

「練くんは・・・さびしい人間を放っておけないのよね」

「あ・・・大学イモ」

そこには・・・音から練を奪い去った市村小夏(森川葵)がいる。

小夏は練の会津での幼馴染で・・・デザイナーになるために上京したらしい。

現在は・・・名もなき劇団で衣装を担当しているようだ。

「デザイナー・・・そんなのたくさんいるからな」と腐す晴太。

晴太は・・・練を自分のものだと思っているので関係者には冷たいのだ。

「じゃ・・・紹介してよ」

「おい・・・また・・・そんな風にホイホイと知らない奴にあって・・・」

「あの時は・・・東京に来たばかりだったから」

「おかげで・・・俺はあの子とはぐれた・・・」

「あの子って誰よ」

「・・・なんでもねえ」

練もまた・・・音のことが気がかりだった。

しかし・・・住所も知らない人間を東京で捜すことは無理だと思っている。

「おじいちゃんに連絡した」

「いや・・・」

「この前・・・うちの母ちゃんが電話で話したって・・・お風呂壊れて三十分も歩いて温泉に行ってるらしいよ」

「・・・」

坂道で小夏は練におぶさる・・・おそらく・・・小夏は年下で・・・妹気分なのだろう。

練が出勤すると小夏は晴太と親睦を深める。

「練は両親いなくて・・・おじいちゃんの畑を継ぐつもりだったんだけど・・・おじいちゃん、畑をだまし取られて・・・練は畑を買い戻すお金を稼ぎに東京にきたんだよ・・・だけど・・・たまには帰ればいいのに・・・おじいちゃん・・・さびしがってると思うんだ」

「他人に・・・知人のおいたちを語るなよ・・・個人情報保護ってものを・・・まあ、馬の耳に念仏か・・・それはそれとしてあいつは帰れないだろう・・・金が出来てないんだから・・・帰ったら・・・夢が覚める」

「なんでよ」

「東京にいれば・・・いつか夢がかなうって・・・思っていられるからさ」

「・・・」

「あんただって・・・デザイナーになれなくたって・・・東京にいればいつか夢が叶うような気分でいられるんだ。東京はいつか夢を叶えてくれるって・・・そういう夢を死ぬまで見せてくれるところだからな」

「・・・」

「あんたはたぶん、死ぬまでデザイナーなんかになれないさ」

「なんでよ」

「だって・・・今、着ているものにだってファッション・センスがまったく感じられないもの」

「ひどい」

晴太は・・・とにかく心の闇が・・・滲みでるタイプらしい。

柿谷運送の金髪の上司である佐引穣次(高橋一生)もまた夢を見続けているタイプらしい。

いつか・・・名のある音楽プロデューサーになる予定なので「引越し屋さん」の仕事には興味がない。

同僚の加持登(森岡龍)は穣次の話に適当に相槌を打つ。

その結果、天地の指定のある荷物を逆さに運搬し・・・アンティークもののスピーカーを破損してしまう。

「設置したのは誰・・・」と女社長の神谷嘉美(松田美由紀)は責任転嫁の相手を探す。

「設置したのは・・・僕ですが・・・運搬に問題があったんです」と練は事情を説明する。

「とにかく・・・設置したのはあなたなんだから・・・賠償金の二十万円、お願いね」

「そんな・・・前の会社では・・・保険が」

「ここじゃ違うのよ・・・全部、自己責任よ」

練は言葉を失う。

帰宅した練を日向木穂子(高畑充希)が待っている。

「あわてなくてもいいのよ」

「でも・・・寒そうだから」

「おしゃれをしている女にそんなこと言っちゃダメよ」

二人のドアの前のやりとりを盗み聞きする晴太と小夏。

平気で二人に続いて部屋に入ろうとする晴太を制する小夏。

「邪魔しちゃだめよ」

「なんで・・・別に練は・・・彼女のこと好きなわけじゃないだろう・・・」

「何言ってるの・・・好きでもない人とあんなことしないでしょう」

「・・・」

晴太の洞察力は・・・単に独占力が強いだけだとも考えられる。

しかし・・・小夏の頭もそれなりに軽いのである・・・あまりんだからな。

「彼の奥さんに二人目の子供ができたって・・・」

どうやら・・・木穂子は不倫をしているらしい。

「あなたにまで・・・見捨てられたら・・・私・・・どうしていいかわからない」

「・・・」

とにかく・・・練は「さびしい人間」を放置できないのだった。

しかし・・・それと・・・「恋」とは別物なのである。

木穂子は・・・なんらかのおしゃれな業界に所属していると思われる。

「衣食住」の順で「恋愛する」などというマニュアル的な発想は広告業界の人間かもしれない。

いかにも経済的に不釣り合いな練との交流についてどの程度明らかになるのかは不明だが・・・おそらく・・・一連の「奇妙なセリフ」は壊れてしまった・・・壊れかかっている木穂子の内面描写であり・・・別に恋愛哲学の話ではないのである。

高畑充希はそういう空虚なセリフを押し殺した演技で見事に表現しているのだ。

練と木穂子の心と体が怪しく交錯する間も・・・。

練と音は雪が谷大塚駅の北と南ですれ違いを繰り返す・・・。

音がいくら待っても改札口から練が現れることはない。

池上線もモータリゼーションの波に・・・ま、東京の場合は共存可である。

音の働く大手介護施設の神部正平所長(浦井健治)から漂うブラックな気配。

音の同僚であるケアワーカー・船川玲美(永野芽郁)から漂うイージーな気配。

音の先輩である介護福祉士の丸山朋子(桜井ユキ)だけはなんとなく・・・仕事のできる女の気配が漂う。

案の定、船川は出勤状況が思わしくなく・・・ただ同期というだけでシフトのしわ寄せを神部は音に押しつける。

「しかし・・・早番の後に遅番というのは無理があります」と丸山は進言。

「介護にまったなしです・・・やってくれますよね」

「・・・やります」

しかし・・・船川は出勤せず・・・24時間働き続ける音だった。

「トイレの掃除お願いします」

「はい」

「汚れちゃったのでトイレの掃除お願いします」

「はい」

「トイレの掃除お願いね」

「はい・・・」

披露困憊である。

「無理なシフト押しつけられちゃったんだって・・・今度ご飯食べにいかない?」

音は覚えていないがガソリンスタンド時代から音に目をつけている「春寿の杜」の御曹司・井吹朝陽(西島隆弘)である。

「・・・」

「僕のこと覚えていない?」

「はい」

「誰が好きな人でもいるのかな」

「います」

「・・・」

昔ながらの金持ちの御曹司と・・・貧しい美少女の関係である。

ようやく・・・船川が現れる。

「帰っていいよ」

「もう・・・終電が・・・」

「深夜バスがあるわよ・・・」

「バス・・・」

音はようやく・・・東京には同じルートをつなぐいくつもの交通手段があることを知るのだった。

「さびしい生き物」も放っておけない練には気がかりなことがあった。

近所の庭にいる仔犬が・・・虐待されているのである。

飼い主の愛情が薄れ・・・あるいは・・・憎しみとなって・・・仔犬に襲いかかっているらしい。

おそらく・・・恋愛関係のトラブルがあったのだろう。

「あなた・・・犬が可哀想じゃないですか」

「文句があるなら・・・保健所に連れていくか・・・あんたが死になさいよ」

「・・・」

そして・・・ついに飼い主は新しい犬を購入した。

庭から・・・犬が消えたのだ。

もちろん・・・音の亡き母のダークパワーが飼い主の心を破壊したのである。

犬を捜して雪が谷の街を彷徨う練。

そして・・・深夜バスで雪が谷に戻って来た音は・・・人気のない場所に繋がれた仔犬を発見するのだった。

「あんた・・・飼い主は・・・」

「・・・」

「しょうがないな・・・」

犬を抱えて家路を急ぐ音・・・しかし・・・睡眠の不足は限界に達しようとしていた。

ああ・・・なんという麗しさ・・・雪谷遭難である・・・そこかよっ。

ついに交差点で力尽きる音・・・。

救助者の遭難に・・・悲鳴をあげる仔犬。

その声は・・・さびしいものを見逃せない練に届くのだった。

「君・・・」

「逢えた・・・」

「大丈夫か」

「・・・犬は・・・」

「大丈夫だ・・・この犬には飼い主がいない・・・」

「・・・私たちと一緒ね」

「うん」

「もし・・・いやじゃなかったら・・・引越し屋さんの名前を教えて・・・電話番号も・・・」

「・・・」

「私・・・東京で・・・なんとか・・・」

「・・・」

「近寄らないで・・・お風呂に二日入ってないから・・・」

音は眠りこんだ。

目が覚めると・・・そこは見知らぬ家。

練は故郷に電話をしている。

「じいちゃん・・・おれだよ・・・うん・・・さすけねえ・・・正月・・・帰れなかった・・・うん」

涙ぐむ練・・・。

もらい泣きをする音・・・。

泣き寝入りした音がもう一度、目覚めると仙道静恵がメモを渡してくれた。

「これ・・・練くんがあなたに渡してくれって・・・」

音の願いはかなえられた。

「曽田練・・・中国人じゃないよね」

問題の二十万円を練に無断で支払う木穂子。

練は木穂子を彼女の職場近くの高級喫茶店に呼び出す。

「怒った・・・」

「ありがとうございました・・・どんなことがあっても・・・必ず返済しますから・・・」

「・・・」

しかし・・・練は一杯千円のコーヒー代を持っていなかった。

木穂子は練に何を求めているのか・・・。

練は木穂子に何を報いようとしているのかは謎である。

音の職場では軽薄な御曹司の朝陽が別の顔を見せる。

西島くんにはいつか・・・「耳なし芳一」をやってもらいたいねえ。

理想のお稚児さん顔だよな。

「彼は・・・認知症のケア専門士を目指しているの」

「老女専門のホストみたいな・・・」

「・・・」

寝たきりの老人に囁く朝陽・・・誤解をさけるために男性患者にしておけばよかったな。

「僕はね・・・一万光年先から届く星の光が好きです・・・人の命や想いも互いに時を超えて・・・どこかへ届いていくんじゃないかなって思います」

老人は何を言われているかわからなかった・・・。

しかし・・・音を守護する亡霊は頷いた。

(もちろん・・・そうよ・・・心にうずもれた星たちが・・・呼び合うのよ・・・)

その頃、徹夜でミシンを使用していたあまりんは叫んだ。

「神は死んだのですね・・・ニーチェ先生!・・・つまりお客様は神様ですというのは・・・客なんか死ねっていうことなんですね・・・松井玲奈・・・やるわね・・・結構、要注意ね」

放送枠拡大・時間延長のために妄想が強くなっています・・・ご注意ください。

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2016年1月25日 (月)

高梨内記の娘を愛さなかったわけではない・・・堀田作兵衛の娘をより愛したのだ(堺雅人)側室三昧かよっ(長澤まさみ)

信繫の母・山手殿の父親が誰かは諸説ある。

真田氏的には菊亭晴季の娘となっている。

武田信玄の正室の実家・三条家とほぼ同格の家格である菊亭家の娘を・・・いくら・・・信玄がお気に入りだった真田(武藤)昌幸とはいえ・・・正室にできるのか・・・と疑問をもたれているわけである。

山手殿は天文十八年(1549年)頃の生まれとされているが・・・天文八年生まれの菊亭晴季は当時十歳なのだ。

ものすごい早熟だと言えないことはない。

このドラマの山手殿は・・・雅なところがあり・・・可能性は残されている。

昌幸と山手殿の結婚は政略結婚だったので・・・信玄は山手殿を養女にしたとされている。

山手殿の父親候補の一人に今川家の家臣だった尾藤重吉の子・尾藤(宇多)頼忠がいる。

桶狭間の合戦で今川氏が崩壊すると父・重吉は森可成に、兄・知宣は羽柴秀吉に臣従したが・・・頼忠は武田氏に臣従したのである。

新参の家臣と・・・子飼いの家臣に婚姻関係を結ばせる・・・信玄の戦略意図はなんとなく窺われる。

尾藤氏は元は信濃国に出自があるために・・・真田氏とは同郷の誼があるわけである。

今川氏もまた・・・京の公家衆とは昵懇である。

ひょっとしたら・・・山手殿はそういう公家の落胤の可能性がないわけではない。

つまり・・・頼忠が晴季の娘を養女にした可能性はないとは断言できないのである。

なにしろ・・・その頃は・・・公家も落ちぶれていたのである。

とにかく・・・信玄の命令で山手殿を嫁にした昌幸としては・・・有り難いと思う他ないのだった。

長篠の合戦で武田氏が敗北すると・・・頼忠は兄を頼って秀吉に臣従する。

そして・・・本能寺の変の前には山手殿の妹が石田三成の正室になっている。

山手殿の妹は関ヶ原の合戦の直後に果てるが・・・山手殿は徳川家に臣従した嫡男・信幸とともにあり、慶長十八年(1613年)まで生きる。

二年後の次男・信繫の死を見ずに逝ったのである。

真田家が山手殿の父親が宇多頼忠であることを隠匿したのは・・・頼忠が石田家とともに滅んだからだという説がある。

信幸も必死だったのだ・・・。

とにかく・・・信幸の母の山手殿は・・・たとえ・・・公家のご落胤でなかったとしても・・・それなりに数奇な人生を送ったと言えるだろう・・・。

DNA鑑定のなかった時代・・・誰が父親かなんて・・・母親にもわからないかもしれないのである。

昔はよかったなあ・・・。

で、『真田丸・第3回』(NHK総合20160124PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は父の名は堀田作兵衛、兄の名も堀田作兵衛という・・・真田信繁の娘・阿菊の母・描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。待ちに待った側室・きり(長澤まさみ)と側室・梅(黒木華)が同時に登場。お茶の間大河ドラマの見えない掟を破り、男のロマン爆発でございます。正室愛妻家しか主人公になれないなんてくそくらえ攻撃でございますな。思わず万歳三唱です。主家のわがまま次男に振りまわされる高梨内記の娘、かわいいよ、高梨内記の娘でございますねえ・・・。そして・・・未来の弁護士を彷彿とさせる色事師・信繫・・・。ニヤニヤにふりまわされるガッキーの如き長澤まさみ・・・この二人は「ドラゴン桜」のダブル・ヒロインですからな。ニヤニヤ・・・。本当にニヤニヤ・・・。ニヤニヤが止まらない真田丸最高~!

Sanada003守護大名・小笠原氏と国人領主が暗闘を繰り広げ・・・ついに信濃国には有力な戦国大名が誕生せず・・・他国の侵略を許す。チャンスがあったのは諏訪氏、村上氏、木曽氏であろう。しかし、甲斐の武田氏は信濃国内の不一致につけ込み、信濃国の植民地化を達成したのである。真田氏は旧・村上グループでありながら・・・武田氏に臣従すると、信濃国から村上勢力の駆逐に邁進する。真田昌幸の父、幸隆は調略の達人であった。小勢力を一本化し、大勢力は分割する。人の欲を煽り、裏切りに導くのが常套手段なのである。父の病死、二人の兄の戦死によって真田家の後継者となった昌幸は・・・調略上手の上に・・・実戦でも無類の強さを発揮する。まさに・・・戦の鬼と化したのである。村上家臣団の海野氏グループをまとめ上げた昌幸は・・・村上家臣団本流の高梨氏をとりこみ、さらには一大勢力である屋代グループの切り崩しを画策する。織田・徳川・北条・上杉という巨大な戦国大名に包囲された今、国人領主の足の引っ張り合いなどしている場合ではない。真田一族が仕切らなければ滅亡である。反抗する奴は暗殺するしかないんだからね・・・なんだな。

天正十年、四月・・・。織田軍団の森長可は信長より北信濃四郡を拝領し、交戦中の上杉家と国境を接する海津城に入城する。織田軍には忍びあがりの軍団長が多い。

森氏は美濃の忍び、滝川氏は伊賀の忍び、羽柴氏は尾張の忍びである。

森軍団は鉄砲忍びを多く抱え、織田家嫡子の信忠と担当した高遠城攻めでは・・・徹底した銃撃の後の斬りこみにより、篭城した武田勢を殲滅している。

武田家と同盟中だった上杉景勝は・・・ただちに北信濃の一揆を煽動し、海津城を包囲させるが森軍団は討って出ると一揆勢を虐殺する。

生き残った北信濃の国人衆は森長可に人質を差し出し、森軍団は・・・越後越中国境で上杉勢と激突する柴田勝家軍団を援護するために出陣の準備を開始する。

真田昌幸は・・・甲州で忍び衆を率いていた村上氏出身の出浦対馬守守清を森軍団に臣従させていた。

出浦対馬守もまた・・・真田忍びの頭目の一人である。

四方を山で囲まれた真田の里は・・・古くから修験者の修行の場であり・・・伊賀や甲賀と並び・・・忍びの修行の場だった。

もちろん・・・真田昌幸も忍者であり・・・無数の影武者を使って神出鬼没なのである。

真田昌幸の嫡男は信幸とされているが・・・それは表の話である。

裏の嫡男は・・・真田源太郎幸村と呼ばれ・・・真田の里で・・・真田忍軍を総べているのだった。

小山田氏の一族には昌幸の娘婿の小山田茂誠が忍んでいるように・・・。

上野国の沼田城を守る昌幸の叔父・矢沢頼綱に従う名胡桃城主・鈴木忠重は雑賀党鈴木氏と同族の鉄砲忍びの一族である。

鈴木一族は北条の風魔一族と対峙して上野国・真田領を死守している。

一方で昌幸は影武者の一人である弟・信尹を同盟交渉の使者として北条家に遣わしている。

しかし・・・武田の影の支配者である真田一族も・・・圧倒する実力者が出現したのである。

織田信長はすでに信濃の支配の手配を終え・・・富士山を見物し、東海道に出た。徳川家康が接待し、駿河では北条氏政と面会をする。

今や、武田は消え・・・上杉は消えつつあり・・・そして北条も沈黙した。

そこにはただ織田があるだけだった。

魔王である織田信長の支配する世界・・・。

真田の忍びである佐助は・・・信長の動向を追っていた。

変装の名人である佐助は・・・家康配下の足軽として大胆に潜入を果たしている。

甲斐国は川尻秀隆に与えられた。

滝川一益は上野国を与えられ・・・箕輪城から厩橋城に入城する。

上野国の真田一族は・・・ただちに滝川一益の軍門に下った。

武田家の滅亡は四月・・・そして運命の六月まで・・・。

真田の忍びたちは息をひそめる・・・。

静まりかえった真田本城である松尾城・・・昌幸は・・・新たな支配者・織田信長の命運を占う。

そこに現れた卦は・・・。

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2016年1月24日 (日)

謝罪も感謝も義の心を欠けば空虚にゃん(亀梨和也)ごめんねそしてありがとう(広瀬すず)

何度も言っていることだが・・・義の本質は自己犠牲である。

自分を殺して他者あるいは世界に捧げることが「義」なのだ。

我を生贄の羊とすること・・・すなわち義なのである。

溺れている人間がいれば・・・自分が溺れてしまう危険性を省みず水中に身を投じることが「義」だ。

主君が命ずれば躊躇わず切腹して果てることが「義」なのである。

二十歳になったら献血だって「義」と言えないことはない。

大義のためなら自爆テロだ。

つまり・・・「義」という言葉に踊らされたら・・・とんでもない結果が待っていることは間違いないのである。

それでも「義」を唱えるものは・・・自らも「義」となる覚悟を求められています。

気を付けよう・・・甘い言葉と「正義」の誘惑・・・。

他人にとって都合のいいことが・・・自分にとって都合がいいとは限らないものね。

で、『怪盗 山猫・第2回』(日本テレビ20160123PM9~)原作・神永学、脚本・武藤将吾、演出・猪俣隆一を見た。神出鬼没、正体不明、新垣結衣(フィクション)も惚れているに違いない、自称・怪盗探偵・山猫(亀梨和也)は・・・天才ハッカー・魔王こと高杉真央(広瀬すず)の父親の悪事を暴き・・・犯罪者として貶めた。チーム山猫の一員である宝生里佳子(大塚寧々)は路地裏のカフェ「STRAY CATS」で高校生の真央を保護下におく。時々失禁してしまうらしい山猫は・・・今日も下半身を濡らすのだった。

「忘れてしまいたいことや~」と魔王の枕元で歌う山猫。

「なんでお股が濡れているのよ」と目覚めた魔王は山猫の下半身を睨む。

「カップラーメンのスープがこぼれたのさ」

「うそ・・・おもらしでしょ・・・」

「もらしてねえよ」

問答無用で音響兵器を作動させる魔王。

「やめろ・・・耳がキーンとなる」

しかし・・・魔王の音響攻撃の効能を認める山猫だった。

「よし・・・作動の合言葉はもらしてねえよだ・・・そしたら・・・お前はアイアイサーと答えるんだ」

「誰がサー(ご主人さま)なんだよ」

「アラホラサッサーでもいいぞ」

「お前はドロンジョ様か」

朝から女子高校生とイチャイチャする山猫・・・。

しかし・・・チーム山猫の素晴らしいインターネットの世界担当の細田(塚地武雅)が何者かに殺害されたニュースに凍りつく魔王。

「あんたが殺したの」

「俺は脅しただけだ」

そこへ・・・雑誌記者の勝村英男(成宮寛貴)が現れる。

「やはり・・・君が・・・」

「殺してないってばさ」

「なるとか・・・しかし、銃声が」

「脅しただけだ・・・」

山猫は・・・ぽっちゃりした細田に裏切りの理由を尋ねた。

「仕方ないんだ・・・ユウキテンメイの命令だから」

「ユウキテンメイ・・・」

漢字さえ不明の謎の登場人物だが・・・山猫には心当たりがあるらしい・・・。

「実は・・・細田は・・・ある芸能事務所のアイドルタレントの自殺について調べていた・・・」

「え」

「何か・・・関係があるかもしれない・・・魔王、調べてくれ」

「私には関係ないわ・・・それに二度とハッキングはしないと決めたの」

「じゃ・・・あんた・・・調べてくれ」

「え」

山猫に弱みを握られている勝村だった。

「しかし・・・本当にお前がやったんじゃないのか」

「あの日・・・細田の靴下は白だった・・・しかし・・・発見された死体の靴下は黒だ」

山猫を信用していない勝村は大学の後輩である霧島さくら刑事(菜々緒)にお願いするのだった。

「本当は現場写真なんて・・・見せてはいけないんですよ」

「秘密は守る」

「私・・・疲れてるんです・・・できたら、ラブのつくホテルでいいから休みたいんです」

二人はラブのつくホテルが窓の外に見えるカフェで密会していた。

「靴下は・・・黄色じゃねえか」

「何の話ですか・・・」

微妙な関係の二人・・・そしてキャラクター設定も少し甘めな感じ・・・。

しかし・・・これはフリかもしれないのだった。

結局、芸能事務所「ファインブレイク」について調べる勝村。

「ファインブレイク」所属のタレントが都知事選挙に出馬を表明しているらしい。

思わぬライバル出現にニュースキャスターから都知事に転出しようとしていた藤堂健一郎(北村有起哉)は悪徳警官の関本修吾警部(佐々木蔵之介)を呼び出す。

「なんとかしてくれ・・・」

「そんなこと言われましても」

「それがお前の仕事だろう」

「私の仕事は刑事です」

「しかし・・・金が大好きなんだろう」

「もちろん」

芸能事務所をめぐるあれやこれやの点が線になる話なのだが・・・もう少し、わかりやすく「事務所の存在」をお茶の間に届けてもらいたい気がする。

まあ・・・「事務所」のナニをアレすることは・・・タイムリーすぎるけどな。

「ファインドブレイク」の所属タレントは・・・キャバクラ「クラブノア」でアルバイトをしていた。

どちらも経営者は組織暴力団の中岡組長(池田鉄洋)につながっていた。

タレントたちは高級売春婦として働かされているらしい。

「で・・・自殺か・・・」

「あるいは・・・ヤバイ客をとって口封じされたか」

「あれ・・・この子・・・見たことある」

魔王を苛めていた女子高校生の垣内結菜(伊藤沙莉)は・・・「ファインドブレイク」の所属タレントになっていた。

街角で・・・またもや結菜の標的となっている魔王。

カッターナイフで魔王の顔にサインをしようとする兇悪な結菜だったが・・・山猫と宝生里佳子は凶行を阻止する。

「なんで・・・私の居場所を」

「お前のことは24時間監視している」

「なんだ・・・それ」

「知っているか・・・あの女・・・かなりやばいことになっているらしいぜ」

「・・・」

「どんな生意気な女でも・・・男たちに輪姦されて何日も犯され続けて行くに闇に落ちるらしい」

「そんな・・・」

「自業自得じゃないか・・・」

「・・・助けてあげて」

「それは・・・お願いか・・・」

「・・・」

「お前がやるなら・・・俺は手伝うよ・・・チームだからな・・・」

暴力団員達によって凌辱中の結菜の元へ山猫が現れる。

「なんだ・・・お前は・・・」

「女の子を一人・・・盗みに来たぜ」

「バカなのか・・・」

「お前たちには・・・譲れないものがあるのか」

「なんだって」

「道を極めているんだろう」

「ああ・・・銭の道をな・・・」

「じゃあ・・・命はいらないんだな」

「なんだと・・・こら・・・やっちまえ」

しかし、消火器に見える有毒ガス噴霧器で組員を行動不能にする山猫だった。

「真央がお前を助けてやれっていうからさ」

「そんなこと頼んでないよ・・・男にやられたり・・・身体を売るなんてなんでもないさ・・・ほっといて」

「きゃあ・・・って叫んでたじゃねえか」

「サービスだよ」

「あ・・・そう」

そこで謎の女(中村静香)から山猫に警告の電話が届く。

「組長を狙っても無駄よ・・・実権は元・組長が握っているから」

謎の女は何故か・・・ホテル従業員となって山猫を組長の父親で・・・元組長の中岡太一(笹野高史)の部屋へ案内する。

「不二子ちゃん的なポジションなの」

「さあ・・・とにかくバストとあやとりには自信あるけどね~」

「釈放~」

太一は問答無用で山猫に真剣で斬りかかる。

「危ないじゃないか」

「山猫か・・・狙いはなんだ」

「ユウキテンメイについて知りたい」

「日本の首領か・・・もう・・・死んだよ」

「でも・・・生きているんだろう」

「さあな」

「じゃ・・・こうしよう・・・おたくの闇資金を全部盗む・・・そしたら・・・ヒントをくれ」

「盗めなかったらどうするんだ」

「その時はこの命・・・くれてやる」

「・・・」

「ユウキテンメイに恩が売れるぞ」

「まあ・・・いいだろう」

山猫が去ると太一は息子に電話する。

「金は・・・クラブノアに隠せ」

山猫(マスク着用)はクラブノアに向かう。

待ち伏せしている組員たち。

しかし・・・山猫は例によって勝村だった。

「どういうことだ・・・」

太一は驚く。

「あんた・・・俺たちが盗聴していることを察したんだろう」

「・・・」

「だからメールで別の指示を出した」

「・・・」

「だけど・・・凄腕のハッカーにとっては同じことなのさ」

「ファインドブレイクの金を・・・」

「いただいたよ」

「しかし・・・お前の仲間が人質になっているぞ」

「大丈夫・・・通報しておいたから」

「何・・・」

霧島さくら刑事と捜査員チームが売春容疑で組を強制捜査するために乱入する。

「これで・・・あんたの組も終わりだ」

「なぜ・・・そこまで」

「義だよ・・・義を欠けば、人は才能ありとても、学問ありとても、武士として世に立つことを得ず・・・極道だって義より銭じゃ・・・すべて水泡に帰すのみだにゃん」

「真木和泉守か・・・」

「あんたは・・・息子の教育を誤ったな」

「教えてやろう・・・ユウキテンメイはどこかにいる・・・どこにいるかは知らん」

「・・・」

「日本のドンにあってどうするつもりだ」

「盗んでやるのさ・・・この国を」

「・・・バカなのか」

金をトランクに入れて輸送中の山猫の前に中岡組長が現れる。

結菜は人質となって拳銃を突きつけられていた。

「この女の命が大事なら金は置いて行きな」

「そんな女関係ないね」

「じゃ・・・お前が死ね」

「このトランクは・・・殺された細田の遺品なんだ・・・あいつは・・・趣味が爆弾作りでね」

トランクの中身を示す山猫。

「お前が発砲したら・・・この建物ごとふっとぶよ」

「馬鹿な・・・」

「どうする・・・命より金が大事なんだろう・・・」

「・・・」

「良く聞け・・・義の心は・・・人体では骨のようなものだ・・・骨がなければ脳みそはゆらゆら、手足も動かない、義がなければ・・・どんな才能があったって・・・無意味なんだよ」

「・・・」

「わかりやすく言うとだな・・・悪いことをしたらごめんなさい・・・助けてもらったらありがとう・・・そういう心を忘れるなってことだ」

「なんじゃそりゃ・・・」

「まあ・・・言いたいことは言った・・・合言葉は・・・もらしてねえよ」

監視カメラですべてを見ていた魔王は叫ぶ。

「アイアイサー」

館内放送のスピーカーから生じる音響攻撃の衝撃。

山猫は耳栓をしていた。

山猫以外、全員悶絶である。

そして・・・山猫は結菜を背負い・・・その場を去る。

行動不能から回復する組長・・・。

「馬鹿な奴め・・・金を残していきやがった・・・」

しかし・・・そこに駱駝・・・ではなくて関本警部が現れる。

「どういう金なのか・・・警察で事情を聞かせてもらおう」

「えええええええええ」

山猫は何かをみつける詩を歌う。

「めぐる季節の中で~」

結菜は歌う山猫に囁いた。

「もう・・・おろしてよ・・・」

「そうか・・・」

「真央に伝えて・・・」

「俺のビブラートの素晴らしさをか・・・」

「ごめんね・・・そしてありがとうって・・・」

「にゃ~ん」

「その音・・・どこから出てるの」

「それは編集して後付けにゃ~ん」

山猫と宝生里佳子の会話。

「これで魔王が仲間になったわね」

「結菜を芸能事務所にスカウトさせたり・・・大変だったにゃあ」

「え・・・そこから」と驚く勝村。

「内緒だぞ」

そこへ・・・魔王がやってくる。

「それにしても・・・お金を捨ててまで・・・結菜を助けてくれてありがとう」

「まあ・・・お金は捨ててないけどね」

「え」

そこへ・・・関本警部がやってくる。

「はい・・・お金・・・」

「にゃああああ」

「え・・・あんたもグルなのかよ・・・もう何が何やら」と呻く勝村だった。

「チーム山猫のメンバーは・・・以上だ」

テレビからはニュースが流れる。

「所属事務所の組織売春があきらかとなり・・・都知事選の出馬を断念した・・・」

関本警部は素知らぬ顔をする。

その頃・・・ライバル候補をスキャンダルで葬り去った藤堂健一郎は何か・・・とても見てはいけないような・・・危うい存在の誰かとコンタクトしていたのだった。

日本人が一人もいない日本国の闇は深いらしい・・・。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

Ky002ごっこガーデン。にぎやかなお宝交換会の宴セット。

エリ歪んだ社会に歪められた心に愛の鞭を振るう山猫先輩・・・。その心は測りしれないのでス~。武士道は日本の心の故郷・・・士農工商を問わずに花開くのでス~。そして・・・どんどん増えていく泥棒仲間の皆さん・・・ついに警察関係者まで・・・まあ・・・泥棒と警官は持ちつ持たれつの関係とも言えますからねえ・・・じいや・・・次はまこちゃんドロンジョ一味とお宝争奪ごっこをしますよ~・・・警察関係の皆さん、スタンバイよろしいですか~

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2016年1月23日 (土)

やったのは私だよ(綾瀬はるか)壁を越えたら靴だけが帰ってくる世界(水川あさみ)

「時のないホテル/松任谷由実」は20世紀を楽しむ場所だが・・・。

世界と人との関係性を見事に謳いあげている。

世界という怪物の中で・・・人はどうしようもなく孤立している。

目に見えない「何か」が渦巻いているのだが・・・人がそれを知るのは・・・おそらく、一生の終わる時なのである。

人は時には「万人が愛する一人」を愛する。

それが愛なのかそうでないか・・・世界はけして明かさない。

それを明らかにするのは人なのだ。

明らかにするために・・・人は回転ドアを押す。

その時・・・世界は終わり、同時に人も終わるのである。

なぜなら・・・人のひげは・・・最初から抜かれているのだから。

で、『わたしを離さないで・第2回』(TBSテレビ20160122PM10~)原作・カズオ・イシグロ、脚本・森下佳子、演出・吉田健を見た。歯科医は義歯の料金を提示する。「提供義歯は100万円、全セラミックは10万円、准セラミックは7万円、金属なら保険内ですが・・・どうしますか」「私は提供保険加入者です」「ああ・・・ご指定の業者がありますか」「A社にストックがあるはずです」「しばらく・・・お待ちください」「・・・」「はい、ありますね」「それでお願いします」「承りました」・・・A社の提供歯倉庫に保管される・・・完璧な代用歯(神経付き)・・・これはそういう世界の話だと妄想しています。

土井友彦(中川翼→三浦春馬)はすでに提供を開始している。

その身体には傷痕が残る。

傷痕を美容整形で修復する必要性はないらしい。

自身が提供者であり、提供者の介護人でもある保科恭子(鈴木梨央→綾瀬はるか)は「指令」により、酒井美和(瑞城さくら→水川あさみ)の介護人となる。

「久しぶりね・・・」

「・・・」

恭子と美和の間には何らかの確執がある。

恭子にとってそれは・・・不快な記憶を呼び起こすものらしい。

しかし・・・美和はそのことにあまり執着していないようにも見える。

「あなたに・・・介護してもらいたくて・・・指名したのよ」

「・・・」

「前回、レバーだったから・・・貧血がひどくて・・・」

「・・・」

「それ・・・なに・・・」

「たいしたものじゃないわ」

介護人として提供者に贈るささやかなアイテム。

「まあ・・・プリン・・・私の好物、覚えていてくれたのね」

「あなたのデータに記入されていたからよ」

「冷たくして・・・食べたいから・・・冷蔵庫にしまっておいて・・・」

冷蔵庫の上には・・・「Songs after Dark/Judy Bridgewater」のケースと・・・「キョウコ♥」とサインされたCDが置かれていた。

「ねえ・・・あのこと・・・覚えている・・・」

(この女は・・・何が言いたいのだろう・・・それとも・・・どこかで・・・壊れてしまったのか)

恭子は時を遡上する。

自分が提供者という存在だと知ったあの日に・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

学園長の神川恵美子(麻生祐未)が明かした・・・「提供者」という「本当のこと」・・・。

幼い子供たちは語りあう。

「私たちが誰かに自分の身体をあげるって・・・」

「それが素晴らしいことなの・・・」

「誰かに身体の一部をあげたらどうなるのかしら・・・」

「心臓をあげたら・・・」

「心臓は無理でしょう・・・私たちが死んじゃうもの」

「きっと・・・あげても大丈夫なものを・・・あげるのよ」

子供たちの会話を・・・読書好きで大人びた真実(エマ・バーンズ)は冷たく聞き流す。

知識が彼女を大人にしている。

物事が明らかになることは何かをあきらめるということなのである。

だが・・・真実がいくら・・・真実を知っていたとしても・・・何も知らない子供たちと立場は変わらない。

真実はおそらく・・・そこまで知ってしまった子供なのである。

この世界では普通の人間にとって・・・それは常識に過ぎないのだった。

真実は・・・個性あふれる同級生たちを憐れむ。

個性などに意味はない。

誰もが提供者に過ぎないのだ。

美術の成績が抜群で・・・観察力と表現力に優れた恭子は・・・学園長と若い保健体育の教師である堀江龍子(伊藤歩)の「本当の話」の間になんらかの違和感を察知する。

龍子の話には・・・なにか「希望」のようなものがあった。しかし、学園長の話には「不安」を感じるだけだ・・・。

そのことを・・・龍子と直接話しをした友彦に確かめたいと考える恭子。

しかし・・・友彦は・・・「外の世界ではサッカーの才能が美術の才能と同じように認められている」という一点に夢中なのである。

「提供者」の意味については全く関心がない友彦だった。

「自分たちが提供者である」という現実から生じる不安を恭子と共有できる子供は友彦ではなかった。

恭子は真実なら・・・何かを知っていると気が付いていたが孤立している真実に関わることも不安になるのだ。

しかし・・・見せかけの友情を育む美和では話にならないだろう。

学園長と龍子は対峙していた。

「毎年・・・あんな・・・恐ろしい話を・・・」

「そうですよ・・・この学園の子供たちが特権を得るために必要な課程です」

「天使だなんて・・・凄く・・・偽善的じゃないですか」

「偽善・・・どうしてですか」

「提供することが・・・聖なる行いだなんて・・・」

「私はそう・・・信じていますよ」

「・・・」

「あなたも・・・ここで教師を続けるつもりなら・・・よく考えて行動なさってくださいね」

しかし・・・体育会系で・・・純情な龍子は・・・子供たちが今・・・人生を楽しむことを・・・どうしても・・・追求したくなるのである。

なぜなら・・・外の普通の人間たちは・・・美術だけでなく・・・サッカーが得意なことも評価されている。

提供者がそうであって・・・何故いけないのか・・・龍子はあまり考えない。

龍子は友彦たち・・・男子にサッカーの楽しさを伝え・・・世界にはどんなサッカー選手がいるか・・・彼らがどんな人生を送っているかを語る・・・。

龍子には・・・普通の人間と提供者の区別が・・・曖昧になってしまう愚鈍な資質があった。

子供たちは・・・龍子の語る「普通の人間の人生」の素晴らしさに夢中になるのだった。

篤志家であるマダム(真飛聖)が優秀作品を買い上げる「展示会」が近付く。

美術教師の山崎次郎(甲本雅裕)に対する「愛」を表現するために・・・美和は次郎の手を「彫塑」として発表する。

「提供者」に「愛」など感じない普通の人間である次郎は戸惑う。

男子が・・・世界的に有名なサッカー選手の「絵」を描いたことは次郎をさらに戸惑わせる。

次郎は「龍子の暴走」に危機感を覚える。

「どうして・・・あの人を雇用したのです」

「こういうところで・・・働きたいと思う人は少ないからです・・・まあ・・・若さゆえのあやまちというものをあの人もそのうち・・・わかってくれると思います」

「・・・」

展示会が行われる。

会場の外に締めだされた子供たち。

マダムは子供たちの「作品」を鑑賞し・・・気に入ったものを引きとって行く。

「恭子・・・四年連続で・・・お持ち帰りじゃない・・・凄いわね」

クラスメートに賞賛される恭子。

しかし・・・美和の「手」は残されていた。

そこに・・・「和」を乱す予兆を感じる恭子。

恭子は「手」をとりあげる。

「この作品が残されるなんて・・・きっと・・・見落としよ」

「・・・」

恭子は帰路のマダムを待ち伏せる。

突然、現れた子供たちに狼狽するマダム・・・。

「なんだ・・・お前たち・・・失礼じゃないか」と次郎は叱る。

「これ・・・見落とされたのではないかと・・・・私・・・これが一番素晴らしいと思いますから」

マダムは平静を装い告げる。

「見落としていたかもしれません・・・いただきましょう」

恭子は安堵する。

しかし・・・美和の気持ちは波立つ。

そして・・・真実はすべてを冷たく見つめる。

その頃・・・中の世界に興味を失った男子たちは塀に梯子をかける。

広樹(小林喜日)と聖人(石川樹)に続いて友彦も大人の階段を登ろうとするが・・・古びた梯子は朽ちて・・・友彦は取り残される。

殺人鬼がいるという噂の森を抜ける二人の少年・・・。

学園長は・・・警告のメッセージを受け取る。

提供者の体内に埋め込められた所在確認チップで・・・二人の脱走を知る学園長。

二人は世界の果てにたどりつく。

「うわあ・・・本当に世界は広いなあ」

「これから・・・どうするの」

「どうしよう・・・」

彼らに行くあてなどない。彼らには戸籍もないし、両親もいない。彼らは人間ではなく・・・単なる「提供者」なのだから・・・。

そこに学園長が黒いワゴンに乗ってやってくる。

「困ったことをしてくれましたね・・・」

学園長は微笑んだ。

二人の天使は一足早く・・・使命を全うすることになったのだ。

「あなたに・・・いいものをあげるわ・・・」

真実はゴキブリの玩具を恭子の掌にのせる。

「きゃ・・・」

「マダムはね・・・きっと・・・そういう気持ちだったのよ」

「・・・」

「普通の人間にとって提供者は・・・私たちにとってのゴキブリの玩具なのよ」

「そんな・・・」

宝箱にゴキブリの玩具をしまおうとした恭子は・・・「Songs after Dark/Judy Bridgewater」が消えていることに気がつく。

「どんな絵が描かれていたっけ」と訪ねる美和。

「・・・女の人がタバコを吸ってるの」

動揺するクラスメイトの花(濱田ここね)や珠世(本間日陽和)・・・。

「そのことは内緒にして・・・みんなで捜しましょう」

恭子は美和の言動に不審なものを感じる。

真実にはすべてお見通しだった。

恭子を貶め、美和が賞賛されるために・・・隠された「Songs after Dark/Judy Bridgewater」・・・。

美和は上級生から買い求めたCDを恭子に贈る。

「こういう感じのでしょう」

「うん・・・そういう感じの・・・だわ」

そして・・・子供たちに・・・二人の少年が行方不明になったことが伝えられる。

門に晒される血まみれの運動靴・・・。

恐怖に立ちすくむ子供たち・・・。

龍子は学園長に食い下がる。

「行方不明って・・・」

「子供の提供者は・・・すごく需要が高いんですよ」

「・・・」

「脱走するなんて・・・そんなことを許していたら・・・どうなると思いますか」

「・・・」

「介護人になれるような提供者は・・・すべてを受容した穏やかな心を持つ必要があるのです・・・この学園はそういう提供者を育成しているのですよ」

「・・・」

「介護人になれれば三年間の提供猶予の特権もあります」

「・・・」

「あなたが・・・彼らから・・・その可能性を奪ったのです」

「申し訳ありませんでした」

過ちを犯すまで自分の愚かさに気がつかないのが人間というものだ。

学園長もそれ以上、若者のあやまちを責めないのだった。

自分にも監督責任があるし・・・脱走者が初めてというわけでもないからだ。

すべては・・・システムの許容範囲なのである。

二人きりなれたので・・・恭子は・・・龍子先生に質問する。

「先生の言っていた・・・私たちの知らない本当のことって・・・学園長のお話ししてくれたことですか」

「・・・そうよ」

涙をこらえることができない幼い龍子先生。

恭子は・・・本当のことなど知らない方が幸せだと・・・龍子先生が言っているように感じる。

・・・・・・・・・・・・・・・。

それを感じたのが・・・今の自分なのか・・・あの日の自分なのか・・・介護人になった恭子には定かではない。

「あのこと・・・覚えている・・・あなたのアレがなくなった日のこと・・・」

「・・・」

美和は恭子に問いかける。

「あれをやったのは・・・誰だったのかしら・・・」

美和は恭子が・・・犯行を仄めかしているように感じる。

何故か・・・やったのは美和だと恭子に言わせたいらしい。

恭子は・・・今では何故か美和に敵意を抱くようになっている。

提供者としての人生が恭子の心を変えたのだ。

だから・・・思い通りにはなりたくない・・・。

恭子は言う。

「やったのは・・・私よ・・・私がやったの・・・」

言葉を失う美和・・・。

お茶の間には残酷に見える普通の時が・・・恭子と美和の間に流れ去って行く。

二人は人間ではなくて・・・提供者同志なのだ。

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2016年1月22日 (金)

いもりの黒焼き煎じて飲めば(早見あかり)さても是非なき風情なり(小池徹平)

浄瑠璃作者としての近松門左衛門の名をあげたのが「出世景清」である。

源平合戦で平家が滅びた後に伝説の男として蘇る悪七兵衛景清・・・。

仇である源頼朝の命をつけ狙う景清は・・・徳川家康を狙う真田十勇士の原型である。

近松門左衛門は幸若舞「景清」を発展させ、景清と京の遊女・阿古屋、そして熱田大宮司の小野姫の三角関係を凄惨な愛憎劇に仕立て上げた。

景清と二人の子を生した阿古屋だったが・・・小野姫への嫉妬から景清を幕府に売ってしまう。

景清は討手から逃れるが、小野姫が捕縛され、拷問されていると知り、出頭して投獄されてしまう。

阿古屋は獄にある景清に許しを乞うが景清は許さない。

思いあまって阿古屋は二人の子供を殺し自害して果てるのである。

愛の逆上恐るべしである。

で、『ちかえもん・第2回』(NHK総合20160121PM8~)脚本・藤本有紀、演出・梶原登城を見た。虚構の世界は「夢」のようなものだ。現実も「夢」のようなものなので現実と虚構は同じなのである。しかし、それぞれの感じる現実と違って、他人様の作る虚構を夢と感じることができるかどうかには差異がある。この素晴らしい夢の素晴らしさが分かることはとても幸せなことだが・・・本当にそれが幸せなのかは定かではない・・・。

おやおやおやおや、不孝糖、親を泣かせてやろうとて拵え創めの不孝糖

不孝糖売りの万吉(青木崇高)にまとわりつかれ近松門左衛門(松尾スズキ)は戸惑いをかくせない。

万吉にはちかえもんにはない愛くるしさがあり・・・ちかえもんの母・喜里(富司純子)をも魅了する。

マザコンのちかえもんには心痛い成り行きである。

「この不孝糖とやら・・・もう少し味に工夫が必要ですね」

「母上の嫌いな親不孝ですぞ・・・」

「万吉さんの商売の邪魔をしてはなりませぬ」

「・・・悲しくて悲しくてとてもやりきれないこのやるせないモヤモヤをだれかに告げようか」

時空を越えて歌い出すちかえもんだった。

鬱屈したちかえもんは例によって「天満屋」で遊女のお袖(優香)に愚痴るのだった。

「空のかがやきが胸にしみるんだよ」

「泣き虫さんねえ・・・」

スランプの流行作家と年増の遊女・・・お似合いの二人だった。

そこで騒動が勃発する。

京の遊郭・島原より転売されてきた遊女のお初(早見あかり)が気にいらない客を袖にしたのである。

血相を変えて店を出る客・・・。

「天満屋」の女将・お玉(高岡早紀)はお初を問いつめる。

「一体、何をしたんだよ」

「何も・・・何もしなかったら・・・怒っちゃった」

「・・・」

ちかえもんも呆れるお初の厄介者感・・・。

遊女たちがお初の噂をしているところに居残り(遊興費を雑用で支払い中)となっている万吉が登場。

「美人で評判のお初か・・・しかし、愛嬌がないのはあかん」

お約束で振り返ればお初がいる。

お初を一目見るなり・・・兇悪な恋の天使の銃弾に撃ち抜かれる万吉のハートだった。

「痛い・・・」

「どうした・・・」とちかえもん。

「胸が・・・」

「恋か・・・」

「どうしたらええのん」

「一見栄、二男、三金、四芸、五精、六おぼこ、七セリフ、八力、九胆、十評判・・・というてな・・・このうち一つでも備わっていればもてもてなんだけどね」

「わてには備わっておるんか」

「そうやなあ・・・見栄ゆうんは身だしなみや・・・まあ・・・お前はおしゃれではないと・・・二は男前かどうかやが・・・お前は微妙やなあ・・・三は経済力、四は歌唱力、五は勤勉家、六は童貞なら童貞キラーにもてる・・・七はホスト力、八は十万馬力以上、九は肝っ玉、十は人気・・・まあ・・・これは・・・まあ・・・ある・・・っていうか」

「なんで悲しそうなん」

「いや・・・」

「ちかえもんが悲しゅうなるなら・・・わて不人気でええで」

「・・・そう」

「で・・・どないしたらええんや」

「それはもう・・・イモリの黒焼きや」

金主(スポンサー)である平野屋の大旦那・忠右衛門(岸部一徳)から創作意欲高揚のための「朝鮮人参」を煎じたものを勧められたちかえもんは思わず「クスリ」に縋るのだった。

落語「いもりの黒焼」からのいただきである。

早速、万吉はイモリの捜索活動に入るが例によって季節外れなのであった。

呪術的にはヤモリの雌雄を用いて壁の左右に置き、雌雄の性欲が向上したところで焼却。

ヤモリの残留思念を用いて、男に雄粉、女に雌粉を振りかければたちまち発情するというシステムである。

良い子のみんなは真似しないように。

「もてる男の十カ条」に一つも該当しないことをお袖にぼやくちかえもん。

お約束で振り返ればお初である。

「え・・・」

「女将さんに面倒を頼まれた・・・」とお袖。

若い・・・綺麗・・・愛想がないと三拍子そろったどM向け遊女のお初だった。

「お愛想もあった方がいいと思うよ」

「こんな地獄で上手を言って・・・大夫に出世したとて虚しいばかり・・・いっそ病で死んでしまいたい・・・」

虚無的なお初である。

平野屋でちかえもんを見下した放蕩息子の徳兵衛(小池徹平)は父親の小言も虚しく、再び・・・「天満屋」で大盤振る舞いである。

そこへ・・・イモリを捕獲した万吉が乱入し、騒動となる。

興を殺がれた徳兵衛は・・・万吉をいたぶりにかかる。

「どうか、許してやっとくれ」と仲裁に入るちかえもん。

「あんたなんや・・・」

「わての友達や」と万吉。

「そんなら・・・二人で土下座してもらいまひょ」

「なんでやねん」

帰宅したちかえもんに「いもりの黒焼き」を見せる万吉。

「そんなものに頼ったら・・・姑息だ」と正論を言うちかえもん・・・。

「そやな・・・」

納得する万吉。

ちかえもんは・・・いもりの黒焼きの効果など信じていなかったが・・・「猫」には効果抜群だったらしい。

「こ・・・これは・・・」

翌日・・・ちかえもんの母は「擂り黒ゴマ」を「不孝糖の味付け」として提案する。

ちかえもんの懐に・・・「いもりの黒焼き」と「擂り黒ゴマ」が・・・。

堂島新地に雪が降る・・・。

またもや客をしくじったお初は・・・中庭の松の木に緊縛されるお仕置きを受けるのだった。

「客はMだけじゃない・・・Sもいるんだよ」

一方・・・姑息な手段を試すちかえもんは・・・お袖のお茶に一服盛る・・・。

「・・・どう?」

「ちょっと香ばしい・・・」

「え」

香るゴマの香り。

一方・・・万吉はイモリの黒焼き不孝糖を・・・緊縛されたお初に与える。

「なんで・・・構うんだい」

「わてかて・・・こうして・・・折檻されたことがあるさかい・・・」

二人が心を通わそうとした刹那・・・。

「おい・・・それ・・・イモリだ・・・」

それを食したものは最初に目にしたものに惚れるという伝説・・・。

あわてて・・・お初の目を塞ごうとする・・・万吉。

そこへ・・・道楽息子の徳兵衛が通りかかる。

目と目で通じあうかのような二人・・・。

そして・・・お初の見せる天使の微笑み・・・。

「ラーメンを食べた小泉さんみたいだ・・・」

万吉が縄を解くと・・・徳兵衛とお初は・・・手をとりあって寝床へと去って行く。

「万吉・・・ごめん」

「ええんよ・・・お初が笑ろうたもん・・・これでええんよ」

泣きながら笑う万吉を可愛く思うちかえもんだった。

しかし・・・新作は進まず白紙である。

そして・・・お初は・・・別にイモリの黒焼きにやられたわけではなかったらしい。

ちかえもんは・・・人形の首を見る。

その美しさに誰かを思い出すちかえもん・・・。

(お初・・・)

こうして・・・お初と徳兵衛は・・・「曽根崎心中」へと歩み出す・・・のか?

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2016年1月21日 (木)

お義父さんと呼ばせて(遠藤憲一)VSシンクロしました(堀北真希)VS僕の言うことは絶対だ(長瀬智也)

・・・・おい、おい、おい。

三回ツッコミかよ。

どういうつもりなんだよ。

(水)はしぼりきれません・・・。

(火)がまじってるじゃねえか・・・。

場合によっては(火)「バカ恋」(水)「お義父さん」でもよかったと思ったんだが・・・蓮佛美沙子・新川優愛・和久井映見というのは萌え要素に少し欠ける気がして・・・。

(月)有村架純、(火)深田恭子の連打は強烈だからな・・・。

(金)の「スミカスミレ」のために一枠あけておきたいんだろう・・・。

それもあるっ。

「相棒」だって・・・今回は陣川(原田龍二)の巻でお相手・黒川智花(被害者)だから・・・言及したいよね。

相棒ゲスト・ダブル黒川達成記念日だよね。

いい加減にしておきなさいっ。

で、『お義父さんと呼ばせて・第1回』(フジテレビ20160119PM10~)脚本・林宏司、演出・星野和成を見た。「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(2008年)というよりは「離婚弁護士」(2004年)の脚本家の軽いタッチのドラマである。年の差カップルというのは「おさな妻」や「奥様は18才」に通じる古典的なテーマで・・・適齢期というものからの解放の要素を含んでいる。ちなみに「いつ恋」では主人公(22)が親の決めた年上男性(42)との結婚を拒絶するところから始る。だが・・・堀北真希(27)と山本耕史(39)のカップルだって成立するのだからケース・バイ・ケースとしか言いようがない。基本的に娘を愛する父親は相手が誰だろうが自分以外の男と娘が結婚するなんて嫌に決まっているわけだしな。・・・おい。

51歳まで独身だった大道寺保(遠藤憲一)は小さな会社のサラリーマン、出入りの業者のシステムエンジニアで24歳の花澤美蘭(蓮佛美沙子)と恋に落ちる。そして結婚を決意するのだった。

美蘭の父親は51歳でちょい悪親父を気取った大会社のサラリーマン・紀一郎(渡部篤郎)である。

紀一郎の父親(品川徹)は老人ホームで人妻に手を出して追放処分になっている。

紀一郎も愛川希和(中村アン)に手を出そうとしている血筋だ。

美蘭には兄・葉理男(中村倫也)・・・ハリ系かよ・・・アオイホノオの赤井くんだ・・・妹・真理乃(新川優愛)がいて・・・つまり紀一郎は三児の父である。

子供の世話は妻の静香(和久井映見)に任せっぱなしだったらしいが・・・それなりに家族を背負って生きて来たのである。

ずっと独身で気ままに生きていた男に「お義父とよばせてください」と言われて「はいそうですか」って言えるかという話なのである。

まあ・・・それ以上でもそれ以下でもないよな。

ちなみに・・・遠藤憲一は54歳、渡部篤郎は47歳である。蓮佛美沙子は24歳で・・・実年齢的には三十歳差カップルなのだった。エンケンが80歳になった時、美沙子はまだ50歳だぞ。・・・ま、そんなに先のことを考えないから今が幸せなら結婚するんだけどな。

まあ・・・おっさんたちが可愛いのでそれなりに楽しめるのだと考える。

しかし・・・逆を考えておきたい。

葉理男(24)が母親の静香と同じ年齢の恋人を連れて来た場合だ。

そして「お義母さんとよばせてください」と言うのだ。

和久井映見と同じ1970年生まれで考えてみよう。

中山美穂、水野真紀、渡辺満里奈、工藤静香、鶴田真由、坂井真紀、永作博美とかがくるわけである。

彼女たちに和久井映見が「お義母さん」と呼ばれちゃうのだ。

いとうあさこやアジャ・コングがくるかもしれないし、奥貫薫がくるかもしれないし、一青妙がくるかもしれません。

なんだか・・・想像もつかない・・・葛藤が一部お茶の間に生じる気がしてならないのですが。

関連するキッドのブログ→デート

で、『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~・第2回』(日本テレビ20160120PM10~)脚本・池上純哉、演出・大谷太郎を見た。誘拐事件が発生。犯人が被害者の娘の女子高校生・可南(川栄李奈)を身代金運搬者に指定したために・・・捜査七課の来宮渚刑事(堀北真希)が身代わりを命じられる。

下世話な心で見ると・・・人妻になった堀北真希になんちゃって高校生をやらせたいだけの話である。

しかも・・・犯人は可南に何か含むところがあるらしく・・・監視カメラのあるところで下着を脱ぐように要求するのだった。

もちろん・・・その映像をお茶の間は見ることが許可されていません。

可南の母親を演じるのは山本未來なので・・・ある意味、被害者が加害者というオチは想定内なのだった。

やがて・・・可南が兇悪な女子高校生だったことが判明する。

もう少し、兇悪な可南が見たかったな。

とにかく・・・筋としては「シンクロ」をもてあましているとしか思えない。

この後・・・変態の脚本家も控えているので仕掛けを利用した傑作を期待したいよ。

チームも単なる雑談要員だったしな。

第1回のレビュー

で、『フラジャイル・第2回』(フジテレビ20160120PM10~)原作・草水敏/恵三朗、脚本・橋部敦子、演出・石川淳一を見た。こちらも一話完結の要素が強いが・・・連続ドラマとして・・・主要登場人物の関係の変化はそこそこ楽しめる。一種のヒーローものなので・・・主人公の病理医の岸京一郎(長瀬智也)が悪い医師を退治すればそこそこスカッとするわけである。しかし・・・あくまで相手は犯罪者ではないので改心させれば・・・終了なのである。

今回の怪人は・・・救命医の倉木浩介(藤本隆弘)である。

とにかく・・・患者の命を救うために時間との戦いを強いられる救急救命・・・。

しかし・・・診断を急ぐあまりに・・・搬送された患者・大塚洋治(林和義)が「幻覚を見た」という患者の妻・佐知代(宮地雅子)の証言を聞き逃す。

倉木の診断は急性アルコール中毒だったが・・・検体の検査結果に矛盾が生じていた。

京一郎は病理医見習いの宮崎智尋(武井咲)に現場検証を命じるのだった。

「薬物中毒の可能性がある・・・現場からブツを発見しろ」

「刑事ですか・・・」

連日の現場捜索の結果・・・ついに智尋は・・・ウイスキー瓶の中身がメチル・アルコールだったことと・・・大量の目薬を発見するのだった。

「メチル・アルコールによる目の不調に伴う目薬の大量服用による合併症だ」

「急性アルコール中毒ではなくて・・・薬物中毒という診断ですね」

救急救命のカンファレンスに乗り込む・・・スーパー病理医と助手の智尋ちゃん。

「三十秒あれば・・・患者についてもっと情報が収集できるのに・・・十秒で止めてしまう・・・それで誤診したのでは・・・本末転倒だ・・・時間が惜しいのではなくて・・・単なる手抜きだ・・・そんな奴は医者じゃない・・・君たちが医者である以上・・・僕の言葉は絶対だ」

うっとりする智尋ちゃんである。

そして・・・倉木は・・・落ちた。

智尋ちゃんはご褒美に臨床検査技師・森井久志(野村周平)がもらえる朝のパンを・・・京一郎から配布される。

外科医の細木まどか(小雪)は・・・とてもうらやましかったらしい・・・。

まあ・・・智尋ちゃんはそれなりにかわいいけどな・・・。

そして・・・病気は・・・基本的に統計的に処理するしかないんだけどな。

「どうだ・・・これは・・・」

「統計的には・・・余命一年・・・」

「プラスマイナス半年だな」

「十年生きたらどうしますか」

「まあ・・・よかったとしか言えない」

「三ヶ月で亡くなったら・・・」

「死人に口なしだ」

「遺族には・・・」

「進行が予想以上に早かった」

「決まり文句ですね」

「合格・・・とにかく、目指せ正解率十割だ」

「はい、教官」

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2016年1月20日 (水)

円しか描けないコンパスの健気さが一番好きなんです(深田恭子)

さて・・・今季のラインナップも決まってきたわけだが・・・。

(月)「いつ恋」

(火)「バカ恋」

(水)未定

(木)「ちかえもん」

(金)「わたしを離さないで」

(土)「怪盗山猫」

(日)「真田丸」

・・・大河ドラマが楽しみなのは・・・いいよなあ。

今季は冤罪被害者ドラマが「スペシャリスト」と「逃げる女」でかぶっているわけだが・・・。「スペシャリスト」が17.1%で「逃げる女」が*2.4%である。

確かに「逃げる女」には甘い部分もあるのだが・・・「スペシャリスト」のど甘さに比べたら・・・まだコクがあるよな・・・。

まあ・・・しかし・・・それが「お茶の間」というものだから・・・。

主人公の引き立て役であるヒロイン刑事を演じるのが夏菜だけに・・・喜ばしいことじゃないかっ。

「逃げる女」はとっとと偽証した女を主人公がぶっ殺して、逃避行を開始すればいいのに・・・。

おばさんに優しい言葉をかけられたくらいじゃ・・・この怨みは消えないだろう。

で、『ダメな私に恋してください・第2回』(TBSテレビ20160119PM10~)原作・中原アヤ、脚本・吉澤智子、演出・河合勇人を見た。かわいいよ、深キョン、かわいいよで快調にとばすラブ・コメである。「こんなおばさん、誰も相手にしないよね」というセリフがまったく成立していないのに平気な顔してパバーンバンなんだな。「深田恭子」の制服会社員役といえば「山おんな壁おんな」(2007年)を思い出すのだが・・・とても十年近くの歳月が過ぎ去っているとは思えない。凄いぞ・・・本当に人間なのか。

無職、恋愛経験なしの三十女・柴田ミチコ(深田恭子)が天敵とまで惧れた昔の上司・・・黒沢歩(ディーン・フジオカ)は酒に酔い潰れ、寝ぼけてミチコのファーストキスを奪うのだった。

しかも・・・「ハルコ・・・」と別の女の名前を呼ぶのである。

「ハルコって誰だよ・・・」

一睡もできないミチコだった。

お約束で・・・酔ってまったく記憶のない・・・歩だった。

同居中の二人は極めて自然に二人で朝食をとるのだった。

仕方なく・・・ミチコは名前はまだない猫を「ハルコ」と呼んでみる。

ギクリとする歩。

「俺・・・昨日なんかしたか」

「ハルコに捧げるラブソング歌ってました」

「・・・」

「嘘ですよ」

「・・・どうでもいいが・・・今日は就職の面接日じゃなかったか」

「あああああああああ」

上司としてはどエムだが・・・面倒見のいい歩に借金をして居候させてもらっているミチコは一刻も早く就職して返済をしなければならない身の上である。

「あなたの・・・長所はなんですか」

「明るいところです」

反故にされた履歴書を発見した歩は・・・そのあたりさわりのない文面に・・・面接の不首尾を予測するのだった。

ミチコが悪戦苦闘する間・・・何故か心ここにない様子の歩・・・。

それは・・・「ハルコ」のことを想っているのか・・・それとも・・・まさか・・・ミチコが心配なのか・・・。

常連客の鯉田(小野武彦)も不安になるのだった。

コンビニの副店長・・・歩の子分であるテリー(鈴木貴之)はミチコに同情する。

「就職試験に不合格になると・・・落ちこみますよね」

「自分がいらない子になった気分だものね」

「俺も昔・・・就職決まるまで居候してたんですよ」

「そうなの」

「あの人・・・すごく面倒見がいいんです」

「・・・」

疲れて帰ったミチコを「お帰り」と言って迎える歩。

ミチコはそれだけでなんだかうれしくなる。

そして・・・「元気が出るオムライス」までご馳走してくれる歩だった。

喫茶店「ひまわり」に昔の同僚である米田亜希(小林きな子)と藤本エリカ(藤本泉)がやってくる。

結婚の決まったエリカは新郎が働いている映画館のチケットをミチコにくれるのだった。

「ミチコさんも・・・早く・・・好きな人をみつけてくださいよ」

だが・・・ミチコは・・・彼氏と映画を見に行ったことも生まれてから一度もないのである。

それは・・・なんだか哀しいな。

歩は・・・就職についてアドバイスする。

「明るいなんて・・・長所にならないぞ」

「でも・・・私には・・・他にとりえなんか」

「俺の扱きに耐えた・・・バカ・・・みたいな根性があるじゃないか」

「バカが長所になりますか」

「それに・・・どうせなら・・・自分の働きたいところで・・・働け」

「働きたいところ・・・」

「何かあるだろう・・・お前の好きなことが」

「好きなこと・・・」

「就職が決まったら黒毛和牛食わしてやる」

「決めます」

自分の好きなもの・・・第一候補として「肉」を思い浮かべるミチコ。

しかし・・・「仕事にすると嫌いになるっていうし・・・肉が嫌いになったら・・・もう生きていけないし」と考えるミチコ。

ふと・・・自分の愛用するものぐさマジックハンドや、気休めダイエット靴の中敷きが・・・便利グッズの会社「ライフニクス」の製品であることに気がつくミチコ。

意外と近所にあったので・・・求人もしていない「ライフニクス」に飛び込みで就職活動をするミチコ。

「貴社の製品が大好きなんです」

「そう言われましても」

「その根性・・・我が社には必要かもしれん」

「え」

「事務職でもいいかな」

「販売部長・・・」

通りすがりの販売部長・森努(小松和重)の鶴の一声で就職が決まり・・・。

A5ランクの黒毛和牛のステーキを御馳走されるミチコ。

歩に頭を撫でられると胸のときめきが・・・。

いや・・・黒毛和牛の一味違う脂質が・・・ミチコを高まらせていたらしい。

そこに・・・あの春子(ミムラ)が登場する。

春子は喫茶店に飾る花の「花屋さん」だった。

歩と春子の親しげな様子にモヤモヤする春子・・・。

しかし・・・黒毛和牛の美味さがすべてを曖昧にするのだった。

くそ・・・深夜でもやってるステーキハウスに行って来るぞ。

・・・「ライフニクス」の女子事務員は全員若く・・・ミチコは最年長だった。

指導員となった中島美咲(内藤理沙)はミチコにどんどん仕事を押し付けてくる。

「できました」

「すごい・・・柴田さんて有能なんですね」

生まれて初めて会社で褒められたミチコは幸せを感じるのだった。

そんなミチコを同僚の門真由希(佐野ひなこ)は冷たく蔑むのだった。

連夜の残業である・・・。

その背後を・・・最上大地(三浦翔平)が通りすぎて行くが・・・気がつかないミチコ。

ミチコ、ウシロ~なのか。

「僕の睨んだ通り・・・頑張るね」

営業部長がやってきた。

「ありがとうございます」

「この会社、人事の方針で男子社員の花嫁候補として若い女子ばかり採用するから・・・仕事がてきなくて困ってたんだ・・・あの中島くんでさえ・・・マシな方なんだから」

「え・・・」

「とにかく・・・この会社、残業代でないけど・・・よろしくね」

「ええええええええ」

ブラック企業だったのである。

まあ・・・飛び込みの就職活動者を採用するような会社だからな。

ヘトヘトになったミチコをローストビーフで励ます歩。

御礼に・・・映画館のチケットを渡すミチコ。

「好きな人と見に行ってください」

「誰と見ようが俺の自由だ」

「ですね」

「明日・・・藤本の結婚式だろう・・・」

「ああああああああああ」

式場でエリカと亜希は・・・ミチコを励ます。

「二次会で・・・彼氏をケットして・・・天敵から解放されるのよ」

「がんばります・・・でも・・・天敵もそんなに悪い人ではなかったんです」

「え・・・まさか・・・あなた天敵のこと・・・」

「いえ・・・天敵から・・・保護者に格上げされたっていうか」

「おやおや・・・」

ミチコはお約束のブーケトスで・・・キャッチしたけど転倒である。

そこへ・・・現れる最上大地・・・。

「大丈夫ですか」

「あ・・・あなたは・・・」

「新郎の後輩で・・・あなたの会社の同僚ですよ・・・」

「え」

「なんだか・・・あなたとは縁がありますね・・・」

ミチコと最上大地は・・・まるでドラマのように偶然出会うのである。

そして・・・最上大地は・・・ミチコをデートに誘うのだった。

しかし・・・ミチコは戸惑うのだった。

歩の元カノである晶(野波麻帆)に呼び出されるミチコ。

「ブーケか・・・三十過ぎるとさらしものよね」

「・・・」

「私も・・・歩に花をもらった時はうれしかったな」

「えええ・・・あの人が花を」

「意外でしょう・・・だから余計にうれしかったな」

「私・・・男の人に何かを贈られたことないので・・・」

「えええ・・・そんなに明るい感じですごく哀しいことをいわないでよ・・・私・・・泣けてくる」

「すみません」

歩は何故か・・・ミチコをデートに誘うのだった。

初めての男の人とのドライブ。

初めての男の人との映画鑑賞。

「私・・・ジュース買ってきます」

「いいから・・・待ってろ」

「じゃ・・・千円でいいですか」

「お前・・・本当に・・・ろくでなししか知らないんだな」

「・・・」

恐怖のゾンビ映画体験。

ゲームセンターで「サーロインステーキの抱き枕」をキャッチする歩。

ミチコは生まれて初めて男性から贈り物をされたのだった。

そして・・・夜景のきれいなレストランでの食事。

「これってまるで・・・デートじゃないですか」

「ちがうよ・・・どこに行くかじゃない・・・誰と行くかだ・・・」

「春子さんですか」

「何言ってる・・・彼女はそんなんじゃない」

「じゃなんで・・・キスしたんですか」

「え」

「いえ・・・なんでもありません」

「なんでもない間じゃなかっただろう」

「酔って春子って呼んでキスしたんです」

「・・・」

「でも・・・私、気にしてませんから・・・忘れてください」

「そうだな・・・忘れよう」

そこにデザートが運ばれてくる。

デコレーションの文字は「kiss」だった。

「・・・」

サービス残業中のミチコのところへ最上大地がやってくる。

「お疲れ様・・・」

ミチコは歩の言葉に背中を押される。

「あの・・・金曜日・・・デートしましょうか」

「いいんですか」

「はい」

「やった・・・」

ミチコは新しい道を歩き出す。

その先に何が待っているのか・・・物語はまだ始ったばかりだが・・・とにかく・・・深田恭子の可愛さが今後も爆発することだけは・・・わかっている。

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2016年1月19日 (火)

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(有村架純)葡萄の花は葡萄の味がするよ(満島ひかり)

ついに・・・この日が来たよ・・・。

月9で有村架純が主演だよ・・・。

ハガネの女」で「人生に勝ち組も負け組もない・・・あるのは今が幸せかどうか・・・それだけです」と叫んだ女子高校生が・・・。

SPEC」シリーズでゴリさんの愛人だの、「クローバー」でなんちゃって高校生だの、「ぼくの夏休み」で処女を売春相手の米兵に捧げるヒロインだの、「お助け屋☆陣八」のかすみちゃんだの・・・「あまちゃん」では残留思念なので最終回の紅白歌合戦で出られないだの・・・「スターマン」ではキスの相手がおっさん(國村隼)だの・・・もうかなりスターになったのに「MOZU」では拷問で殺されるだけの役だの・・・主人公の教え子役だの、妹役だの・・・艱難辛苦を乗り越えてココである。

長い・・・長い旅をしてきたんだねえ。

さあ・・・今・・・銀河の向こうへ・・・飛んで行ってもいいんだよ・・・。

で、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう・第1回』(フジテレビ20160118PM9~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。とにかく・・・「スマスマ」の前でよかったよ・・・「スマスマ」に関連する異常な熱気が・・・お茶の間的に名作ドラマを揺らがせたことは間違いないものな・・・。ついでに言うとタイトル前に本放送開始の60秒前から・・・キリンさん(巨大ガントリークレーン)が遠くに見える港で・・・主人公の杉原音(有村架純)が相手役の曽田練(高良健吾)や仲間たちを待ちながら空を見上げるイメージショットのサービスがある。いわばオンエア視聴のお誘いというわけだが・・・基本的に阿漕な真似だ。そういうことは一部お茶の間に不興を買うとなぜ・・・わからんのだ。

幼くして孤児となった杉原音(平澤宏々路)を迎えに義理の伯父である林田雅彦(柄本明)がやってくる。

「よろしくお願い申し上げます。・・・杉原音と申します」

しかし・・・雅彦は首をふる。

「あんたは・・・今日から林田音だ」

音は車に乗せられ旅に出る。

長い旅だ・・・。

車の中で音は母親の遺骨の入った骨壷にカラフルな花模様を描く。

「ふどうの花はふどうの味がするって本当やろか・・・お母ちゃんが言うてたんやけど」

「関西弁は直しなさい」

すでに・・・音の過酷な生活を暗示する・・・男の味気なさ・・・。

たどり着いたのは一面の銀世界・・・。

音は無邪気に我を忘れる。

「白いな・・・まっしろや・・・なんなのこれ・・・なんなのこれ・・・」

そして・・・時は流れた。

この流れる時の惨さに・・・すでに涙がこぼれるわけである。

2009年の秋・・・東京・・・。

「柿谷運送」のトラック運転手である曽田練(高良健吾)が住む安アパートの一室。

部屋には不似合いなリッチな下着姿の女・日向木穂子(高畑充希)が朝の名残を惜しむ。

「れん・・・もう一回ね」

「きほこ・・・うん」

木穂子は練に甘えながら、スーツに着替え、出勤していくのだ。

あきらかに・・・経済的に不釣り合いな二人・・・。

そこへ・・・あまり・・・まともな人間とは思えない・・・中條晴太(坂口健太郎)が転がりこんでくる。

「お前・・・どこへ行ってた」

「北海道」

晴太は気ままな男で・・・お土産は「まりも羊羹」だった。

「お前・・・俺の金を盗っていっただろう」

「友達じゃないか」

「・・・」

晴太は見慣れぬバックを発見する・・・。

「これ・・・」

「ああ・・・帰るお金なくなっちゃったから・・・もらった・・・でも二千円しか入ってなかった」

「完全に泥棒じゃないか」

「まあ・・・いいじゃないか・・・」

練は言葉に詰まる。

バッグを改めると「古い手紙」があった。

その手紙を読んだ練の顔色は変わる・・・。

バッグの中からはクリーニング店のポイントカードが出て来た。

「林田・・・音・・・」

柿谷運送には金髪の上司・佐引(高橋一生)がいて・・・油断ならないのだが・・・女社長の神谷嘉美(松田美由紀)はさらに怪しい。

練の給与は・・・「積立」という名目で「天引」されているのである。

社長命令で桃の缶詰をトラックに満載した練・・・。

しかし・・・どうしても・・・「手紙」の事が気になり・・・練は旅立つのである。

おそらく仙台発苫小牧行フェリーにのって・・・たどり着く北海道八羽根町(フィクション)・・・。

クリーニング店には・・・音が忙しく働いている。

「こちらで・・・林田音さんのこと・・・わかりませんか」

一瞬で・・・盗まれたカバンとの関連を悟る音・・・。

「音さんは・・・死にました・・・大切なカバンを盗まれて・・・」

曇る・・・練の表情・・・。

練は・・・「正直者」で「騙されやすい」らしい。

「お墓はどこですか」

店を出た練を音は追う。

「あなた・・・なんですか」

「僕は・・・これを・・・音さんに返したくて・・・」

「二千六十円・・・」

「え」

「返してください・・・私が音です」

「・・・お墓は・・・」

「警察に行きますか」

「僕が盗んだのではありません」

しかし・・・盗んだのが「友達」なので支払いをする・・・練。

「それから・・・これを・・・」

練は「手紙」を差し出す。

「読んだんですか・・・」

「だから・・・絶対に返さないといけないと思ったんです」

「いりません・・・捨ててください」

「え」

「大切だけど・・・今の私には重いのです」

仕方なく・・・引き下がる練。

しかし・・・すでに・・・何か・・・超越的な力が働き始めている。

「お年玉返すからお母ちゃん返して」という少女の願いを路傍の花の神は聞き届けていたのだ。

トラックのエンジンは突然不調になった。

練はスーパーナチュラルなパワーで足止めを食らったのである。

練は・・・トラックの修理に一日かかることを知り・・・食堂で焼きそばを食べる。

そこで・・・プライバシーの存在しない田舎の街の恐ろしさを知る。

「あんた・・・音ちゃんといちゃついとったべ」

「いちゃついてなんて・・・」

「やめといた方がいいよ・・・音ちゃんには・・・白井さんという・・・相手がいるのさ」

白井篤史(安田顕)は街の名士で音を見染め・・・養父の雅彦が独断で縁談をまとめたらしい。

音の養母は寝たきりになった知恵(大谷直子)で・・・音がクリーニング店で働きながら介護している。

養子の音は・・・高校を卒業した後・・・親の決めた年の離れた男と結婚することを・・・承知したのだと言う。

音は生母の骨壷を大切に弔い・・・養母が「無縁塚に埋葬」を勧めても強情に拒んでいるが・・・育ててもらった義理には勝てないらしい。

そういうすべてを・・・知った練だった。

そういう現実を受け入れられない練は・・・音の亡き母の霊に導かれ再会を果たす。

「親の決めた結婚でいいのかい」

「焼きそば食べたのね」

「・・・」

「飴ちゃん・・・食べ・・・」

音は封印している「関西のおばはん」の魂を解き放つ。

「・・・」

いちごみるくの飴を食べる練。

「どっからきたん」

「東京」

「東京では恋愛結婚やらするかもしれんけど・・・北海道では親の決めた縁談が普通なんよ・・・」

「そんな・・・」

「東京じゃ・・・一駅歩くってほんま」

「本当さ・・・三駅くらい歩いたことがある」

「嘘・・・そんなの選手じゃない」

「せんしゅ・・・」

「競技じゃない・・・」

「きょうぎ・・・」

「ついといで・・・」

音は・・・練を秘密の場所へ誘う。

音は心に秘めた思いを持っていた。

「ここな・・・ダムができる予定やったんよ・・・でも・・・いろいろあって・・・建設中止になったんよ・・・残念やったわ・・・サイレンがなって・・・街が湖に沈んでしまえばいいのにって・・・何遍も思うたんよ」

「・・・」

「でも・・・街はこの通り・・・うちはここで生きて行くしかないんだべ」

杉原音タイムは終わり、林田音を偽装する・・・北海道の虜囚。

練は音の哀しい決意に言葉を失う。

しかし・・・音の心は揺らいでいた。

クリーニング店の客に母子家庭の親子がいた。

洗濯ものを届けに来た音は窮状を見かねる。

そして呼び出された白井に親子のための借金を申し込む。

音にウェディングドレスをお披露目することが目的の白井は冷淡な態度をとる。

「貧乏人が無計画に子供作るから・・・いけないんだよ」

音の気持ちは沈む・・・。

暗い・・・林田家・・・。

「となりの家・・・生意気にもハワイに行ったんだと・・・。なあ、音、白井さんに頼んで・・・ハワイに連れてってもらえんか」

「おじさん・・・私はおじさんとおばさんに育ててもらったこと・・・感謝しています。御恩は一生かけて返すつもりです。だけど・・・好きじゃない人と結婚するのだけは許してもらえませんか」

「けっ・・・恩を仇で返すのかよ」

「・・・」

その時・・・亡き母の霊は・・・おそらく姉である知恵の病身に鞭打つ。

発作を起こす知恵・・・。

雅彦と音は動顛する。

助けを呼ぶために表に走り出た音。

そこへ・・・修理を終えた練のトラックが通りかかる。

これは偶然とか・・・運命ではなく・・・亡き母の亡霊の導きだ。

これはあくまでスーパーナチュラル・ラブ・ロマンスの隠避な手法なのである。

音のトラックで病院に運ばれた知恵は命をとりとめる。

知恵もまた因習に縛られた女である。

その女の愛は・・・生母の足跡を消す哀しい養母の苦難を伴ってはいたけれど・・・音を育て・・・音を呪縛していたのである。

お世話になった御礼を練に言いに来た音。

「何を積んでるの・・・」

「桃の缶詰」

「桃の花は・・・桃の味がするのよ」

「え」

「こんなに・・・桃缶持ってる人初めて見た」

「家まで送るよ」

「行きたいところがあるの・・・」

「どこ」

「ファミレス」

トラックに同乗する二人を・・・白井が見ていた。

音は生まれてから一度も・・・ファミレスに行ったことがなかった。

二品を注文して音はウエイトレスに言う。

「二人で分けて食べるんです・・・」

二人はお互いの恋愛について話す。

「彼女はいるの」

「会社員」

「ハイヒールはいてるの」

「うん」

「私だっておしゃれするよ」

音は白いマフラーを自慢する。

「それはおしゃれじゃなくて・・・寒さしのぎだろう」

「そんなこと言ったら服なんてみんな寒さしのぎでしょ」

「じゃ・・・羊が一番おしゃれってことになるね」

「私だって・・・好きな人いたんやで・・・」

「へえ・・・」

「中三から高三まで保利くんと付き合っとった」

「保利くんは・・・」

「札幌の大学に行っとる・・・」

渦巻く音の記憶。

保利くんは・・・一緒に進学しようと音を誘った。

しかし・・・音には経済的にそんな選択肢はなかった。

結局、練は音を家まで送った。

家からは・・・白井が血相を変えて出てくる。

「あんたの親父・・・娘にはトイレを素手で掃除させてるなんて・・・言ってたが・・・股の方のしつけがなってなかったな・・・」

静まりかえった林田の家。

「おじさん・・・」

トイレから転がり出る空の骨壷。

残酷な水洗トイレの洗浄音。

白井に破談を言い渡され、激怒した養父は・・・音の母親の遺骨を下水に捨て去ったのである。

「いや・・・いやだ」

「新しい縁談をすぐに見つけてやるぞ」

「いいです・・・もういいです」

突然、養母が躍り出る。

「お逃げ・・・」

「・・・」

「こんな家・・・地獄だよ・・・ここから・・・お逃げ」

「こら・・・何を言ってる」

養母に背を押されて飛び出す音。

「お逃げ」

「わしらを見捨てるのか」

知恵は夫に縋りついた。

雨が降っていた。

亡き母の亡霊は土砂崩れを起こす。

迂回するために引き返す練のトラック・・・。

雨の中・・・音は練に拾われる。

「乗れ・・・」

「・・・」

「俺には分かる・・・俺も親がいないから・・・」

亡き母の亡霊は・・・ダッシュボードから手紙を吐き出す。

音は何度も何度も読んだ亡き母の手紙を開く。

お母さんは・・・もうすぐいなくなります。

看護婦さんに頼んで書くものを用意してもらいました。

ごめんね・・・あなたを父親のいない子にしてしまって・・・。

でも・・・あなたは・・・私の生きがいでした。

あなたはいつもいろいろなことをききましたね・・・。

答えるのは大変でした。

どうしてさびしくなるのか・・・あなたはききましたね。

これから・・・あなたはたくさんの人と出会うでしょう。

誰かと出会うことは素晴らしいことです。

そのために・・・さびしい気持ちはあるのだと思います。

あなたが・・・いつか・・・恋をして・・・。

幸せになるために・・・さびしい気持ちは大切なのです。

葡萄の花は葡萄の味がします。

バナナの花はバナナの味がしますよ。

あなたの幸せをお母さんは・・・いつも・・・祈っています。

「まあ・・・バナナの花はバナナの花の味がすると思うけどね」

「・・・」

トラックは二人を乗せて走る。

音は北海道の雪景色を見た時のようなときめきを感じる。

初めての東京タワー。

初めての東京のざわめき・・・。

東京で働いている友人を尋ねる音。

「しばらく・・・居候させてもらえないか・・・聞いてみる・・・ちょっと待っててね」

練は手土産として桃缶を渡す。

微笑む二人。

音が去ると・・・第三の女・・・市村小夏(森川葵)が現れる。

小夏は練に抱きつくのだった。

音が戻ってくると・・・練はトラックと共に消えていた。

「え・・・」

しかし・・・音はなんとか・・・東京で暮らし始めた。

一年の月日が過ぎた。

2011年1月・・・。

ガソリンスタンドで働く音は・・・練との再会を祈る。

もちろん・・・音は練に恋をしているのである。

ファミレスで二人で分けて食べたいのである。

そこへ・・・高級車に乗った井吹朝陽(西島隆弘)がやってくる。

そして・・・東日本大震災は・・・二ヶ月後に迫っている・・・。

これはもう・・・一種の集大成のような作品で・・・絶対に名作になるな。

亡き母の祈りは娘を必ず幸福へと導くだろう。

東京には・・・音が育てた花を勝手に捨ててしまう男たちはいない。

少なくとも・・・今のところは・・・。

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2016年1月18日 (月)

くろかみのみだれたるよぞはてしなきおもいにきゆるつゆのたまのお(堺雅人)小山田信茂、お前もか(平岳大)

「大将が馬鹿だから・・・戦ができない」

皆が口を揃えて言うのは・・・後ろめたいからである。

少なくとも・・・異母弟の仁科盛信は武田勝頼のために信州高遠城で織田信忠の降伏勧告を拒絶した。

土屋昌恒は勝頼の自害の時を稼ぐために片手で千人斬った後に討ち死にする。

織田方の戦死者はおよそ千人なのでほぼ土屋昌恒が一人で殺戮したのである。

そして・・・北条氏康の六女である勝頼の継室・北条夫人は数え十九歳の若さで勝頼に殉じて散るのだった。

織田軍団の容赦ない殲滅戦の果て・・・武田家の興亡の幕を引いた勝頼は儚くも美しい生涯を天目山の麓で終えた。

それにしても・・・二回目も長澤まさみ抜きかよっ。

この年になって・・・予告篇で謀られるとは・・・。

で、『真田丸・第2回』(NHK総合20160117PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は早くも二枚目の戦闘モードの真田昌幸、そして主人公の堅実な兄・真田信幸の二大イラスト描き下ろし大公開でお得でございます。画伯・・・快調なスタートですな。しかし、あくまでマイペースでお願いいたします。相変わらず流血自粛の戦闘シーンですが・・・確実に命を断っている感じの殺陣がそそりますなあ・・・。すぐそこに「死」があるからこその・・・戦国の人々の魂の躍動が感じられる・・・。戦国絵巻はこうでなくちや・・・わざわざ・・・四世紀も前に時間旅行する意味がありませんものねえ。そして・・・そこに生きる人々の切羽詰まった駆け引きの醍醐味・・・。そんな時代でも・・・呆ける人は呆ける。悩んで悩み抜いて・・・すべてを天運にまかせようとして・・・結局、また悩む。そして・・・やる時はやる。なにしろ・・・一族郎党の命運がかかっているわけですから・・・。存在価値がなければうかつに裏切ることもできない。けれど・・・たとえば両親・妻子を犠牲にしても裏切る時は裏切る。ただ生き残ることが目標の世界・・・。ああ・・・素敵だ。オープニングだけでも繰り返し楽しめるなんて・・・。凄い、凄いぞ、真田丸・・・。不埒な小山田信茂に献杯!

Sanada002天正十年(1582年)二月、妹・真理姫の夫である木曽義昌の裏切りに激怒した武田勝頼は信濃に出兵、しかし、雪深い木曽山中の進軍は遅延し、織田方の増援を受けた義昌は逆襲に転じる。十一日~十四日にかけて、浅間山が噴火すると迷信深い雑兵が逃げ出し、戦況不利を悟った勝頼は撤退を開始する。織田・徳川連合軍は信濃、駿河の武田領に侵攻を開始する。すでに勝頼の従妹(武田逍遙軒信廉の娘)を妻とする小笠原信嶺、勝頼の姉婿である穴山梅雪にも調略の手は伸びており、武田軍は戦う前に崩壊していた。東から織田軍、南から徳川軍が迫る中、諏訪に撤退した勝頼は退路の選択を迫られる。武田の本領である甲斐に退くか、真田一族の守る上州に退くか・・・。勝頼は甲斐・新府城に退いた。三月、織田・徳川に味方した武田勢に加え、北条勢が甲斐に侵攻を開始。三日、篭城することを断念した勝頼は新府城を放棄して、岩殿城を目指す。しかし、岩殿城主・小山田信茂は勝頼の入城を拒絶。一族と僅かな郎党とともに甲斐の山中を彷徨った勝頼はついに天目山で自害する。主家を失った真田一族は困惑した。

真田昌幸の父・・・真田幸隆が武田信玄に臣従して以来・・・真田一族は・・・信州小県の松尾城を拠点に妙義山の北東・・・榛名山から西の浅間山にかけての北側ルートを使い東の上州吾妻に勢力を伸ばす。海野一族の支配する鎌原城、羽尾城を併合し、吾妻に岩櫃城を構築する。さらに東へ進んだ真田一族は上州沼田を勢力下に置くことに成功した。

武田崩壊の天正十年、すでに信州松尾城から上州沼田まで・・・岩櫃城を中心とする真田一族の領土は左右に翼を広げた形を整えていた。

真田道と呼ばれる渓谷沿いに広がる真田の領土は山賊の要害として鉄壁だった。

「勝頼様を迎えれば・・・ある程度の駆け引きができる」

真田昌幸には勝算があった。

しかし・・・忍びのものの報告を受け・・・武田家復興作戦は瓦解した。

「そうか・・・勝頼様は・・・来ぬか」

岩殿城本丸には忍びの部屋がある。

今、そこにいるのは昌幸と長男で真田忍びの頭領である真田源太郎幸村だけになった。

「新府城の人質はどうなった・・・」

「信幸と信繫が手筈通りに脱出しました・・・山手の母上以外は人質全員が忍びのものなれば・・・まもなく松尾城に到着する頃合いでしょう」

「松尾城周辺の結界はそのままにしておけ・・・織田の忍びは泳がせろ・・・」

「矢沢の叔父上には・・・織田の滝川一益より・・・盛んに誘いが届いております」

「滝川は・・・伊賀の忍びのあがりだ・・・真田の忍びの恐ろしさは知っているだろう」

「それゆえ・・・うかつには手を出しますまい」

「沼田城の周囲はどうだ」

「北条方の主力は伊豆方面に回り、目立った動きはありませぬ・・・」

「氏政殿は・・・うかつだのう・・・甲斐の山中に攻め入ったところで・・・得るものなどないだろうに・・・」

「甲斐が滅びれば上州は自然にわが手に納まると思っておいでなのでしょう・・・」

「・・・たわけか・・・」

「で・・・いかがなさいますか・・・」

「上杉はどうした・・・」

「織田勢と一進一退の攻防中の模様ですが・・・間もなく越中魚津城に織田が攻め入るでしょう・・・武田勢と同様・・・滅びるか・・・よきところで和睦するか・・・というところでしょうか」

「では・・・北条には同盟の申し入れをしつつ・・・織田の杯をもらうとするか・・・」

「信長公はのるでしょうか・・・」

「のるだろう・・・真田しのびの暗殺上手は・・・骨身にしみておられるはずだ・・・」

「なるほど・・・初音様がおられましたな・・・」

「さてさて・・・上杉、織田、徳川、北条に四方を囲まれて・・・しびれるほどの戦三昧も悪くないのだがのう・・・」

「父上・・・」

甲斐と信濃の国境を越えて信幸と信繫の兄弟は・・・背中に負うた二人の女を地に下ろした。

信幸は生母で・・・京に住む宇多頼忠の娘・山手殿を・・・。

信繫は祖母で・・・真田幸隆の未亡人である恭雲院を背負っていた。

恭雲院はくのいちだったが・・・老体である。

「母上・・・ここから軽井沢の追分まではお歩きいただきます」

「うん・・・ずっとお前の背中の上では肩が凝るからの・・・」

「ほほほ・・・山手殿は相変わらずの姫御前じゃのう」

恭雲院はくのいちとしての膂力の名残を見せて信繫から飛び降りる。

「おばば様・・・無理は禁物ですぞ」

「ほほほ・・・孫に叱られたわ・・・」

恭雲院は笑いながら、手裏剣を放った・・・。

四人が道に出た反対側の林から・・・苦悶の声があがる。

樹上から・・・百姓姿の忍びが落下する。

毒手裏剣を喉元に受けた忍びはすでに絶命していた。

「・・・織田の斥候か・・・」

「おはば様・・・無益な殺生は後生にさわりますぞ・・・」

「ほほほ・・・また・・・孫に叱られたわ・・・じゃが・・・これは勝頼様の仇打ちじゃ」

「・・・」

四人は夕暮れの山道を歩きだす。

「追分の宿で・・・団子汁でも食べようぞ・・・」

山手殿がつぶやいた・・・。

真田一族に風雲が迫っていた。

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2016年1月17日 (日)

怪盗山猫(亀梨和也)犯罪に手を染めて変わって行くハッカーをやさしく叱る人(広瀬すず)

前夜の「わたしを離さないで」がやるせない世界の歌だとすれば・・・こちらはやるせない人の歌と言えるだろう。

つまり・・・音痴なのである。

世界が調和しているのか・・・していないのかは意見の分かれるところだが・・・美しい歌は基本的には調和がとれている。

しかし・・・時に人はホンキートンク(調子はずれ)な歌を愛おしく感じる。

醜いものを愛する心が美しいのかどうかは・・・また意見の分かれるところだが・・・そういうジャンルは存在する。

それは・・・場合によっては・・・ブルースとなり・・・それなりに人に愛される。

単なる音痴なのか・・・それとも調子のはずれた新しい音楽の予兆なのか・・・。

すごく・・・微妙だが・・・チャレンジしたければするがいいと考える。

で、『怪盗 山猫・第1回』(日本テレビ20160116PM9~)原作・神永学、脚本・武藤将吾、演出・猪俣隆一を見た。お茶の間の求めるものと作り手の求めるものは恋愛のようなものである。上手くいけば一つになったような気がするがそれは単なる錯覚なのである。物語を成功物語と失敗物語に分類すれば・・・ハッピーエンドは成功物語に属するだろう。世の中に刑事物語が跋扈するのは「成功物語」が成立しやすいからである。刑事の成功・・・それは犯罪者の失敗を意味する。逆に犯罪者物語でハッピーエンドを作ろうとすれば・・・犯罪が成功するばかりである。基本的にはそれで問題はないが・・・犯罪を美化することはなかなかに社会的抵抗が大きいことなのである。だから・・・犯罪者物語というものは難しいのだ。この抜け道の一つが「義賊展開」である。この場合、社会そのものが「悪」なので・・・それに反抗するものに「正義のようなもの」が付随する。しかし・・・その場合・・・・犯罪者は犯罪者でなくなってしまう。理想を言えば・・・あくまで・・・社会に対する「悪」が勝利し・・・善人がひどい目に会う犯罪者物語が望ましい。まあ・・・そんなことを言うのは悪魔だけなのかもしれないが。

「結局・・・良い人だったんだ」っていう話は・・・飽き飽きだぜ。

まあ・・・それはそれとして・・・。ねえ、ルパン一世。

2013年・・・世界のどこかで・・・。

軍人風な男たちに暴力を振るわれる虜囚がいる。

彼は突然・・・哄笑し・・・「武士道/新渡戸稲造」の冒頭のような言葉を吐く。

「武士道は日本の国土に咲いた心の花です。それは日本を代表する桜の花に似ています。桜の花が季節になれば咲く様に武士道もまた今も日本人の心に咲き続けているのです。たとえ・・・世の体制が変わろうとも・・・封建制度の子たる武士道は・・・母亡き後も息衝いており・・・時に心に美しい花を咲かせます。その美しさは万人の知るところとなるでしょう・・・万国で桜が愛される如くに」

彼は・・・一瞬の隙をついて・・・敵を皆殺しにすると・・・夜の戦場を歩きだす。

「上をむいて歩こうよ・・・涙がこぼれないように・・・」

その歌は調子っぱずれだった。

2016年・・・首都東京・・・。

夜の闇の中を怪盗探偵を自称する犯罪者・山猫(亀梨和也)が滑空する。

山猫はクリーンな政治家である都知事の関与する政治団体のビルに侵入した。

悪徳都知事の資金源は「振り込め詐偽」だった。

その悪事の証拠となるデータを盗むのが・・・山猫の目的である。

しかし・・・何者かが・・・政治団体のPCをハッキングし・・・データを消去してしまう。

「どうなってんだよ」

山猫をバックアップするのは路地裏のカフェ「STRAY CATS」に待機する謎の女・宝生里佳子(大塚寧々)と素晴らしいインターネットの世界担当の細田(塚地武雅)である。

「誰かが・・・俺より上手だった・・・こんなハッキング能力があるのは・・・おそらく・・・魔王だ」

「魔王・・・」

「とにかく・・・逃げろ・・・警察にも通報されたらしい」

「・・・」

すでに名の知れた怪盗山猫は警察にマークされている。

現場に到着した指揮官は関本修吾警部(佐々木蔵之介)である。

彼はセクシャルハラスメントの常習犯であり、悪徳刑事である。

新人の霧島さくら刑事(菜々緒)は・・・お尻を触られて殺意を覚える。

さくらがカラだったら大変なことになるが・・・この世界ではならないらしい。

ビルを包囲する警官隊。

しかし・・・隠し金庫を発見した山猫は・・・とりあえず大金を入手する。

お約束で・・・さくらは山猫を屋上に追いつめるが・・・山猫は地上に用意されたクッションにダイビングするのだった。

包囲していた警官隊はどうしたのだとかは大人げないので言ってはいけません。

警察がまんまと山猫を取り逃がしたところに・・・雑誌記者の勝村英男(成宮寛貴)が現れる。

勝村はさくらの学生時代の先輩である。

「先輩・・・どうして・・・ここに」

「俺は今、山猫の特集記事で稼いでいるんだ」

「泥棒が飯のタネですか」

「それがジャーナリズムというものだからな」

「さすがです・・・」

さくらは勝村を尊敬しているらしい。

驚いたことに・・・ここまで・・・登場した人間で辛うじて善人と言えるのはさくらだけである。

つまり・・・この世界は汚れきっているのである。

隠れ家に戻った山猫は・・・ぽちゃっとした細田を問いつめる。

「魔王ってなんだよ」

「正体不明のハッカーです」

「・・・お前・・・ひょっとして・・・無能なデブなのか」

「ひでぶ」

仕方なく・・・山猫は独自に調査して・・・手掛かりを得る。

雑誌記者の勝村が・・・山猫の前に・・・魔王の記事を書いていたのである。

山猫は勝村を路地裏のカフェ「STRAY CATS」に連れ込むことに成功する。

そして・・・腕輪爆弾で勝村を脅迫するのだった。

「魔王の正体を教えてくれないと・・・二度と記事を書けなくなるぜ」

「・・・」

右腕のない不便さを考慮して白状する腰抜けの勝村だった。

魔王の正体は・・・大館学園の高校生・高杉真央(広瀬すず)だった。

「どうするんです」

「魔王の周辺を調査し、弱みを握って攻略する」

「それが・・・義賊のすることですか」

「俺は・・・義賊ではない・・・汚い金専門の泥棒だ・・・何しろ汚い金を盗んでも・・・警察に届けられる可能性は低いからな」

「単なる悪党なのか」

「言葉に気をつけろ・・・君の右手は僕の気分次第でバイバイするんだから」

「・・・」

魔王は・・・便所メシをしているところをバケツ水で攻撃されるような苛められっ子だった。

苛めリーダーは義姉と同性愛でおなじみの伊藤沙莉である。

小学生の頃から腕利きのハッカーだった魔王は・・・父親・直哉(勝村政信)と浮気相手の画像を素晴らしいインターネットの世界に晒す・・・しかし、母親・阿佐美(伊藤裕子)は精神的に破綻して自殺未遂・・・入院中である。

魔王は母親の入院費を稼ぐために・・・父親と組んでハッキングした顧客情報の売買を行っていた。

だが・・・色事師の宝生里佳子は魔王の父親に接近し・・・母親がすでに死亡していることを突き止める。

個人情報の売買を行う会社を経営する高杉直哉は・・・妻を殺し、娘を利用していたのだった。

山猫は魔王の母親の遺品であるオルゴールを盗みだす。

そして・・・魔王と直接対決するのだった。

「俺の仕事を邪魔するな」

「犯罪者のくせに・・・何言ってるの」

「お前だって犯罪者じゃないか」

「私のこと・・・何も知らないくせに・・・」

「苛められっ子だって言うのは知っている」

「・・・」

「犯罪者なら犯罪者らしく・・・悪の美学を持て」

「何を言ってるの・・・」

「お前は犯罪を冒し・・・愛する母親は死んだ・・・そういう現実に向き合えよ」

「私は・・・ずっと一人だもの・・・」

「そんなことはないだろう・・・」

山猫は魔王の母親のオルゴールを示す。

そこには・・・「真央・・・いつでも私はあなたの味方」と記されていた。

「お前は・・・一人じゃなかった・・・」

「・・・」

テレビ番組のニュースショーでは人気者のニュースキャスター・藤堂健一郎(北村有起哉)がゲストの悪徳都知事を追及していた。

「あなたが・・・詐欺師グループと関係していたという情報があります」

「なんだと」

山猫は・・・高杉直哉の経営する企業に侵入する。

セキュリティは完璧と語る直哉・・・。

しかし・・・魔王を味方につけた山猫は・・・関門をなんなく突破する。

だが・・・またしても・・・何者かが警察に通報していたのだった。

さくらは屋上に山猫を追いつめた。

しかし・・・それは囮として使われた勝村記者だった。

山猫は怪盗らしくヘリコプターで去って行くのだった・・・。

「あははははははは・・・」

路地裏のカフェ「STRAY CATS」に魔王がやってくる。

「お母さんの字・・・あんなに下手じゃなかった」

「・・・」

「でも・・・あんたの言葉が沁みたの・・・うれしかったの」

「結局、お前は誰かに構ってもらいたかったんだよな・・・」

山猫による女子高校生獲得作戦成功である。

いろいろと弱みを握られた勝村記者もチーム山猫に参入する。

そして・・・。

「警察に通報していたのは・・・お前だな」

窮地に立たされる裏切り者の細田・・・。

細田は港に連れ出される。

「山猫は・・・殺しはしないんだろう・・・」

「ビジネスではな・・・しかし・・・プライベートでは別だ」

響き渡る銃声・・・。

細田は帰らぬ人となるのだった。

あるいはイカ大王として海に帰って行ったのだ。

そして・・・悪徳都知事の政治家生命を絶ったニュースキャスター藤堂は都知事選に出馬を表明する。

藤堂に情報を流していたのはラクダではなくて・・・悪徳刑事関本だった。

悪に彩られ・・・大都会の闇は深い。

山猫は今日も犯罪を重ねる。

その心に・・・義は・・・あるのか・・・ないのか・・・まだ不明なのだ。

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学校のカイダン

Ky001ごっこガーデン。怪盗がこよなく愛するビルの屋上セット。

エリお宝も盗むけど・・・女子高校生のハートも盗んでいく・・・怪盗山猫・・・さすがでス~・・・エリのハートも盗んで盗んで盗みまくってもらうのでス~。じいや~、次はハードに山猫に攫われてヘリコプターで連れ去られるごっこをお願いしまス~!

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2016年1月16日 (土)

わたしを離さないで(綾瀬はるか)天使として生まれ森の中で育つ人(鈴木梨央)

医学の世界で臓器移植が現実のものとなって以来・・・くりかえし語られる話である。

その多くは・・・犯罪の物語であり、あるいはブラック・ユーモアとしての小話であった。

前提として・・・人間の命を犠牲にしてまで別の人間を生かす根拠のなさがある。

しかし・・・実際・・・たとえば・・・心臓疾患を持つ少年少女は・・・移植可能な「心臓」の持ち主の「脳死」を待ち望むわけである。

もちろん・・・こういう記述に「悪意」があると・・・感じる人もいるかもしれない。

「生きようとする意志を持つ人間」が「無用となった心臓」を「提供」してもらうことに「善悪」の問題は無関係であるにも関わらずだ。

「臓器移植」のために・・・人間を殺すのは犯罪である。

「臓器移植」のために・・・提供者の死を待つのは犯罪ではない。

二つの事実の間に・・・境界線はある。

境界線がある以上・・・そこに灰色の領域がある。

その灰色の領域を妄想するのは・・・ある意味・・・恐ろしいことなのである。

おそらく・・・このドラマでは・・・臓器移植が単なる手法と化した世界が描かれるのだろう。

移植用臓器の持ち主であるクローン人間には基本的人権はなく・・・ただ・・・生体部品としての生存が認められている。

そんな世界は恐ろしいという人間は・・・まだ本当の世界を知らないだけなのかもしれない・・・という話なのだ。

そういう意味で・・・この作品は斬新なのである。

で、『わたしを離さないで・第1回』(TBSテレビ20160115PM10~)原作・カズオ・イシグロ、脚本・森下佳子、演出・吉田健を見た。兵士たちは戦場に立つ。実弾が飛びかい致命傷を受ける可能性は高い。それでも兵士たちは戦場に立つ。なぜなら・・・世界から戦争はなくならないからである。そんな馬鹿なことはないと誰かが言う。しかし、戦争はあるし、兵士は戦場に立つ。哀しいことだと誰かが言う。けれど、戦争はあるし、兵士は戦場に立つ。そして、時には兵士でなくても戦場に立つことはあるのだった。

天使として生まれた保科恭子(鈴木梨央→綾瀬はるか)は「天使」と呼ばれる「臓器提供用人体」の介護人として生きている。

「臓器提供用人体」は人間の世界で生きているが・・・普通の人間とは違い、必要が生じれば普通の人間であるオリジナルの人体に臓器を提供するためにクローン技術で作られたコピーの人体に過ぎない。

何度かの「臓器提供後」・・・コピーは焼却処分される。

場合によっては最初に「提供終了」になる場合もあるし・・・多くは四度目には焼却されるのだ。

介護人は・・・自身が提供者でありながら・・・天使たちの世話や天使たちの終了後の安楽死や焼却業務を行って「提供行為」に奉仕するのである。

この世界ではお茶の間世界における「輸血」程度の軽さで「臓器移植」が行われているらしい。

普通の人間は虫歯を治療するように痛んだ臓器を交換するのだ。

これが大前提であり・・・そういう世界が想像できない人には少し難解な物語と言える。

仕事を終えた恭子は質素な部屋に戻って・・・宝箱を開ける。

そこには・・・聖なる天使である恭子の・・・聖なる記憶が残っている。

恭子は思い出す・・・自分がまだ天使であるとは知らなかった幼い日々を・・・。

恭子は小学校の四年生だった・・・。

恭子は深い森の中の・・・閉ざされた施設・・・陽光学園で暮らしていた。

森には攫った子供の内臓を食らい皮だけを残すという殺人鬼の伝説がある。

寄宿舎を完備した・・・その場所では・・・親のいない子供たちが養育されていたのだ。

学園長の神川恵美子(麻生祐未)は子供たちを大切にした。

美術教師の山崎次郎(甲本雅裕)は子供たちに真摯に接した。

子供たちは「美術」を奨励された。

「絵を描くことは・・・心を表現するために最も相応しい手段で・・・何よりも危険が少ない」

それが・・・この学園の基本方針であった。

恭子の親友である酒井美和(瑞城さくら→水川あさみ)は次郎先生に仄かな恋心を寄せている。

「次郎先生・・・私にプリンをくれたんだ」

「きっと・・・先生は美和ちゃんをえこひいきしているね」

「うふふ・・・」

そんな二人を読書好きで大人びた真実(エマ・バーンズ)は冷たく見下すのだった。

恭子は土井友彦(中川翼→三浦春馬)に惹かれるものを感じていた。

友彦は学園の落ちこぼれである。

なぜなら・・・友彦には絵の才能がなかったのである。

「絵画」こそが心の証である学園では・・・絵心のなさは・・・心のなさに通じる。

「心がからっぽ」であると思われた友彦は・・・苛めの対象となっていた。

恭子は・・・憐れなものに惹かれるタイプだったのだ。

友彦は足が速く、サッカーも得意だったが・・・それには何の価値もなかった。

新任の教師がやってきた。

若い保健体育の教師である堀江龍子(伊藤歩)は理想に燃えていた。

「提供人体」にも「人間としての教育を与えよう」という学園の趣旨に賛同し、龍子は意欲的だった。

古着を身にまとい、廃品バザーでショッピングを楽しむ子供たち。

篤志家であるマダム(真飛聖)に捧げる絵を描くことに情熱を費やす子供たち。

そんな子供たちの中にも軋轢があることを知り、龍子は動揺する。

苛められた友彦にカリキュラム外の禁止事項を漏らすのである。

「私より・・・絵が上手ね」

「先生も空っぽなの・・・」

「いいえ・・・外の世界ではサッカーが上手なことも・・・素晴らしいことなのよ」

「・・・」

「あなたはまだ・・・本当のことを知らないだけ・・・」

発言は・・・たちまち・・・学園長の知るところとなる。

「困ったことをしてくれたわね」

「しかし・・・提供人体も様々なことを知るべきです」

「そうよ・・・そのために私たちは最高のカリキュラムを用意している」

「・・・」

「あなたはまだ・・・未熟なのよ」

「・・・」

「子供たちの・・・心はデリケートなものなのだから・・・まあ・・・いいわ」

「?」

「特別授業を前倒するから・・・あなたも受講しなさい・・・そうすれば・・・本校の指導理念がお分かりになるでしょう」

バザーで友彦が苛めによって失くした箸を買った恭子。

それを贈ろうとした恭子は・・・先に友彦からプレゼントを贈られる。

プレゼントは彼らにとって特別大切な概念だった。

「提供すること」は「聖なる行い」だったからである。

捨てられたCDには「キョウコ♥」がサインされていた。

「ほら・・・最初から君のものだったんだよ・・・」

二人は「Songs after Dark/Judy Bridgewater」の「Never let me go」で幼いダンスを踊る。

その姿にマダムは涙する。

マダムの善意は・・・幼い「人体提供者」に捨てられた「仔犬」に対するような憐憫を感じさせるのだった。

「プレゼントの相手が・・・彼じゃね・・・そのことは黙っていた方がいいわよ」

美和は恭子にアドバイスする。

しかし・・・恭子の心を察した真実はそっとつぶやく。

「大丈夫・・・本当のことを知れば・・・絵が下手でも心があるってことに・・・バカでも気がつくから」

「・・・」

そして・・・恭子たち四年生は講堂に集められ・・・特別授業が始る。

「あなたたちは・・・普通の人間ではありません。あなたたちは普通の人間に希望を与えるために特別な使命を持って生み出された天使なのです」

龍子は・・・自分の未熟さを悟る。

家畜には家畜のための言いまわしが必要だったのだ。

「だから・・・あなたたちは人体に有害な喫煙をしてはいけません。あなたたちの提供するものが・・・普通の人間の役に立つように・・・しっかりと守って行かなければなりません」

恭子は自分たちが特別な存在と知り驚く。

「私は普通の人間として・・・あなたたちのような特別な人間・・・天使を育てていることを誇りに感じます・・・どうか・・・天使の皆さんも・・・その期待に応えて・・・立派に使命を全うしてください」

沸き起こる拍手の嵐・・・。

こうして・・・恭子は・・・「提供者」としての人生をスタートしたのだった。

限られた時間を生きることは・・・普通の人間も同じだが・・・天使は・・・その時が来れば喜んで提供するのだ・・・。

両者の人生にそれほど大きな違いはない・・・そういう世界の話なのである。

恭子たち・・・天使の皆さんに幸多かれと祈る。

悪魔だからな・・・。

「白夜行」から十年・・・凄い綾瀬はるかが見られそうだな。

関連するキッドのブログ→きょうは会社休みます。

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2016年1月15日 (金)

ちかえもん(松尾スズキ)色に焦れて死なうなら(青木崇高)恋の手本となりにけり(早見あかり)

近松門左衛門と言えば・・・「つか版忠臣蔵」(テレビ東京1982年)の故・萩原流行(1953-2015)を思い出す。

萩原版近松は芸術のためなら女房も殺す的なキャラクターである。

主人公の宝井其角(風間杜夫)が「どうして・・・(あなたの作品は)面白いんでしょう?」と近松に粗忽な質問をする。

近松は「当たり前だろう・・・(この俺が)面白いように書いてるんだ」と答えるのである。

その瞳に浮かぶ狂気に圧倒される宝井其角なのである。

今回の近松はそういう意味では・・・かなり大人しいのだが・・・。

言葉の端々に狂気が滲んでいないわけではない・・・。

後から追うものにとって近松門左衛門とは・・・やはり・・・どうしても・・・そういう存在なのである。

で、『ちかえもん・第1回』(NHK総合20160114PM8~)脚本・藤本有紀、演出・梶原登城を見た。元禄十六年(1703年)五月・・・浄瑠璃作家・近松門左衛門(松尾スズキ)の「曽根崎心中」が竹本座で初演される。男女の情死を描いた「筋」は好評を博したのだった。しかし・・・話は数カ月遡る。はたして・・・史実にあるように・・・遊女のお初(早見あかり)と道楽息子の徳兵衛(小池徹平)は心中してしまうのか・・・ここが一番気がかりである。とても「死」が控えているようには見えないムードだからである。そう思わせといてやる「手」もあるけどな。

元禄十五年十二月は赤穂浪士の討ち入りがあり・・・明けて元禄十六年正月。

竹本座の正月公演の幕が開き、金主(スポンサー)である平野屋の大旦那・忠右衛門(岸部一徳)は労いの酒席を催す。

その席上、浄瑠璃好きの番頭・喜助(徳井優)は芝居の出来について論評を始める。

「あきまへんな・・・筋が悪いから・・・客の入りが悪い」

顔色を変える近松門左衛門だった。

「最近・・・近松門左衛門の筆が乗らぬのです」

竹本座の座主である竹本義太夫(北村有起哉)が追い討ちをかける。

「しかし・・・近松といえば・・・(井原)西鶴や(松尾)芭蕉と比べても遜色ない才能の持ち主でしょう」

忠右衛門は笑顔でとりなす・・・しかし。

「なぜ・・・西鶴や芭蕉は名前で呼んで・・・私は名字なんですか・・・冷たいじゃないですか」

「え・・・そこ」

思わずツッコミを入れる義太夫だった。

さあ・・・これは・・・ふざけた作品になるぞ宣言だ。

近松門左衛門は越前国福井藩の藩士の家に生まれた。本名は杉森信盛である。母親の喜里(富司純子)は藩主・松平忠昌の侍医の娘である。いろいろあって浄瑠璃作者となった近松門左衛門は大阪で母一人子一人の生活を営んでいる。女房には逃げられたらしい。

「嘆きつかれた宴の帰り・・・これで浄瑠璃も終わりかなとつぶやいて・・・」などと鼻歌を歌いながら帰宅した近松門左衛門に・・・喜里は無理難題を言う。

「私はサバが食べたいのです」

一部愛好家にはお約束の「サバ」である。

野口順子(宮嶋麻衣)が来るのか・・・。

そして・・・語りだすのは・・・落語「二十四孝」でおなじみの三国志時代の文官・王祥(185-269)の親孝行話。

「王祥は母親が魚を食べたがった時、凍った川を人肌で温め、鯉を得ました・・・」

「王祥は継母に暗殺されそうだったので・・・必死だったんですよ」

「・・・情けない」

老いた母に理屈は通じないのだった。

「近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ)」・・・近松門左衛門は・・・人形浄瑠璃作家として一応の成功を収めたものの・・・歌舞伎役者の坂田藤十郎に甘い言葉で誘われて歌舞伎作家にもなり・・・またもや浄瑠璃の世界に戻るという腰のすわらないところがあった。とにかく・・・褒められて伸びるタイプだと自分を規定しているらしい。

街ゆけば落語「孝行糖」のように・・・「食べさせれば子供が親孝行になる怪しいお菓子」を飴売りが商い中である。

そこに・・・「親不孝したけりゃ舐めなさい」と変な飴売りが現れる。

不孝糖売りの万吉(青木崇高)だった。

「なんじゃそりゃ・・・」

「だから・・・親不孝になれる飴や」

「・・・そんなもの売りたけりゃ・・・堂島新地に行くがいい」

「なんでやねん」

「親不孝の道楽息子が涌いてる」

「なるほど・・・」

堂島新地は盛り場である。

近松門左衛門も気晴らしに「天満屋」で遊女のお袖(優香)たちを相手に酒を飲むのだった。

しかし・・・お袖たちは・・・過去の栄光にすがる近松門左衛門の愚痴に飽き飽きしていたのだった。

さらに・・・人気のなくなった近松門左衛門の身入りは悪く・・・「天満屋」の女将・お玉(高岡早紀)からはそろそろつけを払えと催促される始末。

困り果てた近松門左衛門の前に油問屋の黒田屋九平次(山崎銀之丞)が救いの手を差し伸べる。

羽振りのいい九平次は「近く歌舞伎小屋を建てるので座付作家になって欲しい・・・報酬は竹本座の五倍出す」と持ちかけるのだった。

「五倍・・・」

「なにしろ・・・あなた様は天下の近松門左衛門ですから・・・」

甘い言葉に弱い・・・近松門左衛門だった。

「良い返事を待ってます」と言い残して九平次が去ると万吉が現れる。

「あの男・・・ただものじゃないね・・・用心した方がいいですよ」

「なんで・・・お前がここに・・・」

「旦那の言う通りに親不孝ものに出会って奢ってもらうつもりが・・・道楽息子に逃げられて・・・仕方なく居残りです」

「アホだな・・・」

「どうです・・・一緒に不孝糖を売りませんか」

「お断り・・・どうしてもって言うならサバ買ってこい」

季節外れなので・・・サバなど買えないと踏んでの厄介払いである。

ふらふらと竹本座にやってきた近松門左衛門・・・。

不入りの演目は打ち切りとなっていた。

「えええ」

「というわけで・・・半金は払えねえ」

「ええええええええええええええ・・・え~ん、え~ん」

「メソメソすんなっ」

切羽詰まった近松門左衛門は・・・ついに九平次を呼び出す。

「お受けいただけるんですね」

「は・・・」

その時・・・近松門左衛門の心に・・・幼い日に人形と遊んだ日々が去来する。

人形浄瑠璃を心から愛したあの日・・・。

「やはり・・・歌舞伎は・・・」

「なんだとこら・・・」

態度を豹変させる九平次である。

ドスを抜いて脅す姿は・・・その筋の人そのものだった・・・。

「俺には野望があるんだよ・・・あんたなんかに・・・ケチつけられちゃ困るんだよ」

「ひええ」

惧れ慄く近松門左衛門・・・。

そこに万吉が帰ってくる。

「サバ買ってきたぜ・・・」

「え・・・」

「たまたま・・・池で飼ってる人がいた・・・」

「なんだ・・・てめえは・・・」

「俺はちかえもん・・・と不孝糖を売るのさ・・・」

「略すなよ・・・」と言いかけて頬を染めるちかえもん・・・。

(ちかえもん・・・可愛らしいこと・・・)

こうして・・・万吉とちかえもんの・・・「曽根崎心中」をめぐる道行が始ったのである。

この世の名残

夜も名残 

死にに行く身をたとふれば

あだしが原の道の霜 

一足づつに消えて行く 

夢の夢こそあはれなれ

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咲くやこの花

Q.E.D.証明終了

ちりとてちん

人生はフルコース

ギャルサー

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2016年1月14日 (木)

ヒガンバナ~警視庁捜査七課~(堀北真希)VSフラジャイル(長瀬智也)

(火)も(水)も混戦だな。

(火)は一応「バカ恋」が生き残っている。

そうなんだ。

(水)の対決は男と女の戦いになっていて・・・甲乙つけがたいんだよな。

ちなみに・・・堀北真希は1988年度生まれの27歳で・・・長瀬智也は1978年度生まれの37歳である。

10歳差があるために・・・二人は共演歴がないのである。

ところが・・・私生活で堀北真希の夫になった山本耕史は1976年度生まれの39歳なのだ。

つまり・・・堀北真希と長瀬智也のラブロマンスは成立してもおかしくないのである。

まあ・・・そういう意味では1993年度生まれで22歳の武井咲は長瀬智也と15歳差で・・・これだってあっていいことになる。

いや・・・とにかく・・・超能力刑事とか・・・シリアスな病理医のドラマもいいが・・・。

どうせなら・・・長瀬智也と堀北真希でラブコメでもいいのにな・・・と思ったわけで・・・。

ものすごくマイペースなマキマキと面倒くさがりだけど面倒みてしまう長瀬みたいな・・・コンビで・・・「トリック」的なものが・・・見たいと考えます。

ホラーでもいいけどな。

まあ・・・とにかく・・・アイドルグループの解散の噂が・・・トップニュースになってしまうこの国では・・・そんなに面白いものはもう望めないのかもしれん・・・。

で、『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~・第1回』(日本テレビ20160113PM10~)脚本・徳永富彦、演出・大谷太郎を見た。2014年10月にスペシャルで放送されたドラマ「ヒガンバナ~女たちの犯罪ファイル」の再スタート展開である。スペシャル版ではすでに捜査第七課(通称ヒガンバナ)に配属されていた峰岸雪乃(檀れい)は連続ドラマ版では捜査一課の所属であり・・・峰岸刑事がなぜ・・・捜査第七課に配置転換されたのかが描かれる。

「東京オリンピック」の視察団を総力をあげて警備する警視庁・・・。

刑事部長の神藤(佐野史郎)は捜査七課の瀬川すみれ課長(大地真央)が接待役として参加していることを苦々しく思っている。

捜査七課は女性捜査官によって組織され・・・女性の関連した事件を捜査する特殊なチームだが・・・神藤はそもそも・・・その存在意義を認めていないのだった。

峰岸刑事は・・・何故か、「ストーカー被害届けの女性について」捜査したいと希望を述べるが・・・捜査一課長の北条(平山浩行)は当然却下する。

どう考えても・・・所轄署の生活安全課の仕事だからな・・・。

テレ朝以外が刑事ものを作ると・・・こういう些細な点で・・・躓くのである。

一方、捜査七課のエースである来宮渚刑事(堀北真希)は共感力が高く、事件現場に残された残留思念を読みとることができるエスパーである。

ただし・・・それは限りなく直感に近い能力で・・・激しく感情移入をすると意識を失ってしまうという欠陥があった。

意識を取り戻すと・・・せっかく得た情報も喪失されてしまうという・・・恐山にいるタイプの巫女刑事なのである。

決めセリフは「シンクロしました」である。

なんともいえない・・・微妙な設定なのだが・・・そういうものを面白いと思う人がいるのだから仕方ないな。

女捜査官たちは・・・集まれば色恋の話で盛り上がるのだった。

そのメンバーは鑑識出身で科学捜査のプロである伊東凛刑事(高梨臨)、情報分析課出身のプロファイラーである柳幸子(YOU)、東京都監察医務院に勤務する監察医で帰国子女の長見薫子(知英)・・・。

基本的に男社会からはみ出した女性たちを瀬川課長が集めたということである。

投稿マニアの愉快犯が爆発現場にいたので摘発する来宮刑事。

「なんの証拠があるんだよ」

「あそこにカメラを仕掛けたでしょう・・・指紋採取したら・・・一発よ」

「ごめんなさい」

来宮刑事は格闘術にも長けているのだ。

視察団を乗せたクルーザーの停泊する港付近のビルで女性の墜落死が発生する。

速やかな処理を命じられた峰岸刑事は・・・死体が・・・ストーカー被害にあっていた千鶴(関めぐみ)だと気が付き暗澹たる気持ちになる。

そこへ・・・来宮刑事が到着し・・・シンクロして・・・「うそつき」という謎の言葉を残し・・・失神するのだった。

仕方なく・・・おんぶで来宮刑事を病院に搬送する峰岸刑事・・・。

心療内科医の百合子(高橋惠子)は「この世には科学では説明できないことがある」と言い出すのだった。

峰岸と来宮の即席コンビは成り行きで捜査を開始・・・。

浮かび上がった容疑者は・・・千鶴の親友の綾香(小野ゆり子)・・・そして、「妊娠・出産」関連の雑誌の編集者である千鶴の取材対象である妊婦の珠美(ともさかりえ)である。

綾香は・・・千鶴が珠美に会いに行ったといい・・・珠美はそれを否定する。

国会議員の娘であり・・・夫の新之助(山中崇)と仲睦まじい様子の珠美を疑うどころか羨ましく感じる峰岸。

「あんたは・・・本当に大切なことが見えていない」と侮蔑する来宮だった。

捜査七課のメンバーは峰岸を「負け美女」と蔑むのだった。

スペシャル版の脚本家と違ってこちらは「男女の家事分担なんて幻想だ」と例文を作りそうなタイプだと妄想できる。

一方で・・・素晴らしいインターネットの世界では・・・千鶴の遺体の動画とともに・・・クルーザーの爆破予告が投稿されるのだった。

特定された発信者はフリーターの大山(矢本悠馬)だったが・・・千鶴の遺体撮影時のアリバイがあり・・・犯人は「大山になりすましたハッカー」だと証言する。

やがて・・・綾香が妊娠していたことが判明する。

そして・・・千鶴は「私も好きな男の子供を産みたい」と綾香に語っていたこと。

千鶴と珠美の夫が不倫していた証拠が見つかり・・・容疑者は珠美に絞られていく。

「うそつき」・・・千鶴は珠美に告げていた。

シンクロした来宮は・・・珠美の妊娠が擬装だったと見破るのだった。

「何を言い出すの」

「口惜しかったら母子手帳見せてみなさいよ・・・」

「・・・」

選挙地盤を孫に継がせたい父親のために・・・どうしても妊娠しなければならなかった珠美は・・・夫の計画した擬装妊娠工作を開始する。

夫の不倫相手にそのことを嘲笑され・・・衝動的に千鶴を突き落としたのだった。

偶然、フリーターの大山は現場に遭遇し・・・珠美を使ってアリバイ工作をしたのだった。

大山は・・・爆弾魔だった。

来宮刑事は爆弾の解除コードを聞きだす。

捜査七課長は見せ場を得る。

「すぐに四ケタの番号を打ち込んでください」

「爪が邪魔で打ちこめないわ」

「それでも刑事課長かっ」

来宮刑事の前にフリーのジャーナリスト・菊池謙人(DAIGO)が現れる。

「ANSNだったね」

「愛のない政略妊娠・・・」

「結婚おめでとう」

「そちらも」

そして・・・国会議員の娘を殺人犯にしてしまった峰岸は捜査七課に左遷されるのだった。

まあ・・・なんだかなあ・・・と言わざるをえない・・・。

やたらと妊婦が出てくるのは「コウノドリ」の余波なのだろう・・・。

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で、『フラジャイル・第1回』(フジテレビ20160113PM10~)原作・草水敏/恵三朗、脚本・橋部敦子、演出・石川淳一を見た。臨床医と病理医・・・基本的に患者の病気を診断するためのシステム的な両輪である。病理検査技術が発達し、様々なデータが得られるようになった時代。臨床医が行った検査に基づいて結果を知らせるのが病理医なのである。お互いになくてはならない存在だが・・・ドラマにするために・・・無能な臨床医によってモヤモヤさせて・・・有能な病理医によってスカッとさせる構成になっている。まあ・・・このままだと「私、失敗いたしません」的な流れになるよね・・・。

壮望会第一病院の若き臨床医・宮崎智尋(武井咲)は転倒して頭を打った女子高生・花梨(上白石萌歌)の担当医・高坂(平岳大)の診断に疑問を感じる。

神経内科のカンファレンスでそのことについて異議を唱えようとするが・・・周囲の雰囲気にのまれて口を噤んでしまうのだった。

そこに・・・突然現れた病理医の岸京一郎(長瀬智也)・・・。

「椎間板変性・・・その診断の根拠はなんですか・・・」

「腰の痛みを訴えているから・・・」

「どうして画像診断をしないのです」

「その必要を認めないからだ」

「・・・コスト削減ですか」

「その通り」

言いたいことを言われた智尋は岸を尋ねる。

「先生・・・患者さんに会ってもらえませんか」

「病理医は患者には会わないよ」

「でも・・・患者さんの命が・・・」

「それなら・・・なぜ・・・カンファレンスで口を噤んだのだ」

「・・・」

「君は・・・患者の命より・・・自分の立場を選んだのだろう・・・」

「そんな・・・」

「じゃ・・・検査したまえ・・・」

「でも・・・」

「先輩医師に逆らってまで・・・検査するなら・・・協力してもいいぞ・・・共犯者として・・・」

追いつめられた智尋は検査を強行するのだった。

TIA(一過性脳虚血発作) の痕跡が発見され・・・患者の容体は急変する。

「脳梗塞の危険があります」

「なんだと・・・」

しかし、明瞭な検査結果があるために・・・緊急手術で・・・患者は一命をとりとめる。

智尋の越権行為は不問とされる。

担当医・高坂の誤診は闇に葬られたのだった。

病理医の道に光明を見出した智尋は岸に弟子入りを志願するのだった。

しかし、病理診断科は岸京一郎と臨床検査技師・森井久志(野村周平)の二人だけの閉鎖空間だった。

まるで反社会的勢力のリーダー格のような慶楼大学附属病院病理科長の中熊薫(北大路欣也)が突然やってきて・・・智尋を口説いたりするので・・・その怪しさは深まる。

中熊は岸の指導医だったらしい。

岸と大学の同期生である外科医の細木まどか(小雪)は親切に教えてくれるのだった。

「腐れ縁なのよ・・・といっても私がヤクザの情婦だったり、幼稚園プレーが得意だったわけじゃなくて・・・単に身体のみの関係の昔の男ってことだけよ」

「だけなんですか」

いろいろな高速ひねり責めプレーを持っていそうな細木医師に気押される智尋である。

呼吸器内科医の藤原(手塚とおる)の患者の血液検査から・・・がんの疑いを告げる岸。

「精密検査をするべきです」

「その必要はない・・・この患者は肺炎だよ・・・」

「肺炎・・・」

「病理医が・・・臨床医の診断に口出しするなよ」

「コストカットですか」

「・・・」

病室の様子を窺う智尋。

がんの疑いがあるのに・・・肺炎と診断された佐藤真一(夙川アトム)には身重の妻(荻野友里)がいた。

生まれてくる子供のためにも父親を助けなければいけないと・・・焦る智尋だった。

やたらと妊婦が出てくるのは「コウノドリ」の余波なのだろう・・・。

こういうところでかぶるのが・・・哀しい現実なんだよな。

精密検査ができないために・・・与えられたデータで・・・がんの部位を決定するために・・・しらみつぶしを開始する病理チーム。

森井技師は徹夜で組織片を準備し、岸は顕微鏡を覗きまくる。

ついに・・・腫瘍の部位が特定される。

「がん患者を退院させたそうですな」

「肺炎だって言ってるだろう」

「それは・・・どこが悪いかわからないときにつけられる名前だ・・・適当な診断だ・・・そんなことをしていると・・・いつか患者を殺しますよ・・・」

「なんだと・・・」

検査結果を突きつける岸・・・。

「人殺しにならずにすんでおめでとう」

「げげげ」

「君が医者でいる限り、僕の言葉は絶対だ」

「・・・」

「もう一度言う、僕の言葉は絶対だ」

「・・・」

「絶対だ」

「申し訳ありませんでした」

とにかく・・・お茶の間がスカッとできるなら・・・なんでもいいか・・・。

もう少し・・・面白い長瀬智也が見たいんだけどね。かっこいいだけじゃないはずだよね。

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2016年1月13日 (水)

ダメな私に恋してください(深田恭子)VS愛おしくて(田中麗奈)

激突だな・・・。

(火)は谷間候補なのだが・・・この二人の激突は見ごたえがあるなあ・・・。

深田恭子は1982年度生まれの33歳。

田中麗奈は1980年度生まれの35歳。

それぞれの持ち味をいかして・・・三十代を果敢に生きている感じである。

ビジュアル的には深田恭子の方が圧倒しているが・・・田中麗奈には独特の切れ味がある。

名作大河ドラマ「平清盛」(2012年)では平氏清盛の正室・時子(深田恭子)と源義朝の正室・由良御前(田中麗奈)で対峙していたのだ。

この静かなる決闘・・・密かに楽しみたい。

で、『ダメな私に恋してください・第1回』(TBSテレビ20160112PM10~)原作・中原アヤ、脚本・吉澤智子、演出・河合勇人を見た。悲劇の美少女から富豪刑事まで・・・様々な顔を持つ深田恭子だが・・・少し病んでる感じのコミカルなキャラクター路線という王道がある。「リモート」(2002年)の彩木くるみ、「南くんの恋人」(2004年)の堀切ちよみ、「未来講師めぐる」(2008年)の吉田めぐるという路線だ。めぐるは一種の完成系なので・・・加齢ということもあり・・・この路線はもう・・・見られないと思っていた・・・ところで柴田ミチコである。

ついにカタカナになったが・・・あの追いつめられて、てんぱって、ひえええええってなる深田恭子が帰って来たのである・・・不死鳥のようだ・・・。

しかも・・・可愛いのだ・・・一般女性にとっては・・・もはや反則行為だよな。

特に自分自身を含めた森羅万象に対するかわいいツッコミがふと漏れてしまう瞬間は恍惚となる可愛さなんだな。

これを単なるモノローグの延長と考えたら・・・理解力の不足を感じなければならない。

なんたって深キョンの真髄の一つだ・・・。

「ふかふかだ・・・だじゃれじゃん!」である。

脚本家はあの「コスプレ幽霊 紅蓮女」から大河ドラマ「八重の桜」のピンチヒッターまで勤めた人。

わかっている感じがする。

ミチコは三十歳である。

普通の人生を目指してきたが・・・少し、「バカ」なので・・・三十歳で、無職で、無貯金で、処女だった。

「戦隊ヒーロー」のおっかけで道を踏み外し・・・ヒーロー似の笑顔の素敵なクズ大学生・佐野純太(吉沢亮)に貢ぐ日々・・・。

ついに貯金も底をつき、カードの限度額も越え、キャベツばかりをかじっていたのである。

公園のベンチの下にあった・・・猫の餌に手を出し・・・人間から獣になろうとしていた時・・・。

OL時代の意地悪な上司・黒沢歩(ディーン・フジオカ)に再会するのだった。

高圧的な態度の人間に弱いミチコはうろたえて「B3用紙」の発注に「ビーチサンダル」で応じる致命的なミスをおかしていた。

「て、天敵・・・」

「誰がじゃ」

しかし・・・本当は仏様のように優しい歩は・・・ミチコを拾って帰るのだった。

歩は脱サラして・・・祖母の営んでいた喫茶店「ひまわり」をリニューアル・オープンするところだった。

アルバイト店員として雇用されたミチコは・・・元ヤンキーだった歩の昔の仲間・・・テリー(鈴木貴之)たちと「ひまわり」のマカナイで糊口をしのぐのだった。

「普通」から逸脱したミチコは「外見的にかわいいもの」に現実逃避を続ける。

ついに・・・「母親が病気で百万円」という純太の古典的詐偽にひっかかり・・・消費者金融に手を出すミチコ。

借金返済のために・・・AKB的なキャバクラで夜のアルバイト・・・みゆゆ(23)・・・を開始である。なんだったらみゆゆ(13)でも成立しそうだ・・・。恐ろしいことだな。

すぐそこまで「ウシジマくん」が来ています。

高速回転ベロの特技を持つ客(イジリー岡田)についに貞操を奪われそうになるところを歩に救援されるのだった。

「いいかげんにしろ・・・」

「・・・」

歩の元カノである生嶋晶(野波麻帆)とテリーを同伴し・・・純太を呼び出すミチコ。

「お金・・・返してください」

「え・・・なんで?」

「あの話・・・嘘でしょう」

「えええ」

「嘘だろうって言ってんだよ」とレディース的な迫力の晶。

「・・・」と暴走族的に睨むテリー。

「・・・はい・・・」

かわいい純太を追いつめてしまったことに・・・凹むミチコだった。

本線は・・・ミチコと歩だが・・・歩には花屋の春子(ミムラ)という片思いの相手がいる。

そして・・・ミチコの前には通りすがりの優しい人・最上大地(三浦翔平)が現れる。

だが・・・寝ぼけた歩はミチコのファースト・キスを奪うのだった。

まあ・・・「深田恭子」であることを忘れてダメな「私」を信じることが出来れば話として成立します。

あなたの妄想力が試されているのです。

一部お茶の間の人は・・・ただただうっとりすればよろしい・・・。

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で、『愛おしくて・第1回』(NHK総合20160112PM10~)脚本・黒土三男、演出・福井充広を見た。ロマンチックなラブコメとは対照的に・・・ドロドロ感いっぱいの夜なのに昼メロドラマである。舞台は岐阜県で・・・主人公の小夏(田中麗奈)は絞り染めの「有松絞り」の職人として多治見市に流れてくるのだった。

相当にワケアリらしい・・・小夏。

ローカル線に乗って美濃市を訪れ、母親の墓参りをする小夏。

河原で舟で嫁入りする花嫁をみかけ・・・思わず「幼い日」を回想する。

船大工だった父親の辰造(小林稔侍)は小夏と母親を捨て・・・若い美容師・紙音(南果歩)の元へと去ったらしい・・・。

小夏は・・・多治見市に南下して有松絞りの巨匠である怜子(秋吉久美子)に弟子入りする。

怜子は小夏の才能を見抜き・・・「パートナー」として抜擢するが・・・怜子の正体は「欲しいものはなんでもどんな手段を使っても手に入れる魔性の女」らしい。

怜子は就職の条件として・・・怜子が拾った捨て犬の「ジロー」の世話をおしつけられる。

怜子の愛人らしい獣医の光太郎(吉田栄作)は・・・「この犬の世話はあんたには無理だ」と引きとりにあらわれる。

「いやよ・・・」と拒絶する小夏。

「何故だ・・・あんた・・・犬が苦手なんだろう・・・」

「私も捨てられた犬だから・・・」

光太郎はたじろぐのだった。

夫の残したいくつかの会社を多角経営し・・・多治見市の経済界の重鎮となっている怜子。

再開発計画の中心となっている大学教授(水橋研二)を料亭で接待する。

そこへ用事があって現れた小夏。

大学教授は・・・小夏の昔の男だった。

「小夏・・・会いたかったよ・・・お腹の子供はどうしたんだ」

「・・・」

小夏は無言で車に乗り込み、大学教授を轢き殺そうとする。

小夏が去った後で・・・怜子が現れる。

「ただごとじゃなかったわよね・・・ちょっと面白かった」

ジローは小夏の留守の間に部屋をメチャクチャにする。

「ひどいわね・・・あんた・・・このことは絶対忘れないからね」

「・・・」

そこへ・・・十年ぶりに父親がやってくる。

「何しに来たのよ・・・」

「元気かと思って・・・」

十年前、母親の葬儀に現れた父親を高校生だった小夏は殴ったらしい。

何が愛おしいのかはよくわからないが・・・とにかく・・・コメディーではなく・・・シリアスなドラマだと思われます。

とにかく・・・深田恭子VS田中麗奈はがっぷり四つ・・・。

コミカルに壊れるか、シリアスに壊れるか・・・だからな。

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2016年1月12日 (火)

ルパン三世(小栗旬)最初に言ったはずだぜ(玉山鉄二)拙者(綾野剛)ごめんね(黒木メイサ)

一月の谷間である。

年末年始・・・様々な映画が放映されたわけだが・・・よりによってこれかよっ。

なんていうか・・・色々なことを思い出すんだな。

特に・・・ダメ出しの記憶が蘇る。

放送作家の頃・・・演出家に台本のダメ出しをされて辛かったこととかか。

まあ・・・ダメな演出家にダメ出しされた時は速攻で帰宅したけどな。

優秀な演出家に高水準の仕上がりを求められた時にはなんとか期待に応えようと歯をくいしばったこともあるよな。

だからといって出来がよくなるとは限らないわけだが。

渡米して某巨大テーマパークのコンテンツに関わった時は・・・その求められる要求の高さに眩暈を感じたりもしたな。

「スターウォーズ」のメイキングの中で上司にダメ出しされる特撮クリエーターのような気分だよな。

そういう意味で・・・この映画の脚本家は・・・プロデューサーである。

絶対、ダメだよな・・・人間、自分に一番ダメ出ししないからな。

で、『ルパン三世(2014年劇場公開作品)』(TBSテレビ20160111PM9~)原作・モンキー・パンチ、脚本・水島力也、演出・北村龍平を見た。「ルパン三世 念力珍作戦」(1974年)以来の実写版である。とにかく・・・ルパン三世(小栗旬)、次元大介(玉山鉄二)、石川五ェ門(綾野剛)、峰不二子(黒木メイサ)の三次元化のクォリテイーの高さは申し分ない。銭形警部(浅野忠信)に関してはヤング版であるとしても・・・身長がもの足りない気がする。存在感としては五ェ門が抜群だ。人それぞれにリアルについての定見があるわけだが・・・実はこの五ェ門の和装が・・・実写化に対して問題があると考えたら・・・コスチューム・プレイなんてやらない方がいいのである。

「こういうもんなんだ」という強引な演出でいいと思うよ。

で・・・舞台は・・・タイ・香港・フィリピン・シンガポールと・・・アジアを股にかけるわけである。

「ご苦労様でした」と言う他はないんだなあ・・・。

「ルパン三世」がこの世に出たのは・・・原作の魅力が第一だが・・・アニメ化されたテレビの第一シリーズの「面白さ」によるところも大きいだろう。まさに・・・画期的だったように考える。

そして・・・名作「ルパン三世 カリオストロの城」も忘れられない。

そういう・・・研ぎ澄まされた面白さは・・・原作者にとって不本意という側面もある。

なにしろ・・・オリジナルより面白いのは・・・面白くないわけだ。

だから・・・原作者が「可」とする面白さは・・・まず面白くないんだなあ。

アクション映画が本領の演出家であるために・・・アクション・シーンはそれなりに面白い。

しかし・・・それも「ルパン」のアクションとしては「これじゃない感」は否めない。

たとえば・・・「五ェ門」の斬鉄剣の「間」は・・・綾野剛が抜群の「五ェ門」を演じているのに・・・しびれるところまで・・・あと何歩か足りないのだ。

シナリオが抜群にダメなのは・・・ルパン側に余計な登場人物を介入させていることである。

誰だかわからないハッカーに「おまかせ」のルパンなんて・・・ダメだろう。

ルパンが「PC」に詳しくないという先入観が邪魔なのだ。

「あの頃・・・俺は若かった」というルパンは「カリオストロの城」ですでに確立された手法でもある。

そういう意味で・・・ルパンと不二子・・・そしてマイケル・リー(ジェリー・イェン)にもう少し絞れば・・・「ルパン」のエピソードとしてもう少し精度があがったと思われる。

「犯罪シンジケート」の一員だったルパン。

ルパン二世の親友だった老いた泥棒紳士の手下となっていたルパン。

泥棒仲間でライバルでもあるマイケルは・・・実は泥棒紳士を仇として狙っている。

「クリムゾンハート・オブ・クレオパトラ」という「お宝」をめぐって絡み合う泥棒紳士とマイケルの父と・・・第三の男・・・。

「峰不二子」という「お宝」をめぐって対峙するルパンとマイケル・・・。

これが基本線である。

ここから・・・ツイストして・・・マイケルは・・・第三の男に踊らされていること。

不二子とマイケルの関係に嫉妬するルパン。

しかし・・・マイケルと不二子は兄妹だったという・・・ルークとレイアとハンソロみたいなこと。

だが・・・それは・・・マイケルを利用するための不二子の嘘だったこと。

第三の男との対決でマイケルはルパンに命を捧げる。

ルパンはすべてを見抜くが・・・「クリムゾンハート・オブ・クレオパトラ」を手にするのは不二子というお約束。

この主題にそって・・・もう少しシナリオを練り直せば・・・もっと素晴らしい作品になったと考える。

少なくとも・・・マイケルの妹になりきる不二子や・・・ルパンにそれとなく萌えるマイケルの描写は不可欠だろう・・・。

まあ・・・とにかく・・・誰もが「やめておけばいいのに」と思うことを「やった」ことだけは評価したいのでございます。

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ヤッターマン

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2016年1月11日 (月)

真田丸(堺雅人)天正十年、岩櫃城か岩殿山城か、それが問題だ(大泉洋)昌幸の野望(草刈正雄)

長澤まさみ抜きでスタートかよっ。

まあ・・・とにかく・・・無国籍ロマン風な幕末大河の後は・・・なんだかとっても光栄な戦国大河である。

ゾクゾクするのお・・・。

話をどこから始めるかは・・・重要な問題だが・・・いきなり、武田家のクライマックスである。

ストーリーテーラーとしては実に巧妙だなあ・・・。

主人公の真田源次郎信繁の生没年には諸説あるが・・・永禄十年(1867年)生まれ説をとると・・・天正十年(1582年)には数えで16歳となっている。

初陣を飾るお年頃なのである。

武田家家臣として上野国岩櫃城の城代となっていた真田昌幸は甲州征伐の動乱の中、綱渡りを開始する。

主家滅亡の危機に・・・父・昌幸とともに信繁は戦国武将としてのスタートをきるのである。

そして・・・天正十年は・・・戦国時代の終わりの始りなのだった。

で、『真田丸・第1回』(NHK総合20160110PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は主人公・真田信繁、その父親で戦の鬼と呼ばれた真田昌幸、そして甲斐の父と諏訪の母を持つ貴公子・武田勝頼の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。今回こそは日曜日の夜が楽しみになるとよろしいですな。初回は昌幸の「武田は不滅でござる」からの「滅びる」、「浅間山が噴火しない限り大丈夫」からの「噴火」、そして「風林火山だから」オチ・・・。軽く流した後で・・・哀愁ある勝頼の転落の人生・・・。セリフのみとはいえ・・・勝頼の姉婿・木曽義昌の人質処刑など・・・戦国の香りが漂いましたねえ。「船出」が「脱出」の言い換えだったとしても・・・そそります。とにかく・・・戦国大名たちが豪華ですしっ。

Sanada001元亀三年(1572年)、遠江三方ヶ原の戦いで徳川家康が武田勢に敗退。元亀四年(1573年)、武田信玄死す。織田信長は足利義昭を追放し、室町幕府終焉。天正元年、信長が朝倉義景を滅ぼす。二年(1574年)、真田信繁の祖父・幸隆死去。三年(1574年)、長篠の戦で真田信綱、昌輝兄弟が戦死、真田昌幸が家督を継承。四年(1576年)、上杉謙信が越中・能登を平定する。五年(1577年)、羽柴秀吉が播磨国上月城を占領。六年(1578年)、上杉謙信死す。七年(1579年)、昌幸が沼田城を攻撃。八年(1580年)、昌幸が沼田城を占領。九年(1581年)、家康が高天神城を占領。天正十年(1582年)二月、木曽義昌が信長に降る。武田勝頼は人質の義昌の生母、側室らを磔の刑に処す。織田信忠、徳川家康、北条氏政が武田領に侵攻。小笠原信嶺が信長に降る。三月、信濃高遠城が落ち、仁科盛信が戦死。穴山梅雪は家康に降る。勝頼は新府城を放棄。岩殿城の小山田信茂が勝頼の入城を拒絶。勝頼・信勝父子は行き場を失い、天目山へと追いつめられる。信長は美濃から信濃に進出した。

諏訪湖の水面に月影が浮かんでいる。

月影が揺れ、人影が浮上する。

湖上の舟に灯がつくと人影は泳ぎ出す。

「三郎丸じゃ・・・」

「これは若様・・・わざわざお出迎えとは・・・」

「急ぐのじゃ・・・岩魚・・・上方の様子が聞きたい」

「都は静かなものでございます・・・」

「ともかく・・・あがれ・・・氷はとけたとは言え・・・凍てつくじゃろう」

「は・・・」

岩魚は飛沫をあげて舟に飛び乗った。

信州の諏訪湖と近江の琵琶湖の間には地下水脈が通じている。

普通の人間には・・・近付くことはおろか・・・存在さえ知られぬ秘密の回廊である。

しかし・・・海野の忍びと甲賀の忍びには河童衆と呼ばれる常人とは違う能力を持った超人がいる。

彼らは古の昔から・・・この忍びの道を利用して来た。

河童が生まれるかどうかは・・・天運に支配される。

そのために・・・道が途絶えることもあったが・・・戦国の世にあって・・・生き残るためのあらゆる術が進化を遂げ・・・水術もまた・・・必要に迫られて復興したのである。

河童衆の血筋が集められ・・・飼われたのであった。

岩魚もまた・・・その一人であった。

河童衆はエラ呼吸によって・・・魚のように水中を移動することができるのである。

「信長は安土を出て・・・はや、美濃に入っておりまする」

「そうか・・・」

「雪解けとともに信濃に入るは必至」

「・・・もはや・・・これまでじゃな・・・」

船頭はすでに岸に向かって漕ぎだしている。

しかし・・・三郎丸は船上から狼煙花火を放つ。

三郎丸から次郎丸へ・・・。

次郎丸から太郎丸へ・・・。

「若殿・・・信長進発の報せがございました」

真田忍びの小頭筆頭である河原綱茂は信州上州の国境を越えた岩櫃城の留守役である真田源太郎幸村に告げる。

「そうか・・・父上が戻られるな・・・」

「は・・・」

「国境に結界を張り・・・父上をお迎えするのだ・・・弟たちがいるとはいえ・・・信濃には信長の忍びが群がっておるからの・・・」

「ただちに・・・」

岩櫃城から・・・真田忍び六人衆の小頭たちが山道に散って行く。

北信濃、西上野の山々は・・・諸々の武将たちの領分とは関係なく・・・真田忍びの縄張りである。

武田勝頼の甲州新府城から脱出する真田一族を迎え入れるために沿道の監視体制を強化する忍びの群れ。

すでに南信濃には織田方の先鋒部隊が乱入している。

木曽義昌討伐に向かった武田勝頼の主力部隊は・・・その数的不利を悟り、諏訪から引き上げ新府城に戻る。

しかし、東から北条軍、南から徳川軍、西から織田軍に攻め立てられ進退に屈していた。

勝頼は選択を迫られる。

小山田越前守信茂の甲州岩殿城に籠るか・・・真田安房守昌幸の上州岩櫃城に落ちるか・・・。

「殿・・・ご決断を・・・」

「・・・甲斐を捨てるわけには・・・いかん・・・岩殿城に行く」

勝頼は命を捨て・・・名を残す覚悟を決めた。

真田昌幸は冷たい眼差しを伏せた。

その目頭に滲むものは・・・亡き信玄公に忠誠を誓い・・・命を捨てた一族のものへの哀悼の証である。

「・・・愚かな」

昌幸は言葉を飲みこみ・・・御前から下がった。

命を捨てる主君になど・・・従う理は・・・真田の忍びには無縁なのである。

「城から落ちる・・・」

新府城真田屋敷で・・・昌幸は一族のものに告げた。

すでに・・・脱出の準備は整っていた。

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軍師官兵衛の天正十年

天地人の天正十年

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2016年1月10日 (日)

逃げる女(水野美紀)謎の女(仲里依紗)二児の母(安藤玉恵)消えた女(田畑智子)

冤罪被害者は・・・犠牲者である。

冤罪という可能性がありながら法治国家を運営する制度そのものの犠牲者である。

たまたま乗っていた飛行機が墜落するようなもので・・・不運な犠牲者なのである。

それで・・・冤罪被害者が納得できるかという話である。

しかし・・・無実の罪で死刑になったものには何もできないが・・・冤罪が晴れて釈放されたものにはいろいろなことができるのだ。

冤罪は新たな犯罪を生む可能性がある。

冤罪被害者が犯罪者となった時・・・それを裁くものは・・・天を仰ぐ。

人が人を裁くことの恐ろしさを想わずにはいられないからだ。

で、『逃げる女・第1回』(NHK総合20160109PM10~)脚本・鎌田敏夫、演出・黒崎博を見た。ベテランの脚本家で味はあるのだが・・・少し、技巧的過ぎる感じがする。制度的な問題と・・・人間ドラマの交差点が曖昧で・・・「第一次世界大戦」では数百万人、「第二次世界大戦」では数千万人の犠牲者があった・・・とか。「殺人」は「衝動的なもの」だとか。やや・・・言葉が甘いのである。まあ・・・そういう作風なので・・・仕方ないか。

女子刑務所・・・西脇梨江子(水野美紀)は殺人犯として服役中である。

番号で呼ばれること八年。

縫製工場でミシンを使用する日々に突然、終止符が打たれる。

真犯人が自首したことにより・・・無罪放免となったのである。

私物を変換され・・・懲役によって得た収入およそ24万円を支給され・・・釈放される。

迎えに現れたのは・・・無能な国選弁護人だけであった。

「できるだけのことはしたんだよ」

「・・・嘘つき」

三十代のほとんどを無実の罪によって刑務所で過ごした西脇梨江子の心の中は・・・窺い知れない。

しかし・・・殺人事件の冤罪で・・・マスメディアに対する記者会見が開かれないのはどういうことだ。

警察も司法当局も・・・腫れものあつかいだろうが・・・。

とにかく・・・放置されたような梨江子は・・・真っ先に職場へと向う。

そこは・・・基地の街、佐世保である。

そこに・・・梨江子が問い質したい相手がいるのだった。

大学院卒で臨床心理士の資格を持つ梨江子は児童養護施設の職員だった。入所児童が転落死して・・・容疑のかかった梨江子。

しかし、梨江子は児童の死亡時間に・・・外出中で・・・同僚の川瀬あずみ(田畑智子)と言葉をかわしていた。

絶対的なアリバイ・・・しかし、川瀬はそのアリバイを全否定したのだった。

「彼女とはあっていません・・・その日、私は外出しませんでした」

「嘘をつかないで・・・」

「被告は静粛に・・・」

親友だったあずみが・・・何故・・・八年間・・・梨江子は狂おしいほどに考え続けて来た。

しかし・・・あずみは不在だった。

施設長(リリィ)は「あの事件のあと・・・彼女は辞職しました・・・人を怨んだら・・・不幸になるわよ」と言葉を濁す。

「冤罪」であることは報道されていたが・・・「西脇梨江子が殺人犯」であったという記憶は人々の心に根付いている。

仕方なく・・・実家に戻った梨江子は・・・そこが空き地になっていることを知る。

近所の女性は・・・「ひ、人殺し」と言って家に逃げ込むのだった。

八年の間に・・・梨江子の家族は離散していた。

梨江子のもう一人の同僚(安藤玉恵)は結婚して二児の母になっていた。

そういう「時」を奪われた梨江子・・・。

そんな梨江子の前に事件の取調にあたった刑事である佐久間(遠藤憲一)が現れる。

「刑事補償金の手続きを・・・」

「・・・」

「私にできることは・・・」

「死ね」

梨江子の気持ちは荒んでいた。

若い刑事の安藤(賀来賢人)は佐久間に問い糺す。

「贖罪ですか・・・」

「女房に逃げられたんだよ・・・」

「え」

「その直後に事件が起きた・・・あの女のアリバイが崩れた時・・・俺は我を失っていた・・・女房に対する憎しみを・・・あの女にぶつけたんだ」

「クズじゃないですか」

「刑事だって・・・人間だから」

「軽いな・・・俺たちの旅レベルの苦悩の問題じゃないでしょう」

「・・・じゃ・・・どうすればいいんだよ」

「死ぬしかないんじゃないかな」

その頃・・・佐世保には謎の女(仲里依紗)が現れていた。

ヤクザに拾われた女は・・・拳銃を奪ってヤクザを殺す。

人を殺しても動じない女は・・・街へと彷徨い出る。

殺人事件の発生に・・・県警の刑事課長・天野(加藤雅也)は訓示する。

「不名誉な冤罪事件があったばかりである・・・捜査員一同、もう一度正義というものを胸に刻んでももらいたい」

「そこは・・・慎重に・・・じゃないのかよ」

ベテランの柏木刑事(でんでん)は毒づいた。

梨利子は再び施設を訪れる。

施設長は折れた。

消えたあずみの消息をもらしたのである。

ギラギラと燃えあがる梨江子の瞳・・・。

場末の街でちゃんぽんを食べる梨江子の前に謎の女が現れる。

「あんた・・・人を殺した?」

「・・・」

「人を殺しそうな目をしてる」

「・・・」

殺人者と冤罪被害者は見つめ合う・・・。

殺したのにつかまっていない女と殺していないのにつかまった女・・・。

二人の旅は交錯するらしい・・・。

視聴者ははたしてどこへ連れて行かれるのか・・・少し不安になります。

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2016年1月 9日 (土)

ウレロ☆無限大少女(早見あかり)VSマネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~(葵わかな)

シチュエーション・コメディといえば・・・すべてのドラマがそうだとキッドは考える。

シリアスだってコメディだし、大河だろうが、連続だろうがシチュエーションである。

ただし・・・それではクソミソなので・・・そこに「安っぽい」を加えると「シットコム」的なものが浮上する。

もちろん・・・チープに見えてゴージャスということはある。

「吉本新喜劇」をお安いと見るか、贅沢と見るかは観衆の経済状態に左右されるからである。

「お笑い」の長い道程の果てに・・・お約束に満ちたコメディーが誕生する。

そのほんの一部が・・・東京の小劇団風コメディーや、吉本新喜劇的ドラマに結実する。

憧れたり、蔑んだりしながら・・・何もかも忘れる一瞬を求めて視聴したい。

で、『ウレロ無限大少女・第1回』(テレビ東京201601090052~)脚本・土屋亮一(他)、演出・佐久間宣行を見た。「ウレロ☆未確認少女」「ウレロ☆未完成少女」「ウレロ☆未体験少女」と続いてきたシリーズの第四弾である。基本的には通俗的すぎる芸能プロダクション社長・川島(劇団ひとり)とアイドルグループ・未確認少女隊UFI(ももいろクローバーZ)の成長と挫折を描く物語である。しかし、今回は設定が近未来となり、未来の川島はヒーロー派遣業を営む弱小事務所「川島アンロックサービス」を経営しているのだ。

おなじみのメンバーは健在である。

「けつのでかい女がとにかく好き」な川島は「金をつまれたらいやと言うことができない男」である。

アンロッカーと呼ばれる特殊能力者だが・・・C級で「手から悪臭を発する」程度の角田(角田晃広)は女と見ればプロポーズする淋しい男である。

川島アンロックサービスの事務員だが主な仕事はボケまくるメンバーに対するツッコミという飯塚(飯塚悟志)・・・。

川島アンロックサービスのメカニックである豊本(豊本明長)は基本的におタクである。

とにかく・・・東京03は水を得た魚のようにはしゃぐのだ。

そして・・・身体はチビだが・・・立場は雲の上といういやらしいポジションでアンロッカーを管理する自治機構「Jサーム」の管理官・升野(バカリズム)は善人と悪人の境界線を彷徨する。

ここに・・・紅一点のあかり(早見あかり)がA級アンロッカーとして参戦する。

ずば抜けた能力者なのだが・・・筆記試験が不合格というおバカなのである。

初回はお約束のパンチで角田の眼鏡飛ばしの飛距離をあかりが記録更新するとともに問答無用のおバカパワーで女結婚詐欺師・8股のレイカ(平野綾)をノックアウトするのだった。

ああ・・・週に一度のお楽しみが帰って来たのだなあ・・・。

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で、『マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~・第1回』(日本テレビ201601072359~)脚本・森ハヤシ、演出・長江俊和を見た。お人良しで真面目な人柄が仇となり失職中のドス暗い男・竹内(小籔千豊)が主人公という・・・どこに視聴価値を見出していいのかわからないドラマなのだが・・・弁護士を目指してメキシコ料理店「アンヘラ」の店長をしながら勉強中の栗原理佐(片瀬那奈)が・・・実は「闇金ウシジマくん」の千秋でAV女優・闇金従業員を経て「お金で困っている人を助ける天使」に変身して大阪で頑張っているという妄想補完でしのぐといいだろう。

そして・・・何よりも・・・あくまで勉強中の理佐が・・・法律的知識が不足しているのを補うために・・・何故か、法律知識豊富なアルバイト従業員の菅原円(葵わかな)が目の保養である。

他にも、SNSを使った情報収集を得意とする井上アリス(矢倉楓子)や潜入捜査員の武庫川華子(藤田みりあ)が配置されている。

天敵として悪徳弁護士・殿村(竹中直人)が配置されている。理佐は弁護士ではないのに・・・弁護士的な行為をするわけだが・・・無報酬のボランティアなので違法行為にはならないという設定である。どんだけ暇なんだよと言う他はない。

初回は・・・竹内の給料未払い分を・・・ブラック企業の社長(緋田康人)から徴収する話。

社長は・・・時効成立を狙って逃げ回るが・・・ボイスレコーダーで言質をとるという恥ずかしいほどのお約束展開である。

まあ・・・基本的に浪花節だからな・・・。

まあ・・・この枠のドラマにそれ以上のことを期待するのは野暮だから・・・。

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2016年1月 8日 (金)

坊っちゃん(二宮和也)ゲゲゲのマドンナ(松下奈緒)清ばっぱ(宮本信子)オッペケペー(山本耕史)なるほど(岸部一徳)

さあ・・・いよいよ谷間も終了だが・・・。

年末年始の最初が「ニノさん」だったので最後も「ニノさん」である。

ある意味、帝国の貴公子だな。

夜中に本物の帝国を見続けていたのでまるでフォースのダークサイド寸前の物語のように見える夏目漱石である。

「癇癪を起こしてはいけません」

そうだ・・・怒りは・・・悲しみの発火点なのである。

たが・・・結局、坊ちゃんは怒りの鉄拳を振るい・・・暗黒面へと転落していくのだった。

で、『』(フジテレビ20160103PM9~)原作・夏目漱石、脚本・橋部敦子、演出・鈴木雅之を見た。比叡山延暦寺の荒法師だから山嵐(古田新太)であるが・・・弁慶じゃだめだったのかとふと思う。価値観の転換が劇的に吹き荒れた明治・・・。江戸から東京に変わった街を出て・・・四国の田舎にやってきた坊っちゃん(二宮和也)のバカ正直者物語である。

親譲の無鉄砲で小供の時から損ばかりしているおれを下女の清は「あなたは真直でよいご気性だ」と賞めた。清はもと由緒のあるものだったそうだが、瓦解のときに零落して、つい奉公までするようになったのだと聞いている。だから婆さんである。

そんなお清婆さん(宮本信子)と二人暮らしをしていた坊ちゃんは物理学校を卒業すると校長(佐藤浩市)から「月給四十円」で「松山」で「中学校の数学教師」ばどうかと問われ、ただちに引き受ける。

汽車に乗り、船に乗り、また汽車に乗ってたどり着いた最果ての地・・・四国の松山。

そこには「なるほど」しか言わない狸の校長(岸部一徳)、軽薄才子の極みである赤いシャツの教頭(及川光博)、腰巾着で幇間な野だいこ(八嶋智人)、顔色の悪いうらなり(山本耕史)などの同僚教師たちと・・・山猿のような四国の中学生がいるばかりである。

下宿の飯はイモばかりだが・・・蕎麦屋に行けば蕎麦が、団子屋では団子がそれなりに美味しいし、温泉は最高なのだった。

そして・・・近所にはマドンナ(松下奈緒)がいた。

しかし・・・マドンナにはうらなりという恋人がいる。

原作ではマドンナとうらなりは許嫁の間柄だが・・・ドラマでは仄かに思いを寄せあっている感じである。

しかし・・・そこに帝大卒業の学士風を吹かす赤シャツが割り込んで・・・教頭としての権限を利用して・・・うらなりを九州に追いやるという画策をするのである。

一方、宿直の当番にあたった坊ちゃんは寄宿生たちからバッタ攻めの悪戯をされる。

「誰がやったか正直に云え」という坊ちゃんに生徒たちは無言で応じる。

たちまち・・・癇癪を起こし、へそを曲げる坊ちゃんだった。

正直者は癇癪持ちでへそ曲がりと相場が決まっているからである。

「悪戯が悪いとは言わない。しかし、やったことの責任を取らない奴が俺は大嫌いだ」

「・・・」

「なぜならそいつは嘘つきだからだ・・・そして嘘つきは泥棒の始りだ」

「正直に言ったらどうしますか」

「殴る」

「・・・」

しかし・・・裏表のない単純明快な坊ちゃんに感化されていく生徒たち。

犬は飼い主に似るし、ロイドはマスターに、生徒は先生に似るのである。

職員室では姑息な田舎者たちと江戸っ子堅気の坊ちゃんとに亀裂が走る。

マドンナをめぐる赤シャツの陰謀には坊ちゃん贔屓の山嵐が叛旗を翻す。

「悪だくみをする奴も悪だくみに乗せられる奴も悪だくみ仲間だ」

「嘘をついて楽しいものは嘘をつけばいい・・・俺は嘘は嫌いだから・・・正直に生きる」

坊ちゃんと山嵐に影響されたうらなりは・・・ついにマドンナに告白。

うらなりとマドンナは九州に駆け落ちしていくのだった。

そして・・・「自分が思った通りに生きろ」という坊ちゃんの思想は・・・中学生たちを師範学校生徒との大乱闘に導いていく。

「戦争じゃ・・・ダークサイドが蠢いておるぞなもし」

「元気があっていいじゃないですか」

責任をとって辞表を提出する坊ちゃんだった。

生徒たちは「うらなりにマドンナとられて赤シャツは今日も枕を涙で濡らす」と揶揄する。

「そんなこというのは誰だ」と激怒する赤シャツ。

生徒たちは全員起立でストームトルーパー化するのだった。

曲がったことが大嫌いな坊ちゃんは・・・去り際に赤シャツを鉄拳制裁し・・・松山を去って行く。

「なるほど」と狸は呟くのだった。

月給の多い方が偉い世界を坊ちゃんは認めない。

こうして・・・坊ちゃんのフォースは危険な方向に覚醒していく。

野だいこは沢庵石をつけられて海に沈められた・・・おいっ。

坊ちゃんは清の待つ東京に帰還したのだった。

・・・死ぬ前日おれを呼んで坊っちゃん後生だから清が死んだら、坊っちゃんのお寺へ埋めて下さい。お墓のなかで坊っちゃんの来るのを楽しみに待っておりますと云った。だから清の墓は小日向の養源寺にある。

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2016年1月 7日 (木)

これが復帰第一作でいいのかしら・・・新★乾杯戦士アフターV(朝倉あき)

年末年始の谷間である。

・・・ということで・・・2015年度の作品だが・・・タイトル的にどうしても落とせなかったが・・・記事になっていなかった・・・コレである。

まあ・・・ほぼ、タイトルで言いたいことは全部言ったので中身はあまりありません。

朝倉あき・・・1991年9月23日生まれの24歳である。

新年も「吉原裏同心〜新春吉原の大火〜」で薄倖の遊女・市川を演じ・・・そこはかとない幸薄さを醸しだしていた。

美少女で・・・可愛いタイプという希なジャンルに属しているのだが・・・なかなか・・・そういう役がないので・・・なんとなくいつでも消えそうな感じで・・・本当に消えたけど・・・復活である。

これがアイドルなら海外で出産でもしていたのかよ・・・という話だが・・・たぶん、そうではないのだろう。

で、『乾杯戦士アフターV・第1~最終回(全12話)』(チバテレビなど5いっしょ3ちゃんねる201510042330~)ストーリー構成・演出・細川徹を見た。第2シリーズがあるとはびっくりぽんである。そして・・・第1シリーズでは新イエローとしてのゲスト出演だった朝倉あきはレギュラー出演者になっているのだった。

その役柄は・・・悪の総帥(斉木しげる)が居酒屋のスタッフとしてトレジャーVの前に姿を現すために変身する小倉さんである。つまり、外見は朝倉あきだが中身は斉木しげるなのである。ドラマ「民王」と幽かにかぶっています。

そんな小倉雪(朝倉あき)に恋するレッド(村井良大)なのである。

第2シリーズは悪の総帥と・・・黄金戦士トレジャーVの阿吽の呼吸がテーマになっている。

悪の組織が予算不足になれば・・・トレジャーVが資金を提供し、トレジャーVが解散の危機に追い込まれたら総帥は怪人の大盤振る舞いをするのである。

つまり・・・「正義のヒーロー」は「悪の組織」あってこそ成立するし・・・「悪の組織」も「正義のヒーローがいなければ燃えない」のだ。世の中、もちつもたれつである。

ブルー(加藤和樹)なんか・・・悪の総裁がスランプになると悪の戦闘員として参加したりするのだった。

後半ではプラズマ-1(JUN)が「悪の組織を本気で撲滅」しようとすると「なんていうか・・・わかってないよなあ・・・」とレッドがぼやくのである。

「勝てないと思っても戦う・・・それが正義のヒーローなのだ」・・・ついにお約束の最終回で悪の組織を倒す・・・トレジャーV・・・。

しかし・・・父親の職業を嫌っていた沙夜ちゃん(美沙玲奈)が「私を悪の総裁にしてください」と涙で訴える。

沙夜ちゃんの小さな「ビビビ」で・・・分子レベルに分解された総裁が復活する件は涙なくしては見れないぞ・・・このドラマで泣くのかよ・・・。

復活を喜んだ総裁は・・・小倉さんへの変身が不完全なものとなる。

レッド以外は小倉さんの正体に気がつくが・・・見て見ないフリをするのだった。

とてもハロプロ系アイドルには見えないが・・・「アイドル NEW YEAR サミット2016」でグニャグニャ軟体を披露した吉川友が演じるピンクも・・・「ここは見なかったフリをするのが大人」とレッドの目をふさぐ・・・。

相手のことを思いやる気持ち・・・それが・・・この世の平和を守るために一番大切なのだから・・・。

まさか・・・第3シリーズがあるんじゃないだろうな・・・。

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2016年1月 6日 (水)

美しき三つの嘘(土屋太鳳)女友達物語(門脇麦)人生はいいものだ(久保田紗友)

何をレビューするか・・・迷っているうちに・・・更新時間が迫ってくる。

谷間の醍醐味である。

これというのも・・・どうしても銀幕で見たかったあの映画のせいだな。

責任転嫁は禁止だぞ。

楽しかったなあ・・・ハラハラしてドキドキして・・・。

1~3が第一次世界大戦、4~6が第二次世界大戦と考えると7~9は東西冷戦なんだよな。

戦争が善悪の戦いなら・・・こんなに気楽なことはないんだよなあ・・・。

で、『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』(フジテレビ20160104PM9~)原作・湊かなえ、三浦しをん、角田光代を見た。・・・オムニバスドラマである。ミステリというよりは世にも奇妙な物語風に仕上がっている。悪く言えば・・・結末がミステリアスなだけの普通のドラマである。良く言えば・・・それなりに楽しめる。

ムーンストーン」・・・脚本・山室有紀子(他)、演出・深川栄洋。

回想と現在の対比によるトリックで・・・ある意味で技巧的なだけの作品・・・。

もちろん・・・裁かれる「殺人」という罪と・・・裁かれない「悪事」の数々の差異を毒々しく語るということで手法的には問題ない。

市議会議員・大庭康晴(滝藤賢一)を殴り殺した妻(永作博美)を「殺人犯」として厳しく取り調べる刑事(三浦友和)・・・「あんたの娘は殺人犯の娘になった」と妻を罵る弁護士(柄本明)・・・逆風の中で妻は中学生の頃を思い出す。

ここで二人の女生徒の友情が語られる。

顔立ちで言えば地味な久美(花岡みづほ)と派手な小百合(久保田紗友)である。

どちらが・・・妻の若い頃なのかは語られないが・・・なんとなく・・・久美であるような演出がされていく。

久美は訥弁であり・・・そのためにクラスメートや教師にまで揶揄される対象となっている。

恐ろしいほどの正義の炎に燃えた美しい女生徒である小百合は・・・敢然と苛めに対峙し・・・久美を苦境から救いだすのだ。

殺人犯として・・・絶望する妻と・・・虐げられた久美は重なって行く。

しかし・・・小百合は・・・久美の文才を見出し・・・読書感想文のコンクールでの発表の場に導く。

雷鳴鳴り響く・・・嵐の発表会。

「ギリシャ神話では・・・雷は神の怒りだそうよ」

「・・・」

緊張のためにすでに涙ぐむ久美を小百合は励ます。

「人殺しは・・・裁かれるけど・・・あなたをいじめた人々は裁かれない・・・それをきっと神は怒っているの・・・」

「・・・」

「あなたが失敗しても・・・私は気にしない・・・私はただ・・・あなたを応援するの」

「・・・」

「私はそう決めたの・・・だから・・・あなたも戦いなさい」

二人の胸に・・・おそろいのムーンストーンのイヤリングが揺れる。

それは・・・二人の友情の証だった。

久美は壇上で叫ぶ。

「何があっても私を守ってくれる・・・それが親友か・・・いや・・・私が命をかけて守りたい人・・・その人を私は親友と呼びたいのだ」

新しい弁護士(檀れい)が面会にやってくる。

「あなたの夫は家庭内暴力の常習者だった・・・あなたは・・・娘を守るために・・・夫を二度殴った・・・あなたの行為には酌量されるべき情状がある」

「・・・まだ・・・それを・・・」

弁護士となった久美の胸に揺れるムーンストーン。

言われてみれば・・・鼻に面影がある。

「だって・・・これは・・・私が生まれ変わった証だもの・・・あなたが友達になってくれたから」

妻は小百合(久保田紗友→永作博美)だった。

夫の暴力によって正義感は打ち砕かれていた。

身長も加齢によって縮小していたのだ。

「あなたには・・・正義があった・・・娘だけはなんとしても守るという決意が・・・戦いなさい」

久美(花岡みづほ→檀れい)に告げられ・・・小百合の瞳に・・・かっての炎が点火するのだった。

美しいにも程がある・・・二人の女の友情・・・。

」・・・脚本・加藤綾子、演出・廣木隆一。

図書委員の高校生・香川亜利沙(土屋太鳳)は通学バスで読書をしている高校の先輩・立木尚吾(村上虹郎)にひそかに想いを寄せていた。

しかし・・・立木はクラスメイトの楢崎初音(門脇麦)と交際しているらしい。

そんなある日・・・立木は校庭で焼身自殺を遂げる。

原因は・・・失恋だという噂が広まり・・・初音は周囲から白眼視され始める。

けれど・・・初音は亜利沙に「ふられたのは私の方・・・」と囁くのだった。

立木の死の真相を探る二人・・・。

学校に寄贈された立木の蔵書から・・・初音は遺書を発見する。

「母親と担任教師の交際・・・母親は捨てられ・・・僕はその狂態に倦み果てた・・・」

教師・木下(柄本佑)に自殺を仄めかし、謝罪を求める二人・・・。

やがて・・・学校には・・・立木の自殺の真相について噂が広まる。

だが・・・亜利沙は・・・ふと思う・・・。

すべては・・・初音の企みだったのではないかと・・・。

なぜなら・・・初音は亜利沙を用済みの女として見つめるのだから。

まれにそういう悪魔のような人はいます。

平凡」・・・脚本・演出・瀬々敬久。

教育実習生(染谷将太→寺脇康文)に恋をした二人の女生徒。

「彼」と結婚した鈴木京香は平凡な人生を送る。

「彼」と結婚しなかった寺島しのぶは著名な料理研究家として脚光を浴びる。

再会した二人・・・。

「あなた・・・私を呪ったのね」

「うん・・・平凡な女になってしまえって」

「・・・」

「でも幸せそうでよかったわ・・・」

「ありがとう」

瀬戸際で成立する女の友情だった。

青春は・・・そよ風のように吹き過ぎていくのだった。

結局、久保田紗友が美少女だったことしか記憶にないぞ・・・。

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2016年1月 5日 (火)

お断りします(早見あかり)そうこなくっちゃっ!(美山加恋)

ツンデレというジャンルは恋愛の基本である。

そもそも人間は基本的にはみんなツンツンしているわけである。

最初からデレデレしている人なんか信用できないわけだ。

平和主義者が信用できないのは・・・そういう理由があるわけである。

たとえば母親である。

産みの苦しみを与えたわが子が憎くないはずはないと思う。

しかし・・・妊娠出産という過程の終了と解放感からうっかりデレてしまうだけなのだ。

・・・あくまで妄想の話です。

とにかく・・・ツンツンしている異性を攻略することは至上の喜びである。

冷たく見下した眼差しが・・・何か別のものに変わった時・・・生きていてよかったと思うことがある。

けれど・・・多くの場合はツンツンされた記憶だけが残るのも人生だ。

あの日、あの時・・・あの人にされたひどい仕打ちの数々・・・。

歳月の果てにそういうものが・・・何故か甘くせつなく香り出す・・・。

ツンデレの人よ・・・ツンツンだけでも・・・あなたは素敵なのだ。

で、『ラーメン大好き小泉さん2016新春SP』(フジテレビ201601042330~)原作・鳴見なる、脚本・久馬歩、阿相クミコ、演出・松木創を見た。スペシャルもいいが・・・第二期をやってほしいものである。ただし・・・ツンツンにも限界があるからな・・・。すでに・・・レギュラーの間にラーメン大好きなかよしトリオになってしまっているわけである。あくまで小泉さんにはツンツンしていてほしいわけである。

ラーメン大好き小泉さんの主題歌は・・・赤塚不二夫原作の「ひみつのアッコちゃん」のエンディングテーマ曲「すきすきソング」に藤子不二雄の「オバケのQ太郎」などに登場するキャラクター「小池さん」テイストを加えたパロディー・ソング「ラーメン大好き小池さんの唄」をアレンジした「ラーメン大好き小泉さんの唄」である。

最初は誰かが「アッコちゃん」を好きだったわけだが・・・小池さんも小泉さんも好きなのは「ラーメン」なのである。

しかし・・・結局・・・そういう「小池さん」や「小泉さん」のことを誰かが愛する。

ツンツンに満ちた世界で・・・誰かが誰かを愛さずにはいられない妙があるのだ。

ラーメン大好き

ラーメン大好き

小泉さん小泉さん

好き好き

ああ・・・ラーメンが大好きな小泉さん(早見あかり)を好きで好きでたまらない大澤悠(美山加恋)・・・この配役が絶妙なのである。

そんな二人はある意味、一途な女なのだ。

これに・・・適当にちゃらんぽらんな中村美沙(古畑星夏)が加わることによってトリオは重厚さを醸しだすのだった。

「初詣・・・一月四日にしてよかったね」

いや・・・その日、都内の神社には大挙して会社員たちが押し寄せるのだが。

悠と美沙の背後で晴れ着姿の小泉さんは卒倒する。

「小泉さん・・・どうしたの・・・」

「す・・・水筒・・・」

「薬・・・?」

水筒の中の液体を与えると・・・復活する小泉さん。

「これ・・・もしかして・・・ってもしかしなくてもだけど・・・ラーメンのスープ」

「はい・・・年末年始はお気に入りのラーメン屋さんが休業するので・・・おとりよせを自作していたのですが・・・ついにそれも尽きて・・・スープでなんとかしのいでいたのです」

「いつから・・・ラーメン食べていないの」

「三時間前から・・・」

「・・・」

「しかし・・・もう大丈夫です・・・お店が開いてますから」

小泉さんの新春は「与ろゐ屋」の「おせちラーメン」から始るのだった。

ラーメン大好きおっさんトリオ・・・尾道(小野ゆたか)、荻窪(田中英樹)、喜多方(村松利史)も健在である。

本当は・・・小泉さんがラーメンを食べるだけでも問題ないのだが・・・そこはどうしてもテレビ東京にしかできない領域らしい。

今回は・・・ラーメン王子の鳴門光圀(成田凌)ととりまきの煮干山薫子(中田青渚)、蓮華川小麦(加藤果林)が登場し・・・小泉さんにラーメン道的戦いを仕掛けてくる。

まあ・・・ここで「ラーメンのことをどれだけ愛しているかクイズ」を展開するのは仕掛けとしてはチープだが・・・そこそこひねってくるのである。

ちゃらんぽらんで腰の軽い美沙はたちまち・・・王子に魅了され・・・小泉さんを裏切ったりもするわけである。

しかし・・・小泉さんは・・・「ラーメン」に関して競うことを厭わないのである。

ただし・・・「にぎやかに食べるべきだ」と言うラーメン王子に「ひっそりと食べたい人にそれを強要してはいけない」と釘をさす小泉さんである。

やがて・・・学級委員長でラーメン嫌いの高橋潤(田中美麗)が・・・離婚歴の多い喜多方の娘であることが判明する。

三食ラーメンだった食生活からラーメン嫌いになってしまった委員長・・・。

彼女のラーメン嫌いを治してほしいと願う喜多方だった。

小泉さんは・・・昔懐かしい中華そばを出す「萬福」へ・・・。

しかし・・・委員長は食べようとしない。

「ラーメンの美味しさは一瞬です・・・食べないなら私が食べる」

必殺・・・ラーメンにデレる小泉さんの至福のひととき・・・。

思わず・・・食べたくなってしまう委員長だった。

ラーメン王子は・・・そんな小泉さんに魅了される。

「これからは・・・君とラーメン道を究めたい」

「・・・お断りします」

ああ・・・新年から小泉さんにお断りされる・・・こんな幸せなことはないよなあ・・・。

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2016年1月 4日 (月)

新春吉原の大火(小出恵介)みきどの~(貫地谷しほり)神守様~(野々すみ花)わちきは飲みます(朝倉あき)危ういところで(小松彩夏)好いたお人に一目会えたら(安達祐実)

女性に人権のなかった時代である。

ま・・・男性にもほぼなかったわけだが・・・。

そういう時代があって・・・現代があるということを時代劇は教えてくれる。

もちろん・・・ワンダーランドとしての楽しさは別にあるわけだが・・・知らない時代を知る面白さというものも考慮するべきである。

殺人事件の時効が消えた今・・・殺人という行為は・・・今昔を問わない悪行ということで・・・昔の殺しを今の人が裁く時代である。

しかし・・・本当に・・・百年前の殺人事件を・・・現代の人が裁けるのかどうか・・・定かではない。

ほんの数年前の事情だって・・・人は忘れてしまうものなのに・・・。

いや・・・百年前の事件ならほとんどの犯人、死んでるだろう・・・。

で、『正月時代劇 吉原裏同心 新春吉原の大火』(NHK総合201601031930~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・佐藤峰世を見た。原作では駆け落ちして藤村惣五郎(皆川猿時)に女敵討で追われた神守幹次郎(小出恵介)と汀女(貫地谷しほり)が江戸・吉原遊郭にたどり着いたのは天明五年(1785年)のこととされている。それから三度目の正月は天明八年(1785年)ということになる。資料によれば何度も炎上している吉原だが・・・天明七年(1787年)の十一月に吉原角町より出火して廓中残らず焼亡という大火に見舞われている。ドラマの中の吉原が再建してすぐに全焼ということではなく・・・あくまでフィクションの範疇と思われる。

正月も賑わう吉原遊郭・・・。

百人一首の散らし取りで読み手を勤める汀女・・・。

平駿河守兼盛の一首を取ったのは薄墨太夫(野々すみ花)である。

しのぶれど 色に出でにけり わが恋は

ものや思ふと 人の問ふまで

「さすがですね・・・」

「この歌は好きな歌でありんす」

汀女と薄墨太夫は幹次郎をめぐって仄かな三角関係である。

しかし・・・「姉様命」の幹次郎なので・・・薄墨太夫は忍ぶしかないのである。

そんな折、吉原で薄墨太夫と人気を二分する香瀬川太夫(安達祐実)が花魁道中の直後に失踪するという事件が起こる。

遊女の足抜きは御法度・・・。

そのために厳重に取り締まりが行われる吉原大門を香瀬川太夫がどのように出たのか・・・遊郭を取り締まる会所]の名主である四郎兵衛(近藤正臣)は男衆の仙右衛門(山内圭哉)や平助(山田純大)に探索を命じるが・・・仙右衛門は持病の腰痛を発症するのだった。

朝ドラマで忙しいからな。

やがて・・・香瀬川太夫の前に消えた遊女・市川(朝倉あき)の存在が浮上する。

吉原で捉えた入墨者(前科者)の巾着切り(掏摸)の口から「吉原界隈で儲けた源次」の名があがり、聞き込みの得意な佐吉(三宅弘城)が登場する。

「岡場所の万字屋に吉原から流れた遊女がいると評判です」

佐吉の出番終了である。

朝ドラマで忙しいからな。

朝ドラマで出番の終了した四郎兵衛は幹次郎の出馬を願うのであった。

岡場所の「万字屋」を経営するのは太兵衛(本田博太郎)であった。

源次(モロ師岡)は太兵衛の手下の博徒である。

姉が吉原から消えたと聞き在所から吉原にやってきた市川の弟を連れ、万字屋に張り込んだ幹次郎は・・・ついに市川を発見する。

客として万字屋にあがる幹次郎。

「一献さしあげまする」

「不調法じゃ・・・」

「あちきはいただきますよ」

「お前・・・市川だな・・・」

「・・・」

「何があった・・・」

「騙されたのです・・・在所に戻れるどころか・・・結局はここで女郎にされてしまいました」

憐れな女・・・清純からの転落に朝倉あきが冴えわたる・・・。

「どうやって・・・大門を抜けた・・・」

「それは・・・」

そこで太兵衛の手下が乱入。

市川は弟と再会するが・・・口封じのために源次に刺殺されてしまうのだった。

落胆する幹次郎・・・。

「市川を救ってやれなかった・・・」

「弟さんと再会できたのがせめてもの慰めでごさいましょう」

汀女は幹次郎を労わるのだった。

一方、吉原の男衆は源次の出入りする賭場で吉原の茶屋「近江屋」の三代目主(あるじ)である庄右衛門(野間口徹)を発見する。

「近江屋」に足抜きの仕掛けがあると目星をつける四郎兵衛だった。

幹次郎の元に香瀬川太夫のお付の下女であるおさよ(麻生祐未)があらわれる。

「香瀬川太夫は元は大店の跡取り娘でございます。私はそこで乳母を務めておりました。お店が傾き・・・太夫が吉原に売られた後も身の周りのお世話をしてまいりました・・・お嬢様・・・いえ、香瀬川太夫には好いた方がおいでになったのでございます」

「それを餌におびき出されたか・・・」

しかし・・・大工の棟梁になったいたその男は・・・最近、材木の下敷きになって落命していた。

「・・・消されたか・・・」

その頃、武家の客の借金三十両を肩代わりする破目になった遊女・鈴音(小松彩夏)の苦境を聞き、大名屋敷にかけあって三十両を引きだした四郎兵衛と幹次郎。

借金が帳消しになった鈴音は源次から足抜きの話があったことを打ち明ける。

鈴音を使って囮操作を開始する吉原裏同心・・・。

しかし・・・源次の狙いは薄墨太夫にあった。

汀女とお参り中に拉致される薄墨太夫。

髪結の女に化けた男と入れ替わるのが足抜けの仕掛けだった。

汀女を人質に取られ・・・髪結の女に扮した薄墨太夫は大門を抜ける。

しかし・・・幹次郎は・・・薄墨太夫の落した愛用の匂袋を見逃さなかった。

太兵衛の隠れ家に囚われる薄墨太夫。

「これからはたんまり稼いでもらうぜ」

「わちきは吉原の花魁でありんす」

「それがどうしたい」

そこへ・・・幹次郎と吉原の男衆が乱入する。

「源次・・・お前は許さぬ」

「抜かせ」

しかし、怒りに燃えた幹次郎は源次を一刀両断にするのだった。

座敷牢にいた香瀬川太夫を発見する幹次郎。

「吉原に帰りましょう・・・」

「いやでありんす・・・」

「太夫の良い人は・・・殺されました」

「・・・そんな・・・」

吉原の空き家に囚われていた汀女を救いだす幹次郎。

「姉様・・・遅くなりました」

「幹殿・・・」

近江屋では悪党の太兵衛と庄右衛門が仲間割れをしていた。

「これからどうなるんだ」

「源次が死んで・・・私に続く線は消えた・・・この太兵衛はお咎めなしだ」

「俺の借金はどうなる」

「あんたの店の権利は俺が買った・・・」

「なんだと」

「これからは・・・万字屋の主ではなく・・・近江屋の太兵衛だ・・・」

「馬鹿な・・・」

そこへ・・・幹次郎が現れる。

「太兵衛・・・お前は許さん」

太兵衛は仕込杖を構える。

「居合か・・・」

「この・・・太兵衛・・・やれるものなら・・・やってみやがれ・・・」

しかし・・・太兵衛は幹次郎の敵ではなかった。

近江屋に骸を晒す太兵衛。

自暴自棄となった庄右衛門は店に放火する。

吉原炎上である。

遊女二千人、総人口八千人と言われる吉原は大騒ぎとなった。

薄墨太夫は・・・香瀬川太夫の姿が見えないことを幹次郎に告げる。

太夫の店に向かう幹次郎。

炎の中に太夫はいた。

「あちきはどうせ駕籠の鳥でありんす・・・このまま死なせておくれなんせ」

「・・・生きろ・・・生きてくれ」

「なぜ・・・」

「お前たちを守るのが・・・俺の仕事だ・・・」

「・・・」

四郎兵衛は燃えあがる吉原を見守る。

その炎の中から・・・香瀬川太夫を背負った幹次郎が現れた・・・。

灰塵に帰した吉原・・・。

その焼跡を整理する汀女と幹次郎。

吉原は不死鳥のように蘇る。

男たちの欲望がある限り・・・遊郭は不滅なのである。

そして・・・吉原裏同心もまた・・・苦界に喘ぐ女たちに手を差し伸べるのだった。

関連するキッドのブログ→吉原裏同心

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2016年1月 3日 (日)

富士ファミリー(薬師丸ひろ子)一富士二鷹三茄子(小泉今日子)新春初夢縁起が良いです(中村ゆりか)

年末年始に躍進した中村ゆりか

美少女にくわえて声が良いのである。

順調にキャスティングされてほしい女優なんだな。

さて・・・初夢で見ると縁起がよいとされる「一ふじ二たか三なすび」であるが・・・そもそも・・・いつ見たら初夢か・・・という話である。

一種の風習であるので・・・地域や家々で・・・「ルール」が違う。

我が家は「一月二日の夜に見る夢」派だった。

人によっては「元旦の明け方」とか「元旦の夜」とか・・・「年が明けて最初の夢」まで諸説あるわけである。

我が家は「一月二日限定」派なので・・・初夢を見る年と見ない年があるわけである。

そういう「迷い」を断ち切る・・・このドラマ。

ドラマは夢の世界だから・・・一月二日の夜に「一富士二鷹三茄子」を見せてくれたので・・・有り難いと思う他ありません。

で、『富士ファミリー』(NHK総合20160102PM9~)脚本・木皿泉、演出・吉田照幸を見た。松浦静山の「甲子夜話」によれば徳川家康が目出たいものとして一に富士山、二に愛鷹山、そして初茄子を数えたという。愛鷹山については鷹狩りを好んだ家康への連想から鳥類の鷹へと転じたのだろう。鷹狩りは遊興でもあり軍事訓練でもある。そして鷹は「強さ」の象徴でもある。富士山は「景色」でもあり、鷹は「遊戯」、さらに「茄子」は美味でもある。それらはすべて・・・心を弾ませるものだった。夢でもし逢えたら素敵なものなのだ。

事情あって・・・住み込みの職を求めるカスミこと村上果澄(中村ゆりか)は素晴らしいインターネットの世界でコンビニエンスストア「富士ファミリー」のスタッフ募集に応じる。

情熱の薔薇を胸に秘めた近所の神社の宮司見習い・行田万助(マキタスポーツ)の案内でカスミは荘厳な富士山が見下ろす古びた雑貨店に到着するのだった。

募集主は「富士ファミリー」を経営する小国家の長女で独身の鷹子(薬師丸ひろ子)である。

「富士ファミリー」の家族は・・・鷹子の叔母である笑子(片桐はいり)、今は亡き次女のナスミ(小泉今日子)の鰥夫である木下日出男(吉岡秀隆)の三人、三女の月美(ミムラ)は結婚して夫の栗林和己(深水元基)と息子の大地(鴇田蒼太郎)と近所で暮らしている。

最近、奇矯な行動が目立つ笑子には認知症の疑いがかかり、そういう意味も含めてスタッフが募集されたのだった。

「給料安いけど・・・」

「大丈夫です」

「笑子お婆ちゃんにもしものことがあったら・・・厄介かけるかもしれないけど」

「大丈夫です」

「大丈夫じゃない時は・・・大丈夫じゃないって言ってね」

「・・・」

笑子の狂態の原因は・・・死んだナスミの幽霊が幻視できることにあった。

ナスミは次女として「転がり続ける生き方」を実践した果てに不治の病を得て帰郷し、家族に看取られて他界したのである。

今は座敷童的精霊となり・・・「富士ファミリー」を見守っている。

二つとない山である霊峰「不二」もまたそこにあった。

近所の神社の宮司である百合稙道(小倉一郎)は神霊が神域に不在であることを察知していた。

神社の持つ神霊力は・・・ナスミの霊の現象化のために注がれているのだ。

ナスミは愛する家族のために言霊を発しようとしていた。

ナスミの遺品のポケットに・・・幸せになるためのキーワードが書かれたメモが残されており、導きを受けた笑子はそれを発見する。

母亡き後は母として、父亡き後は父として家族を支えて来た鷹子はナスミの思い出を共有するためにメモを分割して分配する。

笑子は「ストロー」を得る。

鷹子は「懐中電灯」を得る。

日出男は「光太郎」を得る。

月美は「四葉のクローバー」を得る。

カスミは「ケーキ」を得る。

万助は「コーヒー」を得る。

百合は「枕」を得る。

ナスミに導かれてささやかな幸せに向かう人々・・・。

家族を守るために・・・幼馴染の春田雅男(高橋克実)のプロポーズを二十年以上もスルーし続けた鷹子。

老いて・・・孤独になることを恐れる笑子。

夫との倦怠期によろめきかかる月美。

兄の借金返済のために自分の貯金を使われそうになり両親を捨てたカスミ。

交際中の樋口愛子(仲里依紗)から婿養子の件を切りだされる日出男・・・。

月美は四葉のクローバーをつけたヴァンパイアの小柴洋平(細田善彦)から誘惑される。

「君に永遠の命をあげよう・・・」

「私は・・・永遠を生きるよりもみんなと限られた時間を生きていきます」

月美はスーパーマーケットのスタンプが四葉のクローバーだったことに安堵する。

変化は恐ろしいものだ。

そして変わらないことも恐ろしいものだ。

笑子と日出男は搬送中に落下した介護されるロボット(マツコロイド)と遭遇する。

「介護ロボットなの」

「介護されるロボットよ」

「そんな・・・」

「人間の仕事を奪うロボットと・・・人間の仕事を増やすロボット・・・どちらが人間のためになるのかしらね」

「ああ・・・」

ストローは空洞だが吹き矢を吹くこともできるし究極のエロスを顕在化可能なのである。

もつれあう男と女・・・。

愛子から妊娠を告げられた日出男は「光太郎」と命名するのだった。

「パパになってくれるの」

「もちろんだよ」

プロポースしなかった雅夫の新居でイヤリングを失くしたフリをする鷹子。

心のずっと奥の方からやって来る涙は更年期障害の症状ではなかった。

しかし・・・思いなおした鷹子は懐中電灯を持って雅夫の部屋のベッドの下を照らす。

もちろん・・・雅夫が別の誰かと結婚するというのは嘘だった。

ナスミの姿が鷹子にも見えた。

「お姉ちゃんは・・・私に言ってくれたよね・・・」

「・・・」

「私がここにいるから・・・あなたは転がりなさいって」

「・・・」

「今度は私がお姉ちゃんの代わりに・・・ずっとここにいるよ」

カスミは誕生日を祝ってもらった。

バースデーケーキの蝋燭を吹き消すカスミ。

「富士ファミリー」の名物は「お婆ちゃんのおはぎ」だった。

正月は予約殺到なのだ。

愛子やカスミも加わって修羅場と化す「おはぎ」製造工房。

「おはぎは永遠ですか」

「おはぎは本当ですか」

「おはぎは不変ですか」

「おはぎはでたらめですか」

「おはぎはおもしろいですか」

披露困憊のまどろみの中で誰かが問いかける。

万助は百合の枕にコーヒーをこぼす。

浮かびあがる文字は「タダイマ」・・・。

「神様がお帰りになった・・・」

「そうなんだ・・・」

目が覚めたカスミに笑子はナスミのカップを差し出す。

「でも・・・これ・・・ナスミさんのじゃ・・・」

笑子は「ナスミ」に「ノ」を書き加えて「カスミ」に変化させる。

「カスミになったよ」

「私・・・ここに居てもいいんですか」

「だって・・・もう居るじゃないか」

小さな幸せと小さな不幸せはいつも隣り合わせている。

情熱の真っ赤な薔薇の咲く夢を見たら花瓶に水をあげましょう。

たとえ・・・そこに花はなくても・・・加湿されるので。

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ドブコ

セクシーボイス アンド ロボ

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2016年1月 2日 (土)

無辜の民とは愚民の別名ではありません(水谷豊)あなたは正義の独裁者ですよね(武田梨奈)

「SMAP×SMAP」の「スマ進ハイスクール」の映画監督篇(2014年8月)にてヒロイン役を務めた武田梨奈がゲストとして登場である。

存在感を消した役柄なのだが・・・「オチ」であることは一部お茶の間愛好家にはキャスティングで明らかにされているわけである。

ただし、右京さんとのバトル・アクションはありませんでした。

英雄は独裁者の敵でもあるし、独裁者は英雄のなれの果てでもある。

特別の存在になりたい個人と平凡な幸福を求める個人。

二つの顔の中央で・・・第三の顔は煩悶する。

信念を貫き通す杉下右京と野望に燃える片山雛子の暗闘は・・・またもや痛み分けである。

片山雛子、負けるなと時々思うことがある。

・・・お前はそういうところが愚民受けしないんだよね。

で、『相棒~元日スペシャル~英雄~罪深き者たち・season14・第10話』(20160101PM9~)脚本・真野勝成、演出・橋本一を見た。古代の世界において森林は屍の処理場であった。まあ、現代でも身元不明の死体は発見されるわけだが・・・。死後の人体も資源の一つであり、火葬にしろ、土葬にしろ、遺棄にしろ・・・鳥獣の餌となったり、肥料として還元されたりするわけである。インドに置いては屍林は神の住む「死の世界」でもあった。カーリー(黒)やマハーカーラ(大黒)といった恐ろしい「死に至る時の神」はシャマシャナ(屍林)で人生の終焉を守護するのである。

その否応なさはまさに・・・「神」なのである。

人間はそれぞれの「生」を生きる。最高の人生であろうが、最低の人生であろうが・・・誰もが大黒の元へと帰って行くのだった。

その「絶対性」に「独裁者」を見るか、「英雄」を見るかは人それぞれなのである。

十三年前の十二月二十三日、富山県後浦群後浦村(フィクション)の屍林のような森にある小屋が焼失し、元国会議員の大黒が焼死体となって発見される。

現場には二人の少年がいたと噂されるが・・・その消息は知れない。

政権与党である自友党の官房長官・音越栄徳(西村和彦)が新会派「NEW WORLD ORDER」(新世界秩序)を立ち上げ、同志である衆議院議員の片山雛子(木村佳乃)とともに記者会見に臨む。

音越は総裁選への立候補を表明するが・・・直後に会見会場は爆破される。

使用された爆弾の形状から・・・左翼過激派のテロ組織「赤いカナリア」の大幹部だった爆弾魔・本多篤人(古谷一行)が捜査線上に浮上する。

本多は「テロに屈しない」という現政権の建前を覆す「テロリストとの交渉の歴史」の生き証人であることから、事態の隠蔽を画策した片山雛子との裏取引により、超法規的措置で別人として実の娘・早瀬茉莉(内山理名)との隠遁生活をしていた。

ところが・・・公安の監視下から離脱し、消息不明となっていた。

片山雛子は強権を発動し、官僚たちを非常呼集するのだった。

警察庁長官官房付の甲斐峯秋(石坂浩二)、警視庁刑事部長の内村完爾(片桐竜次)などとともに法務省のキャリア官僚である警視庁警務部付に出向中の冠城亘(反町隆史)も召集される。

冠城は五年前の本多父娘解放の超法規的措置に関与していたのだった。

休暇中の杉下右京(水谷豊)が寛ぐ「花の里」に元・捜査一課の刑事だった三浦信輔(大谷亮介)が訪れる。

「富山県で暮らしている本多だが・・・娘が危篤なのに消息不明らしい・・・」

杉下右京は・・・入院中の茉莉を見舞うために旅立つのだった。

富山県の鄙びた駅に下車する哀愁の有休警部・・・。

しかし・・・三日前に茉莉は死亡し・・・すでに葬儀も終了していた。

そして・・・茉莉の父親である元テロリストは娘を看取ることなく、姿を消していたのだ。

後浦村役場を訪れた右京は早瀬家の墓を尋ねる。

案内役を買って出たのは職員の後浦なつみ・・・誰だよ・・・ではなくて植村明梨(武田梨奈)だった。

親切すぎる職員・明梨は・・・茉莉の墓へと案内し、本多親子の暮らした山奥の住居へと案内する。

ヤマブンタ(フィクション)という猛毒の蛇が棲息する山道を越える二人。

「スーツと革靴が汚れますよ」

「お構いなく・・・毒蛇に噛まれたらどうするんですか」

「一応、職員は解毒のための血清を常備しています」

「なるほど・・・それなら噛まれても大丈夫ですね」

「興味本位で噛まれないでください・・・死にますから」

「それは・・・残念ですね」

幽霊に会いたい・・・だけでなく・・・毒蛇にも噛まれたい・・・好奇心旺盛な右京である。

枯葉に埋もれた本多家で右京は・・・父と娘の仲睦まじい暮らしの名残を感じる。

「彼は・・・どこへいったんでしょうねえ」

「さあ・・・役所にも連絡はありませんし・・・」

本多家で右京は・・・「本多親子のフォトアルバム」「大黒天の置物」「ラピスラズリ(瑠璃)のペンダント」を発見する。

「それは・・・この辺りの民間伝承による・・・願い石だと思います」

自然石を二つに割り、同じ願いを持つ二人が持ち合うという呪術であるらしい。

「なるほど・・・」

「私も・・・」

明梨はカーネリアン(紅玉髄)の願い石を持っていた。

「それは・・・どなたと・・・」

「それは秘密です・・・他人に話すと願いが叶わないというお約束です」

「特別なご利益には・・・暗黙の了解がつきものですからねえ」

しかし・・・そこに片山雛子の私兵となっている公安三課の刑事たちがやってくる。

片山に召喚される右京。

「何をしているのです・・・」

「休暇中です・・・」

「本多の行方はご存じですか」

「わかりません・・・ただし・・・父娘が暮らしていたのは音越官房長官の選挙地盤だったようですね」

「それが何か・・・」

「本多が狙っているのが・・・あなたとは限らないということです」

「本多が誰を狙っているかは問題ではありません・・・実在しない本多が事件を起こすことが問題なのです」

「一度隠すと決めたものは・・・隠しとおさないと・・・困ったことになりますからねえ」

警視庁刑事部鑑識課の米沢守(六角精児)によってカーネリアンの願い石を作成してもらった右京は冠城と「事件解決」を願って分かち合い・・・ご満悦のようだ。

再び・・・後浦村にやってきた右京は・・・地元遊説に訪れている音越官房長官に密着する。

音越と大黒の間には確執があった。

自友党内の内部抗争で・・・古い自友党をぶっこわすと宣言した当時の総理により・・・抵抗勢力として公認を失った大黒と・・・刺客として落下傘候補となった音越・・・。

大黒は・・・小児に性的悪戯をしているという黒い噂で失脚したのである。

「あくまで・・・噂ですけれど・・・」

「火のない所に煙は立たない・・・と言いますからねえ」

「亡くなられた方を悪く言うのは・・・上品とは言えません」

「しかし・・・無実の罪であったなら・・・さぞや無念だったでしょうねえ」

「・・・」

「そういう怨みを込めた焼身自殺だったかもしれませんねえ」

「私には・・・なんとも・・・」

音越は大黒の政治手法は継承し・・・地元の人々にも人気があった。

大黒の小屋が行き場のない子供たちの憩いの場であったと知った右京は・・・現場から消えた二人の少年の捜索を開始する。

明梨の案内した児童相談所で当時十歳だった柄谷時生(郭智博)の情報を得る右京。

「あの夜から行方不明なのです」

「親は捜索願いを出さなかったのですか」

「育児放棄され・・・虐待されていた子ですから・・・」

「もう一人の少年については・・・」

「仲良くしていた子がいたようですが・・・この施設の子ではなかったようです」

「・・・」

保管されていた柄谷時生の絵を観察する右京。

「暗い絵の中で・・・大黒氏の小屋の絵は・・・明るいですね」

「そうですか」

「そうです・・・おそらく・・・これは大黒氏・・・彼はチャンバラごっこでもしていたのでしょうか・・・友人は梨を持っているようですね」

「すごい・・・名探偵みたいです」

明梨(あかり)は微笑んだ。

一方、爆薬の成分から・・・原料が特定され・・・組織犯罪対策部組織犯罪対策第5課の角田課長(山西惇)は新たに浮上した容疑者に困惑していた。

元組織暴力団の組長・鞘師九一郎(橋本さとし)は国外逃亡の果てにサルウィン共和国(亀山夫妻が在住)のクーデターに参加し・・・ツネカオというサルウィン国籍を取得し、サルウィンの外交官として日本に入国していた。ツネカオは原料を持ちこんだ形跡があったのだった。

「外交官特権があるだろう」

「外交官の身体の不可侵ですか」

「そうなんだよ・・・」

角田課長にアドバイスを求められた冠城は・・・ツネカオ/鞘師の本籍地に注目する。

「富山県後浦群後浦村(フィクション)・・・」

大黒元議員は・・・鞘師組長との黒い噂があったのだ。

片山雛子へ本多からの着信がある。

「もう・・・テロなんかしないと言ったくせに」

「テロリストに・・・そんな説教は無意味だよ・・・二発目は仕掛けたよ」

「一体・・・そんなことをして・・・どんな利益があるの」

「老いた人間には・・・結局・・・思い出が大切なんだ・・・」

「それが・・・ヒントなの・・・」

右京不在の警視庁では・・・捜査一課の伊丹刑事(川原和久)が閃くしかないのだった。

本多の思い出のヨットハーバーに係留されたクルーザーから・・・第二の爆弾が発見される。

「お手柄じゃないですか」

芹沢刑事(山中崇史)は先輩の偉業を讃えるのだった。

しかし・・・爆弾の原料の量についての情報から第三の爆弾があることが予想されていた。

右京の推理は加速する。

老いたテロリスト。父親を英雄視する娘の死。屍林の小屋から消えた少年たち。任侠道の男の帰還。噂によって政治生命を断たれた国会議員。その地盤を引き継いだ国会議員。誰が何のために誰を標的にしているのか・・・。

十三年前に自殺した大黒氏の命日・・・。

野望に燃えた政治家・音越栄徳は・・・豪華客船・ロイヤルウイング号で・・・講演会を企画していた。

右京は・・・クライマックスを予感して乗船を決めるのだった。

そこへ・・・ドレスアップして現れる明梨・・・。

「似合わないでしょう」

「いえいえ・・・とても・・・お似合いですよ・・・」

そこへ・・・冠城もやってくる。

「警察庁長官官房付の甲斐さんから・・・休暇をとるように言われました」

「なるほど・・・官僚と政治家の駆け引きも最高潮のようですね」

やがて・・・左翼の本多と極道の鞘師は・・・船員に扮した柄谷時生を人質にとって・・・狂言を開始するのだった。

要求は・・・「音越議員との人質交換」である。

甲斐は第三の爆弾について・・・右京の意見を求める。

「本多は・・・無辜の民を殺すことを厭う心境になっていました・・・狙うとすれば・・・建造物でしょう・・・おそらく・・・音越議員が大黒氏からの利権政治継承を象徴する干拓事業の水門・・・」

「なるほど・・・」

第三の爆弾は発見された。

そこで・・・片山雛子は・・・「総裁選のためのスタンドプレー」を思いつく。

「そんな危険は冒せない・・・私は責任をとれない」と甲斐。

「私の責任でやりますよ」

テロ行為の切り札としての爆弾を解除したことを犯人たちには知らせず・・・人質交換に応じる音越の英雄的行動をアピールした後で・・・犯人を確保する。

片山雛子のシナリオ・・・。

一方、本多は・・・恩人である大黒氏の名誉を回復したいという柄谷の願いを聞き届けた娘のために・・・「彼ら」を守ろうとしていたのだった。

人質交換の一瞬の隙をついて音越に斬りつける柄谷・・・。

「撃つな」と爆弾のスイッチで威嚇する本多。

「撃て」と命じる音越。

本多と柄谷は銃撃に倒れる。

「彼は・・・柄谷時生ですか・・・」

「そうだ・・・」

「あなたと茉莉さんの願いは・・・」

「彼らを守ることだった・・・あの男に一太刀浴びせることができたら・・・爆弾で威嚇して・・・脱出する・・・手筈・・・まさか・・・爆弾が・・・・・・君か」

「・・・私です」

「気にするな・・・それが・・・君の・・・」

二人の遺体を別室に移す右京。

柄谷の首に願い石のネックレスを発見する。

「しまった・・・私としたことが・・・」

その頃・・・負傷した音越は苦悶していた。

「傷が・・・」

「まさか・・・毒・・・」と蒼ざめる秘書。

「これは・・・ヤマブンタの毒ですね」

明梨が現れた。

「確か・・・君は解毒剤を・・・」

「あります・・・」

明梨は傷口に・・・致死量の毒をすりこんだ・・・。

そこへ・・・右京が駆けつける。

「大黒のおじさん・・・仇はとったよ」

明梨はヤマブンタの毒を服用する。

「待ちなさい・・・」

右京は血清をとりだした・・・注射セットは一人分。

右京は迷わず明梨に注入する。

音越は死亡した。

鞘師は・・・外交官特権で国外に退去する。

片山雛子は・・・音越死亡の責任をとって議員を辞職することを宣言するのだった。

一命をとりとめた・・・明梨を見舞う右京。

「あなたが・・・柄谷時生のお友達だったんですね」

「・・・」

「なぜ・・・あなたが・・・復讐をしなければならなかったのですか」

「あなたみたいな・・・綺麗なスーツを着ている人にはわからないわ」

「血の誓い・・・ですか」

「地獄だったのさ・・・親に捨てられた子供は最悪だよ・・・薄汚れて腹を減らして・・・名前さえ呼ばれない・・・女だとも思われない・・・大黒のおじさんだけが・・・私を女の子だと気がついてくれた・・・あかり・・・って名前をつけてくれたんだ」

「・・・」

「私は・・・願いをかなえたよ・・・」

「本多さん父娘の願いを知っていますか」

「・・・」

「それは・・・あなたたちを守ることでした」

「・・・」

「願いは半分しか・・・叶わなかった」

「・・・」

「大黒元議員は・・・恩人だったかもしれない・・・しかし・・・本当にあなたたちの幸せを願っていたなら・・・復讐など頼まなかったでしょう・・・」

「・・・」

「結局・・・あなたは最後まで悪い大人に利用された・・・憐れな子供だったんですよ」

「・・・」

「あなたも・・・柄谷時生も無辜の民にもなれた・・・しかし、結局は愚民になったのです」

「・・・ううううううううううああああああああおおおおおおおおお」

右京さんに口答えすることは何人にも許されないのである。

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カナリアの娘

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2016年1月 1日 (金)

2016年冬ドラマを待ちながら(キッド)

あけましておめでとうございます。

読者の皆さまにとって素晴らしい一年となりますようにお祈り申し上げます。

今年もよろしくお付き合いください。

昨年の大晦日はきよし師匠の「老い」に涙しながら数の子の塩抜きをしている間にうっかり眠ってしまった。

気がつけば朝生も最後の一時間である。

国際関係は緊張の度合いを増していく。

南シナ問題に米国が介入し、米中戦争が勃発することはないというのが大前提だが・・・日本の多くのマス・メディアはこの海域で米艦が示威行動を起こすことさえ・・・ほとんど予測していなかった。

そういう意味では・・・「中国の埋め立て工事続行」と「米国の滑走路空爆」はあってもおかしくない。

境界線は曖昧のようで・・・確実に内と外を隔てている。

それが「ある」と言えば批判の対象となる国は・・・世界で唯一、日本国だけだと考える。

政権与党に対抗するために・・・野党結集が叫ばれるが・・・政権を独裁政治だなどと批判している間は・・・勝てないのである。

独裁VS独裁でなければ決着はつかないのである。

もしも・・・烏合の衆が・・・運よく勝利しても・・・残るのは混迷だけだから・・・。

駅前で通りすがりの老人をつかまえて「あなたのお孫さんがイラクに連れていかれたら大変でしょう」などとほとんど詐偽師のような口調で話しかけている共産党のリーダーシップが発揮されたら・・・一同爆笑するしかないわけだが・・・。

何が起こるかわからないのが世の中だからな。

さて・・・(月)は坂元裕二の脚本で・・・有村架純、高良健吾、高畑充希、森川葵が集う「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」である。・・・なんだか隙がなくてこわいくらいだ・・・そろそろはずしてもいいと思うが・・・脚本家はもう・・・ずっとはずしていないからな。とにかく設定がすでに物悲しいぞ・・・。

(火)のみつどもえは・・・深田恭子の「ダメな私に恋してください」と田中麗奈の「愛おしくて」に蓮佛美沙子の「お義父さんと呼ばせて」である。ある意味で最大の谷間候補になるのは・・・あえてこの枠で勝負したくない芸能プロダクションの気持ちが切実だからだな。

(水)はすでにスペシャルで先行発進している堀北真希の「ヒガンバナ」があるが・・・これはもう脚本次第だな・・・ミステリとして面白いかどうかだけで・・・「相棒 season14」と二本立てと考えるしかない。対抗馬は「フラジャイル」・・・橋部敦子の脚本で長瀬智也の主演。医療ものが乱立した秋ドラマの名残として・・・面白い気がします。

(木)「ちかえもん」は久しぶりの藤本有紀の脚本。近松門左衛門の略称としては凄いタイトルだなあ・・・。「ボク、ちかえもん」って絶対言わないだろう。草彅剛の「スペシャリスト」もスペシャル先行系である。広末涼子と内田有紀の「ナオミとカナコ」は「涼子と有紀」なのか・・・。精神科医・伊良部シリーズの奥田英朗原作なんだな。映画「イン・ザ・プール」は面白かったんだけどな・・・あれは三木聡が面白かったんだよな。

(金)は綾瀬はるかの「わたしを離さないで」(脚本・森下佳子)・・・古典的なテーマだが・・・SFだからなあ・・・どうなんだ。桐谷美玲の「スミカスミレ」(脚本・古家和尚)・・・古典的なテーマだが・・・ファンタジーだからな・・・どうなんだ。最近、大人しいテレビ東京深夜は「東京センチメンタル」・・・吉田鋼太郎、高畑充希、小栗旬、大塚寧々というラインナップは魅力的だが・・・どうなんだろう・・・。激戦曜日になるのか・・・。

(土)は「怪盗 山猫」である。脚本の武藤将吾は微妙だが・・・亀梨和也、成宮寛貴、広瀬すず、菜々緒のラインナップで見逃せない。

(日)は上野樹里の「家族ノカタチ」や山本美月の「臨床犯罪学者 火村英生の推理」もあるが・・・とりあえず長澤まさみの「真田丸」である。くのいちなのか・・・ユキムラの妻なのか・・・妄想的にはくのいちなんですけどね・・・初音の関係者なんだよな・・・。

まあ・・・本格的始動までは間があるので・・・谷間をまったりと過ごしたいと考えます。

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Hc2016wggごっこガーデン。恒例・帝国の襲来する雪山新年会。

くう様の【2016年1月期・冬の新ドラマ一覧】

みのむし様の2016年冬ドラマ一覧

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