坊っちゃん(二宮和也)ゲゲゲのマドンナ(松下奈緒)清ばっぱ(宮本信子)オッペケペー(山本耕史)なるほど(岸部一徳)
さあ・・・いよいよ谷間も終了だが・・・。
年末年始の最初が「ニノさん」だったので最後も「ニノさん」である。
ある意味、帝国の貴公子だな。
夜中に本物の帝国を見続けていたのでまるでフォースのダークサイド寸前の物語のように見える夏目漱石である。
「癇癪を起こしてはいけません」
そうだ・・・怒りは・・・悲しみの発火点なのである。
たが・・・結局、坊ちゃんは怒りの鉄拳を振るい・・・暗黒面へと転落していくのだった。
で、『坊っちゃん』(フジテレビ20160103PM9~)原作・夏目漱石、脚本・橋部敦子、演出・鈴木雅之を見た。比叡山延暦寺の荒法師だから山嵐(古田新太)であるが・・・弁慶じゃだめだったのかとふと思う。価値観の転換が劇的に吹き荒れた明治・・・。江戸から東京に変わった街を出て・・・四国の田舎にやってきた坊っちゃん(二宮和也)のバカ正直者物語である。
親譲の無鉄砲で小供の時から損ばかりしているおれを下女の清は「あなたは真直でよいご気性だ」と賞めた。清はもと由緒のあるものだったそうだが、瓦解のときに零落して、つい奉公までするようになったのだと聞いている。だから婆さんである。
そんなお清婆さん(宮本信子)と二人暮らしをしていた坊ちゃんは物理学校を卒業すると校長(佐藤浩市)から「月給四十円」で「松山」で「中学校の数学教師」ばどうかと問われ、ただちに引き受ける。
汽車に乗り、船に乗り、また汽車に乗ってたどり着いた最果ての地・・・四国の松山。
そこには「なるほど」しか言わない狸の校長(岸部一徳)、軽薄才子の極みである赤いシャツの教頭(及川光博)、腰巾着で幇間な野だいこ(八嶋智人)、顔色の悪いうらなり(山本耕史)などの同僚教師たちと・・・山猿のような四国の中学生がいるばかりである。
下宿の飯はイモばかりだが・・・蕎麦屋に行けば蕎麦が、団子屋では団子がそれなりに美味しいし、温泉は最高なのだった。
そして・・・近所にはマドンナ(松下奈緒)がいた。
しかし・・・マドンナにはうらなりという恋人がいる。
原作ではマドンナとうらなりは許嫁の間柄だが・・・ドラマでは仄かに思いを寄せあっている感じである。
しかし・・・そこに帝大卒業の学士風を吹かす赤シャツが割り込んで・・・教頭としての権限を利用して・・・うらなりを九州に追いやるという画策をするのである。
一方、宿直の当番にあたった坊ちゃんは寄宿生たちからバッタ攻めの悪戯をされる。
「誰がやったか正直に云え」という坊ちゃんに生徒たちは無言で応じる。
たちまち・・・癇癪を起こし、へそを曲げる坊ちゃんだった。
正直者は癇癪持ちでへそ曲がりと相場が決まっているからである。
「悪戯が悪いとは言わない。しかし、やったことの責任を取らない奴が俺は大嫌いだ」
「・・・」
「なぜならそいつは嘘つきだからだ・・・そして嘘つきは泥棒の始りだ」
「正直に言ったらどうしますか」
「殴る」
「・・・」
しかし・・・裏表のない単純明快な坊ちゃんに感化されていく生徒たち。
犬は飼い主に似るし、ロイドはマスターに、生徒は先生に似るのである。
職員室では姑息な田舎者たちと江戸っ子堅気の坊ちゃんとに亀裂が走る。
マドンナをめぐる赤シャツの陰謀には坊ちゃん贔屓の山嵐が叛旗を翻す。
「悪だくみをする奴も悪だくみに乗せられる奴も悪だくみ仲間だ」
「嘘をついて楽しいものは嘘をつけばいい・・・俺は嘘は嫌いだから・・・正直に生きる」
坊ちゃんと山嵐に影響されたうらなりは・・・ついにマドンナに告白。
うらなりとマドンナは九州に駆け落ちしていくのだった。
そして・・・「自分が思った通りに生きろ」という坊ちゃんの思想は・・・中学生たちを師範学校生徒との大乱闘に導いていく。
「戦争じゃ・・・ダークサイドが蠢いておるぞなもし」
「元気があっていいじゃないですか」
責任をとって辞表を提出する坊ちゃんだった。
生徒たちは「うらなりにマドンナとられて赤シャツは今日も枕を涙で濡らす」と揶揄する。
「そんなこというのは誰だ」と激怒する赤シャツ。
生徒たちは全員起立でストームトルーパー化するのだった。
曲がったことが大嫌いな坊ちゃんは・・・去り際に赤シャツを鉄拳制裁し・・・松山を去って行く。
「なるほど」と狸は呟くのだった。
月給の多い方が偉い世界を坊ちゃんは認めない。
こうして・・・坊ちゃんのフォースは危険な方向に覚醒していく。
野だいこは沢庵石をつけられて海に沈められた・・・おいっ。
坊ちゃんは清の待つ東京に帰還したのだった。
・・・死ぬ前日おれを呼んで坊っちゃん後生だから清が死んだら、坊っちゃんのお寺へ埋めて下さい。お墓のなかで坊っちゃんの来るのを楽しみに待っておりますと云った。だから清の墓は小日向の養源寺にある。
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