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2016年1月22日 (金)

いもりの黒焼き煎じて飲めば(早見あかり)さても是非なき風情なり(小池徹平)

浄瑠璃作者としての近松門左衛門の名をあげたのが「出世景清」である。

源平合戦で平家が滅びた後に伝説の男として蘇る悪七兵衛景清・・・。

仇である源頼朝の命をつけ狙う景清は・・・徳川家康を狙う真田十勇士の原型である。

近松門左衛門は幸若舞「景清」を発展させ、景清と京の遊女・阿古屋、そして熱田大宮司の小野姫の三角関係を凄惨な愛憎劇に仕立て上げた。

景清と二人の子を生した阿古屋だったが・・・小野姫への嫉妬から景清を幕府に売ってしまう。

景清は討手から逃れるが、小野姫が捕縛され、拷問されていると知り、出頭して投獄されてしまう。

阿古屋は獄にある景清に許しを乞うが景清は許さない。

思いあまって阿古屋は二人の子供を殺し自害して果てるのである。

愛の逆上恐るべしである。

で、『ちかえもん・第2回』(NHK総合20160121PM8~)脚本・藤本有紀、演出・梶原登城を見た。虚構の世界は「夢」のようなものだ。現実も「夢」のようなものなので現実と虚構は同じなのである。しかし、それぞれの感じる現実と違って、他人様の作る虚構を夢と感じることができるかどうかには差異がある。この素晴らしい夢の素晴らしさが分かることはとても幸せなことだが・・・本当にそれが幸せなのかは定かではない・・・。

おやおやおやおや、不孝糖、親を泣かせてやろうとて拵え創めの不孝糖

不孝糖売りの万吉(青木崇高)にまとわりつかれ近松門左衛門(松尾スズキ)は戸惑いをかくせない。

万吉にはちかえもんにはない愛くるしさがあり・・・ちかえもんの母・喜里(富司純子)をも魅了する。

マザコンのちかえもんには心痛い成り行きである。

「この不孝糖とやら・・・もう少し味に工夫が必要ですね」

「母上の嫌いな親不孝ですぞ・・・」

「万吉さんの商売の邪魔をしてはなりませぬ」

「・・・悲しくて悲しくてとてもやりきれないこのやるせないモヤモヤをだれかに告げようか」

時空を越えて歌い出すちかえもんだった。

鬱屈したちかえもんは例によって「天満屋」で遊女のお袖(優香)に愚痴るのだった。

「空のかがやきが胸にしみるんだよ」

「泣き虫さんねえ・・・」

スランプの流行作家と年増の遊女・・・お似合いの二人だった。

そこで騒動が勃発する。

京の遊郭・島原より転売されてきた遊女のお初(早見あかり)が気にいらない客を袖にしたのである。

血相を変えて店を出る客・・・。

「天満屋」の女将・お玉(高岡早紀)はお初を問いつめる。

「一体、何をしたんだよ」

「何も・・・何もしなかったら・・・怒っちゃった」

「・・・」

ちかえもんも呆れるお初の厄介者感・・・。

遊女たちがお初の噂をしているところに居残り(遊興費を雑用で支払い中)となっている万吉が登場。

「美人で評判のお初か・・・しかし、愛嬌がないのはあかん」

お約束で振り返ればお初がいる。

お初を一目見るなり・・・兇悪な恋の天使の銃弾に撃ち抜かれる万吉のハートだった。

「痛い・・・」

「どうした・・・」とちかえもん。

「胸が・・・」

「恋か・・・」

「どうしたらええのん」

「一見栄、二男、三金、四芸、五精、六おぼこ、七セリフ、八力、九胆、十評判・・・というてな・・・このうち一つでも備わっていればもてもてなんだけどね」

「わてには備わっておるんか」

「そうやなあ・・・見栄ゆうんは身だしなみや・・・まあ・・・お前はおしゃれではないと・・・二は男前かどうかやが・・・お前は微妙やなあ・・・三は経済力、四は歌唱力、五は勤勉家、六は童貞なら童貞キラーにもてる・・・七はホスト力、八は十万馬力以上、九は肝っ玉、十は人気・・・まあ・・・これは・・・まあ・・・ある・・・っていうか」

「なんで悲しそうなん」

「いや・・・」

「ちかえもんが悲しゅうなるなら・・・わて不人気でええで」

「・・・そう」

「で・・・どないしたらええんや」

「それはもう・・・イモリの黒焼きや」

金主(スポンサー)である平野屋の大旦那・忠右衛門(岸部一徳)から創作意欲高揚のための「朝鮮人参」を煎じたものを勧められたちかえもんは思わず「クスリ」に縋るのだった。

落語「いもりの黒焼」からのいただきである。

早速、万吉はイモリの捜索活動に入るが例によって季節外れなのであった。

呪術的にはヤモリの雌雄を用いて壁の左右に置き、雌雄の性欲が向上したところで焼却。

ヤモリの残留思念を用いて、男に雄粉、女に雌粉を振りかければたちまち発情するというシステムである。

良い子のみんなは真似しないように。

「もてる男の十カ条」に一つも該当しないことをお袖にぼやくちかえもん。

お約束で振り返ればお初である。

「え・・・」

「女将さんに面倒を頼まれた・・・」とお袖。

若い・・・綺麗・・・愛想がないと三拍子そろったどM向け遊女のお初だった。

「お愛想もあった方がいいと思うよ」

「こんな地獄で上手を言って・・・大夫に出世したとて虚しいばかり・・・いっそ病で死んでしまいたい・・・」

虚無的なお初である。

平野屋でちかえもんを見下した放蕩息子の徳兵衛(小池徹平)は父親の小言も虚しく、再び・・・「天満屋」で大盤振る舞いである。

そこへ・・・イモリを捕獲した万吉が乱入し、騒動となる。

興を殺がれた徳兵衛は・・・万吉をいたぶりにかかる。

「どうか、許してやっとくれ」と仲裁に入るちかえもん。

「あんたなんや・・・」

「わての友達や」と万吉。

「そんなら・・・二人で土下座してもらいまひょ」

「なんでやねん」

帰宅したちかえもんに「いもりの黒焼き」を見せる万吉。

「そんなものに頼ったら・・・姑息だ」と正論を言うちかえもん・・・。

「そやな・・・」

納得する万吉。

ちかえもんは・・・いもりの黒焼きの効果など信じていなかったが・・・「猫」には効果抜群だったらしい。

「こ・・・これは・・・」

翌日・・・ちかえもんの母は「擂り黒ゴマ」を「不孝糖の味付け」として提案する。

ちかえもんの懐に・・・「いもりの黒焼き」と「擂り黒ゴマ」が・・・。

堂島新地に雪が降る・・・。

またもや客をしくじったお初は・・・中庭の松の木に緊縛されるお仕置きを受けるのだった。

「客はMだけじゃない・・・Sもいるんだよ」

一方・・・姑息な手段を試すちかえもんは・・・お袖のお茶に一服盛る・・・。

「・・・どう?」

「ちょっと香ばしい・・・」

「え」

香るゴマの香り。

一方・・・万吉はイモリの黒焼き不孝糖を・・・緊縛されたお初に与える。

「なんで・・・構うんだい」

「わてかて・・・こうして・・・折檻されたことがあるさかい・・・」

二人が心を通わそうとした刹那・・・。

「おい・・・それ・・・イモリだ・・・」

それを食したものは最初に目にしたものに惚れるという伝説・・・。

あわてて・・・お初の目を塞ごうとする・・・万吉。

そこへ・・・道楽息子の徳兵衛が通りかかる。

目と目で通じあうかのような二人・・・。

そして・・・お初の見せる天使の微笑み・・・。

「ラーメンを食べた小泉さんみたいだ・・・」

万吉が縄を解くと・・・徳兵衛とお初は・・・手をとりあって寝床へと去って行く。

「万吉・・・ごめん」

「ええんよ・・・お初が笑ろうたもん・・・これでええんよ」

泣きながら笑う万吉を可愛く思うちかえもんだった。

しかし・・・新作は進まず白紙である。

そして・・・お初は・・・別にイモリの黒焼きにやられたわけではなかったらしい。

ちかえもんは・・・人形の首を見る。

その美しさに誰かを思い出すちかえもん・・・。

(お初・・・)

こうして・・・お初と徳兵衛は・・・「曽根崎心中」へと歩み出す・・・のか?

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

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