私は自分を隠せない(長澤まさみ)神流川、血に染めて(堺雅人)
大河ドラマのプロデュースにはいくつかの問題点がある。
それは歴史上の人物、特に英雄の問題点である。
そして、とりわけ、二つの大問題がある。
第一が・・・英雄が基本的に大量殺戮者であるということ。
織田信長を例に考えてみよう。実の弟殺しである。
比叡山では僧侶を殺し、浅井・朝倉の髑髏で盃を作り、本願寺攻めで女子供を殺し・・・もういいか。
現代社会にはこういう人を「偉大だ」と声を大にして言えないという病的な風潮があるのだった。
そんなこと言ってたら・・・歴史なんて語れないだろうがっ。
第二が・・・英雄、色を好むである。
豊臣秀吉を例に考えてみよう・・・以下、略。
そこで・・・戦国時代の武将なのに・・・人命尊重をしている人、一夫一婦制度を順守する愛妻家。
そういう人が主人公に相応しいとか・・・馬鹿が言い出すわけである。
そんなにお茶の間の顔色を伺ってどうする・・・。
今回はいきなり・・・ヒロインが側室である。しかも、ダブル側室である。正室のキャスティングも発表されたのである。
もちろん・・・すでに・・・主人公の父親の側室とか・・・主人公の祖父の側室とかは省略されているわけだが・・・それは作劇の上での登場人物の割愛の範囲内として受容できるのだった。
とにかく、主人公に正室の他に側室が二人いるということが・・・現時点で・・・明らかになっている。
実際はもっといたわけだが・・・そして、省略されてしまうのかもしれないが・・・それも作劇の上での登場人物の割愛の範囲内として受容できるのだった。
英雄が殺しまくり、やりまくる戦国時代こそ・・・男のロマンなのである。
戦の鬼・真田信繫による三人妻体制・・・。
大河ドラマ「真田丸」万歳。
で、『真田丸・第7回』(NHK総合20160221PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・田中正を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は関東の覇者・北条氏政と真田幸隆の正室で真田昌幸の母である恭雲院こととりの二大描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。本能寺の変から二週間・・・激変に見舞われた信濃・上野の陣取り合戦を・・・昌幸の「勘」と真田信繁の「無鉄砲」で描いていく今回。一同爆笑に次ぐ爆笑でしたな。特に中高生カップルのツンデレ対決に心奪われました・・・。信繫の側室の一人となる「きり」の成長が楽しみでございます。そもそも・・・負け組である信繫の周辺人物の来歴は結構、謎に包まれているので・・・そこを妄想するのは・・・楽しいですねえ。一週間があっという間でございます。そもそも・・・北信濃の有力な豪族であった高梨家と真田家の関係が霧に包まれている。川中島の合戦では・・・敵味方に別れたりもするけれど・・・嫡流である高梨政盛の娘・於北が真田信綱の正室です。そうなると真田信幸の現在の正室・おこうは母系が高梨家の可能性があるわけです。きりの父親の高梨内記はそうした経緯で真田家家臣団に加わっているのかもしれませんな。本来、嫡流家である信綱の娘と昌幸の嫡男である信幸の婚姻は・・・本家と分家の合体という政略結婚の基本の一つでございますよねえ。真田家における高梨流の立ち場をさらに強化するべく・・・信繫に娘を送り込む高梨内記・・・実にそそります・・・。
天正十年(1582年)六月十二日、相模、伊豆、武蔵、上総、下総、安房の太守である北条氏政は領国に動員令を発する。十六日、氏政、氏直らが率いる五万人が上野国滝川一益領に進軍を開始。一益は厩橋城、松井田城、小諸城などに守備兵を残し、およそ二万の兵で出陣する。上杉景勝は海津城の春日信達を調略。守護小笠原家の小笠原洞雪斎などを用いて北信濃に浸透する。十八日、一益は北条軍先鋒の氏直軍を撃破。甲斐国主・河尻秀隆が一揆勢に殺害される。十九日、突出する滝川軍を北条軍が包囲殲滅する。一益は厩橋城に退却。二十日、一益は箕輪城に退却。二十一日、一益は上州を捨て信州小諸城に退却。美濃・尾張への退却路を確保するために木曽路を抑える木曽義昌の動静を探る。森長可は木曽福島城を急襲し、義昌嫡男の岩松丸を人質にとる。真田昌幸は叔父・矢沢頼綱を沼田城に、嫡男・信幸を岩櫃城に派遣。二十二日、依田信蕃は旧武田家臣の人質を一益に献上。二十三日、徳川家康は岡部正綱によって甲斐の国人衆に知行を安堵する。二十四日、長可は美濃国に帰還し、人質を解放。景勝は信州・長沼城に進出。昌幸は景勝に臣従。二十五日、長可は岐阜城に入る。二十六日、氏政は佐久の国衆を臣従させる。二十七日、一益の所有する真田昌幸の母などを含む佐久・小県の国人衆の人質を義昌に引き渡す協定が成立。尾張清州城で織田家の相続会議開催。二十八日、一益は下諏訪で義昌の通行証を受け取り木曽路を通過。北条軍は信濃への侵攻を開始。七月一日、一益は伊勢長島城に帰還。
佐久の春日城に依田信蕃が帰城したのは六月二十三日であった。
武田家の滅亡から僅か三ヶ月で本能寺の変が起こり、信濃国は混乱の極みとなっている。
徳川家康と行動を共にしていた穴山梅雪の指示により・・・織田に降ったものの・・・梅雪が死亡したことにより・・・誰が敵か味方かもわからない。
「滝川一益に嫡子・竹福丸を人質として渡して・・・よかったのか」
思わず・・・疑問が口に出る。
そこへ・・・留守を務めていた弟・依田信幸がやってくる。
「家康様の家臣・岡部正綱殿から使いが来ている」
「会おう・・・」
案内されてきたのは女だった。
「お・・・そなたは・・・」
「土屋昌恒様の正室・岡部殿の侍女でございました・・・畝と申します」
「奥方は・・・どうなされた」
「徳川様にかくまわれてございます」
「そうか・・・」
土屋昌恒は武田勝頼に殉じ、天目山で片手千人斬りの伝説を残した。
昌恒の正室は岡部正綱の同族である岡部元信の娘だった。
「甲斐では・・・穴山衆が徳川様にお味方すると決しました」
「おぬし・・・くのいちか」
「・・・はい」
「書状によれば・・・武田家臣を集めよということだが・・・」
「できうれば・・・真田家と繋いでもらいたいとのこと・・・」
「真田殿か・・・あれは・・・食えない男じゃ・・・」
真田昌幸は・・・依田信蕃より一歳年上である。
人質の中に昌幸の母がいた・・・。
(人質といっても・・・あれは武田くのいちの頭・・・陣中に忍びを招きいれるのも同然じゃ)
信蕃は思わず苦笑いをした。
「それから・・・人質の件ですが・・・」
「それは・・・滝川様に・・・」
「できれば・・・徳川様に・・・引き渡すように交渉していただきたいとのこと・・・」
「なんじゃと・・・」
「忍びの報告によれば・・・滝川様は木曽様に・・・人質をお渡しになるとのこと・・・」
「・・・盥回しじゃな・・・」
「御苦労様にございます・・・私はこれより・・・信蕃様にお仕えするよう・・・命じられております」
「なるほど・・・夜伽を命じてもよいのだな・・・」
「お望みとあらば・・・」
信蕃はくのいち畝が・・・美貌を備えていることにようやく気がついた。
「では・・・お主は・・・徳川様からの・・・褒美・・・」
めくるめく一夜の後・・・信蕃は再び・・・小諸城に向かう・・・。
信濃ではすでに・・・北条、徳川、上杉の忍びたちが・・・暗躍を開始していた。
上杉は川中島から佐久へ。
北条は碓氷峠から佐久へ。
徳川は甲斐から佐久へ。
それぞれの忍びが佐久に集結しつつあった。
真田忍軍もまた・・・。
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