杉下右京はじめての土下座(水谷豊)亡霊たちのテロル(高岡早紀)
まだ余韻なのか・・・。
天満屋の女将のお玉(高岡早紀)だからな。
「ちかえもん」のない木曜日はさびしいよねえ・・・。
しかし・・・相棒は「テロリズム」が大好きだよな。
今回は一種のお遊び回でもあるよな。
長期シリーズのドラマにおけるゲストが別人で登場する件についてのおふざけが展開するのだな。
まず・・・亡国内閣が凄いことになっているな。
内閣総理大臣の玄間(国広富之)である。「Season7 第15話」に登場する仏文学翻訳家・宇佐美悦子(岸惠子)の使用人・榊敏郎のそっくりさんなんだな。
玉手副総理(小野寺昭)は片山雛子(木村佳乃)の父親で「劇場版」に登場した片山擁一のそっくりさんだ。親戚筋なのかもしれん。
菊本農林水産大臣(石橋蓮司) は「season4 第2話」に登場する成華大学心理学部教授の春日秀平に瓜二つなのだ。まあ、かなり加齢しているがな。
そして・・・愛の心中テロリスト・カップル・・・警察学校訓練生の伴野(瀬川亮)が「劇場版Ⅲ」の鳳凰島で殺害された即応予備自衛官の岩代純也・・・そして元公安調査官の鴨志田慎子(高岡早紀)は「Season 3 第7話」に登場する世田谷区立南図書館司書の辻村めぐみ・・・潜入捜査中の変名かもしれんがな・・・なのだった。
これだけ固めてくると・・・わざととしか思えんな。
で、『相棒・season14・最終回(全20話)』(20160101PM9~)脚本・輿水泰弘、演出・和泉聖治を見た。メイン・ライターとメイン・ディレクターによる一種の幕引きである。警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と法務省から警視庁へ出向中のキャリア官僚・冠城亘(反町隆史)の変則的な関係のコンビが解消し・・・新たなる「相棒」の誕生が宣言されるわけである。要するに・・・「season14」は全編が冠城亘の人物紹介だったのだ・・・。
ある事件で・・・裁判所の令状執行を阻止する捜査妨害を行った右京と亘は謹慎処分となる。
小料理屋「花の里」でのんびりする二人に女将の月本幸子(鈴木杏樹)は苛立つのだった。
「のほほんとしちゃって・・・懲戒免職になったらどうすんですか」
まあ・・・右京は幸子の実質上の愛人というかパトロンだからな・・・おいっ。
一方、突然の辞令により、「警察学校」の教官となることになった鑑識課の米沢守は「警察大学校」で教官養成の研修を受けた帰り道・・・不審な訓練生を発見する。
米沢の鼻は硝煙の香りを嗅ぎつけるのだった。
不審な訓練生・伴野に逃げられた米沢は・・・射撃訓練場にかけつけ・・・大量殺人事件の発生を知るのだった。
唯一生き残った訓練生・金井塚(小柳友)の証言により・・・「テロに屈しないという政府に対するテロを宣言した伴野は・・・教官や訓練生たちを射殺し・・・実弾と拳銃を持って逃走した」ことが判明する。
「テレビドラマではすぐに腹部を撃つが・・・防弾チョッキを着ている可能性がある以上、俺は頭を撃つ」と言って射殺しまくる伴野だった。
「閣僚たちの本気度を試すために標的にするし・・・それを守ろうとすれば警官も殺害する・・・ただし一般市民は巻き込まない」というメッセージを残すために・・・金井塚だけは射殺を免れたらしい。
伴野は警察が対応に戸惑う間に文部科学大臣と警護の警察官を射殺する。
警察官訓練生による閣僚殺害という前代未聞の事態により・・・警視庁は威信を問われるのだった。
テロの標的となることを惧れた菊本農林水産大臣は健康上の問題を理由として辞表を提出する。
玉手副総理は「テロに屈して逃げるのか」と詰る。
しかし・・・玄間総理大臣は「去るものは追わない姿勢」で辞表を受理する。
事態を静観するしかない特命係だったが・・・亘の元へ公安調査庁時代の同僚である鴨志田慎子(高岡早紀)から連絡が入る。
鴨志田は伴野と個人的な交友関係があり・・・事件の直前に電話連絡があったと言う。
日本の秘密警察の一つである公安調査庁の調査官である鴨志田は米国の中央情報局での研修中、バーで世界放浪旅行中の伴野と知りあい一夜を共にしたのだった。
伴野の姉は五年前に東京で起きた地下鉄爆破テロに巻き込まれ死亡したという。
「テロの被害者はいつも一般市民だ」と伴野は嘆いていたらしい。
「何故・・・俺に話す・・・」と亘。
「ピンチなんでしょう・・・昔の男に恩を売るのが私の主義なのよ」
「弱みを握るのが・・・だろう」
亘は右京に事情を話し・・・右京は捜査一課の伊丹刑事(川原和久)を巻き込むのだった。
捜査一課は・・・伴野と鴨志田の密会の現場に鴨志田に扮した女性警官を送り込み、包囲による犯人確保を試みる。
しかし・・・あらかじめ・・・状況を読んだ伴野は焼身自殺を敢行するのだった。
その一部始終を素晴らしいインターネットの世界の自称ジャーナリストが空中から撮影していた。
「テロとの戦いはテロを呼ぶ・・・それでもテロと戦うというのなら・・・政治家たちは覚悟をみせろ・・・」と叫ぶ伴野の最後の姿はインターネット上で公開され・・・それなりに人気となるのだった。
「燃える男ヤバし」
「バカじゃね」
「死ね・・・と言う前に死にました」
どのようなテロも所詮、他人事である。
テロル(恐怖)というものは鈍感な人間にとっては・・・なんていうことはないことだからな。
事件は解決したかに見えたが・・・亘は鴨志田がすでに公安調査庁の職を辞していたことを知り不審を感じる。
一方、右京は・・・伴野の部屋で発見された残弾の数に拘っていた。
「最初にあった銃弾と・・・使われた銃弾・・・そして残った銃弾の数が合いませんねえ・・・」
「誰かが食べちゃったという可能性はないですか」
「・・・銃弾を食べる幽霊ですか・・・それは興味深い」
やがて・・・鴨志田がテロ被害者の支援団体の一員であることが判明する。
支援団体を指示する有力者の一人が玉手副総理だった。
右京は・・・生き残った訓練生・金井塚と伴野がグルであることを疑う。
亘は鴨志田と伴野がグルだったことを疑う。
二人はそれぞれのターゲットを追跡し・・・支援団体のイベントで合流するのだった。
イベント会場に姿を見せる玉手副総理を花束に見せかけた絞首具で襲う鴨志田。
しかし・・・金井塚は・・・絞首具を解除し・・・玉手副総理を救命するのだった。
「これはいったい・・・」
「狂言テロの匂いがしますね」
「狂言テロ・・・」
「テロリストたちは・・・目標に近づくために手段を選んではいられないということです」
玉手副総理の命を救った英雄となった金井塚は総理大臣への面会権を入手したのだった。
しかし・・・すべてお見通しの右京さんによって・・・家宅捜査のブラフをかまされた金井塚は証拠を隠滅するために・・・ゴミ出しをする。
もちろん・・・すかさず回収する特命係である。
「素人にも困ったもんですねえ」
ゴミの中から副総理襲撃計画書が発見されるのだった。
そして・・・金井塚のPCからは・・・玉手副総理とのメールのやりとりが復元される。
「お粗末でしたねえ・・・」
こうして・・・鴨志田、金井塚、玉手副総理がグルだったことが判明する。
玉手副総理の弁明・・・。
「首相暗殺・・・弔い合戦・・・選挙に大勝利、私は次期総理・・・自分を信じてアイムソーリー」
「ラップか」
「ピンチをチャンスにフライハイ!」
「副総理が総理を殺すなんて・・・テレビ朝日の願望ですか」
「反体制報道も手詰まりなんですよねえ」
金井塚の告白。
「テロって最高」
「あなたは単なる人殺しですよ」
「おいらは立派なテロリスト」
「立派なテロなんてありません」
右京の激昂終了である。
鴨志田のポエム。
「伴野を心から愛しているの・・・でも・・・私は末期癌で余命宣告されて・・・彼は一緒に死のうと言ってくれた・・・どうせ死ぬなら・・・最後に花を飾りたい・・・私は工作員として・・・総理大臣暗殺という・・・晴舞台を用意してみたのです」
「ちかえもん・・・か」
「ちかえもん・・・です」
「つまり・・・テロではなく・・・情死だったと・・・」
「素敵でしょう・・・」
「・・・」
しかし・・・時間が余ってしまったので黒幕を追及する右京。
「暗殺用花束は・・・見事な作品でしたね」
「お褒めに預かって・・・うれしいね」
「なぜ・・・こんなことを・・・」
「テロ対策において・・・日本はあまりに無防備だ・・・国民がすぐそこにある危機を認識するために・・・日本はもっと危険な国にならなくてはならない。総理大臣を暗殺されたらさすがに日本人も目を覚ますだろう・・・」
菊本農林水産大臣は趣味の生花を自慢したかったらしい・・・。
「困りましたねえ・・・閣僚による首相暗殺・・・まるで子供っぽいテレビ朝日の願望まるだしじゃないですか」
「思いきって厨二病と言ったらどうだ・・・」
「さすがに・・・そこまでは・・・」
「どうせコメンテーターが学歴詐称しているのに気がつかない局じゃないか」
「それはこの局だけではありませんよ」
「お高くとまってるから揶揄されるのさ」
「でも・・・スミカスミレは素晴らしいドラマですから・・・」
こうして・・・恐ろしい首相暗殺計画は・・・特命係のいつもの活躍で幕を閉じたのだった。
お手柄に免じて・・・右京の処分は減俸。
亘は法務省からの退官処分となり・・・再就職先として警視庁を宛がわれた。
新人警察官として・・・亘は米沢教官の訓練生となる。
そして・・・研修終了後・・・特命係に配属されるらしい・・・。
鑑識課への米沢復帰を待ちながら・・・相棒シリーズは続いて行くのだった・・・。
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