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2016年3月28日 (月)

覚悟しておいてあなたの弱味をにぎったら虜にしてみせるから(長澤まさみ)

女が基本的に生むための道具であった時代・・・。

それでも男は時に女に溺れ・・・寵愛された女は権力を握る。

腹違いの兄弟たちは時に骨肉の争いを繰り広げる。

もちろん・・・同母兄弟であっても殺し合うのが戦国時代である。

それでも・・・時に兄弟たちは力を合わせ苦難を乗り切ることもある。

とにかく・・・実力者は子供を作って作って作りまくってなんぼなのである。

男女平等を謳う健全な社会からは・・・邪な・・・一夫多妻の世界。

どんなに・・・善良な男を描いても・・・複数の妻がいるというだけで・・・うしろゆびを差されるわけである。

「結局、女ったらしかよ」・・・なのである。

脚本家は・・・チャレンジしているようで・・実は逃げ腰なのかもしれない。

愛妻が死んだら後妻を迎えるのは・・・そんなに悪くないでしょうというフラグが立った今回。

なにしろ・・・主人公の最初の娘を産んだ後・・・どうなったかよくわからない・・・女がターゲットである。

どんな・・・フィクションに仕上げても・・・構わないわけである。

まあ・・・主人公が二人の女と同衾したりするのは・・・夢のまた夢なのである。

両手に花でいいじゃないかっ。

そういうのがお望みなのかっ。

男のロマンじゃないかっ。

で、『真田丸・第12回』(NHK総合20160327PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・田中正を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は越後国の戦国大名・上杉景勝の軍師ともいうべき直江兼続の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。同じ兼続でも・・・「天地人」の兼続とは一部お茶の間受けが天と地ほど違いますな・・・まあ・・・しかし・・・大衆受けのした天地人兼続もきっと別のお茶の間ではそれなりに受けていたわけです・・・このあたりが・・・万人受けの難しさでございますねえ。とにかく・・・景勝兼続主従と真田信繁の三角関係だけでじっくり一時間・・・たまりませんねえ。景勝が信繫に萌え、兼続が景勝に萌え、信繫が兼続に萌えるという格別の薄い本展開に・・・一部お茶の間うっとりなのでございますな。一方で信繫の青春を彩る二人の女性の明暗を描きつつ・・・波乱を感じさせる第一次上田合戦の前フリ終了・・・。史実にぴったりと寄り添いながら・・・自由きままにフィクションをぶちかます・・・まさに天晴な構成でございました。一週遅れで始っているので四月にずれ込む次週はまさに・・・冬のクライマックスの模様でございます。どの程度・・・戦萌えがあるのか・・・もう楽しみで楽しみで仕方ございませんっ。とにかく・・・画伯のレビューの行数を数えなくてすむことが何よりの本年度でございまする。しかし、あくまでマイペースでお願い申しあげます。

Sanada012天正十二年(1584年)、上杉景勝は羽柴秀吉に臣従し、甥(妹の夫の子)上杉義真を人質として差し出した。秀吉はすでに大坂城の建設に着手しており、上杉家は軒猿(忍び)を上方に送り込んでいる。小牧長久手などの実戦に勝利を重ねた織田・徳川連合軍だったが・・・織田信雄が秀吉と手打ちしたために・・・徳川家康は戦う理由を失い・・・自国に撤退する。結果として羽柴秀吉の織田信長の後継者としての立場は確立し・・・家康は守勢となる。同盟者・北条氏との交渉から臣従しながらも沼田割譲に応じない真田昌幸の暗殺も失敗し・・・家康の真田氏に対する態度は合戦へと傾きだす。十一月、秀吉は従三位権大納言に叙任された。十二月、家康は次男を秀吉に人質として差し出す。元服した家康次男は羽柴秀康と名乗った。この時、家康三男の秀忠は六歳である。天正十三年(1585年)三月、秀吉は正二位内大臣に叙任された。秀吉は紀州を征伐し、四国攻めを開始する。秀吉の四国遠征により・・・家康は信州真田領の攻略を決意。真田昌幸は上杉氏との同盟を目論み、信繫を人質として差し出す。家康は平岩親吉に甲府城の築城を命じ、甲斐国に進出。七月、遠州・浜松城に戻った家康は鳥居元忠、大久保忠世、平岩親吉らに上田城攻めを命ずる。徳川軍は深志、諏訪、佐久の三方向から真田氏に圧力を加える。真田昌幸は上田城を主城とし、東の沼田城に矢沢頼綱、南の矢沢城に矢沢頼康(頼幸)、北の砥石城に真田信幸、南の丸子城に臣従した丸子氏を配置し、海津城の上杉氏の援軍を頼む。海津城には信繫が上杉勢の一員として配置された。決戦前夜である・・・。

上田城には初音が里帰りしていた。

真田昌幸が若年の頃、下人に生ませた子供であり、名人忍びに売られ暗殺者として名をはせたくのいちであった。影の噂では信玄、謙信、信長を暗殺したと言う。

昌幸は初音を自由にさせていた。

初音は昌幸の娘ではあるが・・・すでに伝説の忍びである。

どこで何をしているか・・・昌幸にさえ窺い知れない。

しかし・・・初音が自分に子としての思いを抱いていることは察している。

初音はただ・・・父親という存在を面白がって観察しているのだった。

昌幸は初音が生まれ落ちた時から一度もその姿を知らない。

ただし・・・気配を感じたことは何度かあった。

昌幸の父である真田幸隆から伝えられた忍びの印が結ばれているのがその証である。

自分の父に売られた自分の娘の存在をどこかおかしく思う昌幸だった。

「まるで・・・仏に見られているようじゃ」

その気配が絶えたのは夏も盛りの閏八月だった。

上田城の忍び部屋に・・・初音の弟にあたり真田一族の影の長男である源太郎幸村が現れた。

「いよいよ・・・徳川勢が動き始めました」

「そうか・・・人数はいかほどか・・・」

「三河、遠江、駿河のものが四千ほど、甲斐のものが二千、信濃のものが千というところでしょうか・・・」

「あわせて・・・七千か・・・真田もなめられたものよのう」

「尾張では十倍の敵を打ち破った自信の顕れでございましょう」

「ふふふ・・・山の戦の恐ろしさを味わせてやろうぞ・・・」

「すでに弟と妹が佐久の小諸城に忍んでおります」

「佐助と・・・くのいちのお嶺か・・・」

「服部半蔵の手のものが出てくると聞き・・・術くらべをしようと言うのでしょう」

「半蔵自身は来ぬか・・・」

「家康も・・・身辺警護をぬかりなくするでしょうからな・・・」

「ふふふ・・・家康を初音が仕留めてくれれば・・・苦労はいらぬのじゃがなあ・・・」

「・・・姉上が・・・」

「まあ・・・あれは・・・もう天意で動いておるようじゃ・・・」

「天意でございますか・・・」

「そうじゃ・・・我々・・・下界のものには・・・知るよしもないわ」

初音は信州にいくつかある虚空蔵山の一つに籠り・・・天知通(精神感応)を使っていた。

山の神気と一体になり・・・千里眼・多聞耳(透視・読心)を得るのである。

その耳は・・・小諸城に潜む弟妹の声を捉えている。

「お峰・・・」

「なんや・・・佐助・・・」

二人は双子の忍びとくのいちである。

真田佐助は忍び装束であるが・・・くのいちであるお峰は男装の修験者の装束を身にまとっている。

お峰は男としての名を霧隠才蔵と言った。

「先ほど到着した奴らは・・・伊賀者とみたで」

「ほほう・・・服部半蔵かや」

「いいや・・・半蔵はまだ来ぬだろう。家康の周囲に結界を張っておるにちがいない」

「なんじゃ・・・つまらぬの・・・たぶらかすにしても・・・少しは歯ごたえがないとのう」

「おそらく・・・半蔵の影の一人じゃろう・・・十人ほどの忍びを率いておる」

「上田のお城に向かって斥候(うかみ)をするつもりじゃろうな」

「この間はお前にまかせたんじゃ・・・今度はわしの番じゃ」

「そんなら・・・オレは下人たちをひきうけた」

二人は小諸城の本丸の影から忍び出た。

修行を積んだ二人は穏形(かくれみの)の術を使い・・・敵兵に満ちた城内を苦も無く通りすぎる。

半蔵の数知れぬ影武者の一人、服部三蔵は下忍を率いて小諸城の北にある渓谷に侵入していた。

樹上を飛び、地を蹴って、伊賀の忍びの陣で山中を進んでいく。

陣形の中央に位置する三蔵は殺気を感じて木陰に身をひそめた。

周囲は山蔭にあり・・・昼なお暗い森の中である。

「気」を使い・・・周囲を探る三蔵は・・・下人たちの気配がないことに驚く。

「あっははは・・・・」

「・・・」

森の中に響く笑い声に三蔵は応じず・・・木陰から・・・木陰へと身を移す。

「下忍どもは・・・迷子になっちまっただよ」

「・・・」

「もう・・・半刻も前から・・・お前のまわりを飛んでたのはおいらさ・・・」

「・・・」

「それ」

樹上を猿のような影が飛ぶ。

思わず手裏剣を構えた三蔵は撃つのを思いとどまる。

「そりゃ」

反対側の樹上を影が飛ぶ。

次には背後に影が飛ぶ。

さらに気配は前後左右に同時に現れる。

「分身の術か・・・」

「そろそろ、いくぞ・・・おりゃあ」

四方八方から手裏剣が飛来する。

三蔵は身をかわし・・・伊賀十字撃ちで手裏剣を投ずる。

しかし・・・手応えはない。

三蔵は飛んだ。

その周囲を無数の佐助が飛翔する。

「見たか・・・猿飛の術」

三蔵は忍び刀を抜き、合打ちを狙う。

しかし、刀が空を斬ると同時に三蔵は背後から首を斬られていた。

一瞬で佐助は三蔵の前方から後方に飛んだのである。

その頃・・・お峰の霧にまかれた下忍たちは・・・次々と谷底に飛び込んでいた。

「他愛無いのう」

「赤子の手をひねるようじゃった」

二人の真田忍びが・・・小諸城にじゃれあいながら戻って行く姿を覗きながら初音は笑みを浮かべた。

「小童ども・・・やるもんじゃのう・・・」

恐るべき真田の忍びが待ち受ける信州上田城に・・・憐れな徳川勢は進軍を開始する。

関連するキッドのブログ→第11話のレビュー

→天地人の天正十三年

→軍師官兵衛の天正十三年

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