傷だらけの女用心棒(綾瀬はるか)図書室の囚人(林遣都)やくそう(東出昌大)おばば(高島礼子)天ノ神ノ子(藤原竜也)はじめての人殺し(清原果耶)
・・・谷間である。
春の谷間に・・・四週連続で第一部をぶつけてくるとは・・・なんだろう・・・大人の戦略なのか。
巷の噂によれば・・・全22話の予定だと言う。
来年が全9話。再来年が全9話。
4+9+9=22・・・ということなんだな。
まあ・・・それほど残念な人はいないかもしれないが・・・寿命が尽きたらどうするつもりだ。
「ドラゴンクエスト」的RPGの世界では・・・冒険が進むと世界そのものが広がって行くのがお約束である。
ヒロインのおいたちは・・・すでに・・・北のカンバル王国にルーツがあるので・・・現在の舞台となっている南の新ヨゴ帝国と二つの国家の存在が明らかになっている。
とにかく・・・序盤なので・・・すごくせまい地域をウロウロしているわけである。
カンバル王がいるので王国なのであり、帝がいたら帝国なのであるが・・・新ヨゴが王国なのか・・・皇国なのか・・・よくわからない。
新がついているので旧ヨゴ国もあるわけである。
古い方は南にあるらしい。
表の世界と裏の世界があるのもお約束である。
光と影・・・現世と死後の世界・・・物質と精神・・・ゲートの向こう側・・・様々な呼び名があるだけである。
まあ・・・ある意味・・・ありふれた世界へ・・・ようこそ。
で、『精霊の守り人・第2回』(NHK総合20160326PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・片岡敬司を見た。不可視の存在というものを描くのは不可能なのだが・・・あえて描くわけである。それでは不可視じゃないんじゃないかと・・・子供のようなことを言う人は子供なのである。精霊という言葉は・・・精神と霊魂が合体しているわけだが・・・そこから一歩、妖精の方向に進んでいるニュアンスがある。そこからさらに進むと妖怪になり、化け物とか怪獣へと進み続けたりするわけである。それらの総称は・・・未確認生物ということになるだろう。目に見えないが確かに存在するものは・・・神・・・でもあるわけだが・・・この世には特別な人間がいて・・・私には神が見えると言い出すわけである。普通は頭がおかしなことになっているわけだが・・・ファンタジーの世界では崇められたり、畏れられたりするので注意が必要なのだ。
カンバル王国の王位簒奪の陰謀に巻き込まれ、孤児となったバルサ(横溝菜帆→清原果耶→綾瀬はるか)は亡き父の親友で最強の短槍使いと呼ばれるジグロ(吉川晃司)と諸国を放浪する。
現在、三十歳となっているバルサは・・・二十四年前、六歳の時に放浪を開始、ジグロを師として短槍術を学び、十七年前の十三歳で用心棒デビューを果たす。
すでに・・・達人の域に達しているバルサはそのへんのチンピラは赤子あつかいである。旅商人の護衛役を引き受けたジグロとバルサは盗賊の襲撃に遭遇する。殺さなければ殺される修羅場で・・・バルサは初めて敵を殺し・・・大人になるのである。
この世界では人を殺してはじめて大人になれるのだ。
すべては生き続けるためである。
誇り高き帝の狩人たち
時は流れ・・・運命の導くままに・・・新ヨゴ皇国の皇子チャグム(小林颯)の用心棒となったバルサ。
魔物に憑依されたチャグムは父である帝(藤原竜也)に浄められる存在となった。浄めという名の暗殺を阻止するために・・・チャグムの母である二ノ妃(木村文乃)は五億円でバルサを雇用し、バルサとチャグムを王宮から脱出させる。
王都・光扇京の下町で旅の支度を整えた二人は城外にでるとまもなく・・・帝の放った追手・・・狩人と呼ばれる親衛隊に襲撃される。
チャグムを逃走させ、森の中で狩人を迎え撃つバルサ。
しかし、多勢に無勢のためにバルサは深手を負ってしまう。
王都の南から東に旋回し、青弓川の浅瀬を越えようとした二人を・・・最強の狩人であるジン(松田悟志)が襲う。
「何度も言うようだが・・・剣では短槍には勝てないよ・・・長い方が勝つのさ」
「ふふふ・・・その傷では・・・実力の半分も発揮できまい・・・我らは帝の影・・・神ノ子である帝の意志は絶対なのだ・・・大人しく天罰を受けよ」
「人殺しは人殺しさ・・・へ理屈こねてんじゃねえよ」
「無礼者」
「私は神と名乗る人間など信じない」
しかし・・・大量の出血により・・・動きの鈍るバルサは窮地に立つ。
その時・・・チャグムに憑依した魔物は川の水を操作するスーパー・ナチュラル・パワーを発揮するのだった。
「なんじゃ・・・これは」
ジンは突然、巻き起こった水流パンチでノックアウトされ・・・下流に流されていくのだった。
「さあ・・・今のうちに・・・川を渡るんだ」
「でも・・・」
「生きたいと思うのなら・・・一歩でも前へ・・・進め」
しかし・・・岸を渡ったところで力尽きるバルサだった。
「しっかりせんか・・・」
「この先の・・・北の丘に・・・タンダが・・・」
「タンダ・・・それは人間なのか・・・」
だが・・・バルサは意識を失っていた。
「役に立たぬな・・・」
仕方なく、チャグムは一人で前進した。
薬草師タンダの救援
粗末な小屋に・・・立ちこめる薬草の香り。
そこにいるのは医者坊主ではなくて・・・長身の若者だった。
「そなたが・・・タンダか」
「坊やは・・・誰だい」
「坊やではないっ」
チャグムの案内で意識不明のバルサを救助する薬草師タンダ(東出昌大)・・・。
「こりゃ・・・ひどくやられたな」
「バルサは死ぬのか」
「いえ・・・バルサは昔から何度も瀕死の重傷から復活しています・・・傷を縫合してヤクーのやくそうを塗って一晩眠れば・・・元通りです」
「すごい・・・回復力であるな・・・」
「はい・・・人間離れしております」
「お前は・・・ヤクーのものか」
「いえ・・・母の母がヤクーという混血種です」
「ヤクーは未開の土民というが・・・汚いものの普通の人のようであるな」
「まあ・・・アメリカ大陸のインディアン、日本の縄文人のようなものなので」
「先住民などというこじゃれた言い方もあるが・・・新ヨゴの民は特に融和政策などとっておらぬだろう」
「まあ・・・そういうのはもう少し民主主義が発達してからですよね」
二人が雑談している間に復活するバルサだった。
「まるでトカゲなみの生命力じゃの」
「ゴキブリにも勝るとも劣らないかと」
「なんだって」
青弓川の上流
ヤクーの呪術師・トロガイ(高島礼子)はサグ(人の世)とナユグ(精霊の世)の交わる場所を探索していた。
そこへ・・・星読博士・シュガ(林遣都)がやってくる。
「大丈夫ですか」
「邪魔をするでない」
「入水自殺ですか」
「水の精霊と交感しておったのじゃ・・・」
「マジですか・・・」
「お前・・・星ノ宮の役人か・・・」
「駆け出しの星読博士で・・・シュガと申す者・・・」
「天気予報官が・・・何のようじゃ・・・」
「ひでぶ・・・ヤクーに伝わる伝承について教えていただきたい」
「すべて暗唱するのに一年はかかるぞ・・・」
「水の魔物について・・・手短に・・・」
「お主・・・なかなか可愛い顔をしておるの・・・」
シュガはトロガイにそれなりの奉仕をした!
「お主・・・ついているな」
「それなりに・・・」
「見よ」
「こ・・・これはグロではないですか」
そこには両断された子供の死骸が腐乱して横たわっていた。
「お前たち・・・南から来た野蛮人たちは知らぬだろうが・・・水の魔物とはこの世の大気を支配する精霊様のことじゃ・・・」
「水の神ですか・・・」
「そうじゃ・・・ニュンガ・ロ・イムという精霊様じゃ・・・」
「そうなんですか」
「お主らの伝承では始祖のトルガルが水の魔物を倒したなどという捏造がなされておるのじゃ」
「知らなかった・・・」
「ニュンガ・ロ・イムは恵の雨をもたらしてくれる・・・大切な存在じゃ」
「すごい・・・今、干ばつの相が出ているのと・・・関係があるのですか」
「今は・・・百年に一度のニュンガ・ロ・イムの繁殖期なのじゃ・・・」
「繁殖期・・・」
「ニュンガ・ロ・イムは・・・精霊の種を人間に宿し・・・世代交代する」
「えええええ」
「しかし・・・精霊界にも多様な生態系があってな・・・」
「他にも精霊が・・・」
「そうじゃ・・・土の精霊ラルンガは・・・ニュンガ・ロ・イムの卵が大好物なのじゃ・・・」
「すると・・・この子は・・・」
「水の精霊の種を宿し・・・土の精霊に引き裂かれて・・・中身を食われてしまったのじゃよ」
「うえっ・・・」
そこへ・・・狩人が現れた!
「ふふふ・・・妃に入れ知恵したおかげで・・・帝が癇癪をおこしたか・・・」
「え・・・」
狩人はトロガイを殺害しようとするが・・・変わり身の術に謀られ痺れ薬で行動不能となる。
「命は助けてやる・・・ちょうどいい・・・シュガとやら・・・お前が連れ帰ってやるがいい」
「ええ~・・・この人・・・重そうだなあ・・・」
語り部の少女
チャグムの身に起きた謎を探るためにタンダの案内でバルサは・・・王都の東北に位置するアイヌの民ではなくてヤクー族の集落・ヤシロ村にやってくる。
タンダはヤシロ村の村長のノウヤ(螢雪次朗)とは顔馴染みである。
「おや・・・こちらは・・・」
「僕の初恋の人です・・・今は子連れの旅芸人です」
「なんと・・・逃がした魚は大きかったべさ」
「したっけえ」
「村の語り部はまだ若いけんど・・・すぐに使用可能になるだんべ」
「語り部さんに・・・水の精霊の話・・・してもらえんか」
「ああ・・・おじきの話か・・・あれは悲しい話だあ」
村長に呼ばれて語り部のニナ(石井萌々果)がやってきた。
「それでは・・・お願いします」
「これはおばばから聞いた話だば。ある時、村の童さ、水の神様から水の神様の卵さ植えつけられったんだわ。童は卵抱いて孵化そうとしたんだどもな・・・悪い土の神様が来てよ・・・卵ごと食べられちまったんだあ・・・可哀想に童の身体さ・・・真っ二つだんだと・・・」
「グロかよっ」
「我が真っ二つになるのか・・・嫌である」
思わず走り出すチャグムである。
「忌まわしい・・・何が水の精霊じゃ・・・おかげで都を追われ・・・その上、土の精霊に食われるだと・・・ふんだりけったりではないか」
バルサはチャグムをなだめる。
「落ちつけ・・・私が命にかえてもお前を守る」
「化け物を退治した経験は?」
「それはありません」
「ダメじゃないか!」
帝と謎の水晶玉
王宮に報告に戻る「狩人」の隊長モン(神尾佑)と達人ジン・・・。
「すると・・・チャグムはまだ浄化されておらぬのか・・・」
帝は謎の水晶玉をモンに突きつける。
「お許しを・・・」
「女用心棒一人始末できぬのか」
「僭越ながら・・・その者に負けたわけではございません」
「なんじゃと・・・」
「その・・・チャグム様にとりついた魔物が・・・」
「黙れ・・・天罰を下すぞ・・・」
「・・・」
「良いか・・・魔物などはおらぬ・・・チャグムをただ浄化せよと申したのだ」
「面目ございません・・・」
そこへ・・・シュガが到着する。
「ご無礼つかまつります」
聖導師(平幹二朗)は驚く。
「お前はまだ帝に拝する身分ではないぞ」
「水の魔物について・・・急ぎご報告がございます」
シュガはヤクーの伝承について報告するのだった。
帝は無言で謎の水晶玉をシュガにつきだした。
「ご容赦くださいませ・・・」と弟子の非礼を詫びる聖導師・・・。
「この始末はそちにまかせよう」
「ありがたき幸せ」
「狩人よ・・・」
「はっ・・・」
「ヤクーの村に斥候(うかみ)を放て」
「はっ・・・」
「もし・・・あのものがおれば・・・村ごと浄化せよ」
「仰せのままに・・・」
「聖導師・・・万が一のためじゃ・・・二ノ妃は・・・一ノ宮へ幽閉せよ」
「御意」
玉座から下がった聖導師はシュガに告げる。
「勇み足にもほどがある」
「しかし・・・事は国家の一大事です」
「よいか・・・地下の秘密の図書館に・・・初代聖導師の禁断の書がある」
「闇の記録ですか」
「その解読を命じる」
「かしこまりました」
しかし・・・シュガは禁断の文書保管庫に幽閉されてしまうのだった。
ガカイ(吹越満)はシュガを嘲笑する。
「だから・・・出過ぎた真似はよせといったのだ」
「せめて・・・水と食糧はもらえるんですよね」
「お前が・・・いい子にしてたらな」
「どういうことです」
「恐ろしい秘密を解読してしまったら・・・私にだけ・・・こっそり教えろ」
「ひでぶ」
忍びよる二つの影
ヤシロ村に旅のものに扮したジンがやってくる。
「お嬢ちゃん・・・槍をもった別嬪さんを見なかったか」
「おめえ様は・・・どちらさんだべか」
「あちきは・・・別嬪さんの許嫁でやんすよ」
「あんれまあ・・・」
一方・・・タンダの小屋にはトロガイがやってきた。
「お師匠様・・・」
タンダはトロガイの弟子だった。
「この婆さんも・・・薬草師か・・・」とチャグム。
「薬草師は・・・下級ジョブです・・・ジョブチェンジして呪術師になるのです」とタンダ。
「いいから・・・早く、ご馳走しな」とトロガイ。
「空腹ですか」
「そうでなきゃ・・・弟子のところになんか顔を出すもんか」
「トロガイ様・・・」
「なんだい・・・バルサ・・・」
「精霊を封ずる方法はあるのでしょうか」
「私がなんでも知っていると思ったら大間違いだよ」
「河童ですかっ」
「いいかい・・・よくお聞き・・・二つの影が忍び寄ってるよ・・・一つは帝の影・・・もう一つは・・・」
殺気を感じたバルサは短槍を構える。
狩人のジンは必殺剣で壁を打ち砕く。
バルサは槍先を突き出した。
「何度言ったらわかるんだい・・・剣では短槍に勝てぬと」
「ほざけ・・・女郎」
「あたしゃ・・・遊女じゃないよ」
バルサとジンが激闘する最中・・・。
二人は異様な気を感じて距離をとる。
「面妖な」とジン。
「タンダ・・・チャグムを・・・」とバルサ。
「む・・・」
タンダは無我夢中でチャグムを抱えて飛びのく。
目に見えぬ何かが室内に嵐を巻き起こす。
トロガイは鍋の汁をおかわりする。
バルサは見えない敵に短槍をくりだす。
幽かな手応え・・・。
「何かいるよ」
「馬鹿な・・・」
ジンは闇雲に剣を振るう。
その手が砂塵に飲まれる。
「うおおおお」
「これが・・・ラルンガ・・・」
一同は唖然とした。
武人にとって見えない敵ほど恐ろしいものはないのである。
「貞子vs伽椰子ってなんだよっ」
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