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2016年4月30日 (土)

ちぐはぐですがなにか(岡田将生)童貞ですがなにか(松坂桃李)浪人ですがなにか(柳楽優弥)クズですがなにか(太賀)

21世紀の「ふぞろいの林檎たち」であるこの作品は苦い危うさに満ちている。

「あまちゃん」で都会の女子高校生が田舎娘に擬装することで再生する物語を描いたクドカンはいつものタッチで「ごめんね青春!」を描いた後で・・・漂流しはじめたようである。

圧倒的な黒い影と・・・主人公の不在。

勧善懲悪の世界観しか受容できなくなってしまったお茶の間への不信感が・・・じわじわと滲みでる。

「あまちゃん」はいつの間にか消えて世界から忘れ去られようとしている。

アイドルの再生はクドカンの必殺技の一つであるが・・・自分で作り上げてしまった偶像が落ちて行くのを食い止めるのは至難の業だ。

世界は芸術のためではなく・・・ビジネスで成立しているからである。

クドカンの中に澱んだ憤りが出口を求めて彷徨っているようだ。

あくまで・・・妄想です。

で、『ゆとりですがなにか・第2回』(日本テレビ201604242230~)脚本・宮藤官九郎、演出・水田伸生を見た。「ゆとり」という世代はもちろん虚像である。いつの世にも既得権益を持つものたちは後から来るものを疎外しようとする。そこに摩擦は常に生じる。平和な時代が続き、停滞する社会ではその圧力は強まる一方である。素晴らしいインターネットが提供する圧力低下機能がいつまで続くか不明である。抜かれたガスは悪臭を漂わせながら社会の閉塞感をますます強めていくだろう。

「死」はすぐそこにある。

大地が揺らぎ、一瞬で数十人を殺したとしても・・・この国では毎年、何十万もの人々が終焉を迎えているのである。

それが自然でどうということはないのである。

それでも人々は・・・平穏な日々が明日も続くとは限らないということから必死に目をそむけるものだ。

自分が叱責した部下が・・・社会性の欠如した怪物とは知らず・・・自責の念にかられる坂間正和(岡田将生)は要領の悪いグズな男である。

会社に素晴らしいインターネットの世界で辞意を表明した山岸ひろむ(太賀)が自殺することを懸念して奔走する正和は・・・。

死体を確認することに尻ごみするという根性のなさで・・・赤の他人の死体をひろむだと思いこむ。

そこで自殺した男の母親である明子(真野響子)と知りあうのだった。

息子を失った明子は激しく動揺し・・・泣き明かすが・・・その態度はどこか病的だった。

「感情的になってはだめよ」

赤の他人である正和に息子の遺品である「忍耐」の文字の刻まれたアクセサリーを渡すのだった。

明子のそういう態度が・・・息子を死に追いやった可能性は高い。

一方、教育実習生の佐倉悦子(吉岡里帆)から好意を告白された小学校教師・山路一豊(松坂桃李)は・・・その気になるが・・・悦子は校長に不適切な関係を詰問されると・・・一豊に言い寄られた風に伝えるのだった。

恋愛経験が皆無の一豊は対応に苦慮するのである。

相談された「レンタルおじさん」(吉田鋼太郎)と正和は・・・一豊が童貞であることに驚愕し・・・なんとなく蔑むのであった。

「そこかよ」と不満に思う一豊。

「そ」と聞いただけで「草食系」を連想するほど・・・自分に女性経験がないことに敏感な一豊だった。

なにしろ・・・あの正和にさえ・・・エリアマネージャーとして居酒屋チェーンの杉並・世田谷地区を担当している同期の出世頭である宮下茜(安藤サクラ)という交際相手がいるのだった。

一豊はゆとり差別の前に性体験格差社会の軋轢にさらされる。

そして・・・実はゆとりある暮らしをしているレンタルおじさんの息子、道上まりぶ(柳楽優弥)は案の定、妻帯者で子持ちだった。

まりぶは東大受験に失敗して十一浪中だったのだ。

「なぜ・・・そこまで・・・」と問う正和。

「ほどほどの大学を出て・・・ほどほどの会社に就職して何かいいことありましたか・・・」と応じるまりぶ。

とにかく・・・なんとなく・・・お先真っ暗な感じの群像劇なのだ。

正和の妹・ゆとり(島崎遥香)は就職活動に行き詰まりを感じ、現実逃避を図る。

ついにやり場のない怒りを爆発させる正和。

「社会に出てもいいことなんてひとつもないよ・・・でも・・・そのままじゃ口惜しいから・・・元をとるまでやり続けるしかないんだよ・・・お前もがんばるしかないんだ」

温厚な正和の逆上に覚醒するゆとり・・・。

家族たちも爽快な気分になるのだった。

兄の宗貴(高橋洋)は雑巾味のビールの在庫を抱えた鬱屈を一瞬忘れることができたらしい。

だめだな・・・この一家はダメだ・・・遠からず滅亡する。

そういう一部お茶の間の危機感が高まる中・・・正和はひろむにパワーハラスメントの容疑で訴えられるのだった。

「まず・・・土下座しろよ」と凄むひろむに・・・腫れものに障るように接する上司の早川道郎(手塚とおる)や宮下茜・・・。

孤立した正和は立ちすくむ・・・。

ドス黒いな・・・。

主題歌は「あんたの正義は一体なんだ?」と歌うのだが・・・そもそもお前たちは何様なのだと思わずにはいられない今日この頃である。

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2016年4月29日 (金)

男前はつらいよ(竹野内豊)ゆとり弁護士ですがなにか(賀来賢人)まむしドリンクは効きますか(岡本あずさ)

さて・・・修羅場である。

まず、朝の四時に母親が救急車を呼んで入院した。

ま・・・だからといって・・・入院手続きがすめば「することない」のである。

「痛い」と言って騒いだのだが、病院で看護師さんに鎮痛の座薬を入れてもらったらもう「わからない」のである。

近所の病院なので帰宅して親子丼を食べる。

早朝からかよっ。

さあ・・・もう・・・スケジュールは破綻している。

後は・・・いつ・・・眠くなっちゃうかだなあ。

で、『グッドパートナー 無敵の弁護士・第2回』(テレビ朝日20160428PM9~)脚本・福田靖、演出・本橋圭太を見た。人間が二人いれば社会は成立すると言う。まあ、一人でも成立する場合もあるがな。社会の最小単位である二人の人間関係を描くドラマである。主人公の咲坂健人弁護士(竹野内豊)は様々な場面で他人と一対一の対決をする。家庭では一人娘のみずき(松風理咲)の父親である。

小学生であるみずき(松風理咲)の授業参観で・・・去年、離婚した元妻の夏目佳恵弁護士(松雪泰子)と顔を合わせる。佳恵は神宮寺法律事務所の同僚でもある。

咲坂弁護士は娘と父としてグッドパートナーでありたいと思う。

咲坂弁護士は元夫として元妻とグッドパートナーであろうと考える。

そして・・・事務所の新人弁護士・熱海(賀来賢人)には教育係としてグッドパートナーであるべきだ。

しかし・・・そんなにグッドではいられないのだ。

疲れちゃうからである。

だから・・・咲坂弁護士は自分の信念は貫き通したいと考える。

自分が自分自身にとってグッドパートナーであること。

それこそが人生の基本なのだ。

今回、咲坂弁護士が担当する案件は・・・神宮寺法律事務所の顧問先「シンヨーメディカル」からのもの。三年契約の社員・小西勝也(野間口徹)を一年で解雇したために不当解雇で訴えられたので対処してほしいとのことだった。

「でも・・・労働契約法に反するので不当解雇ですよね」

熱海は軽い口調で与えられた仕事を根本から否定する。

「それで済んだら弁護士いらないだろう」と説教する咲坂だった。

小西は代理人として弁護士の宮前克美(モロ師岡)を立てていた。

「年俸1200万円ですから・・・解雇に応じる場合、残り二年分の2400万円をお支払いいただくことになります」と「労働者の味方」風の事務作業服で主張する宮前弁護士。

「しかし・・・営業担当社員だった・・・小西さんは一年間の一件の契約もとれていない・・・それなのに接待費としておよそ五百万円を使っています・・・これは常識的に考えて良好な勤務状態とは言えない」

「そういう人材を雇用した責任は企業にあります」

「・・・」

そこへ・・・佳恵と助手の赤星元弁護士(山崎育三郎)がやってくる。

「どうしてここへ・・・」と咲坂。

「相手方の弁護士と待ち合わせよ」

「夏目先生ですか・・・」と宮前弁護士は作業着を脱ぎ、背広を羽織る。

「え」

「私が・・・唐松物産の代理人の宮前です」

「ええっ」

佳恵の案件は顧問先の「チドリ電工」と「唐松物産」との合併交渉だった。

そもそも、唐松物産からの申し出で進んだ合併話が頓挫し、チドリ電工は経営危機に陥ってしまった。

事態打開のために佳恵は動いている。

合併話を白紙撤回しようとする唐松物産の代理人が宮前弁護士だったのだ。

宮前は「労働者の味方」と「企業の味方」という二つの顔を持つ男なのである。

「とにかく・・・合併しても・・・唐松物産にメリットはないという結論です」

「しかし・・・チドリ電工は倒産の危機で・・・このままでは二千人の従業員が路頭に迷います」

「それは・・・御社の自己責任でしょう」

「うわあ・・・なんだか・・・かっこいい」と敵にうっとりする熱海だった。

神宮寺法律事務所の所長・神宮寺一彦(國村隼)は・・・。

「同じ相手に二つの案件で負けたりしたら・・・信用を失います」と咲坂と佳恵に圧力をかけるのだった。

もう一人のパートナー(経営権を持つ)弁護士である猫田純一(杉本哲太)はベンチャー企業「ヒューガクラウド」の上場案件に携わり、CEOの日向俊矢(高橋光臣)と妻のくのいちじゃなかった美紀(青山倫子)と会食中である。

「猫田さんはご結婚は?」

「私は独身貴族です」

しかし・・・婚活も続けている猫田・・・しかし、今回の相手は釣り師だった・・・。

それはともかく・・・咲坂は代理人抜きで交渉相手の小西と面会するという特攻作戦を展開。

「弁護士を通してください」

「人間としてお話したい・・・あなたは・・・どうして真面目に働かないんですか」

「失礼な男だな・・・」

「前の会社では・・・あなたは営業成績トップだとおっしゃってましたが・・・実状は違うようですね」

「・・・私は・・・面接が得意なんですよ・・・いずれにしろ・・・法律は私の味方です」

「つまり・・・あなたはせっかくの営業力を詐欺師として使っているわけですね」

「せ、先生・・・それは」とゆとりでもわかる咲坂の暴言に・・・あせる熱海だった。

「言いすぎじゃないですか」

「だって・・・ああいう奴・・・嫌いなんだもん」

「こ・・・子供ですか」

咲坂は・・・小西の接待費名目の領収書の裏どりを開始する。

接待相手への確認のために・・・足が棒になる熱海だった。

「先生・・・男前なのに・・・作戦がいつも姑息ですよね」

「男前だからって・・・姑息でなぜ悪い・・・ブサイクが華麗なことだってあるだろう」

「いや・・・ブサイクは存在がすでに華麗ではないですから・・・」

仕事が難航する父親を案じた娘は面会日に母親に告げる。

「ママはパパを心配したりしないのよね・・・もう」

仕方なく、佳恵は咲坂にまむしドリンクを差しいれるのだった。

「ママ・・・」

「ママじゃないっ」

みずきはまむしドリンクの結晶なのか・・・。

ついに・・・不正な飲食費を発見する熱海・・・。

しかも・・・接待相手は・・・宮前弁護士だった。

「何かの間違いだろう」

「先生は小西さんの営業する医療器具の購入予定がおありですか」

「いや・・・」

「では・・・スケジュールをご確認いただいた方が」

小西と面会したスケジュールを確認して蒼ざめる宮前弁護士。

「一歩間違えたら・・・横領の共犯ですよ」

「・・・」

一方、佳恵は株式取得による出資者をセッティングし、合併話をまとめるのだった。

神宮寺法律事務所の連勝である。

だが・・・咲坂と佳恵がよりをもどすことはなかった。

「あの二人にも・・・上手くいっていた時があったのか・・・」と熱海。

「そりゃ・・・あったんでしょう・・・12年も夫婦だったんだから」とヨシヒコ新シリーズの出演に期待が高まるヨシヒコの妹でもケータイ刑事でもない美人パラリーガル・茂木さとみ(岡本あずさ)は淡々と応じる。

そして・・・猫田純一の抱える案件は暗礁に乗り上げたらしい・・・つづくである。

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Gpoo2ごっこガーデン。スーパーまむしドリンクで元気が出るセット。

まこお仕事ドラマでありながら・・・家庭の事情を持ちこみまくる元夫妻。本当は仲いいんでしゅよね~。離婚の原因も超ささいなことだと思うのでしゅ~。かわいいみずきちゃんのためには最後はグッドパートナーに戻るとバッチクーでしゅ~。子はかすがいと申しまして~てなことに~

※ココログでコピペが出来ない障害が発生していたようです・・・TB関係者の皆様、御容赦くださいませ。現在は復旧している模様です。

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2016年4月28日 (木)

恋愛なんて恥ずかしい(大野智)社長と新入社員の色恋沙汰は気持ち悪い(波瑠)恥ずかしくて気持ち悪いことを教えてやろう(北村一輝)

湯浅五助は関ヶ原の合戦(1600年)で敗れた西軍の武将・大谷吉継の家臣である。

本年度の大河ドラマでは大谷吉継を片岡愛之助が演じている。

吉継は陣中で自害し、遺言で近習の五助に「敵にわが首を渡すな」と命ずる。

五助は戦場から離脱し、主人の首を土中に葬る。

しかし、そこに東軍の武将・藤堂高虎の甥の藤堂仁右衛門がやってくる。

「それは・・・主の首か」

「それがしは大谷刑部少輔の家臣、湯浅五助と申す者・・・わが首を授ける代わりにこのことは他言無用と願いたい」

「承った」

湯浅五助の首実検の席で東軍の総大将である徳川家康は仁右衛門を問いつめる。

「湯浅五助と言えば大谷刑部の配下として名の知れたもの・・・主の首の行方を確かめたか」

「そのことについては聞き及びましたが申すことできませぬ」

「その首討たれてもか」

「御意のままに」

事情を察した家康は仁右衛門を赦し、報奨を与えたという。

五助の忠義、仁右衛門の侠気、家康の威徳を讃えた美談である。

で、『世界一難しい恋・第3回』(日本テレビ20160427PM10~)脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。拾った仔犬の名前を一緒に考えてほしいと社長室企画戦略部の新入社員・柴山美咲(波瑠)に頼んだ「鮫島ホテルズ」の社長・鮫島零治(大野智)だったが・・・仔犬の飼い主がみつかって命名権は失われるのだった。

「残念です・・・割と気に入った名前だったのに・・・」

「なんて名前だ」

「五助です」

「ごすけ・・・」

「戦国時代から安土桃山時代の武将で・・・主人に忠義を尽くした人の名前です」

「歴史に詳しいのか」

「社長に忠実な犬に育つようにと願いをこめました・・・」

「・・・そうか」

「彼女」が自分のために考えてくれた名前・・・それを無駄にしたくはない零治だった。

「彼女のためにも犬を飼おうと思う」

「よろしいですね」

お抱え運転手の石神剋則(杉本哲太)は同意する。

しかし、秘書の村沖舞子(小池栄子)は・・・。

「柴山美咲はまだ社長の彼女じゃありませんし、犬も飼いません」

犬の世話をするのが自分だと察知した有能な秘書である。

秘書と運転手は手のかかる子供を持った両親のような存在なのだ。

馬鹿な子ほどかわいいと言うが・・・多くの子供は馬鹿であり、多くの親は親馬鹿なのである。

私生活は馬鹿丸出しの零治だが・・・仕事はそれなりにできるらしい。

白浜部長(丸山智己)の提出した書類を裁断し、没企画をシュレッダーにかける零治。

その手が止まる。

「鮫島ホテルズ京都のエントランス及びロビーの全面的改装案」

提出者が「彼女」だった。

「これは・・・一考の余地があるな」

「それではただちに準備のためのプロジェクトチームを・・・」

「少数精鋭でいい・・・俺と君とあと一人・・・」

「提案者の柴山くんでは・・・いかがでしょうか」

「君がいいというならそれでいい」

「彼女」との接点が増える可能性に天にも昇る気持ちの零治。

完全なる公私混同だが・・・怪物くんのやることだから・・・仕方ない気持ちになる一部お茶の間だった。

なにしろ・・・零治はホテルの経営力に特化した小学生のようなものなのである。

趣味のキノコの写真「タモギタケ」が雑誌「キノコ便り」の読者投稿欄で佳作として掲載され・・・勝った気分になる零治だった。

一方、秘書の舞子は五年連続世界一の「ステイゴールドホテル」の和田社長(北村一輝)から・・・柴山美咲を引きぬく話をもちかけられ困惑する。

「彼女とはパリで食事をしたこともある」

「その話は無理だと思います」

「なぜ・・・鮫島くんは社員にあまり固執しないだろう・・・まさか」

「・・・」

「へえ・・・彼は彼女みたいなのがタイプなのか・・・」

「私は何も申し上げておりません・・・」

「だが・・・彼女は彼には荷が重いんじゃないのかな・・・」

意味深な発言をする和田社長にやや翻弄される秘書の舞子だった。

とにかく・・・野獣同志の対峙である。

一方でキノコの写真で彼女を攻略しようとする小動物のような零治に不安を隠せない舞子。

「そういう段階では・・・」

「ギャップ萌えだよ」

「はあ・・・」

「この写真を見たら・・・彼女は聞いてくるぞ・・・キノコがお好きなんですかって」

「・・・」

「そしたら・・・俺はこう答える・・・好きさ・・・君と同じくらいになって」

「キノコが好きなのかどうか・・・聞かれなかったら」

「自分から言うさ・・・俺はキノコが大好きなんだ・・・君のこともだって」

「・・・言えるんですか」

「そんなことも言えなくて・・・社長が務まるか」

だが・・・言えない零治だった。

それどころか・・・雑談で・・・美咲が和田社長とパリで食事をしたことを知り・・・激しく動揺する。

自宅のベッドで不貞寝する零治。

「俺は彼女に裏切られた」

「彼女じゃありません」と秘書は言い聞かせる。

「あいつのことなんか嫌いだ・・・明日、クビにしてやる」

「食事をしただけじゃありませんか」

「パリで食事をしたらキスくらいする」

「男は狼になりますね」と運転手。

「キスしたかどうか・・・確かめたらいかがです」

「それはちょっと・・・」

「もうキライならできるはずです・・・根掘り葉掘り聞き出して・・・それから解雇なさればよろしいかと」

「・・・」

社長室に美咲を呼び出す零治。

「和田社長と食事をしたとか・・・」

「ヘッドハンティングされました」

「どうして・・・世界一のホテルに行かなかったんだ」

「世界一のホテルに就職するより、就職したホテルを世界一にした方が自分に向いていると思ったからです」

「・・・」

「それに・・・鮫島ホテルズには何度も宿泊して・・・自分にとって理想のホテルだと感じました」

「初耳だな」

「面接試験の時にも申し上げましたが・・・」

「君の気持ちはよくわかった・・・これからも精進してくれたまえ」

地獄から天国へ生まれ変わった気分の零治である。

「もう・・・告白する必要はない・・・」

「何故です・・・」と秘書。

「彼女は鮫島ホテルズを愛している・・・つまり・・・俺を愛してるのも同じだ」

「それは飛躍のし過ぎというものです」

「何故だ・・・ナウシカやラピュタが好きなら宮崎監督が好きだろう」

「そうですね」と運転手。

「俺が・・・仕事をこれまで以上にこなせば・・・彼女は我慢できなくなって・・・向こうの方から告白してくるだろう」

「なぜ・・・社長から告白してはいけないのですか」

「そんなの・・・恥ずかしいじゃないか」

新しいホテルの買収計画を社長一人で行うと宣言する零治。

買収候補の選考に一人で挑むが・・・当然のこととして美咲はノーリアクションである。

零治は藁にも縋る思いで・・・社長室で唯一既婚者の音無部長代理(三宅弘城)を召喚するのだった。

「今度のホテルではブライダル事業にも力を入れたいと考えている・・・君の率直な意見を聞きたい」

「しかし・・・私は奥手で・・・妻にも告白できなかった男ですし・・・参考になるかどうか」

「告白しないのになぜ、結婚できた」

「妻には連れ子がいまして・・・とてもかわいい子で・・・その子のことは素直に褒めることができたんです・・・妻は・・・それに感激して・・・私と家庭を作りたいと・・・」

「なるほど・・・」

買収先として決定したホテルの視察に美咲を同行させる零治。

後部座席に美咲と並び遠足気分でウキウキする零治である。

「しりとりでもするか」

一瞬の沈黙を破り、美咲が応じる。

社長の茶目っ気に付き合ったのだろう。

「なりたくうこう」

「う・・・うさぎ」と秘書。

「ぎ・・・ギンガムチェック」と運転手。

「く・・・クラシック音楽」

「く・・・・クビアカトラカミキリ」

零治がクビの代わりに告げた虫の名前を覚えていた彼女の愛に心躍る零治だった。

聖なる小悪魔的魅力を発露する美咲・・・さすがだな。

すました顔で正座しているだけで・・・男を誘惑する技量だ。

現地にて・・・。

「ここにはフランス料理のレストランを置く」

「展望も素晴らしいですし・・・よろしいですね」

「名前も決めてある・・・ゴスケだ」

「え」

「君の可愛い子供のような名前だからな」

「・・・ありがとうございます」

社長の真意を量りかねる美咲だった。

新ホテル発足に向けて社長室で内輪のパーティーが催される。

その席で・・・美咲と同期の新入社員だが・・・新卒の堀まひろ(清水富美加)は大胆にも社長の恋愛事情に斬り込む。

「社長は結婚なさらないんですか」

「・・・そろそろとは思っている」

「私の友人で・・・入社一ヶ月で社長にプロポーズされた子がいるんですよ」

「そうなのか」

「美咲さんは・・・どう思いますか・・・そういうの?」

「私は・・・そういうのは・・・ちょっと気持ち悪いですね・・・」

ショックで・・・社長室に退避する零治だった。

「社長・・・」

「もう・・・だめだ・・・」

翌日から出張する社長だった。

まひろは美咲の真意を問う。

「私は・・・うらやましいなと思ったのに・・・」

「でも・・・せっかく就職して・・・これから働こうと思っていたのに寿退社なんて・・・なんだか残念でしょう」

「私は・・・それでも構わないと思ったけど・・・美咲さんは違うんですね」

「私はいつか・・・自分のホテルを作りたいの・・・それが子供の頃からの変わらない夢なので」

「びっくりぽんです」

山奥で・・・一人・・・キャンプをして・・・キノコ観察に逃避する零治。

思い倦ねた秘書は・・・和田社長に救援を求めるのだった。

零治のテントを夜襲する和田・・・。

「大事な話がある」

「・・・」

「新入社員に惚れるなんて器の小さな男に出来ることではない」

「でも・・・気持ち悪いって・・・」

「そういう女ほど・・・落しやすいんだよ」

「ええっ」

「そういう女は・・・そういう可能性を自分の中に見出して、予防線を張っているんだ」

「そうなんですか・・・」

「私を誰だと思っている・・・私は入社一週間の社員を口説き落したことがあるんだよ」

「えええっ」

「恋愛とはいつも二手、三手先を考えて行うものだ・・・」

「師匠と呼んでもいいですか・・・」

「勝利の栄光を君に・・・」

零治は恋愛軍師を手にいれた!

まあ・・・和田は美咲を落せなかった男なんですけどね。

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2016年4月27日 (水)

反復こそ修練(黒木華)溺れるものと浮き輪(荒川良々)退屈な日々に温泉(最上もが)

そこにいけばどんな願いも叶うという。

憧れの彼方の涅槃の国。

エンターティメントの目指すひとつの理想郷。

この世の憂さの捨て所。

そういうものを想起させるこのドラマ。

マンガ雑誌編集部という名のディズニーランドである。

甘いねえ。

甘いよう。

一歩足を踏み入れたら・・・現実が虚しくなってしまうのだった。

で、『重版出来!・第3回』(TBSテレビ20160426PM10~)原作・松田奈緒子、脚本・野木亜紀子、演出・福田亮介を見た。苦しみと喜びは裏表である。基本的にトレーニングは苦しいものだ。しかし、トレーニングをなんらかの事情で禁じられたら・・・トレーニングができない苦しみに襲われる。トレーニングに喜びがあったことが・・・トレーニングをしないことで分かるのである。苦行にも似た仕事から解放された時、離職者が味わう喪失感の源泉である。人は苦痛から逃れたいと思いつつ、苦痛に慣れ、やがて苦痛に恋焦れるようになるのだった。働かないものはその喜びを知らないのである。

週刊連載を抱える漫画家の苦行。

一週間に一度完成原稿の締め切りがあり、その直後から次週への準備が始る。そのサイクルは人気がある限り、死ぬまで続くのだ・・・そうでもないだろう。

週刊コミック誌「バイブス」編集部の新人編集者・黒沢心(黒木華)は読者アンケートの人気投票1位である看板作品「ツノひめさま/高畑一寸」の担当となる。

大丈夫か・・・とお茶の間は危惧するのだが・・・前担当者の五百旗頭(オダギリジョー)と編集長の和田(松重豊)が生温かく見守るので安心なのである。

最高のものを賞味しなければ・・・次のステップには進めないという社員育成プログラムなんだな。

もちろん・・・作者の高畑一寸(滝藤賢一)はもはやあまり手がかからない実力者なのであった。

ただ・・・一点を除いては・・・。

それは・・・プライベートで・・・交際中の元読者モデルの梨音(最上もが)に何かあると・・・作品に乱れが生じるという・・・芸術家にありがちなポイントだった。

そして・・・多忙な高畑が・・・梨音を退屈させ・・・その結果、梨音が消息不明となり・・・高畑の原稿に問題が発生するのである。

安易な展開としては編集者が作者のプライベートに介入して愛人の居所を捜索するわけだが・・・このドラマでは編集者は編集者としての地道な仕事を継続し、コツコツと正攻法で迫るのである。

まあ・・・実際は金の卵を生むガチョウの生活は軟禁状態に近いわけだが・・・おいっ。

担当編集者として作品に添えられる「煽りの惹句」を百本書いて、指導担当の五百旗頭に全部ボツにされるという修行中の小熊こと心。

その頃・・・つまんない病を発した梨音は家出して、高畑半狂乱が発生していたのである。

締め切りの遅れはなんとか取り戻せたが・・・次回のネーム(下書き)の出来を不安に感じる上司たち。

なんとか・・・「煽り」を「ぬっくぬっく」で乗り切った心だったが・・・高畑は「ぬけなくなっていたのだった」・・・おいおい、下ネタじゃないか。

一方、人気投票で・・・連続最下位記録を更新し、連載打ち切りが決まった「黄昏ボンベイ」の作者・成田メロンヌ(要潤)の担当編集者である壬生(荒川良々)は小学生の頃の実体験である「プールで溺れる悪夢」にうなされていた。

和田編集長に「メロンヌをつぶすなよ」と励まされても・・・素直になれないのである。

「じゃ・・・どうして連載打ち切るんだ」と思わずにはいられない。

キャバクラ接待も不調に終わる。

「まさかのムンバイ、ふりむけばガンジス」という説明しなければ誰にもわからないギャグもまったく浸透していなかった。

インドのボンベイが・・・正式名称ムンバイになったり・・・ボンベイからはガンジス川なんて見えないという大前提(フリ)が分からなければ・・・オチないのである。

それはアトランティスは大西洋、ムーは太平洋的な話だからな。

たとえがわからんわ。

オードリー・ヘップバーンが本当はオードリー・ヘボンだとしても・・・ヘップバーンでいいじゃないかという話である。

ますます、わからない。

ビルマの竪琴がミャンマーの竪琴に・・・。

もう、いいぞ。

壬生は「黄昏ボンベイ」を打ち切りに導いた読者アンケートの人気投票を憎悪するが・・・新作の話に応じず引退を匂わすメロンヌの態度にも焦燥する。

作者と読者の板挟みになってしまった編集者である。

一方、失意の高畑の「次回のネーム」を見た心は違和感を感じる。

「話が面白くない・・・」

率直に感想を高畑にぶつけた心だったが・・・。

「素人に何がわかる・・・ここはダレ場なんだよ・・・動に行く前の静だ・・・長期連載にはこういう流れも必要なんだよ」

しかし・・・五百旗頭は心に教育的指導を与えるのだった。

「最初にどう思ったかだ・・・私たちは誰に給料もらっていると思う?」

「会社です」

「読者様にだよ」

「・・・」

「読者を喜ばせるために・・・作者を甘やかすな」

「はい」

「いいか・・・たとえば・・・煽りは・・・読者へのサービスであると同時に作者へのメッセージだ」

読者アンケート担当だった心は・・・読者の「心」を作者につたえる編集者の役割を会得する。

心は読者を代表して「ぬっくぬく」ではない言葉を捜すのだった。

一方で・・・実家の母親に呼び出され・・・私物の整理を命じられた壬生は・・・。

子供のころに愛読した「少年サンデー」に残る・・・「出さなかった読者アンケート」を発掘する。

「切手代もバカにならないからな・・・」

その中に幼い自分からのメッセージを感じる壬生。

(子供だからといって子供だましが通じると思うなよ)

ああ・・・と思う壬生。

「読者って・・・結局・・・みんな・・・俺自身だったんだなあ・・・」

二人三脚と一体化は違う。

円滑な人間関係構築のためにはあくまで適度な距離感が大切なのだ。

壬生は編集部で読者アンケートを見直すのだった。

一方・・・高畑に特攻をかけた心。

「やはり・・・ネームを手直ししてください」

「しない」

「でも・・・あのままでは面白くありません」

「素人に何がわかると何度言えば」

「わかります・・・私はついこの間まで・・・先生の作品の愛読者でしたから」

「・・・」

怒って心を追いかえした高畑の目に心の届けた次号の印刷見本が飛びこむ。

そこに書かれた「煽り」は・・・。

弱い・・・弱すぎる・・・どこかに強い男はおらぬのか

「なんだとっ」

奮起した高畑が机に向かった瞬間・・・。

温泉から梨音が帰還するのだった。

すかさず、一発ぬくぬくなところで抜いた高畑は・・・おいっ。

神気充実して・・・傑作を描くのである。

清々しい話だ。

一方・・・壬生はメロンヌにアタック。

「やめないでください」

「でも・・・」

壬生は一枚の読者アンケートを見せる。

(先生の漫画、最高です)

「この読者を泣かせるわけにはいきません」

「読者なんか・・・みんな敵だと思っていた」

「僕は・・・バカだと思ってました・・・でもバカは僕だった」

「・・・」

「この読者は味方です・・・味方をもっと増やしましょう・・・そのためには前に進むしかありません」

メロンヌは歓喜の涙を流し微笑んだ。

こうして・・・二人の漫画家は窮地を脱し、編集者は一つの成長を遂げたのである。

「給料は読者がくれるですよね」

「勝手に使うな・・・著作権は俺にある」

「利用許諾申請を出せばいいですか」

「どこに出すんだよ」

心には梨音のような「女の武器」はないが・・・鍛えられた心身があるのだった。

漫画家の体力では心の開いた扉を閉ざすことはできないのである。

スポコンなんだな・・・。

「いいぞ・・・心・・・目指せ・・・打倒エンペラーだ」

「いつか・・・ジャンプも」

「それは・・・無理だな」

「え」

「そんなサンデーとかマガジンでいいんですか」

「うちは・・・バイブスだから・・・」

「キング的な・・・位置ですか」

「おいっ・・・いつの時代だよ・・・せめてチャンピオンと」

次回は・・・ついに新人殺しの噂の高い安井(安田顕)と「毒と言う名の夢」を抱えた新人漫画家たちの登場らしい・・・。

まあ・・・毒は薬の一種だからな。

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2016年4月26日 (火)

思い出数えて(藤原さくら)優しさに包まれたなら(福山雅治)俺の涙で月曇る(菅田将暉)

凄いな・・・泣くだけで人を泣かせるパワー・・・。

まあ・・・泣かない奴もいるだろうけどな。

そんな奴は人間じゃねえ・・・。

気がたってるな・・・。

アレが近いんだよお・・・睡眠不足なんだよお・・・。

最初の時から比べると時がたったからな・・・かなりポンコツに・・・。

ライブステージで・・・もっと聞きたいと思う人と・・・チャンネル変える人が出ると言う困ったドラマだよな。

歌が好きでドラマが好きという集合の話になるからな・・・。

歌な好きな人もドラマが好きな人もという集合の話に持っていけるかどうかだよな。

結構、難しいよねえ。

若者の成功物語と年の差カップルの融合の難しさもあるよな。

まあ・・・虎穴に入らずんば虎児を得ず・・・なんだけどな。

で、『ラヴソング・第3回』(フジテレビ20160425PM9~)脚本・倉光泰子、演出・西谷弘を見た。誰かのために何かをすることは楽しいことだ。見返りを期待しないでいられれば。自分がすり減って行くのを感じなければ。一生の間に自分が何をするのかを選べることは幸福なことだ。選択肢が広ければなお幸福だ。しかし・・・人は少ない選択肢を選ばなければならない時があり・・・右の道を選べば左の道とは無縁になったりする。愛しても愛されない時・・・幸福な愛はたちまち不幸になったりする。それでも・・・人は何故か愛さずにはいられないらしい・・・。

「三週間後・・・君はこのステージで歌うんだ」

ライブハウス「S」のステージで心理カウンセラーであり元ギタリストの神代広平(福山雅治)は小児期発症流暢障害(吃音症)であり、親に捨てられた過去から・・・心に闇を抱える自動車整備士の佐野さくら(藤原さくら)に告げる。

神代広平への「恋」に背中を押されてさくらはステージの上へとステップ・アップする。

「君の未来を・・・切り開け」と広平はさくらに呼び掛ける。

広平はとある決心を胸に秘めていた。

三週間は・・・素人が初舞台にあがるための稽古期間としては微妙なスケジュールだが・・・天性の素質を秘めたさくらにとっては技術的には何の問題もない。

しかし・・・天才というものは・・・精神的な問題を常に抱えているものだ。

広平への「恋心」を原動力とするさくらには・・・それを失った場合の危惧が常に醸しだされる。

一方で・・・親子ほど年の離れた広平は・・・さくらの心中を完全には読みとれていないらしい。

心理カウンセラー失格である。

ある日、パニックに陥った急患のために・・・稽古場から離脱する広平。

さくらは・・・恋しい相手のギターを手にとり、つま弾く・・・。

戻って来た広平は・・・さくらがギターを弾けることを知り・・・ギターをプレゼントすることにする。

かってミュージシャンだった広平にとって・・・音楽の才能を愛でることは自然なことであり・・・それが過ぎた好意である自覚はない。

恋しい相手から高価なプレゼントを受け取ったさくらは絶頂感を感じる。

「両親を呼んだら?」

「いいいいいいません」

「え」

「ははははははははは母は小さい頃・・・ガガガガガンで・・・」

「お父さんは・・・」

「ささささささ最初から・・・いいいいいいいない」

「・・・」

さくらの生い立ちから視線をそらせ微笑む広平。

ギターケースを下げた二人が仲良く稽古場に向かう姿を姉代わりの中村真美(夏帆)と婚約者の野村健太(駿河太郎)は目撃する。

「あれが・・・さくらの・・・好きな人」

「あれは・・・会社のカウンセリングルームの先生じゃないか」

「あらあら・・・」

真実はさくらを追及する。

さくらは「新人ライブ」に出場することを報告する。

「すごいじゃない」

「歌えるのかよっ」

孤児院仲間の天野空一(菅田将暉)は憎まれ口を叩く。

空一はさくくらが好きなので・・・広平に嫉妬しているのである。

「あああああああんたは・・・・ここここここなくて・・・・いいいいいいいい」

「誰が行くかっ」

うかつな広平は・・・天性の色事師であり・・・練習のためにとさくらの右手にギターのポジションを描きこむ。

恋しい男が描きこんだ疑似楽器に・・・絶頂に達するさくら。

その姿を・・・密かに広平に懸想する言語聴覚士の宍戸夏希(水野美紀)は目撃する。

調理師専門学校の事務員・渡辺涼子(山口紗弥加)の若いツバメとなった空一は・・・お好み焼きをさくらにテイクアウトしようとして釘を刺される。

「女のためのお土産は自分で買いなさい」

「お金ありません・・・」

「じゃ・・・もっとサービスしなさいよ」

ホテルで肉体労働に励む空一だった・・・あくまで妄想上の出来事です。

夏希も吃音治療の際中に・・・さくらに「転移」の話を持ち出し・・・治療者と患者の不適切な関係を説く。

「治療者がしてくれることを自分への好意と勘違いしてはダメよ」

「でも・・・片思いは許されるんですよね」

若くて可愛い子に・・・広平がたやすく陥落する可能性を考えてついに言葉にする夏希。

「でも・・・彼に迷惑でしょう」

嫉妬むきだしで・・・治療者としても人間としてもダメな夏希だったが・・・あくまで無用なトラブルの回避として・・・自分のあさましい悪意には気がつかない体の夏希なのである。

夏希に・・・広平は自分のものだと宣言されて・・・鬱屈するさくら。

さらに・・・広平が夏希と同居中であることに気が付き・・・激しく動揺するのだった。

そして、ライブ当日、急に・・・声が出なくなってしまったさくらを案ずる広平。

「どうした・・・緊張したか・・・客なんて・・・雑草だと思えばいい・・・誰か・・・自分の好きな人・・・たとえば広島カープの黒田のためにだけ歌うというイメージでしのぐんだ」

「せせせせせ先生は・・・けけけけけ結婚してるの・・・」

「いや・・・独身だ」

「せせせせせせ先生のために・・・うううううう歌っていいですか」

「いいさ・・・俺も・・・今夜は君のためだけに弾く」

恋しい人からの愛の告白にうっとりするさくらだった。

二人のステージを複雑な表情で見つめる夏希。

天使が囁く。

「患者を傷つけるなんて最低よ」

悪魔が囁く。

「所詮、恋愛は弱肉強食じゃないか」

恋なんて・・・基本的には病なのである。

精神を扱う専門家たちのメンタルは基本的に脆弱と相場が決まっている。

「やさしさに包まれたなら」「Your Song」「サマータイム」をメドレーで披露するさくらに・・・ライブの観衆たちはうっとりとする。

さくらは・・・神さまがいて不思議に夢をかなえてくれ・・・得意げなポーズでsmile・・・夢のようなサマータイムを感じるのだ。

「きききききき聞いてくれて・・・ああああああありがとう・・・つつつつつつつ」

「もういいから・・・歌にいけ」

「黙ってきかんかい・・・殺されたいのか・・・ボケ」

野次に激しく応える空一だった。

広平は・・・「どんぐりころころ」の伴奏で・・・マスター・オプ・セレモニーのセルフトークを援助する。

「つぎの~曲は~・・・最後です~・・・思い出のつまった~・・・大切な曲です~・・・聞いてください~・・・歌います~」

最初の百マイルで

育った施設の光景を思い出す

次の百マイルで

懐かしい友達の顔を思い出す

次の百マイルで

一緒に泣いたことを思い出す

次の百マイルで

一緒に笑ったことを思い出す

さくらの歌で・・・涙ぽろぽろ止まらない空一に・・・一部お茶の間ももらい泣きだ・・・。

優しい人よ さようなら

この街を離れ 500マイル

スタンディンク・オベーション・・・熱狂した聴衆のアンコールの叫び。

「せ・・・先生・・・わ・・・私、歌いたい」

しかし・・・さくらの手を高く掲げた広平は静かにステージを下りる。

そのことに・・・訣別を感じたさくらは・・・女子トイレで号泣するのだった。

「おおおおおおおおおおおおおお」

帰路につく夏希と広平。

「なぜ・・・アンコールに応えなかったの・・・」

「曖昧なままだったからな・・・区切りが欲しかったんだ」

さくらと広平の縁切りを画策した夏希は・・・動揺を抑えて広平を見つめる。

「これで・・・きっぱりと引退できる・・・最初からそう決めてた・・・」

「・・・」

その頃・・・ステージを見たいかにもやくざな音楽制作事務所「グリスターミュージック」のスタッフである水原亜矢(りょう)は上司の桑野喜和子(りりィ)に業務報告をしていた。

「稼げるタマを発見しました」

「そうかい・・・」

レディーが歌う時・・・売人はそっとステージから見つめているものなのだ。

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2016年4月25日 (月)

火のないところに煙はたたない・・・さあ、口に出して言ってみて(長澤まさみ)

美人を嫁にすれば心は落ちつかない。

誰かがちょっかい出してくるのではと疑心暗鬼になる。

そんな思いをするくらいなら醜女を嫁にした方がマシだ。

だが・・・醜女が浮気しないとは限らないのだ。

配偶者に貞操を求める心は・・・どうにもこうにも暗澹たるものである。

そういう心の闇は・・・絶対権力者を描く時に華麗に反映するのである。

実にいやらしいことですな。

しかも・・・子種がないとなると・・・本当にアレですな。

一方・・・最初の妻に弄ばれたあげくに・・・正妻と嫡男をまとめて殺処分した男は・・・。

大奥を作るのであった。

ある意味・・・合理的で・・・非人間的な人間性を感じる・・・。

で、『真田丸・第16回』(NHK総合20160424PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・小林大児を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は織田信長の姪にして織田信秀の孫・・・浅井長政の娘で柴田勝家の養女という良血姫である茶々の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。実父、実母、養父、伯父が炎上中に自害という生い立ちから末路は「豊臣家」を滅亡させた女の烙印を押されるわけですが・・・そんなこと言われても・・・戦国時代の話でございますから~。善し悪しは別として・・・徳川太平の世を構築した・・・一方の要とも言えます。徳川家康は茶々の共同作業によって・・・真の戦国時代の幕引き係を務めたと申せましょう。そういう意味では日本史上の凄い女ベストテンには必ずランクインし・・・キッドの中では・・・ナンバーワンでございます。「江」ではなく・・・「茶々」こそがスーパースターなのでございます。茶々がいなければ・・・歴史は確実に変わっていますからねえ。そんな茶々を讃える素晴らしいイラストに乾杯。

Sanada016天正十二年(1584年)十一月、織田信雄は同盟中の徳川家康に無断で羽柴秀吉と講和。織田信長の後継者としての地位を失う。織田政権との同盟という大義から解放された家康は独立勢力として活動を開始する。信雄は大坂城に軟禁される。巨大な戦力を保持する秀吉との対決姿勢を回避するために家康は次男・於義丸を人質として送る。十二月、於義丸は大坂城で元服し羽柴秀康となる。天正十三年(1585年)七月、秀吉は関白に任官される。十月、秀吉は九州の諸大名に停戦命令を発する。天正十四年(1586年)四月、大友宗麟が上洛。秀吉は毛利輝元に九州出陣の準備を命ずる。五月、秀吉は実妹・朝日姫を家康に正室として送る。六月、上杉景勝は上洛し、秀吉に養子の上杉義真を人質として送る。上杉家の人質だった真田信繁は秀吉の馬廻衆として登用された。島津氏が筑前・築後に侵攻開始。秀吉は島津征伐を傘下の諸大名に命ずる。七月、信濃国真田領を侵略するために家康は秀吉の許しを得て甲斐国甲府城に出陣。家康は真田昌幸に降伏勧告をするが昌幸はこれを拒絶。第一次上田合戦の敗戦のために慎重を期す家康は佐久地方を挟んで上田城の昌幸と膠着状態に突入する。

風雲急を告げ・・・佐助は真田の里に帰還した。

大坂城に残る信繫の元には才蔵が残る。

信繫は秀吉に出仕を命じられていた。

「どういうことなのでしょう・・・」

くのいちとして女装した才蔵が信繫に問う。

才蔵はそもそも男装したくのいちお峰なので・・・本来の姿に戻っているわけである。

「駿府では伯父上が・・・家康の家臣になったそうだ・・・」

「それと同じことだというわけですか・・・」

「そうだ・・・私は真田の一門衆であると同時に・・・秀吉の家臣となったらしい・・・」

「らしい・・・」

「秀吉が何を考えているか・・・分かったものではないからな」

「信繫様をお守りしたくても・・・城中に入ってしまわれたら・・・難儀いたしますよ」

「よい・・・自分のことは自分で守る・・・戦場と思えば・・・何ほどのことはない」

「佐助がおれば・・・穏形で同行できるのですが・・・」

「いや・・・秀吉にかかると・・・佐助でも危うい・・・下手な小細工はせぬ方がよい」

「関白様は・・・それほどの術者ですか・・・」

「今の私たちの会話とて・・・天耳通で盗み聞きしているかもしれぬ」

「そのような気配は感じませぬが・・・」

「それほどの達人・・・ということだ・・・そうでなければ・・・百姓が関白になどなれぬ」

「なるほど・・・さようですか」

「そういうことなのだ・・・我々はまな板の鯉だ」

「では・・・うかつにものも申せませんね」

「いいさ・・・どうせ筒抜けなのだ・・・佐助はどのあたりまで行ったかな」

「・・・もう・・・信濃に入ったころでございましょう」

佐助は信濃と美濃の国境の山中にいた。

大坂城からつけてきた忍びの気配はまだ感じられる。

「ご苦労なことじゃな・・・」

佐助は悪戯を仕掛けることにした・・・樹木の生い茂る夏の山林は佐助の得意とする場である。

「それ・・・猿飛分身の術じゃ・・・」

樹上にあがった佐助は枝から枝へと飛び移る間に・・・二人となり・・・四人となり・・・八人となる。

佐助の身体能力と・・・気を使った幻術の融合により・・・追手は・・・惑わされる。

分身した佐助は・・・四方に分かれ・・・それぞれが遠ざかって行く。

「どうじゃ・・・」

本体の佐助は・・・相手の気配が消えたのを確かめてほくそ笑む。

その一瞬の後・・・追手の気配が戻って来た。

「・・・おや」

樹海の彼方から・・・忍び笑いが聞こえる。

「見事な・・・猿飛の術・・・感服捕まった」

「・・・小癪な」

「拙者の任務は・・・ここまででござるが・・・せっかくなので・・・御挨拶に参った」

「・・・これはどうも・・・御丁寧に・・・拙者・・・真田の佐助と申す・・・」

「拙者は・・・飛騨の赤影でござる・・・」

「お・・・聞いたことがあるぞ・・・何やら・・・髪の毛を使うとか・・・」

佐助は自分の身体から・・・一本の髪の毛が虚空に伸びていることに気がついた。

「これはしたり・・・紐付とは・・・まるで猿回しではないか」

「また・・・逢う機会もござろう・・・これにて・・・御免」

赤影の気配はあっという間に遠ざかって去っていった。

「世間は広いのう・・・」

佐助はため息をつくと・・・上田を目指して飛翔した。

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2016年4月24日 (日)

お迎えデス。(福士蒼汰)スラリと伸びた長い脚だよ。(土屋太鳳)ゲストです。(菅野美穂)

時は流れて・・・菅野美穂がゲストの時代である。

それにしても・・・震災で一週間遅れのスタートなのだ。

タイトル的にもアレだしな。

現実の出来事とフィクションは無関係だと何度言ったら・・・わかるのか。

まあ・・・ざっと一千万人くらいが視聴する番組だからな・・・いろいろと・・・一部の人々が気を使うのだろうよ。

みんな・・・面倒くさいのが嫌いだからな。

トラブルこそわがビジネスが基本のはずなんだが・・・。

ゆとりだからじゃないか・・・。

アレの一週間前でゆとりなんかないよ。

じゃ・・・始めろよ!

で、『お迎えデス。・第1回』(日本テレビ20160423PM9~)原作・田中メカ、脚本・尾崎将也、演出・南雲聖一を見た。主題歌は家入レオの「僕たちの未来」で・・・福士蒼汰が主演した「恋仲」の主題歌「君がくれた夏」に続いての起用ということになる。ついでに「太陽の女神」が主題歌だった「海の上の診療所」にも福士蒼汰は助演している。つまり・・・同じ事務所の抱き合わせなのだが・・・何れもいい仕事をしていると考える。

毎度お馴染みの幽霊譚である・・・なぜ・・・夏にやらないのだ。

時は春。サークルの勧誘活動の季節である。明櫻大学ロケット研究会のエンちゃんこと堤円(福士蒼汰)は・・・友人の加藤孝志(森永悠希)と勧誘の席に着いている。

そこへ・・・恐ろしいほどの美貌の女子大生・阿熊幸(土屋太鳳)がやってくる。

「社会の窓があいてるよ」

「あ・・・」

阿熊は去って行った。

「なんだ・・・知り合いか」

「いや・・・」

阿熊は・・・物陰で独り言をしている。

「言ってきたけど・・・パンツのチャックのことかよ・・・社会の窓って・・・」

見える人には・・・そこに緒川千里(門脇麦)が立っているのが見えるのだ。

高校時代の友人からの連絡を受けて円は告別式に向かう。

高校時代・・・同じ天文研究部に所属していた千里は不慮の事故で死亡していた。

高校時代の友人が円に問う。

「お前・・・部活一緒だったんだろう・・・緒川ってどんな奴だったの」

円の中に蘇る記憶。

千里と手を繋ぎ土手を走った青春の一ページ・・・。

「いや・・・とくに・・・」

円は口下手だった。

家路に着いた円は奇妙な光景を見る。

ウサギの着ぐるみと老齢の男性・陽造(伊東四朗)が揉み合っているのだ。

関わり合いを避けて通りすぎようとした円は・・・老人が壁を通り抜けるのを見て驚愕する。

円の様子を見て・・・ウサギの着ぐるみは・・・円の特殊能力を察知するのだった。

ウサギの着ぐるみの中身は・・・あの世とこの世の管理人である死神二課のナベシマ(鈴木亮平)だった。

「君・・・私が見えるのか」

「え」

「君は見えないものが見えるタイプの人間なのかな」

「・・・失礼します」

円は危険を感じて逃走した。

堤家は修復家族である。夫のいない円の母の由美子(石野真子)が妻のいない郁夫(大杉漣)と再婚したのである。円の妹で高校二年生のさやか(大友花恋)は郁夫の連れ子である。

つまり・・・僕の義妹がこんなに可愛い・・・なんでもありません。

「見えないものが見えるということは・・・かならずしもその存在を肯定するものではない。人間の視覚はたやすく幻視を行うものでそれは神経症的な病状の発生を意味する可能性があり」

うろたえた円は「他人からは意味不明なこと」を呟きながら自分の部屋に戻る。

「なによ・・・あれ・・・キモッ」

だから・・・僕の義妹がこんなに・・・もういいだろう。

心を落ちつけるために・・・愛用の望遠鏡を覗き月を観測する円。

しかし・・・そこに・・・空飛ぶサイドカーに乗ったピンクのウサギが映る。

気がつけば・・・部屋にはナベシマと幼女が座っている。

「やあ・・・ナベシマです」

「・・・」

「助手のゆずこです」

ゆずこ(濱田ここね)は円を見上げる。

「あなた・・・幽霊が見えるんですって・・・」

「また・・・幻覚が・・・」

「幻覚じゃないのよ・・・私たちは実在しています」

「子供のくせに・・・実在とか言っちゃうし」

「失礼ね・・・あなたより、ずっと長い時間、存在しているのよ・・・つまり・・・あなたより年上よ」

「馬鹿馬鹿しい・・・そんなことあるもんか」

「年上相手なんだから・・・敬語を使うべきなのよ」

「・・・そんなことないと思います」

「なかなか・・・素直ね」

「とにかく・・・ここは僕の部屋なので・・・出て行ってください」

「まあまあ・・・せっかくの特殊能力だ」

「幽霊が見える人材は貴重なのよ」

「・・・」

「アルバイトしてみないか」

「この世に執着する幽霊をあの世にお送りする仕事よ」

「時給はいくらですか」

しかし・・・その点については言葉を濁す死神とその助手だった。

おそらく・・・形あるものだけが報酬とは限らないとかなんとか言うのだろう。

円はすべての情報をシャットアウトするために・・・眠った。

翌日・・・大学で・・・再び・・・阿熊幸に声をかけられる円。

「ちょっと来なさいよ」

「え」

「いいから・・・」

いつもの屋上で待っているナベシマとゆずこ・・・そして幽霊の陽造・・・。

「今日から君たちは・・・チームだ」

「え・・・」

「人間は死んで四十九日立つと・・・悪霊化する・・・特にアジアの一部地域では・・・」

「はあ・・・」

「そのために・・・死後四十九日の間に・・・あの世に旅立ってもらう必要がある」

「・・・」

「なにしろ・・・この国では一年に百万人くらい人が死ぬし・・・この世に未練のある死者も多いので・・・死神も・・・神手不足なのだ・・・そこで君のような特殊能力者の協力が必要なのだ」

「ちょっと・・・まってください・・・なんで私が・・・この人と」と異議を申し立てる阿熊幸。

「よろしく頼むよ・・・先輩として彼を指導してくれたまえ」

「ナベシマさん・・・そろそろ・・・会議の時間です」

「おっと・・・」

死神と助手が虚空に消え・・・残されたのは二人の人間と・・・幽霊の陽造である。

「なんとか・・・いいなさいよ・・・」

「え・・・俺?」

「男同志でしょ・・・」

「だって・・・知らない人相手に・・・」

「もういい・・・」

煮え切らない円に見切りをつける阿熊幸だった。

「おじいさん・・・どうして・・・成仏できないんですか・・・」

「・・・」

円は・・・陽造の視線の先に気がつく。

「あの・・・女の人・・・」

路上を歩く妊婦を陽造は見つめていた。

妊婦は・・・陽造の一人娘の玲子(菅野美穂)だった。

お腹の子供の正道(矢柴俊博)との結婚の許しを求めて・・・実家を訪れた玲子。

しかし・・・正道がフリーターと知って・・・陽造は激怒。

二人の結婚を許さないまま・・・ぽっくり逝ってしまったのだった。

「つまり・・・娘さんに会ってあやまりたいと・・・」

「なぜ・・・私があやまる必要がある・・・なんとか二人の仲を引き裂いてやりたいんだ」

「そんなことをしたら・・・お孫さんは・・・父親がいない子に・・・」

「変な父親がいるより・・・マシじゃないか・・・」

「・・・」

基本的に幽霊は妄執の一種なので・・・説得は困難なのだった。

「とにかく・・・御遺志を娘さんに伝えましょう」

二人は幽霊を伴って玲子が正道と暮らす家に向かう。

「父と最後に会ったのですか」

「はい・・・それで遺言を・・・お伝えに・・・」

「遺言・・・」

「ご主人と別れて欲しいと・・・」

「お父さん・・・頑固だから・・・でも・・・あの世に行けば・・・私が幸せだって分かってくれると思います」

「わからんわ」と叫ぶ陽造・・・しかし、その声は玲子には届かない。

「全然、ダメじゃないですか」

「上手くいくこともあるのよ」

「つまり・・・いつも失敗するんですね」

「じゃ・・・あなたがやってみなさいよ」

「ここに・・・お父さんがいます」

「え」

「お父さんは御立腹です」

「何を言ってるの」

「ですよね・・・それが一般的な反応です・・・常識の範囲内って落ちつくなあ」

「おい」

そこへ正道が帰宅する。

激昂した陽造が正道に飛びかかろうとするので思わす制止しようとする円。

その瞬間・・・円は陽造に憑依されてしまうのだった。

「娘は誰にも渡さん」

陽造は円の身体を使って娘に抱きつく。

思わず割ってはいる正道。

「何をするんですか」

「なんだ・・・このヒモ野郎・・・お前なんかに玲子は相応しくない」

正道に右手で殴りかかろうとする陽造を・・・円はなんとか制御しようと左手で抑える。

「はなせ・・・だめです・・・やらせろ・・・いけません」

七転八倒する円を部屋から連れ出す阿熊幸だった・・・。

「なんなんだ・・・あいつら・・・まさか・・・君の昔の男・・・」

「ちがうのよ・・・」

残された正道と玲子の間に亀裂が入るのだった。

あの世の会議室。

「本日は一課と二課の調整会議です」

「二課のナベシマ・・・また・・・成仏指定期間ギリギリの案件が発生しているようだが・・・む

一課の死神シノザキ(野間口徹)は冷たい視線を送る。

「今・・・対応中ですから」

「この間も・・・君のところの阿熊幸が説得に失敗して幽霊が悪霊化しただろう」

「フレッシュな人材が新加入したので心配ありません・・・なにしろ・・・堤円は霊視だけでなく幽霊を憑依させる能力もある逸材ですから」

「おいおい・・・憑依中の暴走は・・・消滅が困難なんだぞ」

「この間・・・悪霊化した幽霊のために黒巫女を出動したばかりですよ」

シノザキの部下のマツモト(根岸拓哉)が口を挟む。

一課には・・・除霊専門の黒巫女の魔百合(比留川游)が所属しているのだった。

「しかし・・・本人が心からの成仏を願うのが本筋ですから・・・」

「とにかく・・・こっちの仕事を増やさないでくれ」

「・・・」

謝罪のために・・・阿熊幸は・・・玲子の元へ・・・。

しかし・・・玲子は旅支度を整えていた。

「どこかへ・・・行くのですか」

「実家のある小さな島へ・・・父の納骨をすませたら・・・そのまま・・・そこで・・・」

「ご主人は・・・」

「出て行ってしまいました・・・この間の彼が・・・昔の男だと誤解して・・・あの人・・・気が弱いから・・・」

「・・・」

阿熊幸は陽造に告げる。

「お望み通り・・・二人は別れましたよ・・・」

「・・・」

「これで・・・いいんですよね・・・」

「私は・・・馬鹿だった・・・彼の身体を借りた時に思い知ったんだ・・・もう・・・私が娘にしてやれることはない・・・私なしで娘は生きて行かなければならない・・・それなのに・・・私は意地を張って・・・娘の人生を・・・無茶苦茶にした」

「まあ・・・それが・・・亡霊の宿命ですから・・・」

「もう一度・・・娘に会って・・・謝りたい」

「・・・」

「行きましょう・・・」と円が言う。

「このままじゃ・・・僕が彼女を不幸にしたことになってしまいますから」

「だよね・・・」

玲子の故郷に向かう船に・・・乗り込む一同。

阿熊幸は・・・正道も拉致するのだった。

玲子は離婚届けを取り出す。

幽霊の陽造は物質化現象を引き起こし・・・離婚届けを破る。

腰を抜かす正道。

「なによ・・・あなたたち・・・マジシャンなの?」

その時、玲子は産気づくのだった。

「大変・・・」

「お医者様はいらっしゃいませんか」

「獣医ですけど・・・」

「玲子・・・」

「お父さん・・・僕の身体を使ってください」

「え」

「娘さんの手を握って・・・励ましてあげるのです」

円に憑依した陽造は・・・幼い玲子に歌った「めだかの兄妹」を歌い出す。

「めだかの兄妹は・・・」

「ニャンニャン・・・」

その歌にハッとなる玲子・・・。

「・・・お父さん・・・?」

「玲子・・・」

陽造は・・・正道を導いてバトンタッチする。

「娘を・・・よろしくお願いします」

船上出産は無事挙行された。

ナベシマが現れた。

「納得されましたか」

「はい・・・思い残すことはありません」

あの世への扉が開かれる。

死神たちに導かれ・・・陽造は成仏するのだった。

こうして・・・二人の霊能力者は・・・引導を渡すペアとなったのである。

そんな二人を・・・睨む・・・緒川千里の幽霊だった。

千里の幽霊は・・・阿熊幸の家に居候中なのである。

おそらく・・・千里の心残りは・・・円にまつわることなのだろう・・・。

週末にファンタジーがあるのは・・・なんだか心が休まることなのである。

関係ないけどヨシヒコキター!

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2016年4月23日 (土)

ゆとりですがなにか(岡田将生)うかつですがなにか(松坂桃李)おっぱいですがなにか(柳楽優弥)

ゆとりとはなにか・・・。

つまり・・・少し太っても大丈夫な・・・パンツのウエスト・サイズであること。

社会全体にゆとりがあれば・・・「ゆとり」でも生きていける・・・。

つまり・・・ゆとりがなくなれば・・・「ゆとり」の居場所はないのである。

世界を相手に孤軍奮闘し、無条件降伏し、絶望の淵から高度成長し、ある程度の安定から・・・競争社会に嫌気がさした時・・・大人たちは・・・教育制度の見直しを考えた。

「知識偏重」をやめ・・・「生きる力を育成すること」を目指したのである。

「生きる力」を「育成すること」が・・・どういうことなのかは・・・誰も知らなかったけれど・・・。

1980年・・・小学校からゆとり教育が開始される。

1987年・・・さらに「ゆとり」を重視した学習指導要領が検討される。

義務教育で何を教えるか・・・それは九年間に渡る人格形成に影響を与える。

義務教育の開始は満六歳を越えた児童からである。

そういう意味で・・・一年生からゆとり教育の洗礼を受けたのは1981年生まれの人々ということになるが・・・それ以前に生まれた子供たちも途中からゆとりにさらされていることになる。

この頃の子供たちは・・・安倍なつみ、安達祐実、竹内結子、野波麻帆、優香、大野智、小島よしお、妻夫木聡などである。

1995年に義務教育を終えた子供たちは・・・「学力」が低下していることが明らかになるのだった。

・・・まあ・・・学力を低下させるように教育したので当然なのだが・・・。

敗戦から半世紀・・・阪神・淡路大震災が発生し、オウム真理教が無差別殺人事件を起こす。

つまり・・・まだまだ・・・ゆとりが必要だというわけだ。

こうして・・・走り出した汽車は止まらない法則発動である。

この頃、生まれたのが・・・芳根京子、黒島結菜、北乃きい、高橋みなみ、夏帆、真野恵里菜たちである。

しかし・・・学力はどんどん低下し・・・パブルは崩壊し・・・社会にゆとりがなくなり・・・子供たちのゆとりは許されなくなっていった。

少ない子供たちがみんな馬鹿だったら・・・俺たちの老後は・・・と気がつく大人たち。

2004年・・・日本の子供たちの学力低下が世界基準で問題となる。

そして・・・2007年・・・土曜授業が復活し・・・脱ゆとり教育が始ったのだ。

2001年生まれ以後の子供たちはもはやそれほどゆとりではないのである。

そのため・・・加藤清史郎からはほぼゆとりではないのだ。

しかし・・・20年続いた(一説によれば30年とも)ゆとり教育の時代によって・・・社会全体がゆるくなっているような気がするのは・・・きっと・・・老婆心のなせることなのだろう・・・。

晩婚化が問題になっているが・・・それは・・・まあ、いいか。

とにかく・・・今の35歳から15歳くらいまでは・・・ほぼゆとり世代なのです。

そして・・・20~25歳のあたりは・・・「ゆとりにゆとりが教えられた世代」・・・ああ・・・。

で、『ゆとりですがなにか・第1回』(日本テレビ201604172230~)脚本・宮藤官九郎、演出・水田伸生を見た。「近頃の若い奴はダメだ」は人類の歴史始って以来のお約束だが・・「教育制度」が関わると・・・そういう傾向が増幅するので注意が必要なのだ。さらに・・・情報伝達の方法の革命的変化が・・・それに拍車をかける場合がある。「躾」が「虐待」と認定され、学級は崩壊し、素晴らしいインターネットの世界が介入して世代は断絶し・・・不毛の荒野が広がる日本・・・。もちろん・・・「バカな子」ほど「かわいい」ので大丈夫です。

人間は不平等な存在である。

どんなにゆとりの教育をしても・・・トップと最下位は発生する。

素晴らしいインターネットの世界が急速に発展した21世紀にすでに成人していた・・・現在のアラウンド・フィフティー~アラフォー世代は・・・年上を使えない人々・・・年下をゆとりと見下すとんでもないやつらだということもできます。

食品メーカー「みんみんホールディングス」で働く坂間正和(岡田将生)は「ゆとり第1世代」とされる1987年生まれの29歳である。それほど・・・ゆとりではないし・・・自分でもそう感じないが・・・どんな世代にもいる「要領の悪い人間」で・・・企画開発部、営業、工場担当などを転々とし・・・つまり、適正を見いだせず・・・ついに系列の居酒屋チェーンへの出向を命じられたのだった。

正和と同期の宮下茜(安藤サクラ)は順調に出世し・・・エリアマネージャーとして居酒屋チェーンの杉並・世田谷地区を担当している。

正和と茜は交際中であるが・・・つまり・・・上司と・・・限りなく底辺の部下なのである。

そこに・・・茜は・・・一種の苛立ちを感じているが・・・正和はピンと来ないのだった。

つまり・・・「ゆとり」なのである。

出向するにあたり・・・正和は担当していた業務を後輩に引き継いだ。

この後輩が・・・山岸ひろむ(太賀)である・・・自由な個性を尊重される教育方針でのびのびと育てられた結果・・・協調性や配慮にかける・・・超マイペースで超合理的な・・・完全なる「ゆとり」人間に仕上がっている。

自分の気が向かなければ・・・上司の誘いは断って当然・・・発注ミス、受注ミスをおかしてもそれは・・・システム設計に問題があると断定し・・・自分自身のミスは認めない。つまり・・・限りなく自分に都合のいい性格なのだった。

そんな山岸の責任感のなさを・・・なんとか叱責しようとする正和・・・。

しかし・・・適当な言葉が見つからないのだった。

「ゆとりが・・・ゆとりを・・・叱るか・・・無理だな」

営業部で二人の上司である早川 道郎(手塚とおる)は瞑目するのである。

正和の妹は1995年生まれ・・・あろうことが本名がゆとり(島崎遥香)なのだった。

ゆとりは・・・就職活動中の22歳である。

正和の父親は造り酒屋を経営していたが・・・春先に他界。母親の和代(中田喜子)と兄の宗貴(高橋洋)、その妻のみどり(青木さやか)が業務を引き継いでいる。

妹を除けば・・・「ふぞろいの林檎たち」のあの人を思わせる。

この後・・・正和は・・・同世代で福島県出身の小学校教師・山路一豊(松坂桃李)や道で「ぼったくりバー」の客引きをしている・・・「おっぱい」と連呼する怪しい男・道上まりぶ(柳楽優弥)と知りあうわけである。つまり・・・これは21世紀の「ふぞろいの林檎たち」なのかもしれない。

あの人の立ち位置はわかるが・・・残りの二人の変換は物凄くて・・・どっちがどっちなんだか・・・原型をとどめていない。

教師が商社マンで・・・客引きがラーメン屋なのか・・・。

正和と一豊の出会いは・・・悩める若者の愚痴を聞く「レンタルおじさん」(吉田鋼太郎)を通じてである。

同じ顧客として・・・「レンタルおじさん」相手に号泣する一豊を見て・・・正和が声をかけたのである。

こうして・・・ゆとり第一世代の二人は「友情」のようなものを芽生えさせるのである。

そして・・・二人揃って・・・客引きのまりぶにひっかかり・・・仲良くぼったくられるのだった。

後に・・・まりぶも「レンタルおじさん」の利用者であることが判明する。

・・・そんなある日・・・致命的なミスをしたひろむを引きずって・・・迷惑をかけた業者に謝罪させる正和。

ひろむは・・・「生まれて初めて叱られた気がします」と感謝の言葉を述べる。

(どんな人間でも心は通じ合える)と思う・・・正和。

しかし・・・翌日・・・ひろむは退職を申し出る。

「あいつ・・・会社、辞めるってよ・・・」

「ええええええええええええ」

そして・・・巻き起こる・・・ひろむの自殺疑惑・・・。

正和は・・・目の前が暗くなるのである。

泣かしたこともある・・・冷たくしてもなお・・・寄り添う気持ちがあればよかった時代もあったんだけどね。

一豊の心を揺らす教育実習生として・・・「あさが来た」の田村宜役を務めた吉岡里帆(23)が佐倉悦子役を演じます。

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2016年4月22日 (金)

グッドパートナー無敵の弁護士(竹野内豊)パラリーガル(岡本あずさ)早子先生、結婚するって本当ですか?(松下奈緒)お先に(川栄李奈)あらあら(小芝風花)ゲゲゲのちりとてちん(貫地谷しほり)

またまたまたかよっ。

それが言いたいだけで・・・無用のレビューを重ねやがって・・・。

いや・・・それなりにどのドラマも面白いぞ。

とにかく・・・「世界一難しい恋」から杉本哲太が「グッドパートナー」へ・・・「グッドパートナー」から大倉孝二が「火の粉」へ・・・「火の粉」から佐藤隆太が「僕のヤバイ妻」へ・・・みんな・・・かけもち大変だな。

とにかく・・・レビュー的には連日の杉本哲太だ。哲太万歳っ。

「ドクターカー」から「ナイトヒーローNAOTO」の木下ほうかのことにもふれてやってください。

まあ・・・いいじゃないか。

で、『グッドパートナー 無敵の弁護士・第1回』(テレビ朝日20160421PM9~)脚本・福田靖、演出・本橋圭太を見た。本来、法律とは人間を不条理な出来事から守るためにある。たとえば殺人罪は人が誰かに殺されることを良しとしないわけである。だから・・・法律によって誰かが不当に苦しめられたりしてはいけないわけだが・・・そこが世界の一筋縄ではいかないところで・・・法律の抜け道を使って・・・法律家が人間を貶めることができないわけではない。しかし・・・プロフェッショナル同志が戦えば・・・結局正しい方が勝つわけである。・・・はたして本当にそうなのか・・・「HERO」の脚本家なので・・・そこを追及してくるのだろう。一方で・・・こちらの主人公はヒーローであると同時に・・・ヒロインと元夫婦という設定になっている。元パパと元ママが・・・同じ職場で働くというドタバタ風味が加わっているわけである。一歩間違えると・・・二兎追うもの一兎も得ずになるわけだが・・・初回を見る限り・・・弁護士ものとホームドラマものの融合はそつなくなされているようだ。豪華なキャスティングで・・・安心して見れるエンターティメントに仕上がっています。

新人弁護士の熱海(賀来賢人)は神宮寺法律事務所に入所した。

「大きなところより・・・仕事が早く覚えられるから」というのが事務所を選んだ理由である。

所長の神宮寺一彦(國村隼)は企業法務を専門に扱うビジネスロイヤーは「稼ぎまくるのが一番」と三人のパートナー弁護士を競わせている。

実績・第三位の猫田純一パートナー(杉本哲太)は婚活に忙しい。

実績のトップを争う咲坂健人パートナー(竹野内豊)と夏目佳恵パートナー(松雪泰子)は共に昨年離婚して独身である。

なぜなら・・・二人は昨年まで夫婦だったのである。

「元夫婦かよ!!!!!!!!!!」と思う熱海だった。

パートナー弁護士はそれぞれアソシエイト(アシスタント)弁護士とペアを組んでいる。

猫田には城ノ内麻里(馬場園梓)が、夏目には赤星元(山崎育三郎)がアソシエイト弁護士としてついているために・・・熱海は咲坂の指導を仰ぐことになるのだった。

赤星と熱海の区別は難しいが・・・よりうざい方が赤星です。

所長・・・パートナー・・・アソシエイト・・・ここまでが弁護士である。

この他にパラリーガルと呼ばれる補助的な事務職がいる。

十年連続で司法試験に失敗した九十九(大倉孝二)、法科卒業生だが高望みしない派の美人パラリーガル・茂木さとみ(岡本あずさ)、ベテラン秘書の朝丘理恵子(宮地雅子)である。

以上の十人が神宮寺法律事務所のメンバーでドラマのレギュラーとしては結構大所帯だが・・・まあ・・・「HERO」も似たようなものだ。

しかし・・・さらに・・・咲坂は娘のみずき(松風理咲)と同居中である。

家事はハウスキーパーのベトナム人・グエン(上地春奈)が担当し、大学生の島谷涼子(宮﨑香蓮)が家庭教師として訪問する。

この膨らみが過剰である。

本来・・・第1回は・・・最後に涼子がみずきの両親の写真を見て・・・咲坂と夏目が元夫婦であると知るのがオチというのがスマートだが・・・ネタの先だしで・・・お茶の間の興味を引く展開になったのだろう・・・そうなると・・・さすがに涼子のパートは少し浮くのだが・・・まあ・・・元夫婦の仲が修復される可能性もあるので・・・そこに絡ませるのだと想定の範囲内なのである。

結構・・・関係性の説明だけでも大変なメンバーだが・・・そこは脚本家の手練の腕が冴えます。

今回のゲスト・クライアントはデザイン事務所「マミーデザイン」の社長・夕子(鈴木杏樹)・・・。電通のような巨大広告代理店・帝都広告から下請けデザイン・二十万円の仕事の契約違反で一億円の損害賠償金を請求されているという苦しい立場である。

「青りんごちゃん」というキャラクターを発注されたもののボツにされ・・・別の仕事に流用したところ・・・広告代理店から著作権の侵害を追及されたのである。

契約上・・・キャラクターの著作権は採用不採用に関わらず発注者に帰属することになっていたため・・・法律上の非は夕子にあった。

しかし・・・帝都広告の広報部長(手塚とおる)の請求は陰湿で・・・どこか「弱い者いじめ」の気配があった。

ドラマでは描かれないが・・・広報部長と夕子の間にはセクハラ的な何かがあったと類推できる。

大手法律事務所の「岬&マッキンリー法律事務所」が帝都広告の代理人となり・・・主任弁護士(近藤芳正)は正攻法で咲坂を攻め立てる。

しかし・・・「岬&マッキンリー法律事務所」に敵意を燃やす神宮寺所長は・・・総力戦を決意するのだった。

夏目は「一億円の請求」は法外すぎるので・・・値下げ交渉を提案する。

しかし・・・相手は応じない・・・そこで咲坂は「信用棄損」「著作権放棄」「不正取引防止」などの搦め手からの反訴状作戦を展開する。

「しかし・・・本質的には敗訴なのでは・・・」と誰もが思うのだった。

だが・・・時給七万円の弁護士軍団の請求額が二千万円を越えることが明らかになった時・・・帝都広告の広報課長は重役に直訴する。

「部長がアホなので・・・おかしなことになってます」

重役は提訴取り下げを即決するのだった。

「ジャブの勝利だ・・・ママ」

「ママって言うな」

その時・・・婚活に失敗した猫田が帰ってくる。

「え・・・勝っちゃったの・・・どうやって?」

こうして・・・熱海の弁護士修行は幕を開けたのだった。

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まこイエーイ、ヒゲなし竹しゃまお久なのでしゅ~。ヒゲありもダンディーだけど・・・ヒゲなしもシュキシュキ~なのでしゅ~・・・弱きを助け強きを挫く・・・正義の弁護士万歳なのデス!」くう「一瞬、咲坂が国際結婚しているのかと思ったのでした・・・」じいや「・・・この場を借りて慎んで熊本地震の被災者の皆様のご無事をお祈り申し上げます・・・」

で、『早子先生、結婚するって本当ですか?・第1回』(フジテレビ20160421PM10~)脚本・水橋文美江、演出・ 中江功を見た。震災発生のために一週間遅れてのスタートである。「グッドパートナー」が法律ものであると同時に離婚した夫婦のホームドラマであるとするならば・・・こちらは小学校教師ものであると同時に三十代女性の婚活を軸としたポームドラマであると言える。どちらもコメディー要素を含み・・・レビュー対象としては充分相応しいのだが・・・すでに・・・供給過剰なのである。

とにかく・・・「ゲゲゲの女房」の主人公と「ちりとてちん」の主人公の豪華共演である。

「あさが来た」の主人公や「まれ」の主人公がヒロインを勤めるドラマもあり・・・今季は極めて「朝ドラ色」が強いわけだが・・・まあ・・・仕方ないよな。朝ドラ史上今世紀トップの視聴率の後だからな・・・。そういうわけで・・・一つの起爆要素であった「あまちゃん」の主人公の不在は・・・まあ・・・言ってもしょうがないな・・・。

すべては運命である。

豆腐店を営む父・辰志(尾藤イサオ)、母・尚子(松坂慶子)と実家暮らしの小学校教諭・早子(松下奈緒)は34歳・・・。妹・風子(川栄李奈)にも先を越され・・・名古屋の嫁ぎ先へと見送ったのである。

児童たちにも「34歳の早子先生・・・がんばれ」と励まされるのだった。

同僚には独身の鉄棒の得意なニーチェ先生じゃなかった港草介(間宮祥太朗)もいるが・・・ニーチェ先生の狙いは養護教諭の秋川莉々(小芝風花・・・なんちゃって成人である)であるらしい。

「結婚しなくても生きていける」と考える早子先生だが・・・それなりのプレッシャーも感じるのである。

同僚には・・・年上で独身で五年間同居していたヒモに逃げられた成増梅子先生(佐藤仁美)や・・・年下でまだ二十代だが寂しくて眠れない夜を過ごす久我山ミカ先生(貫地谷しほり)もいるのである。

ミカの友人である羽村舞(舞羽美海)も加えた独身女四人は・・・婚活戦隊ドクシンジャーを結成し・・・悪の組織と戦うことを・・・いや・・・独身からの脱出を考えるのである。

しかし・・・ひどいお見合い相手(坂上忍)しかいないので・・・前途は多難なのである。

まあ・・・普通に・・・小学校の教師物語では成立しないと・・・誰かが考えるんだろうなあ。

たまには・・・いいのになあ・・・。

とにかく・・・父親入院のため・・・家に一人になった時・・・裸で踊ってみる早子先生。

かわいいが・・・ちょっとものがなしい・・・それが三十路の定めなのである。

木曜日の二本は・・・脚本家がいい仕事をしている・・・と言う他はないのだった。

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2016年4月21日 (木)

器がコンパクトな男(大野智)ナムルのもやしです(波瑠)毒島ゆり子のせきらら日記(前田敦子)牝犬体質と私のポリシー(新井浩文)

またまたかよっ。

まあ・・・春なんだよ・・・。

災害は忘れたころにやってくるものだが・・・間隔狭まってるよな。

東海大地震近しと言われて四十年だからな・・・。

地球の間のとりかたは・・・本当にスケールが違うからな・・・。

あのラインは確かにあるよな。

云わば・・・瀬戸内海の延長線上なんだよな。

早い話が瀬戸内海って中国と四国の間の裂け目だもんな。

瀬戸内海の東端に神戸があって・・・その反対側に阿蘇があるんだよな。

そのラインを東北方向に伸ばせば、ラインの北側が新潟で・・・さらにラインの南側の宮城県沖まで続いて行くわけだ。

中央から南に伸びる伊豆・小笠原海溝の西側にエネルギーが集中しているのは・・・いかにもだよな。

神様・・・一息つきたいので・・・もう少し待ってください。

せめて、新東京五輪くらいまで・・・。

あらためて・・・日本人のこわいもの知らずな感じは世界一だと思う。

で、『毒島ゆり子のせきらら日記・第1回』(TBSテレビ201604210010~)脚本・矢島弘一、演出・坪井敏雄を見た。父親の浮気による家庭不和にさらされた女は男性不信により牝犬化する。・・・結局、ビッチになるのかよ。まあ、あくまで男性視点である。男性のビッチ・コンプレックスが女性にビッチを見出させるのであって・・・女性そのものは健全な性欲を発露しているに過ぎないのだ。それは地震と同じように自然の営みに過ぎない。大自然の行いに卑小な人間が右往左往するだけだ。

京子ちゃんとゴリライモのその後である・・・違うぞっ。

ちなみに「世界一難しい恋」のヒロインを演じる波瑠は1991年6月17日生まれの24歳であり、前田敦子は1991年7月10日の24歳である。つまり・・・二人はもうすぐ25歳のライバル女優なのだ。

前田敦子はAKB48のセンターとしてアイドル的には大スターであると同時に2008年には「栞と紙魚子の怪奇事件簿」で地味な眼鏡っ子ヒロイン・紙魚子を演じている他、「Q10」のQ10、「花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜」の芦屋瑞稀、「最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜」の芦屋瑞稀、「幽かな彼女」の 河合千穂など・・・主役やヒロインを演じて女優としてもそれなりに輝かしいキャリアを重ねている。

一方で波瑠は2008年に「シバトラ~童顔刑事・柴田竹虎~」第一話に少女買春のリーダー役でゲスト出演している・・・それから・・・ほぼ脇役街道である。

そういう意味で・・・「世界一難しい恋」のヒロイン・波瑠と・・・「毒島ゆり子のせきらら日記」の主人公・前田敦子は・・・激しく交錯するのだった・・・まあ・・・少なくとも・・・キッドの中では・・・。

限りなく朝日新聞のようなやや毎日新聞含みのネーミングであるあけぼの新聞(フィクション)の記者・毒島(ぶすじま)ゆり子(前田敦子)は喫茶店で恋人に冷水を浴びせられる。

「ふたまたやめてくれないか」

「それは・・・できません」

「なんだよ・・・それ」

「これだけは・・・信じてほしい・・・私は心からあなたを愛して」

「馬鹿にすんな」

・・・なのである。

男は必ず他の女に目移りするという信念に基づき・・・毒島は必ず・・・複数の男性をキープしているのである。

喫茶店「つみき」のマスター(友川かずき)からおしぼりをサービスされた毒島はもう一人の恋人である売れないミュージシャン(渡辺大知)のベッドへ向かう。

売れないミュージシャンは毒島の二股活動を容認していて・・・失恋した恋人を慰めるのだった。

「君を抱きしめたくなる~」

「ありがとう~」

・・・なのであった。

時を同じくして・・・文化芸能部から政治部に異動となる毒島。

いきなり・・・与党・誠心党の幹事長の黒田田助(片岡鶴太郎)になるのだった。

しかし・・・そこで・・・ライバル紙「共和新聞」のエース記者であるゴリライモ・・・ではなかった小津翔太(新井浩文)を目撃し・・・たちまち・・・下半身が熱くなる毒島だった。

不倫による家庭不和により・・・心に傷を持つ毒島の恋愛信条は「二股をしても不倫はしない」であったのだが・・・。

そして・・・小津は妻帯者なのだが・・・。

けれども・・・走り出した恋の暴走列車は止まらないのが基本である。

終わるとわかっている恋に本気でのめり込めば・・・恐ろしい破局が待っているわけである。

ないものねだりという・・・人間の仕方なさを・・・ねっとりと描いていくらしい。

初回から激しいキスシーンにトライ。

暴走機関車の行き付く先は・・・地獄と相場が決まっている。

爆発炎上する毒島・・・お似合いだよねえ・・・。

暴力版が「マジすか学園」とすれば・・・これは性愛版なのだろう・・・。

王道を行くものは・・・結局、際物に陥るのだ。

それが女優の道だから~。

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で、『世界一難しい恋・第2回』(日本テレビ20160420PM10~)脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。世界一のホテルを目指す「鮫島ホテルズ」の社長・鮫島零治(大野智)は恋をしている。しかし・・・恋に慣れない零治にとって・・・恋は非常に難解なのである。恋って・・・なんだよ・・・と思わずにはいられない。どう考えても・・・童貞のような王様の恋だった。恋されたのは絶世の美人・・・社長室企画戦略部の新入社員・柴山美咲(波瑠)である。その胸中は・・・全くの闇に閉ざされている。その上・・・王様には経験していない・・・様々なことを経験しているようなのだ。とにかく・・・王様は・・・美咲のおかげで嫌いだった牛乳が飲めるようになりました・・・。

「え・・・ベルギー人のガブリエルってなんだよ」

「三浦からの情報です」

「三浦って・・・」

「社長室企画戦略部の三浦です」

「あ・・・なんとなく・・・記憶がある」

零治は秘書の村沖舞子(小池栄子)の助言に従い・・・三浦(小瀧望)を呼び出す。

「新人二人の様子はどうだ・・・」

社長室企画戦略部には美咲とともに新入社員の堀まひろ(清水富美加)が配属されている。

「二人とも素敵です・・・」

「何か・・・問題を抱えているとか・・・たとえばプライベートでは・・・」

「柴山さんは・・・ベルギー人のミルコと別れたばかりのようです」

「ミルコ・・・ガブリエルじゃないのか・・・」

「ガブリエルではなくて・・・ミルコのようです」

「・・・別れたって」

「柴山さんが振ったみたいですが・・・ミルコがしつこく電話をかけてきて・・・口論してました」

「・・・そうか」

「しかし・・・社長が・・・何故・・・そんなことを・・・」

「社員のことを知るのは・・・社長の務めだ」

「さすがです」

「このことは・・・極秘のプロジェクトだ」

「はっ」

絶望する零治だった。

「どうなされました」

「無理だ・・・」

「何がです・・・」

「ベルギー人と交際してた女なんか・・・嫌だ」

「何故です・・・」

「何故って・・・そんな女・・・とんでもないだろう」

「どこがです」

「日本人なら日本人と付き合うべきじゃないか」

「お言葉ですが・・・社長・・・私はかってハワイの人と付き合っておりました」

「え・・・」

「まして・・・彼女はパリ生活が長いので・・・当然のことかと」

「だからって・・・ベルギー人と付き合ってた女なんて・・・」

「何がいけないのです・・・ベルギー人と比べられたら困ることがおありですか」

「・・・」

「問題なのは・・・彼女が外国人の元カレがいることではなくて・・・社長の器の小ささです」

「何・・・」

「器が小さい・・・もっと彼女の過去を含めて抱擁する心の広さを心がけましょう・・・」

「う・・・」

一方・・・社長室企画戦略部では美咲のとある業務の報告に一同が緊張する。

「松田さんの再就職先が・・・ステイゴールドホテルに決まりました」

「え・・・」

客室係のベテランである松田(美保純)は部下の不始末の責任をとらされ零治に解雇されていた。

しかし・・・ステイゴールドホテルは業界トップであり・・・なにより・・・経営者の和田英雄(北村一輝)はなにかと・・・零治を揶揄する天敵だったのである。

「何か・・・問題がありますか・・・」

「社長が・・・怒るぞ」

「何故・・・」

「・・・そういう人だから」

業界紙のインタビューのために招かれた零治は和田の口から松田の件を聞かされ・・・激昂する。

「うちの元社員を雇用して・・・うちの経営のノウハウを盗む気か」

「業界トップのホテルが・・・19位のホテルから・・・何を盗むと・・・」

「うちは・・・13位だから」

「頑張ってトップ10入りを目指したまえ」

「・・・」

帰社した零治は美咲を呼び出すのだった・・・。

「どういうことだ・・・」

「何か問題でも・・・」

「よりによって・・・なんで・・・ステイゴールドホテルなんだよ」

「松田さんを解雇したのは社長ですし・・・再就職先に最高の条件を提示するのは担当の私の仕事です」

「・・・」

「松田さんから・・・爪楊枝袋を預かってきました」

「・・・」

「松田さんは・・・社長の仕打ちを怨みもせずに贈り物をする・・・心の広い人です・・・私はナムルのもやしのために爪楊枝を使用します」

美咲の正論に言葉を失う・・・零治だった。

しかも・・・美咲の顔を見るだけでときめいてしまう零治・・・。

秘書は助言する。

「いまこそ・・・社長のお心の広さが試されているのです」

零治は・・・菓子折を持って・・・和田の元へ出向く。

「どういう風の吹きまわしかな」

「元社員のことを再就職先の経営者に頼むのは・・・社長として当然の仕事だ」

雨の日・・・社長は社員のために傘まで用意する。

そして・・・本社の前に捨てられた仔犬も拾うのだった・・・。

どこに捨ててんだよ・・・。

まあ・・・すべては・・・誰かの差し金かもしれないがな。

「ふう・・・」

ため息をつく社長。

「どうしたのです・・・」

「俺はただ・・・彼女ともっとおしゃべりしたいんだ・・・」

秘書は助言する。

「それなら・・・デートを申し込むのです」

「デート・・・そんなの無理だよ」

「タイムリミットが迫っていますよ」

「・・・」

犬の散歩を装って休日出勤の美咲にアプローチする零治。

「いくらなんでも無理があるんじゃないのか」

お抱え運転手の石神剋則(杉本哲太)は苦言を呈する。

「社長は・・・なるべく自然に出会いたいのよ」

「不自然にも程があるじゃないか・・・」

しかし・・・なんとか美咲に声をかける零治。

「ご苦労だね」

「社長は・・・」

「犬の散歩だ・・・」

「そうですか」

「君に頼みたいことがある・・・」

「はい」

「犬の名前を一緒に考えてくれ」

「なぜ・・・私に・・・」

「三十代の男と二十代の女が・・・犬の名前を考えるのにちょうどいいというデータがある」

「はあ・・・わかりました」

参考のために・・・犬と美咲のツーショット写真を撮影し・・・ときめきまくる零治だった・・・。

かわいいぞ・・・零治・・・かわいいぞ・・・。

・・・そっちかよ。

男心は男にだけわかります・・・。

しかし・・・そこで・・・犬を零治に押し付けた天使の子供たちが・・・犬の飼い主を連れてくるのだった。

「そんな・・・今さら・・・」

「どうもありがとうございました」

「しかし・・・まだ名前もつけてないのに・・・」

「ポチですよ・・・うちの子は」

「・・・」

失意の零治は素晴らしいインターネットの世界で犬の購入を検討する。

「社長・・・犬を購入している場合ではありません」

「だって・・・」

「社長はまだ・・・彼女が心から望んでいることを・・・実行していません」

「そんなこと・・・あったかな」

「社長は彼女に・・・懇願されていましたよ」

「あ」

零治は会議で発言した。

「もしも・・・松田くんが・・・社に戻ることを望んでいるなら・・・そうしてくれ」

一同は・・・喜んだ。

もちろん・・・美咲も喜んだ。

松田は・・・清掃員として復帰する。

喜んで出迎える従業員一同・・・。

「あんなに・・・喜ぶことなのか」

零治は驚くのだった。

王様には下々の機微はよくわからないのだった。

帰社した零治に美咲が声をかける。

「犬の飼い主が見つかったそうですね」

「うん」

「残念です・・・結構、いい名前を思いついたのに」

美咲は零治に微笑みかける。

天国への階段を登る零治だった。

その頃・・・和田は密偵臭い白浜部長(丸山智己)と密会中である。

「この度は・・・いろいろと面倒をかけまして・・・」

「いや・・・私が本当に欲しいのは・・・別人だからね」

「私ですか?」

「いや・・・柴山美咲さ・・・そもそも・・・パリで最初に彼女を見つけたのは私だ」

和田は悪魔のような微笑みを浮かべるのだった。

とにかく・・・零治の恋の道はまだまだ険しいのである。

そして・・・美咲は銭湯でなかなか入浴シーンを見せないのだった。

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2016年4月20日 (水)

人間目指してがんばりましょう(黒木華)僕のヤバイ妻(伊藤英明)私のクズな夫(木村佳乃)海猿VS山猫(相武紗季)

またかよっ。

今週はしょうがないねえ・・・来週はきっとスッキリするよ。

今季はそれなりに力作がそろっているということなんだよな。

まあ・・・それが全うな仕事かどうかは別としてな。

火曜十時はNHKが脱落して・・・両者が生き残りを賭けて必死なんだよな。

特にフジテレビ(関西テレビ)は必死な感じだよな。

素晴らしいインターネットの世界では映画「ゴーン・ガール」(2012年)との類似性が盛んに呟かれているが・・・まあ、夫の妻殺しとか・・・狂言誘拐とかは・・・古典的なアイディアなので・・・言い出せばキリがないよな。まあ・・・ここまでそっくりで・・・ここまで瓜二つで・・・ということになるとあとは作り手の良心の問題だ。

いざとなったら共感とか影響とかリスペクトとか言いわけはいくらでもできるからな。

そんな作品があるとは知りませんでしたというやり方もあるしな。

まあ・・・とにかく・・・「ダメな犯罪者」とか「ゆとり犯罪者」とかで・・・ツッコミ気質の人たちの期待に応えようとする姿勢はあるのかもしれない。

そういう意味では「ゆとりのパクリ」という深い意味があるという・・・。

で、『僕のヤバイ妻・第1回』(フジテレビ20160419PM9~)脚本・黒岩勉、演出・三宅喜重を見た。ずさんな殺害計画ということでは・・・前季の「ナオミとカナコ」に通じるものがあり・・・全国の配偶者を殺したいほど憎んでいる人たちの潜在的な数値に戦慄を感じるわけである。そういう目で見ると熊本の被害者ドキュメントまで・・・怪しいものを感じだすので注意が必要だ。基本的に「一般の家庭では夫婦愛があふれているのです」を前提に生きたいものだ。まあ・・・愛しているがゆえに芽生える殺意というものもあるわけだが・・・。

資産家の娘・・・真理亜(木村佳乃)を妻としたカフェのオーナー望月幸平(伊藤英明)・・・。

真理亜に五億円の遺産相続があり、三億円で豪邸を立て、脱サラしてカフェをオープンしたのである。

しかし・・・店の経営は上手くいかず・・・良妻すぎる妻にアレルギー反応が出るほどのダメ男である幸平なのである。

カフェの料理を担当する従業員である北里杏南(相武紗季)とお手軽な不倫関係を結んだ幸平は・・・店への追加融資を渋る妻の説得に疲れ果て・・・杏南に唆されて食材から抽出した「絶対にバレない毒」で妻を殺害することを決意する。

毒入りワインを用意して帰宅した幸平だったが・・・自宅の鍵は解錠されていて・・・床には血痕・・・妻は所在不明で・・・テーブルには脅迫状が残されていた。

《二億円を用意しろ・・・警察に通報したら人質の命は保証しない N31》

殺そうと思っていた妻が誘拐された・・・。

「ラッキーじゃないか!」

即座に警察に通報する幸平だった。

どのくらい・・・バカかというと・・・毒入りワインを所持したままで警察を待つくらいである。

駆けつけた警視庁の誘拐担当チーム。

現場を指揮する捜査一課の相馬刑事(佐藤隆太)は最初から疑惑の眼差しを幸平に注ぐのだった。

ひょっとしたら誘拐犯が妻を殺してくれるかもしれないという期待で有頂天の幸平は・・・自分が置かれた危うい立場にも気がつかない。

愛人の杏南から「ワインは始末したんでしょうね」と叱責される始末である。

お隣には・・・さらに怪しい年の差カップルである鯨井和樹(高橋一生)し有希(キムラ緑子)夫妻、真理亜の学生時代の後輩でストーカーのような緒方彰吾(眞島秀和)、幸平の実姉の元夫で興信所を営む横路正道(宮迫博之)なども配置され・・・如何わしい人間関係が醸しだされるのだった。

しかし・・・自分に容疑がかかって動揺し始めた幸平は・・・幸平の実家で幸平の実母の看病をしたり・・・幸平をいかに大切にしていたかを窺わせるレシピノートを発見して・・・知られざる妻の一面を知り・・・妻への愛情を蘇らせる。

・・・いや・・・そんなに簡単に変わらんだろうが・・・。

そして・・・本気で誘拐犯に身代金を払い・・・妻を解放してもらおうと思い立つのである。

ナンバーバラバラの二億円を集めるための一万円札交換会・・・百万円が二百束で二億円である。結構、重いぞ・・・。

これをゴミ袋に入れて犯人が指定する受け渡し場所へ。

次々に変更される受け渡し場所・・・駆けまわる幸平・・・最後はドローンを使われ捜査陣は翻弄される。

しかも・・・途中で犯人の指示に従い・・・幸平は札束をすり替えていた・・・。

まんまと身代金受け渡し成功である。

車内から妻の血痕が発見され・・・幸平の容疑は深まる。

絶望して自殺を図る幸平。

しかし・・・刑事に発見され命拾いである。

「馬鹿なことをするな・・・奥さんが発見されたそうだ」

「妻は生きているんですか」

「衰弱しているが命に別条はないそうだ」

救急車に乗り込む・・・幸平の妻・真理亜の口元には・・・怪しい笑みが浮かぶのだった。

そして・・・謎のマスター(佐々木蔵之介)の元に届く現金二億円。

長い狂言だったなあ・・・。

そして・・・これが毎週続くんだなあ・・・。

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で、『重版出来!・第2回』(TBSテレビ20160419PM10~)原作・松田奈緒子、脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰を見た。裏番組に対して人間の真っ当さに満ちた・・・こちらのコンテンツ・・・清々しいぞ・・・。しかし・・・本来・・・全うとは裏も表も含めたすべてだからな・・・。考えようによっては・・・主人公の前向きさが苦手だという人もいるだろう。そういう人が病んでいるのか・・・健康なのかを考えると・・・いろいろとアレなドラマだとも言えるのだ。

しかし・・・健全な精神だけが・・・健全だとも言えるわけである。

そういう意味で・・・病んでいる大手出版会社・興都館の営業部員・小泉純(坂口健太郎)・・・情報誌の編集を希望しながら営業部に配属され三年が経過し・・・すっかり腐っている。

コミック営業部部長の岡英二(生瀬勝久)に「どんな雑誌を作りたいんだ・・・企画はあるのか」と問われても・・・「急に言われましても・・・」と答えるダメ人間である。

「自分がどこに立っているのかわからない人間はどこにも行けないぞ」と真理を解かれても・・・理解できないのである。

小泉にとって・・・悪いのは自分ではなく・・・常に世界なのである。

書店回りをしている小泉を書店の従業員たちは「幽霊さん」と呼んで蔑むのだった。

「自分は自分なりに精一杯やっている」と思う小泉だが・・・その靴底はすり減っていないのだった。

そんな小泉の元へ・・・黒沢心(黒木華)が営業の仕事を学ぶために週刊コミック誌「バイブス」編集部からやってくる。

小泉は「柔道部出身ということでちやほやされている」心が妬ましい・・・。

しかし・・・澄みきった心は社員として先輩の小泉を師と仰ぎ・・・懐に飛び込んでいく。

気がつけば心に振りまわされ・・・自分を見失う小泉だった。

「書店では小泉先輩は幽霊さんと呼ばれているそうです」

「・・・」

「私なんか・・・編集部では熊ですよ・・・早く人間扱いされたいです」

「幽霊は元人間だけどな・・・」

「お互い、人間目指して頑張りましょう」

「僕は・・・頑張れって言葉・・・苦手だ」

「そうですか・・・私は・・・故障で・・・現役を引退した時・・・周囲に気を使われ過ぎて・・・さびしい気持ちになりました・・・就職が決まって・・・みんなにがんばれっていわれて・・・とてもうれしかったのです」

「・・・」

「でも・・・苦手な人もいるので・・・これからは気をつけます」

「・・・」

爽やかな風に・・・心を洗われる小泉・・・。

なにしろ・・・心は・・・どの書店でも・・・「うちに来てもらいたい」と言われるほどの体力を持っていたのである。

心に引きずりまわされ・・・体力を使い・・・ご飯が美味しくなる小泉だった・・・。

その頃・・・剛腕な営業部長である岡は・・・コミック「たんぽぽ鉄道/八丹カズオ」の売上が幽かに伸びていることを察知する。

「鉄道の人身事故による遅延にチッと舌打ちする主人公が現実から逃避して旅に出かけ・・・人間性を取り戻すという現実逃避の物語」に思わず感動して落涙する岡部長。

「たんぽぽ鉄道・第三巻」の発売が迫っていた。

「これは・・・フェアで・・・盛り上げよう」と決意する岡だった。

まだまだ売れない漫画家であるカズオ(前野朋哉)とフリーランスの契約編集者である菊地文則(永岡佑)はチャンス到来に全面的な協力を誓う。

返本を分割して試し読み冊子を作り、書店に配布する作戦を展開する営業部。

地道な作業に吐き気を感じる小泉だが・・・心は一心不乱に取り組む。

またしても・・・爽やかな風を感じる小泉なのである。

協力的な書店は・・・フェアとして・・・たんぽぽ鉄道推しに積極的に取り組む。

しかし・・・心は・・・「鉄道コーナーとかにも置けないでしょうか」とさらにプッシュする。

「しかし・・・鉄道コーナーの成績にはならないから・・・」と消極的な書店員。

「ですよね」と同意する小泉。

けれど・・・当たって砕けろで・・・鉄道コーナー担当を説得してしまう心なのである。

編集者として・・・現場の盛り上がりをカズオに伝える心。

カズオは即座に御礼メールを発信する。

盛り上がる書店の人々・・・。

小泉は・・・思わず笑顔になってしまう・・・。

(一体・・・俺は・・・三年間・・・何をやっていたのか)

現実を蔑むあまり・・・孤立していたことに・・・小泉は突然気がついたのだった。

ありのままの世界を受け入れなければありのままの自分さえ・・・見えてこない。

ありのままの自分が見えなければ・・・髪型ひとつ直せないのだ。

営業会議に出席する小泉。

「売上はまずまずだが・・・もう一つものたりない」と意見を求める岡部長。

「内容が・・・鉄道ものなので・・・鉄道関係のコーナーにも置かせてもらい・・・好評でした」

小泉は・・・心の発想を紹介した。

「その手があったか・・・」

岡は・・・旅行関係とのタイアップまで視野に入れ・・・購買層の拡大を狙った。

フェアは成功し・・・ついに重版出来となる。

商売なのである。売れれば万歳なのだ。

作者が・・・編集者が・・・営業部員が・・・書店員が・・・一体となって「売れ筋」を構築する。

小泉は・・・自分の仕事を実感した。

小泉の靴の踵はすり減った。

心は・・・オリジナルの「重版出来ダンス」を踊る。

その馬鹿馬鹿しさに・・・小泉は微笑んだ。

心は読者のアンケートの仕事を担当する。

「たんぽぽ鉄道」の人気は上昇中である。

一方で・・・人気投票最下位の成田メロンヌ(要潤)を担当する編集者・壬生平太(荒川良々)は苦悩し・・・顔がドロドロに溶けていく気分に陥るのだった。

それはもはや・・・変顔とは言えないレベルなのである。

そして・・・いよいよ・・・心にも担当漫画家が割り振られる。

はたして・・・それは・・・。

来週はまったりしたいよねえ・・・。

一部お茶の間のための通りすがりの天才美少女漫画家も設定してほしいよねえ。

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2016年4月19日 (火)

KOじゃ!(夏帆)ハムカツコロッケじゃ!(藤原さくら)エンドウ.!(福山雅治)99.9 -刑事専門弁護士-(松本潤)スリング・ブレイドするわ!(榮倉奈々)OUR HOUSE(芦田愛菜)ひとつ屋根の下で愛を止めないで!(シャーロット・ケイト・フォックス)

なんじゃあこりゃあ・・・な日曜日。

熊本地震にエクアドル地震で阿鼻叫喚の世界に鞭打つ仕打ちである。

収拾がつかないとはこのことだ・・・。

とりあえず・・・「ゆとりですがなにか」は最後の谷間勝負においておいて・・・残りの二本を(月)枠で処理である。

双方ともに・・・素晴らしいエンターティメントに仕上がっているが・・・「焼き直し」ということでは「ラヴソング」系だからな。

時間がないので本題に突入だっ。

で、『99.9 -刑事専門弁護士-・第1回』(TBSテレビ20160417PM9~)脚本・宇田学、演出・木村☺ひさしを見た。冤罪を回避するために・・・国家が総力をあげて犯罪を捜査し起訴するからには・・・有罪率は限りなく100%でなければならない・・・という方針にも関わらず発生してしまう冤罪事件・・・そこに一石を投じたドラマが「HERO」だとすれば・・・主役を検事から弁護士に替えて0.1%の可能性に賭け・・・逆転無罪を勝ち取るというのが・・・このドラマ。異色の弁護士が同僚たちを洗脳していくというスタイルもそのままである。これに「TRICK」シリーズの演出風味を付け加え・・・フジテレビだかテレビ朝日だかわからないミックス・ジュースに仕上がっている。とにかく・・・楽しいのだ。

刑事事件専門の深山大翔(松本潤)は「被告が有罪か無罪かは関係ない・・・真実も必要ない・・・大切なのは事実である」という信念に基づき・・・司法試験浪人生活20年のパラリーガル・明石達也(片桐仁)をアシスタントに・・・実証実験的捜査を積み上げ・・・担当検事を歯ぎしりさせる検察側にとってはちょっと嫌な感じの弁護士である。

もちろん・・・無実の罪を逃れた被告にとっては天使なのだ。

大手法律事務所の所長・斑目春彦(岸部一徳)は日本弁護士連合会の会長の座を狙い、社会貢献の実績をアピールするために・・・刑事事件専門ルームを立ち上げる。

東大法学部出身で斑目法律事務所のエースである企業法務のプロフェッショナル・佐田篤弘弁護士(香川照之)は経営パートナーへの昇格という餌に釣られ刑事事件専門ルームの室長を引き受ける。

東大法学部出身で斑目法律事務所の優等生・立花彩乃(榮倉奈々)もまた斑目所長の命令で刑事事件専門ルームの一員となる。

佐田弁護士のパラリーガル(弁護士の助手的存在)である戸川奈津子(渡辺真起子)や藤野宏樹(マギー)もルームの一員となる。

「お金にならない」刑事事件の弁護にモチベーションが上がらない一同。

そのために・・・斑目は大翔をヘッドハンティングしてルームに送り込むのだった。

東京地方検察庁の検事正である大友修一(奥田瑛二)になにやら・・・因縁のあるらしい大翔は明らかに・・・検察の起訴をつぶすことで一矢報いている気配である。

あくまでマイペースで・・・独自の捜査を展開する大翔にいつしか・・・引きずられ、巻き込まれていく・・・刑事事件専門ルームのメンバーたち。

「監視カメラに絶対顔が映らないように行動している犯人」の不自然さを大翔が指摘すると・・・立花彩乃(榮倉奈々)は体を張って再現VTR作りに邁進するのだった。

つまり・・・明石と立花はライバルとなったのだ・・・違うぞ。

最初の事件は・・・ネットショップ社長の殺人事件。容疑をかけられたのは下請けの運送会社の経営者・赤木義男(赤井英和)だった。

赤木は犯行時のアリバイがなく・・・赤木の指紋のついた凶器も発見され・・・被害者の妻(堀内敬子)の目撃証言もある。

もちろん・・・堀内敬子が演じている以上・・・被害者の妻が真犯人なのである・・・おいっ。

照明による色彩認識の錯誤という古典的な偽証暴きのトリックで一件落着。

赤木を装ったのは使いこみがばれた社員(田中要次)で・・・夫の家庭内暴力に悩んでいた妻との共謀だったのである。

起訴に絶対的自信を持っていた東京地方検察庁の検事・丸川貴久(青木崇高)は涙目で「ちかえも~ん」と叫ぶのだった・・・おいっ。

もちろん・・・大翔に心を奪われた立花彩乃はプロレスの旋回式ネックブリーカー・ドロップに似た技・スリング・ブレイドを仕掛けたいと宣言するのだ。

まあ・・・愛なのである。

そういうわけで・・・「HERO」ファンや「TRICK」ファンは釘付けである。

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で、『OUR HOUSE・第1回』(フジテレビ20160417PM9~)脚本・野島伸司、演出・永山耕三を見た。水曜夜十時の枠で日本テレビに敗北したフジテレビが・・・日曜夜九時にTBSにケンカを売りに来たわけである・・・一回、負けてるよな・・・。今度こそはと意気込んで打ち切りになったドラマチックサンデー枠で「マルモのおきて」「ビューティフルレイン」とまあまあの実績をあげた当時最強子役の芦田愛菜と朝ドラ「マッサン」の妻でおなじみシャーロット・ケイト・フォックスのタッグチームが「ひとつ屋根の下」のようなものを繰り広げるわけである。出演者がその後不祥事を起こさないことを祈りたい気分である。

ホームドラマとしては安定の仕上がりであり・・・野島伸司と橋田壽賀子の区別さえ困難な感じがする・・・おいおいっ。

ある意味・・・こっちがTBSテレビみたい・・・である。

あくまで・・・妄想的感想です。

とにかく・・・他に枠はないのかと問いたい。

まあ・・・ないんだけどね。

焼き鳥屋を経営している三上丈治(塚本高史)がサックス演奏者の伴奏太(山本耕史)を鉄拳制裁である。

「喪に服すという気持ちはないのかよ・・・ガッカリさせんなよ」

丈治の姉で・・・奏太の妻である蓉子(渡辺舞)は半年前に・・・病死したばかりである。

それなのに・・・丈治は演奏旅行先で知り合った米国人のアリス・シェパード(シャーロット・ケイト・フォックス)とラスベガスの教会で結婚式を挙げ同伴帰国したのであった。

しかも・・・アリスには妻が半年前に死んだことも子供が四人いることも打ち明けていなかったのだ。

まあ・・・名前が絆創膏みたいなので・・・傷口を保護しようとしたわけなのだろう。

四人の子供は・・・中学3年生の光太郎(加藤清史郎)、小学2年生の新太郎(寺田心)、幼稚園の年長組の桃子(松田芹香)・・・そして、中学1年生の桜子(芦田愛菜)である。

父親の・・・傲慢な愛の行使に・・・反発する桜子はアリスを「敵」として認識し、追い出し作戦を開始するのである。

伴家には・・・桜子の祖父の奏一郎(橋爪功)や夫(高山善廣)の浮気疑惑で短期出戻り中の奏太の姉・琴音(松下由樹)も同居中でてんやわんやである。

事情を知って家出したアリスを連れ戻す奏太である。

「ここが・・・君のフロンティアだ」

「まるめこもうとしているのデスか」

「そこに愛があるから・・・仕方ないのさ」

まあ・・・山本耕史なら・・・どんな暴挙も許されるとでも・・・誰かが思っているのかな。

桜子は噛みつき癖のある妹を新婚夫婦(未入籍)の寝室に送り込むのだった。

オフコースが流れ出すと・・・ここが21世紀なのか・・・自信がなくなってくる展開である。

とにかく・・・ほんわかホームドラマでこれはこれで楽しいぞ。

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で、『ラヴソング・第2回』(フジテレビ20160418PM9~)脚本・倉光泰子、演出・西谷弘を見た。ここにくるまでにかなり・・・消耗したぞ。ハンディキャップを持った主人公が歌姫を目指すということでは「タイヨウのうた」(2006年TBSテレビ)の焼き直しと言えないこともないこのドラマである。さらに遡れば児童養護施設で育った歌姫の「愛をください」(2000年フジテレビ)もある。しかし、「HERO」のような弁護士のドラマや、「ひとつ屋根の下」のような前妻の娘VS後妻合戦よりも・・・脚本やキャストの初々しさで・・・月曜日のレギュラー・レビューはこれで進行する予定である。

言語聴覚士である宍戸夏希(水野美紀)の協力で・・・神代広平(福山雅治)は言葉が円滑に話せない小児期発症流暢障害(吃音症)であり、親に捨てられた過去から・・・心に闇を抱える自動車整備士の佐野さくら(藤原さくら)に歌う喜びを知らしめる。

しかし・・・広平自信も・・・夏希の姉であり・・・歌手だった宍戸春乃(新山詩織)に関連した過去によって生じた心の闇を抱えている。

その詳細もそろそろ明らかにしてもらいたいものだが・・・それを語ると最終回なのかもしれない。

一方で・・・孤児院的な養護施設育ちのさくらには・・・歯止めのない愛への飢餓感があり・・・広平の示す「優しさ」にすでに溺れ始めている。

その愛の深淵に・・・広平は気がつかない。

それでも・・・さくらの窮状を放置できない広平は臨床心理士としてアプローチを続ける。

立ち食いそば屋にさくらを誘った広平は・・・発声して注文ができないことをあえて詰る。

「本当は何を乗せて食べたかったの」

「コココココココココ・・・コロッケと・・・ハハハハハハハ・・・ハムカツ」

「それにかかる時間は七秒だ・・・七秒に耐える勇気を出せば・・・食べたいものを食べることが出来る」

「・・・」

夏希は治療の一環として・・・「500マイル」の替え歌を・・・さくらに作詞させる。

立ち食いそば屋に連れて行かれた

ほんとはハムカツとコロッケ乗せて食べたかった

七秒間の勇気があれば

勇気があれば勇気があれば勇気があれば

おまえの家でもたずねてみることもできるだろう

「おまえの家/中島みゆき」が混ざってるぞ。

仄かに広平を想う夏希は・・・ライブハウス「S」での出演者募集に言及し、広平のギター伴奏によるさくらのステージ・デビューを提案する。

しかし・・・ギターを弾くことに心理的な抵抗がある広平はそれを拒絶。

「広平のギターで歌いたい」というさくらの淡い希望を打ち砕く。

さくらは・・・「歌う」ために・・・孤児院仲間の天野空一(菅田将暉)に売り付けたギターを取り戻したが・・・それを路上で叩きこわすのだった。

「ああああああああ」と叫ぶさくら。

電車の中で・・・広平に保護者系の壁ドンをされたさくらは・・・姉代わりの中村真美(夏帆)に「デートみたいなことをした」と報告する。

「さくらの気持ちがわかったよ」

「・・・」

「少し・・・さびしくなった」

さくらを「ビッグモービル」に斡旋した営業部員の野村健太(駿河太郎)との結婚を控える真実は・・・さくらの気持ちを労わる。

しかし・・・直後に出血して失神する真実。

さくらは・・・吃音(どもり)のために・・・救急車を呼ぶことができないのだった。

「どうしました・・・」

「ししししししし出血・・・」

「意識はありますか・・・」

「ししししししし死んじゃう」

「住所を教えてください・・・」

「とととととととととと・・・・ととととととと」

さくらは広平と空一にメールを送信するる

しかし・・・広平は入浴中。

空一は調理師専門学校の事務員・渡辺涼子(山口紗弥加)に欲情中だった。

部屋を飛び出し、通行人に救いを求めるさくら。

「たたたたたたたたた」

しかし・・・人々は逃げ出すのだった。

漸く・・・広平が駆けつけ・・・病院に搬送される・・・真実。

幸いなことに・・・真実も胎児も無事だった。

「すぐに・・・来れなくてすまなかった・・・」

「むむ無駄だ・・・いいいい一秒の勇気も・・・むむむむむむむ無駄だ・・・なななな何もかかかかか変わらない」

広平の心は乱れる。

「S」では若手バンド「GEEKS」のボーカル(エンドウ.)が未熟な歌を披露する。

俺の歌でクソみたいな世界を変えてみせる

広平は・・・拙い歌にこもった熱に心を揺さぶられた。

広平はギターを持ってさくらを訪ねる。

「君はぼくのこと・・・どう思っている?」

「こここここ心がどどどす黒い・・・はは腹黒い・・・わわわ若ぶったくくくくくそ野郎・・・くくくくくそじじい・・・」

「それを歌ってみるがいい」

広平はギターを奏でた。

さくらは歌った。

ジミヘンなんて知らないよ

広平の目に・・・さくらは・・・宍戸春乃として映る。

夏希はつぶやく・・・。

「さくらちゃんと・・・ステージにあがらないのは・・・いいことかもね・・・さくらちゃんが・・・お姉ちゃんみたいに・・・コー兄ィに利用されなくて済むもんね」

広平と春乃の秘密を・・・さくらはまだ知らない。

ただ・・・広平への恋心があふれて・・・とまらないのだ。

さくらの迷子が見失った親を求めるような・・・哀しい愛の形・・・。

100・・・200・・・300・・・400・・・

思い出数えて 500マイル

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2016年4月18日 (月)

誰かが誠実さを誓う時・・・心にもない嘘だとわかっていても信じないとは言えないものでしょう(長澤まさみ)

疲れ果てていることは誰にも隠せはしないわけで・・・それでもがんばっている人たちにせめて優しくしてあげたいと思う人が一番疲れていることもあるけれど・・・。

(日)が固めてきたので・・・一瞬、真田丸の牙城が揺らいだよ。

いや・・・そういう比喩もおっかなびっりだよ。

まあ・・・どんな苦しみもいつかは終わる。

少なくとも百年くらいで・・・。

あの光景を見れば・・・運がいいとか悪いとか・・・そういうことって確かにあると思うよね。

70年代フォークから離れんか・・・。

幻想の秀吉ファミリーが通りすぎていく。

支配者たちは税の取り方について議論する。

「とにかく・・・搾取するわけだからさ」

「だよね」

「出来る限り平等にしぼりとろうと思うんだ」

「だよね」

「そして・・・パッと使いたいよね」

「だよね」

で、『真田丸・第15回』(NHK総合20160417PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は織田信長の継承者にして簒奪者・・・戦国時代の終焉を告げ・・・日本の土台を構築した男・羽柴秀吉の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。この男に子種があったなら・・・日本は違う国になっていたのか・・・おい・・・この男に子種があったなら・・・こんなに出世していなかったのか・・・おいおい・・・とにかく・・・この男がいなかったなら・・・大阪で生まれた女は生まれなかったかもしれないのでございますよねえ・・・おいおいおい。

Sanada015天正十一年(1583年)、蒲生氏郷は織田信長の娘・冬姫との間に蒲生秀行を儲ける。天正十二年(1584年)、織田信忠の嫡男・秀信(三法師)は丹羽長秀の坂本城に移る。天正十三年(1585年)四月、丹羽長秀病死。後継者の丹羽長重は越中征伐中の罪で百二十三万石の大名から若狭国十五万石にランクダウン。織田信長の次男・信雄は羽柴秀吉に臣従。信長の弟・織田長益は徳川家康の元へ秀吉に臣従を促す使者となる。十二月、信長の四男で秀吉の養子になった正三位・権中納言羽柴秀勝は丹波亀山城で病死する。これにより・・・羽柴秀吉は織田信長の血脈から完全に解放された。天正十四年(1586年)五月、真田昌幸は徳川領の佐久へ侵攻。北条勢は沼田城を攻めるが矢沢父子によって撃退される。六月、上杉景勝は上洛し、左近衛少将に任じられる。秀吉は景勝へ上野国の領有権放棄を命じ、上野国沼田における真田昌幸の領土が確定し、信州上田領と併せ真田昌幸は豊臣政権下における大名として確立する。七月、徳川家康は真田征伐のために甲府に出陣。秀吉は両者の戦いを一時静観する。

真田信繁が大坂城に人質として入って半年が過ぎようとしていた。

すでに大坂を中心とした秀吉政権とも言うべき機構が朧げな姿を見せている。

かって信繫が見た安土城の繁栄を上回る活況が大坂城下に出現している。

信長存命中は・・・まだ中国、四国は平定されておらず、十年続いた本願寺や武田、上杉との戦いがようやく終焉しつつあるという状態だった。

しかし、今や、中国も四国も平定され、上杉も秀吉の臣下となった。

主筋である織田家の人々も・・・すでに大半が秀吉を天下人と認めていた。なにしろ・・・身分的には秀吉は雲の上の存在なのである。

その中で・・・信州の土豪に近い真田家の人質など・・・庭の小石のようなものだった。

だが・・・信繫の分析とは別に・・・秀吉は真田家に注目していた。

忍びである信繫は・・・その目が・・・絶えず自分を見ていることを感じている。

上杉主従が京の都を通過して大坂に到着したのは梅雨明けの気配が濃い夏の昼下がりであった。

信繫は・・・関白家における真田担当官と言える大谷吉継の家臣である諸角太助に声をかけた。

「上杉景勝様が・・・入城されたと聞く・・・かって・・・縁深い方であるので・・・ご挨拶申し上げたいが可能であろうか・・・」

「殿に申し伝えまする」

「かたじけない・・・」

豊臣家における人質の生活は・・・窮屈なものではなかった。

大坂城下には・・・無数の大名屋敷が建てられ・・・信繫が大坂にやってくる前から・・・真田屋敷さえ用意されていた。

その屋敷は・・・上田城の昌幸の居室よりも豪勢だった。

家臣の控えの間にまで畳が敷かれていたのである。

信繫は・・・秀吉という天下人の底知れぬ配慮というものを思わずにはいられなかった。

質素な生活になれた信繫の郎党たちは・・・畳の上の生活に戸惑った。

その上で・・・信繫たちは自由の身でさえあった。

夜毎に訪れる使い番である諸角太助などに点呼をとられる他は門外にさえ出られるのだ。

信繫がこれまで過ごした武田家や上杉家の人質としての待遇が嘘のようである。

その夜・・・真田屋敷に・・・大谷吉継は・・・秀吉を伴って現れた。

「殿下でござる」

吉継に云われ・・・信繫は平伏した。

関白などという身分のものに接したことはないので・・・どのように振る舞っていいのかもわからない。

「楽にいたせ」

困惑する信繫の心を読んだように秀吉は柔らかい声で言った。

「真田源次郎信繫でございまする」

「秀吉じゃ・・・面をあげよ」

信繫は・・・噂通りに小男の秀吉を見た。

五十を目前にしている男には見えず・・・その体からは若々しい精気が発している。

「ふふふ・・・そうか・・・儂は若く見えるか」

信繫は心を読まれていることに気が付き緊張した。

「まだまだ・・・稚いの・・・忍びはもう少し・・・心を秘めねばならぬ・・・どうじゃ・・・儂の心が読めるか」

信繫は気を凝らした・・・しかし・・・秀吉の心はまったくの霧の中だった。

「ついて・・・参れ」

秀吉は屋敷から飛び出した。

思わず信繫も走り出す。

信繫は佐助や才蔵が追ってくるのを制した。

「相手は殿下おひとりじゃ・・・」

秀吉は・・・猿飛の術の達人である。

大名屋敷の屋根を飛び、城門を越え、天守閣へと飛翔する。

信繫はついて行くのがやっとであった。

天守閣の最上階にたどり着いた秀吉は屋内に入っていた。

そこに控えているのは秀吉の十人の小姓衆である。

「ふふふ・・・なかなかやるの・・・」

秀吉は振り返った。

小姓が秀吉に水の入った盃を捧げる。

「石清水じゃ・・・」

信繫は奨められた盃の水を飲み干す。

熱気を払うような冷たさである。

「どうじゃ・・・うまかろう・・・氷室の氷で冷やしてあるでのう」

「は・・・」

「まあ・・・このような贅沢は忍びには無用のものじゃ・・・しかし・・・儂も天下の大半を治める身・・・このぐらいはよかろうの・・・」

「・・・」

「そなたの父親の身上は僅かなものじゃが・・・徳川勢を退けた戦働きは見事なもの・・・」

「恐れ入りまする」

「しかし・・・家康殿は食えぬ男じゃ・・・本人が出馬して・・・その気になれば・・・真田を根切りにすることにもなろうず」

「信州で戦わば・・・真田のものは・・・勝てずとも負けることはなかろうと存じます」

「ふふふ・・・申すのう・・・儂としては真田と徳川がやりあっていたみ合うのも美味みがある・・・しかし・・・もったいないことじゃ」

「もったいない・・・」

「家康殿には古い恩義もあるでのん・・・そこで出来れば双方を手打ちさせたいのじゃ」

「・・・」

「儂と勝負して儂が勝ったら・・・御父に文を出してもらおうぞ・・・」

「・・・」

「さあ・・・儂をつかまえてみせよ」

次の瞬間・・・秀吉は天主閣から飛び出し・・・宙を舞う・・・。

秀吉はそのまま大地に立つ。

信繫はその術を真似することはできなかった。途中の屋根を跳躍し・・・漸く秀吉の元へたどり着く。

しかし・・・そこにあるのは秀吉の衣装のみであった。

「あはははは」

ふりかえると天主閣では秀吉が高笑いしている。

「見たか・・・比翼空蝉の術・・・」

信繫は平伏した。

位でも負け、術でも負けた以上・・・忍びは相手に服従するしかない。

そうでなければ命を失うのだ・・・。

徳川勢とにらみ合う昌幸の元へ・・・信繫から文が届く。

まもなく昌幸は大久保兄弟の籠る佐久小諸城の包囲を解き・・・上田城に引き上げた。

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2016年4月17日 (日)

コントレール~罪と恋~(石田ゆり子)鍵を握る女(桜庭ななみ)

4月14日21時26分頃の最大震度7(M6.5)が前震に変更されて4月16日01時25分頃の最大震度6強(M7.3)が本震として発生・・・。

「お迎えデス。」は次週に持ち越しである。

まあ・・・タイトル的にもあれだからな。

そのために・・・レビュー予定のなかったコレである。

ある意味・・・コレだっていつ・・・この手の事件が・・・。

まあ・・・ノンフィクションの世界がフィクションの世界に介在しない世の中を希望したい。

無差別殺人事件の犯人が・・・被害者の遺族と恋に・・・。

これだけでは・・・とんでもないドラマとしか言いようがないが・・・実際はもう少し大人しいのである。

犯人は・・・巻き込まれて不可抗力の事故で・・・未亡人となる主人公(石田ゆり子)の夫に手をかけてしまったのである。

全然、違う話じゃないか・・・。

まあ・・・石田ゆり子(46)が恋に悶える役を演じるということでは・・・とんでもない感じではあります。

まだまだ現役か・・・。

裏では「松本清張スペシャル 一年半待て」で石田ひかり(43)が夫殺しの妻を演じていた。

石田姉妹恐るべし・・・。

で、『コントレール~罪と恋~・第1回』(NHK総合20160415PM10~)脚本・大石静、演出・柳川強を見た。妻や母である前に女・・・というのは永遠の主題のひとつであるが・・・それが・・・罪であるのは・・・配偶者や・・・子に与える心理的な影響が大きいからである。未亡人の場合には・・・罪の度合いはある程度薄れるが・・・父親以外の男を愛する母親を息子はどうしても「雌犬」と感じるわけである。この時に記憶される「雌犬複合体(ビッチコンプレックス)」は必ず息子の将来に禍根を残すわけである。息子が成長して女性を愛するようになっても・・・必ず・・・相手に「雌犬(ビッチ)」を見出してしまうからだ。まあ・・・それはそれで一種の性的刺激として克服すれば問題はないのである。

所詮、女と言うものはビッチであり、だからこそ愛しい存在なのだからな・・・おいっ。

6年前・・・東京都品川のオープンテラスに一人の狂人が出現する。

血に飢えた青年が・・・出刃庖丁を取り出し・・・「生」を楽しむ人々を無差別に殺傷した。

篠崎圭子(桜庭ななみ)も犠牲者の一人になりかかるが・・・愛人の青木敦(丸山智己)が盾となり命拾いをする。

通りかかった弁護士の長部瞭司(井浦新)は敦と協力して狂人を取り押さえようとするが、犯人から奪った包丁で過って敦の頸動脈を切断してしまう。

敦は即死・・・不可抗力でありながら・・・人命を奪ってしまった瞭司は罪の意識に慄く小心者なのである。

空にはひこうき雲(コントレール)がかかっていた。

敦が愛人とデートしながら・・・妻に「ひこうき雲」の画像を送信した直後の出来事である。

取調にあたった刑事の佐々岡滋(原田泰造)は瞭司に宣告する。

「目撃者はみんな犯人が彼を殺したと証言しているし・・・あなたを罪には問えません」

「・・・」

瞭司の父親は法曹の世界の大物であり・・・警察には無言の圧力もかかっていた。

夫の死を聞き、駆けつけた青木文(石田ゆり子)は夫が見知らぬ女にイニシャルK.S.入りのブレスレットをプレゼントしようとしていたことに愕然とするのだった・・・そこなのかっ。

文は夫の子供を妊娠中だった・・・。

六年の歳月が流れる・・・。

件の無差別殺人犯は死刑になった。

文が亡き夫と経営していたドライブイン「コントレール」は西部劇の砂漠の真ん中にあるような「荒廃」を漂わせている。

「コントレール」は湘南地方にあるようだが・・・最近、県道が開通してドライバーたちのルートが変わり・・・店には閑古鳥が鳴いているのである。

あまり・・・空気を読まないタイプの親友・田渕さゆみ(堀内敬子)は従業員として文を元気付けるが・・・文の心はあれ以来・・・懊悩を続けている。

夫の不慮の死よりも謎の愛人の存在が気にかかる文だった。

夫の母親の英恵(野際陽子)は・・・そういう嫁の気持ちには気がつかず・・・文が出産した孫の友樹(松浦理仁)を「息子の生まれ変わり」と信じて溺愛している。

文は・・・浮気していた夫の母親を心底疎ましく思っていた。

そんな・・・文を・・・事件以来・・・佐々岡刑事は支えていた。

もちろん・・・下心があるわけだろう。

友樹は・・・佐々岡刑事にすっかり懐いていた。

周囲は・・・文が佐々岡刑事と再婚するのだろうと憶測している。

しかし・・・文は・・・六年たった今もただただ「浮気した夫」を憎悪しているのである。

ただ・・・それだけなのである。

雌犬だからな・・・。

佐々岡刑事は・・・夫への復讐相手としては物足りないのだった。

「トンネルの崩落事故が起きて・・・今日は客が押し寄せるよ」

佐々岡刑事は朗報を伝える・・・。

「・・・」

しかし・・・文の心はそんなことでは晴れないのだ。

崩落事故は前日オンエアなのでセーフなのである。

一方、瞭司は・・・裁かれなかった殺人の罪をもてあまし・・・失語症となって・・・トラックドライバーになっている。

県道を塞がれ、抜け道をたどる瞭司。

見上げる空にひこうき雲。

飛行機雲は英語でcondensation trail(凝結したガスの痕跡)・・・略して「contrail(コントレイル)」である。

ちなみに精神分析ではcondensationは圧縮された混合記憶を意味する。

たとえば「嫉妬」と「事件」が入り混じる嫌な「感じ」である。

瞭司の場合は「混乱」と「罪」が入り混じり・・・精神状態を圧迫するらしい。

(ひ・・・ひこうきぐも・・・ひ・・・ひとごろし)

眩暈を感じた瞭司は・・・トラックのハンドルをきり、ドライブイン「コントレール」の看板を粉砕する。

文は・・・危険な運転に憤りながら・・・爽快感を感じる。

重い看板は・・・夫の遺品であり・・・夫憎けりゃ夫の手作り看板も憎いのだ。

「ちょっと・・・何してんのよ」

「・・・」

しかし・・・運転席の男は蒼白だった。

「待って・・・水をもってくるから・・・」

文は・・・瞬間的に・・・男を自分の相手として不足なしと見定めていた。

文は瞭司に恋をしたのだ。

ビッチだからである。

コップに水を汲んで戻る文・・・。

しかし・・・トラックは走り去っていた。

文は喪失感にうろたえる。

ドライバーたちの航路が変わり・・・店は賑わう。

しかし・・・文はただ・・・男を待っている。

やがて・・・閉店後の店に瞭司が戻ってくる。

瞭司は筆談用のノートを持っている。

(弁償します)

文は男の渡す金を受け取った。

「カレー・・・食べる?」

文はカレーを食べさせた。

「体は大丈夫なの?」

(あの時はひこうき雲が見えたから)

書きかけて瞭司は答えを変更する。

(もう大丈夫です)

小道具として・・・カレーは最初からずっと明示されている。

ドライブインの定番メニュー。

そして忌まわしい夫との思い出の一品。

そのカレーがはねて瞭司の制服に滲みをつける。

洗面所で滲みを落した瞭司はノートを忘れる。

さすがの・・・小道具の使いまわしである。

文は・・・愛しい男のノートを覗き見て・・・「ひこうき雲」というフレーズに慄く。

文の傷心は「ひこうき雲」の画像に圧縮されているのだった。

文はノートに・・・「また来てね」とラブレターをしたためた。

瞭司はカレーを食べにやってきた。

文はノートを返す。

「この店は・・・コントレール・・・ひこうき雲という名前なの」

驚く瞭司。

ひこうき雲は・・・瞭司にとって・・・殺人の象徴だった。

店を飛び出す・・・瞭司に・・・文は唖然とするのだった。

「恋をしているのですか・・・」

佐々岡刑事は・・・文の心を察知する。

「・・・」

「私は・・・いつでも・・・あなたの味方です」

佐々岡刑事は終電で東京に戻って行く。

(残念だけど・・・相手はあなたじゃないの)

文は自分に相応しくない男の背中に語りかける。

文は瞭司の訪れを待ち・・・やってきた亡き夫の母親と諍いを起こす。

「あの刑事さんと・・・再婚すれば・・・私は応援するわよ」

「・・・」

「あの子が生きていれば・・・こんなこと・・・言わないですむのにね」

「そんなことないですよ・・・彼は・・・あの日・・・浮気してたんです」

「え」

「私は・・・それが・・・今も許せない・・・浮気して・・・あんな場所に行って・・・死んで」

「ええ」

「私は彼が憎い」

「えええ」

文は店を飛び出して叫びながら走る。

瞭司は「コントレール」という名の店をスルーしつつ・・・走る女に気がついた。

思わず・・・車を停車させ・・・夜の海岸に走り去る女を追う瞭司。

「・・・」

「どうして・・・来てくれなかったのよ・・・」

「・・・」

「キスして・・・」

「・・・」

戸惑う瞭司の唇を強引に奪う文。

ビッチだからな。

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2016年4月16日 (土)

私 結婚できないんじゃなくて、しないんです(中谷美紀)終わったな(藤木直人)ナイトヒーロー NAOTO(黒島結菜)帰ります(黒川芽以)

さて・・・なんだかんだ・・・リーチがかかっているわけである。

あっという間にスケジュールが埋まって行く。

検討してみよう。

(月)「ラヴソング」(仮)

(火)「重版出来!」(仮)

(水)「セカムズ」(仮)

(木)「グッドパートナー無敵の弁護士」(未定)

(金)?

(土)「お迎えデス。」(未定)

(日)「真田丸」

・・・ほら・・・もう・・・完全に埋まってるじゃないか・・・なにしろ、(日)は「ゆとりですがなにか」があるのである。

だから・・・昨日・・・地震で「早子先生」ができなかったことは・・・もう・・・運命だとしか・・・ねえ。

で、『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです・第1回』(TBSテレビ20160415PM10~)原案・水野敬也、脚本・金子ありさ、演出・塚原あゆ子を見た。津波を伴う地震じゃなくて・・・命拾いをしたよな・・・略して「できしな」って・・・「溺死な」で完全にアウトだったよな。とにかく・・・そういう「死線」を彷徨うコンテンツである。と言っている間にも津波注意報だ。01時25分頃・・・最大震度6強(M7.3)発生・・・巨大余震で市役所が崩壊中なのである。もうこっちが本震か・・・今夜も眠れないのか・・・なにしろ・・・脚本家は・・・「花」で「炎上」しているわけである。まあ・・・ある意味・・・ラブコメ風なものに戻れてよかったのか・・・。

未婚をこじらせた主人公・・・ということでは「セカムズ」と対を成しているわけだが・・・こちらのアドバイザーは高圧的である上に・・・ターゲットより格上である。

こじらせた人が39才の独身医師の橘みやび(松井珠理奈→中谷美紀)である。

引きずっている高校時代の初恋の相手が桜井洋介(健太郎→徳井義実)なのである。

つまり・・・主人公のターゲットは・・・洋介なのである。

これに対してアドバイザーは主人公と同じマンションに住んでいる十倉誠司(藤木直人)なのだ。

お笑い芸人と二枚目俳優じゃ・・・勝負は見えているじゃないか・・・。

いや・・・そうとも言えないだろう。

みやびの母親・昭子(夏木マリ)や高校時代の友人・伊藤優里(平岩紙)、職場の看護師・野村梨花(大政絢)という応援団がいて・・・アドバイザーと主人公を結ぶ・・・謎の男・橋本諒太郎(瀬戸康史)がいる。

ワラにもすがる人が手を伸ばす「恋愛の手引き」をドラマにアレンジしているので・・・それなりに楽しいわけである。

だが・・・ラブコメにしろ・・・ラブロマンスにしろ・・・ドラマとは・・・そういう理論ではないのではないか・・・と思わないわけではないのである。

高校時代にラブレターを渡し損ねて・・・失恋したと勘違いして20年の時が過ぎ去ったみやび・・・そういう人が何をどうあがいても・・・だめなんじゃないのか・・・とつい思ってしまうのだ。

ついでに・・・自信に満ちたアドバイザーが・・・すでにエキセントリックで寂しい人生を送っているらしいので・・・結局・・・洋介が「かませ犬」になるのでは・・・と心配するお笑い好きのお茶の間も多数である。

結婚できない男」は「結婚できない女」とほのぼのと結ばれていったが・・・。

他人のアドバイスで・・・ギスギスと結婚しても・・・幸せにはなれない予感で一杯なのです。

まあ・・・豪華メンバーなのでのほほんと見たいと考えます。

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LOVE理論

牛に願いを

で、『ナイトヒーロー NAOTO・第1回』(テレビ東京201604160012~)脚本・森ハヤシ、演出・権野元を見た。「戦隊ヒーロー」と「仮面ライダー」は違うとシンケンレッドと仮面ライダーフォーゼが熱く語っていたわけだが・・・ヒーローとヒーローおタクも違うわけである。もちろん・・・アメコミヒーローの中には・・・スパイダーマンのような「おタク」がスーパーヒーローになってしまう展開もある。

今後の展開を見ないと・・・なんともいえないが・・・ナイトヒーローは・・・スーパーヒーローにはならないようである。

つまり・・・人間ではない・・・物凄いパワーを発揮したりはしないのである。

ただし・・・限りなく実在に近い主人公設定なので・・・「棒」などとは言わせないのである。

なにしろ・・・本人が演じているんだもの。

EXILEのパフォーマーで三代目J Soul Brothersのリーダー・NAOTO(NAOTO)は仕事に疲れた帰り道・・・不良たちから亀を助けようと奮闘する。

その時・・・NAOTOはたまたま・・・ステージ衣装用のマスクを着用していた。

しかし・・・特に格闘家でもないNAOTOは不良たちに袋叩きにあってしまう。

土足で腹を踏むなど残虐度はそれなりに醸しだす。

そこへ・・・警察車両のサイレンが鳴り響き・・・難を逃れるNAOTOだった。

しかし・・・サイレンを発したのは怪しい女子高生・田之上栞(黒島結菜)だった。

EXILEのことなどあまり知らない栞は・・・特撮ヒーローおタクだった。

「素晴らしいパフォーマンスに感動しました」

「え」

成り行きで栞の秘密基地に連れこまれるNAOTO・・・。

「現実の世界でバトルして・・・特撮ヒーローになりきる人って・・・凄いですよね」

「ええ」

「私・・・実戦は無理ですけど・・・情報収集には自信があります・・・一緒に・・・悪と戦いましょう」

「えええ」

もちろん・・・断り・・・逃走するNAOTOだった。

人気パフォーマーにとって暴力沙汰などというスキャンダルは命とりだからである。

しかし・・・栞にとって・・・NAOTOをプロデュースすることなど・・・簡単なことだったのである。

再び・・・NAOTOの前に姿を現す栞・・・。

「私・・・あなたのこと・・・調べました・・・日焼けしてダンスをする人たちだったんですね」

「ざっくりしてるな・・・」

「こういうものがネットに流れたりしたら・・・困るんじゃないかな」

「え」

不良たちとの乱闘シーンは盗撮されていたのだった。

「私・・・あなたが救わなければならない人を知っています」

「ええ」

かつてのダンサー仲間・樹里(黒川芽以)が恋人からの暴力に苦しめられていると言うのだ。

「さあ・・・出動よ」

「えええ」

自分の部屋で明らかに・・・組織暴力団関係者の人に殴られ蹴られる樹里・・・。

栞は絶好の覗きポイントにNAOTOを導くのだった。

「さあ・・・彼女を助けなさい」

「こんなこと・・・明らかに不審者のすることじゃないか・・・俺にはとてもできないよ・・・だって俺はEXILEの・・・」

「どんな理由があっても・・・見て見ぬフリができないことが・・・この世にはあるはずです」

樹里は・・・血まみれになっている。

仕方なく・・・マスクを装着して住居に不法侵入し・・・乱暴者と戦うNAOTOだった。

激闘の末・・・なんとか相手を戦闘不能に追い込む・・・NAOTO・・・。

しかし・・・樹里は怯えつつ・・・気絶した恋人を庇うのだった・・・。

「・・・・・・」

「恰好よかったですよ」

栞はヒーローとしてのNAOTOを讃える。

心配して・・・素顔のままのNAOTOは樹里を訪ねる。

「やあ・・・調子はどうだい」

「私・・・故郷に帰ることにしました・・・突然、部屋に変な男が侵入してきて・・・東京って・・・やはりこわいなと思って・・・」

「・・・・・・・・・・・」

しかし・・・彼女が無惨な暴力から逃れたことは・・・確かなのだった。

そして・・・栞は記録動画を・・・素晴らしいインターネットの世界で下世話なネタばかりを扱うニュースサイトの編集長・権田薫子(余貴美子)に流すのだった。

「すごいね・・・この男・・・狂ってるね」

こうして・・・ナイトヒーロー NAOTOは誕生したのである。

栞を演じる黒島結菜の存在感が冴えわたるのである。

それでいいのかどうかは別として・・・。

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2016年4月15日 (金)

ディアスポリス-異邦警察-(松田翔太)また人が死んでるよ(梅舟惟永)

今日は「早子先生、結婚するって本当ですか?」の予定だったが・・・。

4月14日21時26分マグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県で震度7を観測したのである。

いつまで待ってもドラマが始らない。

日本テレビの上空からの映像は鮮明なのにフジテレビの映像は不鮮明である。

中継機材が古いのか・・・フジテレビ・・・そこまで困窮しているのか。

などという野次馬的感想はさておき・・・慎んで被災者の皆様のご無事をお祈りします。

家屋倒壊で火災発生・・・心が痛むことである。

九州新幹線も脱線したが・・・回送列車だったのが不幸中の幸いである。

周辺原発は異常なしだが・・・直下でなくて良かったな・・・としか言えない。

東京直下で震度2の地震が発生した直後の緊急地震警報に心臓がキュッとなりました・・・。

で、『ディアスポリス-異邦警察-・第1回』(TBSテレビ201604130128~)原作・リチャード・ウー/すぎむらしんいち、脚本・演出・冨永昌敬を見た。同名映画のドラマ先行版である。どのような国家にも裏社会がある。国民が裏の顔を持つこともあるが・・・無国籍の人間が勝手に裏社会を構築することにロマンを感じる人もいるわけである。そこにはいないはずの人間が生きる以上・・・何をやっても許される的な感覚が憧憬を誘うのである。しかし・・・基本的にこの人たちは・・・密入国者という犯罪者たちですからっ。

道に迷った外国人に気安く声をかける久保塚早紀(松田翔太)は・・・実は国籍不明の男である。久保塚は東京に棲む異邦人たちが組織した秘密の自治組織・・・裏都庁・・・に属する異邦警察・・・の署長なのであった。

久保塚は・・・日夜・・・裏都民の安全を守る怪しい男なのだ。

そんな・・・裏社会に・・・大手銀行マルハ銀行の行員だった鈴木博隆(浜野謙太)が紛れ込んでくる。

五十億円横領の罪を一身に被らされ逃亡中の身の上である。

「裏都庁のこと・・・誰に聞いた?」

裏都庁助役のアー(柳沢慎吾)は中華人民共和国の悪徳警官を五人殺害した逃亡者である。

口癖は「殺すよ」だった。

「お前も・・・そいつも・・・殺すよ・・・栓抜きで殺せるよ」

「・・・」

「アーさん・・・ジュースでも買ってこないか」

裏都知事であるコテツ(康芳夫)はアーを買収した。

コテツはミャンマー人で半世紀前に革命に失敗して亡命した男である。裏社会の顔役となって長い。

「署長・・・これでコーラでも買ってくれ」

コテツは署長に鈴木博隆の処置をまかせる。

コテツのボディガードである北アフリカ出身の女テロリスト・イサーム(マリー)も退室し・・・残された鈴木と久保塚・・・。

「鈴木さん・・・ここを教えたのは裏都知事なんだろう」

「そうです・・・前に・・・三千万円ほど融資したことがありまして・・・」

「裏都知事はあんたが五十億円・・・隠しもってると思ってる」

「そんな・・・すべて上層部のやったことですよ」

「なら・・・表の警察にそう言えよ」

「無理ですよ・・・上層部はすべての罪をボクに押しつける気です」

「・・・」

「ボクはここで生まれ変わるんです」

「そんなに・・・甘くないぞ・・・国を失うってことはな・・・」

遠くを見つめる久保塚だった。

ダイワロイネットホテルは新宿にはないはずだが・・・その裏手にある裏都庁の異邦警察署の夜は更けていく。

就労ピザが切れた不法就労のラブホテル従業員コンリー(梅舟惟永)は客の悲鳴を聞く。

出動要請に従って駆けつける久保塚。

「署長さん・・・こっちこっち・・・」

コンリーは被害者の部屋に案内する。

怯える男・フー・シージョン(梁卓生)の腹には痛ましい手術痕が残されている。

フーは昨夜・・・謎の女と同衾し・・・気がつけば腎臓を獲られていたのだった。

「あんたの・・・腎臓は戻らんぞ・・・これは連続腎臓窃盗事件なんだ・・・あんたは三人目の被害者だ」

「ひどい・・・家族を代表してAV男優になるために広東省から日本に来たのに・・・何もいいことないよ」

「あきらめろ・・・不法滞在者の訴えなんて・・・誰も耳を貸さない・・・嫌なら故郷に帰れ」

それでも手当のために中国人の無免許医チュウ医師(候偉)を紹介する久保塚だった。

「お前・・・整形しているな・・・鼻を高くしたら・・・女にもてると思ったか」

チュウはフーを嘲笑する。

「整形・・・誰にやってもらった」

「ドクター・ロドリゲス・・・ハリウッドスター専門の整形外科医のことあるよ」

久保塚は鈴木の顔を整形することにした。

「整形・・・嫌ですよ・・・ボクはこの顔が気に入ってるんです」

「え」

「なにか・・・おかしいですか」

「いや・・・怪しい中国人に変装したハマケンみたいな顔よりも・・・ジョニー・デップがいいかもと思ってね」

「ジョニー・デップになれるの・・・」

「なれるとも・・・」

ドクター・ロドリゲス(ディヴィット・リッジス) はちょっとしたトラブルでマフィアに追われている男らしい。

「ジョニー・デップだと・・・金がかかるぞ・・・」

「いいのだ・・・適当で・・・一番・・・安く仕上げてくれ」

「ピンハネするのだな」

「言葉に気をつけんだな」

たちまち・・・終了する鈴木の整形手術。

そこへ・・・コンリーから緊急連絡が入る。

第四の犠牲者は・・・死亡していた。

「私・・・もう嫌だよ・・・なんとかしてよ」

「これは・・・他殺か」

裏検視官のチュウ医師が死体を検める。

「手術は成功している・・・なんらかのプレーで氷漬けにされて・・・目を覚ました時に心臓が停止したのだろう・・・」

「なるほど・・・目的はあくまで腎臓か・・・」

「お・・・この男も鼻を整形しているぞ・・・」

「何・・・?」

「こいつは・・・ひょっとすると・・・」

腎臓窃盗犯とドクター・ロドリゲスに何らかの関係があることが匂うのだった。

つまり・・・鈴木の腎臓も風前の灯なのだった。

前後篇パターンなので・・・つづくなのだった。

深夜・・・日本人であることを忘れたいあなたのためのお楽しみである。

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2016年4月14日 (木)

世界一難しい恋(大野智)お風呂上りに牛乳二本飲むことです(波瑠)

四月第二週にスタートした春ドラマは(月)「ラヴソング」(火)「重版出来!」そして(水)のコレとよどみない展開である。

フジテレビ→TBSテレビ→日本テレビと遡っているわけだが・・・どれも充分に準備が出来ていて整っている感じがする。

(月)は新人脚本家、(火)は新進脚本家と来て・・・これはもはや中堅といっていい脚本家だが・・・一番、危ぶんでいたところである。

なにしろ・・・油断するとウジウジするからな・・・しかし・・・平均視聴率16.0%とまずまずの成功を収めた「きょうは会社休みます。」のスタッフは・・・またもや脚本家の特性をねじ伏せたようだ。

もちろん・・・主人公はウジウジしているし・・・ヒロインも意味深で初回から泣いているが・・・「社長」のステータスと・・・ヒロインを演じるのが朝ドラマで今世紀最高の平均視聴率23.5%を記録した主人公なので・・・暗雲が立ち込めないのである。このヒロインは長い長い下積みを経ての開花である。凄みがあるのだ。

何より・・・主人公が・・・「怪物くん」とか「死神くん」という・・・人間離れした存在感を持っているので・・・些少・・・ウジウジしても・・・人間界の人々は・・・「大変だもんなあ」と受け入れ可能なのだ。

素晴らしいスタートなのだが・・・谷間予定の水曜日にコレが来ちゃうといろいろとアレなんだな。

で、『世界一難しい恋・第1回』(日本テレビ20160413PM10~)脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。王様は王様の息子である。王様の父親の父親も王様だ。代々続く王様というものは成り上がりの王様とは違う。少しさびしいのが基本である。なにしろ王様の息子の王様は友達に不自由するものだ。そういう王様は触れるものすべてが黄金になったり、耳がロバになったり、裸になったりするのが宿命なのである。これはロバの耳を持つはだかの王様のさびしさを描いた物語の模様です。

世界一のホテルを目指す「鮫島ホテルズ」の社長・鮫島零治(大野智)は年季の入った姑のようなチェック機能を持ち、抜き打ち検査で「お客様へのおもてなし」をするべき従業員に手抜かりがないかを査定するのである。

おそらく・・・粛清の嵐こそが・・・代々の伝統というものなのだろう。

王様は伝統に従っているのだ。

箱根の「鮫島ホテル」では・・・客室係のベテランである松田(美保純)が・・・部下の不始末の責任をとり早朝解雇されるのだった。

浴場を視察する零治は中途採用となり研修中の新入社員・柴山美咲(波瑠)と出会う。

「何か・・・気がついたことがあるかい」と社長として新入社員に言葉をかける。

「このホテルの自動販売機には牛乳がありません」

「牛乳・・・そんなもの・・・必要ないだろう」

「しかし・・・風呂上りに飲む牛乳は最高・・・ではありませんか」

「そんなものが最高のわけないだろう」

零治は牛乳が嫌いだった。

ま・・・朝食にミルクがつかないホテルはありえないわけだが・・・。

少し、機嫌を損ねた零治は驚くほど有能で・・・忠実無比な秘書の村沖舞子(小池栄子)に問う。

「あんな社員いたか」

「社長が面接して採用さないました」

「え」

「語学が堪能な方です」

「あ・・・」

面接ではロングだった髪がショートに変わっていたために気がつかなかった社長だった。

この時、すでに零治は美咲に恋をしていた。

鮫島ホテルズのライバルはステイゴールドホテルである。

実績は・・・ステイゴールドホテルの方が優勢だった。

ステイゴールドホテルの和田英雄(北村一輝)はなにかと・・・零治を揶揄するのだった。

英雄に恋人(中村アン)を見せつけられた零治は二ヶ月の間に婚約をすることを決意する。

恒例の業界パーティーで婚約者を同伴し・・・英雄を見返す目標を設定したのである。

有能な秘書は・・・まるで母親のように・・・お見合いをセッティングする。

少なくとも・・・地位や外見では・・・それなりにお見合い相手にことかかない零治。

しかし・・・飾らない性格の上に・・・気配りのまったくできない零治の実体に触れた女たちは即刻退散するのだった。

零治評価72点の社長令嬢の志乃(多岐川華子あらため華子・・・今さらか)は「今まで出会った男の中で最低」と云いきるのだった。

「実は・・・今までのお見合いでは・・・先鋒からすべて断られています」

「え」

「社長は・・・正直すぎるのです」

「結婚するのに・・・嘘をつく必要があるのか」

「少なくとも・・・相手の気持ちを忖度する必要があります」

「まさか・・・お客様のように相手をもてなせというのか」

「目標達成のためには必要なことです」

「そんなことは・・・無理だ」

「無理に嘘をつかなくても・・・相手の言葉を尊重すればよろしいのです」

しかし・・・零治採点81点の次なるお見合い相手(長谷川眞優)に「うん、そうだね」という相槌を連発した結果、「無口で不気味」の落胤をおされるのだった・・・。

父親のような・・・お抱え運転手の石神剋則(杉本哲太)も思わず天を仰ぐ・・・。

社長室企画戦略部に配属された美咲・・・。

同期の新入社員に堀まひろ(清水富美加)・・・。

一年先輩で敬語を使う必要のない三浦(小瀧望)・・・。

主任の蛭間(西堀亮)、番頭さんのような部長代理の音無(三宅弘城)・・・。

和田の大学の後輩であり・・・プライベートで交友関係がある・・・いかにも密偵臭い白浜部長(丸山智己)という布陣である。

ちなみに水卜麻美の伝えるニュースでは・・・和田のステイゴールドホテルは業界トップ。

鮫島ホテルズは業界13位~19位らしい・・・。

つまり・・・やたらと社員を解雇する零治は・・・何か重大なミスを冒している可能性があります。

何やら・・・海外の・・・何者かとトラブルを抱えているらしい美咲。

早朝出勤して・・・社長室の清掃をしてみるのだった。

そして・・・社長のペットである魚に餌を与えてしまう。

日課である餌やり業務を奪われた零治は激怒する。

「君は・・・クビ・・・」と言いかけた零治。

しかし・・・何故か・・・美咲を解雇することができない。

「君は・・・クビアカトラカミキリに似ている」と苦しい言い逃れをする零治。

「?」

首を傾げて美咲が退出した後で・・・。

「何故・・・彼女を解雇しなかったのですか」と秘書は問う。

「彼女は・・・ちょうどいい」

「え」

「二ヶ月後・・・和田に自慢するのに・・・申し分ない女だ」

「つまり・・・彼女を好きになったのですね」

「違う・・・ちょうどいいのだ」

「・・・」

つまり・・・零治は美咲に恋をしているのである・・・二度目。

新入社員歓迎会に参加する決意を固めた零治。

「今日は無礼講だ・・・」

「・・・」

しかし・・・緊張する社員一同。

新入社員たちに接近する社長に距離を置く。

「なんだ・・・君たちは嫌われているのか」

「嫌われているのは・・・社長です」

「何?」

「今日は無礼講ですよね」

「そうだ・・・」

「松田さんの解雇をお考え直していただけないでしょうか」

「あれは・・・経営方針に基づいた決定だ」

「・・・」

美咲の目に浮かんだ冷たい色に・・・寒気を感じる零治。

「俺は・・・帰る」

撤退する零治。

「俺は・・・嫌われているのか」と秘書に問う。

「もちろんです」

「・・・それなら・・・なぜ・・・辞めない」

「お給料が抜群だからです」

「・・・」

「失礼しました」

「いや・・・今日は無礼講だ」

「それに・・・敵がいることで団結心が生まれます。我が社の社員同志の結束は固いのです」

「敵とは・・・俺のことか」

「はい」

零治は夜風に吹かれた。

残された社員たち。

「まさか・・・歓迎会が・・・送別会になるとは」

「私・・・クビですかね」

「間違いなくそうなるだろう」

「そうか・・・」

「割と元気そうでよかった」

「無茶苦茶・・・へこんでます」

「・・・」

とりあえず・・・カラオケで盛り上がる一同だった。

社長室に呼び出される美咲。

「これと同じ餌を買ってきてくれ」

「・・・御用はそれだけですか」

「何か・・・問題でも・・・」

「いえ・・・かしこまりました」

美咲が退出すると秘書は問う。

「彼女を解雇しないのは・・・好きになったからですね」

「ちょうどいい・・・と言っただろう」

つまり・・・零治は美咲に恋をしちゃったのだった・・・三度目。

和田に体型について云われたことが発端となって・・・社内には社員専用のジムがあった。

心に鬱屈を抱え・・・一人・・・トレーニングをする美咲を発見した零治。

何故か・・・涙する彼女に・・・声をかける零治。

「大丈夫か」

「お気遣い・・・ありがとうこざいます・・・」

それ以上の言葉をかけることができない零治は・・・運転手に牛乳を買ってこさせるのだった。

牛乳を飲むことで・・・好意を示そうとする童貞・・・じゃなかった純情な零治だった。

「意外に美味いな・・・」

しかし・・・フィットネスでいろいろなポーズをサービスする美咲は気がつかない。

仕方なく・・・二本目を飲む零治。

「社長・・・牛乳はお嫌いなのでは」

「いや・・・思ったより美味い」

「そうでしょう・・・私なんて時には二本飲むんです」

「そうか」

「でも・・・このジムには牛乳は置かれていないのでは・・・」

「これは・・・エレベーターで拾った」

ついに・・・嘘をついた零治。

美咲は・・・つまらないジョークだと思い・・・思わず微笑むのだった。

その笑顔に・・・零治は・・・もういいか。

運転手は微笑んだ。

秘書も微笑んだ。

「今日は月が綺麗なので遠回りしたい気分だ」

しかし・・・秘書は眉をひそめる。

「問題があります」

「なんだ・・・」

「彼女には恋人がいるようです・・・ベルギー人で・・・名前はガブリエル」

「え・・・」

もちろん・・・最終回までは・・・まだまだ難しいことが・・・色々と待っているわけである。

「さびしい王様」を演じる主人公の存在感が抜群だな。

そして・・・ちょうどいい女という圧倒的な美女を演じるヒロインもさすがという他はない。

これはおそらく・・・今季一番ニヤニヤできるドラマになるだろう。

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2016年4月13日 (水)

重版出来!(黒木華)精力善用!(武田梨奈)自他共栄!(富山えり子)電波人生!(最上もが)

ある意味、究極の朝ドラマ主人公を・・・朝ドラマの脇役の人が演じているわけである。

この主人公は・・・もう富国強兵のお手本的存在感だよな。

「マンガ」という究極の芸術ビジネスに「体育会系」が嵐を巻き起こすという豪快さ・・・。

こういうものを無難にまとめあげる脚本って・・・凄味を感じるな。

世の中のネガティブ嗜好を一刀両断である。

陰でコソコソ言う輩は絞殺してよし・・・という姿勢だ。

実に爽快じゃないかっ。

まさに・・・柔道一直線だっ。

そこまで遡上するのかよ・・・小林まことでいいじゃないかっ。

系列的には・・・帯をギュッ・・・。YAWA・・・。

で、『柔道部物語じゃなかった・・・重版出来!・第1回』(TBSテレビ20160412PM10~)原作・松田奈緒子、脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰を見た。「漫勉」を越えられるかどうかだな・・・どこと勝負してるんだよっ。「アオイホノオ」とはいい勝負になると見た。・・・ほとんど異種格闘技だけどな。「ラヴソング」では歌の力で泣かされてしまったが・・・今回は沙羅(武田梨奈)の涙にもらい泣きしてしまったぞ・・・二夜連続かよっ・・・涙もろすぎるだろう。まあ・・・柔道と空手は二つで一つの格闘技だからな。投げたところを突いてとどめをさすという・・・もういいぞ。

日本体育大学(フィクシション)の柔道部の・・・五輪候補選手・・・黒沢心(黒木華)は試合中に故障し現役を引退する。心機一転した心は選手時代に「心の支え」だった漫画の世界に挑戦するのだった。大手出版会社・興都館の面接試験で・・・社長の久慈(高田純次)の茶目っけに答えて見事に投げ飛ばした心は即時採用を一本で決めたのである。

かっての柔道仲間である沙羅やツカサ(富山えり子)は挫折を乗り越えた心を称揚する。

「心が笑えるようになってよかった・・・」

思わずカレーが心に沁みる沙羅だった。

心が配属されたのは希望通り・・・週刊コミック誌「バイブス」編集部。

男所帯だが・・・「部室と同じ・・・なつかしい匂いがします」と馴染む心。

和田編集長(松重豊)はライバル誌「エンペラー」打倒に燃える阪神タイガースファン。

心の指導役である五百旗頭(オダギリジョー)は副編集長ポジションだが・・・自称・和田の奴隷なのである。心の「編集者の仕事とは一言で言うと・・・何ですか」という質問には「その答えは自分で見つけろ」と無難に答える男だった。

一方・・・心の座右の銘は・・・柔道の創始者である嘉納治五郎の提唱する「精力善用」「自他共栄」である。一歩間違えると悪用され全滅するので注意したい。

この他、編集者には大食漢の壬生(荒川良々)、つぶやく男の安井(安田顕)などがいる。

心は五百旗頭と共に「バイブス」に作品を連載中の漫画家に挨拶回りに出向くのだった。

人気漫画家の高畑一寸(滝藤賢一)には薄着の恋人・梨音(最上もが)がいて波乱が予想される。

「春にああだと夏はどうなるんでしょう」

「全裸だ」

「いおきべさん・・・見たんですか」

「いや・・・願望だ」

「それならセーフです」

ふんどしと答えるのかと思ったぞ。

巨匠の三蔵山龍(小日向文世)は「ドラゴン」シリーズで・・・この道四十年・・・最前線で描き続けた男だが・・・人柄は極めて温厚だった。

「柔道で一本決めた時の気持ちはどんなものなのかね」と新人編集者の心にも興味を示す三蔵山。

「無の境地です」と即答する心だった。

微笑む三蔵山は・・・底なしの寛容さを感じさせる。

面倒見のいい三蔵山はアシスタントの作品やネーム(セリフを中心とした原案的下書き)にもアドバイスする時間を作る。

チーフ・アシスタントの沼田(ムロツヨシ)は下積み生活二十年だが・・・三蔵山を心から敬愛している。

しかし・・・腐った蜜柑であるアシスタントの棚橋(今井隆文)はダーク・サイドの傾斜にすべりおちていくのだった。

「あんな・・・じじいが・・・いつまでも居座っているから・・・俺がデビューできないんだ・・・素晴らしいインターネットの世界では・・・みんなもそう云っている」

ネガティブ・ゾーンの囁きに陥落した棚橋は・・・三蔵山の原稿を墨汁で汚し、罵詈雑言を投げつけて暗黒世界へ旅立つ。

「デッサンが狂っている」という「棚橋の指摘」と慈しんできた弟子に裏切られた失意から引退を決意する三蔵山・・・。

大騒ぎの編集部である。

しかし・・・新人の心には為す術がないのだった。

興都館では新入社員が研修のために書店に出向するシステムがあった。

心は配属前に研修した書店でお世話になった河舞子(濱田マリ)を訪ねる。

心は体育会系の上にコミュニケーション力に優れ、知力も抜群という万能型で・・・河にも史上最高の研修生として評価されていた。

ちなみに・・・「書店員ミチルの身の上話」や「戦う!書店ガール」でも書店員だった濱田マリ・・・確かに・・・近所の書店にも似た人がいる。

「私には・・・何もできることがなくて・・・」

「そうねえ・・・三蔵山先生は確かに・・・少しずつデッサンが狂っているわね」

「本当に・・・昔の作品よりデッサンが狂っているんですよね」

素人にデッサンのことを云々されるのは・・・困ったものだよな。

しかし・・・書店の仏像特集の展示で・・・頭上にディスプレーされた仏像を見上げ・・・閃く心だった。

三蔵山は老化現象により猫背となり・・・デッサン力ではなく・・・パースペクティブ(遠近法)に狂いが生じていたのである。

三蔵山は・・・いつも見上げる姿勢で描いてしまっていたのだった。

五百旗頭とともに・・・三蔵山を訪ね・・・編集者としてアドバイスをする心。

「先生に甘えてしまい・・・編集者として怠惰だったことをお詫びします」

五百旗頭は矯正法を提案し土下座する。

そこへ・・・八丹カズオ(前野朋哉)など・・・五百旗頭のアシスタントからプロになった漫画家たちが駆けつける。

「先生は・・・オワコン(お払い箱行き)なんかじゃない・・・常に私たちの目標です」

三蔵山は・・・自分の「愛」が伝わっていたことに感動し・・・引退宣言を撤回するのだった。

こうして・・・中断していた「ドラゴン急流/三蔵山龍」の連載は再開された。

安井はつぶやく・・・。

《新人小熊(心のニックネーム)・・・おそるべし》

一同の行きつけの店は小料理屋「重版」で女将はミサト(野々すみ花)である。

「重版出来ってなんですか」

「売れ行き好調のために再版するってことよ」

「ウハウハなんですね」

「ウハウハなのよ~」

夢にまで見るよな・・・重版出来・・・。

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2016年4月12日 (火)

ラヴソング(福山雅治)僕は出て行く見知らぬ街へ(藤原さくら)

500マイルはざっと800キロメートルで・・・およそ東京と広島の間の距離くらいである。

回想シーンでヒロインは広島県出身であることがわかるのでそういう意味も含まれる。

ヒロインの歌う「500マイル」は米国のシンガー・ソング・ライターであるヘディ・ウェストの「500miles」(1961年)を忌野清志郎が訳詞したもの。清志郎が細野晴臣、坂本冬美と組んだユニット「HIS」のスタジオ・アルバム「日本の人」(1991年)に収録されたナンバーである。

原曲は・・・失業者のあふれる恐慌時代に・・・仕事を求めて放浪する労働者を歌ったものだが・・・やむにやまれぬ事情で故郷を離れる心情は普遍的なものと言えるだろう。

特に「フクシマ」がある今は。

そういう意味では・・・月9の前作「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」と通じるテーマを持っていると言える。

しかし・・・「いつ恋」は「恋」だけが・・・「救い」という究極のラブ・ロマンスだったが・・・こちらは「最愛の人」を失った男と・・・「世界」から捨てられた上にハンディキャップを背負った女が「歌」で結ばれるという甘めの仕上がりを予感させる。

ずるい展開と言えるだろう。

まあ・・・泣いちゃいますけどね。

かわいい声で「500マイル」は反則ですからね。

で、『ラヴソング・第1回』(フジテレビ20160411PM9~)脚本・倉光泰子、演出・西谷弘を見た。新人脚本家の・・・みずみずしい本格デビューである。誰にだってはじめてというものはあるわけで・・・ベストを尽くせば初々しさがすべてを超越していく。いいじゃないか・・・巨匠には書けないピュアな恋の話があったって・・・。どうせ・・・フィクションなのである。

女に期待させるだけさせておいて・・・朝のお勤めに応じない神代広平(福山雅治)はビンタと共に「住まい」を失うのだった。

まあ・・・「最低」なので仕方ないのだった。

広平は愛用のギターをとりあえず笹裕司(宇崎竜童)の経営するライブハウス「S」に預ける。

笹とは腐れ縁らしい。

とりあえず・・・仮初の住居を求めて・・・昔のバンド仲間である宍戸夏希(水野美紀)の部屋に転がり込む広平。

夏希とも腐れ縁らしい。

自称・ミュージシャンである広平にはおそらく輝いていた時代があったのだろう。

その栄光の終焉は・・・夏希の姉である宍戸春乃(新山詩織)と無関係ではないのだろうが・・・春乃は未登場で・・・死んでいるのかもしれない。いや、追悼されているで死んでいるのだろう。ゾンビものではないのでずっと死んでいると思われる。

夏希は・・・明らかに広平に男を感じ、広平の寝顔で濡れてしまう様子だが・・・きっと「姉の彼氏に手が出せない」ジレンマを抱えているので・・・独身なんだな。

ミュージシャンとして食えるほど成功しなかった・・・夏希の現在の職業は言語聴覚士である。ヒロインの特性から考えると恐ろしい偶然と言えるかもしれないが・・・逆に・・・だからこそ関係が成立したという無難さもある。

なにしろ・・・主人公の広平の職業は・・・臨床心理士なのである。

基本的には「ヒモ」なのだが・・・「自称・ミュージシャン」で「ヒモ」ではなくて・・・「臨床心理士」で「ヒモ」なのである。

臨床心理士の賃金に問題があるということなんだな。

そのために・・・広平は・・・総合病院に勤務しながら、パートタイムで中古車整備・販売会社「ビッグモービル」の心理カウンセラーとして雇われている。

「ビッグモービル」の整備部で働いているのが・・・妖しい中国人・李朱美(高畑淳子)だった。

違うぞ・・・自動車整備士の佐野さくら(志村美空→藤原さくら)だった。

さくらは言葉が円滑に話せない小児期発症流暢障害(吃音症)であり・・・どもってしまうことを惧れて・・・言葉を発せないコミュニケーション不全に陥っていた。

工場長の滝川(木下ほうか)は思慮深いとは言えないタイプなので・・・さくらの苦境を・・・単なる対人関係が苦手なタイプの我儘としか理解できない。

滝川は・・・新人の高橋正志(阪本奨悟)が不注意から事故を起こしそうになった時も・・・発声で注意喚起できなかったさくらをもてあまし・・・カウンセリング・ルームに連行するのだった。

「なんとかしてくださいよ・・・」

「・・・はい」

広平はさくらに話しかけるが・・・応答はない。

「・・・」

「今日は・・・どうしましたか」

「・・・う・・・」

「話す気になったら・・・話してください」

さくらにお茶を勧める広平。

その熱さに思わず・・・「熱い」と言おうとして言えないさくら。

「・・・あ・・・」

「すみません・・・水を・・・」

「・・・い・・・」

広平は直感的にさくらの吃音(どもり)を察知する。

さくらは・・・涙を流していた。

広平はティッシュを勧めるが・・・さくらは汚れた手袋で顔を拭ってしまう。

「黒くなってますよ」

「・・・」

「よろしいですか」

広平は湿らせたティッシュでさくらの顔を拭う。

「・・・」

「きれいになりましたよ・・・」

「・・・あ・・・」

ついにさくらは部屋から逃げ出そうとした。

しかし、ドアは開かない。

「あ・・・それ・・・引くんです」

男と女が出会ったらしい。

帰宅したさくらは少し嬉しげである。

部屋には中村真美(西條妃華→夏帆)がいる。

真実に心を許しているさくらは饒舌である。

「きききききききき今日、へへへへへへへへへ変な男に・・・・・・きききききききききれいっていいいいいいいいいい云われた」

「急がなくちゃ・・・今日、同伴なんだ」

真美はキャバクラ嬢なのだった。

二人は姉妹ではなかったが・・・親に捨てられた孤児仲間だった。

広島の児童養護施設で育ち・・・年上の真美は・・・いじめられがちなさくらを庇い・・・いつしか慕われていた。

親の血をひく姉妹よりも固い契りの施設姉妹なのである。

この他に同じ施設出身で・・・真実と頭突きで結ばれた天野空一(菅田将暉)も存在している。

しかし・・・真美はさくらに隠していることがあった。

新入社員の歓迎会のために・・・女子社員から幹事として指名されるさくら・・・。

さくらにとっては・・・苦手な交渉事である。

困惑するさくらに・・・真実は追い討ちをかける。

さくらを「ビッグモービル」に斡旋したのは営業部員の野村健太(駿河太郎)で・・・野村は真実の「客」だった。

しかし・・・野村の子供を身ごもった真実は結婚を決意していたのだ。

絶対的な保護者の喪失にうろたえる・・・さくら。

しかも・・・真実は・・・「あなたに結婚式でお祝いのスピーチをしてもらいたい」と無理難題を告げる。

錯乱して町へ飛び出したさくら・・・。

広平と偶然・・・再会するが・・・駐輪場の自転車を倒しただけで終わる。

帰宅した・・・さくらに・・・真実が言葉をかける。

「ごめんね・・・馬鹿だろう・・・子供を作るなんて・・・親に捨てられた私が母親になれるかどうか・・・わからない・・・でも・・・お腹の中にいるのは・・・豆粒みたいに小さくて・・・なんだか・・・かわいいんだよ・・・あのね・・・スピーチは無理しなくていいよ・・・」

「・・・」

さくらは・・・決意して・・・歓迎会の会場予約に挑戦する。

空一と繰り返す・・・電話予約の練習。

偶然・・・事情を知った広平は・・・会場予定の居酒屋で見守るのだった。

直接、居酒屋を訪れたさくらはついに「予約作業」を口頭で完了する。

微笑む広平。

屋上の喫煙スペースでさくらは鼻歌を奏でる上機嫌・・・。

何かが空にとけていくような気分。

広平は盗み聞きをして微笑む。

しかし・・・直後・・・現れた女子社員たちは・・・さくらの報告を鼻で笑い・・・予約をキャンセルし・・・別の店を予約するのだった。

すべては・・・陰湿な嫌がらせだったのである。

いつもの「世界」の仕打ちに激しく傷つくさくらは・・・無断欠勤してしまう。

野村からの報告を受け・・・出勤途中から引き返す真実は・・・ゲームに逃避するさくらを叱責する。

「どうして・・・辛抱しないのさ・・・」

「・・・ききキャバクラ嬢の・・・せせせ説教かよ」

「なんだって・・・」

「・・・」

「言いたいことがあったら・・・はっきり云いな」

「いいい言ったってななな何もかかか変わらない・・・」

「そんなの・・・言ってみなきゃ・・・わからないだろう」

「やややややめて・・・けけけけ結婚なんて・・・・やややややめて」

「・・・」

さくらは家を飛び出した。

事態を把握している広平は・・・さくらの家に向かう途中で・・・踏み切りに飛び込もうとするさくらを発見。

「やめろ」

「ほほほほほほほっといて・・・」

揉み合う二人をかけつけた空一が発見。

「てめえ・・・なにしてんだ」

広平は・・・空一の頭突きで天国を見るのだった。

三人は・・・夏希の診療室を訪れる。

「この人が・・・一応専門家だ」

額から血を流し・・・広平は云った。

「ふん・・・俺は謝らねえぞ」

額から血を流し・・・空一は部屋を出ようとした。

しかし・・・扉は開かない。

「それ・・・押すのよ」

夏希は・・・空一に好意を抱いたらしい。

「ゆっくりと・・・訓練するしかないの・・・」

「・・・い・・・」

「リラックスして・・・話す訓練をね・・・楽しいことを考えて」

「音楽なんてどうかな」

「そうね・・・音楽療法は直接的なアプローチではないけれど・・・メロディーやリズムで発声をしやすくするという言語療法もないことはないわ・・・」

「・・・」

夏希がお手本を示すが・・・さくらの口はもつれてしまう。

静寂の後で・・・さくらはか細い声で歌い出す。

それは・・・愛する真実と共に過ごした時間を想起させる歌・・・。

チケットなんて買わねえよ

もうすぐ貨物列車がやってくらあ

こっそりもぐりこむだけさ

500マイルもただ乗りして

知らない町に着いたなら

生きるために稼ぐのさ

500マイルも揺られた後で

仕事があればめっけもの

人間は辛抱が肝心なんだ

辛抱して辛抱して辛抱して

また500マイルの夢心地・・・

広平はさくらの歌声に痺れるのだった。

気持ちよく歌ったさくらは・・・晴れ晴れとした気持ちになる。

季節は春。

風が桜を散らしていく。

花弁を食べて桜は笑う。

さくらの花はさくらの花の味がします。

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真夏の方程式

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2016年4月11日 (月)

私の罪を若さだと云う人もいれば私の魅力を若さだと云う人もいるのね(長澤まさみ)

物語の中で人が感じる世界のカタチはそれぞれである。

たとえば・・・世界というものが・・・人を矯正するというイメージを抱く人がいる。

その遠因を徳川幕府による長い平和体制によるものだと推察する人もいるだろう。

きりという登場人物のキャラクターはそういう考え方へのアンチテーゼとして捉えることができる。

戦国時代が不自由な時代だったと・・・考えるのは愚かなことだからである。

すべての人間に忍従することを求めたのは絶対的支配者となった徳川家康なのであって・・・それ以前のこの国のカタチはそうではなかったということである。

つまり・・・きりがおかしいと感じる人は・・・そういう前提を知らない教養のない人だと考えることができるわけである。

もちろん・・・それもまた「考え方」の一つに過ぎない。

「男たちの世界」に女性が同席することがすでにおかしいという考え方もある。

今回・・・身分を越えて主筋の信繫と親しくするきり(真田家家老の娘)を複雑な表情で見つめる一門衆(分家)でありながら家臣である矢沢三十郎頼幸(頼康)の眼差しは実に意味深いものであった。

うらやましさと蔑みの入り混じった目。

男と男では越えられない壁を越える女への・・・嫉妬と・・・男ではないことによる軽蔑。

人はそれぞれの視点で世界を見るのだった。

この一点をさりげなく描いているだけでも・・・本年度大河ドラマの凄みを感じる人もいるだろう。

で、『真田丸・第14回』(NHK総合20160410PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は真田昌幸の叔父にして沼田城主の矢沢頼綱の嫡男・矢沢三十郎頼幸と真田家家老(ドラマでは筆頭家老ポジション)の高梨内記の娘で真田信繁の側室の一人となるきり(仮名)の二大描き下ろしイラストでお得でございます。信繫のお目付け役設定の頼幸(頼康)も第一次上田合戦や、沼田城防衛戦では・・・バリバリ活躍しているので・・・そろそろお役御免。代わってお供にきりが配させるという絶妙な展開ですな。きりと三十郎はここまでも信繫をめぐって三角関係のような間柄を醸しだしているので・・・このバトンタッチはなんだか華麗な感じさえ漂っておりました。一方で家康VS秀吉の仁義なき戦いに・・・石川数正出奔事件の影で暗躍した真田信尹を絡める・・・用意周到さ・・・圧巻でございました。上杉主従の上洛と信繫の秀吉への人質化がスムーズに展開する・・・最愛の側室の死というフィクション。本当に凄い手際です。何かに憑依されたような完成度でございますねえ。そして・・・暗示される・・・後北条家の没落の気配・・・。そして・・・黒い大阪城に待ちうける「人を不快にさせる・・・何かを持っている」石田三成、十年前に見たかった茶々、どうやら真田昌幸の妻・薫(仮名)とは縁も所縁もない設定の三成の妻・うた、すでに悲しい感じの片桐且元、やんちゃな加藤清正、そして・・・せわしない感じの豊臣秀吉・・・。一瞬で漂う存在感・・・脚本家が分かって書いているって素敵なことなのですな~。

Sanada014天正十三年(1585年)三月、正二位内大臣に叙任された羽柴秀吉は紀伊国に侵攻して雑賀党の首領・鈴木重意を謀殺する。七月、秀吉は関白宣下を受け、四国をほぼ統一していた長宗我部元親を降伏させ土佐一国を封ずる。石田三成は従五位下治部少輔に福島正則は従五位下左衛門大夫に加藤清正は従五位下主計頭に片桐且元は従五位下東市正に加藤嘉明は従五位下左馬助に大谷吉継は従五位下刑部少輔に叙任される。八月、秀吉は越中国富山城の佐々成政を十万の大軍で包囲し降伏させる。十一月、徳川家康の家臣・石川数正が出奔して秀吉に帰属する。真田昌幸は秀吉に臣従のために信繫を人質として差し出すことを検討。天正大地震により前田利家の弟・秀継は倒壊した越中国木舟城で圧死。天正十四年(1586年)一月、一説によれば石田三成は島左近を登用。定説によれば左近は筒井定次、蒲生氏郷、豊臣秀長、豊臣秀保の家臣を経て天正十九年頃に家臣となったとも言われる。秀保は文禄四年まで存命であり・・・その後だった可能性もある。同様に秀保の家臣である藤堂高虎がすでに天正十四年に一万石の大名になっており・・・秀吉家臣団の主従関係は流動的だったという考え方もある。六月、上杉景勝は上洛し、秀吉に臣従する。

真田信繁が人質として大坂城に入ることが決まり、昌幸は従者として真田佐助とお峰(霧隠才蔵)をつけることにした。二人は信繫の異母弟妹である。

この他に上野鈴木氏の出自を持つ鈴木孫七、吾妻衆の割田下総守、雁ヶ沢の横谷庄八郎、祢津潜竜斎の娘のお龍、高梨内記の娘でお桐、唐沢玄蕃の娘のお久が選ばれた。

いずれも忍びのものである。

真田の隠れ里で鍛錬された忍びやくのいちは役行者に発し源義経を経た修験の術を身につけている。

四人の忍びと四人のくのいちは信繫とともに信濃山中を抜け、美濃を目指す。

装束を武家に改めた一行は冬景色の街道を進み、織田信雄の領地を抜け、近江国に入っていた。

「送り狼がついてきているな」

信繫は琵琶湖の畔で佐助に囁いた。

「美濃にいた徳川の伊賀者でしょう」

「だが・・・先程から・・・人数が増えておるようじゃ・・・」

「信繫様の顔を見て・・・密殺をする気になったのかもしれませぬ」

「今日はこの辺りで泊まるつもりだったが・・・せっかくだ・・・このまま夜行するとしよう・・・やつらが仕掛けてきたら・・・もてなしてやるがよい」

「御意にござる」

月影の中・・・信繫を中央に置いた九つの影法師が人気の途絶えた街道を速足で通りすぎる。

銃声が響いて、中央の影が揺らぐ。

続けて鉄砲が放たれ、前後の影が倒れて行く。

すべての影が倒されると静寂が訪れた。

「仕留めたか・・・」

「他愛もない」

待ち伏せていた伊賀の鉄砲忍びたちの一人が・・・骸を検めるために闇の中から現れる。

突然、影法師が起きあがる。

「お・・・」

不意をつかれた伊賀者はあわてて背負うた忍刀を抜刀する。

しかし・・・その時には胸に槍が突き刺さっている。

その衝撃に周囲に潜んでいた伊賀者たちの息が乱れた。

九つの黒い影が飛翔し・・・伊賀者たちに襲いかかる。

第二射を用意していた鉄砲忍びたちは向かってくる影に発砲するが手応えはない。

「はっ」

気合が発せられ・・・正体を明かした伊賀者たちの心臓に襲いかかる。

各所で苦悶の声が上がり・・・再び静寂が訪れる。

真田の忍びたちは・・・姿を消した穏形のまま戦闘する技術を身につけている。

彼らは布をつかったくぐつ(人形使い)の術で・・・伊賀者に幻影をみせ・・・気配を消したまま忍びより・・・それぞの武具で相手を仕留めていた。

「真田流・・・影斬りの術か・・・」

遠方から心眼を使って様子を窺っていた服部半蔵は呟いた。

「やはり・・・うかつには手が出せぬ・・・」

駿府城の家康の元に戻った半蔵は・・・失敗を報告する。

「山を出れば・・・仕掛けることもできるかと量りましたが・・・甘うござった」

「よい・・・これで真田に暗殺は通じぬと断じることができた」

家康は半蔵を咎めなかった。

「ひとまず・・・真田との戦は終いじゃ・・・」

真田昌幸は佐久を攻めている。

家康は諏訪城や小諸城などの戦線を縮小することに決めた。

「北信濃は・・・しばらく真田に預けておくことにするがよかろうず・・・」

家康は辛抱強さには自信があった。

当たって砕けぬからには・・・時間をかけて裂くしかないのである。

家康は城内に幽閉中の真田信尹に狙いを定める。

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2016年4月10日 (日)

世界は食うか食われるか・・・ただそれだけのもの(綾瀬はるか)来年に続く!(林遣都)

自称・壮大な物語の序章・・・まあ、ファンタジー小説からゲームまで・・・半世紀以上も異世界の物語に耽溺してきた身にとっては・・・あまりにもありきたりな展開なわけだが・・・何事にも入門編というものがあるからな。

お茶の間というものは基本的には愚鈍であるので・・・異世界とは相性が悪い。

そういう考え方は間違っている。

たとえば・・・時代劇というジャンルは・・・一種の異世界ファンタジーである。

「水戸黄門の冒険」はパーティー組んで、悪党退治のRPGなのである。

ロードに騎士二人、盗賊やくのいちも加わって和気藹々の徒党なのだ。

古代史は神話に続いているし、我が国、固有の歴史を探索すれば・・・異国の歴史にリンクすることになる。

卑弥呼は日本史の産物ではなく、中国史の登場人物なのである。

アマテラスは太陽、スサノオは台風、そんなの常識~タッタタラリラだ。

まあ・・・とにかく・・・ファンタジー・ゲームの依存患者にとって・・・こういうものは危険だ。

禁断症状がな。

で、『精霊の守り人・第4回』(NHK総合20160409PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・片岡敬司を見た。第一部終了である。続きは映画館で・・・とならないところが疑似公共放送の強みだな。しかし、そのうち、続きはBSで・・・ということになるかもしれないからな。あるいは・・・つづきは受信料を支払い済みの方にのみ配信します・・・と言い出すかもしれないがな。

Map4資質なきものの憂鬱

聖なる血脈を受け継ぐものが・・・必ずしも聖なる資質を発揮するとは限らない。ファンタジー世界で語られる物語は一種の処世術である。たとえば世界チャンピオンの子供が必ずしも世界チャンピオンになれるとは限らないのだった。そういう事実を体現する・・・新ヨゴ皇国の帝(藤原竜也)・・・。

天ノ神の子孫でありながら・・・その身に神通力は備わっていない。それはニノ妃(木村文乃)の生んだ第二皇子チャグム(小林颯)に発現したのである。

わが子ながら不気味な存在となったチャグム。帝は皇太子サグム(中野魁星)を心の拠り所として・・・逃亡中のチャグムの暗殺を・・・精霊ラルンガに左腕を食われた剣士ジン(松田悟志)に命じるのだった。

熱病に冒された皇太子サグムの命を救うためには・・・呪われたチャグムを浄化するしかないと・・・自らに言い聞かせる帝。

「ノープラン・・・ノープラン」と念じながら・・・掲げる水晶玉は・・・おそらく・・・ナユグ(異次元世界)のニュンガ・ロ・イム(水の精霊)の卵のレプリカなのだろう・・・。

神の子として生まれながら神の力と無縁の男の悲哀なのである。

覚醒するチャグム

一方、精霊に選ばれしチャグムは・・・体内の精霊の卵の力により・・・飛翔さえするのだった。

その魔力に慄いた女用心棒バルサ(横溝菜帆→綾瀬はるか)は握っていたチャグムの手を放し、姿を見失ってしまう。

落ち込むバルサを薬草師のタンダ(東出昌大)は慰める。

「弱音を吐くバルサが見られるなんて・・・僥倖とはこのことか」

「アホなの?・・・恋人きどりなの?」

「ムキになるところが・・・また可愛い」

「なんなの?・・・ジゴロなの?」

「・・・」

「肯定かよっ」

「トロガイ様・・・チャグムはどこにいるのでしょう」

ヤクーの呪術師トロガイ(高島礼子)に問うタンダ。

「飛び去った方角から・・・おそらく・・・サアナン・・・青弓川の水源じゃ・・・いよいよ・・・卵を産むのかもしれぬ」

「水源・・・」

「折れた巨木が目印じゃ・・・」

走り出したバルサをタンダが追う。

その背後には狩人のジンが続く。

後を追おうとした狩人の長であるモン(神尾佑)をトロガイが制する。

「お前たちは・・・儂を王宮に連れていけ」

「何故だ・・・」

「ヤクーの伝承と聖導師の記録を・・・併せる時が来たのだ」

トロガイに潜む高島礼子の眼光に怯むモンだった。

その頃・・・覚醒したチャグムはサグ(この世)とナユグ(あの世)の境界線であるサアナンに到着していた。そこでチャグムは青色金魚もどきたちの祝福を受けるのだった。

もちろん・・・祝福されたのは水の精霊の卵であって・・・寄生された宿主ではないが・・・精霊に選ばれし者はなんとなく嬉しいのだった。

なぜなら・・・精神を精霊に制御されているからだ。

青霧山脈、霧晴れて

青霧山脈を北上し、青弓川の水源を目指すバルサとタンダ。

「おい・・・待てよ」

「急がねば・・・土の精霊ラルンガよりも・・・先に到着しなければならない」

「だけど・・・あんな化け物と戦って勝てるのか」

「勝敗は二の次だ・・・」

「実は・・・俺には勝算がある」

「なんだと」

「いいか・・・この世は陰陽をはじめとする理で成立している」

「難しい話はわからん」

「とにかく・・・陰陽の次は三角だ・・・中間という考え方もあるが・・・ここは三という拍子の話した」

「?」

「異国では三行と言う・・・火は水に弱し。水は土に弱し。土は火に弱し」

「火は土をかけても消えるぞ」

「あくまで理の話だよ・・・水の精霊は土の精霊に弱い・・・となれば・・・土の精霊は火に弱いんじゃないかと思ってな」

「火に弱いのは木の精霊じゃないのか」

「そうなると四行だ・・・金を加えて五行・・・風を加えれば六行・・・拍子を合わせてポリリズム・・・」

「なんの話だ」

「とにかく・・・魔法使いとか呪術師たちは・・・そういう系統で・・・魔法のジャンル分けをするんだよ」

「ますます・・・わからん・・・」

「とにかく・・・火を生むものを集めるんだ・・・つまり・・・枯れ木だ」

「とにかく・・・私は先を急ぐ」

「水は木を生じ・・・木は火を生じ・・・火は土を生じるか・・・なるほど・・・この世の生き物とあの世の生き物の境界線は・・・木と火なのか・・・」

バルサには分からない理の世界に没頭するタンダであった。

武士と学士の間には暗くて深い川が流れているのだ。

王宮の暗い夜

サグムは帝の祈祷も虚しく息をひきとった。

帝は己の無力さを呪う。

号泣する一ノ妃(奥村佳恵)を残し、一の宮に幽閉されている二ノ妃(木村文乃)を訪ねる帝。

「喜べ・・・皇太子は死んだ」

「何をおっしゃるのですか・・・」

「汝の生んだチャグムが皇太子となったのだ・・・喜ぶべきだろう」

「・・・」

「汝には・・・第二子を産んでもらう」

「・・・」

「チャグムにもしものことがあれば・・・天ノ神の血脈が途絶えてしまう」

「・・・あ」

「おおおおおおおおお」

帝と二ノ妃が子作りに励んでいる頃・・・。

星読博士のシュガ(林遣都)の幽閉された地下書庫にトロガイが現れた。

「トロガイ・・・」

「謎は解けたか・・・星読よ・・・」

「判りません・・・」

「そのもの・・・あおきころもをみにまとい・・・」

「それは違う話です・・・おばばがすぎましたな・・・」

「サアナンで人の子が精霊を生んだ後の話は記録にないのか・・・」

「伝説の勇者トルガルは卵を天空に投げたとあります・・・卵は海に落されて水の精霊は雲を吐き出した・・・と」

「何故・・・空に投げたものが・・・海に・・・トルガルは剛腕なのか」

「それにしてもトルガルとトロガイ・・・似てますよね」

「ネーミングミスじゃな」

「青弓川の上流と南の海までは離れすぎている・・・孵化するまでに・・・ラルンガの餌食だ」

「おい・・・あの絵はなんじゃ・・・」

「空の模様?」

「馬鹿・・・鳥じゃ・・・そうか・・・風の精霊か・・・」

「何かわかったのですか・・・」

「聖導師よ・・・水のある場所へ・・・案内せい」

聖導師(平幹二朗)は微笑んだ。

世界樹の残骸の中での大決戦

視聴率伸び悩みの原因は・・・エロスをぶち込むなら・・・帝と妃の直接的交合ではなくて・・・触手に巻かれて苦悶に喘ぐバルサだよな。

その方が淫靡で・・・一般受けするよな。

毎回、一回、ラルンガとバルサの触手悶絶シーンをお約束にしておけばよかったんだよな。

「くそ・・・また触手が」

「バルサ・・・」

「うう・・・あああ・・・うううううううう」

「バルサーッ」

「えい」

「最初から・・・斬りおとせばいいのに」

「サービスだ」

ついに・・・出産と言う名の嘔吐で精霊の卵を吐き出すチャグム。

ある意味、変態である。

「そんなもの・・・捨てろ」

「嫌だ・・・僕が守るんだ」

精霊の卵と言う名の憐れな仔犬。

容赦なく襲いかかるラルンガの触手。

「ああっ」

「バルサ・・・」

「クライマックスなのでサービス二倍だ」

危機一髪のところを・・・ジンが救う。

「助かった・・・」

「お前に・・・助けられた恩は返した」

タンダはついに「ファイヤ」を覚えた。

「焼きイカにしてやる」

そこに・・・水性霊界通信を利用したトロガイが出現する。

「投げろ・・・精霊の卵を投げろ」

「トロガイ・・・」

「命のリレーじゃ・・・わかるな」

「うん・・・」

チャグムは精霊の卵を投げた・・・バルサは槍で打った。

ホームランである。

上空で待機していた怪鳥ナージは精霊の卵をキャッチした。

ニュンガ・ロ・イムは鳥と共に海へと渡る。

獲物を奪われたイカ大王ラルンガは激昂する。

「触手たちよ・・・お別れだ・・・」

「・・・」

タンダは・・・バルサの短槍を炎の槍に錬成した。

「くらえ・・・」

燃えあがる・・・ラルンガ・・・。

「これは・・・」

「食べきれないな・・・」

「ところで・・・いつから・・・こいつは実体化したんだ」

「それは聞かないお約束だ」

別れ・・・そして出会い

「もっと・・・ラルンガを食べな」

「余はナージの串焼きがよいな」

「バルサの斬りおとした生ラルンガは燻製にしよう・・・」

「これから・・・どうする・・・」

「余は・・・バルサと旅をして・・・短槍の腕を磨くのだ」

しかし・・・皇太子となったチャグムには王宮から迎えの行列が来るのだった。

「行きたくないなら・・・暴れてやるぞ・・・」

「行くよ・・・皇太子となって・・・やがて・・・王となる・・・新ヨゴ国を富国強兵してカンバル王国のログサムを討伐して・・・バルサの父上の仇をとるよ」

「チャグム・・・誰かのために生きるな・・・自分の人生は・・・」

「バルサ・・・余は皇太子として・・・やがて帝となって・・・名もなき民のために生きる・・・それが余の望みじゃ」

「ああ・・・そうかい」

祭りの夜。

皇太子チャグムのお披露目を祝い・・・カンバル王ログサムが招かれる。

雷鳴が響き・・・ついに恵の雨が降りはじめる。

歓喜に沸く民衆たち。

「これは・・・お前の力か・・・」

「いいえ・・・父上が・・・ジンを私のもとに遣わし・・・精霊の卵を守りぬくことができたからでございます」

「そうか・・・」

帝は複雑な表情で急に大人びた様子の息子を見た。

バルサは・・・民衆の中に紛れ・・・仇を睨む。

その姿を王族警護の役につくジンが見つめていた。

バルサは手裏剣を放ち・・・ジンは弓を引く。

電光が閃いた。

ある意味、陳腐な物語は続いて行く。

できればヒロインの顔は綺麗なままで・・・リアリティーの追及の必要性はない・・・水戸黄門が旅の砂塵で汚れるかという話である。

これは・・・ファンタジーなのだ。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

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2016年4月 9日 (土)

牙狼〈GARO〉-魔戒烈伝-(松山メアリ)その「おこだわり」、私にもくれよ!!(松岡茉優)テレ東深夜へようこそ(伊藤沙莉)

それにしても・・・松岡茉優・・・冒険しすぎだよな。

美しいフィクションの花の前で毒々しい疑似ノンフィクションの造花が咲いていたのだった。

まあ・・・やりたければやればいいとしか言えないがな。

それにしても・・・テレビ東京の深夜は春になってもそれなりに冷え冷えとしていて・・・そして熱いのだった。

うわあ・・・という感じである。

なんとなく・・・治外法権なんだなあ・・・。

まるで・・・半島と列島が幻の諸島で結ばれているかのようだ。

そして・・・生身の人間が・・・影となって散華するのだ。

で、『牙狼〈GARO〉-魔戒烈伝-・第1回』(テレビ東京201604090123~)脚本・雨宮慶太、演出・阿部満良を見た。毎度おなじみのGAROシリーズだが・・・今回はオールスターが登場するオムニバス形式らしい。案内役は歴代黄金騎士の執事・倉橋ゴンザ(螢雪次朗)である。今回の主役はドラマ「牙狼<GARO>〜MAKAISENKI〜」(2011年)、映画「牙狼外伝 桃幻の笛」(2013年)などに登場する魔戒法師・烈花(松山メアリ)だ。魔戒法師は黄金騎士と共同して戦う魔導筆の使い手である。

魔戒騎士たちは古代から魔界の住人である怪物ホラーと戦ってきた。ホラーは人間の邪念の象徴であり・・・この世に人間の邪念を食うために現れる。ホラーに憑依された人間は食人種となって人間を食べ始める。

邪念と人間は切っても切れない関係なので・・・ホラーと魔戒騎士の戦いは人類が滅びるまで続くわけである。

人影もまばらな樹海の奥地に・・・魔戒騎士の墓があった。

そうとは知らずにそこで魔戒騎士とホラーが戦い・・・去って行った日。

墓守のヒバナ(小柳まいか)は突如、墓から蘇った魔戒騎士の亡霊に襲われる。

ホラーの残滓が・・・魔戒騎士の永遠の眠りを奪ったのである。

樹海を通りかかった魔戒法師・烈花の前に墓守のユキヒデ(本田博太郎)が現れた。

「孫娘のヒバナが・・・亡霊たちに攫われてしまったのです」

「汝は人か・・・」

「はい・・・我々の一族は昔、黄金騎士に救われたことがあります・・・それ以来、代々、魔戒騎士を弔ってきたのです」

「殊勝なことだ・・・」

ユキヒデの案内で魔戒騎士の墓標の前にやってきた烈花。

たちまち・・・ホラーにも似た魔戒騎士の亡霊たちが現れる。

「汝らの戦いは終わったのだ・・・眠りに戻れ」

「我らの戦いに終わりはない・・・」

頑固な英霊たちをもてあます烈花・・・。

しかし・・・なんとか・・・樹木に封じられたヒバナを救い出す。

「その女を返せ」

「その女は美しい」

「ホラーは美しい女に憑依するのだ」

「ここにはホラーはいない」

「お前は嘘をついている・・・確かにホラーの匂いがした」

「それは・・・残り香なのだ・・・」

だが・・・憐れな亡霊たちを払うこともできず・・・高まる邪念に飲み込まれそうになる烈花・・・。

その時・・・亡き父・・・魔戒騎士の剣義(津田寛治)の面影が心に宿る。

烈花は笛を取り出した。

笛の音に正気を取り戻す亡霊たち・・・。

「お助けいただきありがとうございました・・・今のも魔法の笛ですか」

「いいや・・・古のものが・・・魔戒騎士を慰めるために作った調べだ・・・時に・・・人の作ったものは・・・なによりも・・・強い味方となる」

「・・・」

「さあ・・・ユキヒデの元へ・・・帰ろう・・・」

「え・・・祖父は・・・去年・・・亡くなりましたけど」

「え・・・」

烈花は微笑むユキヒデの亡霊を見る。

「孫娘を思う・・・心か」

「じいちゃんが・・・助けてくれたんですね」

「一人で大丈夫か・・・」

「はい・・・これからも・・・墓守の務めを果たして参ります・・・」

暗き森の美しい物語である・・・。

関連するキッドのブログ→牙狼〈GARO〉 -魔戒ノ花-

で、『その「おこだわり」、私にもくれよ!!・第1回』(テレビ東京201604090052~)原作・清野とおる、脚本・竹村武司、演出・松江哲明を見た。ドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」とほぼ同じ手法で作られる疑似ドキュメンタリーである。在日半島人の両親を持ち、幼くして日本に帰化した演出家・・・という背景が滲みでるような気がする作風である。もちろん・・・それはあくまでキッドの偏見である。あらゆる・・・常識が疑似常識に過ぎないという前提に立てば・・・人間として歪んでいるように見える独特の感性もまた世界の構成要素に過ぎない。

映画「悪の教典」(2012年)で支離滅裂な一面もある永井あゆみを演じた伊藤沙莉と比較的真面目な白井さとみを演じた松岡茉優が・・・伊藤沙莉(伊藤沙莉)と松岡茉優(松岡茉優)として共演するのだった。

原作は実在するかもしれない・・・独自なこだわりを持つ人を紹介する漫画だが・・・ドラマは自称・フェークドキュメンタリードラマ番組として展開する。

伊藤と松岡が街角インタビューをしたり・・・趣味の人のお宅訪問をしたり・・・という体裁である。

世の中にはすべて主従関係があり・・・キッドの偏見では・・・松岡が当然、主であり、伊藤が従である。

しかし・・・演出家はあくまで並列な存在として・・・二人を捕えようとしている風になっている。

松岡は・・・お茶の間を常識的に慮る。しかし・・・伊藤はその無意味さにあえて拘るわけである。

街頭インタビューの人々の意見をそれなりに参考にしようと気を使う松岡に対して「ありきたりの意見だった」と切り捨てる伊藤・・・。

つまり・・・終始、伊藤は従属物であることを否定し・・・松岡と対等とあろうとするのである。

そこから・・・生じる・・・毒々しさにおえっとなるのが・・・演出家の呪いなのである。

ポテトサラダの男として登場する覆面の男の「自慢のポテトサラダ」を美味しく食べる松岡に対して・・・味をわざとらしく台無しにする伊藤・・・。

おっぱいポテトサラダや、松岡茉優の唇ポテトサラダで松岡を凌辱することに喜悦を感じる伊藤。

「もう少し・・・味方かと思った」とオフレコでこぼす風な松岡。

「演出の狙い通りでしょう」と嫌な感じを滲ませる的な伊藤。

やがて・・・明らかに「食」に対するタブーを感じさせるポテトサラダタワーの建造。

その中で子供の参加者の見せ場を奪い、トイレに駆け込む伊藤。

「これ・・・ポテトのCM・・・こなくなるな」と愚痴る松岡。

「達成感・・そりゃあ・・・出すもの出したらスッキリします」と女優として最大タブーと言える排泄行為について汚れとして語る伊藤。

「おはスタ」でさよなら山ちゃんをおはガールとして最高にさわやかに送りだした松岡茉優がここでは不条理の風に吹かれているのだ。

この気持ち悪さの需要があるのかと思うと・・・嫌な気分になるしかないわけである。

そういうのが好きな人には是非・・・と推奨しておきたい。

関連するキッドのブログ→コウノドリ

鈴木先生

山猫

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2016年4月 8日 (金)

ドクターカー(剛力彩芽)命なんて金で買えるだろう(中村俊介)

ドクターヘリは買えなかったので・・・ドクターカーにしたんだよな。

そうなんじゃないかな・・・。

絶望だ。絶望だ。絶望だ。

まあ・・・天使テンメイ様に教えてもらうまで気がつかなかった十周年である。

これほどひどいドラマのレビューが・・・二日目に来ても・・・それが宿命というものなんじゃないか。

それにしても・・・なんじゃこりゃ・・・というしかないレベルだよな。

この枠としても・・・最悪の部類なんじゃないか・・・。

まあ・・・ファンタジーと考えれば・・・これはこれで・・・。

そうとでも考えないと脚本家も演出家も頭おかしいとしか思えないからな・・・。

で、『ドクターカー・第1回』(日本テレビ201604071159~)脚本・深沢正樹、演出・橋本一を見た。ドクターカーとは医師を同乗させた緊急医療の特殊車両である。恐ろしいことだが実際に運用されているのだった。救急車との違いは・・・医師が同乗しているかどうか・・・だけである。もちろん・・・救命のためには治療の開始が早いほどいい場合があり、災害現場などに医師が直接臨場することは望ましいとも言える。しかし・・・「手遅れでした」と言いづらいんじゃないかな。そんなにしてまで助けなくてもいいんじゃないかな・・・とキッドはふと思うのである。

とにかく・・・都会では渋滞してたら・・・地下鉄の方が早いぞ。

朝城総合病院では・・・理事長の朝城涼子(かたせ梨乃)が亡き夫の「患者の元へ医師が行くのが一番」という往診精神に基づき、損得を度外視してスーパー・ドクターカーを導入し、ドクターカー・チームを結成したのである。

メンバーはドクターカー責任者で涼子の一人息子の勇介(中村俊介)、天才麻酔科医の草野弥生(久保田磨希)、ベテラン看護師の岡村(伊東孝明)、元救急隊員の専属ドライバー・権藤隼人(遠藤雄弥)・・・そして新人ドクターの天童一花(剛力彩芽)なのである。

つまり・・・セットは一つなので・・・ドクターカー・チームは24時間連続勤務で年中無休なのだ。

アホだな・・・。

バックアップチームとして・・・ドクターカーのオペレーションルームがあり・・・看護師の永峰(内藤理沙)がオペレーターとして配置されている。完全な人材の浪費である。

ドクターカーに搭載された実況システムで・・・病院の専門医たちからのアドバイスを受けることも可能である。

外科医の安住紗那(笛木優子)は暇らしく・・・いつもオペレーションルームで実況を視聴しているのだった。

バカだな・・・。

まあ・・・そういう意味でかなり・・・無理があるシステムなので・・・反対者も多い。

朝城総合病院院長の田所(木下ほうか)は病院を経営する身としてできればシステムそのものを廃止したいのだった。

救急車があれば充分だからである。

そして・・・どうやら・・・両親と明らかに確執のある勇介も「本音は・・・ドクターカーなんて一日でも早くぶっつぶしてやりたいと思っている」のだった。

つまり・・・ドクターカーを運用する医師は・・・新人ドクターの一花だけなのである。

そうなると・・・もう・・・一花は超常現象的なスーパードクターであるしかないのである。

そんな剛力彩芽(23)の演じる一花には6~7歳くらいの一人息子・一太郎(横山歩)がいる。

父親は・・・一花が医学生だった頃に交際していた年上の医学生で・・・一花が妊娠を告げる前に消息不明となったらしい。

一花はシングルマザーとして出産し、六年生の医学部を卒業し、二年の臨床研修を終えて現場に立ったとしても・・・まあ・・・いいかとしか言えません。

一太郎の養育問題を解決するために明朗活発な一花の母親の美奈子(東ちづる)が同居中なのだった。

そして・・・消息不明となった謎の医学生はドラマに深く関わってくる気配である。

もう・・・なんじゃそりゃあ・・・なんじゃそりゃあ・・・なんじゃそりゃあ・・・で日が暮れるのだった。

ついでに・・・勇介の父親も同じくらいの比重で謎の人物あつかいである。

まあ・・・本当にどうでもいいよね。

赴任一日目で大事故が発生。

現場で立ちすくむ一花を突き飛ばす勇介。

「邪魔だ・・・とにかく・・・一人を病院に搬送するぞ」

「それじゃ・・・ドクターカーの意味が・・・」

「救急車で充分だ」

「・・・」

意気消沈した一花は・・・一太郎に愚痴をこぼす。

「もう・・・ダメみたい」

「僕は保育園で相撲をとるよ・・・僕は負けないよ」

「わかった・・・お母さんも頑張る」

相撲の稽古からの母子抱擁・・・。

翌日、ドクターカー・サンダーバード2号の整備を終えた一花は見事に現場で緊急手術を行い患者の命を救うのである。

一体・・・お茶の間は・・・これから何を見せられようとしているのか。

想像するだけで震えが止まりません。

関連するキッドのブログ→あすなろ三三七拍子

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2016年4月 7日 (木)

ニーチェ先生(松井玲奈)からのフラジャイル(松井玲奈)で神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎(松井玲奈)

今さらなので三連呼してみた。

キッドのブログでは・・・今年になって初登場である。

「マジすか学園」(2010年)のゲキカラなのだが・・・特に記述はない。

SKE48、AKB48、乃木坂46などを卒業して女優となり・・・2016年の冬のシーズンで一挙に爆発したわけである。

もう24才なので・・・女優としては遅咲きだが・・・本年度はつか版の沖田総司という・・・一種の登竜門にチャレンジするらしい。

ものすごく仕掛けられている感じはするが・・・本人はいたって真面目で全力でとりくんでいる感じが伝わってくる。

今の処・・・芸風はSMのラインである。

SのようなMだったり、MのようなSだったりするのが一種のチャームポイントとなっている。

無表情が持ち味だが・・・そこから・・・どこへ向かうのか・・・観察を続けたい。

で、『ニーチェ先生・第1~最終回(全10話)』(日本テレビ201601240255~)原作・松駒/ハシモト、脚本・演出・福田雄一を見た。いつの間にか、深夜においてはクドカンレベルのキャラクター造形家となっている演出家。「お客様は神様です」という営業精神の蔓延るコンビニエンスストア・スリーセブン寺院通り店の新人アルバイト・ニーチェ先生こと仁井智慧(間宮祥太朗)に「神は死んだ」と言わしめるドラマである。店員には「アオイホノオ」の矢野ケンタローでおなじみの浦井健治が演じる松駒、「新★乾杯戦士アフターV」の悪の組織の戦闘員でおなじみのシソンヌじろうの演じる渡利こと宝くじ先輩、地下アイドルの立崎萌(内田理央)、オーナー店長(佐藤二朗)である。

松井玲奈の演じる塩山楓はコンビニの常連客で看護師だが・・・ニーチェ先生に魂を根こそぎ奪われてストーカーとなる。ニーチェ先生は愛情の片鱗も楓に与えることはない。どんなに冷たくされても楓の愛の炎は激しく燃えあがるのだった。

基本的にそれほど面白いとは感じないこのドラマにあって・・・「ニーチェ先生とナース楓の愛の軌跡」は充分に観賞に値する。

幼馴染の松駒に対する容赦なき罵倒、ゴミ置き場でニーくんの残した残飯を漁る、コピー機を無駄に使った愛情表現、ニーくんが教育係となった地下アイドルへの結局逆効果な圧力、ダンシング貞子、時々かぶる般若の面、最後にはニーチェ先生に抱擁されて失神し・・・冷たいコンビニの床に放置される楓だった。

スナックスティック

キットカット ミニ

デカマル ミソラーメン

スルメソーメン

愛がいっぱいの2016年の冬ドラマにおいて・・・もっとも冷え冷えとした愛の物語に一週間に一度・・・痺れたのである。

で、『フラジャイル 』を見た。第一話のレビューはあるのだが・・・製薬会社「アミノ製薬」の営業職・火箱直美(松井玲奈)は第三話からの登場である。主要登場人物とプライベートで交流しながらミステリアスなムードを醸しだす。別に悪事を働いたわけでもないのに・・・存在感だけでミスリードを担ったりもする。やがて・・・抗がん剤の治験をめぐって「アミノ製薬」の暗躍が始り、火箱は検査技師の再就職を斡旋したりもする。しかし・・・治験における症例報告書の疑惑が浮上する。火箱は善と悪の狭間で・・・最後は天使になるのだった。無難な役とも・・・困難な役とも言えるが・・・ここで・・・松井玲奈は演技者としての資質をかなり見せている。

で、『神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎・第1~最終回(全4話)』(TBSテレビ201603160111~)脚本・演出・飯塚健を見た。「荒川アンダー ザ ブリッジ」で成功した演出家なのだが・・・その後は「放課後グルーヴ」も「GTO」も「REPLAY&DESTROYGTO」も自己主張と饒舌が鼻につく感じが否めない。もちろん、好みの問題でもあるだろう。今回もその傾向があるのだが・・・主人公の南雲凪(松井玲奈)の存在感がギリギリ視聴継続を促すのである。

「五百円やるから・・・牛丼並盛とライスを注文しろ」

神奈川県厚木市のコインランドリーのオーナー茅ヶ崎(滝藤賢一)から命じられた凌辱プレーをクリアする従業員・南雲凪が爽やかなのである。

洗濯に関するサービスとして「TATAMI(たたみ)」(洗濯物1回分まとめて500円)があり・・・てきぱきと洗濯物をたたむ南雲凪に風情がある。

ある意味で・・・普通の女性を演じる女優としてリセットされたと言える。

「過去が洗えたら良かったです」

どんな女優になっていくのか・・・楽しみだ。

関連するキッドのブログ→いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう

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2016年4月 6日 (水)

素敵な選TAXIスペシャル~湯けむり連続選択肢~ (竹野内豊)てっぱんではありません(瀧本美織)まれではありません(清水富美加)ふゆではありません(清原果耶)すっぴんではありません(南沢奈央)

春の谷間における最大のスペシャル感だったな。

レギュラーがアレなら毎シーズンやってもいいよな。

次は「夏休みスペシャル」だな・・・。

ネタなんか・・・使いまわしでもいいくらいだよな。

「ウレロ」シリーズのあかり&バカリのコントみたいな感じでもいいよな。

「犬はバウワウ、猫はグチョグチョ」みたいなことで延々とイチャイチャし続けると言う・・・。

「ドラゴンボール」を知らないフリとかしてな・・・。

結局、チビとノッポで落すという・・・。

まあ・・・それはそれとして・・・。

のほほんとして楽しかったよねえ。

次々と繰り出される朝ドラオールスターズ。

そして、金八やヤンクミはいてもGTOはいない理想の教師像。

「フジテレビのすべて」もやらないとな・・・。

まあ・・・そこはかとなく・・・「月9」ではあるわけだがな・・・。

で、『素敵な選TAXIスペシャル~湯けむり連続選択肢~』(フジテレビ20160405PM9~)脚本・バカリズム、演出・筧昌也を見た。選TAXIは時間を遡上できる素敵な乗り物・・・。車内にいる人間だけが過去に記憶を持ちこむことができる。しかし、車内にいる間にも肉体や持ち物は過去に戻る。料金は遡上時間が長くなるほど高くなる。運転手の枝分(竹野内豊)は善人だが少し面倒くさい性格である。乗客は追いつめられているので意外なほど「ファンタジー設定」を受け入れやすい心理状態になっている。枝分の行きつけの店としてマスターの迫田(バカリズム)やウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)がいる「cafe choice」があるが・・・いつの間にか新装開店したらしい。ウエイトレスの関カンナ(清野菜名)は大人の事情で病欠であるが写真で登場する。

枝分はアニメ専門誌でお気に入りのアニメ「ラブ&学級崩壊」の「聖地巡礼」についての記事を読み・・・心が動く。

常連客の標道雄(升毅)は夏希の写真を撮ろうとして拒絶される。

「すっぴんだから」と夏希。

「そんな・・・」とくいさがる「あさが来た」の男・・・。

「デリカシーですよ」と注意するマスター。

枝分の心に「女性にとって男性が思っているよりもすっぴん問題は重要なこと」がインプットされるのだった。

そして・・・枝分は・・・伊豆方面の温泉へ・・・「聖地巡礼」の旅に出るのだった・・・。

マッサンではない人

戦力外の危機にひんするプロ野球選手の駒谷(玉山鉄二)は専属トレーナーの向井(宇梶剛士)と共に温泉地で自主トレ中である。

落ち目の駒谷は・・・ちやほやされたいタイプで・・・特に異性の前では恰好をつけたがる性格だった。

女性ファンの前で階段を駆け上がる駒谷は・・・いつもは一段飛ばしで登るところを二段飛ばしで登り・・・踏み外して転落・・・骨折してしまう。

通りすがりの選TAXIに乗り込んだ駒谷はアクシデントの直前に戻ることで・・・シーズン絶望の大ケガを回避することに成功する。

「これ・・・本当に時間が戻っているの」

「タイムスリップ感ですか・・・いまどき・・・タイム界隈では・・・流行ってないんですよ・・・ニュイ~ンとか・・・はは」

しかし・・・この後、女性客に対しては・・・タイム眼鏡や、タイムパラソルなど・・・タイムスリップ演出をサービスする枝分である。

マッサンではない駒谷はくりかえし今季絶望のピンチを招く・・・お調子者として登場し、クッションとなっていく。

てっぱんでもくのいちでもない人

駅前で美緒(瀧本美織)と光雄(山崎樹範)を普通のタクシー客として乗せた枝分。

二人は婚約中で・・・婚前旅行にやってきたのだった。

宿泊先は・・・枝分が宿泊を検討中のホテルである。

「どんな風にプロポーズしたんですか」

「え」

「美緒さん・・・教えてくださいよ・・・おまけしますから」

「君の笑顔を守らせてください・・・みたいな」

「いいなあ・・・僕も言っていいですか」

「え」

「はいって返事してくださいね・・・おまけしますから・・・」

「・・・」

「美緒・・・君の笑顔を・・・俺に守らせてくれないか・・・」

「はい」

複雑な気持ちになる光雄だった。

旅館に到着した二人は・・・部屋に入り、温泉に入り、夕食を楽しむ。

しかし・・・くつろぐ・・・光雄にくらべて・・・どこか物憂げな美緒。

「美味しそうだな・・・写真撮ろうよ」

「やめてよ・・・すっぴんだから」

「平気平気・・・」

そんなやりとりがあって・・・部屋に戻った二人。

「あの・・・今さら・・・こんなこと言って・・・酷い女だと思うんだけど・・・今言わないと一生後悔するような気がして」と申し訳なさそうに切り出す美緒。

「なんだい・・・」

「婚約を解消してほしいの・・・」

「えええ」

思わずコーヒーを吹いた光雄はホテルを飛び出し・・・選TAXIの利用客となるのだった。

「女性にとって・・・我々が思っているよりも・・・すっぴん問題は重要なことなんです」と明らかに見当違いのアドバイスをする枝分だった。

しかし・・・何度やりなおしても・・・結局、婚約破棄を言い出す美緒なのだった。

自暴自棄になり・・・温泉につかる光雄。

宿泊客の初老の男・窪田(松重豊)はなにやら・・・ワケアリな感じを漂わすが・・・「もう一度話し合ってみたらどうか」と慰める。

一方・・・光雄に「勝手にしろ」と言われ・・・一人、ホテルを出た美緒は選TAXIに乗り込む。

「あれ・・・ダメでしたか」

「え・・・」

「いえ・・・どうして・・・ダメだったのかな・・・と思いまして」

「私・・・マリッジ・ブルーになってしまって」

「ええっ」

「なんだか・・・結婚したら・・・すべてがダメになるような気分になってしまったんです」

「そうですか・・・」

「そんな時に・・・旅行に誘われて・・・ひょっとしたら気分が変わるかも・・・と思ったんですが・・・ますます憂鬱になってしまって・・・」

「でも・・・彼のことを愛していたんでしょう・・・」

「え」

枝分の言葉に・・・光雄とのこれまでを思い出す美緒。

「私ったら・・・一番大切なことを忘れていた・・・彼のことを・・・愛していたのに・・・」

「結婚は・・・特別なことですからねえ・・・」

「今さら・・・思い出してもダメですよね」

「そんなことはないでしょう・・・彼はあなたのことを今でも愛しているから・・・なんなら・・・戻りますか」

選TAXIについて説明する枝分。

「でも・・・過去に戻って自分のしたことチャラにするってズルくないですか?」

選TAXIの存在意義を根底から覆す美緒だった。

しかし・・・もう一度・・・やり直す決心をした美緒は・・・光雄のところへ戻って行く。

もちろん・・・美緒がその気になれば・・・光雄はどうにでもなるのだった。

まれの親友ではない人

ホテルには修学旅行の中学生が宿泊していた。

引率の教師・金本(清水富美加)に温泉ピンポンでいい所を見せようとした駒谷は再び骨折して選TAXIのお世話になる。ついでに窪田も女落語家の父親でも幕末の女狙撃手の父親でも湯けむりスナイパーでもないぞ。

金本は八重子という名前から「金八先生」と呼ばれていたが純の父親のような名教師ではない。純の父親は旅館の経営者だろうが。

なるべく・・・生徒と深く関わらないように・・・が信条である。

担任教師であるのに・・・生徒との接触は最低限ですませる。一方で・・・副担任の小野寺(丸山智己)は典型的な熱血教師なのだった。

しかし・・・就寝時間の迫るホテルの中で・・・生徒の麻尋(清原果耶)との密会を目撃してしまう金八。

生徒の恋愛問題などに介入して・・・問題になったら・・・親に何を言われるかわかったものじゃないのである。

「見なかったことにしよう」と決断する金八。

しかし・・・就寝時間になって・・・麻尋は行方不明になってしまうのだった。

思わず・・・自殺の名所「浄土岬」まで・・・選TAXIを飛ばす金八。

「私・・・露天風呂に入ろうとしていたんですが・・・」

「生徒が自殺するかもしれないんです」

現場近くまで行くと・・・照明とブルーシート・・・そして警察関係者の姿が・・・。

「ああ・・・おそかった」

第二の選択に挑む金八。

麻尋が「男子生徒に告白して失恋」を前提に・・・二人の密会を阻止する金八。

しかし・・・失敗。

第三の選択・・・密会を阻止した後・・・別の男子生徒に会っていた麻尋を発見して・・・二人を引き離す金八。

またも失敗。

「生徒に事情を聞いたらどうですか・・・」

「そんな・・・面倒なことをして・・・問題になったら困ります」

「なんだか・・・生徒が可哀想だな」

「え・・・」

「だって・・・先生は自分のことばかりで・・・生徒のこと・・・ちっとも考えていませんよね」

「私だって・・・最初はごくせんのヤンクミみたいに・・・でも・・・いろいろあって・・・」

「悲劇のヒロイン気取りは朝ドラで十分ですよ・・・」

「え」

「今の学校教育に絶望してる感・・・出してるてしょう」

「ええ」

「それに・・・自殺したのが生徒さんか・・・確かめてみないと」

誰も自殺していなかった・・・それは・・・デビット伊東主演のドラマ「犯罪探偵」の撮影だった。

犯罪探偵「私は犯罪を実行し・・・そして自らが探偵するのだ」

犯罪鑑識(津田寛治)「私は犯罪を実行し・・・自ら鑑識するのだ」

犯罪探偵「いや・・・主犯は私だ」

犯罪鑑識「なんだとっ」

主演俳優の現場への差し入れはラーメンだった。

スタンバイする女優を見てうっとりする枝分だった。

ホテルに戻った金八に副担任の小野寺が合流する。

「あの三人・・・小学校からの仲良しトリオなんですよ」

「え・・・そんなこと・・・どうして」

「生徒と話せば・・・すぐわかりますよ」

「男子生徒たちに・・・話を聞いてみたらどうですか・・・」

結局・・・麻尋は「聖地巡礼」をしていたのだった。

三人はアニメ「ラブ&学級崩壊」のファンだった。

一人だけ東京の高校に進学する麻尋は「思い出作り」のために・・・二人を誘ったのだが・・・事情を知らない二人は断っていたのだった。

結局・・・全員で聖地に向かう一同。

枝分は聖地で記念撮影が出来てうれしかったのだ・・・。

金八は・・・教師としての情熱を取り戻した。

スペシャル感を満喫しよう

東京から二人の刑事がやってきた。

窪田は指名手配中の犯人だったのだ。

食堂では・・・愛を取り戻したカップルや・・・教師として目覚めた金八が朝食中。

テラスでは駒谷が向井を相手にキャッチボールをしている。

二人の刑事は・・・窪田に同行を求める。

しかし・・・窪田は・・・部屋に荷物を取りに戻ることを口実に脱走するのだった。

選TAXIで過去に戻った窪田は・・・まんまと逃亡に成功する。

事情を知った枝分は・・・協力を申し出るが・・・窪田が稼いだ時間差を取り戻すことができない。

その時・・・食堂にいた利用客たちが協力を申し出る。

「あの人が犯罪者だったなんて・・・信じられない」と光雄。

「心配だから・・・私も行きます」と美緒。

「私も協力します」と金八。

「先生は・・・昔・・・レディースでしたね」と小野寺。

金八はあのレディース苦露悪惨のメンバーだった。

四人が協力して・・・窪田の足止めを開始。

しかし・・・光雄の説得は通じず・・・小野寺では歯が立たず・・・金八の凶器攻撃も虚しく・・・空手の有段者だった美緒は活躍するが・・・兇悪な窪田は・・・麻尋を人質にとってしまう。

刑事は到着するが・・・選TAXIのキーも奪われ・・・絶体絶命。

しかし・・・そこで・・・駒谷が奇跡の暴投を・・・。

とにかく・・・スペシャル感は堪能できたねえ。

また・・・見たいよねえ。

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Sshcm001ごっこガーデン。愛と青春の展望露天風呂セット。

まこ枝分さまと温泉旅行・・・こりゃたまらんらんのでしゅ~。今回も枝分さまの名言・迷言満載でした~。温泉、ご馳走、温泉、ご馳走、温泉・・・どこまでもリフレッシュできましゅ~・・・眠くなったら選TAXIでふりだしに戻りましゅ~。憧れの永遠の春休みでしゅ~

くう駒谷の性格からして・・・枝分と別れた後で・・・今季絶望からは逃れられない気がするのじゃああああ

シャブリ危なく見逃しそうになったので選TAXI呼びました~朝ドラ色強すぎ~

ikasama4でしたな~

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2016年4月 5日 (火)

火の粉(木南晴夏)ふりかかれば払うもの(優香)

春ドラマ開幕である。

しかし・・・気分はまだ谷間・・・。

春休みだし・・・夜中にダチと長電話したので眠いぞ・・・。

春眠暁を覚えずだな。冬眠は昼も夜もないけれどな。

熊なのか・・・。

朝ドラマも子役時代のうちにアレしたいものだが・・・。

これは昼ドラマがなくなって・・・アレしてる枠なんだよな。

オトナと来たので・・・エロスかと思えば・・・こわい隣人の人の話だった。

学生時代の下宿の両隣が長澤まさみと黒木華だったみたいな・・・誰が真田信繁なんだよ。

何故か・・・両隣の話はないんだよな。

ヴァンパイアとヴァンパイアハンターに挟まれてるとか、悪魔とエクソシストに挟まれてるとか、ロミオとジュリエットにはさまれてるとかあってもいいのにな。

まあ・・・焦点がぼやけるからな。

これが残る可能性はあるのか・・・。

さあ?

で、『火の粉・第1回』(フジテレビ201604022240~)原作・雫井脩介、脚本・香坂隆史、演出・森雅弘を見た。「花燃ゆ」と言えば「道化師ロマンス大河」「昼ドラ大河」「レディース・コミック大河」などと悪評高いわけであるが・・・お前の妄想ではな・・・その中で格上げを果たした女優と言えば主人公の姉を演じた優香だったと言えるだろう。すべての登場人物が主人公の引き立て役という・・・製作者の心理的病巣を妄想させる「花燃ゆ」世界にあって・・・すべてを主人公に奪われる物悲しさを感じさせる演技でお茶の間の好評を博したのである。つまり・・・どっこい生きているということである。その余韻は冬ドラマの「ちかえもん」の主人公の馴染みの遊女役でも水際立ち、強烈な印象を残している。そして・・・ここである。今回は狂気に犯されていく世界の中で唯一・・・正気を保つ役になると予想されるが・・・「お笑い」の世界で磨きあげた芸の神髄が試される展開だと言える。一方でドラマの辺境で戦い続ける女優・木南晴夏が配されており・・・スタッフの技量次第ではかなり面白い作品になるのではないか・・・と期待している。

閑静な住宅街・・・。

梶間雪見(優香)は幼い娘のまどか(庄野凛)と幽かな不安を抱えて暮らしている。

夫の俊郎(大倉孝二)は失業中である。

そのために・・・雪見は夫の両親・・・そして夫の祖母との三世代同居生活をしている。

夫の父親の勲(伊武雅刀)は元裁判官で現在は大学の教員を務める人格者で・・・夫はその脛をかじっているわけである。つまり、雪見の肩身は狭いのである。

夫の母親の尋恵(朝加真由美)は専業主婦で良妻賢母の見本のような好人物であるが・・・嫁として夫の祖母にあたる姑・曜子(星野晶子)の自宅介護に肉体的にも精神的にも徒労している。寝たきり老人の祖母は・・・週末に訪れる実の娘・相田満喜子(大島蓉子)には小遣いを与えるが尋恵には感謝の言葉すら与えない。

介護を妻にまかせきりの勲、いやがらせにも近い無神経な言動の小姑の満喜子、そして典型的な嫌な寝たきり姑の曜子・・・さらには無職の息子の俊郎の嫁てある雪見にも気兼ねする尋恵の鬱屈は明らかに高まって行く。

夫の両親に経済的に異存する雪見にも・・・その鬱屈がプレッシャーとなっているわけである。

そんな雪見の唯一の心を許せる友人が・・・和食店の娘の佐々木琴音(木南晴夏)だった。

雪見に比べると闊達な性格設定である。

平凡なようで・・・すでに不安がいっぱいの雪見なのだが・・・それが・・・幸福というものだと思い知らせるかのように・・・新しい隣人が転居してくるのである。

武内真伍(ユースケ・サンタマリア)・・・一人暮らしで庭に害虫駆除薬を噴霧する男。

悪魔の使い魔のような黒い大型猟犬ドーベルマンを飼う男。

そして・・・武内は・・・一家三人殺害事件の裁判の被告だった。

さらに・・・雪見の舅である勲は・・・武内に無罪判決を下した裁判官だったのである。

手作りのバームクーヘンなどを持って引越しの挨拶に訪れた武内・・・。

初対面で娘を襲いかけた黒い巨犬の悪印象をぬぐいきれない雪見に・・・舅は・・・武内の過去を告げる。

無罪とはなったが・・・武内に殺人犯の疑いがかかっていたという事実を・・・。

冤罪被害者に対する世間の冷たい風評に・・・お茶の間は憤るものだが・・・実際に人殺しの疑いがかかったものが・・・隣の家に引っ越してきたら・・・心穏やかでいられるものか・・・という話である。

しかし・・・雪見の心配をよそに・・・武内は・・・隣人として・・・梶間一家と親密になっていくのだった。

やがて・・・姑の・・・尋恵の介護疲れにつけ込み・・寝たきりの老女の介護を手伝い始める武内・・・。

そして・・・娘の作った流動食によって・・・窒息死する「あまちゃん」の大吉の母であり・・・「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」で老いたムラサキの・・・星野晶子演ずる曜子だった。

三世代同居から・・・二世代同居にかわって・・・安堵するところなのに・・・不安を募らせる雪見なのだった。

不慮の事故が起こる直前・・・曜子の部屋から・・・武内が出てくるところを雪見は見てしまったのである。

そんな・・・雪見の前に・・・謎の男(佐藤隆太)が現れる。

「武内を信用してはいけない・・・あいつは無実なんかじゃない・・・あの男は悪魔のような男なんだ・・・」

居合わせた琴音は・・・。

「嫌がってるじゃない・・・よしなさいよ」と謎の男を追い払う。

しかし・・・男の言葉が耳に木霊する雪見。

そして・・・武内の猛犬がまどかを襲い・・・娘を庇う雪見に噛みつきかかる。

現れた武内は飼い犬を折檻するのだった。

「悪い子だ・・・悪い子だ・・・」

滲みでる武内の狂気・・・。

武内が・・・ちょっとおかしな人間であることは・・・明らかなのだった。

雪見の不安感は・・・最高潮に高まるのだった。

まあ・・・一家連続不審死のためには・・・一回で一人殺されると回数がやや足りない気がするのだった。

琴音・・・逃げて~。

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2016年4月 4日 (月)

貴女のことを思い出すと心が沈むの(長澤まさみ)おかまいなく・・・戦に犠牲はつきものだらず(黒木華)

真田信繁の最初の妻として設定された堀田作兵衛の娘で堀田興重の妹・梅(仮名)退場である。

お茶の間対策として次の側室となる高梨内記の娘・きり(仮名)の輿入れがスムーズになるわけである。

二人の側室より・・・先妻と後妻の方が心理的抵抗が少ないという判断と妄想する。

基本的に・・・信繫は出世するとともに・・・身分の高い妻を迎える流れになっている。

最初の妻・梅は真田の里の地侍の娘で・・・武士とも百姓とも着かぬ家の子である。

次の妻は・・・一説によれば北信濃の名族・高梨政頼の血筋で、真田昌幸の兄・信綱の妻の兄弟とされる高梨内記の娘である。真田家本家の家老筋であり、昌幸の重臣の一人と言えるれっきとした侍である。

第三の妻は信繫の嫡男・幸昌(大助)を生み正室ともされる大谷吉継の養女(竹林院)である。吉継は豊臣秀吉の支配する世の重臣で大名である。

第四の妻は関白となった豊臣秀次の娘(隆清院)である。

妻の実家が・・・地侍→真田家重臣→大名→関白とどんどん格上になっていくわけである。

出世魚かっ。

しかし・・・九度山蟄居中には百姓の娘に手を出し、四男の之親を生ませている。

ふりだしに戻ったんだな。

戦国の武士としてはごく普通の種馬だったと言える。

それでいいじゃないかっ。

正室一人、側室三人、他に気分次第でおてつき・・・男のロマンじゃないかっ。

・・・もう、いいか。

で、『真田丸・第13回』(NHK総合20160403PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は真田の里の地侍とも佐久地方の郷士ともされる堀田作兵衛の娘で信繫の最初の子を生んだ側室の兄・堀田作兵衛(父子襲名)描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。マップ的には作兵衛父子が揃い踏みして嬉しい限りです。しかし、あくまでマイペースでお願い申しあげます。どの妻がどの子を産んだかも研究者によって意見が分かれるところですが・・・信繫・三女の母は高梨内記の娘とされているので・・・後に片倉重長の妻となる阿梅(おうめ)が・・・亡き先妻を偲ぶ名前というのは実に意味深ですな。まあ・・・早世する次女の名前が於市(おいち)なので・・・一応気遣いはしたが・・・まあ・・・いいじゃないかという命名と妄想できまする。勢力分断による各個撃破という古典的な戦術の・・・「教科書」のような第一次上田合戦の真田昌幸の兵法・・・。これは第二次上田合戦、そして真田丸へと継承されていくわけでございますねえ。久しぶりに「合戦」が描写され・・・「戦場」には「勝敗」とは別に「死」が残される。まさに戦国絵巻でございましたねえ・・・。なぜ・・・これをいつもできないのか・・・実に不思議なことでございますなあ・・・。

Sanada013天正十三年(1585年)七月、真田昌幸と上杉景勝は秘密同盟を約し、真田信繁は人質として海津城に入る。八月、昌幸の命令違反を口実に徳川家康は甲斐国より信濃国に出兵。譜代家臣の鳥居彦右衛門元忠、大久保七郎右衛門忠世、平岩七之助親吉、柴田七九郎重政などが佐久の小諸城で諏訪頼忠などの信濃衆と合流。閏八月、徳川軍は神川を越え小県に進撃する。その数およそ七千。対する真田軍は二千に満たなかったと言われる。家康は対秀吉のために信濃国の完全領土化を求めていた。すでに昌幸の弟・信尹を臣従させており、真田敗北後の青写真も出来上がっている。しかし、信尹は真田忍軍を通じて徳川勢の様子をすべて昌幸に通報していた。また、甲斐の旧勢力である木曽家、諏訪家、小笠原家を臣従させた家康だったが・・・すでに木曽家には秀吉の調略の手が伸びており、小笠原家には上杉・真田に内通の気配があった。諏訪頼忠の案内で佐久より小県に侵入した徳川勢は神川を渡河すると、真田昌幸の上田城の北、砥石城の東、矢沢城の南、丸子城という包囲陣に数的優位を妄信して突入して行った。

家康は駿府城に出向いている。真田信尹を呼び出し、情勢について話し合った。

「安房守(昌幸)は臣従せんか」

「おそらく・・・」

「信長公は武田に勝ったが・・・儂(わし)は武田に負けたままじゃ・・・真田を降伏させれば・・・面目が立つのじゃが・・・」

「兄は父よりもなお・・・戦上手なれば・・・簡単には降りますまい」

「しかし・・・寄せ手は十倍の兵力じゃぞ」

「家康様は・・・真田の兵を千・・・徳川勢を一万と思し召しか・・・」

「そうじゃ・・・遠州四千、甲斐三千、信濃三千の兵を合わさばそうなろう・・・」

「おそらく・・・信濃の兵三千のうち・・・諏訪に従うものは千に足りますまい」

「いかに・・・」

「小諸一体の佐久衆も・・・元は・・・真田の地・・・二千は兄に味方するかもしれませぬ」

「なんと・・・」

「これで・・・真田は三千、徳川は八千・・・さらに甲斐衆の中にも真田贔屓のものがあります・・・これが千も日和見すれば・・・徳川は七千・・・」

「すると・・・兵力差は倍程度と申すか」

「何より・・・この戦は・・・山岳戦で・・・攻城戦でございますれば・・・」

「よもや・・・徳川が負けるなどと申すのではなかろうな・・・」

「徳川勢は間違いなく・・・殲滅されまする」

「・・・ふふふ・・・ははは・・・面白いことを申すのう・・・」

「臣下として・・・追従は申せませぬ・・・」

「・・・」

家康は爪を噛んだ。

小諸を立ち、千曲川を北西に向かう徳川衆は異様な空気を感じていた。

点在する集落がすべて無人なのである。

「百姓が戦を避けるのは当然だが・・・」

斥候の報告を聞き、鳥居彦右衛門は首をかしげる。

「これほど徹底しているのは珍しいの・・・どの村ももぬけのからとはな」

「伊賀者の話では・・・山中にも人の気配がないそうでございます」

「すると・・・佐久より北のものどもはすべて城に籠りしか・・・諏訪殿」

「・・・」

「これより先はお主が詳しかろう」

「まずは・・・対岸の丸子城を攻めるが定石」

しかし・・・決起にはやる大久保三兄弟の長兄・忠世が異を唱える。

「なんの・・・真田風情はおそるにたらぬだに・・・国分寺あたりに小勢がたむろしておるらしいが・・・これを殲滅し・・・そのまま小県になだれ込むのがよかろうず・・・」

鳥居はこれに同意し、翌朝、上田城西方の神川を渡河することにした。

無人の村落からは略奪もままならず・・・大兵を養う兵糧の調達が困難となっていた。

結果として短期決戦を求めることになったのである。

夜明け前、薄明の中で出陣の準備を始めた徳川勢は・・・対岸で能の「高砂」に興ずる真田の若衆の声を聞く。

「痴れ者が・・・」

血気にはやる徳川勢の荒武者が騎馬とともに川に突進すると対岸から銃声が起こり荒武者は血煙となって川に落下する。

「小癪な・・・」

大久保三兄弟の鉄砲隊百人が河原に出て発砲する。

しかし・・・すでに対岸には人影はない。

「おのれ・・・」

徳川勢は・・・退却する真田の若衆を追いかけて先を争うように渡河を開始する。

その姿は山上の矢沢城から遠望できた。

狼煙よる伝達で矢沢城の西方にある砥石城に籠った真田信幸は精鋭の山岳騎馬隊を率いて神川上流まで出動する。上田城下町になだれ込んだ徳川勢の先鋒は千曲沿いに長く尾をそいており・・・その最後尾に噛みつく準備を整える。

「城下に放火して・・・焼き払ってしまおうぞ」

平岩は提案するが・・・ようやく上田城下に到着した鳥居は反対する。

「先鋒がすでに大手門まで進んでおるに・・・ここで火を放てば進退に不自由するだわ」

徳川勢は幾筋かに分かれる道に突入する。

先鋒の諏訪隊、岡部隊、柴田隊などは大手門から上田城二の丸に突入していた。

今や・・・上田城下は徳川勢で大混雑という有様になっている。

そこへ・・・突然・・・霧が立ち込め始めた。

「面妖な」

続いて空から石つぶてが降り注ぐ。

「痛」

兵たちは視界を閉ざされた中で右往左往する。

次は矢嵐が襲ってきた。

額を射られて声もなく倒れる雑兵。

次に周囲の壁から真田勢の銃撃が開始される。

真田勢は・・・退散した織田勢の残した大量の鉄砲・弾薬を確保していた。

各所で兵の苦痛の声があがる。

大久保三兄弟は・・・剣呑な空気を感じ・・・一時退却を命じるが・・・すでに逃げ場はなかった。

最後に徳川勢に四方から油が注がれる。

火矢・・・爆裂弾・・・地雷が炸裂し・・・火炎が徳川勢を寸断する。

阿鼻叫喚が巻き起こる中・・・本丸から真田昌幸が左右に影武者の常田伊予守、真田幸村を従えて出陣する。さらに常田出羽守、高槻備中守という猛将が続く。

「者ども・・・かかれ・・・一人も生きて帰すな」

殺到する真田勢に蹂躪される徳川の兵たち。

死に物狂いで逃げ出した先鋒衆が城外の徳川衆と衝突し・・・動揺した徳川勢は一斉に退却を始める。

千曲川に潜んでいた真田河童衆は軍船を漕ぎだし・・・船上から鉄砲衆が射撃を開始する。

猛射から逃れようと川筋から逃亡する徳川勢を真田信幸の騎馬軍団が襲撃するのだった。

左右から襲われ・・・算を乱して逃げる退却兵が神川にたどり着くと・・・上流の堰が切られ、濁流が押し寄せる。

数百人が溺死するという有様である。

対岸の徳川本陣に・・・鳥居元忠は命からがらたどり着いた。

平岩、大久保など名のある大将も乱戦を切り抜けて戻るが・・・多くの将兵を失い、生き残ったものも満身創痍である。

「火責め水責め・・・拷問の如しじゃな・・・」

徳川勢は・・・一日で壊滅していた。

家康は敗報を聞くと、歯ぎしりし・・・撤退戦援護のために井伊直政隊などに出陣を命じた。

沼田城を襲撃した北条勢も徳川勢大敗北の報せが届くと兵を返す。

こうして・・・第一次上田合戦は徳川家康に痛恨の一撃を与えて終わった。

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2016年4月 3日 (日)

誰かを助けるために誰かを傷つけてしまう・・・こんな世の中じゃ(綾瀬はるか)

一ノ妃(奥村佳恵)である。

奥村佳恵は「赤い糸の女」(2012年)の全身整形で復讐に挑む「ブタ志村」こと鹿野芹亜を演じている。

そのために・・・ただでさえ・・・韓流ドラマ風なこのファンタジーが一挙にドロドロ昼ドラマ風味を増してきたのだった・・・お前の妄想的にはな・・・。

帝(藤原竜也)の寵愛をめぐって繰り広げられる二ノ妃(木村文乃)との毒殺未遂の応酬。

毒盃、毒蜘蛛、毒蛇、毒サソリが飛び交う乱打戦である。

帝が変な水晶玉をもって「あああああ」と叫ぶのも・・・愛妾たちの仁義なき戦いに疲弊して精神を病んだためだと思われるのだった。

もちろん・・・初心な顔をした二ノ妃も・・・内面カラ的なドス黒さで応じるのだった。

自分の放った刺客が箱詰め死体で送りかえされた時・・・「二ノ妃・・・恐ろしい子・・・」とつぶやく一ノ妃が見たいものだな。・・・蜷川幸雄の舞台で姫川亜弓もやってるからな。

・・・ありません。

で、『精霊の守り人・第3回』(NHK総合20160326PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・片岡敬司を見た。人間の世界と精霊の世界は両方が物理的に接触することができる存在であるらしい。もちろん・・・人間世界から見れば精霊たちが物質的存在となることは一種の心霊現象としてとらえることができる。「お化け」というものが単にスピリチュアルな存在ならは・・・相互は不可侵なのだが・・・結構、物理的な振る舞い・・・ポルターガイストのようなものをするからな。そこは・・・もう・・・「そういうものなんだ」と了承するしかないのだった。しかし・・・そのためにはそういうムード作りが大切で・・・そういう点はあまり上手とは言えない気がするのである。・・・まあ、いいか。

Map3新ヨゴ皇国の建国神話

南海の果てにあるヨゴ皇国の王位継承に纏わる不毛な争いを避けて渡海した英雄トルガルは神通力によって魔物を退治し、「天ノ神」の子孫として新ヨゴ皇国を建国した。

新ヨゴ皇国の秘められた歴史

実はトルガルは大聖導師ナナイによる傀儡だった。ナナイは先住民族であるヤクーに学び、ナユグ(異次元世界)のニュンガ・ロ・イム(水の精霊)によって気象をコントロールし、新ヨゴ皇国を繁栄に導いた。

光と闇の歴史はやがて忘却され・・・精霊の世界を見ることのできない帝が継承を重ね・・・百年に一度の水の精霊の世代交代の時期を迎えてしまったのである。

岩窟図書館の星読博士

星読博士のシュガ(林遣都)は幽閉された地下書庫で・・・ナナイの記した古文書を解読し・・・封印されていた秘史を知る。

シュガに食事を運ぶ星読博士のガカイ(吹越満)は秘事に慄くのだった。

「すると・・・皇国の神話は・・・すべて嘘だったと申すのか・・・なんと罰あたりな」

「いいですか・・・水道に壁を作ることによって渦を作り、泥土を沈下させないシステムがあったとする・・・これを水利のなんたるかを知らぬ役人が壁を壊せば水量が増えると破壊してしまう・・・そういうバカの壁問題があるのです・・・水の精霊を単なる魔物と考えて浄化しようなんて・・・愚か極まりないのです」

「おい・・・帝の前で・・・そんなこと言うなよ・・・お前が浄化されちまうぞ」

「・・・」

手負いの狩人の帰還

水の精霊ニュンガ・ロ・イムの卵を狙う土の精霊ラルンガに左腕を食われた剣士ジン(松田悟志)が光扇京の王宮に帰還する。

一の宮では皇太子サグム(中野魁星)が謎の熱病を発症し、病床にあった。

サグムの生母である一ノ妃は手を尽くすがサグムの容体は回復しない。

ニノ宮は・・・聖導師(平幹二朗)の言動から・・・熱病の裏に策謀があるのではないかと疑う。

聖導師は帝に「もしも・・・皇太子を失えば・・・後継者が不在になってしまう」と言上する。

消息不明の第二皇子チャグム(小林颯)の皇位継承権を復活させることを匂わす聖導師・・・。

しかし・・・チャグムに特殊な能力があることを嫌悪する帝は・・・ジンに秘密指令を下す。

「チャグムにとりついた魔物が・・・水を汚染している・・・チャグムを浄化すれば・・・皇太子の命は助かる・・・」

「・・・」

「わかるな・・・チャグムをただちに浄めよ」

ジンは左手を装甲義手化し・・・再び狩人の任務に復帰するのだった。

青霧山脈越冬隊

ラルンガから逃れるために北の青霧山脈に冬籠りするチャグム一行。

ラルンガを含めた土の精霊たちは冬眠する習性があるらしい。そのために冬山の冷気は有効・・・なのか。この辺りの・・・ナユグの生物設定がださいと感じるかどうかはあなた次第である。

熊さんぽくて・・・素敵と考える人もいるだろう。

ヤクーの呪術師トロガイ(高島礼子)はすべてを知っているわけではないが・・・ナユグについての知識をチャグムに伝える。

チャグムには・・・ナユグに通じる資質があるらしい。

やがて・・・チャグムは夢と現実の境界線にあるナユグの世界を視聴可能になっていく。

チャグムは体内に寄生している水の精霊の卵と意志疎通が可能な体質らしい。

お茶の間は・・・チャグムの視覚という神の目によって・・・ナユグの世界や、ナユグの生き物の実体を見ることができるわけである。

ヤクー伝承による知識によってチャグムは・・・父親である帝の立場を認識し・・・自分の置かれた状況を理解する。

「どうして・・・どうしてこんなことに・・・」

腑に落ちないチャグムに女用心棒バルサは身の上話を聞かせ・・・この世の不条理に立ち向かうしかない「生」を示す。

「すると・・・バルサの父はカンバルの王に誅されたのか・・・。そして、父の親友であったジグロは・・・王が送り込む暗殺者たち・・・かっての仲間と・・・バルサを守るために戦ったのか」

「そうだ・・・」

「どのようなものたちがやってきたのだ」

「いろいろな暗殺者が来た。全身が武器の男、空を飛ぶ男、怪力の男、水の中で強い男、口から火を吹く男、カメレオンのように変身する男、目と耳がいい美しい踊り子、ついには念力を持つ赤子まで・・・」

「その八人を殺したか」

「そうだ・・・」

「なかなか鬼畜なゼロゼロナンバーサイボーグ物語じゃのう」

「誰が009なんだよ」

「お前はどうしたのか・・・」

「私は・・・ジグロに短槍を習った・・・」

「自分を守るためか」

「カンバルの王ログサムに復讐するために・・・」

「ジグロはどうした・・・」

「仲間たちとの戦いに疲れ果て死んだ・・・」

「・・・憐れな」

「私は・・・父とも思うジグロに誓った・・・自分のために散った命の償いのために・・・命を救うことを・・・」

「ワシを助けたのは・・・そのためか」

「しかし・・・ジグロは言った・・・救うことは殺すことよりも難しいと・・・」

「・・・一人を救うために十人を殺していたら償いにはならんのう・・・」

「その通りだ」

「バルサよ・・・余に・・・短槍を教えよ」

「何?」

「余が自分で身を守れば・・・バルサが命を救ったのと同じだ・・・」

「よかろう」

こうして・・・雪山修行の日々が始った。

薬草師のタンダ(東出昌大)はみんなに美味しい食事を作るのだった。

ドサクサに紛れて・・・バルサに求愛するタンダ。

「この騒動の決着が着いたら・・・一緒に暮らさないか・・・」

答えは保留するバルサだった。

「なんだ・・・お主たち・・・できているわけではないのか」

「こら」

チャグムはニヤニヤした。

いつしか・・・バルサとチャグムの間には疑似肉親のような感情が芽生えている。

獲物と狩人が春の青池で

春となり・・・水の精霊の出産の気配を感じるチャグム。

水の精霊の卵の導きにより、チャグムはニュンガ・ロ・イムの栄養源となる水辺の花の蜜を求め、草原を越えて青池の畔に達する。

王宮からはシュガの指示によりチャグムを出迎えるモン(神尾佑)と帝にチャグム暗殺を命じられたジンが青池に向かう。

そして・・・ラルンガがその触手を・・・チャグムの霊視によってお茶の間に晒すのだった。

「こんなものを倒すことができるのか」

「逃げよう・・・」

乱戦の中・・・木に登ったチャグムは・・・ラルンガから逃れることに成功する。

ラルンガは木に登れないらしい。

ラルンガの生物設定がださいと感じるかどうかはあなた次第である。

ウネウネしている熊さんなのか・・・。

いよいよ・・・クライマックス・・・お茶の間がどのくらい盛り上がっているのか予想もつかない今日この頃である。

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2016年4月 2日 (土)

白ゆき姫殺人事件(井上真央)地球最後の味方(貫地谷しほり)

谷間である。

作品の登場人物とキャストは全くの別人であるが・・・全く無関係というわけではない。

名作に名女優がつきものであるように・・・作品が毀誉褒貶にさらされれば・・・女優も毀誉褒貶にさらされるのである。

そういう意味で・・・なぜ・・・こんなものに・・・あなたが・・・と悪魔でさえ・・・思う時がある。

もちろん・・・今や、作品も女優たちも・・・たやすく再生可能な時代である。

劇場の公開期間が終了すれば・・・ブラウン管のオンエアタイムが過ぎ去れば・・・すべての作品世界が消えて行ったあの頃とは違うのである。

こんなはずではなかったはず・・・という気分になったら・・・過去の名作を見ればいいのだ。

時間が許せばな。

ここには・・・黄金の七人ではないけれど黄金に輝く女優たちが・・・恐ろしいほどに集っているのです。

で、『白ゆき姫殺人事件(2014年劇場公開作品)』(日本テレビ20160401PM9~)原作・湊かなえ、脚本・林民夫、監督・中村義洋を見た。70億の妄想渦巻く21世紀の地球。真実などというものはすでに寝言となり、今を生きる人間たちがあることないことを呟き続ける御時勢である。昔は道で独り言を言ってれば頭がおかしいと思われたものだが・・・今やそれが日常茶飯事なのである。面白いが恐ろしいことだ。もちろん・・・このブログもその一員なのである。

人間は本当にさびしがりやさんなんだな。

長野県のしぐれ谷国立公園で・・・化粧品会社「日の出化粧品」の美人OL・三木典子(菜々緒)の惨殺死体が発見される。

その夜を境に・・・同期入社の地味なOL・城野美姫(高橋美来→諸江雪乃→井上真央)は消息不明となる。

テレビのワイドショー「カベミミッ!」の契約ディレクター・赤星雄治(綾野剛)は友人で三木典子が指導役としてのパートナーだった狩野里沙子(蓮佛美沙子)から「加害者」についての興味深い噂を聞く。

素晴らしいインターネットの世界で「red star」を名乗り、情報を公開する赤星は美姫こそが殺人犯ではないかという疑いに囚われ、関係者に対する取材を開始する。

「カベミミッ!」の司会者である水谷(生瀬勝久)と女子アナウンサーの平塚(朝倉あき)は赤星の取材VTRから生じる憶測をまことしやかに・・・お茶の間に伝え始める。

「三木典子さんを殺した容疑者については警察による捜査状況が明らかにされていませんが・・・失踪した同僚のSさんの行動は極めて不自然と言わざるを得ません・・・」

「確かに不自然と言えないこともないですね」

美姫の指導役としてのパートナーだった間山(宮地真緒)の送別会「まんてんの彼方へ」から・・・姿を消した被害者と・・・美姫・・・。

その夜・・・美姫が・・・被害者と車に乗り合わせていた目撃情報があった。

美姫の同僚たちは・・・美姫と被害者との間に篠山係長(金子ノブアキ)をめぐる確執があったと話す。

美姫は篠山係長と交際していたが・・・被害者が略奪したというのだ。

しかし、篠山係長は・・・両者との関係を否定する。

大学時代の美姫の親友で・・・性行為に特別な関心を持つ前谷みのり(谷村美月)は「美姫と篠山係長には肉体関係があり、係長が足の指なめを喜ぶ性的嗜好があった」と証言する。

美姫の高校時代のクラスメートの島田彩(野村佑香)は「彼女は犯罪者になりそうな人第2位だった」と語る。

美姫の中学時代のクラスメートである江藤(大東駿介)は「彼女の呪いで交通事故にあった」と噂されていた。

美姫の小学校時代の同級生・あかね(米山実来)の母親(山下容莉枝)は「美姫ちゃんは・・・鎮守の森に放火したことがある」と証言する。

赤星は関係者のインタビューを主観をもって編集し・・・美姫を「猟奇的な殺人者」に仕立て上げていくのだった。

ついに・・・美姫の父親(ダンカン)は「娘のことをお許しください」と土下座する。

いわゆる一つの「藪の中」の捏造展開である。

美姫の母親(秋野暢子)は俯き、病床で「あの子はそんなことをする子じゃない」と囁く祖母(森康子)の声は黙殺される。

だが・・・「赤毛のアン」に憧れていた美姫によって・・・担任教師の東山先生(宮本真希)まで操る悪魔的な扇動者・八塚あかねによる苛めに喘いでいた谷村夕子(井東紗椰→貫地谷しほり)は救われていたのだった。

「みんなは・・・自分の話したい事だけを話している」

「・・・」

「あんたは・・・自分の聞きたい言葉だけを聞いている」

「・・・」

しかし・・・夕子の真摯な忠告は赤星の心には届かない。

美姫と夕子が・・・アンとダイアナのように・・・「希望の灯」を交換してし励まし合っていたことなど・・・事件とは無関係なのである。

そもそも・・・「赤星」は「赤毛のアン」を読んだことがなかった。

赤星の妄想報道によって・・・追いつめられた美姫は・・・ホテルの一室で遺書を書いていた。

あの日・・・「世界で一番美しい」と自分を賛美しなかった白雪姫の幼馴染にに毒リンゴを与え続けた被害者はイケメン・ミュージシャンの「芹沢ブラザーズ」(TSUKEMEN)の演奏会のチケットを見せびらかしたあげく・・・美姫に睡眠導入剤をもられ・・・昏睡する。

美姫は・・・演奏会に行き・・・アクシデントに巻き込まれる。

演奏者を負傷させてしまった美姫は・・・自責の念から・・・隠れていただけなのだった。

いつの間にか・・・殺人犯に仕立て上げられた美姫は自殺を決意していた。

その時・・・ホテルのテレビから流れる「犯人逮捕」の報道・・・。

犯人は・・・苛めの女王であった被害者の被害者だった。

彼女は・・・美姫を唆し・・・チケットを奪わせた後で・・・眠った女王を刺殺し、焼却したのだ。

職務に忠実な警察官たちは・・・淡々と捜査をし・・・確かな証拠に基づき・・・真犯人を逮捕したのである。

帰宅した美姫にも土下座する父親だった。

疲れ果てた美姫は自分の部屋の窓から・・・暗闇の中に希望の灯を見出す。

本当はギルバートになりたかった同性愛者の夕子は愛する幼馴染にエールを送るのである。

菓子折りを持って謝罪に現れた赤星。

しかし・・・追い返される。

契約打ち切りの恐怖に打ちひしがれる赤星。

偶然、通りかかる美姫。

「大丈夫ですか」

「いろいろ・・・嫌なことがあって」

「きっと・・・いいことがありますよ」

美姫は赤星を知らない。

赤星は美姫に気がつかない。

「赤星さん・・・あの人・・・」

アシスタントの長谷川(染谷将太)は事実を告げようとする。

「え」

「・・・いや・・・なんでもありません」

真実などに・・・意味はないのである。

あるいは・・・救いようのない人間はいるのだ。

こうして・・・「ちりとてちん」と「おひさま」はヒロイン同志で慰めあうのだった。

「大変だったわね」

「あなたも気をつけて」

「私は大丈夫だと思う」

「油断は禁物よ」

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2016年4月 1日 (金)

恋はアナタのおそば(多部未華子)温かいの?冷たいの?(平岩紙)

春の谷間である。

三月の終わりに開花から十日という長めの桜満開宣言である。

老母は夜中にトイレに行き帰りに転んで圧迫骨折を発症した。

迷惑な話である。

誰かの所為で憂鬱な気分になるというのは生きている証拠だ。

人は痛い時に「痛い」と訴えるものだが・・・訴えてもしょうがない時には我慢する。

しかし、認知症の人間は・・・この「痛い」「痛いと言っても痛みは消えない」「声を出せば腹が減るだけ」「痛いと言うのをやめるか」の流れを忘却するわけである。

「痛い」「痛い」「痛い」「誰か助けて」「痛い」「痛い」「痛い」「誰か助けて」・・・果てしなき痛みの主張。

こっちが助けてもらいたいものだ。

ここには「笑い」があるものだが・・・お茶の間向きの「笑い」ではないというのが常識である。

おそらく・・・それは・・・下北沢あたりの地下にある小劇場向きの「笑い」なのだろう。

そもそも・・・そういう「グロテスクな笑い」というものは・・・気持ちの悪いものである。

だが・・・そういう「笑い」を求める人々がいるので・・・ビジネスは成立するのだろう。

そういう「笑い」を追及した人間が・・・その残骸をお茶の間で披露する。

それが・・・そこそこ面白い場合・・・それを人は洗練と呼ぶのだろうか。

で、『松尾スズキアワー「恋はアナタのおそば」前・後篇』(NHK総合201603302255~)脚本・演出・松尾スズキ、振付・パパイヤ鈴木を見た。回り舞台である。緞帳前に司会者風の松尾スズキと赤いドレスの多部未華子が登場し、「頭にハンガーを装着すると首が回転する流行について」の軽い漫談の後に幕開けを告げる。表舞台は歌謡ステージ・ショーのセットでバンドがスタンバイしている。二人はテーマソングを歌い出す。

私はサチコ 地味なOL 

何故か そば屋の店長になりました 

そば屋のカレーはおいしくて 

ミニカレーだけ食べたいの

「そばにあやまれ」

「ごめんなさい」

回り舞台が回転し、そば屋「犬ぞり庵」店内セットが出現する。

ピンク電話で「苦情」を申し立てる脚本家(池津祥子)のみが板付き。

「お宅で買ったハンガーのことで苦情があるんだけど・・・今、頭にはまってるのよ・・・テレビで頭にはめると首が回るって言うんでやってみたの・・・確かに回るのよ・・・でも・・・ハンガーが頭から外れなくなっちゃったのよ・・・今、頭にはまってるの・・・なんとかしてちょうだいよ・・・今、頭にはまってるんだって・・・あ・・・ガチャギリしやがった」

脚本家は渋谷のNHKの裏のそば屋の二階に下宿している。

客を引く声がして・・・住み込みの店員きつね(平岩紙)が体操のお兄さん候補(三宅弘城)を店に連れこむ。

「いらっしゃい」

「何を言ってんだ・・・無理矢理連れこんで・・・俺はNHKの体操のお兄さんのオーディションに行かなきゃならないんだよ」

「温かいのにしますか・・・冷たいのにしますか」

「だから・・・そばなんて食べないよ」

「またまた・・・そんな限りなくそば屋の客に近いブルーのジャージを着て」

「古すぎて元ネタがわかんないんだよ・・・」

「まあまあ・・・おかけになって」

「俺は腰かけない」

「かけ一丁」

「・・・苦しすぎるぞ」

注文に答えてそば職人(村杉蝉之介)が登場し・・・店主が出前に出かけていて不在であることが判る。

キツネは浮浪児だったところを店主に拾われて育ての恩を感じている。

早着替えが終わったヒロインのサチコ(多部未華子)が羊羹を握って登場する。

変態なので・・・舞台裏を妄想してうっとりできればそれで満足なのだった。

「お客様・・・先程は大変ご無礼いたしました」

「あんた誰・・・」と脚本家。

「コールセンターお客様係のものでございます」

「ガチャギリした・・・」

「ガチャギリしたものでございます」

「なんでガチャギリしたの」

「電話が怖いのです」

「それでクレーム処理ができんのかよ」

「向いていないと思い辞表を提出してきました・・・しかし・・・お客様には直接会って謝ろうと思い・・・これは・・・つまらないものですが」

「なんで・・・羊羹がむき出しになってんのよ」

「食べやすいかと思いまして」

「あなた・・・もしや・・・サチコさんでは・・・」ときつね。

「え」

「生まれる前に両親が離別して・・・女手一つで育てられたのでは?」

「ええ」

「ほぼ・・・間違いなく・・・あなたは犬ぞり庵の店主の娘さんです」

「えええ」

「これが・・・三年前に出前でアラスカに向かって消息不明の店主です」

そこには・・・髭を生やした多部未華子の写真があった。

「これが・・・お父さん・・・」

「あなた・・・まるで朝ドラマのヒロインみたいね・・・」と脚本家。

そこへ・・・NHKのドラマのディレクター(皆川猿時)、アシスタント・ディレクター(栗原類)、大女優の大竹しのぶ、ものまね芸人の犬山しのぶ(大竹しのぶ)、車にひかれやすいサチコの上司(松尾スズキ)などがやってきてドタバタ人情悲喜劇を繰り広げるのだった。

歩く死体となった上司が「水木しげる!」と叫んだ時には・・・出演者一同が凍りついたが構わずオンエアーである。

「木枠にあう煎餅」くらいグロテスクなのでほとんどアドリブだったのだろう。

しんみりした話を物干し台でする時はフジファブリックの山内総一郎がギターをつま弾く。

「あなたは何故ここに・・・」

「♪それは聞かない方向で~」

サチコはアシスタント・ディレクターに一目惚れするが・・・アシスタント・ディレクターは脚本家にお熱なのだった。

「え~ん」・・・かわいいよ、多部ちゃん、かわいいよである。

しかし、大竹しのぶが店の常連で・・・メキシコで店主を発見していて・・・携帯電話を買ってあげていたために・・・父と娘は電話で対面を果たす。

「私に・・・嬉しい電話がかかってくるなんて・・・」

電話恐怖症を克服したサチコ・・・大団円である。

まあ・・・ノースリーブの多部未華子が踊って歌えば・・・嫌なことは大体忘れられるということである。

不在の終わりだった。

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