貴女のことを思い出すと心が沈むの(長澤まさみ)おかまいなく・・・戦に犠牲はつきものだらず(黒木華)
真田信繁の最初の妻として設定された堀田作兵衛の娘で堀田興重の妹・梅(仮名)退場である。
お茶の間対策として次の側室となる高梨内記の娘・きり(仮名)の輿入れがスムーズになるわけである。
二人の側室より・・・先妻と後妻の方が心理的抵抗が少ないという判断と妄想する。
基本的に・・・信繫は出世するとともに・・・身分の高い妻を迎える流れになっている。
最初の妻・梅は真田の里の地侍の娘で・・・武士とも百姓とも着かぬ家の子である。
次の妻は・・・一説によれば北信濃の名族・高梨政頼の血筋で、真田昌幸の兄・信綱の妻の兄弟とされる高梨内記の娘である。真田家本家の家老筋であり、昌幸の重臣の一人と言えるれっきとした侍である。
第三の妻は信繫の嫡男・幸昌(大助)を生み正室ともされる大谷吉継の養女(竹林院)である。吉継は豊臣秀吉の支配する世の重臣で大名である。
第四の妻は関白となった豊臣秀次の娘(隆清院)である。
妻の実家が・・・地侍→真田家重臣→大名→関白とどんどん格上になっていくわけである。
出世魚かっ。
しかし・・・九度山蟄居中には百姓の娘に手を出し、四男の之親を生ませている。
ふりだしに戻ったんだな。
戦国の武士としてはごく普通の種馬だったと言える。
それでいいじゃないかっ。
正室一人、側室三人、他に気分次第でおてつき・・・男のロマンじゃないかっ。
・・・もう、いいか。
で、『真田丸・第13回』(NHK総合20160403PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は真田の里の地侍とも佐久地方の郷士ともされる堀田作兵衛の娘で信繫の最初の子を生んだ側室の兄・堀田作兵衛(父子襲名)描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。マップ的には作兵衛父子が揃い踏みして嬉しい限りです。しかし、あくまでマイペースでお願い申しあげます。どの妻がどの子を産んだかも研究者によって意見が分かれるところですが・・・信繫・三女の母は高梨内記の娘とされているので・・・後に片倉重長の妻となる阿梅(おうめ)が・・・亡き先妻を偲ぶ名前というのは実に意味深ですな。まあ・・・早世する次女の名前が於市(おいち)なので・・・一応気遣いはしたが・・・まあ・・・いいじゃないかという命名と妄想できまする。勢力分断による各個撃破という古典的な戦術の・・・「教科書」のような第一次上田合戦の真田昌幸の兵法・・・。これは第二次上田合戦、そして真田丸へと継承されていくわけでございますねえ。久しぶりに「合戦」が描写され・・・「戦場」には「勝敗」とは別に「死」が残される。まさに戦国絵巻でございましたねえ・・・。なぜ・・・これをいつもできないのか・・・実に不思議なことでございますなあ・・・。
天正十三年(1585年)七月、真田昌幸と上杉景勝は秘密同盟を約し、真田信繁は人質として海津城に入る。八月、昌幸の命令違反を口実に徳川家康は甲斐国より信濃国に出兵。譜代家臣の鳥居彦右衛門元忠、大久保七郎右衛門忠世、平岩七之助親吉、柴田七九郎重政などが佐久の小諸城で諏訪頼忠などの信濃衆と合流。閏八月、徳川軍は神川を越え小県に進撃する。その数およそ七千。対する真田軍は二千に満たなかったと言われる。家康は対秀吉のために信濃国の完全領土化を求めていた。すでに昌幸の弟・信尹を臣従させており、真田敗北後の青写真も出来上がっている。しかし、信尹は真田忍軍を通じて徳川勢の様子をすべて昌幸に通報していた。また、甲斐の旧勢力である木曽家、諏訪家、小笠原家を臣従させた家康だったが・・・すでに木曽家には秀吉の調略の手が伸びており、小笠原家には上杉・真田に内通の気配があった。諏訪頼忠の案内で佐久より小県に侵入した徳川勢は神川を渡河すると、真田昌幸の上田城の北、砥石城の東、矢沢城の南、丸子城という包囲陣に数的優位を妄信して突入して行った。
家康は駿府城に出向いている。真田信尹を呼び出し、情勢について話し合った。
「安房守(昌幸)は臣従せんか」
「おそらく・・・」
「信長公は武田に勝ったが・・・儂(わし)は武田に負けたままじゃ・・・真田を降伏させれば・・・面目が立つのじゃが・・・」
「兄は父よりもなお・・・戦上手なれば・・・簡単には降りますまい」
「しかし・・・寄せ手は十倍の兵力じゃぞ」
「家康様は・・・真田の兵を千・・・徳川勢を一万と思し召しか・・・」
「そうじゃ・・・遠州四千、甲斐三千、信濃三千の兵を合わさばそうなろう・・・」
「おそらく・・・信濃の兵三千のうち・・・諏訪に従うものは千に足りますまい」
「いかに・・・」
「小諸一体の佐久衆も・・・元は・・・真田の地・・・二千は兄に味方するかもしれませぬ」
「なんと・・・」
「これで・・・真田は三千、徳川は八千・・・さらに甲斐衆の中にも真田贔屓のものがあります・・・これが千も日和見すれば・・・徳川は七千・・・」
「すると・・・兵力差は倍程度と申すか」
「何より・・・この戦は・・・山岳戦で・・・攻城戦でございますれば・・・」
「よもや・・・徳川が負けるなどと申すのではなかろうな・・・」
「徳川勢は間違いなく・・・殲滅されまする」
「・・・ふふふ・・・ははは・・・面白いことを申すのう・・・」
「臣下として・・・追従は申せませぬ・・・」
「・・・」
家康は爪を噛んだ。
小諸を立ち、千曲川を北西に向かう徳川衆は異様な空気を感じていた。
点在する集落がすべて無人なのである。
「百姓が戦を避けるのは当然だが・・・」
斥候の報告を聞き、鳥居彦右衛門は首をかしげる。
「これほど徹底しているのは珍しいの・・・どの村ももぬけのからとはな」
「伊賀者の話では・・・山中にも人の気配がないそうでございます」
「すると・・・佐久より北のものどもはすべて城に籠りしか・・・諏訪殿」
「・・・」
「これより先はお主が詳しかろう」
「まずは・・・対岸の丸子城を攻めるが定石」
しかし・・・決起にはやる大久保三兄弟の長兄・忠世が異を唱える。
「なんの・・・真田風情はおそるにたらぬだに・・・国分寺あたりに小勢がたむろしておるらしいが・・・これを殲滅し・・・そのまま小県になだれ込むのがよかろうず・・・」
鳥居はこれに同意し、翌朝、上田城西方の神川を渡河することにした。
無人の村落からは略奪もままならず・・・大兵を養う兵糧の調達が困難となっていた。
結果として短期決戦を求めることになったのである。
夜明け前、薄明の中で出陣の準備を始めた徳川勢は・・・対岸で能の「高砂」に興ずる真田の若衆の声を聞く。
「痴れ者が・・・」
血気にはやる徳川勢の荒武者が騎馬とともに川に突進すると対岸から銃声が起こり荒武者は血煙となって川に落下する。
「小癪な・・・」
大久保三兄弟の鉄砲隊百人が河原に出て発砲する。
しかし・・・すでに対岸には人影はない。
「おのれ・・・」
徳川勢は・・・退却する真田の若衆を追いかけて先を争うように渡河を開始する。
その姿は山上の矢沢城から遠望できた。
狼煙よる伝達で矢沢城の西方にある砥石城に籠った真田信幸は精鋭の山岳騎馬隊を率いて神川上流まで出動する。上田城下町になだれ込んだ徳川勢の先鋒は千曲沿いに長く尾をそいており・・・その最後尾に噛みつく準備を整える。
「城下に放火して・・・焼き払ってしまおうぞ」
平岩は提案するが・・・ようやく上田城下に到着した鳥居は反対する。
「先鋒がすでに大手門まで進んでおるに・・・ここで火を放てば進退に不自由するだわ」
徳川勢は幾筋かに分かれる道に突入する。
先鋒の諏訪隊、岡部隊、柴田隊などは大手門から上田城二の丸に突入していた。
今や・・・上田城下は徳川勢で大混雑という有様になっている。
そこへ・・・突然・・・霧が立ち込め始めた。
「面妖な」
続いて空から石つぶてが降り注ぐ。
「痛」
兵たちは視界を閉ざされた中で右往左往する。
次は矢嵐が襲ってきた。
額を射られて声もなく倒れる雑兵。
次に周囲の壁から真田勢の銃撃が開始される。
真田勢は・・・退散した織田勢の残した大量の鉄砲・弾薬を確保していた。
各所で兵の苦痛の声があがる。
大久保三兄弟は・・・剣呑な空気を感じ・・・一時退却を命じるが・・・すでに逃げ場はなかった。
最後に徳川勢に四方から油が注がれる。
火矢・・・爆裂弾・・・地雷が炸裂し・・・火炎が徳川勢を寸断する。
阿鼻叫喚が巻き起こる中・・・本丸から真田昌幸が左右に影武者の常田伊予守、真田幸村を従えて出陣する。さらに常田出羽守、高槻備中守という猛将が続く。
「者ども・・・かかれ・・・一人も生きて帰すな」
殺到する真田勢に蹂躪される徳川の兵たち。
死に物狂いで逃げ出した先鋒衆が城外の徳川衆と衝突し・・・動揺した徳川勢は一斉に退却を始める。
千曲川に潜んでいた真田河童衆は軍船を漕ぎだし・・・船上から鉄砲衆が射撃を開始する。
猛射から逃れようと川筋から逃亡する徳川勢を真田信幸の騎馬軍団が襲撃するのだった。
左右から襲われ・・・算を乱して逃げる退却兵が神川にたどり着くと・・・上流の堰が切られ、濁流が押し寄せる。
数百人が溺死するという有様である。
対岸の徳川本陣に・・・鳥居元忠は命からがらたどり着いた。
平岩、大久保など名のある大将も乱戦を切り抜けて戻るが・・・多くの将兵を失い、生き残ったものも満身創痍である。
「火責め水責め・・・拷問の如しじゃな・・・」
徳川勢は・・・一日で壊滅していた。
家康は敗報を聞くと、歯ぎしりし・・・撤退戦援護のために井伊直政隊などに出陣を命じた。
沼田城を襲撃した北条勢も徳川勢大敗北の報せが届くと兵を返す。
こうして・・・第一次上田合戦は徳川家康に痛恨の一撃を与えて終わった。
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