コントレール~罪と恋~(石田ゆり子)鍵を握る女(桜庭ななみ)
4月14日21時26分頃の最大震度7(M6.5)が前震に変更されて4月16日01時25分頃の最大震度6強(M7.3)が本震として発生・・・。
「お迎えデス。」は次週に持ち越しである。
まあ・・・タイトル的にもあれだからな。
そのために・・・レビュー予定のなかったコレである。
ある意味・・・コレだっていつ・・・この手の事件が・・・。
まあ・・・ノンフィクションの世界がフィクションの世界に介在しない世の中を希望したい。
無差別殺人事件の犯人が・・・被害者の遺族と恋に・・・。
これだけでは・・・とんでもないドラマとしか言いようがないが・・・実際はもう少し大人しいのである。
犯人は・・・巻き込まれて不可抗力の事故で・・・未亡人となる主人公(石田ゆり子)の夫に手をかけてしまったのである。
全然、違う話じゃないか・・・。
まあ・・・石田ゆり子(46)が恋に悶える役を演じるということでは・・・とんでもない感じではあります。
まだまだ現役か・・・。
裏では「松本清張スペシャル 一年半待て」で石田ひかり(43)が夫殺しの妻を演じていた。
石田姉妹恐るべし・・・。
で、『コントレール~罪と恋~・第1回』(NHK総合20160415PM10~)脚本・大石静、演出・柳川強を見た。妻や母である前に女・・・というのは永遠の主題のひとつであるが・・・それが・・・罪であるのは・・・配偶者や・・・子に与える心理的な影響が大きいからである。未亡人の場合には・・・罪の度合いはある程度薄れるが・・・父親以外の男を愛する母親を息子はどうしても「雌犬」と感じるわけである。この時に記憶される「雌犬複合体(ビッチコンプレックス)」は必ず息子の将来に禍根を残すわけである。息子が成長して女性を愛するようになっても・・・必ず・・・相手に「雌犬(ビッチ)」を見出してしまうからだ。まあ・・・それはそれで一種の性的刺激として克服すれば問題はないのである。
所詮、女と言うものはビッチであり、だからこそ愛しい存在なのだからな・・・おいっ。
6年前・・・東京都品川のオープンテラスに一人の狂人が出現する。
血に飢えた青年が・・・出刃庖丁を取り出し・・・「生」を楽しむ人々を無差別に殺傷した。
篠崎圭子(桜庭ななみ)も犠牲者の一人になりかかるが・・・愛人の青木敦(丸山智己)が盾となり命拾いをする。
通りかかった弁護士の長部瞭司(井浦新)は敦と協力して狂人を取り押さえようとするが、犯人から奪った包丁で過って敦の頸動脈を切断してしまう。
敦は即死・・・不可抗力でありながら・・・人命を奪ってしまった瞭司は罪の意識に慄く小心者なのである。
空にはひこうき雲(コントレール)がかかっていた。
敦が愛人とデートしながら・・・妻に「ひこうき雲」の画像を送信した直後の出来事である。
取調にあたった刑事の佐々岡滋(原田泰造)は瞭司に宣告する。
「目撃者はみんな犯人が彼を殺したと証言しているし・・・あなたを罪には問えません」
「・・・」
瞭司の父親は法曹の世界の大物であり・・・警察には無言の圧力もかかっていた。
夫の死を聞き、駆けつけた青木文(石田ゆり子)は夫が見知らぬ女にイニシャルK.S.入りのブレスレットをプレゼントしようとしていたことに愕然とするのだった・・・そこなのかっ。
文は夫の子供を妊娠中だった・・・。
六年の歳月が流れる・・・。
件の無差別殺人犯は死刑になった。
文が亡き夫と経営していたドライブイン「コントレール」は西部劇の砂漠の真ん中にあるような「荒廃」を漂わせている。
「コントレール」は湘南地方にあるようだが・・・最近、県道が開通してドライバーたちのルートが変わり・・・店には閑古鳥が鳴いているのである。
あまり・・・空気を読まないタイプの親友・田渕さゆみ(堀内敬子)は従業員として文を元気付けるが・・・文の心はあれ以来・・・懊悩を続けている。
夫の不慮の死よりも謎の愛人の存在が気にかかる文だった。
夫の母親の英恵(野際陽子)は・・・そういう嫁の気持ちには気がつかず・・・文が出産した孫の友樹(松浦理仁)を「息子の生まれ変わり」と信じて溺愛している。
文は・・・浮気していた夫の母親を心底疎ましく思っていた。
そんな・・・文を・・・事件以来・・・佐々岡刑事は支えていた。
もちろん・・・下心があるわけだろう。
友樹は・・・佐々岡刑事にすっかり懐いていた。
周囲は・・・文が佐々岡刑事と再婚するのだろうと憶測している。
しかし・・・文は・・・六年たった今もただただ「浮気した夫」を憎悪しているのである。
ただ・・・それだけなのである。
雌犬だからな・・・。
佐々岡刑事は・・・夫への復讐相手としては物足りないのだった。
「トンネルの崩落事故が起きて・・・今日は客が押し寄せるよ」
佐々岡刑事は朗報を伝える・・・。
「・・・」
しかし・・・文の心はそんなことでは晴れないのだ。
崩落事故は前日オンエアなのでセーフなのである。
一方、瞭司は・・・裁かれなかった殺人の罪をもてあまし・・・失語症となって・・・トラックドライバーになっている。
県道を塞がれ、抜け道をたどる瞭司。
見上げる空にひこうき雲。
飛行機雲は英語でcondensation trail(凝結したガスの痕跡)・・・略して「contrail(コントレイル)」である。
ちなみに精神分析ではcondensationは圧縮された混合記憶を意味する。
たとえば「嫉妬」と「事件」が入り混じる嫌な「感じ」である。
瞭司の場合は「混乱」と「罪」が入り混じり・・・精神状態を圧迫するらしい。
(ひ・・・ひこうきぐも・・・ひ・・・ひとごろし)
眩暈を感じた瞭司は・・・トラックのハンドルをきり、ドライブイン「コントレール」の看板を粉砕する。
文は・・・危険な運転に憤りながら・・・爽快感を感じる。
重い看板は・・・夫の遺品であり・・・夫憎けりゃ夫の手作り看板も憎いのだ。
「ちょっと・・・何してんのよ」
「・・・」
しかし・・・運転席の男は蒼白だった。
「待って・・・水をもってくるから・・・」
文は・・・瞬間的に・・・男を自分の相手として不足なしと見定めていた。
文は瞭司に恋をしたのだ。
ビッチだからである。
コップに水を汲んで戻る文・・・。
しかし・・・トラックは走り去っていた。
文は喪失感にうろたえる。
ドライバーたちの航路が変わり・・・店は賑わう。
しかし・・・文はただ・・・男を待っている。
やがて・・・閉店後の店に瞭司が戻ってくる。
瞭司は筆談用のノートを持っている。
(弁償します)
文は男の渡す金を受け取った。
「カレー・・・食べる?」
文はカレーを食べさせた。
「体は大丈夫なの?」
(あの時はひこうき雲が見えたから)
書きかけて瞭司は答えを変更する。
(もう大丈夫です)
小道具として・・・カレーは最初からずっと明示されている。
ドライブインの定番メニュー。
そして忌まわしい夫との思い出の一品。
そのカレーがはねて瞭司の制服に滲みをつける。
洗面所で滲みを落した瞭司はノートを忘れる。
さすがの・・・小道具の使いまわしである。
文は・・・愛しい男のノートを覗き見て・・・「ひこうき雲」というフレーズに慄く。
文の傷心は「ひこうき雲」の画像に圧縮されているのだった。
文はノートに・・・「また来てね」とラブレターをしたためた。
瞭司はカレーを食べにやってきた。
文はノートを返す。
「この店は・・・コントレール・・・ひこうき雲という名前なの」
驚く瞭司。
ひこうき雲は・・・瞭司にとって・・・殺人の象徴だった。
店を飛び出す・・・瞭司に・・・文は唖然とするのだった。
「恋をしているのですか・・・」
佐々岡刑事は・・・文の心を察知する。
「・・・」
「私は・・・いつでも・・・あなたの味方です」
佐々岡刑事は終電で東京に戻って行く。
(残念だけど・・・相手はあなたじゃないの)
文は自分に相応しくない男の背中に語りかける。
文は瞭司の訪れを待ち・・・やってきた亡き夫の母親と諍いを起こす。
「あの刑事さんと・・・再婚すれば・・・私は応援するわよ」
「・・・」
「あの子が生きていれば・・・こんなこと・・・言わないですむのにね」
「そんなことないですよ・・・彼は・・・あの日・・・浮気してたんです」
「え」
「私は・・・それが・・・今も許せない・・・浮気して・・・あんな場所に行って・・・死んで」
「ええ」
「私は彼が憎い」
「えええ」
文は店を飛び出して叫びながら走る。
瞭司は「コントレール」という名の店をスルーしつつ・・・走る女に気がついた。
思わず・・・車を停車させ・・・夜の海岸に走り去る女を追う瞭司。
「・・・」
「どうして・・・来てくれなかったのよ・・・」
「・・・」
「キスして・・・」
「・・・」
戸惑う瞭司の唇を強引に奪う文。
ビッチだからな。
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コメント
西部劇ファンにはたまりません(笑)。
さびれた食堂、馬に乗ってやってくる若者。実は因縁のある人。町にはイケメンがいないから、恋に落ちてあたりまえ…西部劇として観れば全然問題なし(笑)。
筆談…萌えますね。「明日来て」…絶対そう書いてあると思ったらやっぱり書いてありました。
いやしかし『外事警察』で(私が)萌え損ねた石田ゆり子がこんなところで大復活とは。
惚れてまうやろー。という感じでございました。
来週からはプラトニック篇ではなさそうなので、それに(私が)耐えられるかどうかが問題(笑)。
投稿: 幻灯機 | 2016年4月19日 (火) 21時51分
例の草がカラカラと転がっていても問題ありませんでしたな。
突然、店主がマジックを始めてもOKでございます。
ヤモメのジョナサン・・・はもういないか・・・。
筆談トラック野郎が来たりてカレーを食うのですな。
ななみが地所以外で見られるのは貴重ですな。
アンニュイなドライブインの女主人・・・。
もうすぐレギオンが来るのです。
早く逃げないといけのせんが・・・
この世に逃げ場ばありません。
そして天使と堕天使の壮絶な死闘が・・・。
そういう話でなくて残念です。
まあ・・・ビッチに限りなく憧れている脚本家の
妄想ですからな・・・。
もう・・・あさましや・・・という以外にはございません・・・。
投稿: キッド | 2016年4月19日 (火) 23時22分