世界は食うか食われるか・・・ただそれだけのもの(綾瀬はるか)来年に続く!(林遣都)
自称・壮大な物語の序章・・・まあ、ファンタジー小説からゲームまで・・・半世紀以上も異世界の物語に耽溺してきた身にとっては・・・あまりにもありきたりな展開なわけだが・・・何事にも入門編というものがあるからな。
お茶の間というものは基本的には愚鈍であるので・・・異世界とは相性が悪い。
そういう考え方は間違っている。
たとえば・・・時代劇というジャンルは・・・一種の異世界ファンタジーである。
「水戸黄門の冒険」はパーティー組んで、悪党退治のRPGなのである。
ロードに騎士二人、盗賊やくのいちも加わって和気藹々の徒党なのだ。
古代史は神話に続いているし、我が国、固有の歴史を探索すれば・・・異国の歴史にリンクすることになる。
卑弥呼は日本史の産物ではなく、中国史の登場人物なのである。
アマテラスは太陽、スサノオは台風、そんなの常識~タッタタラリラだ。
まあ・・・とにかく・・・ファンタジー・ゲームの依存患者にとって・・・こういうものは危険だ。
禁断症状がな。
で、『精霊の守り人・第4回』(NHK総合20160409PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・片岡敬司を見た。第一部終了である。続きは映画館で・・・とならないところが疑似公共放送の強みだな。しかし、そのうち、続きはBSで・・・ということになるかもしれないからな。あるいは・・・つづきは受信料を支払い済みの方にのみ配信します・・・と言い出すかもしれないがな。
聖なる血脈を受け継ぐものが・・・必ずしも聖なる資質を発揮するとは限らない。ファンタジー世界で語られる物語は一種の処世術である。たとえば世界チャンピオンの子供が必ずしも世界チャンピオンになれるとは限らないのだった。そういう事実を体現する・・・新ヨゴ皇国の帝(藤原竜也)・・・。
天ノ神の子孫でありながら・・・その身に神通力は備わっていない。それはニノ妃(木村文乃)の生んだ第二皇子チャグム(小林颯)に発現したのである。
わが子ながら不気味な存在となったチャグム。帝は皇太子サグム(中野魁星)を心の拠り所として・・・逃亡中のチャグムの暗殺を・・・精霊ラルンガに左腕を食われた剣士ジン(松田悟志)に命じるのだった。
熱病に冒された皇太子サグムの命を救うためには・・・呪われたチャグムを浄化するしかないと・・・自らに言い聞かせる帝。
「ノープラン・・・ノープラン」と念じながら・・・掲げる水晶玉は・・・おそらく・・・ナユグ(異次元世界)のニュンガ・ロ・イム(水の精霊)の卵のレプリカなのだろう・・・。
神の子として生まれながら神の力と無縁の男の悲哀なのである。
覚醒するチャグム
一方、精霊に選ばれしチャグムは・・・体内の精霊の卵の力により・・・飛翔さえするのだった。
その魔力に慄いた女用心棒バルサ(横溝菜帆→綾瀬はるか)は握っていたチャグムの手を放し、姿を見失ってしまう。
落ち込むバルサを薬草師のタンダ(東出昌大)は慰める。
「弱音を吐くバルサが見られるなんて・・・僥倖とはこのことか」
「アホなの?・・・恋人きどりなの?」
「ムキになるところが・・・また可愛い」
「なんなの?・・・ジゴロなの?」
「・・・」
「肯定かよっ」
「トロガイ様・・・チャグムはどこにいるのでしょう」
ヤクーの呪術師トロガイ(高島礼子)に問うタンダ。
「飛び去った方角から・・・おそらく・・・サアナン・・・青弓川の水源じゃ・・・いよいよ・・・卵を産むのかもしれぬ」
「水源・・・」
「折れた巨木が目印じゃ・・・」
走り出したバルサをタンダが追う。
その背後には狩人のジンが続く。
後を追おうとした狩人の長であるモン(神尾佑)をトロガイが制する。
「お前たちは・・・儂を王宮に連れていけ」
「何故だ・・・」
「ヤクーの伝承と聖導師の記録を・・・併せる時が来たのだ」
トロガイに潜む高島礼子の眼光に怯むモンだった。
その頃・・・覚醒したチャグムはサグ(この世)とナユグ(あの世)の境界線であるサアナンに到着していた。そこでチャグムは青色金魚もどきたちの祝福を受けるのだった。
もちろん・・・祝福されたのは水の精霊の卵であって・・・寄生された宿主ではないが・・・精霊に選ばれし者はなんとなく嬉しいのだった。
なぜなら・・・精神を精霊に制御されているからだ。
青霧山脈、霧晴れて
青霧山脈を北上し、青弓川の水源を目指すバルサとタンダ。
「おい・・・待てよ」
「急がねば・・・土の精霊ラルンガよりも・・・先に到着しなければならない」
「だけど・・・あんな化け物と戦って勝てるのか」
「勝敗は二の次だ・・・」
「実は・・・俺には勝算がある」
「なんだと」
「いいか・・・この世は陰陽をはじめとする理で成立している」
「難しい話はわからん」
「とにかく・・・陰陽の次は三角だ・・・中間という考え方もあるが・・・ここは三という拍子の話した」
「?」
「異国では三行と言う・・・火は水に弱し。水は土に弱し。土は火に弱し」
「火は土をかけても消えるぞ」
「あくまで理の話だよ・・・水の精霊は土の精霊に弱い・・・となれば・・・土の精霊は火に弱いんじゃないかと思ってな」
「火に弱いのは木の精霊じゃないのか」
「そうなると四行だ・・・金を加えて五行・・・風を加えれば六行・・・拍子を合わせてポリリズム・・・」
「なんの話だ」
「とにかく・・・魔法使いとか呪術師たちは・・・そういう系統で・・・魔法のジャンル分けをするんだよ」
「ますます・・・わからん・・・」
「とにかく・・・火を生むものを集めるんだ・・・つまり・・・枯れ木だ」
「とにかく・・・私は先を急ぐ」
「水は木を生じ・・・木は火を生じ・・・火は土を生じるか・・・なるほど・・・この世の生き物とあの世の生き物の境界線は・・・木と火なのか・・・」
バルサには分からない理の世界に没頭するタンダであった。
武士と学士の間には暗くて深い川が流れているのだ。
王宮の暗い夜
サグムは帝の祈祷も虚しく息をひきとった。
帝は己の無力さを呪う。
号泣する一ノ妃(奥村佳恵)を残し、一の宮に幽閉されている二ノ妃(木村文乃)を訪ねる帝。
「喜べ・・・皇太子は死んだ」
「何をおっしゃるのですか・・・」
「汝の生んだチャグムが皇太子となったのだ・・・喜ぶべきだろう」
「・・・」
「汝には・・・第二子を産んでもらう」
「・・・」
「チャグムにもしものことがあれば・・・天ノ神の血脈が途絶えてしまう」
「・・・あ」
「おおおおおおおおお」
帝と二ノ妃が子作りに励んでいる頃・・・。
星読博士のシュガ(林遣都)の幽閉された地下書庫にトロガイが現れた。
「トロガイ・・・」
「謎は解けたか・・・星読よ・・・」
「判りません・・・」
「そのもの・・・あおきころもをみにまとい・・・」
「それは違う話です・・・おばばがすぎましたな・・・」
「サアナンで人の子が精霊を生んだ後の話は記録にないのか・・・」
「伝説の勇者トルガルは卵を天空に投げたとあります・・・卵は海に落されて水の精霊は雲を吐き出した・・・と」
「何故・・・空に投げたものが・・・海に・・・トルガルは剛腕なのか」
「それにしてもトルガルとトロガイ・・・似てますよね」
「ネーミングミスじゃな」
「青弓川の上流と南の海までは離れすぎている・・・孵化するまでに・・・ラルンガの餌食だ」
「おい・・・あの絵はなんじゃ・・・」
「空の模様?」
「馬鹿・・・鳥じゃ・・・そうか・・・風の精霊か・・・」
「何かわかったのですか・・・」
「聖導師よ・・・水のある場所へ・・・案内せい」
聖導師(平幹二朗)は微笑んだ。
世界樹の残骸の中での大決戦
視聴率伸び悩みの原因は・・・エロスをぶち込むなら・・・帝と妃の直接的交合ではなくて・・・触手に巻かれて苦悶に喘ぐバルサだよな。
その方が淫靡で・・・一般受けするよな。
毎回、一回、ラルンガとバルサの触手悶絶シーンをお約束にしておけばよかったんだよな。
「くそ・・・また触手が」
「バルサ・・・」
「うう・・・あああ・・・うううううううう」
「バルサーッ」
「えい」
「最初から・・・斬りおとせばいいのに」
「サービスだ」
ついに・・・出産と言う名の嘔吐で精霊の卵を吐き出すチャグム。
ある意味、変態である。
「そんなもの・・・捨てろ」
「嫌だ・・・僕が守るんだ」
精霊の卵と言う名の憐れな仔犬。
容赦なく襲いかかるラルンガの触手。
「ああっ」
「バルサ・・・」
「クライマックスなのでサービス二倍だ」
危機一髪のところを・・・ジンが救う。
「助かった・・・」
「お前に・・・助けられた恩は返した」
タンダはついに「ファイヤ」を覚えた。
「焼きイカにしてやる」
そこに・・・水性霊界通信を利用したトロガイが出現する。
「投げろ・・・精霊の卵を投げろ」
「トロガイ・・・」
「命のリレーじゃ・・・わかるな」
「うん・・・」
チャグムは精霊の卵を投げた・・・バルサは槍で打った。
ホームランである。
上空で待機していた怪鳥ナージは精霊の卵をキャッチした。
ニュンガ・ロ・イムは鳥と共に海へと渡る。
獲物を奪われたイカ大王ラルンガは激昂する。
「触手たちよ・・・お別れだ・・・」
「・・・」
タンダは・・・バルサの短槍を炎の槍に錬成した。
「くらえ・・・」
燃えあがる・・・ラルンガ・・・。
「これは・・・」
「食べきれないな・・・」
「ところで・・・いつから・・・こいつは実体化したんだ」
「それは聞かないお約束だ」
別れ・・・そして出会い
「もっと・・・ラルンガを食べな」
「余はナージの串焼きがよいな」
「バルサの斬りおとした生ラルンガは燻製にしよう・・・」
「これから・・・どうする・・・」
「余は・・・バルサと旅をして・・・短槍の腕を磨くのだ」
しかし・・・皇太子となったチャグムには王宮から迎えの行列が来るのだった。
「行きたくないなら・・・暴れてやるぞ・・・」
「行くよ・・・皇太子となって・・・やがて・・・王となる・・・新ヨゴ国を富国強兵してカンバル王国のログサムを討伐して・・・バルサの父上の仇をとるよ」
「チャグム・・・誰かのために生きるな・・・自分の人生は・・・」
「バルサ・・・余は皇太子として・・・やがて帝となって・・・名もなき民のために生きる・・・それが余の望みじゃ」
「ああ・・・そうかい」
祭りの夜。
皇太子チャグムのお披露目を祝い・・・カンバル王ログサムが招かれる。
雷鳴が響き・・・ついに恵の雨が降りはじめる。
歓喜に沸く民衆たち。
「これは・・・お前の力か・・・」
「いいえ・・・父上が・・・ジンを私のもとに遣わし・・・精霊の卵を守りぬくことができたからでございます」
「そうか・・・」
帝は複雑な表情で急に大人びた様子の息子を見た。
バルサは・・・民衆の中に紛れ・・・仇を睨む。
その姿を王族警護の役につくジンが見つめていた。
バルサは手裏剣を放ち・・・ジンは弓を引く。
電光が閃いた。
ある意味、陳腐な物語は続いて行く。
できればヒロインの顔は綺麗なままで・・・リアリティーの追及の必要性はない・・・水戸黄門が旅の砂塵で汚れるかという話である。
これは・・・ファンタジーなのだ。
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