誰かを助けるために誰かを傷つけてしまう・・・こんな世の中じゃ(綾瀬はるか)
一ノ妃(奥村佳恵)である。
奥村佳恵は「赤い糸の女」(2012年)の全身整形で復讐に挑む「ブタ志村」こと鹿野芹亜を演じている。
そのために・・・ただでさえ・・・韓流ドラマ風なこのファンタジーが一挙にドロドロ昼ドラマ風味を増してきたのだった・・・お前の妄想的にはな・・・。
帝(藤原竜也)の寵愛をめぐって繰り広げられる二ノ妃(木村文乃)との毒殺未遂の応酬。
毒盃、毒蜘蛛、毒蛇、毒サソリが飛び交う乱打戦である。
帝が変な水晶玉をもって「あああああ」と叫ぶのも・・・愛妾たちの仁義なき戦いに疲弊して精神を病んだためだと思われるのだった。
もちろん・・・初心な顔をした二ノ妃も・・・内面カラ的なドス黒さで応じるのだった。
自分の放った刺客が箱詰め死体で送りかえされた時・・・「二ノ妃・・・恐ろしい子・・・」とつぶやく一ノ妃が見たいものだな。・・・蜷川幸雄の舞台で姫川亜弓もやってるからな。
・・・ありません。
で、『精霊の守り人・第3回』(NHK総合20160326PM9~)原作・上橋菜穂子、脚本・大森寿美男、演出・片岡敬司を見た。人間の世界と精霊の世界は両方が物理的に接触することができる存在であるらしい。もちろん・・・人間世界から見れば精霊たちが物質的存在となることは一種の心霊現象としてとらえることができる。「お化け」というものが単にスピリチュアルな存在ならは・・・相互は不可侵なのだが・・・結構、物理的な振る舞い・・・ポルターガイストのようなものをするからな。そこは・・・もう・・・「そういうものなんだ」と了承するしかないのだった。しかし・・・そのためにはそういうムード作りが大切で・・・そういう点はあまり上手とは言えない気がするのである。・・・まあ、いいか。
南海の果てにあるヨゴ皇国の王位継承に纏わる不毛な争いを避けて渡海した英雄トルガルは神通力によって魔物を退治し、「天ノ神」の子孫として新ヨゴ皇国を建国した。
新ヨゴ皇国の秘められた歴史
実はトルガルは大聖導師ナナイによる傀儡だった。ナナイは先住民族であるヤクーに学び、ナユグ(異次元世界)のニュンガ・ロ・イム(水の精霊)によって気象をコントロールし、新ヨゴ皇国を繁栄に導いた。
光と闇の歴史はやがて忘却され・・・精霊の世界を見ることのできない帝が継承を重ね・・・百年に一度の水の精霊の世代交代の時期を迎えてしまったのである。
岩窟図書館の星読博士
星読博士のシュガ(林遣都)は幽閉された地下書庫で・・・ナナイの記した古文書を解読し・・・封印されていた秘史を知る。
シュガに食事を運ぶ星読博士のガカイ(吹越満)は秘事に慄くのだった。
「すると・・・皇国の神話は・・・すべて嘘だったと申すのか・・・なんと罰あたりな」
「いいですか・・・水道に壁を作ることによって渦を作り、泥土を沈下させないシステムがあったとする・・・これを水利のなんたるかを知らぬ役人が壁を壊せば水量が増えると破壊してしまう・・・そういうバカの壁問題があるのです・・・水の精霊を単なる魔物と考えて浄化しようなんて・・・愚か極まりないのです」
「おい・・・帝の前で・・・そんなこと言うなよ・・・お前が浄化されちまうぞ」
「・・・」
手負いの狩人の帰還
水の精霊ニュンガ・ロ・イムの卵を狙う土の精霊ラルンガに左腕を食われた剣士ジン(松田悟志)が光扇京の王宮に帰還する。
一の宮では皇太子サグム(中野魁星)が謎の熱病を発症し、病床にあった。
サグムの生母である一ノ妃は手を尽くすがサグムの容体は回復しない。
ニノ宮は・・・聖導師(平幹二朗)の言動から・・・熱病の裏に策謀があるのではないかと疑う。
聖導師は帝に「もしも・・・皇太子を失えば・・・後継者が不在になってしまう」と言上する。
消息不明の第二皇子チャグム(小林颯)の皇位継承権を復活させることを匂わす聖導師・・・。
しかし・・・チャグムに特殊な能力があることを嫌悪する帝は・・・ジンに秘密指令を下す。
「チャグムにとりついた魔物が・・・水を汚染している・・・チャグムを浄化すれば・・・皇太子の命は助かる・・・」
「・・・」
「わかるな・・・チャグムをただちに浄めよ」
ジンは左手を装甲義手化し・・・再び狩人の任務に復帰するのだった。
青霧山脈越冬隊
ラルンガから逃れるために北の青霧山脈に冬籠りするチャグム一行。
ラルンガを含めた土の精霊たちは冬眠する習性があるらしい。そのために冬山の冷気は有効・・・なのか。この辺りの・・・ナユグの生物設定がださいと感じるかどうかはあなた次第である。
熊さんぽくて・・・素敵と考える人もいるだろう。
ヤクーの呪術師トロガイ(高島礼子)はすべてを知っているわけではないが・・・ナユグについての知識をチャグムに伝える。
チャグムには・・・ナユグに通じる資質があるらしい。
やがて・・・チャグムは夢と現実の境界線にあるナユグの世界を視聴可能になっていく。
チャグムは体内に寄生している水の精霊の卵と意志疎通が可能な体質らしい。
お茶の間は・・・チャグムの視覚という神の目によって・・・ナユグの世界や、ナユグの生き物の実体を見ることができるわけである。
ヤクー伝承による知識によってチャグムは・・・父親である帝の立場を認識し・・・自分の置かれた状況を理解する。
「どうして・・・どうしてこんなことに・・・」
腑に落ちないチャグムに女用心棒バルサは身の上話を聞かせ・・・この世の不条理に立ち向かうしかない「生」を示す。
「すると・・・バルサの父はカンバルの王に誅されたのか・・・。そして、父の親友であったジグロは・・・王が送り込む暗殺者たち・・・かっての仲間と・・・バルサを守るために戦ったのか」
「そうだ・・・」
「どのようなものたちがやってきたのだ」
「いろいろな暗殺者が来た。全身が武器の男、空を飛ぶ男、怪力の男、水の中で強い男、口から火を吹く男、カメレオンのように変身する男、目と耳がいい美しい踊り子、ついには念力を持つ赤子まで・・・」
「その八人を殺したか」
「そうだ・・・」
「なかなか鬼畜なゼロゼロナンバーサイボーグ物語じゃのう」
「誰が009なんだよ」
「お前はどうしたのか・・・」
「私は・・・ジグロに短槍を習った・・・」
「自分を守るためか」
「カンバルの王ログサムに復讐するために・・・」
「ジグロはどうした・・・」
「仲間たちとの戦いに疲れ果て死んだ・・・」
「・・・憐れな」
「私は・・・父とも思うジグロに誓った・・・自分のために散った命の償いのために・・・命を救うことを・・・」
「ワシを助けたのは・・・そのためか」
「しかし・・・ジグロは言った・・・救うことは殺すことよりも難しいと・・・」
「・・・一人を救うために十人を殺していたら償いにはならんのう・・・」
「その通りだ」
「バルサよ・・・余に・・・短槍を教えよ」
「何?」
「余が自分で身を守れば・・・バルサが命を救ったのと同じだ・・・」
「よかろう」
こうして・・・雪山修行の日々が始った。
薬草師のタンダ(東出昌大)はみんなに美味しい食事を作るのだった。
ドサクサに紛れて・・・バルサに求愛するタンダ。
「この騒動の決着が着いたら・・・一緒に暮らさないか・・・」
答えは保留するバルサだった。
「なんだ・・・お主たち・・・できているわけではないのか」
「こら」
チャグムはニヤニヤした。
いつしか・・・バルサとチャグムの間には疑似肉親のような感情が芽生えている。
獲物と狩人が春の青池で
春となり・・・水の精霊の出産の気配を感じるチャグム。
水の精霊の卵の導きにより、チャグムはニュンガ・ロ・イムの栄養源となる水辺の花の蜜を求め、草原を越えて青池の畔に達する。
王宮からはシュガの指示によりチャグムを出迎えるモン(神尾佑)と帝にチャグム暗殺を命じられたジンが青池に向かう。
そして・・・ラルンガがその触手を・・・チャグムの霊視によってお茶の間に晒すのだった。
「こんなものを倒すことができるのか」
「逃げよう・・・」
乱戦の中・・・木に登ったチャグムは・・・ラルンガから逃れることに成功する。
ラルンガは木に登れないらしい。
ラルンガの生物設定がださいと感じるかどうかはあなた次第である。
ウネウネしている熊さんなのか・・・。
いよいよ・・・クライマックス・・・お茶の間がどのくらい盛り上がっているのか予想もつかない今日この頃である。
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