重版出来!(黒木華)精力善用!(武田梨奈)自他共栄!(富山えり子)電波人生!(最上もが)
ある意味、究極の朝ドラマ主人公を・・・朝ドラマの脇役の人が演じているわけである。
この主人公は・・・もう富国強兵のお手本的存在感だよな。
「マンガ」という究極の芸術ビジネスに「体育会系」が嵐を巻き起こすという豪快さ・・・。
こういうものを無難にまとめあげる脚本って・・・凄味を感じるな。
世の中のネガティブ嗜好を一刀両断である。
陰でコソコソ言う輩は絞殺してよし・・・という姿勢だ。
実に爽快じゃないかっ。
まさに・・・柔道一直線だっ。
そこまで遡上するのかよ・・・小林まことでいいじゃないかっ。
系列的には・・・帯をギュッ・・・。YAWA・・・。
で、『柔道部物語じゃなかった・・・重版出来!・第1回』(TBSテレビ20160412PM10~)原作・松田奈緒子、脚本・野木亜紀子、演出・土井裕泰を見た。「漫勉」を越えられるかどうかだな・・・どこと勝負してるんだよっ。「アオイホノオ」とはいい勝負になると見た。・・・ほとんど異種格闘技だけどな。「ラヴソング」では歌の力で泣かされてしまったが・・・今回は沙羅(武田梨奈)の涙にもらい泣きしてしまったぞ・・・二夜連続かよっ・・・涙もろすぎるだろう。まあ・・・柔道と空手は二つで一つの格闘技だからな。投げたところを突いてとどめをさすという・・・もういいぞ。
日本体育大学(フィクシション)の柔道部の・・・五輪候補選手・・・黒沢心(黒木華)は試合中に故障し現役を引退する。心機一転した心は選手時代に「心の支え」だった漫画の世界に挑戦するのだった。大手出版会社・興都館の面接試験で・・・社長の久慈(高田純次)の茶目っけに答えて見事に投げ飛ばした心は即時採用を一本で決めたのである。
かっての柔道仲間である沙羅やツカサ(富山えり子)は挫折を乗り越えた心を称揚する。
「心が笑えるようになってよかった・・・」
思わずカレーが心に沁みる沙羅だった。
心が配属されたのは希望通り・・・週刊コミック誌「バイブス」編集部。
男所帯だが・・・「部室と同じ・・・なつかしい匂いがします」と馴染む心。
和田編集長(松重豊)はライバル誌「エンペラー」打倒に燃える阪神タイガースファン。
心の指導役である五百旗頭(オダギリジョー)は副編集長ポジションだが・・・自称・和田の奴隷なのである。心の「編集者の仕事とは一言で言うと・・・何ですか」という質問には「その答えは自分で見つけろ」と無難に答える男だった。
一方・・・心の座右の銘は・・・柔道の創始者である嘉納治五郎の提唱する「精力善用」「自他共栄」である。一歩間違えると悪用され全滅するので注意したい。
この他、編集者には大食漢の壬生(荒川良々)、つぶやく男の安井(安田顕)などがいる。
心は五百旗頭と共に「バイブス」に作品を連載中の漫画家に挨拶回りに出向くのだった。
人気漫画家の高畑一寸(滝藤賢一)には薄着の恋人・梨音(最上もが)がいて波乱が予想される。
「春にああだと夏はどうなるんでしょう」
「全裸だ」
「いおきべさん・・・見たんですか」
「いや・・・願望だ」
「それならセーフです」
ふんどしと答えるのかと思ったぞ。
巨匠の三蔵山龍(小日向文世)は「ドラゴン」シリーズで・・・この道四十年・・・最前線で描き続けた男だが・・・人柄は極めて温厚だった。
「柔道で一本決めた時の気持ちはどんなものなのかね」と新人編集者の心にも興味を示す三蔵山。
「無の境地です」と即答する心だった。
微笑む三蔵山は・・・底なしの寛容さを感じさせる。
面倒見のいい三蔵山はアシスタントの作品やネーム(セリフを中心とした原案的下書き)にもアドバイスする時間を作る。
チーフ・アシスタントの沼田(ムロツヨシ)は下積み生活二十年だが・・・三蔵山を心から敬愛している。
しかし・・・腐った蜜柑であるアシスタントの棚橋(今井隆文)はダーク・サイドの傾斜にすべりおちていくのだった。
「あんな・・・じじいが・・・いつまでも居座っているから・・・俺がデビューできないんだ・・・素晴らしいインターネットの世界では・・・みんなもそう云っている」
ネガティブ・ゾーンの囁きに陥落した棚橋は・・・三蔵山の原稿を墨汁で汚し、罵詈雑言を投げつけて暗黒世界へ旅立つ。
「デッサンが狂っている」という「棚橋の指摘」と慈しんできた弟子に裏切られた失意から引退を決意する三蔵山・・・。
大騒ぎの編集部である。
しかし・・・新人の心には為す術がないのだった。
興都館では新入社員が研修のために書店に出向するシステムがあった。
心は配属前に研修した書店でお世話になった河舞子(濱田マリ)を訪ねる。
心は体育会系の上にコミュニケーション力に優れ、知力も抜群という万能型で・・・河にも史上最高の研修生として評価されていた。
ちなみに・・・「書店員ミチルの身の上話」や「戦う!書店ガール」でも書店員だった濱田マリ・・・確かに・・・近所の書店にも似た人がいる。
「私には・・・何もできることがなくて・・・」
「そうねえ・・・三蔵山先生は確かに・・・少しずつデッサンが狂っているわね」
「本当に・・・昔の作品よりデッサンが狂っているんですよね」
素人にデッサンのことを云々されるのは・・・困ったものだよな。
しかし・・・書店の仏像特集の展示で・・・頭上にディスプレーされた仏像を見上げ・・・閃く心だった。
三蔵山は老化現象により猫背となり・・・デッサン力ではなく・・・パースペクティブ(遠近法)に狂いが生じていたのである。
三蔵山は・・・いつも見上げる姿勢で描いてしまっていたのだった。
五百旗頭とともに・・・三蔵山を訪ね・・・編集者としてアドバイスをする心。
「先生に甘えてしまい・・・編集者として怠惰だったことをお詫びします」
五百旗頭は矯正法を提案し土下座する。
そこへ・・・八丹カズオ(前野朋哉)など・・・五百旗頭のアシスタントからプロになった漫画家たちが駆けつける。
「先生は・・・オワコン(お払い箱行き)なんかじゃない・・・常に私たちの目標です」
三蔵山は・・・自分の「愛」が伝わっていたことに感動し・・・引退宣言を撤回するのだった。
こうして・・・中断していた「ドラゴン急流/三蔵山龍」の連載は再開された。
安井はつぶやく・・・。
《新人小熊(心のニックネーム)・・・おそるべし》
一同の行きつけの店は小料理屋「重版」で女将はミサト(野々すみ花)である。
「重版出来ってなんですか」
「売れ行き好調のために再版するってことよ」
「ウハウハなんですね」
「ウハウハなのよ~」
夢にまで見るよな・・・重版出来・・・。
関連するキッドのブログ→掟上今日子の備忘録
→真田丸
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コメント
キッドさん☆
こんばんは(*^^*)
重版 とって〜も面白かったです^ ^
今クールはゆとりですが が脚本家 キャスト
すべてが好みで 毎週録画が決定してましたが
なんとなく 良作になる予感がした重版が想像以上に
楽しかったので
火曜日の夜はTBSにずっとチャンネルを合わせることになりそうです
持ち前の明るさで主人公が難題を解決していくストーリーだとは想像していましたが 問題解決にあたって唐突な行動をとるわけではなく
きわめて 常識的で見ていて とっても気持ちよく
爽やかな気持ちにさせられました‼️
脚本も脇を固める役者さんたちのバランスも
テンポもすべてが良いので
何も考えずに単純にドラマを楽しんでます
最終回まで絶対に間違いないと思わせる作品に感じられ
昨日の夜はなんだかとってもハッピーになっちゃいました^ ^
投稿: chiru | 2016年4月13日 (水) 21時55分
シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン
とって〜も面白かったですよね。
なにしろ・・・勝負師なので
無理押しはしないという・・・主人公のスタンスが
お茶の間を安心させるのですな。
五輪級の元選手は人間としても一流ということでございます。
しかも・・・負傷による挫折をのりこえているので
人間としてのスケールもでかい。
キャリアは不足しているが
先輩たちより勝負どころを心得ているというストーリーに
無理がないのですよねえ。
そして・・・なにより・・・舞台は「漫画」の世界。
そこには「一攫千金」の「夢」があります。
当たれば「重版」につぐ「重版」で
ガッポリでございますからねえ。
はたして・・・「心」は「重版」を「出来」させることができるのか?
実にワクワクします。
基本的に「男性作家中心」ですが・・・「女流」も
登場させてもらいたい・・・と考えます。
少女マンガも・・・好きだから・・・。
投稿: キッド | 2016年4月13日 (水) 23時57分