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2016年5月31日 (火)

今も昔の恋の中(福山雅治)悲しくなるのを抑えてライブ中(藤原さくら)

「恋」に障害はつきものである。

フィクションで「障害」をどう作るかは脚本家の腕の見せ所と言っても良い。

一般的に「年の差」は「障害」の一種であると言ってもいいだろう。

もちろん・・・愛があれば年の差なんて・・・という考え方も一般的なのである。

主人公を演じる福山雅治は実年齢が47歳である。

ヒロインの藤原さくらの実年齢は20才で年齢差は27歳で・・・年齢差としては父娘ほど違う部類である。

ちなみに福山雅治の実在の妻は吹石一恵で実年齢は33歳・・・年齢差は14歳・・・このぐらいの年齢差は「障害」ではないわけである。

ついでに主人公の友人を演じる田中哲司は実年齢50歳で実の妻の仲間由紀恵の実年齢は36歳。

14歳差でお揃いである。

ヒロインの親友を演じる夏帆は実年齢24歳で・・・その婚約者を演じる駿河太郎は実年齢37歳・・。

惜しいが13歳差なのである。

とにかく・・・福山雅治と藤原さくらの年齢差は・・・「障害」としては弱いわけである。

今の処・・・福山雅治は二十年前の「失恋」・・・実年齢が20歳の新山詩織の死亡に・・・「こだわり」があるのが「障害」になっているわけだ。

その「障害」について詳細を明らかにしないまま・・・ついに終盤戦である。

このままでは・・・主人公がヒロインを好みのタイプではなかっただけ・・・というラヴ・ストーリーになっちゃうよな。

構成ミスだと思わざるをえないのだった。

ヒロインに思いを寄せる幼馴染を演じる菅田将暉は実年齢23歳である。

主人公に思いを寄せる昔の恋人の妹を演じる水野美紀は実年齢41歳である。

その昔の恋人を演じる大谷 亮平は35歳だ。

その年齢差はどちらも6歳。

ただし・・・主人公と後輩の年齢差を考えると・・・少しおかしなことになるわけである。

一回り違うとなると・・・主人公は三十代まで業界にいたことになる。

ヒロインの幼馴染に手を出す年上の子持ち女を演じる山口紗弥加は36歳。

その差は13歳である。

ある意味・・・凄い・・・役だよな・・・。

ヒロインの親友と婚約者の年齢差と・・・ヒロインの幼馴染と童貞を捧げた相手が同じ。

これが計算なのか・・・偶然なのかで・・・評価が分かれるところだ。

ともかく・・・主人公とヒロインが結ばれるハッピーエンドに向かう気配がまったく感じられない終盤戦である。

そもそも・・・主人公がヒロインを愛しているのかどうかも不明だ。

これは・・・失敗じゃないのかな。

ま・・・あくまで「実年齢差」による分析ですけどね。

で、『ラヴソング・第8回』(フジテレビ20160530PM9~)脚本・倉光泰子、演出・相沢秀幸を見た。このドラマで凄いのは主題歌の「Soup/藤原さくら」も劇中歌の「好きよ 好きよ 好きよ/藤原さくら」も「恋の中/新山詩織」も作詞・作曲が福山雅治ということである。「恋の中」なんか「売れた設定」なのである。天才にしかできない芸当だな。主人公を演じる俳優にそこまで要求しているのである。もう少しなんとかしないといろいろとまずいけれど・・・もうここまで来てしまったからな・・・もう笑うしかない。それが大人というものじゃないか。ねえ。

どんなに一生懸命やってもダメな時はある。そういう時は俯いて嵐の過ぎ去るを待つしかないのだ。

そして・・・立ち上がれ!

・・・何の話だよ。

まあ・・・若い人限定のアドバイスですけどね。

年老いて失敗するのは痛いものな。

好きで好きでたまらない人に告白して・・・「君とは音楽がやりたい」と言われた佐野さくら(藤原さくら)である。

そんなさくらに耳鼻咽喉科の増村泰造医師(田中哲司)は「腫瘍があるので・・・場合によっては声を失う可能性がある」と告げる。

もう・・・二回殺されたくらいのヒロインであるが・・・健気に前を向くのだった。

「愛する人」も失って以来ずっと死んでいる神代広平(福山雅治)はレコード会社「トップレコード」のプロデューサー・弦巻竜介(大谷亮平)に恋人の生まれ変わりである「佐野さくら」を売り込もうと必死になり・・・「トップレコード」のトップ・アーティストであるCHERYL(Leola)の担当プロデューサーだかマネージャーだかと楽曲提供のミーティングをする。

「どんな曲を・・・」

「バラードがいいと言ってる」

「バラード・・・」

「あんたの昔のヒット曲・・・愛の中だっけ・・・あんなのいいじゃない」

「恋の中です」

「ああ・・・それそれ」

現場を離れたプロデューサー・弦巻竜介・・・ちっとも偉くなかったんだな。

「鶴巻・・・佐野さんのこと・・・頼むよ」

「ええ・・・」

そういうことが口約束でしかないことを・・・広平は知っているはずだよな。

好きな人にふられ・・・希望の歌を失うかもしれないさくらは・・・バイクのキーを抜き忘れ・・・部屋の鍵穴にバイクのキーを差しこむほどに動揺する。

そんなさくらを中村真美(夏帆)と天野空一(菅田将暉)が迎える。

真美は婚約者との同居生活のために引越しの準備をしていた。

「引越し屋さん・・・早朝しか頼めんかった」

「だから・・・送別会は前の日にやろう」

「私・・・マミーのカレーが食べたい」

さくらにとっては・・・真美はマミー(母)のようなものである。

「私の送別会なのに・・・」

「だって食べたいのじゃあ」

「甘えん坊じゃのう」

医師としての守秘義務などは無視して・・・親友の広平に「さくらの病状」を話す増村医師・・・。

「検査結果を告げる時にお前も立ち会え」

「そんなこと・・・彼女が望んでいるかどうかもわからんし・・・」

「お前・・・いつまでそんな風に・・・ウジウジしてるんだ」

「だって・・・人の人生に踏み込むのは・・・こわいもの」

「・・・」

消極的な主人公に気分のいい日の湯浅志津子(由紀さおり)はアドバイスする。

「恋人と喧嘩したみたいね」

「どうしていいのかわかりません」

「ただ・・・そばにいてあげればいいのよ」

広平は遠くを見つめるのだった。

真美の引越し前日。

婚約者の野村健太(駿河太郎)も交えての送別会。

マミーのカレーは美味しいのだ。

男たちはひそひそ話・・・。

「さくらがピンチなら・・・空一のチャンスじゃないか」

「そうすかね」

「そばにいてやればいいのさ・・・俺がお手本だ」

「あんたは・・・店にお金注ぎ込んだ成果じゃないすか」

「・・・」

真美とさくらは最期のガールズ・トーク。

「私がここまでこれたのは・・・あんたのおかげじゃ」

「そそそれは・・・わわわわたしのセセセセリフじゃ」

「いいや・・・可愛いあんたがおるから・・・ぐれることもできんかったんよ」

「そそそそんな・・・」

「これだけは言うとくけん・・・愛してる」

「そそそそそんなら・・・ののの野村さんからううう奪っちゃる」

「それは・・・あかん」

「ちちちちちっ」

さくらの職場「ビッグモービル」では上司の滝川(木下ほうか)が相変わらず冷淡である。

「おい・・・午後から・・・向こうの作業手伝ってくれ」

「そ・・・早退届け・・・だ・・・・出してます」

「あれ・・・そうだっけ」

恐ろしいことに職場では誰もさくらが吃音症であることに気が付いていない設定である。

職場の人々はさくらが「無口な性格」だと思っているのだ。

設定として・・・結構、つらいものがあるよね。

空一の通う料理学校では・・・離婚して子供を夫に取られた事務員の渡辺涼子(山口紗弥加)が忍びよる。

キスしようとする涼子を飛びのいて拒絶する空一。

酷い男だよな。

「さくらちゃんのこと考えてんの」

「どうしたらいいかな」

「それを私に訊くのかいっ」

とにかく・・・こういう描写では・・・さくらと空一が結ばれないことが分かるばかりで・・・酷いとしか・・・。

検査の結果・・・悪性腫瘍で手術が必要な状態であることを告知する増村医師。

「声帯を失うかどうかは・・・切開してみないとわからない」

「結婚式でスピーチしなければならないんです」

「このままでは・・・結婚式に出られないかもしれない」

「死ぬってことですか」

「とにかく・・・切開してみないとわからない」

とにかく・・・死ぬか・・・手術かという設定である。

手術の場合は・・・声を失うかもしれない・・・という設定である。

まあ・・・無茶苦茶安易じゃないですかと言われたら・・・それまでなのである。

勇気を出して待合い室で待つ広平。

「せせせ先生・・・どうして」

「君は・・・」

「わわわ私は・・・喉の調子が悪くて・・・でも大したことないって・・・薬飲んで寝てれば治るって」

「増村から・・・病状については聞いている」

「・・・」

「僕にできることは・・・何でもしたいと思っている」

「じゃ・・・すすす好きになってくれるんですか」

「・・・」

「せせせ先生にできることなんか・・・ないです」

広平を拒絶するさくら・・・。

立ちすくむ根性無し・・・。

そして・・・部屋では・・・空一が待機している。

「ななななんでいいいいるんじゃ・・・」

「・・・」

「まままままた・・・ふふふふふられた・・・」

「海でも見に行くか・・・」

二人はバスに乗って海を見に行くのだった。

「せせせ先生のバカ~」

「ははははは」

すると・・・そこに現れる吃音症の天使(志村美空)・・・。

「あああ・・・あんた・・・・」

「あああ・・・こここことばがへへへへん」

「どどどもってもいいいいいいことあるよ」

「ううううううそ」

「やややややさしさがししししみる」

「みみみみみんないじわる・・・」

「いいいじわるなひひひひひともおるけど・・・」

「・・・」

「わわわたしは・・・ううううたをうたうことで・・・」

ここでさくらは歌うべきだが・・・歌わない。

「つつつつよくなれた」

「つつつつよく」

「つつつつよくなれればししししししあわせになれる」

「しししししあわせに・・・」

「ががががんばれ」

「ががががんばる」

もう・・・唐突すぎて涙が出ます。

天啓を与える天使である少女との出会いで強くなったさくらは・・・残された時間を生き抜く覚悟を決めて・・・あるいはすべてがどうでもよくなって・・・一ヶ月後の手術の前に「ワンマン・ライブ」を行うことを決意する。

広平抜きで・・・「ライブ」することが・・・さくらの「愛」なのである。

広平には・・・CHERYLの楽曲作りに専念してもらいたいのだ。

さくらは・・・悪役になりさがった言語聴覚士・宍戸夏希(水野美紀)の救済を行う。

「ララライブするので・・・あの曲を歌っていいですか」

「この間は・・・ごめんなさい・・・私・・・勝手に嫉妬して・・・あんなことを・・・」

「でででも・・・お姉さんのための曲を・・・わわわ私なんかが」

「いいえ・・・あの曲は・・・彼があなたのために作った曲・・・どうか歌ってください」

「はははははい」

夏希の横恋慕についてはお互いに見なかったことにするらしい。

広平はミーティングで・・・。

「CHERYLはポッブな曲がいいそうなんですよ」

「この前はバラードって・・・」

「とにかく・・・彼女はそういうんです」

「本人と会わせてください・・・話が早い」

「いやいや・・・あんたとは忙しさのレベルが違うんです」

「・・・」

こういうシーンでは嫌なことしか思い出せないな。

まあ・・・あるって言えばあるけど・・・こういう態度のスタッフは長生きできないといいよね。

でも悪気がないわけじゃない場合もあるよね。

我儘なタレントに振りまわされてヘタヘタのあげくの場合もな・・・。

「さくらのデビューの件もよろしくな」

「・・・もちろん・・・」

虚しい男たちの口約束のリフレイン。

さくらは・・・職場でもライブのチラシを撒く。

「え・・・お前が歌うの・・・」

「ははははい」

「おい・・・誰か・・・これ・・・掲示板に・・・」

本当は優しい滝川だった・・・。

そして・・・いろいろと意地悪していた職場の女子たちも・・・手のひらを返すのだった。

みんな・・・さくらが吃音症とは知らなかったのだ。

そそそそそんなばばばかな・・・。

最期にさくらは・・・広平にチラシを渡す・・・。

「ああああの歌歌っていいですか」

何故か・・・凄く間を置く広平。

もったいぶる場面じゃないだろう・・・。

「もちろんだ・・・君のために作った歌だもの・・・」

広平としては・・・愛の告白だが・・・。

誰がそう思う・・・。

夏希は広平に告げる。

「彼女は強いね」

「そうかな・・・」

「自分のやりたいことをやる(好きなら好きって言う)・・・そういう強さが私にはないもの」

「そうなんだ・・・」

とにかく・・・夏希の恋心も徹底してスルーする広平だった。

もう二度と恋なんてしない系なのか・・・。

そして・・・「S」のマスター・笹裕司(宇崎竜童)だけは・・・広平の恋心を見抜くのだった。

「昔みたいだな・・・」

「え・・・」

もちろん・・・気がつかないフリをする広平だった。

ライブ当日。

CHERYL(Leola)に呼び出された広平は来ない。

しかし・・・職場の同僚たちは・・・さくらが吃音症だったと初めて知り・・・さくらの歌声に魅了されるのだった。

みんなに祝福されながら・・・さくらの心は沈んでいる。

空一は猛アタックを開始するのだった。

「おれ・・・さくらと一生一緒にいたい」

「一生一緒じゃろう・・・」

「さくらのいない人生なんて考えられん」

「私・・・しゃべれなくなるかも・・・」

さくらの唇を奪う空一。

それに抗する力は・・・もうさくらにはないらしい・・・。

それなりにせつないが・・・居心地の悪さ半端ない展開だな・・・。

ついに・・・CHERYLと対面する広平。

いかにも傍若無人な仕上がりのCHERYLだった。

「昔のジャケットの写真より・・・老けてるね」

「二十年前だから・・・」

「なんか・・・ガッカリ・・・」

「どんな・・・曲をお望みですか・・・」

「売れる曲に決まってるじゃない」

「・・・」

とにかく・・・終盤戦に突入したみたいだ・・・。

ライブはさわりだけというのは・・・さくらだけのステージでは視聴率を取れないというスタッフの懸命な判断なんだが・・・さくらの歌を楽しみにしていたお茶の間はガッカリなのである。

もはや・・・一種の「電波ドラマ」の領域に・・・。

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2016年5月30日 (月)

上野国は関東の宝庫だ・・・そこに沼田城がそびえたつ・・・あたかも宝剣のように・・・(長澤まさみ)

関東制覇を狙う・・・北条家、上杉家、そして武田家・・・。

上野国沼田城は・・・各勢力の衝突する・・・地理的特性を供えている。

ただそれだけのことで・・・戦国の世が終息しようという・・・この時になっても・・・紛争の火種なのである。

武田家の系譜を継承する真田家が・・・主家の滅んだ後・・・そこに旗を立てている。

領地こそが・・武家の存在意義だからである。

大勢力である北条家の攻勢に・・・徹底抗戦し続けた真田勢・・・。

やがて・・・天下統一の機運が高まり・・・関白豊臣秀吉の惣無事令により・・・武力による勢力図の変更が禁じられる。

その瀬戸際で・・・北条家は・・・秀吉政権に臣従する代償として上野国沼田の割譲を求める。

血と汗の結晶である領土を・・・主人の命令一つで・・・返上する・・・。

真田昌幸の苦渋・・・。

なにしろ・・・領土を失えば・・・家臣は路頭に迷うのである。

どう考えても・・・真田昌幸の陰謀が始る他ないのである。

で、『真田丸・第21回』(NHK総合20160529PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・木村隆文を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は物語の主人公・真田信繁いよいよ青年期と天下統一に王手をかけた関白太政大臣の豊臣秀吉の二大描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。大学卒業して社会人になりました的な信繫と・・・中央で天下を見下ろす感じの関白秀吉・・・妄想広がる素晴らしい構図でございましたね。北条勢の退場間近ですが・・・あくまでマイペースでお願いいたします。虚実のかけひきが実に見事な今年の大河・・・。今回は・・・真田信幸の最初の妻で・・・真田信綱の娘である「こう」の立ち場の描き方が見事でしたねえ。真田昌幸の母である「とり」は「こう」にとっては祖母ですから・・・孫として世話を焼きつつ・・・肉親としての厳しさも見せている。トレビアンでごさいます。さらに・・・なんといっても・・・信幸の正室となった「稲」は・・・徳川家康の養女という設定。つまり・・・長篠の戦いで討ち死にした父親の仇の娘が・・・夫の新しい妻ということですからね。もう・・・心に眠るすべての力をふりしぼって対抗するしかないのでございますよねえ。幼い「静」から若さの「動」へ・・・。ベテラン女優のなかなかの演技プランに感嘆でございました。

Sanada021天正十七年(1589年)五月、豊臣秀吉の側室の茶々が淀城にて棄(鶴松丸)を出産。徳川家康は北条氏政に「豊臣家への出仕を拒否すれば氏直の室・督姫(家康・次女)を離別させる」と通告。氏政は弟の氏規と評定衆の板部岡江雪斎を上洛させ、「十二月上洛」の代償として真田昌幸の支配下にある「沼田領」の引き渡しを秀吉に求める。六月、秀吉は肥前の大名・龍造寺政家に肥後一揆鎮圧への参戦を命じ、浅野長政を軍監として派遣する。島津義久は刀狩による刀・脇指三万腰を秀吉に進上。大友義統の嫡子・大友義述は豊臣姓を下賜される。豊臣秀吉の養女として後陽成天皇女御となった藤原前子(近衛前久の娘)が第一子を懐妊。敦賀五万石の領主・蜂屋頼隆が死去し、豊臣秀勝(秀次・弟)が遺領を相続。大谷吉継が二万石を分与され代官となる。後に秀勝は甲斐・信濃二十三万石に転封され、大谷吉継が敦賀五万石の大名となった。大仏殿(方広寺)造立作業で蒲生氏郷が巨石を運搬し功名する。真田昌幸は上洛して秀吉と密談。千利休が聚楽第の築庭を指図する。京都と大坂の大名屋敷の建設進む。秀吉は越後宰相・上杉景勝に南部信直の上洛の便宜を図るように通達する。七月、家康は領国の総検地を開始する。

「九月には一万石以上の大名の妻子はみな・・・京に集めるでのん」

秀吉は聚楽第の寧々に告げる。

「お屋敷はあらかたできちょるんだね・・・」

寧々は大名の妻子の頂点に立つ者として・・・秀吉に役割を与えられている。

豊臣家となった・・・亭主・秀吉の留守を守って歳月を送って来た「家」である。秀吉の女房は並の女に務まるものではない。

場合によっては秀吉以上に怜悧な北政所は・・・秀吉直臣の妻子で構成される侍女の官僚団を組織していた。

「関東は・・・もうひと荒れありそうだがや」

「北条たら言うお殿様が・・・大人しく従わんのかね」

「なにしろ・・・生まれついてのお殿様だもんで・・・気位高くてかなわんでのん」

ぼやきながら秀吉は奥の間を出た。

聚楽第の内にある千利休屋敷を経由して・・・大坂城に下るのである。

秀吉が去ると・・・寧々は顔に不機嫌さを見せる。

「弥兵衛を呼んでちょうだい」

小浜八万石の大名であり京都奉行でもある浅野長政は寧々の義弟である。

寧々の妹の祢々の夫だった。

「寧々様・・・お呼びで」

「茶々のことだがね」

「いい加減になさりませ」

「勝俊の放った門徒衆は存外頼りなかったわ」

「・・・ただいま・・・北条の縁者が上洛中でございます・・・」

「で・・・」

「北条には風魔という忍び衆がおりますれば・・・」

豊臣家の奥からの密命を聞き蒼ざめる板部岡江雪斎・・・。

「そのようなことをして・・・殿下が・・・」

「なにもしなければ・・・奥の機嫌を損じますぞ・・・」

仕方なく・・・警護のために同行している風魔龍太郎に相談する江雪斎だった。

「淀城攻め・・・ですか・・・」

「無理か・・・」

「暗殺は・・・風魔一族の得意とするところ・・・おまかせくだされ・・・」

風魔龍太郎は五人の下忍を連れていた。

しかし・・・その内の一人・・・雨宮源内は・・・徳川の草であった。

聚楽第に逗留中の本多正信は鞍馬流の忍者であり・・・修験者忍びの真田家とは特殊な繋がりを持っている。

「信繫殿・・・」

正信に呼び出された信繫は蒼ざめる。

「それは・・・」

「信繫殿は・・・淀城の使い番・・・父上・・・上洛中に不始末があれば・・・ただでは済みますまい・・・」

「・・・」

「徳川としても・・・北条の忍びに・・・しでかされては一大事でござる」

草木も眠る丑三つ時。

淀城の石垣に黒い影がとりついた。

しかし・・・石垣には先に真田の忍びが張り付いていた。

「お」

二人の風魔の乱破が刺殺されて川に落下する。

二人の風魔の乱破は真田の忍びと揉み合い水中に落ちた。

石垣を登り切ったのは龍太郎のみである。

しかし・・・淀城内は殺気に満ちている。

「これは・・・」

「真田佐助と申す・・・」

佐助は・・・昌幸と共に上洛していた。

「噂に聞いたことがある・・・たしか・・・猿飛の」

龍太郎が佐助の異名を口にした時には背後に回った城内警護の影の忍者が心臓を一突きにしていた。

「これは・・・いつぞやの・・・お手数をかけ申した」

「死体はお持ち帰りくだされ・・・」

「おおせのままに・・・」

「今夜のことは・・・他言無用でござる」

「願ってもないことで・・・」

佐助は赤い仮面をつけた影の忍者に頭を下げると龍太郎の死骸を担いで城外に飛び去った。

こうして・・・真田の忍びたちは寧々の悋気をまたしても闇に葬ったのである。

淀城内で・・・茶々と赤子は安らかな寝息を立てている。

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2016年5月29日 (日)

やりたいと言えない男たち(福士蒼汰)生暖かい風に乗せてホームラン(門脇麦)幽体離脱特訓中(土屋太鳳)ゲストデス。(森カンナ)

スーパーナチュラルホラーのお約束にもいろいろある。

大前提として・・・「死者は生き返れない」・・・そこからか。

そもそも・・・基本的に・・・「恐怖」とは・・・「死にそうになること」なのである。

「不安」とは「死んだらどうなるかわからない」ということである。

だから・・・「死んでも生き返ること」ができるならホラーではなくなってしまう。

だが・・・お約束は裏切るためにあるのだ。

「ゾンビ」の誕生である。

つまり・・・「死なないこと」が恐怖なのである。

いや・・・「もう死んでいる」から「殺せないこと」が恐怖なのである。

それなのに・・・「頭を撃てば死ぬ」とか・・・誰かが掟破りを始めるのだ。

「日光に弱い」はずだと言う者もいる。

「それは吸血鬼」ではないのか。

「吸血鬼もゾンビの一種だろう」

「そうなのか」

「いや・・・死霊と吸血鬼は違う」

「いやいやゾンビが吸血鬼の一種なんじゃないか」

「アンデッドとリビングデッドはどこが違うんだ」

「ネクロマンサーがだな」

・・・とにかく・・・お約束なんてそんなもんだ。

「幽霊」や「死神」は「物質世界」に関与できない・・・なんていうお約束は・・・戯言なのである。

しかし・・・時と場合によります・・・って言い出すと・・・野球で乱闘が日常茶飯事になるよね。

ま・・・それはそれで面白いけどね。

結局・・・時間厳守派と・・・間に合えば問題ないでしょう派の不毛の戦いは永遠なんだよな。

で、『お迎えデス。・第6回』(日本テレビ20160528PM9~)原作・田中メカ、脚本・尾崎将也、演出・小室直子を見た。人間の意識というものは不思議なものである。今、あなたはこの文章を読みながら・・・私の意識を覗きこんでいる。そういうあなたの意識は一体、どこにあるのだろう。あなたの身体のどこにいつから「それ」は存在しているのだろう。そして・・・「それ」はいつか消滅してしまうのだろうか。私に「意識」があるようにあなたにも「それ」があるのだろうか。人間たちは・・・誰もが「それ」と似たようなものを持っているのだろうか。そして・・・「それ」は人間だけに特有のものなのだろうか。このドラマはそういう疑問の果てに展開される妄想である。だが・・・このような「妄想」が全くのフィクションであるとは・・・誰にも断言できないのである。恐ろしいことです。

悪霊と化した矢島美樹の亡霊(野波麻帆)の念力攻撃により・・・重傷を負った阿熊幸(土屋太鳳)は「この世に未練が残る幽霊を説得して成仏させるというアルバイト」から離脱中である。アルバイトの発注者である死神のナベシマ(鈴木亮平)に恋をしている幸は・・・焦燥するのだった。

アルバイトに復帰して・・・ナベシマに存在価値を認めてもらいたいのである。

幸が何故、ナベシマに恋をしたのかは・・・未だ未詳である。

そもそも死神についても不明な点は多い。

それが物語の「謎」として・・・あまり機能していないために・・・お茶の間の人気がもう一つなのである。

同じように・・・主人公が挫折した「事件」の詳細についてなかなか明らかにしない「ラヴソング」もお茶の間受けしないのだった。

もちろん・・・「謎」が解き明かされていくというのは物語の基本なので・・・あまり・・・うるさくは言いたくないのだが・・・本筋じゃないなら・・・隠しても無意味だと思うのである。

「ラヴソング」10.6%↘*9.1%↗*9.4%↘*8.5%↘*8.4%↘*6.8%↘*6.8%

「お迎えデス。」10.3%↘*9.3%↘*6.9%↗*7.9%↘*6.7%

・・・てなことになってしまうからな・・・。

「音楽」とか「オカルト」とか・・・特殊なジャンルに挑戦する時はなるべく失点を少なくしないといけないのである。

・・・とにかく・・・未だに給与についても触れられない・・・ボランティアならボランティアでもいいのに・・・アルバイトに復帰したい幸は突然・・・幽体離脱してしまうのだった。

アルバイトの後輩である・・・堤円(福士蒼汰)には霊視に加えて憑依体質という特殊能力がある。

幸は・・・それがうらやましかったらしい。

幽体離脱は・・・精神と肉体の分離現象である。

生きている肉体と分離した精神は・・・幽体とか生霊とか称される。

肉体にある程度依存している精神が・・・離脱するのは・・・極めて危険というのが定番である。

しかし・・・無邪気な幸は・・・新たなる能力の発現に喜ぶ。

廊下で三遊亭好楽の霊に遭遇した幸は・・・接触不能な霊に幽体であれば接触できることに歓喜する。

さらに移動範囲を拡大しようとする幸だったが・・・幽体が肉体と・・・有限の命綱としての霊糸で繋がれていることを知り・・・少し落胆するのであった。

世界の果てまでは行けないのだ。

幸は・・・とにかく・・・意志の力で幽体離脱が可能になるように特訓を開始する。

一方・・・幽霊となった千里(門脇麦)は一度昇天体制から逃亡したために・・・強制送還者としてブラックリストに乗っている。

昇天リミットの四十九日までの残り日数は不明だが・・・新入生のサークル勧誘の時期に旅立った以上・・・梅雨入り前にはあの世に逝かなければならない。

そうでなければ完全消滅(地獄行き)なのである。

死神二課のナベシマとゆずこ(濱田ここね)は千里を捜索するのだが・・・先に千里の身柄を押さえることで二課の失点を狙う一課のシノザキ(野間口徹)は死神マツモト(根岸拓哉)や除霊のできる霊能力者・魔百合(比留川游)に千里捜索命令を下すのである。

今回・・・お約束を破って幸に肉体的接触をしたナベシマは・・・幼女に「ご褒美を強請られる」という・・・生前の記憶らしきものを意識する。

ゆずこも「生前はもてもての熟女」だったらしく・・・死神が死者の一種であることが暗示される。

死神は一種の資格のようなものらしい。

こういう・・・オリジナル霊界設定は・・・一部お茶の間には煩いだけなんだけどねえ・・・。

攻略本ができるくらい緻密ならまだしも・・・いかにも穴だらけだからな・・・。

だって・・・どうでもいいものな・・・。

たとえば・・・矢島美樹や緒川千里のような強力な念力幽霊がある程度の確率で存在するなら・・・。このドラマでは六話で二人だ・・・。

一瞬で十万人の幽霊を作りだしたエノラ・ゲイが無事に帰還できるとは思えないからだ。

必ずや怨霊により未帰還機になっているだろう・・・。

年頃の男子でありながら・・・あまり自慰もせずに・・・千里と同棲中の円である。

さやか(大友花恋)の父親である堤郁夫(大杉漣)と円の母親である由美子(石野真子)の再婚で成立している堤家。

「空になったバターの容器」を冷蔵庫に戻して由美子に叱責される郁夫。

「靴下を裏返したまま洗濯機に抛り込むこと」を追及される円。

「男ってダメねえ」という由美子とさやかに・・・。

「ね~え」と同調する千里だった。

「君はいつも家族を観察しているけれど・・・楽しいのか」

二人きりになった円は千里に質問する。

「楽しい家族よね・・・何でも言いあって・・・」

「そうかな・・・」

そこへ・・・ナベシマとゆずこが接近する気配があり・・・千里は壁抜けをする。

千里は相当に優秀な超能力幽霊だよな・・・。

それか・・・ナベシナたちが超無能な死神なのか・・・。

今回のゲスト幽霊は・・・達夫(寺島進)である。

野球狂で天涯孤独な身の上・・・。

気にかかるのは所属する草野球チーム「ラビッツ」の行く末であった・・・。

「さあ・・・行こう」

「僕は・・・授業が」

「とにかく・・・行こう」

円・・・留年するよね。

喫茶店では・・・葬式帰りのラビッツのチームメイトが集合していた。

達夫を入れて九人であり・・・チーム存続の危機である。

「どうする・・・来週の試合・・・」

「八人じゃ・・・無理だよな」

「いよいよ・・・ラビッツも解散か・・・」

《解散とか言うなよ・・・情けない・・・こういうわけなんだ・・・よろしくな》

「え・・・つまり・・・僕にチームに入れと・・・」

《あったりめえだよ》

「ですから・・・僕には授業が」

《とにかく・・・来週の試合まで・・・頼むよ》

幽霊の頼みを断れない円は・・・男たちの会話に割り込む。

「あの・・・僕でよければ・・・」

「え・・・」

「ラビッツに入れてください」

「これも達夫さんの導きかね」

「ま・・・そうですけど・・・」

「え」

そこへ・・・真理(森カンナ)が現れる。

真理は・・・チームの最年少である真之介(伊澤柾樹)の姉だった。

達夫の生前最期の試合・・・敗戦になったのは・・・真之介のエラーがすべてだった。

「達夫さんも亡くなったし・・・もういいでしょう」

「真理ちゃん・・・」

「もともと・・・弟は野球なんてやりたくなかったのに・・・達夫さんに無理矢理ひっぱりこまれたんです・・・」

「・・・」

「さあ・・・帰りましょう」

真之介は姉に促され店を出て行く。

《なに勝手なこといってんだよ・・・真之介は野球が好きなんだよ・・・》

達夫は叫ぶが・・・その声は円以外には届かない。

千里は入院中の幸を見舞っていた。

「円くんと一緒に暮らして・・・どうなの」

「昔に戻ったみたい・・・」

「それじゃ・・・ダメじゃない・・・言い残したことがあるから・・・この世にとどまっているんでしょう」

「・・・」

幸は・・・千里を励ますのだった。

円と達夫は真之介の家にやって来ていた。

そこへ・・・千里が合流する。

「きてくれたんだ・・・」

「行きましょう」

《おい・・・勝手に入っちゃダメだろう》

「幽霊の特権です」

千里は・・・部屋でグロープを見つめる真之介の表情から心を読むのだった。

一方・・・円は表で真理と遭遇する。

「あなた・・・」

「真之介くんのチームメイトです」

「真之介は・・・意志表示のできない子なの・・・」

「・・・」

「無理矢理誘われても・・・いやだと言えないのよ・・・野球も上達しないし・・・あの子のエラーで試合に負けて・・・みんなに責められて・・・苦しんでいるの」

「やりたくない・・・と言えないということは・・・やりたい・・・とも言えないってことですよね」

「私には・・・わかるの・・・あの子の姉ですから・・・」

「・・・」

円は撤退し・・・アルバイトの先輩である・・・幸に相談する。

「どうしたらいいと思う」

「私は動けないし・・・あなたががんばってくれないと・・・」

「そんなこと言われても・・・僕にも授業があるし・・・」

「その子がダメなら・・・他の選手を勧誘するとか・・・」

「え・・・僕が・・・」

「あなたしかいないじゃない」

二人のやりとりを加藤孝志(森永悠希)と女子大生たちが見ていた。

「あの二人・・・仲いいよね」

「付き合ってるんじゃないの」

「あの二人は・・・絶対付き合ってないと思う」

加藤に気付いた幸は閃く。

「あ・・・九人目がいた」

「あ・・・」

「え・・・俺?」

なんだかんだ・・・加藤は円に誘われたら嫌とは言えないのである。

「野球もいいけど・・・ロケット・コンテストはどうする」

「もう・・・そんな季節か・・・」

「一年って早いよな」

「問題は予算だな」

「部員が増えたらと思ったけど・・・今年はパスするか」

「・・・」

チームでの練習後・・・円と加藤はバッティングセンターに向かう。

円は・・・理論的に・・・「弱くても勝てます」的なことを考えるが・・・ダーツの時には成功した手法が・・・バッティングには応用できないらしい・・・。

「来た球を打つ」のは・・・難しいからな。

そこで・・・円は・・・真之介がアルバイトをしていることを知る。

「真之介くん・・・バイトが終わってからこっそり・・・ここでフライを捕る練習しているんだ」

探偵幽霊・千里の報告である。

「・・・」

「私・・・真之介くんと・・・円くんて似てると思う」

「似てるって・・・どこが」

「何を考えているかわからないようなところ・・・」

「君だって・・・」

「え・・・」

「あの日以来・・・僕と星を見に行かなくなって・・・」

円は千里との交際を否定した上で・・・流星観察に誘ったのである。

まさか・・・千里が円と交際していたつもりだとは夢にも思っていないのだ。

「どうしてなのか・・・今もわからない」

「本当に・・・わからないの」

「うん」

怒りに震える千里は・・・空気を振動させ・・・周囲の物質を揺らしまくるのだった。

「なんか・・・怒ってるの?」

「知らない・・・」

千里もいい加減・・・言葉にしないとわからない奴だとわかるべきだな。

円は真之介に声をかけた。

「僕と君が似ているって人がいて・・・もし・・・君がやりたいことをやりたいって言えないなら・・・そうなのかもしれないって思った。僕はロケットを飛ばしたいと思ったけど・・・友達に無理だっていわれて・・・それでもやりたいと言えなかった・・・最近、知り合った人がいるんだけど・・・僕と違ってやりたいことをガンガンやりまくるんだよ・・・僕はその人がちょっとうらやましい・・・君が本当は野球をやりたいと思っているのなら・・・今度の試合・・・やればいいんじゃないか・・・僕は待っているよ」

「・・・」

試合当日である。

相手チームの「イーグルス」もへっぽこらしく・・・八回を終わって同点である。

しかし・・・加藤が足を挫いてしまう。

そこへ・・・真之介が現れる。

弟思いの姉は追いかけてくるのだった。

「無理する必要はないのよ・・・帰りましょう」

しかし・・・その手を振り払う真之介。

「僕は・・・野球が・・・やりたい」

《よく言った・・・》

達夫は歓喜する。

外野の守備についた真之介を励ます達夫。

円は自ら・・・達夫に身体を提供する。

大飛球が真之介の頭上に打ち上がる。

「真之介・・・お前が捕れ・・・声を出せ」

「・・・オ・・・・オーライ」

真之介が捕球してチェンジである。

最終回裏の・・・ラビッツの攻撃・・・。

先頭打者は・・・円/達夫である。

所謂、三振前の大ファールを打ち放つ円/達夫・・・。

しかし・・・大好きな円の笑顔が見たい千里は念力で風を巻き起こすのだった。

強風に吹かれて軌道修正した打球はレフトポールを直撃するのだった。

「ホームランだ・・・ざまあみろ・・・」

こうして・・・ラビッツはチーム結成後・・・初めての勝利を手にした。

「達夫さん・・・天国で喜んでくれるかな・・・」

いや・・・そこにいます。

まもなく・・・達夫は・・・ナベシマの手で・・・昇天する。

円を賞賛するナベシマ・・・。

死神が去った後で・・・千里がつぶやく。

「円くん・・・変わったよね・・・変わったのは・・・幸さんのせいなのかしら・・・」

「・・・」

もちろん・・・千里が何故そんなことを言うのか・・・円にはわからない。

思わせぶりの通じない男なのだった。

一方・・・父親(飯田基祐)から政略結婚を勧められ・・・ムシャクシャする幸は幽体離脱の特訓に我を忘れていた。

幽体となった幸の前に死神一課のシノザキが現れる。

「凄いじゃないか・・・君・・・こっちに来ないか」

ヘッドハンティングである。

どうでもいいが・・・死後の世界の人たち・・・生者に頼りすぎじゃないか・・・。

すでに死んでいる死神たちの何かをやりたいという意志・・・。

それはどこから生まれるのだろうか・・・。

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2016年5月28日 (土)

妹思いですがなにか(岡田将生)一泊ですがなにか(松坂桃李)執行猶予中ですがなにか(柳楽優弥)据え膳ですがなにか(島崎遥香)看護師ですがなにか(石橋けい)出番少なめですがなにか(吉岡里帆)未練ですがなにか(安藤サクラ)

今回は主人公である坂間正和(岡田将生)が徹頭徹尾・・・話の中心となり・・・ふりかかる火の粉をなんとか払いのけようとする悪戦苦闘が描かれる。

物凄く普通のドラマである。

つまり・・・すべてのフリが終わって・・・本題に突入しているわけだな。

そういう意味では「グッドパートナー」も「世界一難しい恋」も・・・オーソドックスな展開なのである。

それなのに・・・物凄い落差を感じるのは・・・演出力の違いとか・・・好みの差異とか・・・複雑な問題を孕んでいるよなあ。

2016年の春ドラマは・・・なんとなく「男たちの物語」である。

(火)の「重版出来」は主役は女性だが・・・結構、男臭い話が続いている。女流漫画家がまだ一人しか出てこないしねえ。

(月)の「ラヴソング」は本来、女の子の物語にするべきところを男性主人公が妨げてしまっているような感じなのが残念なんだな。

で・・・なんとなく・・・重苦しいわけである。

男は基本・・・重苦しいものだからな。

男が三人よれば・・・重苦しい。

タモリ曰く「夢と友達は基本的に必要ない」なのである。

本当は必要ない「ともだち」や「夢」をもてあます男たちの話なのである。

ある程度、重苦しくなるわけである。

で、『ゆとりですがなにか・第6回』(日本テレビ201605222230~)脚本・宮藤官九郎、演出・鈴木勇馬を見た。「みんみんホールディングス」から居酒屋「鳥の民・高円寺店」に店長として出向中の坂間正和(岡田将生)は交際中である上司の宮下茜(安藤サクラ)と友人で童貞の山路一豊(松坂桃李)との仲を怪しみ骨折したあげくに交際終了を申し出るがレンタルおじさん(吉田鋼太郎)の息子で妻子あるガールズバー店長の道上まりぶ(柳楽優弥)が就職活動中の妹のゆとり(島崎遥香)に手を出したと知り殴りこみをかけたのだった。

正和の乱である。

出迎えたまりぶの妻ユカ(瑛蓮)は乳児をあやしながら叫ぶ。

「なんか飲むか・・・飲むなら買って来い」

「その前に・・・紹介してくれ」

「ユカ・・・親父」

「お前か・・・不倫まみれの父親か」

「最初に言っておくが・・・ユカとは入籍していない」

「え」

「男としてキチンと籍は入れないと」

「入籍中に不倫したお前に言われたくない」

「私、ピザ切れてるから無理だけどね」

ユカ・・・日本人じゃなかったのかよっ。

爆買いツアーで来て不法滞在中らしい・・・。

「俺は最初から浮気するって宣言してる」

「有言実行ね」

「まりぶには腹違いの兄がいまして・・・優秀でして」

「何度も不倫してたのか」

「四、五回です」

「父親のことはどうでもいい」

「誘ったのは・・・向こうから」

「なんで・・・連絡先を・・・」

「お兄さんに渡した名刺・・・」

「え」

「セキュリティーが甘いよね」

「そういう問題じゃないだろう」

「友達の妹だと思うから・・・箸を止めようとした」

「それなのに・・・どうして」

「言ってることはわけがわからなかったけど・・・かわいかったから」

「・・・」

「手を出したの」

「だまってろ・・・ものには順番があるだろう」

「で・・・どうなんだ」

「やっちゃいました」

「ああああああああああ」

「病気よ」

「関係ないよ・・・親がどうだろうが・・・浪人生だろうが・・・関係ないよ・・・妻子あるくせして・・・俺の妹とやっちゃうことが問題なんだよ・・・このモラトリアム野郎が・・・」

「ごめんなさい・・・お兄さん」

「お兄さんって言うな・・・」

しかし・・・まりぶとの交際によって心身充実したゆとりは苦戦していた就職活動が軌道にのり、内定寸前の微妙な時期である。

「別れ」を切りだすのは「内定確定後」と約束させる正和。

「え・・・会っていいの」

「メールで励ませ」

「やるのは・・・」

「ダメに決まってるだろう」

爽やかな坂間家の朝・・・。

母親の和代(中田喜子)はゆとりの就職が決まりそうなので上機嫌である。

電動歯ブラシ使用中の正和にゆとりが身を寄せる。

「お兄ちゃんにだけは・・・言っておこうと思って・・・」

「ういいいいいいん」

「大きいお兄ちゃん・・・浮気しているみたい・・・」

「うぃぃぃぃぃぃん・・・えっ」

妊娠活動中にも関わらず・・・素晴らしいインターネットの世界で性風俗店の画像を検索していた長男の宗貴(高橋洋)は嫁のみどり(青木さやか)に激しく責めたてられるのであった。

「こんなもの見てどういうつもり・・・なんて日だ」

「いや・・・これは・・・単にえっちなあわびたちであって」

「浮気するなんて最低!」と吐き捨てるゆとり。

つまり・・・ゆとりは・・・自分が不倫中だとは夢にも思っていないのだった。

兄として正和は身悶えするのだった。

本社に出社した正和は・・・伊豆シャボテン公園名物・カピバラまんじゅうを手にとる。

「あ・・・お茶の方がよかったですか」

「いや・・・」

妙に腰の低い山岸(太賀)である。

直属の上司・早川道郎(手塚とおる)とのミーティングで・・・取引先の仕出し弁当屋「大盛軒」の経営不振を上申する山岸だったが・・・。

正和の目にも・・・早川の目にも・・・取引を打ち切られていることが明瞭だった。

「三月まで・・・順調だったのに・・・」

「他社に乗り換えられてるんじゃないか・・・」

「えええ・・・そうかなあ」

「そうかなって・・・薄々気がついてたんだろう」

「いやあ・・・まさかと思って・・・」

「・・・」

自分を本社から追いやった張本人である・・・山岸をも・・・後輩として面倒を見てしまう正和なのである。

人がいいにも程があるのだった。

「大盛軒」の担当者である野上(でんでん)にそれとなく探りを入れる正和。

「うちの・・・山岸・・・どうですか」

「心を入れ替えてがんばってるよ」

「それにしては・・・取引が・・・」

「季節的に肉より魚なんだよ」

「今日はチキンカツですよね」

「まあ・・・俺も社長の方針には逆らえないからね」

「しかし・・・長年のお付き合いじゃないですか」

「いや・・・そういうことは・・・努力の成果をみせてくれないとね」

のらりくらりと追及をかわす野上だった。

他者の食材によってつくられた仕出し弁当を山岸と試食する正和・・・。

「うちの製品の方が・・・上質だな・・・価格は」

「同額です」

「じゃ・・・なんで・・・」

「接待じゃないですかね」

「しかし・・・お前だってがんばってるだろう」

「野上さん・・・ゲスですから・・・フィリピンパブから北欧系で南米系・・・最後に富士そばのおばちゃんまで口説きます・・・」

「敵は・・・それを上回るのか・・・」

「・・・」

山岸が・・・使えないけれど・・・それなりに成長したことを嬉しく感じる正和・・・。

だから・・・人がいいのにも程があるだろう。

一方・・・「阿佐ヶ谷南小学校」の教頭(原扶貴子)も伊豆シャボテン公園名物・カピバラまんじゅうを・・・。

「みんみんホールディングス」と「阿佐ヶ谷南小学校」の点と線が繋がる展開らしい。

そして・・・まんじゅうにはカピバラの肉は入っていないらしい。

学習障害のある転校生・大悟の加入によって・・・4年2組の授業が遅れるのではないかというクレームが父兄から寄せられたのだった。

母親の奈々江(石橋けい)を交えたミーティング。

「やはり・・・算数だけは別室でということになりますか」

「しかし・・・児童たちにどう説明する・・・大悟くんはクラスの人気者なのに・・・」

「僕が・・・話します」

担任の山路は立ち上がるのだった。

「ゆとり教育」と黒板に記した山路は児童たちに話しかける。

「昔・・・土曜日も授業がありました・・・」

「えええ」

「先生たちの時代から・・・土曜日の学校はお休みになったのです」

「へええ」

「一日、お休みを多くして・・・いろいろなことを覚えるよりも・・・ゆとりをもってゆたかな心を育てようということになりました」

「ふうん」

「その結果・・・少し・・・お勉強ができなくなって・・・先生たち、ゆとり教育を受けた人間は・・・ちょっと馬鹿なんじゃないかという人もいます」

「ひでえ」

「でも・・・ゆとり教育にもいいところがあります」

「・・・」

「大悟くんは・・・算数が苦手です・・・そういう子供は昔なら・・・見捨てられていました。でも、今は人をおとしめることは悪いことだとみんな知っています」

「・・・」

「大悟くんのせいで・・・授業が遅れて困ると思った人がいますか・・・だから・・・大悟くんを見捨てるべきだと思いますか」

「だめ~」

「じゃ・・・どうすればいいと思う?」

「電卓使えばいい」

「いい考えだね・・・だけど・・・それで・・・大悟くんだけが電卓を使って一番になったらどう思う」

「みんなで電卓を使えばいい」

「ふふふ・・・だけど・・・算数で計算の仕方を覚えることはものを考える手順を頭の中に形作るために必要だと考える人たちもいる」

「・・・」

「眼鏡も電卓も道具だけれど・・・今はまだ・・・電卓を使った授業は認められていない・・・だから・・・大悟くんだけは・・・算数の授業を別の教室で特別にすることにします」

「えええ」

「これは・・・大悟くんをみんなから切り離すことじゃない・・・みんなと一緒に学び・・・みんなと一緒に卒業するための特別なやり方です・・・いいかな」

「は~い」

涙ながらに・・・素晴らしい児童たちに感激する大悟の母親の奈々江・・・。

「ありがとうございました」

「いいえ・・・みんな・・・いい子だから・・・」

「最初・・・山路先生が担任と聞いて・・・年下で・・・ゆとりで・・・しかも童貞なんて・・・大丈夫なのかと思いました」

「ど・・・」

「でも・・・今は山路先生が担任で本当によかったと思っています」

「どうも・・・」

心温まる小学生たちの出番が終了すると・・・居酒屋「鳥の民・高円寺店」で正和はバイトリーダーの村井(少路勇介)とバイトの中森(矢本悠馬)が伊豆シャボテン公園名物・カピバラまんじゅうを食しているのを目撃する。

「これは・・・」

「エリアマネージャーからの差し入れです」

無駄に発達した推理力により茜が旅行に行ったことを察知する正和だった。

「茜ちゃん・・・伊豆に・・・」

「友達と一泊してきたの」

「友達って・・・俺も知ってる人・・・」

「そうよ・・・」

「一人しかいないんだけど・・・」

「山路とだよ」

「それは・・・」

「だって友達だから別にいいでしょう・・・私たち別れたんだし」

「でもさ・・・仮に・・・俺が女友達と一泊したら・・・」

「誰よ・・・そんな人いるの」

顔色が変わる茜・・・一瞬で滲みでる「別れたけれど正和は私の男だ・・・だれにも渡さない」的女の業である。役者だなあ・・・。

友人と不倫している妹・・・別れても好きな上司・・・手のかかる馬鹿な後輩・・・。

正和の・・・人がいいにも程があるが炸裂する夜だった・・・。

閉店間際の店に次々と顔を見せる正和の友人たち。

「大悟くんのお母さん・・・看護師だった」

正和の悶々とした気持ちを軽々と越えて行く童貞・山路・・・。

そこへ・・・女子大生・佐倉悦子(吉岡里帆)からの着信がある。

山路を襲う・・・小暮静磨(北村匠海)の呪い。

思わず・・・語気荒く応じる山路だったが・・・悦子本人だった。

「あの・・・近くまで来たので」

「はい」

看護師のおっぱいも気になるが・・・女子大生のおっぱいも気になる山路だった。

「私のおっぱいも気になるらしいのよ」

茜は・・・本心とは別の・・・見栄を張るのである。

そんなことをしても得はないのは分かっているが・・・心が疼くのだから仕方がない。

そして・・・素直に身悶える正和なのである。

山路は・・・悦子と共に長男の宗貴を伴って戻ってくる。

宗貴は・・・坂間酒造の銘酒「鬼嫁の涙」と「小さな小姑」を抱えていた。

風俗店閲覧の罪により深夜の営業を母と嫁に命じられたらしい。

そこへ・・・世を忍ぶまりぶも到着。

「あの・・・励ましのメール送って良いですか」

「文面チェックする・・・」

「・・・」

「最期の愛してるは削除しろ」

「はい」

たちまち・・・ゆとりからの着信。

「昨日はごちそうさまって何だよ」

「ごはんだけです」

「俺の目を見て言えるのか・・・」

「・・・言えません」

まりぶはゆとりと昨夜も激しい性交渉をもったらしい。

一部お茶の間のアイドル納税者の皆さん・・・これはフィクションですのでご注意ください。

まりぶとゆとりの関係はまりぶと正和だけの秘密なのである。

そして・・・正和と茜の別離も・・・まだ周知の事実ではない。

長男の宗貴はまだ知らず・・・弟の交際中の上司である茜に銘酒を売り込むのだった。

のほほんと・・・銘酒を楽しむ悦子。

悦子も・・・山路が茜と一泊したことを知らないが・・・もう・・・ほとんど知らないからってどうなんだというキャラクターとして仕上がっているわけである。

そこに・・・野上を接待中の山岸からSOSが入電する。

野上を接待攻勢しているライバル会社「アイアイフーズ」の営業マン(中尾明慶)は優秀すぎて勝てる気がしないようだ。

「そうか・・・あんな顔して共演女優を食っちゃうタイプだからな・・・」

そこで・・・正和は・・・まりぶを有効活用することにした。

野上を陥落させる「おっぱい最終兵器」投入である。

まりぶの「おっぱいパブダブルタップ」は山岸の命を救うのだった。

おい・・・原爆投下みたいな描写はやめろ~・・・気のせいです。

耐えがたきを耐え・・・忍びがたきを忍び・・・使えるものは妹の不倫相手でも使う・・・それが人間というものなのだな。

だから・・・無用に重ねるなって・・・。

まあ・・・核兵器が廃絶されたらたちまち通常兵器で大戦争が始るわけだからな。

まりぶはご褒美に「サービス券」を授与され・・・歓喜するのだった。

少しだけ修復される正和とまりぶの友情関係・・・。

茜は・・・銘酒の納品を試験的なものとして裁量する。

弟に感謝する兄・・・。

「売れるまで帰ってくるなと言われても・・・営業なんて初めてだったし・・・全然だめで・・・助かったよ」

「よかった・・・」

「俺だってやることはやってるのにな」

「・・・妊活の話か」

「風俗くらいいいじゃないか」

「それはどうかな・・・」

これ以上、不和の問題を抱えたくない正和だった。

なんとか・・・山岸は野上の接待に成功するのだった。

童貞をこじらせて・・・おっぱい凝視が過ぎる山路はまりぶと語りあう。

「誰か一人とすれば・・・他とはできなくなるじゃないですか」

「・・・」

「それに・・・やったら・・・自分も相手も変わってしまうし・・・」

「・・・」

「誰か一人とやって・・・残りをみんな捨てるよりも・・・やらなければ誰も捨てないってことでしょう」

「一人とやったら・・・またやりたくなるし・・・他でもやりたくなる」

「ですよね」

「俺は世界中の女とやりたい」

「わかります」

「わかるのかよ」

思わず突っ込む正和だった。

「恵ちゃんとは友達だし・・・いいお付き合いをしています」

「芸能人みたいなことを・・・」

「あいつら・・・みんなやってるけどな」

「おいおいおい・・・」

童貞と放蕩者のレベルの違う意気投合である。

「誰も傷つけないやつは・・・誰も幸せにできない」

明かされる・・・山路と茜の一夜。

「来なさい」と誘いをかける茜に応じない山路だった。

「友達だし・・・友達の彼女だし・・・」

「元カノだけどね・・・」

「・・・」

「いいじゃない・・・傷心旅行なんだから」

「・・・」

「そりゃ・・・ひどいことも言ったし・・・彼の愛を試してばかりだったわよ・・・でもまさか・・・彼から別れを切り出されるとは・・・思ってもいなかった・・・」

「・・・」

「ドジでグズで・・・頼りなくて不甲斐なくて・・・頑なで優柔不断で・・・要領悪くて・・・でもそれがマーチンだもの・・・そういうマーチンが好きなんだもの・・・ああ・・・別れたくなかったなあ・・・」

「・・・」

「いい話なのに童貞が話していると思うと泣くに泣けない・・・」とまりぶ。

しかし・・・正和は号泣しているのだった。

「だから・・・復縁しろよ」

「そんな話を聞いたら・・・余計戻ってきてって言えないよ・・・」

「・・・」

「だって・・・俺は変わりたいんだ・・・変わらなくちゃダメなんだ」

しんみりする男三人なのである。

ああ・・・重苦しい。

ついにゆとりの内定が確定した。

「噂の恋人にお祝いしてもらわなくちゃね・・・」

「そうよねえ・・・」

真相を知らないので呑気な嫁と姑だった。

薄氷を踏む思いの正和・・・。

「そう・・・合格したんだ・・・じゃ・・・お祝いを」

「フェイド・アウトでよろしく・・・」

「はい」

まだまだ油断はできないと思いつつ・・・本社の呼び出しに応じる正和。

本社は騒がしい。

「なんかあった・・・」と正和。

「知らないの・・・大盛軒が弁当で食中毒だしたのよ」と茜。

「え・・・」

「二重納品で消費期限切れ・・・野上さんならやらかしそうでしょう」

「山岸は・・・」

「連絡とれずなのよ・・・」

「現場に・・・」

「お願いね・・・それから・・・こんな時になんだけど・・・父です」

「え」

正和は・・・茜の父親・重蔵(辻萬長)と遭遇するのだった。

その様子から・・・重蔵は二人の交際を知っており・・・別離の件は知らない模様である。

正和は・・・ぼんやりとした。

いつものことである。

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2016年5月27日 (金)

私はただベストを尽くしたいだけ(竹野内豊)見当はずれもいいところ(松雪泰子)離婚は両親の最期の共同作業です(松風理咲)輝くレッドスター(山崎育三郎)

「カムイ外伝/白土三平」の「雀落し」の引用である。

「カムイ」にも出典があるのかもしれないが・・・「酒餌」というのは「八岐大蛇」にさえ効果的だからな。

「誰が一番多くの雀を捕獲できるか」という勝負をする忍者たち。

弓矢や手裏剣などの武具を使う下忍に対し・・・酒に漬けた米を用いたカムイが圧勝するという話なのである。

「カムイ」の愛読者なら誰もが知っている話を・・・「雑学」として披露され・・・弁護士たちが誰も知らないというのは・・・一種の「常識」に対する皮肉とも取れるが・・・そもそも・・・「カムイ」を知るものが少数派の時代である。

通じないんじゃないか・・・と思う。

かって「差別」が「常識」だった頃・・・それを「口にするのも憚る」時代が招かれて・・・「差別」そのものが「特別な知識」になってしまったようだ。

そういう「現代」が良かったのかどうか・・・よくわからない。

「カムイ」がどれほど・・・心を震わす物語だったか・・・「生まれついての身分差」がどれほど忌まわしいものであるか・・・「差別」の隠蔽された世界では・・・よくわからないのだろうと思われる。

まあ・・・「雀」を食べなくても「焼き鳥」を食べればいいんだよな。

で、『グッドパートナー 無敵の弁護士・第6回』(テレビ朝日20160526PM9~)脚本・福田靖、演出・常廣丈太を見た。「モップガール」や「雨と夢のあとに」そして「ハガネの女」の演出家である。久しぶりにロマンチックな作品に仕上がったな。主人公やヒロインが大人の事情でもっともらしいことを語るけれど・・・子供たちにしてみれば・・・「知ったことじゃない」という話だ。いつか・・・子供もたちも大人になり・・・事情を知り・・・もっともらしいことを語るだろうが・・・とにかく・・・人間なんてみっともないのが基本なのだな。そういう話は実にロマンチック(理想的)なのである。

神宮寺法律事務所の所長・神宮寺一彦(國村隼)から「離婚した妻とグッド・フレンドになれ」とアドバイスされた咲坂健人(竹野内豊)である。

つまり・・・上司の命令なので受け入れる咲坂・・・実に俗物なんだな。

咲坂は・・・娘に語る・・・「俺はママと最高の友達になろうと思う・・・嬉しいだろう」

しかし、小学生の娘・みずき(松風理咲)は質問には答えない。

「私・・・最近・・・友達ができたの」

「へえ?」

「目黒くんって言うんだ」

「え」

娘に男ができたことに暗澹たる気持ちを抱く咲坂だった。

経営不振にあえぐ「蕎麦 いわし丸」チェーンの経営者である根岸昇(六平直政)とその妻・三佐江(千賀由紀子)がクライアントとなる。

都内に五店舗を展開する「蕎麦 いわし丸」だったが・・・銀行から借入金が三億一千二百万円となり・・・それ以上の融資に難色を示されているという。

熱海優作(賀来賢人)はそれがどういう事態なのかピンと来ない。

咲坂は・・・クライアントの求める「事業再生計画」が困難を伴うことを察知し、財務関係に強い赤星元(山崎育三郎)を夏目佳恵(松雪泰子)から借り受けることを決意する。

元妻の仕事が一段落し、アソシエイト弁護士である赤星に余裕があると判断したためだ。

夏目は快諾し・・・咲坂と熱海に赤星を加えた臨時体制が組まれるのだった。

「従業員や取引先に迷惑をかけるわけにはいかないので店を潰すわけにはいかない」というクライアントの熱意に応えようとする咲坂。

しかし・・・赤星は「再建は無理です・・・清算を考えた方がいい」と冷たい判断を述べる。

「再生」と「清算」で対立する二人・・・その喧嘩腰に熱海はアタフタするのだった。

「新人を挟まないでください」

「とにかく・・・経営実態を見てから・・・判断しよう」と提案する咲坂・・・。

生まれ故郷の特産品である「いわし」に拘り・・・「いわしそば」をメインメニューにするクライアントは・・・「そば屋」にはあまり縁のない「魚河岸」に早朝から仕入れに出かけるのだった。

「素晴らしい経営努力じゃないか」と評価する咲坂。

「無駄な労力です」と酷評する赤星。

「最初から無理だと言ってたら何もできないぞ・・・嫌なら帰れ」

「帰りません・・・そもそも・・・咲坂先生から頼んできた案件です」

「だから・・・もう一度頼むよ・・・手を引いてくれ」

「お断りします」

頑なな態度の赤星を持て余す咲坂だった。

「あいつは何なんだよ」と咲坂は夏目に愚痴る。

「あいつって・・・」

「赤星だよ」

「私とは揉めたことないけど・・・」

「畜生・・・仕事場でも家庭でも・・・問題だらけだ」

「家庭でもって・・・」

「みずきに男ができたんだよ」

「男って・・・友達でしょう」

「ジゴロかもしれないじゃないか」

「何言ってんの」

「それでも母親か」

唖然とする一同だった。

新人弁護士・熱海はかねてから・・・狙っている美人パラリーガルの茂木さとみ(岡本あずさ)に持ちかける。

「実は・・・みずきちゃんのために・・・咲坂先生と夏目先生を復縁させたいと思っている」

「そんなことより・・・早く仕事を覚えてください」

「・・・」

ベテラン秘書の朝丘(宮地雅子)とアソシエイトである城ノ内弁護士(馬場園梓)はニヤニヤするのだった。

パラリーガルの九十九治(大倉孝二)はあたりさわりのないリアクションでお茶を濁すのである。

今回はここまでで一番・・・脇役たちの扱いがスムーズだったな。

こういう「面白いのか面白くないのか微妙な面白さ」を狙ったドラマでは結構「編集の間」一つで印象がガラリと変わるのだ。

もちろん・・・そうなるように演出しているわけである。

咲坂に比べれば気配りのできる夏目は・・・赤星をフォローする。

「どうしたの・・・」

「特に問題はありません」

「でも・・・パパ・・・彼が・・・」

「案件についての意見の相違です・・・今後、調整していきます」

「よろしく・・・お願いね」

しかし・・・器の小さい咲坂は・・・所長に相談するのだった。

「とにかく・・・まず・・・クライアントの希望に沿うことだ・・・君もパートナー弁護士を目指すなら・・・不可能なことを可能にすることを目指さないとな」

咲坂に代わって赤星を叱責する所長である。

「まったく・・・器の小さい男だ」と思う赤星・・・。

熱海は赤星に質問する。

「夏目先生とも・・・やりあうのですか」

「夏目先生に逆らったことは一度もないよ・・・そんな恐ろしいことはできない」

「そうなの・・・」

「君はタイトルを見たことないのか・・・咲坂先生は馬に乗ってるだけだが・・・夏目先生はライオン飼ってるんだぞ」

「・・・」

もちろん・・・気障な男の代名詞だった赤星が・・・豹変しているのは「理由」があり・・・それが「オチ」という趣向である。

今回は完全に別枠扱いになっている第三のパートナー弁護士・猫田弁護士(杉本哲太)は婚活のためにお見合いイベント「お見合いRUN!」に参加する。

進行役は白石あかね(伊藤修子)である。

一部お茶の間で人気のドラマ「お義父さんと呼ばせて」で砂清水誠(山崎育三郎)を仕留める八千草千代(伊藤修子)なのである。

そして・・・「最後のカップル成立は男性9番・猫田純一さん・・・女性2番・大田蘭子さん」 と叫ぶのだった。

太田蘭子(小松彩夏)であるために一部お茶の間は騒然とするのだった。

ドラマ「家族ノカタチ」で佐々木彰一(荒川良々)とお見合いするのが丸山久美(小松彩夏)だからである。

つまり・・・「あまちゃん」の駅長と副駅長がセーラーヴィーナスとカップル成立してしまったのだ。

だから・・・どうしたってんだ・・・このドラマ中毒めがっ。

連続結婚詐欺でないことを祈るばかりである。

疑心暗鬼の父親は・・・学校まで娘を偵察に出向く。

そこで・・・けん玉の上手な目黒くん(藤野大輝)を目撃するのだった。

一方、夏目弁護士は大便ではなくてビッグベンことクライアントの岸田英樹(横田栄司)に交際を申し込まれたり、日本舞踊の師匠である仙石雪之丞(合田雅吏)にちやほやされたりして・・・それなりに離婚後の生活を楽しんでいた。

しかし・・・みずきの気持ちを考えると・・・離婚したことを早計だったかもしれないと考え始めている気配も漂うのであるが・・・。

「事業規模の縮小しかありません」

「従業員の解雇をクライアントは望んでいない」

相変わらず対立する咲坂と赤星・・・。

咲坂は伝家の宝刀「バッジ外し」を仕掛けるのだった。

「弁護士である前に人間としてだな」

「人間である前に銀行員である人たちは・・・ノーと言いますよ」

赤星の予言通りに・・・咲坂の中途半端な再建案は銀行の融資担当者に受理されないのだった。

「このままでは・・・融資は無理です」

「・・・」

手詰まりになった・・・咲坂・・・。

そこへ・・・クライアントの妻から連絡が入る。

「主人が・・・自分が死ねばなんとかなる・・・って言ってるんです」

「えええ」

弁護士とクライアントは事務所で緊急面談を行うのだった。

「まだ・・・希望はあります」とクライアントを励まそうとする咲坂。

しかし・・・赤星は険しい顔でクライアントを睨む。

「あなたが死んで・・・店だけ残して・・・どうするんです」

「おい・・・やめろ」と咲坂は赤星の言葉を遮ろうとするが無視する赤星。

「僕の父親も・・・飲食店やサウナなどの経営者でした」

「え」

「儲かっているから事業を拡大するんじゃないんですよね・・・経営が苦しいから手を広げるんです・・・融資を受けられるから・・・そして自転車操業です・・・僕はまだ学生だったので・・・親の経営状態なんて・・・全く知りませんでした・・・親父は資金繰りに奔走して・・・過労で倒れました・・・僕が病院に着いた時には・・・息をひきとっていました」

「・・・」

「結局、会社は倒産し・・・僕はバイトをしながら・・・なんとか大学を卒業して・・・弁護士になりました。女の子と生ガキが好きだなんて言ってますけど・・・女の子と付き合ったことはないし・・・生ガキも弁護士になって初めて食べました・・・美味かったなあ・・・」

「・・・」

「母親は言ってましたよ・・・意地を張らないであきらめていれば・・・死ぬことはなかったと・・・命より大切なものもあると・・・言う人もいますが・・・死んだらそんな戯言も言えません」

「彼の言う通りです・・・今は・・・店の看板と・・・あなたの命を最優先で考えるべきです・・・ある程度・・・世間に迷惑かける覚悟でがんばりましょう」

咲坂は掌を返すのだった。

器は小さいが・・・勝負時は逃がさない男なのである。

「唯一黒字の可能性のある浅草店を残し・・・後は・・・」

「本店もですか」

「本店もです」

「・・・わかりました・・・おっしゃる通りにいたします」

クライアントは観念したのである。

外国人観光客向けのビジネス展開で・・・浅草店に「いわし好きのポルトガル人」を呼びこむ事業計画に銀行は同意するのだった。

まあ・・・解雇された従業員が浅草店に放火する心配は残るがな・・・おいっ。

こうして・・・咲坂はクライアントの案件を解決することに成功した。

咲坂の下で・・・赤星が自分には見せたことのない顔を見せたことに動揺する夏目弁護士。

そして・・・赤星の意外な顔を見たパラリーガルの茂木さとみの心は大きく傾斜するのだった。

さとみが赤星を見る目が変わったことに動揺する熱海・・・。

ベテラン秘書の朝丘とアソシエイトである城ノ内弁護士はニヤニヤするのだった。

咲坂を見直し始める夏目弁護士は・・・二人でお茶を飲む。

「ベストフレンドになれって・・・所長に言われたよ」

「私たちが・・・」

「なれると思うか」

「私の結婚式であなたが祝辞を述べるってこと?」

「そういう相手がいるのか」

「まだいないわよ・・・そっちはどうなの」

「俺だって・・・」

モヤモヤする二人だった。

「とにかく頑張ってみるわ」

「え・・・」

「ベストフレンドを目指すんでしょ・・・」

「・・・」

夏目の目には一瞬・・・寂寥感が浮かぶが・・・鈍感な咲坂は気がつかない。

親離婚友達であるみずきと夏目は学校の踊り場で・・・。

「パパとママが最高の友達になったらうれしい?」

「いいや」

「そうよね・・・パパとママは・・・パパとママだもんね」

ようやく・・・一つの到達点が見えたな。

ここまで・・・長かったなあ。

先週は妻に・・・今週は妻の部下に・・・いいところ持って行かれた主人公。

来週は巻きかえしたいところだが・・・自分の部下に持って行かれそうだな。

それもまた・・・味だよな。

いわしそばよりもさばそばだよな。

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Gpoo6ごっこガーデン。愛と青春の弁護士通りセット。

まこぼぎゃああああんでちゅどおおおんな咲坂弁護士と夏目弁護士のスピード離婚・・・。結局・・・結構面倒くさい男の気配が漂う咲坂弁護士によって蓄積された鬱憤が・・・弁護士復帰のあわただしさの中で一気に爆発しちゃった夏目弁護士ということでしょうか・・・もう・・・どっちかが折れればすぐにでも復縁しそうでしゅが・・・きっと二人とも折れないのでしゅね~。損して得とれって言ってあげたい今日この頃なのデスエリ弁護士ものとしては案件が地味なのでス~。売り言葉に買い言葉で離婚してもやもやしている中学生のようなグッド・パートナー。これって・・・夫婦喧嘩は犬も食わない話なのかしらん・・・。死に物狂いの経営努力で世界経済は回るけれど誰も幸せにはならない・・・それはケース・バイ・ケースでス~。泣いてすんだら弁護士いらないわよね~

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2016年5月26日 (木)

素適なベッドを準備した(大野智)こんな意気地なし見たことない(波瑠)底抜けに腰抜けな大間抜けキターッ!(清水富美加)言葉にならないFeeling Good(小池栄子)

映画「娚の一生」で榮倉奈々演じるヒロインは主人公の豊川悦司といつそうなってもおかしくない関係となる。

ヒロインは子供のようなアプローチで主人公にじゃれつき・・・二人は自然にもつれあって転倒。

見つめ合う二人。

そこで主人公はヒロインの足首をつかむと・・・いきなりヒロインの足指をしゃぶりはじめるのである。

ヒロインは最初は茫然とするが・・・いつしか恍惚の表情を浮かべるのだった。

このドラマの主人公の童貞社長にそんなことを求めるのは無理だとはわかっているが・・・。

いくらなんでもコレはないだろう・・・。

面白すぎるじゃないか・・・。

で、『世界一難しい恋・第7回』(日本テレビ20160525PM10~)脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。脚本家の出世作であるドラマ「プロポーズ大作戦」ではヒロインの親友役の榮倉奈々は主人公の親友役の濱田岳と結ばれるわけだが・・・濱田岳といえば映画「みなさん、さようなら」(2013年)で波瑠と濃厚なベッド・シーンを演じている。2013年は20代に入った波瑠が抜群の美貌を開花させ始めた年と言っていいだろう。魔性の女も演じられる波瑠が・・・学級委員モード全開のこのドラマである。据え膳を食わなすぎる主人公が・・・どうしても手を出せないほどの高嶺の花的存在感がヒロインにあるので・・・この破天荒な設定が破綻しないのである。・・・凄いな。

「逢いましょうか」

「逢っていただけるんですか・・・」

破局寸前から不死鳥のように蘇った鮫島零治(大野智)と柴山美咲(波瑠)の社内恋愛。

美咲を部屋に招き・・・買い出しに出かけ・・・周到な準備を整える零治だった。

美咲もそれなりの覚悟をして鮫島の部屋に到着したのである。

玄関の扉を開くと微笑む美咲。

こんな夢のような状況だけで・・・一部お茶の間は陶然とするのだった。

だって・・・玄関あけたら美咲が微笑んでいるんだぜ。

それはもう・・・わかったぞ。

美咲は零治のために軽いおつまみでも作ろうとするのだが・・・食卓には完全なオードブル体制が整っている。

美咲が好物だと言った松前漬もさりげなく置かれているのである。

零治の心遣いに美咲は喜んだことだろう。

そして・・・弾む会話。

やがて・・・時は過ぎ・・・最初の難関がやってくる。

「そろそろ・・・」と帰ろうとする美咲を引きとめる零治。

「泊まっていけばいいじゃないか」

「ご迷惑ではありませんか」

「遠慮することはない・・・私がこわいのであれば・・・庭にテントを張って別々に寝ても良い」

「その必要はありません」

零治の本気の言動も・・・この時点では・・・あくまで「茶目っ気」と受け取る美咲なのである。

零治の寝室に用意された美咲用の寝具。

高まる美咲の覚悟。

寝室には「いさなみすやお・いさなみしほ夫妻のイラスト」が展示されている。

「まあ・・・」

「殺風景だったから・・・」

「いさなみすやお・・・」

「いさなみしほ・・・」

覚悟を決めて目を閉じる美咲。

その寝顔にうっとりしてニヤニヤする零治。

・・・終了である。

「え・・・何もなさらなかったのですか」

「何かおかしいか」

「ドラマなので直接的表現は避けて朝の鳥のさえずりでごまかすとかではなくて」

「そんなシーンさえなかったぞ・・・」

零治の行動に・・・危機感を募らせる秘書の村沖舞子(小池栄子)だった。

「それは・・・あまりにも惨い仕打ちなのでは・・・」

「どこが・・・惨いんだ・・・それより・・・帰らせないで引きとめた俺を讃えてくれてもいいのではないか」

「つまり・・・彼女は覚悟を決めたのに・・・何もなさらなかった社長が余計に酷いことになります。彼女が可哀想です」

「え」

「まさか・・・社長・・・キスもなさらなかったのでは」

「・・・」

「まさか・・・社長・・・キスも未経験なのですか」

「馬鹿なことを言うな・・・俺を誰だと思っている」

「未経験なのですね」

「経験はある・・・」

「それは社長の財産狙いの女性が向こうからキスしてきただけでしょう」

「キスというものは・・・男からするものなのか」

「・・・」

「そうならそうと最初から言ってくれ」

「女性が望む初めてのキスの場所・ベスト3です」

三位・彼氏の部屋

二位・夕暮れの砂浜

一位・夕闇の観覧車

「ほら・・・三位じゃないか・・・俺には相応しくない」

「・・・」

「俺は彼女に最高のキスをするのだ」

「・・・」

社長室から・・・思わず彼方の観覧車を観察する零治だった。

ここまでの経過から・・・散々、苦労したあげく・・・最後はキスするバカップルを期待するお茶の間だったが・・・この脚本家の・・・本性がついに爆発する今回なのである。

その先駆として・・・序盤をリードする21世紀の適当男・三浦家康(小瀧望)だった。

週末の出張でなにやら白浜部長(丸山智己)に急接近した堀まひろ(清水富美加)に見切りをつけ・・・美咲に突然の猛アプローチを開始する家康・・・。

「僕と観覧車に乗りませんか」

「お断りします」

しかし・・・まったく頓着しない家康は零治に「明日までに美咲を落して見せる宣言」を述べる。

「お前には無理だ」

「僕に不可能はありません」

だが・・・万に一つの可能性に怯える零治なのだった。

「今後、社内恋愛は禁止する宣言」である。

ここで・・・叛旗を翻す・・・まひろだった。

「そんなのずるい・・・社長は美咲さんと交際しているじゃありませんか」

静寂に包まれる鮫島ホテルズ社長室企画戦略部・・・。

「なんだ・・・知ってたのか・・・」

零治は・・・社員たちの顔色から・・・それが暗黙の了解だったことを読みとる。

「じゃ・・・仕方ない・・・社内恋愛禁止を撤回する」

安堵する一同・・・茫然と立ちすくむ家康を除外・・・である。

女同士の情報交換タイム。

「実は・・・部長と食事の約束をしたので必死になっちゃいました」

「よかったじゃないの・・・でも・・・彼は少し横暴ですよね」

「そんなことはないでしょう・・・あれって・・・俺の女に手を出すな宣言でしょう・・・うれしいことじゃないですか」

「そうかな・・・」

自由・平等・博愛の学級委員主義に抵触している美咲なのだ。

一方・・・美咲を動植物のように飼育・観察できれば満足の零治・・・警報が鳴り響いています。

絶体絶命の家康だったが・・・起死回生の観覧車のティケットで乗り切るのである。

「社長と彼女のために観覧車はあるのです」

零治は・・・家康の解雇を思いとどまり・・・ニヤニヤするのだった。

全観覧車内で恋人たちがキスする夜・・・。

「・・・観覧車に乗りたかったのですか」

「社長室から・・・観覧車が見える・・・観覧車から社長室が見えるかどうか・・・確認したかっただけだ」

「あ・・・あそこですよ」

「え・・・どこどこ」

向かいあって坐った位置から・・・席移動までは果たせた零治だったが・・・もちろん・・・キスなど思いもよらないのだった。

秘書に叱責される零治だった。

「ダメじゃないですか」

「なぜだ・・・彼女とキスしなければいけない法律でもあるのか」

「小学生ですか」

「キスなんかしなくても人は生きていける」

「恋愛は成立しません」

一方・・・秘書は恋愛マスターである和田英雄(北村一輝)から大人のアプローチを受ける。

「この間はすまなかった」

「謝られるようなことは何も・・・」

「ただ・・・君にこっちを向いてもらいたかっただけだ」

「・・・」

二人は飲み明かすのだった。

鳥が翼を広げて舞い上がる時・・・

夜の終わりを朝陽が告げる時・・・

爽やかな風が吹き抜ける時・・・

あなたにもわかるはず

夜明けが

一日が

人生が

素晴らしいって感じること

だが・・・怯える小動物のように・・・次の段階に踏み出せない零治なのである。

零治と美咲にはお約束で小鳥の囀る朝はやってこないのだった。

美咲が零治の部屋を再び訪れる。

美咲は零治のために手料理をふるまう。

零治も華麗な包丁さばきで手伝う。

和気藹々の二人・・・。

「こんな美味しい料理は食べたことがない・・・君が店を開いたら毎日通うことになるだろう」

美辞麗句を並べたてることのできる零治だったが・・・。

またしても・・・キスはできないのだった。

女子同志の情報交換会・・・。

「え・・・また・・・何もなかったんですか」

「ええ・・・ちょっと・・・おかしいでしょう」

「確かに変ですね・・・」

「・・・」

「まさかと・・・思いますが・・・社長は同性愛者で・・・偽装結婚を・・・」

「え」

「いや・・・でも・・・社長にその気配はかんじられないんだよな・・・」

「・・・」

疑惑のふくらむ二人だった。

零治は秘書に泣きごとを言う。

「好きの二文字にも散々苦しめられたが・・・キスの二文字にもこんなに苦しめられるとはな」

「彼女はキスされるのを待っていると思いますが」

「もし・・・待っていなかったらどうするんだよ」

「社長・・・これは仮定の話ですが・・・私が社長と敵対関係にある方と交際しているとしたら・・・どうなさいますか」

「和田のことか・・・」

「え・・・御存知だったのですか」

「え・・・本当に和田なの・・・」

「・・・」

「好きにすればいいじゃないか・・・君と僕は・・・秘書と社長だ・・・プライベートについては関知しない・・・和田だろうがニシキヘビだろうが・・・自由に交際すればいい」

今はとにかく・・・どうすれば美咲とキスできるか・・・それだけで頭が一杯の零治である。

すればいいじゃないか・・・という言葉はこの脚本家の辞書にはありません。

ついに・・・運転手の石神剋則(杉本哲太)を呼び出す零治であった。

「こんなことは・・・お前にしか頼めない」

「・・・」

「どうすれば・・・キスできるか・・・教えてくれ」

「そう言われましても・・・私も待つタイプですので・・・」

「そうだろう・・・そういうタイプだからしょうがないよなあ・・・」

「そうですねえ・・・突然ベッドが壊れて・・・彼女の方に転がり落ちるとか・・・そういうアクシデントを祈る他・・・」

「神に祈る必要はない・・・そういうベッドを作ればいいじゃないか」

「ええっ」

ついに狂気の世界に足を踏み出す零治だった。

まあ・・・偶然を装って待ち伏せする手法の延長線上じゃないか。

そうかな・・・。

出勤したくなくて会社に放火するタイプじゃないか。

ああ・・・。

運転手と深夜の合宿を行い・・・ベッドを改造する零治。

試行錯誤の末・・・脚部引きこみ式ゴロゴロストンチューベッドが完成するのだった。

そして・・・三回目の・・・美咲のお宅訪問の夜がやってくる。

まひろからのアドバイスに従い・・・美咲は・・・積極的なアプローチをする覚悟である。

なにしろ・・・交際している以上・・・関係を深めるのは・・・心の安定のために必要不可欠なのが・・・普通だからだ。

いつもの配置につく二人。

零治は・・・シミュレーションを重ねた改造ベッドのスイッチに手をかけるが・・・そのスイッチを押す勇気もないのだった。

そこへ・・・積極的攻勢をかける美咲。

気配に気がついた零治は完全な乙女と化すのだった。

つまり・・・男の子がキスをしようとすると・・・。

「ちょ・・・ちょっと・・・やめてよね」と言うアレである。

いくら男女雇用機会均等法の世界でもそれだけは・・・絶対ダメですから。

「えっ」と驚く美咲。

零治は怯えてスイッチ・オンである。

たちまちベッドから転げ落ちる二人・・・。

「痛い・・・」

「あああ」

「何なんですか・・・これは・・・」

「いや・・・あ・・・きっと運転手のサプライズだ・・・時々・・・こういうことをするんだ」

「ベッドに細工する前にやることがあるんじゃないですか」

美咲はずっとじらされてきたのである。

覚悟して待っていたのである。

その上であえて積極的な行動に踏み切ったのだ。

それなのにこの仕打ち・・・女心はズタズタなのである。

しかし・・・美咲より乙女な零治に・・・そんな気持ちを察することができるだろうか・・・いや・・・できない。

「いや・・・この装置は・・・」

「ずっと・・・大人の余裕だと思っていたのに・・・」

「だから・・・これは・・・」

「なんで・・・拒否したんですか」

「そんなにおこらなくても」

「この意気地なし」

ついに・・・零治の正体を正確に見抜く美咲。

しかし・・・見抜かれて我を失う零治。

「お前みたいな気の強い女ははじめてだ」

「社長がこんなに器の小さい人だったなんて」

「二人の時に社長はやめろといっただろう」

「なんて姑息なの」

「お前はクビだ・・・」

「わかりました」

憤然と帰り支度を始める美咲。

我に帰る零治。

「あ・・・待って」

「・・・」

「待てってば・・・」

「・・・」

「待て・・・社長命令だ」

扉は閉ざされた。

立ちすくみ・・・ベッドに崩れ落ちる零治。

頬を伝う一滴の涙・・・。

これはもう・・・いつもの脚本家の世界だな・・・。

ついに辛抱しきれなくなってしまったんだな。

一方・・・和田とともにホテルの一室に入った秘書は・・・。

「やはり・・・和田社長とは交際できません」

「なぜだ・・・」

「鮫島社長を裏切ることはできませんので・・・」

「一体・・・彼のどこにそんな魅力が・・・」

「言葉では言えません・・・彼の魅力は非常に理解しにくいものです・・・もし私がいなくなれば・・・彼の味方は・・・一人もいなくなってしまう・・・ほどに」

「まさか・・・君・・・あいつのことを・・・」

「はい・・・私は零治さんを好きです・・・大好きです」

丹念に隠匿され・・・世間を欺き続けてきた・・・お約束の三角関係スタートである。

ある意味・・・変形された母と息子の不適切な関係でもあり・・・非情に不気味でもある。

こうして・・・安定のラブコメは・・・不吉な終盤戦へとなだれ込んでいくのだった。

ドタバタか・・・ドタバタにするんだな。

いや・・・今回はすでにドタバタ・コントだからな。

まあ・・・ここまで頑張ったんだから・・・もう好きにしろとしか言わないがね。

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2016年5月25日 (水)

才能泥棒(黒木華)道具屋だよ(オダギリジョー)シーソーゲーム(ムロツヨシ)真剣勝負(永山絢斗)普通が一番(蒔田彩珠)

落語愛好家のアシスタントが聞いているのは「道具屋」である。

一種の古道具を売るお店をまかされた若者が・・・「ろくでもない商品」を客に売り付けようと悪戦苦闘する「話」である。

編集者を道具屋、漫画家を道具と考えれば・・・そのビジネスのあらましが分かるわけである。

最期に御隠居さんが客として現れ・・・汚れた笛の穴に埃が詰まっていることに難癖をつける。

しかし・・・穴につっこんだ指がぬけなくなってしまう御隠居。

「困りますね・・・売り物なのに・・・」

「仕方ない・・・買い取るよ」

そこで高額をふっかける道具屋。

「お前さん・・・足元を見るんじゃないよ」

「いいえ・・・手元を見ました」

お後がよろしいようで・・・。

漫画家も役者も「才能」が売り物である。

それを売ろうとする編集者やマネージャーがどちらも人間であることは・・・厄介だが面白いのだった。

で、『重版出来!・第7回』(TBSテレビ20160524PM10~)原作・松田奈緒子、脚本・野木亜紀子、演出・塚原あゆ子を見た。現場から離れて二十年以上経つのに時々・・・昔の夢を見る。そんな出来事はなかったのに渋谷のスタジオで大物芸人に頼まれてスポーツ新聞を買いに行くというのが定番で・・・物凄い冒険が始るのだ。コンビニまでが遠い道程なのである。今日なんか銃撃戦に巻き込まれて危うく死ぬところだった。「ラヴソング」や「重版出来」などの業界もののドラマを見ている影響だろうか。タレントと所属事務所の軋轢の噂などもなんらかの残滓となっているのだろう。まあ・・・昔と比べたらかなり普通になっていると思われる芸能界で・・・相変わらずの茶番劇が展開されているのかと思うと心が騒ぐのかもしれない。人間は基本的に馬鹿だからなあ。そこが面白いのかもしれないけれどね。道具は道具として徹すればいいとも思うし・・・あまりにも道具扱いじゃかわいそうだしなあ。

週刊コミック誌『バイブス』で新人賞を受賞した「ピーヴ遷移/中田伯」は読み切り掲載だったらしい。

つまり・・・中田伯(永山絢斗)は三蔵山(小日向文世)のアシスタントとして修行中の身の上なのである。

しかし・・・素人同然の画力や基礎知識のなさに・・・指導する万年アシスタント・沼田(ムロツヨシ)・・・二十年間デビューできない男・・・は時々・・・絶句するのだった。

「一点透視・・・って何ですか」

「そこからかよ」

だが・・・心から漫画を愛するムロは・・・面倒な後輩を同業の仲間としてなんとか受けとめようとする。

「遠近法というものがあってな・・・」

沼田も中田と同じように二十代で新人賞を受賞した過去がある。

「えんきんほう・・・」

しかし・・・本格的な作品を発表する機会を得ないままに二十年の歳月が過ぎ去ったのだ。

「このまま・・・一生デビューできなかったりしてな」

「冗談でもそういうことは言わない方がいいですよ・・・言葉には力がありますから」

「トリックかよ」

「ボクを育てたじいさんも・・・ある朝・・・もうダメだ・・・死ぬと言って死にました」

「それは・・・寿命だったんじゃないか」

自分には帰る場所もなく・・・漫画家になるしかないと思い詰める中田。

画力不足だけでもなく・・・精神的にも問題がありそうだった。

三蔵山夫人(千葉雅子)の手料理の感想を求められ・・・言葉を失い・・・「構わないでくれ」と席を立つ中田なのである。

「お前・・・先生の奥さんに失礼じゃないか」

「なんだか・・・煩わしくて・・・」

「え・・・お前だってお母さんがいるだろう・・・」

「いませんよ・・・」

「それは・・・すまなかった・・・でも思い出くらいあるだろう」

「僕の母は・・・いつも僕を犬の首輪につないでいましたよ」

「ええ」

「冗談です」

「えええ」

明らかに心に闇を抱える中田だった。

一方・・・印刷された出版物の売れ行き不振に悩む大手出版会社・興都館は過去の名作の電子書籍化を目論んでいた。

和田(松重豊)は「タイムマシンにお願い/牛露田獏」の電子書籍化の許諾を求め・・・黒沢心(黒木華)とともに・・・業界から消えた漫画家である牛露田宅を訪れる。

銀座の夜の店で札束をばら撒いていた過去を持つ牛露田獏(康すおん)だったが・・・その後ヒット作に恵まれず・・・「過去の人」となっていた。

集合住宅前で応答のない牛露田を待っていた二人は・・・牛露田の娘の女子中学生・後田アユ(蒔田彩珠)に出会う。

「アユちゃん・・・大きくなったねえ」

面識のある和田が声をかけるが・・・アユは素っ気ない態度で応じる。

「入れば・・・」

「お父さんはどこかに・・・でかけているのかな・・・」

「・・・」

「お母さんは・・・昔・・・よくカレーを御馳走になったもんだが・・・」

牛露田夫人の祥子(赤江珠緒)は遺影になっていた。

疎遠になっていたとは言え・・・和田・・・不義理過ぎるだろう。

「ダメ親父のせいで・・・母は働き過ぎで身体を壊し・・・死んだ」

「・・・」

そして・・・奥の座敷で・・・牛露田は飲んだくれていた。

「何の用だ」

「先生の作品を・・・電子書籍に・・・」

「一億持ってこい・・・」

「それは・・・少し法外です」

「俺の作品の値段は俺が決める・・・文句あるか」

交渉決裂である。

アユの前途を案じた心は・・・名刺を渡すのだった。

「何かあったら・・・どんなことでも構わないから・・・連絡してください」

まもなく・・・警察から呼び出される心。

公園で補導されたアユは母親として心を指名したのだった。

「何もしてないのに・・・」

「学校は・・・」

「球技大会だから・・・」

生活保護を受けているアユは・・・その件で学校でいじめを受けていることを心は察している。

「・・・」

「助かったよ・・・これでバイトに間に合う」

「バイトって・・・」

「新聞配達・・・」

心はアユをカフェに誘うのだった。

スイーツの注文に迷う心の姿は・・・アユに亡き母を思い出させる。

「一口あげようか」

「え」

「お母さんも・・・いつも迷ってた」

アユは微笑み・・・中学生らしい幼さを見せる。

「一口もらいます」

「あんな・・・ダメ親父さえいなければ・・・」

「でも・・・お父様は・・・素晴らしい漫画を描いて・・・たくさんの人を喜ばせていたんですよ」

「関係ないよ・・・」

「・・・」

「私は・・・普通がよかったよ」

言葉を失う心。

電子書籍化によって・・・牛露田家にもいくらかの収入がある・・・しかし・・・「過去の栄光の世界に住む天才漫画家」の説得は難航しそうな気配である。

「ピーヴ遷移」の連載化を目指す中田はネーム(下書き)ノートを心に持ち込む。

しかし・・・七冊目が欠けていることに気が着く心だった。

七冊目のネームノートを発見し・・・誘惑に負けて・・・それを読む沼田。

そこに「天才の狂気」を感受した沼田は恐怖した。

恐ろしいほどに開花している中田の才能というモンスターが・・・沼田には見えたのだ。

戦慄して・・・怪物に墨汁を投げつける沼田。

我に返った沼田は・・・ネームノートを汚してしまったことに慄く。

「嫉妬・・・嫉妬なのか・・・」

漫画家アシスタント・沼田渡の半生

地方の造り酒屋の息子に生まれた沼田は幼少期から漫画家を目指し、大学の漫画研究会でも抜群の才能を見せる。新人賞を受賞後・・・三蔵山のアシスタントとなり・・・デビューを目指しながら・・・二十年の歳月が過ぎ去った。

ネームを持ちこんでは編集者にダメ出しされ・・・師匠からは愛の鞭を受ける。

「この作品の主題は何なの・・・」

「主人公が自分とは何かを見つめることです」

「さっぱり・・・わからないな」

そして、四十歳になったのである。

一冊足りないネームノートを捜す中田・・・。

素知らぬ顔をする沼田だったが・・・アシスタントを支配する関白殿下にはお見通しだった。

だから・・・「真田丸」をまぜるな。

「返せるのなら・・・返してあげなさい」

「私は・・・」

「君は嘘をつくほど・・・子供だったのかい」

「・・・」

三蔵山は・・・嘘をついて中田にノートを返す。

「すまない・・・読んでいるうちに・・・うっかり墨汁をこぼした」

届けられたノートを見て・・・心を疑心暗鬼が襲う。

「新人アシスタントいじめ発生中・・・」

心はチーフ・アシスタントの沼田に事情を聴取する。

震える沼田の心・・・。

「中田くんは・・・奥様の仕業じゃないかって・・・言うんですけど」

「えええ」

「私も・・・まさかとは思うんですが・・・」

「彼は・・・母親との間に確執があったようなので・・・」

「やはり・・・おいたちに問題があるんでしょうか・・・」

「・・・」

追いつめられる沼田は・・・自分のネームノートを読んでいる中田を見て心をかき乱される。

「君が読んだって・・・つまらな・・・」

中田は泣いていた。

「お前・・・わかるのか」

「主人公は・・・自分が何者なのか・・・知りたいんですよね」

「・・・」

「すごいな・・・沼田さんの漫画は・・・」

沼田は・・・自分の漫画の読者を見出した。

そして・・・自分の怠惰を恥じた。

誕生祝いに実家から贈られた銘酒を師匠と酌み交わす沼田・・・。

「決心したのか・・・」

「私は・・・故郷に帰って・・・家業を手伝います」

「そうか・・・」

「自分の作品が・・・いつか理解してもらえる・・・いつかいい編集者にめぐり会える・・・いつか面白さを認めてもらえる・・・いつかいつかいつか・・・そうやって・・・本気で戦わないまま・・・四十歳になってしまったのです・・・理解してもらうためにはどうすればいいのか・・・面白さを認めてもらうために何をするべきか・・・自分と戦うことを避けて・・・」

「それが・・・一番・・・難しいのさ・・・」

「はい」

アシスタントたちにチーフの退職を告げる三蔵山。

「どうして・・・」と問いかける中田。

「卑怯者だったからさ・・・」

「・・・」

「お前のノートを汚したのは俺だ」

「・・・」

「どうしてだと思う?」

「絵が・・・下手過ぎてむかついたから・・・」

「違うよ・・・お前がうらやましかったんだ・・・帰る家のないお前が・・・ごめんよ・・・俺には帰る家があって・・・」

「アムロ・・・」

「ムロだけにね」

戸惑う中田に・・・沼田は「古典落語全集」をプレゼントした。

「結局・・・俺には無用のものだった・・・お前の役に立つといいけどな」

「・・・」

故郷に戻った沼田は・・・素晴らしいPOPを描く。

「上手ねえ」

「さすがだねえ」

「まるでプロみたい・・・」

「新酒出来!」・・・夢破れた寂寥感を胸に沼田の新たなる戦いが始ったのだ。

心は思う・・・私が二十年早く生まれていたら・・・沼田さんをデビューさせることができたのに・・・と。

「おいおい」とツッコミを入れる編集者一同だった。

「でも・・・漫画家さんと編集者って・・・子供とお母さんみたいだなって・・・」

「この処女がっ」

「小熊のくせに」

「くやしかったら、孕んでみろ」

正義漢とエイリアン(異邦人)の対峙か・・・・・・おいっ。何故「銀魂」をまぜるんだよ。

韻をふむならコレって感じなもんで・・・。

再放送中だからだろう・・・。

思い切って・・・沼田渡と牛露田獏の同世代設定にしてもよかったけどな。

アユの年齢から言っても牛露田獏は三蔵山世代ではないしな・・・。

天才になった男と天才になれなかった男の対比も効いたんじゃないか。

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2016年5月24日 (火)

愛と知っていたのに(福山雅治)血まみれのハイヒール(藤原さくら)やったんじゃろ(夏帆)内緒にしてください(菅田将暉)

2016年春ドラマは空前の童貞ブームである。

(火)の「重版出来!」の新人漫画家・中田伯(永山絢斗)はなにしろマンガばかり描いているので童貞だ。

(水)の「世界一難しい恋」の主人公・鮫島零治(大野智)は恋愛経験ゼロである。

(木)の「グッドパートナー 無敵の弁護士」の熱海(賀来賢人)も赤星(山崎育三郎)も女の気配が皆無。

まさか・・・と思うが・・・猫田(杉本哲太)だって怪しいぞ。

(土)の「お迎えデス。」の主人公・堤円(福士蒼汰)は童貞確実である。

(日)の「ゆとりですがなにか」の教師・山路一豊(松坂桃李)に至っては童貞であることが存在理由である。

なんだろう・・・最近の若い男は・・・童貞でなくてはならないのか・・・。

一方、(月)「ラヴソング」では主人公が冒頭から意味もなくやりまくりである。

そのために・・・なんとなく童貞枠だった天野空一(菅田将暉)も前回、年上の女に童貞を捧げてしまったのである。

そういう意味でこのドラマは時代に逆らっているな・・・おいおい。

で、『ラヴソング・第7回』(フジテレビ20160523PM9~)脚本・倉光泰子、演出・平野眞を見た。このドラマで凄いのは主題歌の「Soup/藤原さくら」も劇中歌の「好きよ 好きよ 好きよ/藤原さくら」も作詞・作曲が福山雅治ということである。劇中歌の「好きよ 好きよ 好きよ」はレコード会社「トップレコード」のプロデューサー・弦巻竜介(大谷亮平)に「これを作った人は天才だ」と言わしめる作品なのである。そういう設定の曲を実作し・・・「たいしたことないよ」的な顔で受け流す神代広平を演じる福山雅治・・・その立場に置かれることの目も眩むようなプレッシャーは想像しづらいな・・・。

そういう・・・素晴らしいスターを起用しての「月9」なのである。

もう・・・絶対失敗できないラインを越えてるぞ。

とにかく・・・新妻が「違うんです」の人に実害を加えられなくて本当によかったと考えます。

さて・・・すでに中盤は越えたと思われる今回。

不幸な生い立ちを持ち障害に悩む佐野さくら(藤原さくら)が・・・恋をする物語としては順調に推移していると思う。

一方で・・・過去に「音楽活動での成功の夢」に挫折し、「愛する人」も失った神代広平(福山雅治)の人生については・・・少し説明不足であるような気がする。

広平の心が・・・荒廃しているわけではなく・・・それなりに第二の人生を歩んでいることに重点が置かれ・・・患者である「さくらの声」に魅了され・・・のめり込み・・・いわば・・・あがき始める「理由」・・・心に眠る「闇」がほとんど語られないのである。

「墜落寸前の旅客機」を示すために・・・「エンジンから炎と煙があがっている描写」は必ずしも必要ではないが・・・ただ「漫然と飛行しているだけ」では・・・あまりに不親切なのである。

「本当に愛したのは彼女だけ」である広平が・・・様々な女性と性的体験だけを繰り返し・・・けして相手の愛に応えないという描写の連続では・・・単なるプレイ中年という誤解を与えかねないのだ。

そういう描写を控えて・・・失われてしまった宍戸春乃(新山詩織)との日々を回想するシーンをもう少し盛り込んだ方がよかったような気がする。

見た目の年齢差を埋めるために・・・若き日の広平は登場させず・・・声と広平の視線で回想するといった手法で・・・春乃との日々を生々しく再現し・・・少なくとも・・・ここまでに「事件」のすべてを明らかにしておくべきだったろう。

広平が・・・さくらの愛に応えるか応えないかは別として・・・そうでなければ・・・さくらの人生があまりにも哀しすぎるではないか・・・。

広平は・・・春乃のために作った楽曲をさくらに歌わせることにする。

広平の傲慢さは・・・作詞作業に関わったことで・・・作詞を神代広平・佐野さくらの連名にしたことにも現れている。

さくらに依頼し・・・さくらが骨格を作ったのである・・・二人の合作なら・・・作詞・佐野さくら、作曲・神代広平で充分だったのだ。

弦巻竜介(大谷亮平)の誤解・・・神代広平が天才的な楽曲提供者であるという伏線であるとすれば・・・広平があまりにも大人げないことになる。

脚本は・・・そういう矛盾をなるべく排除しないとね。

広平にはある種の「うしろめたさ」がある。

それは・・・春乃の妹である言語聴覚士・宍戸夏希(水野美紀)とのぎくしゃくとした会話によって明示される。

しかし・・・曲以前に・・・夏希は・・・さくらと広平の関係を疑い・・・感情的になるシーンを広平に見せる。

お茶の間的には・・・広平が夏希の「心」を知ったシーンになったはずだが・・・その後の展開では・・・広平は「春乃を裏切りつつあることを夏希に責められている」心持ちのようでもある。

それは・・・あまりにも「女心」がわからなすぎる設定じゃないか・・・。

広平・・・まさか・・・精神的な童貞なのか・・・。

「あの曲どうだった」

「昔の曲でしょう」

「知ってたのか」

「お姉ちゃんの遺品に残っていたわ」

「少し・・・古臭かったか・・・」

「そんなことは・・・ないと思う」

安堵の表情を見せる・・・広平・・・ものすごく・・・馬鹿なんじゃないか。

音楽馬鹿なのか・・・心理カウンセラーなのに・・・。

もちろん・・・姉のために作った曲をさくらに歌わせることに対する・・・つまり・・・姉の妹である自分よりも・・・さくらが高い位置を占有していることへの夏希の嫉妬の炎は燻り続けるのである。

ここから・・・夏希はどんどん・・・嫌な女になっていく。

まあ・・・ここまででも充分に嫌な女だったけどな。

この手のドラマでは・・・安易に敵役を作ればどんどん安っぽくなっていくわけだが・・・「愛の歌」に心を動かされる人々のドラマとしては非情にデンジャラスなことになると考える。

まあ・・・夏希が「嫉妬の炎に身を焦がす哀しい女のブルース」を歌うのなら話は別だが。

レコード会社「トップレコード」の弦巻竜介は「好きよ 好きよ 好きよ/佐野さくら」のデモテープが好感触を得たことから・・・ライブハウス「S」でのプロモーション・ビデオの撮影を提案する。

広平の音楽仲間や、通りすがりの岡村隆史、天野空一や中村真美(夏帆)が見守る中・・・夏希だけは・・・広平とさくらが音楽的に結ばれていくことへの焦燥感に苛まれる。

「私は・・・なんだか・・・面白くないのよ」

「どうした・・・」

「本当にわからないの」

「飲み過ぎだぞ」

広平は・・・「何か」から目をそらす。

ここで・・・現場を離れたはずの・・・鶴巻は・・・妙なドス黒さで・・・唐突な展開を開始する。

「うちのトップアーティストであるCHERYLが・・・この曲に興味を持っているんです」

「なんだ・・・アイドルか・・・」

「ちがいますよ・・・シェリル知らないんですか」

「マクロスに出てくる人・・・」

「アニメじゃない!・・・とにかく・・・広平さん・・・CHERYLへの楽曲提供について考えてみませんか」

「今は・・・とにかく・・・佐野さくらを世に送り出したいんだ」

「・・・」

「グリスターミュージック」取締役・音楽制作室長の桑名(りりィ)が予言する「才能を潰そうとする人々」の暗躍が始ったらしい・・・。

ものすごく・・・チープなとってつけた感が漂うのだな。

ちなみにCHERYLを演じるLeolaはほぼ新人で・・・挿入される楽曲はデビューシングル「Rainbow」である。

錯綜する人間関係である。

年齢差のある二人の「恋愛模様」であるために・・・「青春チーム」と「中年チーム」の落差は激しい。そこを追うだけでもかなり・・・面白いが・・・撫でるだけなんだな。

どちらかといえば・・・・青春チームの方がドラマチックである。

それは・・・夏希が嫉妬して呪いをかける「青春の輝き」そのものなのだ。

ライブに間に合わなかった真実の婚約者・野村健太(駿河太郎)・・・。

「きききききききっと・・・クレーム対応だよ」と同じく大型車の整備・販売会社「ビッグモービル」で働くさくらは笑う。

野村の家はすでに二世帯同居に改装され・・・野村の両親は真実の同居を待ち望んでいる。

親の味を知らない真実には・・・「普通の家庭」に対する恐怖心があるのと同時に・・・ずっと面倒を見てきた妹同然のさくらを案ずる心情がある。

そのために・・・同居を引きのばしているのである。

さくらはついこの間まで「結婚なんてしないでくれ」と真実に甘えていたのである。

「歌」と「広平への恋」で前向きになっているさくらが・・・なんらかの「成果」を得ることを待ち望む真実。

しかし・・・心のどこかには・・・さくらの「成功」に対する怯えも潜んでいるのかもしれない。

脚本のトーンがそういう感じなんだよな・・・。

その上・・・海街四姉妹なので・・・どうしても奥行きがあるわけである。

謎に満ちた広平の心とは別に・・・ストレートなさくらの「恋心」・・・。

広平のカウンセラーとしての出勤日に・・・仔犬のように付きまとう。

さくらの上司で広平になんとなく気のある滝川(木下ほうか)や・・・潜在的ないじめ集団である女子社員たちの妨害ほ乗り越え・・・さくらは広平にデートを申し込む。

「レコーディングの打ち上げをしてませんよ」

「そうか・・・じゃ・・・やろう」

天にも昇るような気持ちのさくらである。

デートのおしゃれのために・・・新しい靴を購入するさくら・・・。

妙な接客の店員・かおり(杉浦琴乃)のために・・・「サイズ」を上手く伝えられないさくらだった・・・。

妙なキャスティング多いよなあ・・・。

もっと王道でいいんじゃないか。

レパープラス的なことじゃないのか。

その頃・・・空一は・・・キャバクラ嬢時代の真実の・・・客からのプレゼントのストックを漁っていた。

「これ・・・くれる」

「それ・・・化粧品だよ」

「お世話になった人への御礼の品」

「その人とやったのか」

「え」

「やったんだな」

「いやん・・・」

「さくらはデートみたいだぞ」

「え」

「となればこくるかもしれん」

「・・・」

「まあ・・・ふられる可能性大だよな」

「そうだよね」

「しかし・・・だからといってさくらは空一とはやらんな」

「えええ」

そこへ帰宅するさくら・・・。

「セクシーにして・・・」

「え・・・」

「セクシーにして」

「できるかな」

「できるじゃろ」

青春チームのコントは・・・楽しくていいなあ・・・。

中年チームは重苦しいよ・・・。

精一杯のセクシーモードで待ち合わせの場所で待つ真実。

しかし・・・すでに合わない靴のために・・・足は歩行不能になるほどに血まみれである。

「なんじゃあこりゃあ・・・」

広平はさくらをおんぶしてスニーカー・ショップに向かうのだった。

「パンツみえる~」

かかとに絆創膏をはってもらい・・・ウキウキするさくら・・・。

そういうことを・・・親にしてもらいたかったのに・・・してもらえなかった過去があります。

しかし・・・打ち上げの店には鶴巻が現れるのだった。

たちまち・・・青春は色褪せ・・・澱んだ中年たちの世界が始る。

「どうして・・・あの人を・・・」

「打ち上げだから・・・」

「私・・・足が痛いんで帰ります」

「・・・」

今回は何度か・・・店を出る女のシーンが繰り返される。

夏希が店を出て行っても誰も追いかけてこないが・・・さくらは送ってもらったり・・・追いかけてもらえる。

そういう点で・・・広平のヒロインに対する心を察しなければならない。

しかし・・・保護者としてなのか・・・パートナーとしてなのか判別は困難である。

「どうだった・・・」

「変な奴に邪魔された・・・」

真実に報告するさくら。

一方でさくらは・・・真実に・・・引越しを奨める。

しかし・・・お茶を濁す真実である。

ドス黒い鶴巻は急に切羽詰まった感じになっている。

「CHERYLへの楽曲提供をお願いします」

しかし・・・広平は難色を示す。

そもそも・・・新曲への自信もないわけである。

あれが・・・「傑作」だったとしても・・・それは二十年前の「成果」なのである。

ついに・・・鶴巻は・・・「契約」のために呼び出したさくらに・・・別件を切りだすのだった。

「CHERYLに移籍の話があってね・・・それを阻止するために・・・なるべく希望を叶えたい・・・そしてこれは・・・広平さんにとっても・・・凄いチャンスなんだ・・・わかるだろう・・・君の方からも説得してみてくれないか」

さくらにしてみれば・・・「お前はいらない」と言われているようなものである。

なにしろ・・・親から「お前はいらない」と言われた過去があります。

「S」のマスター・笹裕司(宇崎竜童)の誕生日を祝う会。

笹はさくらに「好きよ 好きよ 好きよ」をリクエストする。

演奏の打合せに入る広平やバンドマンたち。

そこで・・・ついにさくらに向けて炸裂する夏希の怨念・・・。

「あなたには知っておいてもらいたい・・・あの曲は・・・あなたのものじゃない」

「え」

「あれは・・・お姉ちゃんの曲なの・・・」

二人のやりとりを耳にした広平は割り込む。

「おかしなことを言うなよ」

「だって・・・あれはお姉ちゃんの曲じゃないの」

「あれは・・・俺の曲だ・・・俺の作った曲だ」

「・・・」

店を飛び出すさくら。

追いかける広平。

私のことは追いかけてくれなかったのに・・・と落胆する夏希だった。

そんな夏希を慰める中年チーム。

「まってくれ・・・さくらちゃん」

「・・・」

「確かに・・・あれは・・・昔作った曲だ」

「・・・」

「でも・・・君と出会って・・・君に歌ってもらいたくなった・・・」

さくらは広平の胸に飛び込む。

「私は・・・先生が好きなんです・・・好きでたまらないんです」

「・・・」

「先生は・・・私のこと・・・どう思っているんですか」

「私は・・・君と・・・音楽をつくりたい」

広平の真意とは別に・・・告白してふられたさくらだった。

「マミ~アタシ・・・ふられちゃったのじゃ」

「さくら・・・あきらめることはないじゃろう」

「でも・・・前にすすみたい・・・」

「・・・」

青春チームは胸に沁みるぞ・・・。

あきらめたわけではないさくら・・・喉の変調のために・・・増村泰造(田中哲司)の病院を訪れ・・・広平の姿を見かけてときめく。

通りすがりの湯浅志津子(由紀さおり)は恋の気配を察知する。

「あなた・・・恋をしているわね」

「・・・」

「どんな人・・・」

「やさしい・・・おっさんです」

「そう・・・私はいつ死ぬかわからないけど・・・今日は気分がいいの」

「よよよよよよよかったですね」

耳鼻科で内視鏡の検査を終えたさくら・・・。

増村医師は告げる。

「ここに・・・腫れがあるので・・・精密検査をしてみましょう」

そんなに哀しい方向にしなくてもいいと思うけれどねえ・・・。

二人が大成功して恋人として結ばれるハーピーエンドでも・・・誰も怒らないよ・・・。

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2016年5月23日 (月)

殿下の正体とは何でしょう・・・殿下の心にあるものとは・・・なぜ皆は殿下に忠誠を尽すのですか?(長澤まさみ)

この世界では今のところ・・・真田昌幸と石田三成は義兄弟ではなく・・・今後もそうならないと思われる。

通説の一つである・・・宇多頼忠の娘・寒松院が真田信繫の母ではないからだ。

石田三成の妻は「うた」とされているので宇多頼忠の娘・皎月院らしい。

真田昌幸も真田信繁も・・・そして石田三成も・・・歴史的敗者であるために・・・その事跡は曖昧なことが多い。

真田家では真田信幸の系統が勝者として残り・・・いろいろと憚ることも多いのである。

宇多頼忠の兄が尾藤知宣である。

知宣は秀吉の古参武将だが・・・九州征伐で失態を演じ讃岐宇多津五万石の所領を没収されている。

天正十七年(1589年)の聚楽第の落書事件では・・・犯人とされる尾藤道休と同姓である上に・・・犯人を隠匿したとされる天満本願寺に逗留中だったと言われる。

この事件には尾張守護家(織田家の主筋)の斯波義銀や室町幕府管領家の細川昭元(正室が信長の妹)が連座している。

何より・・・天満本願寺には本願寺第十一世の顕如が健在なのである。

こうした旧世代の権力者の保護は・・・織田政権の簒奪の課程で秀吉が画策したものである。

九州征伐を終え・・・天下人となった秀吉あるいはその官僚機構が利用価値のなくなった人々を粛清する先駆けであったとも考えられる。

尾藤知宣がなぜ・・・巻き込まれてしまったのかは別として・・・正室の父の兄が・・・主君の怒りを買ったことは・・・石田三成にとって・・・相当に恐ろしい出来事であったはずである。

しかし・・・宇多頼忠の存在しない世界では・・・三成も信繫も他人事でいられたのだった。

本願寺顕如、斯波義銀、細川昭元は処罰を免れるが尾藤知宣は北条征伐後に切り捨てられたと言う。

で、『真田丸・第20回』(NHK総合20160522PM8~)脚本・三谷幸喜、演出・渡辺哲也を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は真田信繫のたくさんいる義理の父親の一人にして石田三成の親友・・・大谷吉継の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。尾藤道休を演じるビッグベンこと横田栄司が「重版出来!」の加藤了役、「グッドパートナー 無敵の弁護士」の岸田英樹役に続いて一週間に三度目の登場で・・・レビューのタイトルをずっとシェイクスピアもじりでやっているだけにちょっと笑いました。舞台中心の地味めの役者さんが・・・人気ですな・・・ビックベン効果ですかねえ。信繫事件簿的には容疑者役なので・・・渋い抜擢のはずが・・・またかよっ的な展開になってましたぞ。ついに・・・関ヶ原退場組の重要な一枚が加わって・・・マップ的には実にすっきりいたしました・・・。それにしても・・・三成も吉継も・・・まあ、秀吉も・・・さらには昌幸も真田丸にはいないのだなあ・・・と思うとすでに寂しい感じがしますな。北条滅亡も迫り・・・そこから関ヶ原まではどんな感じになるのか・・・ワクワクしますね。この感じだとあっという間に折り返してしまいそうですな。

Sanada020天正十六年(1588年)四月、豊臣秀吉は聚楽第に後陽成天皇を迎え華々しく饗応。同席した徳川家康や織田信雄ら有力大名は秀吉への忠誠を誓う。上洛した大名のうち、池田輝政、織田信秀、丹羽長重、前田利家、上杉景勝、細川忠興、毛利輝元、島津義弘など多数が秀吉より豊臣姓を賜る。七月、秀吉は刀狩令、海賊停止令を発布し、帯刀権を持たない身分というものを発生させた。つまり・・・武士の特権階級化であり、武士の身分を定める秀吉の支配の具象化である。八月、秀吉は島津氏を通じて琉球に服属を命じる。十二月、真田信幸と小松姫の婚姻が成立する。天正十七年(1589年)一月、信雄、羽柴秀長、宇喜多秀家らが大坂城で秀吉に対し新年を祝賀する。秀吉は上洛して参内し、歳首を賀す。二月、聚楽第南門に落書発見。秀吉は番衆(警備担当者)を十数人処刑。三月、落書の犯人及び追放中の斯波義銀・細川昭元・尾藤知宣が潜伏中の天満本願寺に石田三成が派遣され、寺内成敗として寺内町を破却、天満の町人数十人が京都六条河原で磔となる。恐怖した顕如は犯人と目された尾藤道休と犯人隠匿に関与した願得寺顕悟(本願寺八世蓮如十男・実悟の長子)を自害させた。五月、豊臣鶴松誕生。

石山本願寺に構築された大坂城の郊外に天満の森がある。

そこに本願寺の新拠点が置かれている。

京都に聚楽第を建築した秀吉は軍事的首都である大坂と・・・政治的首都である京都を忙しく往復している。

秀吉は秀長に命じて洛南の淀の城の改修を行った。

「あんな小城をどうすんだね」

「茶々の城にするがや」

「ああ・・・」

「寧々の側にはおいとけねえでかん」

「だがんねえ」

秀吉は北政所の腹の子殺しを惧れていた。

妬(うまずめ)である寧はこれまでにも秀吉の子を殺してきた過去がある。

寧は・・・茶々が出産のために淀の城に移ることを聞いて歯ぎしりする。

「あの女に子なんか産ませるもんかね・・・」

後陽成天皇の聚楽第行幸を賞されて寧は従一位に叙せられている。

寧は兄の子で忍びである播磨国龍野城主の木下勝俊に相談する。

「殿下に痛い目にあってる門徒衆を唆したらどうだらず」

「そうしてちょう」

秀吉の不興を買い・・・本願寺に身を潜めている浪人衆は多かった。

聚楽第から淀城に移る茶々の行列を襲撃して寧の歓心を買う企てに・・・秀吉政権から追放された尾藤知宣はうかうかと乗ってしまった。

秀吉に怨みを持つ門徒衆は多い。

知宣に煽動されて・・・計画は整った。

しかし・・・真田信繁の警護役として派遣されていた雑賀一族崩れの鈴木孫七がこれを探知する。

信繫は・・・秀吉馬廻衆として・・・茶々警護の役についていた。

「なんと・・・愚かな・・・」

「いかが・・・なさいますか」

「才蔵・・・」

「おまかせあれ・・・」

秀吉は茶々のために・・・豪華な屋形舟を用意していた。

花吹雪の舞う宇治川を南下する茶々の屋形舟を待ちうける門徒衆の鉄砲忍びたち。

門徒衆の一人は本願寺降伏によって実戦投入されなかった大型の爆雷砲を構えているものもいる。

一撃で櫓を吹き飛ばす威力を秘めた大鉄砲である。

しかし・・・花吹雪の中から現れたのは・・・羽衣をまとった天女たちだった。

「これは・・・なんと・・・」

「あやかしか・・・」

「美しい」

鉄砲忍びたちは・・・心に警鐘を鳴らす。

だが・・・天女たちの美しさは・・・抗いがたい魅惑で男たちを誘うのだった。

「だめだ・・・」

「たまらねえ」

「こりゃ・・・いけねえ」

男たちは鉄砲を構えたまま・・・川面に身を投げる。

すると・・・潜んでいた真田河童衆が男たちの心臓を一突きするのだった。

やがて・・・河原に男たちの死骸が並べられる。

死体の人数を確かめた霧隠才蔵は任務終了の狼煙をあげた。

その岸辺を臨月間近の茶々を乗せた屋形舟が何事もなかったように下っていく。

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2016年5月22日 (日)

女が男を裏切ったら女全員が反省するべきですか(福士蒼汰)変な男を好きになってしまったら変な女ですか(門脇麦)私は罪な女(飯豊まりえ)

罪を憎んで人を憎まずという「理想」がある。

しかし・・・たやすく人は人を憎む。

一方で人はたやすく人を愛する。

愛する人を誰かに傷つけられたら・・・その誰かを人は憎むこともあるだろう。

しかし・・・だからといって・・・人間全体を憎むのは普通ではない。

日本人が外国人に殺されたら日本人は外国人全体を憎まなければならないのだろうか。

そんなおかしなことを・・・賢そうなニュースキャスターたちがさもまともなことのように話している。

過去の戦争の結果・・・敗戦国に与えられたペナルティーと・・・個人が犯す犯罪とは全く別なものである。

世界のどこかで日本人が犯罪を犯したら・・・日本人は全員切腹するべきだと誰も思っていないくせに・・・妙なことを言う人がいるよなあ・・・。

本気で・・・戦争によって確定したルールを替えようと思うなら・・・戦争する覚悟が必要なのである。

その覚悟を相手が本気にした時・・・初めて交渉が始るのだ。

何が善で・・・何が悪なのか・・・何が罪で・・・何が罰なのか・・・このドラマのとりとめのなさが・・・そういうものを象徴しているように見える。

ヘレンケラーが三重苦の少女ではなく、視覚と聴覚が不自由な少女として表現される現代社会に私は馴染めない。そして・・・少し馬鹿になっていると思う。

で、『お迎えデス。・第5回』(日本テレビ20160521PM9~)原作・田中メカ、脚本・尾崎将也、演出・南雲聖一を見た。人間が自意識の中に善意と悪意を見出すのは何故なのだろう。霊魂の問題を考える時に・・・その根本に・・・なんらかの因子があるのではないかという仮説が成立する。つまり・・・善の超素粒子や、悪の超素粒子の存在の仮定である。人体や宇宙を構成する物質そのものに善と悪があるのではないか・・・という妄想である。そんな馬鹿なというのは簡単だが・・・時に人は・・・「絶対的な悪」や・・・どう考えても「善いこと」というものを感じるものである。それが・・・「経験」や「教育」によってもたらされたものなのかどうかを・・・誰も断定できないわけである。洋の東西を問わず・・・人は死後・・・何故か・・・裁かれる。それが神であろうと地獄の王であろうと・・・何らかの罪を問われるわけである。つい・・・そう考えてしまうのだ。それは・・・身体の中に善と悪が存在し・・・それが自意識に働きかけるからではないのか。信じるかどうかはあなた次第だ。ちなみに私は信じない・・・おいっ。

高校時代の同級生である千里(門脇麦)の告別式に出席してから・・・死後、幽霊として現世に滞在中の「存在」を視認できるようになった明櫻大学の学生・堤円(福士蒼汰)・・・。

同様の能力を持つ阿熊幸(土屋太鳳)の導きによって・・・死後四十九日の間に昇天するように・・・この世に未練の残る幽霊を説得する死神二課のアルバイトを開始する。

給与形態は未だに不明の妖しいビジネスである。

幽霊である美樹(野波麻帆)の説得に失敗し、怨霊と化した美樹によって幸は負傷。

円も・・・怨霊と化した美樹が自己破壊によって消滅するという後味の悪い結末を体験する。

結果を入院中の幸に報告している円の前に・・・死神組織の監視から逃れ、幸の家に潜伏中だった逃亡霊の千里が姿を見せるのだった。

「どうも・・・」

「どうも・・・」

「彼女は事情があって・・・成仏停止中なの・・・このことは死神たちには秘密にしてね」

幸は円に頼む。

死神界では・・・幽霊の自主性を重んじる二課のナベシマ(鈴木亮平)と怨霊化阻止の観点から強制昇天を主張する一課のシノザキ(野間口徹)が対立し、消息不明の千里の霊をめぐる対立が生じていた。

ナベシマに恋する幸は・・・円に片思い中の千里に同情し・・・猶予期間を与えているのである。

恋する乙女同志の絆なのである。

しかし・・・「恋愛」について未発達な円は・・・千里の死後に何故、能力が発現したのかという点をあまり・・・考慮せずに・・・研究対象として幸との交際を求めているという童貞なのであった。

「この度は・・・ご愁傷様でした」

「本人にお悔み言う人は・・・人類史上・・・まれかもしれないわ」

「まれ・・・ですか」

「まれ・・・よ」

呪文に呼び出されて・・・ガッキーの領域を狙う「あさが来た」系の女子大生(吉岡里帆)といい勝負の「まれ系」の女子大生・利恵(飯豊まりえ)が召喚されるのだった。

大学で加藤(森永悠希)が祖母・嘉子(佐藤玲→藤田弓子)の葬儀のために休んでいたことを知る円・・・。

嘉子の幽霊は加藤とともに・・・大学に現れる。

「あら・・・あなた・・・私が見えるの?」

「僕があなたを見えることを加藤は知りません」

「そうなのね・・・聞きたいことがあるんだけど・・・」

「なんでしょうか」

「この大学に・・・経済学の前田先生がいるって聞いたんだけど・・・」

「前田教授なら・・・あの人です」

前田教授(中山龍也→西岡德馬)は加藤にレポートの再提出を命じているところだった。

「君のレポートは百パーセントがコピペだ・・・もう少しなんとかしないと単位はやれない」

「そんな・・・コピペだって・・・知識の立派な編集作業じゃないですか」

「学業というものは単なる模倣ではない・・・次の段階へ進もうとする意欲だ」

「おっしゃっていることがわかりません」

「勉強したまえ」

「あの通り・・・厳しい教授です」

「うちの孫は少し馬鹿だったのね・・・」

「教授とはお知り合いなんですか」

「あの人は私の初恋の人・・・私たちは駆け落ちをしようとしたの」

「若かったあの頃・・・何もこわくなかったのですね」

「私たちの時代は蔦のからまるチャペルで祈りを捧げるのよ」

「ひとまとめに昭和ですみません」

「まだ誰もが大学に行く時代じゃなかった・・・私は進学したかったけれど・・・家庭の事情で就職したの・・・でも・・・どうしても大学に通いたくって・・・仕事がお休みの平日にニセ学生として大学にもぐりこんだの・・・」

「情報に対する価値観の相違ですが・・・それは明らかに犯罪ですよ・・・講義泥棒です」

「ま・・・いいじゃないの・・・彼は・・・私がニセ学生と知っても優しくしてくれた学生さんだったの」

「教授が・・・」

「私たちはすぐに恋に落ちた・・・でも私には親が決めた縁談があって・・・」

「かけおちしたんですか」

「待ち合わせの場所に・・・私は行かなかった・・・結局、彼を裏切って・・・親の決めた人と結婚したのよ」

「それでいろいろあって・・・加藤が生まれたんですね」

「そういうこと・・・でも・・・どうしても・・・彼のことが気になって・・・一目お別れしようと思って・・・」

「そういうものなのですか」

「そういうものなのよ・・・」

「気をつけてください・・・四十九日を過ぎると・・・恐ろしいことになりますから」

「そういうの迷信だと思っていたけど・・・こうなってみるとよくわかる・・・大丈夫よ・・・そんなに長居はしないから・・・」

「・・・」

女の約束ほど信用できないものはないと知りはじめた円であった。

女に翻弄される運命に生まれたらしい前田教授に危機が迫っていた。

加藤と同様にレポートの再提出を求められた学生の利恵が教授の研究室を訪れていた。

「教授・・・どこを修正すればいいのか・・・教えてください」

「自分の頭で考えたまえ」

「仕方ありませんね・・・」

突然、自分で服をはだけた利恵は・・・叫びながら廊下に飛び出す。

「誰か・・・助けて・・・」

通りすがりの加藤が利恵の餌食となるのだった。

教授は性犯罪の容疑者となったのであった。

「あの女学生は嘘をついている」と円に訴える嘉子・・・。

「しかし・・・幽霊が目撃者では・・・教授の無実を証明することは困難です」

「そんな・・・」

仕方なく・・・入院中の幸に相談することにした円だった。

疎遠だった父親(飯田基祐)の病院に入院中の幸は・・・離婚後も険悪な母親(高岡早紀)と父親の関係に心を痛める。

怨霊による業務中の負傷のために・・・上司として幸に謝罪するナベシマとゆずこ(濱田ここね)である。

「でも・・・円くんは幸さんを見習って・・・仕事に励むことにしたようよ」

「本当ですか?」

ゆずこは・・・幸の女心をくすぐるのであった。

そこに円が嘉子を連れて現れる。

「彷徨う幽霊を自分で助けようとするなんて・・・円くんはアルバイトの鑑だね」

円を賞賛するナベシマ・・・。

死神組織・・・結構、ブラック体質なんじゃないか。

ナベシマたちが死神会議のために去ると逃亡霊の千里も参加し・・・前田教授を救う会が開催される。

「結局・・・嘘をついている学生を改心させないと・・・」

「でも・・・相手は女子だし・・・」

幽霊の顔色を窺った幸は千里のために提案する。

「そうだ・・・千里ちゃんに手伝ってもらったら・・・」

「え」と円。

「どうかしら・・・」

「私・・・やります」

「ありがとう」と嘉子。

証人として利恵に利用されている加藤が・・・彼氏きどりなのを利用し・・・接近する円と千里である。

「幽霊の存在を認めさせるのよ」と千里。

「君は嘘をついているね」と単刀直入に切り出す円。

「なんですって」と警戒する利恵。

「実は・・・あの部屋には幽霊がいて・・・すべてを見ていたんだ」

「ふざけているの」

「幽霊しか知らない情報を伝えるのよ・・・彼女・・・さっきトイレで手を洗わなかったわ」と千里。

「君は・・・トイレで手を洗わなかったそうだ・・・」

「・・・変態なの・・・」

「え」

「それとも・・・私に気があるのかしら・・・いいわよ・・・付き合っても・・・あなた・・・結構、素敵だし・・・」

色仕掛けを開始する利恵。

すでに・・・怨霊化の気配を見せる千里の嫉妬の炎が燃えあがる。

ポルターガイスト現象である。

周囲のものは振動し・・・利恵のバッグが宙に浮く。

「なにこれ・・・手品なの・・・そんなことで私が騙されると思ったの・・・」

物質主義者の利恵は・・・超常現象を否定するのだった。

「ごめん・・・逆効果だったみたい」と千里。

「いや・・・失敗を反省する点では・・・幸さんより・・・のびしろがあるよ」

「のびしろ・・・ね」

大学を追放されることになった前田教授は研究室で私物の整理をしていた。

そこに・・・提出したレポートを返却してもらうために現れた加藤。

机の上に置かれた古い写真を発見する。

「この人・・・僕の祖母の若い頃にそっくりだ」

「その人は・・・なんというお名前ですか・・・」

「嘉子ですけど・・・」

「そうか・・・嘉子さんに孫が・・・あの人は元気ですか・・・」

「先日・・・亡くなりました」

「・・・そうですか・・・」

「まさか・・・となりに写っている学生は・・・」

「私だ・・・私は嘉子さんと・・・いや・・・昔の話だ・・・嘉子さんは幸せそうでしたか」

「ええ・・・子供も三人いたし・・・孫もたくさんいるし・・・幸せそうに見えました」

「そうですか」

前田の人生は明らかにならないが・・・おそらく研究一筋の人生だったのだろう。

前田の胸に去来する青春の日々と寂寥感・・・。

加藤が退室すると・・・利恵を伴い・・・円がやってくる。

「あなたもしつこい人ね・・・」

「なんだね・・・君たちは・・・」

「教授は大学を追放されるそうだ・・・君は胸が痛まないのか・・・」

「当然の報いじゃない」

「何度も言うけれど・・・すべてを幽霊が見ていたんだ」

「馬鹿じゃないの・・・こんな老害・・・さっさと引退するべきだったのよ」

「なんてことを・・・」と利恵につかみかかる嘉子だが・・・幽霊は人間に触れられない。

しかし・・・怨霊化しつつある千里は・・・円の役に立ちたい一心で・・・スーパー・ナチュラル・パワーを発揮するのだった。

空中に浮揚する利恵。

「なんなのよ・・・こんな手品なんて・・・」

「種も仕掛けもない・・・みんな・・・怒ってる・・・」

「わかったわ・・・とにかく・・・おろして」

「教授がいけないのよ・・・理由もなく・・・レポートの再提出を命じるから・・・私、内定がとれたのに・・・単位がとれなかったら・・・とりけしになっちゃう」

「そんなにギリギリなの・・・」

「バカな子ね・・・教授はただ教育的指導をしていただけなのに・・・」

「嘉子さん・・・言いたいことがあるなら・・・僕の身体をお貸しします」

円は幽霊に憑依させられる特異体質だった。

「あのね・・・この人は・・・あなたのために・・・レポートを添削していたのよ」

「嘘・・・一度も修正してくれなかったわ・・・」

嘉子は・・・教授の添削した控えを取り出す。

そこには細かく意見が添えられていた。

「え・・・」

「いや・・・悪いのは私だ・・・もう少し・・・優しく指導するべきだった・・・しかし・・・彼女のレポートには見どころがあった・・・再提出を命じる度に・・・それが新しい世界を開拓していくことに・・・私は魅了されてしまったのだ・・・研究者としては当然だが・・・指導者としては失格だったかもしれない」

「教授・・・ごめんなさい・・・私・・・とりかえしのつかないことを・・・」

「いいんだ・・・研究は大学でなくても続けられる」

「いえ・・・教授の名誉を回復しなければ・・・」

「いや・・・偽証が明らかになれば・・・君の前途は台無しだ・・・君の謝罪だけで充分だよ」

「あなた・・・いくつになっても・・・女性に甘いのね」

「君は・・・本当に嘉子さん・・・」

「ええ・・・」

「君には御礼を言いたいと思っていたよ・・・」

「え」

「君に裏切られて・・・私は研究一筋の人生を過ごすことができた・・・素晴らしい人生だったよ・・・ありがとう」

「まあ・・・意地悪な人ね」

「君が幸せそうで・・・よかった・・・なにしろ・・・君は私が愛したただ一人の人だから・・・」

今回も男性との抱擁を免れた円だった。

何が正しくて・・・何が悪なのか・・・そんなことは円には分からない。

ただ・・・嘉子が・・・昇天する気になってくれて安堵したのだった。

「これでよかったのですか」

「ええ・・・ありがとう・・・ねえ・・・千里ちゃんのことだけど・・・」

「?」

「いえ・・・これは余計なことね・・・でも・・・彼女もいずれは旅立つ日が来るの・・・それを忘れないで」

「・・・」

円の報告を受ける幸。

「いいコンビじゃない・・・」

「そうかな」

「そうだ・・・千里ちゃん・・・円くんと同居すれば・・・」

「え」

「ほら・・・ここだとナベシマさんも来るし・・・」

「でも・・・円くんが・・・」

「僕は構わないよ・・・家においでよ」

「・・・」

朴念仁なので成立する展開だった。

一人になった幸は・・・自分抜きで案件が解決したことに・・・淋しさを感じる。

そして・・・気がつけば幽体離脱をしていたのだった。

怨霊を除霊できる病院の配膳係・魔百合(比留川游)・・・。

憑依体質の円・・・。

念力の強い幽霊・千里・・・。

そして・・・幽体離脱のできる霊能力者・幸の誕生である。

もう一人欲しいところだな。

いや・・・それより・・・千里はやはり怨霊化しかかってるんじゃないか。

ラスボスなんだろうねえ・・・。

そして・・・ヒロインの愛が勝つんだろうねえ・・・。

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2016年5月21日 (土)

説教童貞ですがなにか(松坂桃李)墜落ですがなにか(岡田将生)不倫ですがなにか(柳楽優弥)狩人ですがなにか(吉岡里帆)失恋ですがなにか(安藤サクラ)(´・_・`)ですがなにか(島崎遥香)

次から次へと繰り出される異様なキャラクターたち。

AKB48で・・・それなりに名の知れたアイドルである「ぱるる」こと島崎遥香もすでに「しょげた顔の女子大生ゆとり」に改造されてしまったのである。

劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL」の美魔女鑑識ではなくなったのだ。

浮世絵顔の安藤サクラも有能だがもったいつけすぎて恋を失う恋愛下手なアラサー女と化す。

そして・・・連続テレビ小説「あさが来た」で真面目な女学生・田村宜を演じた吉岡里帆は・・・自由奔放すぎる可愛い女子大生に変身してしまった・・・。

本当にキャラクターを作らせたら右に出るものがいないな・・・。

「NIGHT HEAD」(1992年)以来、ほとんど潜伏していたと言っても良い石橋けいでさえ・・・セクシーすぎる教育ママとして再構築されてしまった・・・。

「鈴木先生」で酢豚の好きな中学生樺山あきらだった三浦透子も「ゆとりモンスター」山岸に説教される新入社員になったりしているのだ・・・そこはあまりキャラ造形されてないだろう。

まあ・・・地味は地味なりに配置されているんだな。

で、『ゆとりですがなにか・第5回』(日本テレビ201605152230~)脚本・宮藤官九郎、演出・水田伸生を見た。胸元に光子力ビームを内蔵した教育実習生・佐倉悦子(吉岡里帆)とほろ苦い別れを経験した指導担当の山路一豊(松坂桃李)・・・。すっかり仲良くなった坂間正和(岡田将生)の交際相手である宮下茜(安藤サクラ)と意気投合して慰められる日々である。そんな二人にもやもやする正和だったが・・・大切な妹のゆとり(島崎遥香)に・・・憧れのガールズバー店長・道上まりぶ(柳楽優弥)の魔の手が迫っていることを・・・ぼんやり見過ごすところがゆとりなのである。

風雲渦巻く坂間家・・・母親の和代(中田喜子)と兄嫁のみどり(青木さやか)は円満な嫁姑関係を構築しているようで・・・実は一触即発の状態であることすら・・・正和には分からないのだった。

「私はお嫁さんに気をつかってる姑」ほど「嫁に気をつかわせているもの」だからな。

あれはもう・・・雌のテリトリー争いみたいなもので・・・理屈でどうこうできるもんじゃないんだよな。

同居するくらいだったら・・・アイガー北壁に挑んだ方が楽なんだよな。

誰の話だよ。

ゆとりが・・・「ガールズバー」で働いていることを家族に話すことができずに悶々とする正和。

しかし・・・正和の心配を余所に・・・接客業で・・・一皮剥けたゆとりは・・・就職活動にも好転の兆しが現れていた。

一方・・・自分と過ごす時間よりも・・・ボルダリングジムで山路と過ごす時間の方が長い茜も気にかかる正和。

そもそも・・・恋人の趣味である「ボルダリング」の名称すらまともに覚えることのできない正和は・・・交際相手を尊重する基本すら出来ていないのだ・・・ゆとりだからな。

そういう・・・正和に耐えるしかない茜の苛立ちを想像することもできない正和なのである。

茜が耐えているのは「愛」という形のない存在のためである。

そんなもの・・・ないと思えばないからね。

だが・・・正和を責めても仕方ない・・・彼はただそれだけの男なのだ。

最高に男前だけどな。

男前ということではけして負けない山路だったが・・・とにかく童貞である。

なぜ・・・童貞なのか・・・それはやるべき時にやらないからだ。

「連絡とってみれば・・・」

「馬鹿に・・・アドレス消されちゃったんです」

「ああ・・・」

悦子の大学の後輩・・・束縛癖のある小暮静磨(北村匠海)に手を引かされた山路だった。

しかし・・・突然・・・悦子から着信があった。

「やったね・・・童貞の怨念が実ったね」と冷やかす茜。

「もしもし・・・」

「童貞バ~カ・・・悦子からかと思ったか・・・あいつは今、シャワーあびてんだよ」

ラブホテルから・・・悦子のスマホを無断使用中の・・・静磨の嫌がらせだった。

「どうしたの・・・」

「バカでした・・・」

基本的に・・・周囲にも自分にも大らかな悦子は・・・いつか酷い目に遭う気がする。

ここまでの山路と悦子。

山路が悦子を指導。

悦子が山路に告白。

山路が承諾。

二人の仲が噂になる。

悦子が山路に言い寄られたと教頭(原扶貴子)に申告。

まりぶが介入して二人の仲を修復。

山路が童貞を告白。

悦子が処女だと嘘をつく。

静磨乱入。

山路の冤罪が晴れる。

悦子が静磨とは連絡をとっていないと告げる。

教育実習終了。

山路に静磨が性行為の途中で電話。

童貞よ・・・童貞の前に道はないな。

一方・・・坂間家では・・・長男の宗貴(高橋洋)が家族会議を招集する。

「親父が亡くなって三ヶ月だ・・・俺が長男だからって・・・当然のように家業を継いでいると思っているかもしれないが・・・まあ・・・継ぐけどな・・・いろいろあるわけだよ・・・就活の乱とか・・・妊活の乱とか・・・正和の・・・正和の・・・正和の乱とかさ・・・みんな・・・もう少ししっかりしてくれ」

お前が一番しっかりしてもらいたい・・・ここは「ふぞろいの林檎たち」のしっかり過ぎる長男のパロディーである。

仕方なく・・・レンタルおじさん(吉田鋼太郎)に相談する正和だった。

「私が・・・様子を偵察してきます」

「え・・・」

「時には・・・そういう探偵みたいなこともするんです」

「はあ・・・」

「妹さんの特徴は・・・」

「しょげてるみたいな顔をしています」

ガールズバーのゆとりは・・・前向きな性格になっていた。

「いろいろな人との出会いが・・・新しい可能性を広げるチャンスだと知りました」

「・・・ですか」

山路にも新しい出会いがあった。

学習障害のある転校生・大悟が・・・胸元にメガ粒子砲を搭載した母親の奈々江(石橋けい)を連れてきたのである。

母親の希望により・・・一般児童と一緒の教室で授業を受けることになった大悟。

担任となった山路は一生懸命に授業を工夫するのだった。

阿佐ヶ谷南小学校4年2組の児童たちは基本的に天使なのである。

教室は一体となって大悟を応援し・・・授業参観にきた・・・夜勤の看護師である奈々江は感動し・・・山路にうっとりとするのだった。

捨てるおっぱいあれば拾うおっぱいありなのか。

一方・・・久しぶりに「みんみんホールディングス」本社を訪れた正和は・・・後輩社員を説教するヤマギシ(太賀)に遭遇し眩暈を感じる。

「最近・・・先輩の気持ちがわかってきました」

歯ぎしりする正和だった。

直属の上司・早川道郎(手塚とおる)から・・・茜の人事について相談される正和。

「え・・・」

「あれ・・・聞いてなかったのか・・・新しくできる仙台支店の・・・・支店長に彼女が候補として・・・」

恋人の大出世と・・・それを聞かされていなかった自分に・・・戸惑う正和だった。

なにしろ・・・足手まといだからな。

錯乱した正和はボルダリングジムに乱入・・・。

なんとか・・・茜と親睦を深めようとするが・・・墜落してアキレス腱を切り全治一ヶ月の身体となる。

居酒屋「鳥の民・高円寺店」の店長代理として・・・「できる女」を披露する茜・・・。

バイトリーダーの村井(少路勇介)とバイトの中森(矢本悠馬)は感嘆するのだった。

「一体・・・何がしたいのよ」

「君と話がしたかった・・・」

「話せばいいじゃない・・・」

「もう・・・いいよ」

「小学生か」

「・・・」

「そういうところが・・・面倒くさいのよ・・・私・・・あなたのママじゃないのよ」

「仙台支店長の話・・・」

「まだ迷っているから・・・話さなかったのよ・・・やりたいけど・・・やれば婚期を逃しそうで」

「山路くんには・・・」

「話したわよ・・・友達だから」

「じゃ・・・俺に言えることはひとつしかない」

「待って・・・今・・・それを言うの」

身構える茜・・・結婚か・・・栄転か・・・ではない。

結婚してから転勤するか・・・転勤して遠距離交際か・・・という話である。

しかし・・・一種の発達障害者である正和には・・・そういう選択肢はないのだった。

「わかれようか・・・」

「え・・・そっち・・・」

落胆し・・・決断する茜。

「わかりました・・・さようなら」

茜は・・・山路との思い出の日々の画像を・・・スマホから削除する。

「これだけで・・・終わっちゃった」

つまり・・・正和は・・・茜と交際中・・・何一つ、プレゼントしなかったのだな。

何一つもだ・・・女を見下すにも程かあるよね。

正和は・・・山路とまりぶに相談するのだった。

「プロポーズすればよかったのかな・・・」

まりぶの妻ユカ(瑛蓮)は乳児をあやしながら叫ぶ。

「えらぶのは女よ・・・男じゃない」

「・・・じゃあ・・・僕はどうすれば・・・」

「女を幸せにしなさい」

「・・・」

「言わずもがなよ」

「おっぱいなんじゃねえの」

「さっきあげたよ」

興奮して・・・突然・・・中国語にスイッチするユカ・・・。

「・・・看中你的妹妹(カンチャンニイダマイマイ)!・・・你要担心ロ我(ニィヨウタンシンオ)!」

もちろん・・・正和は・・・ユカの言葉が警告であるとは思わないのだった。

なにしろ・・・ゆとりなのである。

「タクシーで帰れ」と良心が咎めるので気を遣うまりぶ。

「いや・・・始発までネカフェで待つよ」と正和。

「気をつけてね」

「茜ちゃんとは仲良くしてやってくれ」

「でも・・・オレは茜ちゃんを幸せにはできないよ・・・メンクイだから」

「・・・」

しかし・・・身体の不自由な正和はネカフェに落ちつくことはできないのだった。

教室で・・・奈々江に攻略されかかる山路。

しかし・・・ヒロイン枠を確保するために帰ってくる悦子だった。

「何かが来ます・・・」

「え・・・」

可愛い悦子先生の登場に歓喜する児童たちだった。

「鳥の民・高円寺店」で教育実習の思い出動画を鑑賞する山路と悦子。

指導教諭として・・・山路は・・・達成感を感じるのだが・・・。

「私・・・教師になるのはやめました」

「え・・・」

「すごく大変なんで・・・無理だと思いました」

「ええっ」

「資格だけとって・・・教員採用試験はパスするつもりです」

「えええ」

店を出た悦子は本題に入る。

「彼とは別れました・・・あんなに大騒ぎしたのに・・・あいつ・・・浮気して・・・それにやはり年下っていうのは・・・いろいろと・・・」

つまり・・・静磨と別れたので・・・抱けますよ宣言である。

しかし・・・童貞なので・・・いろいろと躊躇う山路だった。

「僕だって・・・やめたいですよ・・・無理ですよ・・・パスしたいです・・・でも・・・こんな僕でもやってるんです・・・悦子先生にもやってもらいたい・・・子供たちあんなに喜んでたじゃないですか・・・僕だって悦子先生に抱きつきたかった」

微笑んだ悦子は両手を広げた・・・。

「どうぞ・・・」

路地裏で見つめ合う男と女・・・。

「それで・・・抱きしめたの」

「そりゃ・・・もちろん・・・」

店長代理の茜に問われて胸を張る山路。

「見てたよ・・・換気扇止めて・・・」

「え」

「握手して・・・頭ポンポンとか・・・」とバイトリーダー。

「ええっ」

「換気扇ごしに見ても童貞だってわかりました」とバイト。

「えええ」

「セックスしてからでも説教はできたよな」とまとめる茜だった。

しかし・・・身動きできない店長は重要なことに気がついていた。

「まりぶが・・・来ない」

坂間家の朝・・・。

ついに・・・ゆとりを問いつめる正和。

テレビではタレントのできちゃった結婚のニュースが流れ・・・不妊治療中の嫁に気を使っているアピールをする姑はチャンネルを替えようとする。

しかし・・・そういう気の遣われ方がすでに・・・姑の嫌味だと感じ取った嫁は・・・殺気を放つのだった。

「妹のスマホを覗くなんて不潔」

「おい・・・ちょっと待て」

お茶の間を走り抜ける兄と妹である。

そして・・・正和はレンタルおじさんから・・・衝撃の報告を受ける。

「ゆとりちゃん・・・お店やめたそうです・・・」

「え」

「あなたに気を使ったのかと思ったんですが・・・」

「・・・」

「自分の女をあんな店で働かせたくないと」

「ええええええええええええ」

「すみません」

「妹は・・・彼が妻子持ちだと・・・」

「さあ・・・」

「ふ、不倫じゃないですか」

「私も・・・彼が受験生だった時に不倫が原因で離婚しまして・・・」

「それと・・・妹関係ないですよね」

「確かに・・・」

「あんな奴を信じた俺が・・・バカだった・・・え・・・じゃあ・・・悪いのは俺ってことなの」

「・・・」

怒りの収まらない正和は・・・道上家を訪問する。

「坂間か・・・まりぶ留守だよ」

「・・・」

「まりぶ・・・なんか・・・したか」

「その・・・」

「女か・・・また女のことか」

「え」

「だから・・・忠告したのに・・・まりぶ・・・あんたの妹狙ってるから・・・気をつけろって」

「ええっ」

「血筋だよ・・・まりぶの父親も女にだらしない男だった・・・遺伝だよ・・・不倫親子だよ」

「すみません」と恐縮するレンタルおじさん。

そして・・・帰宅するまりぶ・・・。

面白すぎる・・・。

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2016年5月20日 (金)

私はただ女に男を立ててもらいたいだけ(竹野内豊)誰が立たせるか(松雪泰子)前世紀の川の話ですね(賀来賢人)

看護師のことをナースと呼ぶのはセクハラじゃないのか。

ギリギリセーフなんじゃないか。

ナースって性的な凌辱用語じゃないのかよ。

おいっ。それはお前だけだ。

ナースと聞いただけで萌えるのは犯罪じゃないですよね。

ただ・・・少し変態なだけだ。

ああ・・・よかった。

よくはないけどね。

で、『グッドパートナー 無敵の弁護士・第5回』(テレビ朝日20160519PM9~)脚本・福田靖、演出・本橋圭太を見た。ドクターとナースの全面対決・・・「ナースのお仕事」以来だったな・・・。なんだろう・・・このドラマ全体に漂う前世紀感は・・・。時計が止まっているのか・・・。そもそも・・・咲坂健人(竹野内豊)と結婚していた夏目佳恵(松雪泰子)は専業主婦だったのか?・・・それとも夫婦で弁護士だったのか。よくわからない。第一、二人ともパートナー弁護士なのだから・・・高収入が前提である。家事は最初からハウスキーパーにおまかせで・・・トラブルの原因にはならないだろう。一体・・・去年の娘・みずき(松風理咲)の11歳の誕生日(2015年8月)から・・・この夫婦に何があったと言うのだ・・・。そんなことでひっぱられても困るんだが・・・。

本当は15歳の娘のおでこに父親がキスしたことによる性的なアレ・・・なわけないだろうが。

神宮寺法律事務所が顧問を務める桂総合病院からの依頼で・・・「セクシャルハラスメント」についての講習会を行う咲坂弁護士と新人弁護士・熱海(賀来賢人)・・・。

小学生を相手にピーポくんが交通安全指導を行うみたいなことであるらしい・・・。

病院の事務員(坂井裕美)を相手に白衣を来た咲坂は「セクハラ発言」を例示するのだった。

「かわいい笑顔で患者さんを励まそう」・・・容姿と仕事内容を関連付けたらセクハラ。

「君のいれてくれたお茶は上手い」・・・給仕の仕事を女性に特定するのはセクハラ。

「今晩・・・食事でもどうかな」・・・立場を利用して食事に誘えばセクハラの上にパワハラ。

しかし・・・男前の咲坂に誘われた事務員はうっとりしてしまうのだった。

「説得力ないじゃん」とつぶやく熱海だった。

「結局、男前無罪なんでしょう」と外科部長の厚木義忠医師(神尾佑)は講習そのものを鼻で笑うのだった。

咲坂は・・・講習を依頼してきた病院の事務長・葛原正(小林隆)の浮かない顔に・・・違和感を覚え・・・真意を質すのだった。

葛原は・・・厚木医師による・・・新人看護師・桜井奈緒(逢沢りな)へのセクハラ疑惑があることを打ち明けた。

「看護師から相談があったわけですか」

「はい・・・手を握ったり、身体を触ったり、キスされそうになったとも」

「それは・・・セクハラですね」

「しかし・・・厚木先生は・・・外科のエースでして・・・」

「つまり・・・稼ぎ頭ということですか・・・院長には報告したのですか」

桂院長(佐渡稔)は厚木医師の肩をもち、看護師を退職させる意向だった。

「これが・・・初めてではないのですね」

「過去に同様のケースがあって・・・看護師には退職してもらっています」

「ひどいな・・・」と熱海。

「困りましたね・・・」と言葉を濁す咲坂。

「なんとか・・・穏便に問題を解決できないでしょうか」

「・・・」

「どうにもならないでしょう・・・」

「なぜだ・・・」

「男性医師がセクハラを認めなければ女性看護師に泣き寝入りさせろってことでしょう」

「お前は・・・フェミニストなのか」

「ぼくらの世代は最初から男女同権なんですよ」

「・・・」

ベタに・・・神宮寺法律事務所でもセクハラ問題が発生中である。

婚活に忙しい猫田弁護士(杉本哲太)がアソシエイトである城ノ内弁護士(馬場園梓)が「キュート」と言われたことを「お世辞」と評したことが問題らしい。

本当のことを言ったらセクハラ。

夏目弁護士やベテラン秘書の朝丘(宮地雅子)は激しく同意するがパラリーガルの茂木さとみ(岡本あずさ)は無言で距離を置くのだった。

巻き添えを食ってパラリーガルの九十九治(大倉孝二)は母親の手作り弁当までセクハラに認定されるのだった。

アソシエイトの赤星元(山崎育三郎)は発言そのものを封じられる。

ついに・・・猫田弁護士の見合い相手が二十代限定であることに憤慨するトリオ。しかし・・・さとみはあくまで微妙な距離感を保つのだった。

本当に若くて美人の場合はお世辞にも差別にもならないからである。

神宮寺一彦(國村隼)に病院でのセクハラ問題を報告する咲坂・・・。

「そんな問題が・・・」

居合わせた夏目は進言する。

「その問題は・・・咲坂先生の手にあまると思いますよ」

「なんでだよ」

「だって・・・セクハラ問題は女性の気持ちが関わってくるんですよ・・・失礼ですが・・・咲坂先生は女性心理が全く分かっていませんから・・・」

「まあまあ・・・」

その頃・・・病院では・・・厚木医師の手術した患者の容体が急変、担当看護師の桜井が報告するが・・・「セクハラを告発された厚木が感情的になり報告を無視する」というありえない事態に発展していた。

「患者の家族が・・・医療ミスを疑っていると・・・」

桂院長から相談を受けた神宮寺は・・・問題の深刻さを察知する。

「ここは・・・夏目先生にお力を貸していただきたい」

「咲坂先生が頭を下げてくだされば・・・」

「下げなさい・・・」

神宮寺に先に頭を下げられて渋々頭を下げる咲坂・・・。

「おっほっほっほ」

完全なるパワハラである。

企業の不祥事が日常茶飯事となり・・・いつしか・・・マスメディアが叫ばなくなったコンプライアンス(法令順守)問題・・・みんな叩けば埃の出る企業体質だからな。

セクハラ、パワハラ、モラハラ、ドクハラ・・・あらゆるハラスメントもまた・・・どこにでもありすぎて・・・やや古びた題材になりつつあるわけである。

体質改善を目指す咲坂だったが・・・外科的手術が必要とする夏目は証拠を提示する。

過去に厚木医師のセクハラによって病院を移った看護師(橘美緒)からの証言である。

「先生は何度も私の胸を触りました・・・時には男性器を下半身に押し当てられたこともありました。さらにはズボンを下ろして男性器を誇示し・・・感想を求めてくるのです・・・ついには私の下着をかぶらせてほしいとまで・・・」

「これは・・・セクハラのレベルじゃないな・・・性犯罪じゃないか」

「変態仮面ドクターよ」

「宣伝か・・・無関係じゃないか」

咲坂は・・・幼い娘と公園で遊ぶ・・・葛原事務長を急襲する。

「今日は・・・お詫びにきました・・・」

「え」

「ことは・・・穏便にはすませられません・・・」

「・・・」

「私にも娘がいます・・・もし・・・娘たちが・・・同じ立場になったら・・・それでも・・・あなたは娘に泣き寝入りを奨めますか・・・」

「・・・私はただ・・・豊臣家の安泰を・・・」

「誰が真田丸の話をしろと・・・」

突然・・・開催される・・・医師・看護師・事務員が全員出席の総会。

「訴訟問題は回避されました・・・しかし・・・もう一つ問題があります」

事務長は決死の覚悟で告発を開始する。

「医師による・・・看護師へのセクハラ問題です」

「その件は当事者同士で話し合う方向で・・・」と院長。

「それは・・・無理です。二十一世紀の企業では・・・そういう手法は成立しません」と咲坂。

「つぶれるよ・・・この病院」と熱海。

「なんだ・・・雇われ弁護士が・・・会議は以上だ・・・解散・・・患者さんが待っているぞ」

もちろん・・・無人のナースステーションにはナースコールが鳴り響いているわけである。

「看護師さん・・・もれちゃいます」なのである。

しかし・・・看護師たちは席を立たないのだった。

「これは・・・この病院が生き残れるかどうかの・・・瀬戸際です・・・皆さん・・・席に戻ってください」

「一体・・・君は何の権利があって・・・」

すかさず・・・弁護士バッヂをはずして人間に戻ろうとする咲坂。

しかし・・・機先を制して立ち上がる夏目弁護士。

「看護師の皆さんに・・・話を聞こうではないですか・・・医師のセクハラ行為についてどう思っているか・・・確かに・・・医師に対して看護師の立ち場は・・・同等とは言えません。しかし・・・弁護士も看護師も・・・国家資格です。責任ある立場です。組織が健全であることを求めなければなりません。私はその点について・・・皆さんに問い質し・・・この病院の体質改善のためには・・・全員退職も辞さない覚悟だと知りました」

「え」

「女性看護師全員の退職届けをお預かりしています」

「そんな・・・」

「とんだ・・・茶番だ・・・患者に申し訳ないと思わないのか」とついに厚木医師が正体を見せる。

「問題の張本人が名乗りをあげました・・・さあ・・・院長・・・決断してください・・・看護師全員と・・・変態ドクター・・・どちらを選択するか」

「持ちかえらせては・・・もらえないか」

「いいですか・・・この病院を退職した女性看護師二十人が・・・厚木医師とこの病院に対しセクハラ訴訟を起こすという噂があります・・・そうなったら・・・顧問として・・・弁護を担当しますが・・・物凄くハイリスクになります・・・あの時、トカゲの尻尾を切っておけば・・・と後悔するのでは・・・」

若手のドクターたちが立ちあがる。

「厚木先生は手術はお上手ですが・・・変態です」

「しかも・・・童貞です」

「お・・・お前ら」

泣きながら・・・去っていく厚木だった・・・。

こうして・・・桂総合病院から・・・わいせつ医師は放逐されたのだった。

優秀な外科医を確保して・・・パートナーたちの暴走の尻ぬぐいをする神宮寺だった。

どうでもいいことだが・・・家庭教師の島谷涼子(宮﨑香蓮)は熱海の後輩だった。

帰宅した咲坂は・・・娘が「家族団欒の動画」を見て泣き寝入りした姿を目にする。

「動画」の中の元妻は優しかった。

「なんで・・・俺を捨てたんだ・・・」

思わずにはいられない咲坂。

「俺は・・・そんなに女心のわからない男だったのか・・・」

まあ・・・男の女の間には・・・前世紀には・・・暗くて深い川があり・・・誰も渡れなかったのだ。

その頃・・・妻はビッグベンから情事のお誘いを受けているのだった。

急げ・・・咲坂・・・土下座するなら今だぞ。

今世紀の川は結構明るくて浅いから・・・。

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Gpoo5ごっこガーデン。愛と青春の法律事務所セット。

まこすぐに人情に訴える昔堅気の弁護士と・・・ハードボイルドな暴走弁護士・・・とてもグッドなパートナーなんでしゅね~。なんでまた離婚したんでしゅかね~。わがままは女の罪~・・・それを許さないのは男の罪~・・・そういう時代が到来しているのでしゅね~・・・・男に残された道はごめんね・・・俺が悪かった・・・許してくんしゃい・・・戻ってきてくんしゃい・・・泣いてあやまる・・・これしかないのデス!」

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2016年5月19日 (木)

いさなみすやお謝罪会見(大野智)星見なさい(波瑠)甘いな・・・(北村一輝)おからだによいおからだ(信太真妃)

おからハンバーグか・・・。

旅館の跡取り息子だった社長と・・・ホテルのドアマンの孫だった社員・・・。

住む世界の違う二人が・・・出会い・・・恋に落ちる。

由緒正しい身分差ラブコメである。

一環して奥手の人々の恋を描き続けてきた脚本家が・・・ついにうってつけの素材を手に入れたらしい。

地位も名声も資産もそれなりにあり・・・仕事もできるが・・・恋愛だけは・・・勝てる気がしない。

そんな男と・・・質素な暮らしが似合わないほどの美女だが・・・真面目な学級委員タイプが恋をするのである。

バランスが絶妙だな。

そんなヒロインの幼少時代を演じるのは「ちびまる子ちゃん」(2013年)のまる子を演じた信太真妃である。

「それでも、生きてゆく」(2011年)の少年Aに金槌で撲殺された少女・深見亜季を演じたり、子役定番の幼少期役としては「真夜中のパン屋さん」で土屋太鳳、「安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?」で大島優子、「きょうは会社休みます。」で綾瀬はるか、「スミカスミレ 45歳若返った女」で松坂慶子&桐谷美玲と・・・堂々とした戦歴である。

ヒロイン女優に負けないオーラが求められるわけなので。

ちなみに今回、ホテル協会会長を演じる鷲尾真知子は「ちびまる子ちゃん」(2013年)ではさくらこたけ(まる子の祖母)を演じていた。

ある意味、豪華共演である。

で、『世界一難しい恋・第6回』(日本テレビ20160518PM10~)脚本・金子茂樹、演出・丸谷俊平を見た。初々しくオーソドックスな演出だが・・・キャストがノリノリなので実に素敵な感じに仕上がっているのである。脚本的には単なる回想シーンを別の視点から振り返ることで人物像に深みを与えるというおしゃれな展開も加味しているし・・・ニヤニヤさせておいてハラハラさせ・・・最後はうっとりというお約束に次ぐお約束で・・・極めて素晴らしい。もう・・・お願いだから最終回はハッピーエンドにしてくれよとお茶の間が縋る勢いだな。

幼少時に両親と死別した美咲(波瑠)は・・・ホテルのドアマンを勤める祖父(渡辺哲)に男手一つで育てられた「おじいちゃん子」である。

一番のごちそうが「おからハンバーグ」なのである。

美咲の夢は「大好きなおじいちゃんとホテルで一緒に働くこと」だったのだが・・・昔堅気の祖父は孫を大学まで卒業させて・・・花嫁衣装を見たかったらしい。

三つ編み・眼鏡・セーラー服のなんちゃって女子高校生から大学を卒業・・・夢を追いかけてパリのホテルで修行中の美咲だったが・・・祖父は急死・・・。

残されたのは・・・美咲と一緒に建てるホテルの建設予定地だった。

美咲の夢はけして・・・絵空事ではなかったのである。

質素な暮らしぶりは・・・建設費を貯蓄しているのだ・・・まあ・・・そう簡単には目標額には達しないだろうけどな。

そして・・・美咲の男を見る目は「おじいちゃん基準」・・・。

「今夜のおかずはおからだにいいおからだ」的なものだったのだ。

鮫島零治(大野智)の厳しい社長の顔とは別の茶目っ気・・・。

「牛乳はエレベーターで拾った」とか「海の水が温い」とか・・・そういう「すべり方」がたまらなくツボだったのである。

零治との交際開始を逡巡した美咲だったが・・・「おじいちゃんのホテル」と「社長のホテル」が一致したことで・・・一挙にアクセルを踏みこんだのである。

すでに・・・零治は美咲にとって・・・かけがえのない人になっていたのだった。

もちろん・・・おそらく・・・恋人と交際したことのない童貞の零治にとって・・・そんな美咲の心理を読むことなど・・・夢のまた夢である。

今はただ・・・好きになった人とお付き合いできることに有頂天なのだった。

最初のデートは水族館だった。

「デートスポットとしては社長の唯一のテリトリーです」と秘書の村沖舞子(小池栄子)・・・。

「よかったですね」と運転手の石神剋則(杉本哲太)・・・。

息子の晴舞台にママはニヤニヤ、パパはドキドキである。

「あれはレタスを食べるサカナだ・・・あれは性転換をするサカナだ」

「社長は生き物が昔から好きだったんですか」

「小学校の時はずっと飼育係だった・・・君は何の係だ」

「私は学級委員でした」

「そうだと思った」

「え」

「君からは学級委員以外想像できない・・・」

「そんなに」

「この中では君はどのサカナが好きかな」

「あの子・・・」

「イワシとは・・・渋いな」

「社長は・・・」

「・・・二人きりの時は・・・社長というのはやめないか」

「では・・・なんとお呼びすれば・・・」

「好きなように呼んでくれ」

「では・・・レイさん・・・」

「う・・・じゃ・・・俺は君をミサさんと呼ぼう」

「レイさん」

「ミサさん」

もう・・・これ以上なくバカップルでいいじゃないか。

イワシたちは渦を巻いて二人を祝福するように回遊するのだった。

「社長は私たちのことを会社の誰かに話しましたか」

「秘書と運転手は知っている」

「私も・・・堀さんには相談にのってもらったので」

「明日にも発表するか」

「私は・・・あえて公にはしなくてもいいかと思います」

「何故だ」

「仕事中に特別な目で見られたくないので・・・」

「そうか・・・」

少し・・・残念な零治だった。

つまり・・・先は長いのである。

なにしろ・・・まだ手も握ってないからな。

「君はスマホは・・・それ一台か」

「ですね・・・あ・・・そういえば・・・連絡先を交換していませんでしたね」

「そうだな」

「では・・・登録します」

零治は・・・「みささん」のアドレスを手に入れた!

ニヤニヤしながらベッドに横たわる零治。

美咲から着信がある。

(今日はありがとうございました・・・もっと魚にくわしくなってまた水族館で御一緒したいです・・・おやすみなさい)

「魚にくわしくなってだと・・・良い子じゃのう・・・」

身悶える零治は・・・おじいちゃん属性だったのだ。

ある意味、完璧な脚本である・・・再現率がどんどん高まるので・・・ここからは割愛してお届けします。

鮫島ホテルズ社長室企画戦略部に出勤する零治。

「おはようございます」

「おはよう♥」

「え」

戦慄する一同。

「なんだ・・・今のは」

「ニヤニヤしてたよな」

「ニヤニヤしてたよ」

恋愛感応者の堀まひろ(清水富美加)はたちまち異変を察知して・・・美咲を見るのだった。

なんとかポーカーフェイスを維持する美咲。

まひろの目には・・・悪魔の社長をたやすく手懐ける美咲が魔性の女に見えているのではないか・・・。

「赤だ・・・僕のネクタイの赤が社長のニヤニヤを・・・」

最近流行中のちょいうざい枠の三浦家康(小瀧望)は叫ぶ。

一同スルーである。

美咲のデート報告を聞いてまひろは弱音を吐く。

「私は・・・部長のことあきらめようと思うの」

「どうして・・・」

「だって・・・部長・・・私のことなんて眼中にないんですもの」

白浜部長(丸山智己)にお熱なまひろである。

「パンティーをかぶってくれてもかまわないのに」

「宣伝ですか」

「R指定なしなので家族で楽しめます」

「主人公がパンティーをかぶる映画をですか」

「絶賛上映中!」

零治は秘書にのろけるのだった。

「最高だ」

「交際三日目ですね」

「お前も早くこっち側にこれるといいな」

「・・・ホテル協会のパーティーのパーティーにはお誘いしたのですか」

「次のデートで」

「今度は・・・どちらに」

「レイさんはミサさんにおまかせだ・・・」

「・・・」

零治は恋愛マスターである和田英雄(北村一輝)に報告する。

「そうか・・・彼女をモノにしたのか」

「まあ」

「それは意外だったな」

「しかし・・・師匠の教えはあまり役に立ちませんでした」

「・・・」

「手柄を立てたのは私です」

「一撃で撃破か!」

しかし・・・ニヤニヤ笑いを崩さない和田社長。

「あの・・・私があなたの指導を受けたことは秘密にしてください」

「もちろんさ・・・」

さらにニヤニヤする和田社長だった。

もちろん・・・零治がモノにしたのは・・・まだ・・・美咲の「ハート」だけである。

和田社長とはレベルが違う零治なのだ。

「今度のパーティーはダンスパーティーだが・・・大丈夫かな」

「望むところです」

運転手は秘書につぶやく。

「社長はダンスには自信があるらしい」

「あら」

「ヒグマとでも踊れるらしい」

「あらあら」

会社では美咲の希望通りに・・・社長と部下として振る舞う零治。

しかし・・・パーティー当日に・・・白浜部長が京都出張に部下を一人同行させるスケジュールが発生。

美咲が立候補して・・・蒼白になる零治。

「ま・・・」

「はい」

救いの神として家康も立候補。

そして・・・まひろも・・・。

「じゃあ・・・じゃんけんで」

「待て・・・ここはじっくりと・・・ランチをはさんで勝負だ」

意味不明な言動をする零治だった。

「どうしよう・・・」と秘書と運転手に相談する零治。

「祈るしかありません」

一方・・・まひろは美咲に・・・。

「最後にもう一度アタックしてみる」

「じゃあ・・・私は辞退しましょうか」

「いいえ・・・運だめしだから・・・これで負けたらあきらめがつくし」

「そうですか」

零治は運転手に頼んで必勝祈願のお守りを購入・・・家康に贈るのだった。

藁にもすがる思いである。

しかし・・・家康は一発で敗退脱落。

「よ・・・弱すぎる」

しかし・・・恋に賭けるまひろは美咲に勝利した。

思わずガッツポーズをする社長だった。

公私の区別などどこ吹く風である。

(約束の時間は十三時でよろしいですか)

(はーい\(^O^)/ )→訂正→(うむ)→訂正→(了解しました)

十二時に到着する零治だった。

二度目のデートは「落語鑑賞」である。

「意外に面白かった・・・ミサさんはよく来るの」

「祖父が好きだったので」

「もっと聞きたいくらいだ」

「では・・・落語のソフトをお貸ししましょうか」

「いいのか」

「はい・・・レイさんがお望みなら」

美咲の行きつけの定食屋で夕食をとる二人。

生姜焼き定食にビール・・・グラスは二つと・・・ここまでは順調だったが・・・。

「今度のホテル協会のパーティーに同行してほしい」

「その日は・・・あいにく予定が」

「でも・・・出張は・・・」

「なので・・・歯医者と美容院を予約してしまいました」

「こちらを優先してくれないか」

「しかし・・・キャンセルしてはお店の人に迷惑が・・・」

「そこをなんとか」

「仕事とプライベートは・・・」

「それなら・・・社長命令だ・・・三浦も連れて行く・・・お前は黙って従え・・・」

「・・・はい」

初めての喧嘩である。

気まずい空気に耐えられない零治。

零治は秘書に愚痴るのだった。

「それで・・・それきり・・・しゃべってないと」

「メールもない」

「社長からなされば・・・」

「そんなことできるか・・・最後にメールしたのはレイさんだ・・・今度はミサさんの番だ」

「・・・」

しかし・・・交際相手の零治の希望を叶えなかった美咲は少し譲歩するのだった。

一人寂しくトレーニングをする零治に「落語のソフト」を届けるのである。

「ご希望の品です」

「ありがとう」

零治は一人で落語を鑑賞した。

「痴れ者が・・・小便と申すのか・・・御同輩・・・小便じゃて・・・控えておれ・・・こ、これは小便・・・この正直者!」

零治は笑った。

(一人で声を出して笑ってしまいました)

(私はいつもです・・・おやすみなさい)

(おやすみなさい)

美咲が優しかった。

零治はうれしくて眠れなくなった。

そして・・・ついに電話をしてしまった。

「おやすみなさいを・・・反対から読んだことがありますか」

「いいえ・・・」

「いさなみすやお・・・小説家のペンネームみたいでしょう」

「ユーモア作家ですね」

「そうです・・・味噌汁をみそスープと言ったりします。彼には料理研究家の妻がいるのです」

「いさなみしほさんですね」

「・・・そうです・・・彼女の影響で・・・レモンをリモーネと言ったりします」

「レイさん・・・もう三時ですよ」

「ああ・・・もう寝ないと」

「そうしましょう」

「おやすみなさい・・・」

「おやすみなさい」

零治は美咲の言う通りに幻想の星空を見ながら眠りにつく・・・。

「いさなみしほ・・・ほしみなさい・・・星見なさい」

そして・・・パーティー当日。

前哨戦として・・・別れた恋人(中村アン)を連れた和田社長が・・・秘書に仕掛けるのだった。

「おいおい・・・俺を仇のように